本発明の典型的な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態においては、被検眼の奥行き方向(被検眼Eの軸方向)をZ方向(光軸L1方向)、奥行き方向に垂直(被検者の顔面と同一平面)な平面上の水平方向をX方向、鉛直方向をY方向として説明する。眼底の表面方向をXY方向として考えても良い。
<概要>
本装置(光コヒーレンストモグラフィ装置)1は、干渉光学系(OCT光学系)100と、眼底照明光学系(以下、照明光学系と省略する場合あり)10と、CPU(制御部)70と、モニタ75と、操作部76と、メモリ72と、を主に備える(図1参照)。各部はバス等を介して制御部70と電気的に接続されている。なお、以下の説明においては、光コヒーレンストモグラフィ装置1として、被検眼Eの眼底Efの断層画像を撮影する場合を例に挙げて説明する。もちろん、光コヒーレンストモグラフィ装置1は、被検眼の種々の部位(例えば、前眼部等)の撮影に適用可能である。
なお、光コヒーレンストモグラフィ装置1は、OCT光学系100と、各部と、が一体となった装置を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、OCTデバイス1としては、OCT光学系100を備えていない構成であってもよい。この場合、OCTデバイスは、別途設けられたOCT光学系を備えた装置等と接続され、別の装置にいって取得されたOCT信号又はOCT画像データを受信し、受信した情報に基づいて、各種演算処理を行う。
例えば、制御部70は、メモリ72に記憶されている演算プログラム及び各種制御プログラム等に基づいて各部の動作を制御する(詳細は後述する)。なお、制御部70、操作部76、メモリ72、モニタ75として、市販のPC(パーソナルコンピュータ)が持つ演算処理部、入力部、記憶部、表示部を用い、市販のPCに各種プログラムをインストールするようにしてもよい。例えば、制御部70は、取得手段、演算処理手段、解析処理手段、画像処理手段、等を兼ねてもよい。また、制御部70は、測定光を走査するための走査手段を制御する制御手段(走査制御手段)を兼ねてもよい。もちろん、別途、取得手段、演算処理手段、解析処理手段、画像処理手段、走査制御手段等の構成が設けられてもよい。
例えば、OCT光学系100は、眼底Efに測定光を照射する。OCT光学系100は、眼底Efから反射された測定光と,参照光との干渉状態を受光素子(検出器120)によって検出する。OCT光学系100は、眼底Ef上の撮像位置を変更するため、眼底Ef上における測定光の照射位置を変更する照射位置変更ユニット(例えば、光スキャナ108、固視標投影ユニット300)を備える。制御部70は、設定された撮像位置情報に基づいて照射位置変更ユニットの動作を制御し、検出器120からの受光信号に基づいて断層画像データを取得する。なお、断層画像データは、画像データであってもよいし、信号データであってもよい。
例えば、断層画像データとしては、Bスキャン断層画像データ、三次元断層画像データ(三次元OCT画像データ)等が挙げられる。例えば、Bスキャン断層画像データは、測定光を走査ライン(横断位置)に沿ってXY方向のいずれかの方向(例えば、X方向)に測定光を走査させることによって取得される断層画像データである。また、例えば、三次元OCT画像データは、測定光を二次元的に走査することによって取得される断層画像データである。なお、例えば、三次元OCT画像データから、OCT正面(Enface)画像(例えば、深さ方向に関して積算された積算画像、XY各位置でのスペクトルデータの積算値、ある一定の深さ方向におけるXY各位置での輝度データ、網膜表層画像、等)が取得されてもよい。
例えば、OCT光学系100は、正面観察光学系200を含む。もちろん、別途、正面観察光学系200が、設けられた構成であってもよい。この場合、例えば、正面観察光学系200を含む装置は、光コヒーレンストモグラフィ装置1又はOCT光学系100等と接続され、別途、設けられた正面観察光学系200を含む装置によって取得された正面画像データを受信し、受信した情報に基づいて、各種演算処理を行う。
例えば、正面観察光学系200は、被検眼の正面画像データを取得する。なお、正面画像データは、画像データであってもよいし、信号データであってもよい。例えば、正面観察光学系200は、眼底Efの正面画像を得るために設けられている。例えば、正面観察光学系200としては、眼科用走査型レーザー検眼鏡(SLO)、眼底カメラタイプの構成が挙げられる。また、例えば、OCT光学系100は、正面観察光学系200を兼用してもよい。すなわち、正面画像データ(以下、正面画像と記載)は、二次元的に得られた断層画像(OCT正面画像)を形成するデータを用いて取得されるようにしてもよい。
例えば、制御部70は、被検物(例えば、被検眼)上の同一位置に関して時間的に異なる複数のOCT信号を取得する。制御部70は、取得した複数のOCT信号を処理して被検物におけるモーションコントラストデータを取得する。
例えば、モーションコントラストデータとは、被検物の動き、時間的な変化等の検出情報である。例えば、フロー画像等もモーションコントラストの一種とする。なお、フロー画像は、例えば、流体等の動き等を検出し、画像化したものである。例えば、血液の動きを検出して得られた血管位置を造影した血管造影画像データ等は、モーションコントラストデータの一種と言える。
例えば、モーションコントラストデータとしては、機能OCT信号、機能OCT画像データ、三次元機能OCT画像データ(三次元モーションコントラストデータ)等が挙げられる。すなわち、なお、モーションコントラストデータは、画像データであってもよいし、信号データであってもよい。例えば、機能OCT信号は、いわゆるAスキャンデータである。また、例えば、機能OCT画像データは、測定光の各走査位置における機能OCT信号を並べることによって、取得される。また、例えば、三次元機能OCT画像データは、測定光をXY方向に二次元的に走査することによって取得される。なお、三次元機能OCT画像データから、OCT機能正面(Enface)画像データ(例えば、深さ方向に関して積算された積算画像、XY各位置でのスペクトルデータの積算値、ある一定の深さ方向におけるXY各位置での輝度データ等)等が取得されてもよい。
例えば、制御部70は、被検物上の同一位置において、測定光を少なくとも2回走査して、同一位置における時間の異なるOCT信号を取得する。同一位置における時間の異なるOCT信号は、同一位置における信号を取得することが好ましい。なお、時間の異なる複数のOCT信号は、完全に一致した位置で測定光を走査しなくともよい。例えば、互いに隣接した走査位置であってもよい。このように、同一位置とは、互いに隣接した走査位置も含む。
<演算処理動作>
例えば、制御部70は、被検物上における第1位置にて複数のOCT信号を取得した後、第1位置とは異なる第2位置にて複数のOCT信号を取得する。制御部70は、第1位置又は第2位置の少なくとも一方での複数のOCT信号の取得中において、第1位置において取得された複数のOCT信号を処理し、第1位置におけるモーションコントラストデータを取得する。このような構成とすることによって、複数のOCT信号を取得している間に、OCT信号の処理が実施できるところから、OCT信号の処理を完了することができ、モーションコントラストデータを迅速に取得することができる。
例えば、モーションコントラストデータを取得するための演算処理方法としては、複素OCT信号の位相差(PD: Phase Difference)を用いる手法、複素OCT信号のベクトル差分(VD: Vector Difference)を用いる手法、スペックルバリアンス(SV: Speckle Variance)を用いる方法等が挙げられる。また、例えば、演算処理方法としては、これらの手法の組み合わせによって、取得されるようにしてもよい。
例えば、制御部70は、第1位置で少なくとも2つ以上のOCT信号が取得された場合に、第1位置で、OCT信号を継続して取得している場合であっても、第1位置で取得されたOCT信号間での処理を開始してもよい。また、例えば、制御部70は、第2位置での複数のOCT信号の取得を開始すると、第1位置での複数のOCT信号の処理を開始してもよい。また、例えば、第1位置での複数のOCT信号の処理を開始は、第1位置とは異なる他の位置(例えば、第3位置等)でのOCT信号の取得を開始したタイミングであってもよい。なお、第1位置での複数のOCT信号の処理を開始は、他の位置(例えば、第2位置、第3位置等)での複数のOCT信号の取得を開始する構成としたが、OCT信号の取得の開始とは、厳密にOCT信号の取得を開始したタイミングでなくもよい。第1位置での複数のOCT信号の処理を開始は、他の位置でのOCT信号の取得中のタイミングであれば、いずれのタイミングであってもよい。
例えば、第1位置及び第2位置は、1つの位置(Aスキャンライン)、横断位置等が挙げられる。例えば、第1位置が第1横断位置であって、第2位置が第2横断位置である場合、制御部70は、第1横断位置又は第2横断位置の少なくとも一方の位置での複数のOCT信号の取得中において、第1横断位置において検出された複数のOCT信号を処理し、第1横断位置におけるモーションコントラストデータを取得する。このように、横断位置の単位で複数のOCT信号を取得した場合に、OCT信号の処理を行うことで、横断方向と深さ方向のずれを考慮して処理を行うことができ、より良好なモーションコントラストデータを取得することができる。
例えば、制御部70は、各位置において、モーションコントラストデータが取得されるとともに、モーションコントラストデータをモニタ75に表示するようにしてもよい。このような構成とすることによって、設定されたすべての撮影位置でのOCT信号の取得を完了する前に、OCT信号の取得が完了した位置においてモーションコントラストデータが精度よく取得されたかどうかを確認することができる。このため、撮影を完了した後に、改めて再撮影を行う機会を少なくすることができる。
<三次元機能OCT画像データとの対応付け処理>
例えば、制御部70は、三次元機能OCT画像データと、他の正面画像データとの位置合わせを行う。例えば、三次元機能OCT画像データは、被検物上の複数の位置において取得された複数のOCT信号を処理することによって取得されており、制御部70は、被検物上の複数の位置において取得された複数のOCT信号において、複数の位置のそれぞれの位置で少なくとも1つ以上のOCT信号を処理して、被検物の基準正面画像データを取得する。制御部70は、他の正面画像データと、基準正面画像データと、のマッチング処理を行うことによって、他の正面画像データと三次元機能OCT画像データとを対応付ける。このように、共通のOCT信号から、三次元機能OCT画像データと、位置合わせ用の正面画像データ(基準正面画像データ)と、を取得することができるため、三次元機能OCT画像データと、対応付けを行う他の正面画像データとで、画像データの種類(例えば、輝度分布、コントラスト、解像度、被検物の形態等)が異なっていても容易に精度よく対応付けを行うことができる。また、血管造影画像としての用途をも三次元機能OCT画像データと、他の眼底画像データと、を対応づけることで、双方の関係を容易に確認することができるような、診断に有用な情報を取得することができる。
例えば、三次元機能OCT画像データとしては、三次元機能OCT画像データの他に、三次元機能OCT画像データから取得される、OCT機能正面画像データを用いてもよい。
例えば、他の正面画像データとしては、正面観察光学系(例えば、SLO、眼底カメラタイプの構成等)200によって、取得される正面画像データが用いる構成が挙げられる。もちろん、別途、別の装置によって取得された正面画像データが用いられてもよい。
例えば、基準正面画像データは、被検物上の複数の位置において取得された複数のOCT信号の内の少なくとも1つのOCT信号に基づいて取得されたOCT正面画像データが挙げられる。また、例えば、基準正面画像データとしては、三次元機能OCT画像データより取得されるOCT機能正面画像データが用いられてもよい。
例えば、制御部70は、正面画像データと三次元機能OCT画像データとを対応付けることによって、正面画像データ上に、三次元機能OCT画像データを示す表示を重畳する。このように、正面画像データと三次元機能OCT画像データを示す表示を重畳することによって対応付けることで、双方の関係をより容易に確認することができ、診断に有用な情報となります。例えば、三次元機能OCT画像データとして、OCT機能正面画像データを用いる場合、制御部70は、三次元機能OCT画像データに基づいて、被検物の所定の深さ領域における正面画像データであるOCT機能正面画像データを取得する。制御部70は、正面画像データと三次元機能OCT画像データとを対応付けることによって、正面画像データ上にOCT機能正面画像データを示す表示を重畳する。もちろん、正面画像データ、三次元機能OCT画像データ、OCT機能正面画像データが重畳表示されてもよい。
<解析情報取得処理>
例えば、制御部70は、モーションコントラストデータより、血管に関する解析情報を取得するようにしてもよい。例えば、制御部70は、被検眼のモーションコントラストデータを処理し、血管の位置情報を取得し、位置情報に基づいて、血管に関する解析情報を取得する。このように、血管に関する解析情報を取得することで、網膜疾患の早期検出等につながる。また、容易な構成で、血管の活動状態を確認することができ、薬物やレーザ治療等の効果を確認することができる。
例えば、解析情報として、制御部70は、モーションコントラストデータを処理して、血管が存在しているか否かを判定し、判定結果に基づいた解析情報を取得する構成が挙げられる。このような構成とすることによって、血管の有無によって判断できる病変等を早期に発見しやすくなる。また、例えば、解析情報として、制御部70は、血管部位に関する寸法(長さ情報)、面積、体積(実際に算出した体積、体積比等)の少なくともいずれかを画像処理により計測し、計測結果に基づく血管解析パラメータ(解析パラメータ)を取得する構成が挙げられる。
例えば、モーションコントラストデータを処理して、血管が存在しているか否かを判定する場合、制御部70は、モーションコントラストデータの深さ方向の領域において血管が存在するか否かを判定し、判定結果に基づいた解析情報を取得する。このような構成とすることによって、被検眼の各位置において、深さ方向における血管が存在していないことがわかるため、病変等を早期に発見しやすくなる。例えば、モーションコントラストデータの深さ方向の領域とは、深さ方向の全領域とする構成が挙げられる。また、例えば、モーションコントラストデータの深さ方向の領域とは、モーションコントラストデータの深さ方向の一部の領域とする構成が挙げられる。このような、一部の領域での判定を行う構成は、所定の深さでの血管状態を確認することを可能にし、より詳細な血管の解析情報が検者に提供することができる。
<実施例>
以下、典型的な実施例の1つについて、図面を参照して説明する。図1は本実施例に係る光コヒーレンストモグラフィ装置の構成について説明するブロック図である。図2は、OCT光学系について説明する概略図である。
光コヒーレンストモグラフィ装置(以下、OCTデバイスと記載)1は、OCT光学系(干渉光学系)100によって取得された検出信号を処理する。本実施例において、OCTデバイス1は、OCT光学系100によって撮影された眼底画像を表示手段(例えば、モニタ)75上で観察する。例えば、OCTデバイス1は、OCT光学系と、CPU(制御部)70と、マウス(操作部)76と、メモリ(記憶部)72と、モニタ75と、から構成され、各部はバス等を介してCPU70と電気的に接続されている。なお、以下の説明においては、OCTデバイス1として、被検眼Eの眼底Efの断層画像を撮影する場合を例に挙げて説明する。
制御部70は、メモリ72に記憶されている演算プログラム及び各種制御プログラム等に基づいて各部の動作を制御する(詳細は後述する)。なお、制御部70、操作部76、メモリ72、モニタ75として、市販のPC(パーソナルコンピュータ)が持つ演算処理部、入力部、記憶部、表示部を用い、市販のPCに各種プログラムをインストールするようにしてもよい。
なお、本実施例においては、OCTデバイス1として、OCT光学系100と、各部と、が一体となった装置を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、OCTデバイス1としては、OCT光学系100を備えていない構成であってもよい。この場合、OCTデバイスは、別途設けられたOCT光学系等と接続され、OCT信号又はOCT画像データを受信し、受信した情報に基づいて、各種演算処理を行う。
例えば、本実施例において、OCT光学系100は、正面観察光学系200を含む。もちろん、OCT光学系と、正面観察光学系200が一体となった構成でなくてもよい。OCT光学系100は、眼底Efに測定光を照射する。OCT光学系100は、眼底Efから反射された測定光と,参照光との干渉状態を受光素子(検出器120)によって検出する。OCT光学系100は、眼底Ef上の撮像位置を変更するため、眼底Ef上における測定光の照射位置を変更する照射位置変更ユニット(例えば、光スキャナ108、固視標投影ユニット300)を備える。制御部70は、設定された撮像位置情報に基づいて照射位置変更ユニットの動作を制御し、検出器120からの受光信号に基づいて断層画像を取得する。
<OCT光学系>
OCT光学系100について説明する。OCT光学系100は、いわゆる眼科用光断層干渉計(OCT:Optical coherence tomography)の装置構成を持ち、被検眼Eの断層画像を撮像する。OCT光学系100は、測定光源102から出射された光をカップラー(光分割器)104によって測定光(試料光)と参照光に分割する。そして、OCT光学系100は、測定光学系106によって測定光を眼Eの眼底Efに導き,また、参照光を参照光学系110に導く。その後、眼底Efによって反射された測定光と,参照光との合成による干渉光を検出器120に受光させる。
検出器120は、測定光と参照光との干渉信号を検出する。フーリエドメインOCTの場合では、干渉光のスペクトル強度(スペクトル干渉信号)が検出器120によって検出され、スペクトル強度データに対するフーリエ変換によって複素OCT信号が取得される。
例えば、フーリエドメインOCTにおいて、スペクトル強度データに対するフーリエ変換によって取得された複素OCT信号における振幅の絶対値を算出することによって、所定範囲における深さプロファイル(Aスキャン信号)が取得される。光スキャナ108によって走査された測定光の各走査位置における深さプロファイルを並べることによって、OCT画像データ(断層画像データ)が取得される。さらに、測定光を二次元的に走査することによって、三次元OCT画像データ(三次元断層画像データ)を取得してもよい。また、三次元OCT画像データから、OCT正面(Enface)画像(例えば、深さ方向に関して積算された積算画像、XY各位置でのスペクトルデータの積算値、ある一定の深さ方向におけるXY各位置での輝度データ、網膜表層画像、等)が取得されてもよい。
また、時間の異なる同じ位置における少なくとも2つ以上のOCT信号からモーションコントラストデータが取得される。すなわち、少なくとも2つ以上の複素OCT信号が、解析処理されることで、モーションコントラストデータが取得される。例えば、複素OCT信号から機能OCT信号が取得される。光スキャナ108によって走査された測定光の各走査位置における機能OCT信号を並べることによって、機能OCT画像データが取得される。さらに、測定光をXY方向に二次元的に走査することによって、三次元機能OCT画像データ(三次元モーションコントラストデータ)を取得される。また、三次元機能OCT画像データから、OCT機能正面(Enface)画像(例えば、ドップラー正面(Enface)画像、信号画像データスペックルバリアンス正面画像)が取得される。なお、各画像データは、画像データであってもよいし、信号データであってもよい。なお、モーションコントラストデータの詳細については後述する。
例えば、フーリエドメインOCTとしては、Spectral-domain OCT(SD−OCT)、Swept-source OCT(SS−OCT)が挙げられる。また、例えば、Time-domain OCT(TD−OCT)であってもよい。SD−OCTの場合、光源102として低コヒーレント光源(広帯域光源)が用いられ、検出器120には、干渉光を各周波数成分(各波長成分)に分光する分光光学系(スペクトルメータ)が設けられる。スペクトロメータは、例えば、回折格子とラインセンサからなる。SS−OCTの場合、光源102として出射波長を時間的に高速で変化させる波長走査型光源(波長可変光源)が用いられ、検出器120として、例えば、単一の受光素子が設けられる。光源102は、例えば、光源、ファイバーリング共振器、及び波長選択フィルタによって構成される。そして、波長選択フィルタとして、例えば、回折格子とポリゴンミラーの組み合わせ、ファブリー・ペローエタロンを用いたものが挙げられる。
光源102から出射された光は、カップラー104によって測定光束と参照光束に分割される。そして、測定光束は、光ファイバーを通過した後、空気中へ出射される。その光束は、光スキャナ108、及び測定光学系106の他の光学部材を介して眼底Efに集光される。そして、眼底Efで反射された光は、同様の光路を経て光ファイバーに戻される。
光スキャナ108は、眼底上で二次元的に(XY方向)に測定光を走査させる。光スキャナ108は、瞳孔と略共役な位置に配置される。光スキャナ108は、例えば、2つのガルバノミラーであり、その反射角度が駆動機構50によって任意に調整される。
これにより、光源102から出射された光束はその反射(進行)方向が変化され、眼底上で任意の位置に走査される。これにより、眼底Ef上における撮像位置が変更される。光スキャナ108としては、光を偏向させる構成であればよい。例えば、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が用いられる。
参照光学系110は、眼底Efでの測定光の反射によって取得される反射光と合成される参照光を生成する。参照光学系110は、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであっても良い。参照光学系110は、例えば、反射光学系(例えば、参照ミラー)によって形成され、カップラー104からの光を反射光学系により反射することにより再度カップラー104に戻し、検出器120に導く。他の例としては、参照光学系110は、透過光学系(例えば、光ファイバー)によって形成され、カップラー104からの光を戻さず透過させることにより検出器120へと導く。
参照光学系110は、参照光路中の光学部材を移動させることにより、測定光と参照光との光路長差を変更する構成を有する。例えば、参照ミラーが光軸方向に移動される。光路長差を変更するための構成は、測定光学系106の測定光路中に配置されてもよい。
<正面観察光学系>
正面観察光学系200は、被検眼の正面画像データを取得する。なお、正面画像データは、画像データであってもよいし、信号データであってもよい。例えば、正面観察光学系200は、眼底Efの正面画像を得るために設けられている。正面観察光学系200は、例えば、光源から発せられた測定光(例えば、赤外光)を眼底上で二次元的に走査させる光スキャナと、眼底と略共役位置に配置された共焦点開口を介して眼底反射光を受光する第2の受光素子と、を備え、いわゆる眼科用走査型レーザー検眼鏡(SLO)の装置構成を持つ。
なお、正面観察光学系200の構成としては、いわゆる眼底カメラタイプの構成であってもよい。また、OCT光学系100は、正面観察光学系200を兼用してもよい。すなわち、正面画像データ(以下、正面画像と記載)は、二次元的に得られた断層画像(OCT正面画像)を形成するデータを用いて取得されるようにしてもよい。
なお、正面観察光学系200がOCTデバイス等と一体となった構成でなくてもよい。この場合、例えば、別途設けられた正面観察光学系200によって取得された正面画像データが、OCTデバイス等によって受信される。
<固視標投影ユニット>
固視標投影ユニット300は、眼Eの視線方向を誘導するための光学系を有する。固視標投影ユニット300は、眼Eに呈示する固視標を有し、複数の方向に眼Eを誘導できる。
例えば、固視標投影ユニット300は、可視光を発する可視光源を有し、視標の呈示位置を二次元的に変更させる。これにより、視線方向が変更され、結果的に撮像部位が変更される。例えば、撮影光軸と同方向から固視標が呈示されると、眼底の中心部が撮像部位として設定される。また、撮影光軸に対して固視標が上方に呈示されると、眼底の上部が撮像部位として設定される。すなわち、撮影光軸に対する視標の位置に応じて撮影部位が変更される。
固視標投影ユニット300としては、例えば、マトリクス状に配列されたLEDの点灯位置により固視位置を調整する構成、光源からの光を光スキャナによって走査させ、光源の点灯制御により固視位置を調整する構成、等、種々の構成が考えられる。また、固視標投影ユニット300は、内部固視灯タイプであってもよいし、外部固視灯タイプであってもよい。
<制御部>
制御部70は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM等を備える。制御部70のCPUは、各構成100〜300の各部材など、装置全体の制御を司る。RAMは、各種情報を一時的に記憶する。制御部70のROMには、装置全体の動作を制御するための各種プログラム、初期値等が記憶されている。なお、制御部70は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
制御部70には、不揮発性メモリ(記憶手段)72、操作部(コントロール部)76、および表示部(モニタ)75等が電気的に接続されている。不揮発性メモリ(メモリ)72は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、OCTデバイス1、及び、OCT光学系100に着脱可能に装着されるUSBメモリ等を不揮発性メモリ72として使用することができる。メモリ72には、OCT光学系100による正面画像および断層画像の撮影を制御するための撮影制御プログラムが記憶されている。また、メモリ72には、OCTデバイス1を使用することを可能にする眼底解析プログラムが記憶されている。また、メモリ72には、走査ラインにおける断層画像データ(OCT画像データ)、三次元断層画像データ(三次元OCT画像データ)、正面画像データ(眼底正面画像データ)、断層画像データの撮影位置の情報等、撮影に関する各種情報が記憶される。操作部76には、検者による各種操作指示が入力される。
操作部76は、入力された操作指示に応じた信号を制御部70に出力する。操作部74には、例えば、マウス、ジョイスティック、キーボード、タッチパネル等の少なくともいずれかを用いればよい。
モニタ75は、装置本体に搭載されたディスプレイであってもよいし、本体に接続されたディスプレイであってもよい。パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)のディスプレイを用いてもよい。複数のディスプレイが併用されてもよい。また、モニタ75は、タッチパネルであってもよい。なお、モニタ75がタッチパネルである場合に、モニタ75が操作部として機能する。モニタ75には、OCT光学系100によって撮影された断層画像データおよび正面画像データを含む各種画像が表示される。
<信号処理方法>
本実施例におけるOCT信号からモーションコントラストデータを取得するための演算処理方法について説明する本実施例において、モーションコントラストデータを取得するために、制御部70は、同じ位置において、時間の異なる少なくとも2フレームの干渉信号(OCT信号)を取得する。
本実施例において、制御部70は、ドップラー位相差法に関する処理と、ベクトル差分法に関する処理と、を行うことによって、複数のOCT信号からモーションコントラストデータ(例えば、機能OCT画像データ)を取得する。複素OCT信号を処理する方法としては、例えば、複素OCT信号の位相差を算出する方法、複素OCT信号のベクトル差分を算出する方法、複素OCT信号の位相差及びベクトル差分を掛け合わせる方法などが考えられる。本実施例では、位相差とベクトル差分を掛け合わせる方法を例に説明する。
初めに、制御部70は、OCT光学系によって取得されたOCT信号をフーリエ変換する。制御部70は、フーリエ変換によって、複素OCT信号が得られる。複素OCT信号は、実数成分と虚数成分とを含む。
血流信号を得るには、時間が異なる同じ位置の画像を比較することが必要である。このため、制御部70は、画像情報を基に画像の位置合わせをすることが好ましい。イメージのレジストレーションは、同じ場面の複数のイメージを揃えて配置するプロセスである。イメージの位置がずれる原因として、例えば、撮影中の被検眼の動き(例えば、固視微動、調節微動、拍動等)等が考えられる。なお、フレーム間の位置合わせをしても、同じ画像内でAスキャンライン間に位相ずれが生じる場合がある。したがって、位相補正を行うことが好ましい。なお、レジストレーション及び位相補正の処理は、本実施例の処理を行いやすくするためのものであり、必須ではない。
次に、制御部70は、同じ位置の少なくとも2つ以上の異なる時間に取得された複素OCT信号に対して、位相差を算出する。制御部70は、S/N比(信号雑音比)が低い領域に存在するランダムな位相差を取り除く。
制御部70は、位相差の小さい部分を取り除く。これは、NFL(神経線維層)などの高反射部からの反射信号を取り除くためである。これによって、高反射部からの信号なのか、血管からの信号なのか、区別し易くなる。本実施例においては、位相差を算出したフレームが1つ取得される。なお、位相差を算出したフレームが複数ある場合には、制御部70は、上記の処理を施したフレームの信号を加算平均処理し、ノイズを除去するとよりよい。
次いで、制御部70は、複素OCT信号のベクトル差分を算出する。例えば、OCT光学系によって検出された複素OCT信号のベクトル差分を算出する。例えば、複素OCT信号は、複素平面上のベクトルとして表すことができる。そこで、異なる時間における同じ位置での2つの信号を検出し、ベクトル差分を算出することで、被検眼内の造影画像データを生成する。なお、ベクトル差分を画像化する場合、例えば、差分の大きさの他に、位相情報に基づいて画像化を行ってもよい。本実施例においては、ベクトル差分を算出したフレームが1つ取得される。なお、ベクトル差分を算出したフレームが複数ある場合には、制御部70は、上記の処理を施したフレームの信号を加算平均処理し、ノイズを除去するとよりよい。
制御部70は、ベクトル差分の算出結果に、位相差の算出結果をフィルタとして用いる。なお、本実施例の説明において、「フィルタを掛ける」とは、例えば、ある数値に重み付けを行うことである。例えば、制御部70は、ベクトル差分の算出結果に、位相差の算出結果を掛けることで重み付けを行う。つまり、位相差の小さい部分のベクトル差分は、弱められ、位相差の大きい部分のベクトル差分は、強められる。これによって、ベクトル差分の算出結果は、位相差の算出結果によって重み付けされる。
なお、本実施例の処理において、制御部70は、例えば、ベクトル差分の算出結果と、位相差の算出結果を掛け合わせる。これによって、制御部70は位相差の算出結果によって重み付けされた機能OCT画像データを生成する。
ベクトル差分の算出結果と、位相差の算出結果を掛け合わせることによって、それぞれの測定方法のデメリットを打ち消すことができ、上手く血管部の画像データを取得することができる。
制御部70は、各走査ライン毎に上記演算処理を行い、各走査ライン毎に機能OCT画像データを取得する。そして、これらの複数の位置で、機能OCT画像データを取得することによって、疑似的な血管造影画像として用いられる三次元機能OCT正面画像データを取得することができる。
なお、本実施例においては、制御部70は、モーションコントラストデータを取得するために、ベクトル差分の算出結果と位相差の算出結果とを掛け合わせる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、モーションコントラストデータは、ベクトル差分の算出結果を用いて取得されてもよい。また、例えば、モーションコントラストデータは、位相差の算出結果を用いて取得されてもよい。
なお、本実施例においては、制御部70は、2つのOCT信号を用いて、モーションコントラストデータを取得する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。モーションコントラストデータは、2つ以上のOCT信号によって取得される構成であってもよい。
<撮影動作>
以下、OCTデバイス1を用いた一連の撮影動作について説明する。なお、以下の説明については、三次元機能OCT画像データを取得する場合を例に挙げて説明する。もちろん、本発明に開示の技術は、モーションコントラストデータを取得する際に適用することができる。例えば、機能OCT信号を取得する場合や機能OCT画像データを取得する場合等に適用することができる。
初めに、検者は、固視標投影ユニット300の固視標を注視するように被検者に指示した後、図示無き前眼部観察用カメラで撮影される前眼部観察像をモニタ75で見ながら、被検眼の瞳孔中心に測定光軸がくるように、操作部76(例えば、図示無きジョイスティック)を用いて、アライメント操作を行う。
例えば、アライメント操作が完了すると、制御部70は、OCT光学系100を制御し、設定された領域に対応する三次元OCT画像データを取得すると共に、正面観察光学系200を制御し、眼底画像データ(眼底正面画像データ)を取得する。そして、制御部70は、OCT光学系100によって三次元OCT画像データ、正面観察光学系200によって眼底画像データを随時取得する。なお、三次元OCT画像データには、XY方向に関して二次元的にAスキャン信号を並べた画像データ、三次元グラフィック画像、などが含まれる。
検者は、正面観察光学系200の眼底正面像を用いて、走査位置を設定する。そして、操作部76から撮影開始の信号が出力されると、制御部70は、光スキャナ108の動作を制御し、撮像領域に対応する走査範囲において測定光をXY方向に二次元的に走査させることにより三次元機能OCT画像データの取得を開始する。なお、走査パターンとして、例えば、ラスタースキャン、複数のラインスキャンが考えられる。
以下、OCTデバイス1を用いた撮影動作について説明する。図3は、本実施例の撮影について説明するための模式図である。
例えば、撮影開始の信号が出力されると、制御部70は、三次元機能OCT画像データを取得するために、光スキャナ108の駆動を制御し、眼底上で測定光を走査させる。例えば、図3に示す第1の走査ライン(横断位置)S1に沿ってX方向に測定光を走査させる。このように、XY方向のいずれかの方向(例えば、X方向)に測定光を走査させることを「Bスキャン」と呼ぶ。以下、1フレームの干渉信号とは、1回のBスキャンによって得られたOCT信号として説明する。制御部70は、走査中に検出器120によって検出されたOCT信号を取得する。なお、図3において、Z軸の方向は、測定光の光軸の方向とする。X軸の方向は、Z軸に垂直かつ左右の方向とする。Y軸の方向は、Z軸に垂直かつ上下の方向とする。
1回目の走査が完了すると、制御部70は、1回目と同じ位置で2回目の走査を行う。例えば、制御部70は、図3に示す第1の走査ラインS1に沿って測定光を走査させた後、再び測定光を走査させる。制御部70は、2回目の走査中に検出器120によって検出されたOCT信号を取得する。これによって、制御部70は、同じ位置における時間の異なる2フレームのOCT信号を取得することができる。なお、本実施例においては、同じ位置において、2フレームのOCT信号を取得する構成を例に挙げているがこれに限定されない。同じ位置において、少なくとも2フレームのOCT信号が取得される構成であればよい。例えば、同じ位置での走査を8回繰り返し、時間の異なる連続する8フレームのOCT信号を取得するようにしてもよい。
なお、1回の走査で、時間の異なる同じ位置のOCT信号を取得することができる場合は、2回目の走査を行わなくてもよい。例えば、所定間隔だけ光軸のずれた2つの測定光を1度に走査させる場合、複数回走査する必要はなく、被検体内の同じ位置における時間の異なるOCT信号を取得することができればよい。すなわち、同じ位置とは、完全に同一な位置である必要はなく、実質的に同じ位置で走査されるものであってもよい。なお、2つの測定光を1度に走査させる場合、2つの測定光の間隔によって任意の血流速度を目標として検出できる。
第1の走査ラインS1における複数回の走査が終了したら、制御部70は、光スキャナ108を制御することによって、副走査位置(Y方向の位置)を変更し、第2の走査ラインS2において測定光を主走査方向(X方向)に複数回走査する。制御部70は、例えば、予め設定されたフレーム数のOCT信号(本実施例においては、2フレームのOCT信号)が得られるまで、第2の走査ラインS2での走査を行う。
同様に、制御部70は、最終の走査ラインSnまでのそれぞれの走査ラインにおいて測定光を複数回走査することによって、各走査ラインにおける複数のOCT信号を取得する。つまり、制御部70は、各走査ラインに対し、走査が複数回ずつ行われる。すなわち、制御部70は、図3に示すように、測定光をラスタースキャン(横断位置でスキャン)し、各走査ライン(S1〜Sn)において、時間の異なる少なくとも2フレーム以上のOCT信号を取得する。これによって、眼底の三次元的な情報を取得することができる。なお、制御部70は、OCT光学系100を制御してOCT信号を取得すると共に、正面観察光学系200を制御し、眼底画像データを取得してもよい。
ここで、各走査ラインにおいて、それぞれ取得された複数のOCT信号を演算処理して、各走査ラインにおける機能OCT画像データを取得する場合に、演算処理に時間がかかる。このため、各走査ラインにおいて、複数のOCT信号をそれぞれ取得した後に、各走査ラインにおける複数のOCT信号の演算処理を開始すると、各走査ラインにおける機能OCT画像データの取得に長時間がかかってしまう。
本実施例では、次の走査ラインでのOCT信号の取得に移行した場合に、その前までに取得されていた各走査ラインでのOCT信号の処理を行う。制御部70は、第1の位置又は第2位置の少なくとも一方の位置での複数のOCT信号の取得中において、第1位置において取得された複数のOCT信号を処理し、第1位置におけるモーションコントラストデータを取得する。
例えば、制御部70は、第1の走査ラインS1において、複数のOCT信号を取得した後、第1の走査ラインS1から第2の走査ラインS2に、OCT信号の取得位置を移動する。制御部70は、第2の走査ラインS2において、OCT信号の取得を開始すると、第1の走査ラインS1おいて、取得された複数のOCT信号の演算処理を開始する。すなわち、制御部70は、第2の走査ラインS2におけるOCT信号の取得を実施している間に、第1の走査ラインS1に対応する複数のOCT信号の演算処理を開始し、機能OCT画像データの取得を行う。制御部70は、各走査ライン毎に上記処理を行い、各走査ライン毎に複数のOCT信号取得しつつ、各走査ライン毎に機能OCT画像データを取得していく。そして、これらの複数の位置(走査ライン)で、機能OCT画像データを取得することによって、疑似的な血管造影画像(用途として血管造影画像として用いることができる画像)である三次元機能OCT正面画像データを取得することができる。
なお、本実施例において、制御部70は、第2の走査ラインS2において、OCT信号の取得を開始すると、第1の走査ラインS1おいて、取得された複数のOCT信号の演算処理を開始する場合を例に挙げて説明したがこれに限定されない。複数のOCT信号の演算を開始するタイミングは、演算処理を行うOCT信号とは異なる他の複数のOCT信号の取得を行っている間であればよい。
例えば、制御部70は、第1の走査ラインS1で少なくとも2以上のOCT信号を取得した場合に、逐次、第1走査ラインS1におけるOCT信号の演算処理を行うようにしてもよい。この場合、例えば、制御部70は、第1の走査ラインS1で2つのOCT信号が取得され、第1の走査ラインS1で3つ目のOCT信号の取得を開始した際に、第1の走査ラインS1において取得された1つ目のOCT信号と2つ目のOCT信号との演算処理を開始する。また、例えば、制御部70は、第2の走査ラインS2の次の位置での走査である第3の走査ラインにおいて、OCT信号の取得を開始した際に、第1走査ラインS1における複数のOCT信号の演算処理を開始するようにしてもよい。
以上のように、別の撮影位置のOCT信号を取得している間に、前の撮影位置でのOCT信号の演算処理を完了することができ、取得するために時間のかかるモーションコントラストデータを迅速に取得することができる。また、本実施例のように、各横断位置でのOCT信号の取得毎に、演算処理を行うことで、横断方向(X方向)と深さ方向(Z方向)のずれを考慮して演算を行うことができ、精度のよい機能OCT画像データを取得することができる。なお、本開示の技術は、三次元機能OCT画像データを取得する際には、より有用である。すなわち、三次元機能OCT画像データを取得する際には、複数の横断位置でのOCT信号を検出し、処理を行う必要があるため、三次元機能OCTを取得する際に、長時間がかかるため、本件開示の技術がより有用となる。
なお、本実施例においては、走査ライン(横断位置)において、モーションコントラストデータを取得する場合を例に挙げて説明したがこれに限定されない。制御部70は、第2位置での複数のOCT信号の取得中において、第1位置において取得された複数のOCT信号を処理し、第1位置におけるモーションコントラストデータを取得する構成であればよい。例えば、第1位置及び第2位置は、1つの位置(Aスキャンライン)であってもよい。
なお、本実施例において、モーションコントラストデータが取得される毎に、モニタ75に表示するようにしてもよい。例えば、制御部70は、第1の走査ラインS1での機能OCT画像データを取得するとともに、モニタ75上に機能OCT画像データを表示する。このような構成とすることによって、検者は、設定されたすべての撮影位置においてOCT信号の取得を完了する前に、OCT信号の取得が完了した撮影位置において、逐次、モーションコントラストデータを精度よく取得されたかどうかを確認することができる。このため、例えば、検者は、撮影の途中で、良好なモーションコントラストデータが取得されていない撮影位置においては、連続的に再撮影を行うことができ、撮影が完了した後に、改めて再撮影を行う手間を少なくすることができる。
なお、本実施例において、制御部70は、モーションコントラストデータの適否を判定し、判定結果に基づく判定情報を出力するようにしてもよい。例えば、制御部70は、取得されたモーションコントラストデータの信号強度(例えば、輝度値の大きさ)に基づいて、モーションコントラストデータの適否を判定してもよい。また、例えば、制御部70は、モーションコントラストデータを取得するために用いられた同一の走査ラインにおいて取得された複数のOCT信号から、それぞれのOCT信号に対応したOCT画像を取得し、取得したOCT画像間の相関値(類似度)に基づいて、モーションコントラストデータの適否を判定してもよい。例えば、判定情報を出力する構成としては、次の動作に移行するための信号を出力する構成が挙げられる。この場合、例えば、制御部70は、判定処理によって、モーションコントラストデータが適正に取得されなかったと判定された撮影位置が存在すると判定された場合に、モーションコントラストデータが適正に取得されなかったと判定された撮影位置において、再撮影を行う動作を行う構成が挙げられる。また、例えば、判定情報を出力する構成としては、モーションコントラストデータが適正に取得されなかった撮影位置が存在する内容を示すエラー情報を出力する(例えば、モニタ75等に表示する、印刷を行う)構成や、再撮影を促すガイド情報を出力する構成等が挙げられる。このような構成とすることによって、モーションコントラストデータの取得が良好にできなかった場合であっても、次の動作への移行をスムーズに行うことができる。また、検者は、容易にモーションコントラストデータの取得が良好にできなかったことを確認することができる。
なお、制御部70は、モーションコントラストデータ取得する毎に、更新を行い、動画のモーションコントラストデータをモニタ75上に表示してもよい。例えば、制御部70は、各位置において、モーションコントラストデータが取得されるとともに、逐次、モーションコントラストデータをモニタ75上に表示していく。例えば、三次元機能OCT画像データの更新を行う場合、制御部70は、設定された各走査ラインにおいて、モーションコントラストデータが取得される毎に、各走査ラインにおけるモーションコントラストデータを更新していく。もちろん、モーションコントラストデータに基づいて取得されるOCT機能正面画像データを更新していくようにしてもよい。この場合、例えば、制御部70は、三次元モーションコントラストデータが順に取得されるとともに、逐次、三次元モーションコントラストデータに基づいて、OCT機能正面画像データを取得し、各走査ライン(各横断位置)のOCT機能正面画像データを更新していく。これによって、検者は、モニタ75上において、動画(リアルタイム)の三次元機能OCT画像データ及びリアルタイムのOCT機能正面画像データを確認することができる。
なお、このような、リアルタイムに更新されるモーションコントラストデータ又はOCT機能正面画像データを確認して、撮影を行う位置を設定するようにしてもよい。例えば、制御部70は、モニタ75に表示されたリアルタイムの三次元機能OCT画像データ又はOCT機能正面画像データに上において、撮影を行う位置を設定可能とする。制御部70は、設定された取得位置での画像データが取得されるように、測定光を走査するための走査手段を制御する。この場合、例えば、リアルタイムの三次元機能OCT画像データ又はOCT機能正面画像データに上において、断層画像データの取得位置を設定可能とし、設定された取得位置での断層画像が取得されるように、測定光を走査するための走査手段を制御する構成が挙げられる。このような構成とすることによって、検者は、リアルタイムのモーションコントラストデータ又はOCT機能正面画像データを確認した状態で、容易に、より詳細に確認したい部位の画像データを取得することができる。もちろん、検者によって、断層画像データの取得位置が設定される構成ではなく、制御部70が、自動的に断層画像データの取得位置を設定するようにしてもよい。この場合、例えば、制御部70は、後述する血管の解析情報に基づいて、血管の存在が多い領域等の断層画像データを取得するように取得位置を設定する。なお、リアルタイムの三次元機能OCT画像データ又はOCT機能正面画像データに上において、断層画像データの取得位置を示す表示(例えば、ライン表示等)してもよい。
<三次元機能OCT正面画像データとの対応付け>
上記のようにして、被検眼の三次元機能OCT画像データが取得されると、制御部70は、三次元機能OCT画像データと他の眼底画像データとの対応付けを行う。例えば、制御部70は、マッチング処理を行うことで、三次元機能OCT画像データと、他の眼底画像データと、を対応付ける。以下、画像間の対応付けについて説明する。なお、本実施例においては、三次元機能OCT画像データの対応付けを行う他の眼底画像データとして、SLOによって取得された正面画像データ(以下、SLO正面画像データ)を例に挙げて説明する。もちろん、三次元機能OCT画像データと、対応付けを行う他の眼底画像データとしては、種々の眼底画像データを適用することができる。
図4は、三次元機能OCT画像データの対応付けについて説明する図である。以下、三次元機能OCT画像データとSLO正面画像データの位置関係を対応付けるための画像解析処理について図4を参考に説明する。
なお、以下の対応付けの説明においては、三次元機能OCT画像データに基づいて取得されるOCT機能正面画像データ24と、SLO正面画像データ22と、を対応付ける場合を例に挙げて説明する。本実施例において、制御部70は、三次元機能OCT画像データに基づいて、被検物の所定の深さ領域における正面画像データであるOCT機能正面画像データ24を取得する。例えば、OCT機能正面画像データ24を取得する場合、制御部70は、三次元機能OCT画像データを深さ方向に関して積算することによって、OCT機能正面画像データ24を取得する。もちろん、OCT機能正面画像データ24は、上記記載のように、XY各位置でのスペクトルデータの積算、ある一定の深さ方向におけるXY各位置での輝度データの抽出等によって、取得されてもよい。なお、例えば、所定の深さ領域におけるOCT機能正面画像データ24とは、三次元機能OCT画像データの深さ方向の全領域(例えば、各網膜層の全層間)、三次元機能OCT画像データの深さ方向の一部の領域(例えば、各網膜層の内の少なくとも1つの層、又は、各網膜層の内の複数の層間)等において、取得されるOCT機能正面画像データが挙げられる。
本実施例において、三次元機能OCT画像データを取得する際に用いた、同一位置に関して時間的に異なる複数のOCT信号Tに基づいて、マッチング処理を行う。例えば、制御部70は、被検眼上の複数の位置において取得された複数のOCT信号Tを処理し、複数の位置のそれぞれの位置で少なくとも1つのOCT信号を処理して、マッチング処理の基準画像として用いるための被検物の正面画像データ(基準正面画像データ)20を取得する。例えば、制御部70は、基準正面画像データ20としては、OCT正面画像データ(二次元的に得られた断層画像データ)が用いられる。
例えば、OCT正面画像データを取得する場合、制御部70は、三次元OCT画像データを深さ方向に関して積算することによって、OCT正面画像データを取得する。もちろん、OCT正面画像データは、上記記載のように、XY各位置でのスペクトルデータの積算値、ある一定の深さ方向におけるXY各位置での輝度データの抽出等によって取得されてもよい。
制御部70は、基準正面画像データ(以下、OCT正面画像データと記載)20と、SLO正面画像データ22とのマッチング処理を行い、SLO正面画像データ22と、三次元機能OCT画像データに基づくOCT機能正面画像データ24と、を対応づける。
例えば、制御部70は、マッチング処理として、OCT正面画像データ20と、SLO正面画像データ22と、の位置ずれ量を検出し、位置ずれ量に基づいて、OCT機能正面画像データ24とSLO正面画像データ22との位置関係を対応させる。
例えば、2つの画像間の位置ずれ量を検出する手法としては、種々の画像処理手法(各種相関関数を用いる方法、フーリエ変換を利用する方法、特徴点のマッチングに基づく方法)を用いることが可能である。
例えば、所定の基準画像データ(例えば、OCT正面画像データ20)又は対象画像データ(SLO正面画像データ22)を1画素ずつ位置ずれさせ、基準画像と対象画像を比較し、両データが最も一致したとき(相関が最も高くなるとき)の両データ間の位置ずれ量を検出する手法が考えられる。また、所定の基準画像及び対象画像から共通する特徴点を抽出し、抽出された特徴点の位置ずれを検出する手法が考えられる。
また、2つの画像データ間の位置ずれを求めるための関数として、位相限定相関関数を用いるようにしてもよい。この場合、まず、各画像データをフーリエ変換し、各周波数成分の位相と振幅を得る。なお、得られた振幅成分は、各周波数成分に関して大きさ1に正規化しておく。次に、2つの画像データ間で周波数毎の位相差を算出した後、これらに逆フーリエ変換をかける。
ここで、2つの画像データ間の位置ずれがなければ、余弦波のみの加算となり、原点位置(0,0)にピークが出現する。また、位置ずれがある場合、位置ずれに対応する位置にピークが出る。そこで、ピークの検出位置を求めることにより2つの画像データ間の位置ずれ量が得られる。この手法によれば、OCT正面画像データ20と、SLO正面画像データ22と、の位置ずれ量を高精度かつ短時間で検出できる。
本実施例において、制御部70は、OCT正面画像データ20と、SLO正面画像データ22と、から共通する特徴点を抽出し、抽出された特徴点の位置ずれ量を検出する手法を用いる。制御部70は、位置ずれ量を検出すると、位置ずれ量に基づいて、OCT機能正面画像データ24とSLO正面画像データ22との位置関係を対応させる。
ここで、OCT正面画像データ20と、OCT機能正面画像データ24は、同一のOCT信号Tに基づいて、取得されているため、pixel-to-pixelの関係で両データを対応付けできる。このため、OCT正面画像データ20と、OCT機能正面画像データ24との位置関係には、ほとんど位置ずれが生じていない。このため、改めて、OCT正面画像データ20と、OCT機能正面画像データ24との位置関係を対応付ける必要がないため、OCT正面画像データ20とSLO正面画像データ22間の位置ずれ量を、OCT機能正面画像データ24とSLO正面画像データ22との位置ずれ量として適用することができる。このため、各画像データ間で複数の対応付けを行う必要がなく、容易に精度よく、OCT機能正面画像データ24とSLO正面画像データ22の対応付けを行うことができる。
制御部70は、対応付けが完了すると、OCT機能正面画像データ24と、SLO正面画像データ20と、を重畳させて表示させる。なお、本実施例においては、OCT機能正面画像データ24と、SLO正面画像データ20と、を重畳させて表示させる構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、制御部70は、OCT機能正面画像データ24と、SLO正面画像データ20と、を並列表示させるようにしてもよい。この場合、例えば、SLO正面画像データ上において、OCT機能正面画像データを取得した位置が表示(電子的な表示マーク等によって表示)されるようにしてもよい。
以上のように、OCT信号から、マッチング処理に用いる基準正面画像データと、血管造影画像としての用途をもつ三次元機能OCT画像データと、を取得することができるため、三次元機能OCT画像データと、対応付けを行う他の眼底画像データとで、画像データの種類(例えば、輝度分布、コントラスト、解像度、被検物の形態等)が異なっていても、容易に精度よく対応付けを行うことができる。また、血管造影画像としての用途をもつ三次元機能OCT画像データと、他の眼底画像データと、を対応づけることで、双方の関係を容易に確認することができるような、診断に有用な情報を取得することができる。
なお、本実施例においては、SLO正面画像データ22と、OCT機能正面画像データ24を重畳表示する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。本開示の技術は、三次元機能OCT画像データより取得される情報であれば適用可能である。例えば、三次元機能OCT画像データと、SLO正面画像データ22を重畳表示させて表示させてもよい。また、例えば、三次元機能OCT画像データを解析した解析情報(詳細については後述する)と、SLO正面画像データ22を重畳表示させるようにしてもよい。
なお、本実施例においては、OCT信号Tより取得したOCT正面画像データ20を用いて、SLO正面画像データ22とマッチング処理を行う構成を例に挙げたがこれに限定されない。OCT信号Tから異なる種類の正面画像データを作成し、三次元機能OCT画像データと対応付けを行う正面画像データに応じて、マッチング処理に用いる基準正面画像データを選択するようにしてもよい。
例えば、制御部70は、被検眼上の複数の位置において取得された複数のOCT信号の内の少なくとも1つのOCT信号に基づいて取得されるOCT正面画像データ、又は、三次元機能OCT画像データに基づいて取得されるOCT機能正面画像データ、の少なくとも一方の画像データを基準正面画像データとして用いる。制御部70は、三次元機能OCT画像データと対応付けを行う正面画像データ(例えば、他の眼底画像データ)に応じて、OCT正面画像データ、又は、OCT機能正面画像データ、の少なくとも一方の画像データを、他の眼底画像データと、対応付けるための基準正面画像データとして選択する。制御部70は、OCT正面画像データ又はOCT機能正面画像データの少なくとも一方の画像データと、正面画像データとのマッチング処理を行う。これによって、三次元機能OCT画像データとの対応付けを行う。このように、三次元機能OCT画像データと対応付けを行う正面画像データに応じて、マッチング処理に用いる基準正面画像データを切り換えることによって、画像データとして類似する(例えば、輝度分布の類似、コントラストの類似、解像度の類似、被検物の形態の類似等)画像データ間での対応付けを行うことができるため、対応付けの精度がより向上させることができる。もちろん、検者によって、操作部76が操作され、基準正面画像データとして用いる画像を選択できる構成であってもよい。
なお、本実施例においては、三次元機能OCT画像データと他の眼底画像データとの対応付けを行う構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、本開示の技術は、モーションコントラストデータ(例えば、機能OCT画像データ等)と、他の眼底画像データとの対応付けにおいて、適用することができる。
なお、本実施例において、モーションコントラストデータを取得するために、取得された、時間の異なる同じ位置における少なくとも2つ以上のOCT信号を用いて、より良好な、OCT画像データや三次元OCT画像データを取得するようにしてもよい。例えば、同一部位において、少なくとも2つ以上のOCT信号が取得されているため、それらのOCT信号を複合処理(例えば、積算処理、加算処理等)する。例えば、加算処理を行う場合、制御部70は、被検眼上の複数の位置毎に取得された複数のOCT信号を、加算処理し、被検眼上の複数の位置において、加算処理画像データをそれぞれ取得する。
なお、本実施例において、他の眼底画像データとして、広範囲の正面画像データ(例えば、眼底カメラによって取得されたパノラマ画像データ等)とマッチング処理を行う際には、固視位置情報と走査位置情報との少なくともいずれかの情報に基づいて、マッチング処理を行うとよりよい。この場合、広範囲の領域の眼底画像データから、三次元機能OCT画像データに対応する領域を確認していくことになるため、固視位置情報と走査位置情報の少なくともいずれかの情報を用いて、確認を行う範囲をより絞り込むことができる。これによって、より広範囲の眼底画像に対しても三次元機能OCT画像データを示す表示を容易に精度よく重畳させることができる。
なお、本実施例において、制御部70は、血管造影画像としての用途をもつ三次元機能OCT画像データと、他の眼底画像データと、対応付けを行った後、断層画像データの取得位置を示す表示(例えば、ライン表示等)を他の眼底画像データ上に表示するようにしてもよい。このようにすることによって、種々の正面画像において、断層画像データの取得位置を確認することが可能となり、診断に有用な情報を取得することができる。
<解析情報の取得>
なお、本実施例において、取得したモーションコントラストデータを解析処理し、血管の位置情報を取得し、位置情報に基づいて、血管に関する解析情報を取得する。以下、モーションコントラストデータを解析処理し、血管に関する解析情報を取得する場合について説明する。例えば、制御部70は、取得したモーションコントラストデータの深さ方向の領域においてに血管が存在するか否かを判定し、判定結果に基づいた解析情報を取得する。例えば、血管の有無の判定を行う際の深さ方向における領域は、被検眼の網膜層全領域において、判定処理を行う。
以下、モーションコントラストデータとして、三次元機能OCT画像データの解析処理を行う場合を例に挙げて説明する。例えば、制御部70は、取得した三次元機能OCT画像データを解析処理し、血管の位置情報を取得する。制御部70は、取得した血管の位置情報に基づいて、血管に関する解析情報を取得する。
例えば、制御部70は、三次元機能OCT画像データの深さ方向の領域において血管が存在するか否かを判定し、判定結果に基づいた解析情報を取得する。なお、以下の説明において、三次元機能OCT画像データの内の1つの横断位置における画像データである、なお、三次元機能OCT画像データを解析処理する場合、例えば、三次元機能OCT画像データを構築している各機能OCT画像データの解析を順に行っていくことで、三次元機能OCT画像データの解析処理行う。
図5は、OCT光学系100によって取得された機能OCT画像データAと、その輝度分布Cの例を示す模式図である。制御部70は、三次元機能OCT画像データにおける各機能OCTデータAにおいて、血管Bの判定処理を行っていく。制御部70は、機能OCT画像データAを処理して、血管Bが存在しているか否かを二次元的に判定し、判定結果に基づいた解析情報を取得する。制御部70は、取得された機能OCT画像データAにおける眼底の血管Bを画像処理により検出すると共に、所定の判定条件(判定基準)を基に血管Bの存在の有無を判定する。そして、制御部70は、判定結果に基づいて機能OCT画像データAに対する解析情報を得る。
なお、機能OCT画像データを処理して判定処理を行う場合、制御部70は、機能OCT画像データを形成する各Aスキャンラインでの処理をして血管の有無を判定してもよいし、機能OCT画像データの全体を処理して血管の有無を判定してもよい。
<血管の有無の判定>
血管位置を検出し、血管Bの有無を判定する場合、例えば、機能OCT画像データAの深さ方向において、輝度レベルが検出され、網膜層に存在する血管Bが画像処理(例えば、エッジ検出)により抽出される。
機能OCT画像データAより血管Bの有無の判定する場合、例えば、制御部70は、各Aスキャン信号の深さ方向(Z方向)における(図5の走査線Z1上における)輝度分布Cを検出し、予め設定された閾値を超える輝度値が検出されたか否かに応じて、血管Bの有無を判定する。例えば、検出された輝度値が超えた位置において、血管が存在すると判定する。なお、例えば、閾値は、予め、血管に対応する輝度値を算出しておき、設定する構成が挙げられる。このような構成は、ノイズ等によって生じる輝度変化と、血管による輝度変化と、を識別することが容易となり、血管部分を精度よく抽出することができる。なお、血管位置を検出する方法としては、上記構成に限定されない。例えば、制御部70は、輝度値が検出された部分を血管が存在する部分として判定してもよい。
図5(a)は、走査線Z1上に血管Bが存在している状態の輝度分布Cと、図5(b)は血管Bが存在していない状態の輝度分布Cを示す例である。すなわち、血管Bが存在している場合、血管Bに対応する輝度値が見られるが、血管Bが存在していない場合、血管Bに対応する輝度値はない。以上のようにして、制御部70は、被検眼眼底における二次元的な血管Bの有無に関する判定を行うことにより、血管Bの有無に関する眼底の二次元的な情報を得る。
なお、三次元機能OCT画像データにおける解析情報を取得する場合、制御部70は、被検眼の複数の横断位置毎で取得されている機能OCT画像データをそれぞれ解析処理し、血管に関する解析情報を取得する。これによって、三次元機能OCT画像データにおける解析情報が取得される。すなわち、上記記載の血管の有無に関する判定処理において、制御部70は、眼底上の複数の異なる複数の位置に関して判定処理を行うことによって、三次元機能OCT画像データにおける解析情報が取得される。
<解析マップの作成>
図6は、判定結果に基づいて取得される解析マップ及び解析パラメータについて説明する図である。本実施例において、例えば、制御部70は、前述のように取得された判定結果に基づいて、血管が有と判定された血管領域Vと、血管が無と判定された無血管領域Nと、の分布状態(二次元分布)を示す解析マップを解析情報として取得する。また、例えば、制御部70は、上記記載のように取得された血管の判定結果に基づく、解析パラメータPを解析情報として取得する。例えば、解析マップ及び解析パラメータを取得する場合、解析マップ及び解析パラメータは、三次元機能OCT画像データの判定結果に基づいて取得される。
例えば、制御部70は、判定結果に基づいて、所定の眼底領域における血管領域Vと無血管領域Nの少なくともいずれかの存在量に基づく解析パラメータPを算出する。例えば、所定の撮影領域における血管領域Vと無血管領域Nの割合を解析パラメータPとして算出する。これにより、所定のエリアにおける血管の存在量が確認される。
なお、解析パラメータは、判定結果に基づいて、所定の眼底領域における血管領域の寸法情報(長さ情報)、面積情報、体積情報(実際に算出した体積、体積比等)の少なくともいずれかであってもよい。また、所定の眼底領域における無血管領域の寸法情報、面積情報、体積情報の少なくともいずれかに基づく解析パラメータであってもよい。例えば、面積情報として、実際に算出した面積を表示するようにしてもよい。なお、血管が存在した画素の数がパラメータとして算出されてもよい。また、体積情報は、面積を算出した領域に対応する深さ方向における情報(例えば、血管の厚み)が三次元機能OCT画像データより取得され、面積と深さ方向の情報を用いて算出される。そして、各層の体積情報を用いて、三次元解析マップ(カラー三次元マップ)を作成して、表示することができる。また、寸法情報は、解析マップの縦方向及び横方向の情報を用いて算出される。もちろん、面積情報と体積情報と寸法情報のすべてを表示するようにしてもよい。なお、本実施例においては、血管の存在量を示すパラメータとして、数値を表示する構成としたがこれに限定されない。数値で表示するだけでなく、棒グラフ、レーダチャート等にて表示する方法がある
以上のようにして、血管に関する解析情報が取得されると、制御部70は、モーションコントラストデータと、血管に関する解析情報と、を重畳させてモニタ75上に表示する(図7参照)。例えば、三次元機能OCT画像データの解析情報を取得した場合、制御部70は、三次元機能OCT画像データに基づいて取得した、所定の深さ方向の領域におけるOCT機能正面画像データと、解析情報と、を重畳させて表示する。もちろん、三次元機能OCT画像データと、解析情報と、が重畳表示される構成であってもよい。
このように、モーションコントラストデータとともに、血管の解析情報を比較できるようにすることで、検者は、容易に種々の情報を比較しながら、好適に診断を行うことができる。また、無血管領域を容易に確認することができるため、虚血状態等の網膜疾患の早期検出が可能となる。
なお、本実施例においては、血管の有無の判定を行う際の深さ方向における領域は、被検眼の網膜層全領域において、判定処理を行う構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。モーションコントラストデータの深さ方向の一部の領域において血管が存在するか否かを判定し、判定結果に基づいた解析情報を取得する構成としてもよい。例えば、制御部70は、OCT信号より取得されOCT画像データ又は三次元OCT画像データを解析処理し、各網膜層(例えば、神経線維層(nerve fiber layer: NFL)、神経細胞節層(ganglion cell layer: GCL)、網膜色素上皮(retinal pigment epithelium: RPE)等)を検出する。制御部70は、所定の層境界間において、血管が存在するか否かを判定処理し、解析情報を取得する。このような構成とすることによって、検者は、特定の層又は層間での血管分布を確認することができ、より好適に診断を行うことができる。例えば、RPE層において、血管の存在を確認することができるため、新生血管を早期検出しやすくなり、病変を検出しやすくなる。また、検者は、特定の層や層間における薬剤の効果や、レーザー治療等の効果を確認することができる。
なお、本実施例において、モーションコントラストデータと、血管に関する解析情報と、が重畳されて表示される構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。モーションコントラストデータと、解析情報と、が比較可能に表示される構成であればよい。例えば、比較可能に表示する構成としては、モーションコントラストデータと、解析情報と、が並列表示される構成が挙げられる。
なお、本実施例においては、モーションコントラストデータと、血管に関する解析情報と、をモニタ75に表示する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。モーションコントラストデータと、解析情報と、を出力する構成であればよい。例えば、比較可能に出力する構成としては、モーションコントラストデータと解析情報とを印刷する構成や、モーションコントラストデータと解析情報とのデータを転送する構成等が挙げられる。
なお、本実施例においては、モーションコントラストデータと、血管に関する解析情報と、を重畳させて表示する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。正面観察光学系200によって取得された正面画像データに解析情報を比較可能に表示させる構成としてもよい。この場合、例えば、正面観察光学系200によって取得された正面画像データと、解析情報と、を比較可能に表示してもよい。また、例えば、モーションコントラストデータ、正面観察光学系200によって取得された正面画像データ、解析情報、を比較可能に表示してもよい。なお、正面観察光学系200によって取得された正面画像データに解析情報を重畳表示させる場合、制御部70は、三次元機能OCT画像データを取得した際に用いたOCT信号に基づいて、OCT正面画像データを取得する。制御部70は、OCT正面画像データと、正面観察光学系200によって取得された正面画像データと、をマッチング処理によって対応付ける。三次元機能OCT画像データと、OCT正面画像データは、同一のOCT信号より取得されているため、pixel-to-pixelの関係で両データを対応付けできる。また、解析情報は、三次元機能OCT画像データより取得されているため、pixel-to-pixelの関係で両データを対応付けできる。これによって、解析情報と、正面観察光学系200によって取得された正面画像データと、を対応付けることができる。
なお、本実施例においては、Aスキャン単位で、血管の判定処理を行うことによって、三次元機能OCT画像データの解析情報を取得する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、三次元機能OCT画像データを複数の領域に分割して、分割した領域毎に血管の判定処理を行い、三次元機能OCT画像データの解析情報を取得するようにしてもよい。図8は、眼底領域を分割して解析情報を取得する場合について説明する図である。例えば、制御部70は、三次元機能OCT画像データを、複数の領域(例えば、XY平面(眼底面)上において複数の領域)に分割する。制御部70は、各分割された領域(例えば、図8の分割領域G1、G2等参照)毎に、各分割領域内に血管が存在するか否かを判定する。制御部70は、判定結果に基づいて、判定結果に基づいた解析情報を取得する。なお、分割領域毎で判定処理を行う場合、例えば、制御部70は、分割領域内の複数の位置において血管が存在すると判定された場合に、その分割領域においては、血管が存在すると判定する構成が挙げられる。また、例えば、分割領域内において、連続的に所定の範囲で血管が存在すると判定された場合に、その分割領域においては、血管が存在すると判定する構成が挙げられる。このように、分割領域毎に血管の判定処理を行う構成とすることによって、血管と、ノイズ等の識別をより精度よく行うことができる。すなわち、ノイズ等の影響によって、血管の判定の精度が低下することを抑制することができます。
なお、血管の解析情報は、眼底の網膜層を解析した層の解析マップと、比較可能に出力(例えば、印刷、表示、データ送信等)してもよい。例えば、制御部70は、三次元機能OCT画像データを取得するために取得されたOCT信号より層情報を検出し、被検眼の網膜層の層厚情報に関する二次元的な分布を示す層の解析マップ(例えば、差分マップ、層厚マップ等)を取得する。制御部70は、血管の解析情報と、眼底の網膜層を解析した層の解析マップと、をモニタ75上に重畳表示させる。もちろん、血管の解析情報と、眼底の網膜層を解析した層の解析マップと、並列表示する構成であってもよい。このような構成とすることによって、検者は、網膜層の状態と、血管の状態と、の双方の関係を容易に確認することができ、より好適に診断を行うことができる。
なお、本発明においては、本実施例に記載した装置に限定されない。例えば、上記実施例の機能を行う光コヒーレンストモグラフィ演算ソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体等を介して、システムあるいは装置に供給する。そして、システムあるいは装置のコンピュータ(例えば、CPU等)がプログラムを読み出し、実行することも可能である。
なお、本実施例においては、被検物を眼とする構成について説明したがこれに限定されない。眼以外の生体(例えば、皮膚、血管)、もしくは生体以外の試料、等の被検物を撮影する光コヒーレンストモグラフィ装置においても、本開示の技術が適用可能である。