JP5974999B2 - 高強度缶用鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、缶用鋼板に係り、特に高い強度を有し、エキスパンド加工が施される意匠性を重視した飲料缶等の素材として好適な缶用鋼板に関する。
飲料缶容器は、その構造から、缶胴と上蓋、底蓋からなる3ピース缶、底蓋が一体となった缶胴と上蓋からなる2ピース缶に大別される。3ピース缶は、缶胴に上蓋、底蓋が巻締めにより取り付けられ製造される。また、3ピース缶の缶胴は単純な円筒形状であり、鋼板を円筒状に成形後、溶接や樹脂接着等により接合して製造される。
しかしながら、近年、3ピース缶に対し、より意匠性を高める要求があり、缶胴部を円筒状に成形後、さらに缶胴内部に入れた割型を広げること等により、円周方向に伸び歪を与えて缶胴部を張出し加工する、いわゆるエキスパンド加工を施し、樽型等の特殊な形状の3ピース缶が製造されるようになっている。このため、エキスパンド加工を施される3ピース缶の缶胴に用いられる鋼板には、エキスパンド加工後にストレッチャーストレインが発生しないこと等が求められるようになっている。
このような要求に対応した缶用鋼板として、例えば、特許文献1には、質量%で、C:0.03〜0.1%、Mn:0.3〜1.5%、Al:0.01〜0.1%を含有し、あるいはさらにB:0.0002〜0.01%を含有し、圧延方向および圧延直角方向のr値がいずれも0.5〜1.0で、かつAI値が30MPa以下であることを特徴とする缶用鋼板が提案されている。
また、特許文献2には、質量%でC:0.02〜0.07%、Mn:0.1〜1.5%、Al:0.005〜0.1%、N:0.003超〜0.007%、B:0.001〜0.01%を含有し、B/N:0.3〜1.5なる関係を満足し、圧延方向および板幅方向のうちの少なくとも一方のr値が0.8以下であることを特徴とする異型缶用鋼板が提案されている。
また、3ピース缶胴用の鋼板には、製造コストの低減のための薄肉化、および薄肉化した場合に缶強度を確保するための高強度化が求められている。例えば、板厚:0.20mm以下に薄肉化する場合、400MPa超えの引張強度(TS)が求められるようになっている。
ここで、缶体の強度を高める方法としては、例えば特許文献1や特許文献2に記載されるように、加工硬化の手段として調質圧延を活用し、焼鈍後に調質圧延により二次圧延を施すことが行われていた。
また、飲料容器用缶には、製缶前、または製缶後に塗装を行うことが必要とされていたが、近年、環境保全の観点から、溶剤等を必要とする塗装に代えて、フィルムをラミネートする(以下、フィルムラミネートする、ともいう)ことが多く行われるようになっている。特にエキスパンド加工が施される特殊形状の缶においては、フィルムラミネートされた鋼板が多く用いられるようになっている。
特開平11−124654号公報 特開2008−163390号公報
しかしながら、特許文献1、特許文献2に示されるように、焼鈍後に二次圧延を施すことにより、例えば板厚:0.20mm以下で400MPa超えの引張強度(TS)を達成しようとすると、高圧下の二次圧延が必要となり、鋼板の伸び特性に代表される加工性が低下して、エキスパンド加工等の加工が困難となる場合があった。また、通常の調質圧延機を使用して焼鈍後に高い圧延率で二次圧延を施すには、調質圧延を複数回繰り返す必要があり、製造コストが大きくなるという問題があった。
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、エキスパンド加工が施される3ピース缶の缶胴として好適な、TS:400MPa超えの高強度缶用鋼板を提供することを目的とする。
エキスパンド加工を施す3ピース缶胴用の鋼板には、特に、エキスパンド加工後にストレッチャーストレインが発生しないことが求められる。なお、エキスパンド加工を施す3ピース缶に用いられる鋼板には、前記したようにフィルムをラミネートすることが多く行われるようになっている。このため、エキスパンド加工を施す3ピース缶用鋼板にも、フィルムをラミネートする場合を前提とした熱履歴を経た後に、ストレッチャーストレインが発生しないことが必要となる。
本発明者らは、焼鈍後に高い圧延率での二次圧延を施すことなく、400MPa超えの引張強度(TS)を達成し、エキスパンド加工を施す3ピース缶の缶胴用として好適な缶用鋼板について、検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
i)MoおよびBを所定量添加することで、高い圧延率での二次圧延を施すこと無く、TS:400MPa超えという高強度を達成できる。
ii)従来の塗装に代えて、フィルムをラミネートする場合、エキスパンド加工後にストレッチャーストレインを発生させないようにするためには、210℃で75秒保持する時効処理後の降伏伸びである時効後Y−Elを2.0%以下とする必要がある。また、缶用鋼板の表面粗さRa(μm)を制御して、(時効後Y−El)/(Ra)を3.0(%/μm)以下とすることで、エキスパンド加工後の外観をより良好とすることができる。
本発明は、このような知見に基づき、さらに検討を重ねてなされたものであり、以下を要旨とする。
[1]質量%で、C:0.05〜0.10%、Si:0.02%以下、Mn:0.2〜1.0%、P:0.02%以下、S:0.020%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.005%以下、Mo:0.01〜0.50%、B:0.0002〜0.0050%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、引張強度が400MPa超え、210℃で75秒保持して時効させた後の降伏伸びである時効後Y−Elが2.0%以下であることを特徴とする高強度缶用鋼板。
[2]さらに、表面粗さRaが0.15〜0.50μmであり、前記時効後Y−El(%)とRa(μm)の比である(時効後Y−El)/(Ra)が3.0(%/μm)以下であることを特徴とする前記[1]に記載の高強度缶用鋼板。
[3]さらに質量%で、V:0.01〜0.50%、Ti:0.01〜0.10%のいずれか1種または2種を含有することを特徴とする前記[1]または前記[2]に記載の高強度缶用鋼板。
[4]Mn含有量(質量%)とS含有量(質量%)の比であるMn/Sが40以上であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の高強度缶用鋼板。
本発明により、時効性が低く、エキスパンド加工を施す意匠性が重視される3ピース缶の缶胴用として好適なTS:400MPa超えの高強度缶用鋼板を提供できるようになった。本発明によれば、意匠性の高い缶形状であっても薄肉化を達成することができ、産業上極めて有用な効果を有する。
以下、本発明の詳細について説明する。なお、組成における「%」表示は、特に断らない限り、「質量%」を意味する
まず、本発明の鋼板の成分組成の限定理由について、詳細に説明する。
C:0.05〜0.10%
Cは鋼板の引張強度を確保する上で重要な元素である。所望の引張強度を達成するため、C量は0.05%以上とする必要があり、0.07%以上とすることが好ましい。一方、C量が0.10%を超えると、鋼板が過度に高強度化して加工性が低下する。このため、C量は0.10%以下とする必要があり、0.09%以下とすることが好ましい。したがって、C量は0.05%以上0.10%以下とする。より好ましいC量は0.07%以上0.09%以下である。
Si:0.02%以下
Siは0.02%を超えて多量に含有すると、スケール生成量が多くなり、鋼板の外観が低下する。このため、Si量は0.02%以下とする。
Mn:0.2〜1.0%
Mnは固溶強化により鋼板の引張強度を大きくする上で効果があり、また、時効性の低減にも効果を有する。また、後述するようにエキスパンド加工後に所望の缶高さを得る上ではr値を1.0以下とすることが好ましく、Mnはr値の低減にも効果を有する元素である。これら効果を得るためMn量は0.2%以上とする必要があり、0.4%以上とすることが好ましい。一方、Mn量が1.0%を超えると、鋼板の耐食性が低下する傾向にあり、また、鋼板が過度に高強度化して加工性が低下する。このため、Mn量は1.0%以下とする必要があり、0.6%以下とすることが好ましい。したがって、Mn量は0.2%以上1.0%以上とする。より好ましいMn量は0.4%以上0.6%以下である。
またMnは、後述するS量との関係で、熱間脆性割れの誘発を防止するため、Mn含有量(質量%)とS含有量(質量%)の比であるMn/Sを40以上とすることが好ましい。
P:0.02%以下
Pは粒界に偏析しやすく、鋼板の脆化をもたらしやすい元素であるが、P量が0.02%以下ではその影響が小さい。したがって、P量は0.02%以下とする必要があり、できるだけ低減することが好ましい。
S:0.020%以下
Sは鋼中で介在物として存在し、鋼板の耐食性を低下させる元素であるが、S量が0.020%以下では、その影響が小さい。したがって、S量は0.020%以下とする必要があり、できるだけ低減することが好ましい。なお、Sは熱間圧延中に赤熱脆性(熱間脆性)を起こす元素であり、Sによる脆性割れの誘発を防止するため、前記したように、Mn/Sを40以上とすることが好ましい。
Al:0.01〜0.10%
Alは鋼中の固溶NをAlNとして固定して時効性を低減するのに有効な元素である。この効果を得るため、Al量は0.01%以上とする必要がある。一方、0.10%を超えて多量に含有しても、その効果が飽和し生産コストが上昇するだけであるため、Al量は0.10%以下とする。
N:0.005%以下
Nは時効性を大きくする元素であるが、N量が0.005%以下ではその影響が小さい。したがって、N量は0.005%以下とする必要があり、できるだけ低減することが好ましい。
Mo:0.01〜0.50%
Moは鋼板の焼入れ性を向上させる元素である。特にBとともに添加することで、鋼板の焼入れ性が顕著に向上し、缶胴をエキスパンド加工する際に必要とされるような時効後の加工性を確保しつつ、所望の引張強度を達成することができる。このような効果を得るため、Mo量は0.01%以上とする必要がある。一方、0.50%を超えて多量に含有しても、その効果が飽和し生産コストが上昇するだけであるため、Mo量は0.50%以下とする。したがって、Mo量は0.01%以上0.50%以下とする。
B:0.0002〜0.0050%
Bは鋼中の固溶NをBNとして固定して、鋼板の時効性を低減する効果を有する。また、前記したように、Moとともに添加することで、時効後の加工性を確保しつつ、所望の引張強度を達成することができる。これらの効果を得るため、B量は0.0002%以上とする必要があり、好ましくは0.0005%以上とする。一方、0.0050%を超えて多量に含有しても、その効果が飽和し生産コストが上昇するだけであるため、B量は0.0050%以下とする。したがって、B量は0.0002%以上0.0050%以下とする。より好ましくは0.0005%以上0.0050%以下である。
残部はFeおよび不可避不純物であるが、下記の理由によりV:0.01〜0.50%、Ti:0.01〜0.10%のいずれか1種または2種を含有することが好ましい。
V:0.01〜0.50%
Vは鋼板の焼入れ性を向上させて引張強度を上昇させるのに有効な元素であり、この効果を得るため0.01%以上添加することが好ましい。一方、0.50%を超えて多量に含有しても、その効果が飽和し生産コストが上昇するだけであるため、V量は0.50%以下とすることが好ましい。
Ti:0.01〜0.10%
TiはVと同様、鋼板の焼入れ性を向上させて引張強度を上昇させるのに有効な元素であり、この効果を得るため0.01%以上添加することが好ましい。一方、0.10%を超えて多量に含有しても、その効果が飽和し生産コストが上昇するだけであるため、Ti量は0.10%以下とすることが好ましい。
上記した成分組成を有する本発明の鋼板は、引張強度(TS):400MPa超えである。なお、特に製造コスト低減を目的とした鋼板の薄肉化のため、板厚:0.20mm以下、さらに板厚:0.175mm以下とした場合でも、缶胴としての強度を確保するため、引張強度(TS):400MPa超えが必要である。
さらに、本発明の鋼板は、210℃で75秒保持して時効させた後の降伏伸び(時効後Y−El)が2.0%以下である。前記したように、エキスパンド加工等を施す意匠性を重視した特殊形状の缶体では、従来の塗装焼付処理に代えて、フィルムラミネートされることが多い。フィルムラミネートされた缶用鋼板の熱履歴を検討した結果、210℃で75秒保持する時効処理後の降伏伸びにより、エキスパンド加工後のストレッチャーストレインの発生状況を評価することができることを、発明者らは知見した。すなわち、フィルムラミネートされた場合であっても、エキスパンド加工後のストレッチャーストレインの発生がなく、製缶後の表面外観に優れる缶用鋼板とするには、210℃で75秒保持して時効させた後の降伏伸びである時効後Y−Elが2.0%以下である必要がある。
なお、エキスパンド加工前後での缶高さの変動を小さくし、エキスパンド加工後に所望の缶高さを得るため、缶胴部がエキスパンド加工時に受ける引張り方向のr値を1.0以下とすることが好ましい。製造された鋼板から、3ピース缶胴のサイズにあわせて鋼板を切り出す(以下、板取りともいう)方法としては、鋼板の圧延方向が缶胴の軸方向となるような板取り、あるいは圧延直角方向が缶胴の軸方向となるような板取りがなされる。このため、鋼板の圧延方向、圧延直角方向のうち少なくとも一方のr値が、1.0以下であることが好ましい。
また、缶用鋼板自体の表面の外観を良好とし、美麗な表面とする上では、表面粗さRaを0.50μm以下とすることが好ましい。一方、Raが0.15μm未満となると、微小凹凸等の鋼板表面構造が健在化して、かえって鋼板表面の外観が劣ることがあるため、Raは0.15μm以上とすることが好ましい。なお、ここでRaは、JISB0601−1994で規定される算術平均粗さである。
また、鋼板の表面粗さRaを上記したように、0.15μm以上0.50μm以下とした上で、時効後Y−El(%)とRa(μm)の比である(時効後Y−El)/(Ra)を3.0(%/μm)以下とすることにより、製缶後の表面外観をさらに良好とすることができるため、好ましい。
なお、本発明の鋼板は、錫めっきやクロムめっき、ニッケルめっき等、従来、缶用鋼板としてほどこされている表面処理を施した缶用鋼板とすることができる。
次に、上記した本発明の高強度缶用鋼板の好ましい製造方法について説明する。なお、本発明の鋼板は、上記した成分組成および特性を満足するものであれば、いずれの方法で製造されてもよく、下記の製造条件により限定されない。
上記した成分組成の溶鋼を、常法に従い溶製し、連続鋳造法あるいは造塊法により凝固させて熱間圧延用の鋼素材とする。
次いで、得られた鋼素材に熱間圧延を施す。なお、鋼素材は、一旦室温まで冷却した後再加熱してもよいし、冷却することなく加熱炉に挿入してもよい。熱間圧延用の素材は、加熱炉で加熱後、仕上圧延温度(FDT)を800℃〜1000℃、巻取温度(CT)500℃〜800℃とする熱間圧延を施す。なお、加熱炉での加熱は、熱間圧延中の温度低下を考慮して、上記仕上圧延温度を確保できるようにすればよい。
仕上圧延温度は、最終製品である缶用鋼板の鋼組織における結晶粒径の粗大化を防止し、製缶後の表面外観を良好とするため、800℃以上とすることが好ましい。一方、仕上圧延温度が1000℃を超えて高くなると、スケールロスが増加する。このため、仕上圧延温度は800℃以上1000℃以下とすることが好ましい。より好ましくは850℃以上950℃以下である。
巻取温度は良好な鋼板形状を確保するため、500℃以上とすることが好ましい。一方、800℃を超えて高くなると、スケール厚みが増加し、後述する酸洗等でのスケールの剥離に時間を要する。また、巻取温度が800℃を超えて高くなると、r値も大きくなる傾向にある。このため、巻取温度は500℃以上800℃以下とする。より好ましくは550℃以上750℃以下である。
上記熱間圧延後の鋼板は、常法に従い塩酸等により酸洗を施してスケールを剥離した後、所望の板厚とするため、冷間圧延を施す。冷間圧延の条件は特に規定するものではないが、最終製品である缶用鋼板の鋼組織における結晶粒径を細かくし、製缶後の表面外観を良好とするうえでは、圧延率を85%以上とすることが好ましく、より好ましくは90%以上である。
冷間圧延後の鋼板は、連続焼鈍が施される。連続焼鈍に際しては、添加したMoとBによる焼入れ性向上の効果を十分に発揮させて、所望の引張硬度を得るため、焼鈍温度を720℃超えとすることが好ましい。より好ましくは740℃以上である。なお、焼鈍温度が850℃を超えると、焼鈍後の鋼板の鋼組織における結晶粒径が大きくなりすぎ、製缶後の表面外観が劣化する傾向にあるため、焼鈍温度は850℃以下とすることが好ましい。より好ましくは820℃以下である。
上記焼鈍温度に昇温後、500℃以下まで、平均冷却速度5℃/s以上で急速冷却を行い、鋼板を焼入れることが好ましい。前記のようにMoおよびBを含有する成分組成を有する鋼板を、720℃超えという高温の焼鈍温度に昇温し、次いで急速冷却することで、引張強度(TS)が400MPa超えという高強度缶用鋼板とできる。
焼鈍後は、表面粗さの調整や形状矯正等のため、調質圧延を施してもよい。調質圧延の圧延率は、大きくなりすぎると、引張強度は上昇するものの、加工性が低下するため、5%以下とすることが好ましい。より好ましくは2.5%以下である。なお、前記した冷間圧延における圧延ロールの表面粗さや、調質圧延機における圧延ロールの表面粗さを調整することで、Raを所望の範囲に制御することができる。
連続焼鈍後は、常法に従い、用途に応じて錫めっき等の表面処理を施すことが好ましい。また、連続焼鈍の前にNi等のめっきを行い、連続焼鈍後さらに錫めっきを行うようにすることもできる。
表1に示す成分組成の溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法にて熱間圧延用の鋼素材である鋼スラブとした。その後、これら鋼スラブを、熱間圧延仕上げ温度:890℃、巻取温度:650℃で熱間圧延し、酸洗後、圧延率92%で冷間圧延を施し、板厚0.15mmとした。次いでニッケルめっきを施した後、連続焼鈍炉にて、焼鈍温度760℃に昇温後、500℃までの平均冷却速度5℃/sで冷却する連続焼鈍を施した。その後、圧延率1.5%で調質圧延を施した後、電気錫めっきラインで錫めっき付着量:0.8g/m相当の錫めっきを施した。
これら錫めっき後の鋼板から、圧延直角方向を長手方向とするJIS5号引張試験片を採取し、引張試験を行って引張強度(TS)を求めた。また、鋼板の圧延直角方向(C方向)を長手方向とするJIS5号引張試験片を採取し、JISZ2254の規定に準拠して圧延直角方向のr値を求めた。
さらに、錫めっき後の鋼板から採取したJIS5号引張試験片に、210℃で75秒保持する時効処理を施した後、引張試験を行い、時効させた後の降伏伸び(時効後Y−El)および全伸び(時効後El)を求めた。
また、錫めっき後の鋼板から試験片を採取して、JISB0601−1994に準拠してRaを求めた。
上記した、引張強度(TS)、r値、時効後Y−El、時効後El、Raを調査した結果を表2に示す。また、測定した時効後Y−ElとRaに基づき、(時効後Y−El)/(Ra)を求めた結果もあわせて表2に示す。
さらに、上記の錫メッキ後の鋼板にフィルムをラミネートしてから、圧延方向が缶軸方向となるように板取りし、溶接して容量190gの溶接缶サイズに円筒成形した。次いで、特殊な割型構造のエキスパンド加工用治具を挿入し、エキスパンド加工を施した。なお、エキスパンド加工における引張歪の方向は鋼板の圧延直角方向であり、エキスパンド率、すなわちエキスパンド加工における拡径率は5%とした。
上記したエキスパンド加工を施した後に、ストレッチャーストレインの有無による外観評価を目視で行った。また、上記エキスパンド加工後の缶高さを調査した。
外観評価は、ストレッチャーストレインが全く観察されないものを◎、ストレッチャーストレインが若干観察されるが実用上問題のないものを○、ストレッチャーストレインが観察されて外観不良のものを×として表2に示す。また、エキスパンド加工後の缶高さは、エキスパンド加工後の缶高さの目標値に対する変化が0.2mm以下のものを缶高さ変化無しとし、0.2mmを超えるものを缶高さ変化有りとして評価した。さらに、外観評価、エキスパンド加工後の缶高さを総合して評価し、缶体特性として優れるものを合格とし、いずれかの特性が劣るものを不合格とした。
これらの缶体特性の評価を表2に示す。表2から明らかなように、TSが400MPa超えであり、210℃で75秒保持する時効処理後の降伏伸びである時効後Y−Elが2.0%以下である本発明例の高強度缶用鋼板を用いて3ピース缶胴とした場合、エキスパンド加工を施すことができる加工性を有するとともに、十分な缶強度を確保でき、エキスパンド加工後の缶体高さや外観も良好であり、エキスパンド加工を施す場合においても、優れた缶体特性を確保できることがわかる。
一方、比較例では、鋼板の引張強度がTS400MPa超えを達成しておらず、また、ストレッチャーストレインが発生して、外観にも劣ることがわかる。
Figure 0005974999
Figure 0005974999

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.10%、Si:0.02%以下、Mn:0.2〜1.0%、P:0.02%以下、S:0.020%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.005%以下、Mo:0.01〜0.50%、B:0.0002〜0.0050%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、引張強度が400MPa超え、210℃で75秒保持して時効させた後の降伏伸びである時効後Y−Elが2.0%以下であることを特徴とする高強度缶用鋼板。
  2. さらに、表面粗さRaが0.15〜0.50μmであり、前記時効後Y−El(%)とRa(μm)の比である(時効後Y−El)/(Ra)が3.0(%/μm)以下であることを特徴とする請求項1に記載の高強度缶用鋼板。
  3. さらに質量%で、V:0.01〜0.50%、Ti:0.01〜0.10%のいずれか1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高強度缶用鋼板。
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