JP5976554B2 - ゲーム機用蝶番 - Google Patents

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本発明は、スロットマシンなどのゲーム機の前扉を筐体に対し開閉自在に取り付けるバタフライ型のゲーム機用蝶番に関する。
従来、スロットマシンなどのゲーム機の前扉を筐体に対し開閉自在に取り付けるゲーム機用蝶番は、前扉を取り付ける際の取付作業性の容易さから、ヒンジ軸を軸受部に対し着脱可能とした構造の各種蝶番が広く使用されている(例えば下記特許文献1を参照)。
一方、この種のゲーム機用蝶番として、バタフライ型の蝶番が、下記特許文献2等で知られており、このバタフライ式蝶番は、比較的簡単な構造で小形な形状であり、狭小スペースに取り付けることができ、安価な製造コストで製造することができる。しかし、この蝶番は、ヒンジ軸(ピン)を軸受部に着脱自在に嵌め込む構造のため、前扉を筐体に対し取り付ける際、可動部材を固定した前扉を動かしながらヒンジ軸の先端を、筐体に固定した固定部材の軸受孔に合せて嵌め込む必要があり、多少ながら組付け作業性に課題があった。
ところで、バタフライ型蝶番は、蝶番の取付板とヒンジ軸が同一平面内に位置するため、通常、ヒンジ軸を筐体または扉の縁部から露出する位置に取り付けて使用されることとなる。つまり、筐体と前扉間の内側に蝶番を取り付けた場合、前扉を開放したとき、必然的に、前扉の縁部が筐体側に進入するため、その部分を切り欠いておく必要があり、その縁部を切り欠くことにより、筐体と前扉間に隙間が生じる。この隙間をなくすために、バタフライ型蝶番は通常、そのヒンジ軸を筐体の外側に露出させて取り付けられる。
特許第3663540号公報 特許第3026168号公報
しかるに、ゲーム機の外観性の向上からはヒンジ軸を内部に隠すことが望まれ、さらにゲーム機のセキュリティの観点から、ヒンジ軸を含め蝶番全体を筐体や前扉の内部に隠すことが望まれている。
また、蝶番を筐体及び前扉の内側に取り付けた場合、この種のバタフライ型蝶番の構造の必然性から、前扉を開放する際、前扉の蝶番側の縁部が筐体側に進入することとなる。このため、その進入部分を見越して前扉の蝶番側の縁部または筐体側縁部を切り欠く必要が生じ、その切欠部分によって、前扉を閉じた際、筐体と前扉の間に隙間が発生する。
このため、不正行為防止の観点から、このような隙間は最小とする必要があり、筐体及び前扉の内側に蝶番を隠して取り付けることができるとともに、前扉の閉鎖時に隙間が生じず、簡単な構造のバタフライ型のゲーム機用蝶番が要望されている。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、閉鎖時に前扉と筐体の隙間をなくし強固に前扉を保持し、不正行為に対する高いセキュリティ性を具備することができるバタフライ型のゲーム機用蝶番を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のゲーム機用蝶番は、
ゲーム機の筐体に固定され、複数の固定軸受部を設けた縦長の固定部材と、
該固定部材の複数の固定軸受部間に配置される複数の可動軸受部を有し、ゲーム機の前扉に取り付けられる可動部材と、
を備え、1本の軸線上に配置された該固定軸受部と該可動軸受部に1本のヒンジ軸が貫装されてなるバタフライ型のゲーム機用蝶番において、
該固定部材は、縦長の取付板部の正面側に軸受板部が、円弧状に曲げられた円弧状板部を介して、外側に鋭角に曲折された形態で延設され、該軸受板部の外側端部に前記複数の固定軸受部が所定の間隔で設けられ、且つ該取付板部に固定孔設けられて構成され、
該可動部材は、縦長の取付板部の背面側に前記複数の可動軸受部が所定の間隔で設けられ、該取付板部の正面側に前記固定部材の円弧状板部の曲率と略同じ曲率の円弧状板部が閉鎖時に該固定部材の該円弧状板部と重なり合うように設けられ、横断面を略L形に曲折された縦長の防護壁板が、該取付板部の外側に固定されことを特徴とする。
なお、ここで、上記正面、背面とは、後述の図において矢印Fと矢印REで示すように、ゲーム機に蝶番を取り付け閉鎖した状態で、ゲーム機の正面から蝶番を見たときの正面、背面を意味する。
この発明によれば、簡単な構造のバタフライ型の蝶番であっても、固定部材の取付板部から円弧状に曲げられた円弧状板部を介して延設された軸受板部に、ヒンジ軸が支持されるので、前扉の縁部を切り欠くことなく、前扉の内側に可動部材を取り付け、前扉と筐体間に隙間を作らずに、閉鎖することができる。さらに、前扉の閉鎖時には、該可動部材の取付板部の円弧状板部が該固定部材の円弧状板部と重なり、且つ特に防護壁板が可動部材と固定部材間を塞ぐため、前扉と筐体間に隙間が生じたとしても、防護壁板、取付板部、或いは円弧状板部によって、バール等の不正器具を隙間に差し込んで行われる不正行為を防止することができる。



ここで、上記ゲーム機用蝶番において、上記防護壁板は、本体板部と取付板部を有して横断面を略L形に曲折され、上記可動部材の取付板部の外側に、防護壁板の取付板部を重ね合わせて固定することが好ましい。これによれば、可動部材を効果的に補強できるとともに、不正行為に対する防護を向上させることできる。
また、上記ゲーム機用蝶番において、上記固定部材の取付板部に、前記筐体の被係止部に係止させる仮止め溝を設けることが好ましい。これによれば、前扉の取付作業に際し、先ず前扉に蝶番の可動部材を取り付けた状態で、蝶番の固定部材の取付板部を、筐体側の被係止部に仮止め溝を係止して固定することができるので、簡便な作業で迅速に前扉の取り付けを行なうことができる。
さらに、上記ゲーム機用蝶番において、固定部材及び可動部材の上端部と下端部に、ヒンジ軸を貫装した状態でカバー部材を嵌着することが好ましい。これによれば、前扉の開放時に、蝶番のヒンジ軸が露出することがなく、見栄えを良くするとともに、ヒンジ軸に対する不正行為を防止することができる。
本発明のゲーム機用蝶番によれば、閉鎖時に前扉と筐体の隙間をなくし強固に前扉を保持し、不正行為に対する高いセキュリティ性を具備することができ、筐体と前扉間の蝶番側の隙間から、バールなどの不正器具を差し込み、前扉をこじ開けようとする不正行為を防止することができる。
本発明の一実施形態を示すゲーム機用蝶番の正面図である。 同蝶番の背面図である。 同蝶番の右側面図である。 同蝶番の左側面図である。 同蝶番の拡大平面図である。 (a)は可動部材を閉じた状態の蝶番の斜視図、(b)は可動部材を僅かに開いたときの斜視図である。 (a)は可動部材をさらに開いたとき斜視図、(b)は可動部材を完全に開いたときの斜視図である。 蝶番の分解斜視図である。 斜め背面側から見た蝶番の分解斜視図である。 可動部材の取付板部に防護壁部を取り付ける状態を示す分解斜視図である。 カバー部材を外した状態の可動部材の斜視図である。 可動部材と固定部材の組み付け状態を示す分解斜視図である。 カバー部材を可動部材から外した状態の斜視図である。 開度規制部材を外した状態の蝶番の斜視図である。 使用状態を示す蝶番の閉鎖時の断面図である。 蝶番を僅かに開いたときの断面図である。 蝶番を中間位置まで開いたときの断面図である。 蝶番を完全に開いた状態の断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。このゲーム機用蝶番は、スロットマシンなどのゲーム機の筐体20側に固定される固定部材1とその前扉21側に固定される可動部材11とから構成される長尺のバタフライ型の蝶番であり、図12に示すように、固定部材1の複数の固定軸受部5と可動部材11の複数の可動軸受部15を、1本の軸線上に交互に配置し組み付けた状態で、1本のヒンジ軸6を各固定軸受部5と可動軸受部15に貫通させて構成される。
なお、この蝶番における正面、背面とは、図6,7に示す矢印Fが前面(正面)、矢印REが後面(背面)、矢印Lが左面、矢印Rが右面を示し、これは、ゲーム機に蝶番を取り付け閉鎖した状態で、ゲーム機の正面から蝶番を見たときの正面、背面である。
固定部材1は、図8、9に示すように、板状の縦長の取付板部2の側部に、円弧状板部3を介して軸受板部4を一体形成され、軸受板部4の縁部に、複数の固定軸受部5を1本の軸線上に形成して構成される。取付板部2には複数の仮止め溝2aと固定孔2bが設けられる。円弧状板部3は固定部材1の縦方向(長手方向)に沿って連続してその全体に設けられる。仮止め溝2aは筐体20側の被係止部となる固定ねじ頭部等を容易に挿入可能な形状に形成され、蝶番を前扉21とともに筐体20に取り付ける際、容易に固定できるようになっている。固定軸受部5は、金属板からなる軸受板部4の縁部を、所定の幅で円筒状に巻き付けて形成され、所定の間隔(可動軸受部15の長さ)をあけて複数の固定軸受部5が1本の軸線上に形成される。
さらに、軸受板部4と一体の円弧状板部3は、その横断面を円弧状とするように曲折して長手方向に連続して形成される。この円弧状板部3により軸受板部4の縁部に設けた固定軸受部5を取付板部12つまり筐体20内から前方に突き出して軸受部をオフセットすることとなる。また、円弧状板部3は、前扉21(可動部材11)の開閉時、可動部材11の円弧状板部13と重なり合って回動し、図15のように重なって閉鎖される構造なっている。
一方、可動部材11は、図8、9、11に示すように、円弧状板部13を有する取付板部12とその内側に固定される防護壁板14とを有して、縦長で長尺の枠状に形成される。取付板部12と円弧状板部13の内側に、複数の可動軸受部15が1本の軸線上に配置され形成される。円弧状板部13は、取付板部12の縁部と一体に、且つ縦方向に連続して形成され、横断面を円弧状とするように、金属板を内側に円弧状に折り曲げて形成される。円弧状板部13の曲率は固定部材1の円弧状板部3の曲率と略同じに形成され、開閉時に円弧状板部13が固定側の円弧状板部3の内側に沿って重なって回動するようになっている。
さらに、取付板部12の縁部には、可動軸受部15が、金属板からなる取付板部12の縁部を、所定の幅で円筒状に巻き付けて形成され、所定の間隔(固定軸受部5の長さ)をあけて複数の可動軸受部15が1本の軸線上に形成される。つまり、固定部材1と可動部材11を組み付けたとき、固定軸受部5の間に可動軸受部15が挿入される位置に、複数の可動軸受部15は形成される。
可動部材11の防護壁板14は、図8,9に示す如く、本体板部14bと取付板部14aを有して構成され、長尺縦長の帯状金属板を横断面が略L形となるように曲折して形成される。図11のように、取付板部12の内側に、可動軸受部15を外側から包囲するように、取付板部12は防護壁板14の内側に挿入され、リベットかしめ、或いは固定ねじなどの固定手段により、取付板部12と防護壁板14の取付板部14aは一体となるように、相互に強固に固定される。
これにより、可動部材11の可動軸受部15は防護壁板14の内側に入り、可動部材11自体が立体構造となり、防護壁部14の本体板部14bにより軸受部が包囲され、不正行為などから保護される構造となっている。さらに、可動部材11を前扉21の内側縁部に取り付け、前扉21を閉じたとき、図15のように、防護壁板14が前扉21と筐体20との隙間を内側から覆うようになっている。また、可動部材11は、断面L形の防護壁板14を固定することにより、取付板部12を強固に補強し、バールなどによるこじ開けを防止する構造としている。
蝶番は、上記固定部材1に対し可動部材11を、ヒンジ軸6を介して回動可能に枢支して構成されるが、固定部材1と可動部材11を回動可能に組み付ける場合、図12に示すように、固定部材1の固定軸受部5と固定軸受部5との間に、可動部材11の可動軸受部15を挿入し、その状態で、1本のヒンジ軸6を複数の固定軸受部5及び可動軸受部15に貫通するように差し込み、ヒンジ軸6の上端と下端をかしめて抜けを防止した状態として組み付けられる。これにより、可動部材11は固定部材1に対し図15〜図18に示すように、少なくとも約90°の範囲で回動可能に軸支されることとなる。
ヒンジ軸6を組み付けた状態で、固定部材1及び可動部材11の上端と下端には、図13,14に示すように、カバー部材18,19が嵌着される。このカバー部材18,19は、固定部材1の円弧状板部3、軸受板部4、固定軸受部5の上端と下端、及び可動部材11の取付板部12、円弧状板部13、防護壁板14、及びヒンジ軸6の上端と下端を、上下から覆うので、前扉21の開放時でも、固定部材1、可動部材11及びヒンジ軸6の上端と下端が露出することはなく、外観の悪化やヒンジ軸6などに対する不正行為を防止することができる。
上記構成の蝶番は、ゲーム機の前扉21を筐体20に対し開閉可能に支持するために前扉21と筐体20間に取り付けられる。蝶番を取り付ける際、蝶番は先ず、前扉21の内側左縁部に、可動部材11がその取付板部12を縦に、固定ねじを取付板部12の固定孔に差し込み、ねじ込んで固定される。このとき、図15〜図18に示すように、蝶番の固定部材1の円弧状板部3の一部は、前扉21の内側つまり筐体20側に突出した状態で、可動部材11は前扉21の内側に縦に固定される。
次に、固定部材1を筐体20の内側側面に固定するが、その際、固定部材1の取付板部2に設けた仮止め溝2aを、筐体20の内側側面に僅かに突出して設けた被係止部としての固定ねじ頭部に、係止するようにして、固定部材1の取付板部2を定位置に仮止めする。その状態で、取付板部2の固定孔2bに固定ねじをねじ込み、締め付け固定する。
このように、蝶番は先ず前扉21に取り付けた状態で、その固定部材1の取付板部2をゲーム機の筐体20の内側に仮止めし、その状態で固定部材1の取付板部2を筐体20に固定して蝶番の取り付けを行うことができるので、蝶番の取り付け及び前扉21の取り付けを簡単な作業で迅速に行うことができる。
この状態で、蝶番の可動部材11つまり前扉21は、蝶番の固定部材1つまり筐体20に対し、ヒンジ軸6を軸に開閉回動することができる。
一方、前扉21を閉鎖したとき、蝶番は図15に示すような閉鎖状態となるが、このような閉鎖状態において、固定部材1の取付板部2から円弧状に曲げられた円弧状板部3を介して突出する軸受板部4に、ヒンジ軸6が支持され、蝶番の軸が前方にオフセットされるので、前扉21の縁部を切り欠くことなく、前扉21の内側に可動部材11を取り付け、前扉21と筐体20間に隙間を作らずに、閉鎖することができる。
また、前扉21の閉鎖時には、可動部材11の取付板部12の円弧状板部13が固定部材1の円弧状板部3と重なり、且つ防護壁板14が可動部材11と固定部材1間を塞ぐため、前扉21と筐体20間に隙間が生じたとしても、防護壁板14、取付板部12、或いは円弧状板部13によって、バール等の不正器具を隙間に差し込んで行う不正行為を防止することができる。さらに、固定部材1及び可動部材11の上端部と下端部に、ヒンジ軸6を貫装した状態でカバー部材18,19が嵌着されるので、前扉21の開放時に、蝶番のヒンジ軸6が露出することがなく、見栄えを良くするとともに、ヒンジ軸6に対する不正行為を防止することができる。
1 固定部材
2 取付板部
2a 仮止め溝
2b 固定孔
2c 切欠
3 円弧状板部
4 軸受板部
5 固定軸受部
6 ヒンジ軸
11 可動部材
12 取付板部
13 円弧状板部
14 防護壁板
14a 取付板部
14b 本体板部
15 可動軸受部
18 カバー部材
20 筐体
21 前扉

Claims (4)

  1. ゲーム機の筐体に固定され、複数の固定軸受部を設けた縦長の固定部材と、
    該固定部材の複数の固定軸受部間に配置される複数の可動軸受部を有し、ゲーム機の前扉に取り付けられる可動部材と、
    を備え、1本の軸線上に配置された該固定軸受部と該可動軸受部に1本のヒンジ軸が貫装されてなるバタフライ型のゲーム機用蝶番において、
    該固定部材は、縦長の取付板部の正面側に軸受板部が、円弧状に曲げられた円弧状板部を介して、外側に鋭角に曲折された形態で延設され、該軸受板部の外側端部に前記複数の固定軸受部が所定の間隔で設けられ、且つ該取付板部に固定孔設けられて構成され、
    該可動部材は、縦長の取付板部の背面側に前記複数の可動軸受部が所定の間隔で設けられ、該取付板部の正面側に前記固定部材の円弧状板部の曲率と略同じ曲率の円弧状板部が閉鎖時に該固定部材の該円弧状板部と重なり合うように設けられ、横断面を略L形に曲折された縦長の防護壁板が、該取付板部の外側に固定されことを特徴とするゲーム機用蝶番。
  2. 前記防護壁板は、本体板部と取付板部横断面を略L形に曲折されて形成され、前記可動部材の取付板部の外側に、該防護壁板の該取付板部が重ね合わせて固定されことを特徴とする請求項1記載のゲーム機用蝶番。
  3. 前記固定部材の取付板部に、前記筐体の被係止部に係止させる仮止め溝が設けられたことを特徴とする請求項1記載のゲーム機用蝶番。
  4. 前記固定部材及び可動部材の上端部と下端部に、前記ヒンジ軸を貫装した状態でカバー部材が嵌着されことを特徴とする請求項1記載のゲーム機用蝶番。
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