JP5975155B2 - 眼科撮影装置 - Google Patents

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Description

被検眼眼底の断層像を撮影する眼科撮影装置に関する。
従来、光干渉技術を用いて被検眼の断層画像(例えば、眼底断層像)を取得する眼科撮影装置(OCT)が知られている(特許文献1参照)。
例えば、赤外光により得られる眼底正面画像がモニタに表示され、眼底画像のある領域(部位)が選択される。そして、選択した領域の眼底断層画像がOCTデバイスによって取得され、パーソナル・コンピュータの記憶部(例えば、ハードディスク)などに一旦保存される。その後、取得された眼底断層画像は、パーソナル・コンピュータ(PC)等によって解析され、PCのモニタ上に解析結果が表示される。
特開2008−29467号公報
従来は、OCT画像を取得し、その後、OCT画像を解析する場合、解析処理に時間がかかっていた。
上記従来技術の問題点に鑑み、OCT画像を取得したときに解析処理をスムーズに行うことができる眼底撮影装置を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1)
測定光源から発せられた光を二次元的に走査する光スキャナと、測定光源から発せられた測定光と参照光との干渉状態を検出する検出器と、を有し、被検眼のOCT画像を得るための光コヒーレンストモグラフィーデバイスと、
被検眼の正面観察像を動画像として取得する観察光学系と、
前記光コヒーレンストモグラフィーデバイスによるOCT画像の取得とともに前記OCT画像に対する解析処理を開始する演算解析手段と、を備え、
前記演算解析手段は、前記光コヒーレンストモグラフィーデバイスによってOCT画像が繰り返し取得されている状態において撮影スイッチからのトリガ信号を受け付け、前記トリガ信号の出力後に得られた前記OCT画像に対する解析処理を開始することを特徴とする。
(2)
(1)の眼科撮影装置において、
前記演算解析手段は、前記解析処理の結果に基づいて解析マップを取得し、前記解析マップをモニタに表示することを特徴とする。
(3)
測定光源から発せられた光を二次元的に走査する光スキャナと、測定光源から発せられた測定光と参照光との干渉状態を検出する検出器と、を有し、被検眼のOCT画像を得るための光コヒーレンストモグラフィーデバイスと、
被検眼の正面観察像を動画像として取得する観察光学系と、
前記光コヒーレンストモグラフィーデバイスによるOCT画像の取得とともに前記OCT画像に対する解析処理を開始する演算解析手段と、
を備え
前記演算解析手段は、記検出器から出力される干渉信号において被検眼の所望の撮影部位に対応する干渉信号が取得されたことをトリガとして、被検眼の前記OCT画像に対する解析処理を開始することを特徴とする。
本発明によれば、OCT画像を取得したときに解析処理をスムーズに行うことができる。

以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る眼科撮影装置の構成について説明する概略構成図である。なお、本実施形態においては、被検者眼(眼E)の軸方向をZ方向、水平方向をX方向、鉛直方向をY方向として説明する。眼底の表面方向をXY方向として考えても良い。
装置構成の概略を説明する。本装置は、被検者眼Eの眼底Efの断層像を撮影するための光コヒーレンストモグラフィーデバイス(OCTデバイス)10である。OCTデバイス10は、干渉光学系(OCT光学系)100と、正面観察光学系200と、固視標投影ユニット300と、演算制御部(CPU)70と、を含む。
OCT光学系100は、眼底に測定光を照射する。OCT光学系100は、眼底から反射された測定光と,参照光との干渉状態を受光素子(検出器120)によって検出する。OCT光学系100は、眼底Ef上の撮像位置を変更するため、眼底Ef上における測定光の照射位置を変更する照射位置変更ユニット(例えば、光スキャナ108、固視標投影ユニット300)を備える。制御部70は、設定された撮像位置情報に基づいて照射位置変更ユニットの動作を制御し、検出器120からの受光信号に基づいて断層像を取得する。
<OCT光学系>
OCT光学系100は、いわゆる眼科用光断層干渉計(OCT:Optical coherence tomography)の装置構成を持ち、眼Eの断層像を撮像する。OCT光学系100は、測定光源102から出射された光をカップラー(光分割器)104によって測定光(試料光)と参照光に分割する。そして、OCT光学系100は、測定光学系106によって測定光を眼Eの眼底Efに導き,また、参照光を参照光学系110に導く。その後、眼底Efによって反射された測定光と,参照光との合成による干渉光を検出器(受光素子)120に受光させる。
検出器120は、測定光と参照光との干渉状態を検出する。フーリエドメインOCTの場合では、干渉光のスペクトル強度が検出器120によって検出され、スペクトル強度データに対するフーリエ変換によって所定範囲における深さプロファイル(Aスキャン信号)が取得される。例えば、Spectral-domain OCT(SD−OCT)、Swept-source OCT(SS−OCT)が挙げられる。また、Time-domain OCT(TD−OCT)であってもよい。
SD−OCTの場合、光源102として低コヒーレント光源(広帯域光源)が用いられ、検出器120には、干渉光を各周波数成分(各波長成分)に分光する分光光学系(スペクトルメータ)が設けられる。スペクトルメータは、例えば、回折格子とラインセンサからなる。
SS−OCTの場合、光源102として出射波長を時間的に高速で変化させる波長走査型光源(波長可変光源)が用いられ、検出器120として、例えば、単一の受光素子が設けられる。光源102は、例えば、光源、ファイバーリング共振器、及び波長選択フィルタによって構成される。そして、波長選択フィルタとして、例えば、回折格子とポリゴンミラーの組み合わせ、ファブリー・ペローエタロンを用いたものが挙げられる。
光源102から出射された光は、カップラー104によって測定光束と参照光束に分割される。そして、測定光束は、光ファイバーを通過した後、空気中へ出射される。その光束は、光スキャナ108、及び測定光学系106の他の光学部材を介して眼底Efに集光される。そして、眼底Efで反射された光は、同様の光路を経て光ファイバーに戻される。
光スキャナ108は、眼底上でXY方向(横断方向)に測定光を走査させる。光スキャナ108は、瞳孔と略共役な位置に配置される。光スキャナ108は、例えば、2つのガルバノミラーであり、その反射角度が駆動機構50によって任意に調整される。
これにより、光源102から出射された光束はその反射(進行)方向が変化され、眼底上で任意の方向に走査される。これにより、眼底Ef上における撮像位置が変更される。光スキャナ108としては、光を偏向させる構成であればよい。例えば、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が用いられる。
参照光学系110は、眼底Efでの測定光の反射によって取得される反射光と合成される参照光を生成する。参照光学系110は、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであっても良い。参照光学系110は、例えば、反射光学系(例えば、参照ミラー)によって形成され、カップラー104からの光を反射光学系により反射することにより再度カップラー104に戻し、検出器120に導く。他の例としては、参照光学系110は、透過光学系(例えば、光ファイバー)によって形成され、カップラー104からの光を戻さず透過させることにより検出器120へと導く。
参照光学系110は、参照光路中の光学部材を移動させることにより、測定光と参照光との光路長差を変更する構成を有する。例えば、参照ミラーが光軸方向に移動される。光路長差を変更するための構成は、測定光学系106の測定光路中に配置されてもよい。
<正面観察光学系>
正面観察光学系200は、眼底Efの正面画像を得るために設けられている。観察光学系200は、例えば、光源から発せられた測定光(例えば、赤外光)を眼底上で二次元的に走査させる光スキャナと、眼底と略共役位置に配置された共焦点開口を介して眼底反射光を受光する第2の受光素子と、を備え、いわゆる眼科用走査型レーザ検眼鏡(SLO)の装置構成を持つ。
なお、観察光学系200の構成としては、いわゆる眼底カメラタイプの構成であってもよい。また、OCT光学系100は、観察光学系200を兼用してもよい。すなわち、正面画像は、二次元的に得られた断層像を形成するデータを用いて取得されるようにしてもよい(例えば、三次元断層像の深さ方向への積算画像、XY各位置でのスペクトルデータの積算値、ある一定の深さ方向におけるXY各位置での輝度データ、網膜表層画像、等)。
<固視標投影ユニット>
固視標投影ユニット300は、眼Eの視線方向を誘導するための光学系を有する。投影ユニット300は、眼Eに呈示する固視標を有し、複数の方向に眼Eを誘導できる。
例えば、固視標投影ユニット300は、可視光を発する可視光源を有し、視標の呈示位置を二次元的に変更させる。これにより、視線方向が変更され、結果的に撮像部位が変更される。例えば、撮影光軸と同方向から固視標が呈示されると、眼底の中心部が撮像部位として設定される。また、撮影光軸に対して固視標が上方に呈示されると、眼底の上部が撮像部位として設定される。すなわち、撮影光軸に対する視標の位置に応じて撮影部位が変更される。
固視標投影ユニット300としては、例えば、マトリクス状に配列されたLEDの点灯位置により固視位置を調整する構成、光源からの光を光スキャナを用いて走査させ、光源の点灯制御により固視位置を調整する構成、等、種々の構成が考えられる。また、投影ユニット300は、内部固視灯タイプであってもよいし、外部固視灯タイプであってもよい。
<制御部>
制御部70は、各構成100〜300の各部材など、装置全体を制御する。また、制御部70は、取得された画像を処理する画像処理部、取得された画像を解析する画像解析部、などを兼用する。制御部70は、一般的なCPU(Central Processing Unit)等で実現される。制御部70は、以下に示すように、断層像に基づいて眼底Efを解析する。
制御部70は、OCT光学系100の検出器120から出力される受光信号に基づいて画像処理により断層像(OCT画像)を取得すると共に、正面観察光学系200の受光素子から出力される受光信号に基づいて正面画像(SLO画像)を取得する。また、制御部70は、固視標投影ユニット300を制御して固視位置を変更する。
メモリ(記憶部)72、モニタ(表示部)75、操作部76は、それぞれ制御部70と電気的に接続されている。制御部70は、モニタ75の表示画面を制御する。取得された眼底像は、モニタ75に静止画又は動画として出力される他、メモリ72に記憶される。メモリ72は、例えば、撮影された断層像、正面画像、各断層像の撮影位置情報等の撮影に係る各種情報を記録する。制御部70は、操作部76から出力される操作信号に基づいて、OCT光学系100、正面観察光学系200、固視標投影ユニット300の各部材を制御する。また、モニタ75としては、例えば、タッチパネルが使用され、走査位置、固視位置の設定など各種操作に利用される。なお、上記OCTデバイス10の詳しい構成については、例えば、特開2008−29467号公報を参考にされたい。
<断層像の取得>
図2に示すように、制御部70は、OCT光学系100を制御し、設定された領域に対応する三次元断層像を取得すると共に、観察光学系200を制御し、眼底正面像を取得する。そして、制御部70は、OCT光学系100によって三次元断層像、観察光学系200によって眼底正面像を随時取得する。なお、三次元断層像には、XY方向に関して二次元的にAスキャン信号を並べた画像データ、三次元グラフィック画像、などが含まれる。
三次元断層像を得るとき、制御部70は、光スキャナ108の動作を制御し、撮像領域に対応する走査範囲において測定光をXY方向に二次元的に走査させることにより三次元断層像を取得する。なお、走査パターンとして、例えば、ラスタースキャン、複数のラインスキャンが考えられる。
<撮影部位の判定>
図3はOCT光学系100によって得られた断層像の例を示す図である。制御部70は、画像解析部を有し、取得された断層像(例えば、三次元断層像)における眼底の層情報を画像処理により検出すると共に、所定の画像判定条件(判定基準)を基に各層の検出結果を解析し、撮影部位が正常か否かを判定する。そして、制御部70は、判定結果に基づいて断層像に対する解析結果を得る。そして、解析結果は、メモリ72、又は外部のメモリ(例えば、パーソナルコンピュータのメモリ、サーバーのメモリ)に断層像と共に記憶される。
層を検出する場合、例えば、断層像の輝度レベルが検出され、所定の網膜層(例えば、網膜表面と網膜色素上皮層)に相当する層境界が画像処理により抽出される。そして、層境界の間隔が計測されることにより、層厚が計測される。
断層像を判定する場合、各層の層厚判定、形状判定、所定部位(例えば、乳頭、黄斑)のサイズ判定等が考えられ、正常眼における各層の間隔、所定部位の形状、所定部位のサイズ、等を記憶する正常眼データベースが画像判定条件のベースとして利用される。正常眼データベースは、メモリ72に記憶される。
例えば、制御部70は、横断方向における各位置の層厚を計測し、計測結果が正常眼データベースにおける所定範囲(例えば、正常眼の計測値に対応する正常範囲)内であるかを判定する。そして、制御部70は、層厚が正常範囲内と判定された部分を正常と判断する。一方、層厚が所定範囲外と判定された部分を異常と判断する。これにより、断層像中における異常部位が特定される。
そして、制御部70は、各断層像に関して網膜各層(例えば、網膜表層、網膜色素上皮層)の厚みを算出する。そして、制御部70は、層厚が所定範囲を超える位置を二次元的に求める。XY方向に関して、被検者眼と正常眼の層厚の比較結果が用いられるようにしてもよい。また、もちろん層厚を用いた解析において、複数の層厚の合計値が用いられてもよい。
図4は断層像の解析結果を示す図であり、眼底上の各位置における異常部位を二次元的に示すマップ(以下、解析マップと記載)の一例である。本実施例において、制御部70は、前述のように取得された解析結果に基づいて、三次元断層像の解析結果をグラフィックにて示す解析マップを作成する。解析マップは、例えば、眼底の正常/異常部位に関する二次元分布データを示す。
制御部70は、解析マップを作成した後、モニタ75上に解析マップを表示する。例えば、制御部70は、図4に示すように、異常部位を示すグラフィック(ハッチングR参照)を表示する。例えば、ハッチングRについて、特定の色にて表示される(例えば、赤色)。また、制御部70は、異常部位をマーカーで囲むようにしてもよい。もちろん、制御部70は、異常部位に関して、識別可能なグラフィックで表示してもよい。なお、制御部70は、前述のように検出される眼底の層情報に基づいて,層厚に関する二次元分布を示す層厚マップ(例えば、眼底の層の厚みマップ又は正常眼データとの差分マップ)を解析マップとして作成してもよい。
なお、断層像に対する解析結果には、例えば、断層像に基づく計測情報、その計測情報に基づく判定結果、断層像に基づく疾患情報、眼底上における異常部位の位置情報、などが含まれる。
なお、上記解析において、緑内障の進行度を判定する場合、網膜神経線維層、神経節細胞層の厚みが計測され、計測結果が正常眼データベースと比較されることにより、異常部位が特定されるのが好ましい。この場合、網膜神経線維層〜神経節細胞層〜内膜状層までの厚みが計測され、解析されるようにしてもよい。
計測情報としては、例えば、層厚、形状、ある部位のサイズ情報、層厚が正常値から外れた領域の面積や体積や幅等が含まれる。判定結果としては、例えば、断層像の計測結果と正常眼データベースとの比較結果(例えば、眼底断層像の層厚情報と正常眼データベースとの比較結果)、比較結果に基づくマップ画像が含まれる。疾患情報としては、被検者の疾患名、ある疾患の進行度などが含まれる。
なお、解析結果を得る場合、上記のように画像処理による解析の他、断層像に基づいて検者が異常部位を特定することによって得られた結果であってもよい。
<動作説明>
上記のような構成を備える装置において、図5に示すフローチャートを用いて、その動作について説明する。制御部70は、正面観察光学系200によって、被検眼の正面観察像を動画像としてライブで取得し、正面観察像のライブ動画像と、三次元断層像から抽出された断層像の静止画とをモニタ75に同時に表示する(図6参照)。
制御部70は、OCT光学系100及び正面観察光学系200を駆動制御して、三次元断層像及び眼底正面像(SLO画像)の各画像を1フレーム毎に取得していく。そして、モニタ75を表示制御して三次元断層像及び眼底正面像を随時更新する。
<解析処理>
ここで、検者により、図無き撮影スイッチが操作されると、解析開始信号が入力されると、制御部70は、三次元断層像に対する解析処理を開始する。制御部70は、開始信号の出力後に得られた三次元断層像を画像処理により解析することにより、異常部位の特定、計測情報の取得を行う。例えば、制御部70は、上記のような判定基準を用いて三次元断層像を画像処理により判定する。そして、制御部70は、判定結果に基づいて眼底Ef上における異常部位を特定する。
なお、本実施例においては、図無き撮影スイッチが操作によって、解析開始信号が入力され、断層像に対する解析処理を開始する構成としたが、これに限定されない。例えば、制御部70は、検出器120から出力される干渉信号において眼底Efに対応する干渉信号が取得されたことをトリガとして被検眼の断層像に対する解析処理を自動的に開始するようにしてもよい。これにより、断層像に対する解析処理がよりスムーズに開始される。
例えば、光路長差が調整され、眼底の層に対応する干渉信号が取得されたとき、制御部70は、取得された断層像に対する解析処理を開始する。眼底の層に対応する干渉信号の有無は、例えば、干渉信号の強度分布に基づいて判定される。なお、乳頭や中心窩に対応する画像が検出された際に、解析開始信号が入力される構成でもよい。この場合、取得される断層像から乳頭、中心窩の有無が判定される。
<解析マップの取得、重畳表示>
次いで、制御部70は、解析結果に基づいて解析マップを取得し、メモリ72に記憶させる。そして、随時更新される眼底正面像の動画像上に解析マップを表示させる(図6参照)。
例えば、制御部70は、眼底正面像Fに対し、解析マップMを画像処理により重畳させ、解析マップMと眼底正面像Fとを関連付ける。そして、制御部70は、解析マップMと眼底正面像Fとの重畳画像SIをモニタ75に表示する。このとき、制御部70は、眼底正面像Fと解析マップMとを分離した状態で表示してもよい。
<OCT正面像を用いた重畳表示>
なお、制御部70は、解析に用いた三次元断層像からOCT正面像を生成し、生成されたOCT正面像と解析マップとを関連付けさせることによって、pixel-to-pixelの関係で両データを対応付けできる。
そして、制御部70は、例えば、生成されたOCT正面像と、観察光学系200によって動画像としてライブで取得される眼底正面像とをマッチングさせ、解析マップと眼底正面像との相対位置を調整する。
ここで、制御部70は、解析マップと関連付けされたOCT眼底像を基準画像として設定し、随時取得される眼底正面像との相対位置を検出する。そして、制御部70は、その検出結果に基づいて、眼の移動があっても眼底部位と解析マップとの対応関係が一致するように、解析マップの表示位置を補正する。
例えば、制御部70は、画像処理により、検出された眼の位置ずれ量に基づいて解析マップを移動させ、位置ずれ量分表示位置を補正することにより、正面像の観察中に眼が動いても、眼底正面像上に一定の解析マップを観察できる。
なお、解析マップと眼底観察像を同時に表示する場合、重畳表示に限定されない。例えば、並列表示であってもよいし、同一画面上で表示されてもよいし、別のモニタで表示されてもよい。 また、制御部70は、予め取得された正面静止画像(例えば、眼底カメラによって取得されたカラー静止画像)をモニタ75に表示し、解析マップと正面静止画像とを重畳させるようにしてもよい。また、制御部70は、予め取得された広範囲の正面静止画像(例えば、眼底カメラによって取得されたパノラマ静止画像)を表示し、その正面静止画像上に3次元断層像の取得位置を示す表示(例えば、矩形状のライン)を行うようにしてもよい。なお、広範囲の正面静止画像は、ライブで表示される眼底観察像より撮影範囲が大きい。
<異常部位に対応する断層像の抽出、表示>
制御部70は、断層像に基づく眼底Efの解析結果を用いて異常部位に対応する断層像をモニタ75に表示させる。典型的には、制御部70は、重畳画像SIをモニタ75に表示させるとともに、異常部位と判定されている部位に対応する断層像を表示させる。
制御部70は、前述のようにして特定された異常部位に関する位置情報に基づいて、異常部位の断面に相当する画像を三次元断層像より抽出する。そして、重畳画像SIとともに、解析マップ上での異常部位に対応する断層像Tg1、Tg2を形成し、モニタ75に同時に表示する(図6参照)。断層像の表示については、例えば、サムネイル表示等が考えられる。
なお、本実施例においては、重畳画像SIとともに、解析マップ上での異常部位に対応する断層像を同じモニタの同一画面上に表示する構成としているが、これに限定されるものではない。例えば、各画像用にモニタを複数設ける構成としてもよい。
解析に用いた三次元断層像に基づいて断層像を抽出した後、制御部70は、随時更新される三次元断層像毎に、異常部位に対応する断層像を抽出し、断層像の表示を更新する。これにより、異常部位に対応する断層像が動画像として表示される。
例えば、制御部70は、1つの異常部位に対して1つのライン(例えば、図6の異常部位の領域(図6の正面像F上の丸1参照)に対してL1、領域(図6の正面像F上の丸2参照)に対してL2)に対応する断層像を表示する。制御部70は、1つの異常部位の領域内で、正常眼との差がもっとも大きい部分の断層像を抽出する。
なお、制御部70は、経時的に取得される三次元断層像を経時的に解析するようにしてもよい。そして、制御部70は、例えば、経時的に取得される解析結果に基づいて、マップ表示、マップと正面像の重畳表示、異常部位に対応する断層像の表示、の少なくともいずれかを更新するようにしてもよい。この場合、必ずしもフレームレートに合わせて解析・更新する必要はなく、制御部70は、解析に要する時間に合わせて更新処理を行えばよい。これにより、異常部位の変化が捉えられる。また、制御部70は、予め設定された時間間隔で解析及び更新処理を行ってもよい。
なお、制御部70は、眼底上における三次元断層像の撮像位置が変更された場合、変更された後に取得された三次元断層像を解析するようにしてもよい。撮像位置の変更は、光スキャナ108、固視標投影ユニット300によって実施される。
そして、制御部70は、新たな位置にて取得された三次元断層像に基づいて異常部位の特定、解析マップの作成の少なくともいずれかを行い、マップ表示、マップと正面像の重畳表示、異常部位に対応する断層像の表示などを更新する。このようにすれば、検者は、変更された撮像位置に対応する解析結果を確認できる。
なお、上記のように解析マップを更新する場合、変更される前の撮像位置と、変更された後の撮像位置とが一部重複する場合、制御部70は、変更前に取得された重複部分に対応する解析マップを正面像に重畳させるようにしてもよい。
なお、OCT光学系100が観察光学系200を兼ねる場合、制御部70は、光スキャナ108を制御して測定光を二次元に走査し、検出器120から出力される受光信号に基づいて断層像と正面像を動画像として得る。そして、取得された断層像と正面像をモニタ75に表示する。このとき、二次元走査に対応する三次元断層像が得られるため、制御部70は、異常部位に関する位置情報に基づいて異常部位に対応する断層像を抽出し、抽出された断層像をモニタ75に表示するようにしてもよい。
<計測情報の表示>
制御部70は、断層像の表示とともに、異常部位に関する計測情報(寸法、面積、体積等)画像処理により計測し、モニタ75の同一画面上に表示する。制御部70は、眼底正面像及び断層像において、異常部位と判定された領域の計測情報を表示する。
例えば、制御部70は、計測情報として、異常部位の面積と体積を眼底正面像に対応付けて表示する(重畳表示を含む)。また、制御部70は、計測情報として異常部位の幅を眼底断層像に対応付けて表示する(重畳表示を含む)。
計測情報として異常部位の面積を表示する場合、制御部70は、異常部位として特定の色にて表示された領域にあわせて、異常部位の面積を示す面積情報91を作成する。この面積について、例えば、特定の色が表示された部分における画素数を計測することにより、算出される。なお、制御部70は、面積情報91を解析マップから取得しても良いし、三次元断層像に対する解析結果から取得しても良い。
また、制御部70は、上記面積情報が作成された領域における体積を示す体積情報92を作成する。この体積について、例えば、面積を算出した領域に対応する深さ方向における情報が三次元断層像より取得され、面積と深さ方向の情報を用いて算出される。
そして、制御部70は、解析マップとともに、異常部位の面積情報91及び体積情報92を眼底正面像に重畳させ、モニタ75に表示させる。
また、異常部位に対応する断層像上において、制御部70は、面積情報91及び体積情報92に対応する領域の横断方向における幅を解析結果を用いて算出し、幅情報93として取得する。そして、制御部70は、幅情報93をモニタ75の断層像上に表示させる。
なお、断層像上には、計測情報(本実施例においては、幅情報)を表示するものとしたが、これに限るものではない。例えば、網膜神経線維層の層厚の検出によって、正常/異常部位の判定を行っていた場合、異常部位と判定された領域に対応する網膜神経線維層に対して特定の色づけを行い、色づけされた断層像を表示するようにしてもよい。
以上のような構成とすることにより、一旦保存したデータを改めて解析することなく、眼底像及び断層像の異常部位について観測が可能となるため、病変部の疾患についてスムーズな計測が可能となる。また、異常部位を特定できることにより、誤って異なる撮影領域を撮影することがなくなる。
従来、取得動作の操作と解析処理に要する操作は、別タイミングで行われていたので、検者は、取得動作の操作と解析処理に要する操作との切換が手間であった。これに対し、本発明では、断層像の取得動作と、取得された断層像に対する解析処理が同じタイミングで行われるため、断層像の取得と解析処理がスムーズに行われる。
また、検者は、その場で異常部位の確認をすることができるため、より正確な情報を得ることができ、次に行うべき検査等の選択が容易となる。
なお、本実施例においては、モニタ75に1つの異常部位に対して1つのスキャンラインに対応する断層像が表示される構成としたが、これに限定されない。例えば、複数のラインの断層像を表示してもよい。
なお、本実施例においては、1つの異常部位の領域に対して、1つのラインの断層像を抽出する際に、もっとも正常眼との差が大きいラインの断層像を抽出する構成としたがこれに限定されない。例えば、異常領域の内の中心を通るラインの断層像を抽出してもよいし。黄斑に最も近いラインの断層像を抽出してもかまわない。検者が表示するラインの設定を任意に選択できる構成としてもよい。
なお、本実施例においては、撮影スイッチの操作(入力)により、解析を開始する構成としたがこれに限定されない。例えば、制御部70は、装置で眼を映し始めた際(アライメント調整の段階)に、解析を行い、解析マップや計測情報をモニタ75に表示してもよい。また、制御部70は、眼底Efに対して光路長が調整され、眼底の断層像が取得された段階で解析を開始するようにしてもよい。
なお、本実施例において、随時、三次元断層像を取得するためのスキャンを行う構成としたがこれに限定されない。例えば、動画像として表示される正面観察像上において眼底に対する測定光の走査位置及び走査パターンを設定できる構成を設けてもよい。この場合、走査位置及び走査パターンは、三次元断層像の取得後において、検者又は自動制御によって設定される。例えば、三次元断層像に対する解析によって異常部位が検出された領域においては、サークルスキャンやマルチスキャン等の異なるスキャン方法での断層像を取得する。
なお、本実施例において、異常部位を特定する手法としては、計測結果が正常眼データベースの値に対して、差分の大きい部位を異常部位と特定してもよい。例えば、制御部は、正常眼データベースと最も差分の大きい部位を異常部位として特定し、その断層像をモニタに表示させる。これにより、眼底に異常があるか否かスムーズに観察できる。
なお、本実施例においては、眼底撮影装置において、本発明を適用しているがこれに限定されない。例えば、前眼部撮影装置等にも適用することが可能である。前眼部断層像を解析する場合、制御部は、例えば、取得された三次元断層像における前眼部組織の位置情報/輝度情報を算出する。そして、制御部は、その位置情報に基づいて、角膜表面/裏面曲率分布、角膜厚分布、水晶体前面/後面曲率分布、水晶体厚分布、前房深度分布、隅角の傾斜角度などを測定する。例えば、眼Eの隅角の傾斜角度が所定の許容範囲を超えているか否かにより異常部位が特定される。
なお、上記説明においては、解析処理によって特定された異常部位に対応する断層像を三次元断層像から抽出し、抽出された断層像を正面観察像と共にモニタ75に表示したが、これに限定されない。制御部70は、抽出された断層像を単独又は他の画像と共にモニタ75に表示してもよい。
例えば、制御部70は、抽出された断層像の静止画と、動画像として取得される断層像と、をモニタ75に同時に表示するようにしてもよい。また、異常部位に対応する断層像の抽出処理は、ライブでなくとも有用であり、例えば、異常部位の特定に有用である。
本実施形態に係る眼科撮影装置の構成について説明する概略構成図である。 観察光学系によって取得された眼底正面像の例を示す図である。 OCT光学系によって得られた断層像の例を示す図である。 断層像の解析結果を示す図である。 装置の動作の流れについて説明するフローチャートである。 重畳画像、異常部位に対応する断層像がモニタに表示された例を示す図である。
70 制御部
72 メモリ
75 モニタ
76 操作部
100 干渉光学系(OCT光学系)
108 光スキャナ
200 正面観察光学系
300 固視標投影ユニット

Claims (3)

  1. 測定光源から発せられた光を二次元的に走査する光スキャナと、測定光源から発せられた測定光と参照光との干渉状態を検出する検出器と、を有し、被検眼のOCT画像を得るための光コヒーレンストモグラフィーデバイスと、
    被検眼の正面観察像を動画像として取得する観察光学系と、
    前記光コヒーレンストモグラフィーデバイスによるOCT画像の取得とともに前記OCT画像に対する解析処理を開始する演算解析手段と、を備え、
    前記演算解析手段は、前記光コヒーレンストモグラフィーデバイスによってOCT画像が繰り返し取得されている状態において撮影スイッチからのトリガ信号を受け付け、前記トリガ信号の出力後に得られた前記OCT画像に対する解析処理を開始することを特徴とする眼科撮影装置。
  2. 請求項1の眼科撮影装置において、
    前記演算解析手段は、前記解析処理の結果に基づいて解析マップを取得し、前記解析マップをモニタに表示することを特徴とする眼科撮影装置。
  3. 測定光源から発せられた光を二次元的に走査する光スキャナと、測定光源から発せられた測定光と参照光との干渉状態を検出する検出器と、を有し、被検眼のOCT画像を得るための光コヒーレンストモグラフィーデバイスと、
    被検眼の正面観察像を動画像として取得する観察光学系と、
    前記光コヒーレンストモグラフィーデバイスによるOCT画像の取得とともに前記OCT画像に対する解析処理を開始する演算解析手段と、
    を備え
    前記演算解析手段は、記検出器から出力される干渉信号において被検眼の所望の撮影部位に対応する干渉信号が取得されたことをトリガとして、被検眼の前記OCT画像に対する解析処理を開始することを特徴とする眼科撮影装置。
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