JP5970952B2 - 高分子化合物およびそれを用いた発光素子 - Google Patents

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本発明は、高分子化合物およびそれを用いた発光素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「発光素子」と言う。)は、高発光効率、低電圧駆動等の特性のため、ディスプレイの用途に好適に使用することが可能であり、盛んに研究開発が行われている。発光素子の製造には、発光材料や電荷輸送性材料が用いられる。発光材料や電荷輸送性材料としては、低分子化合物を使用する場合と、高分子化合物を使用する場合とがある。高分子化合物を使用する場合、インクジェット印刷法等の塗布法により均一な膜を形成することが可能であるため、特に大型ディスプレイを製造する場合に有利である。
近年、発光素子の製造に用いられる高分子化合物については、高分子化合物を構成する構成単位の構造や比率等に注目した研究開発が行われており(例えば、特許文献1および特許文献2)、高分子化合物を構成する末端の構造単位に注目した研究開発も行われている(例えば、特許文献3および特許文献4)。更には、重水素原子を有する高分子化合物に注目した研究開発も行われている(例えば、特許文献5および特許文献6)。
国際公開第99/54385号 特開2008−56909号公報 特開2007−138145号公報 特開2007−51208号公報 国際公開第02/47440号 国際公開第2010/114583号
しかしながら、上記の高分子化合物を用いて製造される発光素子は、その輝度寿命が必ずしも十分ではなかった。
そこで本発明は、輝度寿命に優れる発光素子の製造に有用な高分子化合物を提供することを目的とする。本発明はまた、高分子化合物を含有する組成物および有機薄膜、有機薄膜を用いた発光素子、並びに発光素子を用いた面状光源および表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下の高分子化合物、高分子化合物を含有する組成物および有機薄膜、有機薄膜を用いた発光素子、並びに発光素子を用いた面状光源および表示装置を提供する。
[1] 重水素原子を有する末端の構成単位を有する高分子化合物であって、
該重水素原子を有する末端の構成単位の重水素原子率(以下、TDと表す。)と末端の構成単位以外の構成単位の平均重水素原子率(以下、BDと表す。)と、が下記式(1)を満たす、高分子化合物。
0≦BD<TD≦1 (1)
[2] 前記高分子化合物の全構成単位の平均重水素原子率(以下、PDと表す。)が、下記式(2)を満たす、[1]に記載の高分子化合物。
0<PD≦0.1 (2)
[3] 前記重水素原子を有する末端の構成単位が、下記式(3)で表される構成単位である、[1]または[2]に記載の高分子化合物。
Figure 0005970952
(3)
[式中、
Arは、(m1+n1+1)価の芳香族炭化水素基または(m1+n1+1)価の芳香族複素環基を表す。
は、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−O−RAで表される基、−N(RA)で表される基、−S−RAで表される基、−P(RA)で表される基、−B(−O−RA)で表される基または−Si(RA)で表される基を表し、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。RAは、水素原子、重水素原子、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を表し、RAが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
Dは、重水素原子を表す。
n1及びm1は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。ただし、m1が0の場合、n1は1以上の整数であり、かつ、Rで表される基は重水素原子を有する。
*は、末端の構成単位以外の構成単位との結合位置を表す。]
[4] 前記Arが、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、インデノフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、チオフェン、ピロール、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、インドールまたはカルバゾールから、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合した(m1+n1+1)個の水素原子を取り除いた残りの原子団を表す、[3]に記載の高分子化合物。
[5] 前記重水素原子を有する末端の構成単位が、下記式(4)で表される構成単位である、[4]に記載の高分子化合物。
Figure 0005970952
(4)
[式中、
は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、Rは重水素原子で置換されてもよく、Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
m2及びn2は、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。ただし、m2が0の場合、n2が1以上の整数であり、かつ、Rが重水素原子を有する。
Dおよび*は、前記と同じ意味を表す。]
[6] 前記高分子化合物が、末端の構成単位以外の構成単位として、下記式(5)で表される構成単位を含む、[1]〜[5]のいずれか一つに記載の高分子化合物。
Figure 0005970952
(5)
[式中、
Arは、(n3+2)価の芳香族炭化水素基を表す。
は、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−O−RBで表される基、−N(RB)で表される基、−S−RBで表される基、−P(RB)で表される基、−B(−O−RB)で表される基、−Si(RB)で表される基、1価の芳香族炭化水素基または1価の複素環基を表し、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。RBは、水素原子、重水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、1価の芳香族炭化水素基または1価の複素環基を表し、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。RBが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
n3は、0以上の整数を表す。]
[7] 前記Arが、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ベンゾフルオレン、インデノフルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、ナフタセン、ピレン、ペリレンまたはクリセンから、環を構成する炭素原子に直接結合する(n3+2)個の水素原子を取り除いた残りの原子団である、[6]に記載の高分子化合物。
[8] [1]〜[7]のいずれか一つに記載の高分子化合物と、
正孔輸送性材料、電子輸送性材料および発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料と、を含有する組成物。
[9] [1]〜[7]のいずれか一つに記載の高分子化合物と、溶媒と、を含有する組成物。
[10] [1]〜[7]のいずれか一つに記載の高分子化合物を含有する、有機薄膜。
[11] 陽極と、陰極と、該陽極および該陰極の間に有機層と、を有し、
該有機層が、[10]に記載の有機薄膜である、発光素子。
[12] [11]に記載の発光素子を用いた、面状光源または表示装置。
本発明によれば、輝度寿命に優れる発光素子の製造に有用な高分子化合物を提供することができる。また、本発明によれば、高分子化合物を含有する組成物および有機薄膜、有機薄膜を用いた発光素子、並びに発光素子を用いた面状光源および表示装置を提供することができる。更には、本発明の好ましい実施形態に係る高分子化合物は、全構成単位の平均重水素化率が小さいため、生産性やコスト面にも優れる。
第1実施形態に係る発光素子の模式断面図である。 第2実施形態に係る発光素子の模式断面図である。 本実施形態に係る面状光源の模式断面図の一例である。
以下、本発明の高分子化合物、組成物、有機薄膜、発光素子、面状光源および表示装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
以下、本明細書において共通して用いられる用語について、必要に応じて例を挙げて説明する。
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位構造を意味する。「構成単位」は、「繰り返し単位(すなわち、高分子化合物中に2個以上存在する単位構造)」として高分子化合物中に含まれることが好ましい。
「末端の構成単位」とは、高分子化合物の末端の構成単位を意味し、「末端の構成単位以外の構成単位」とは、高分子化合物の末端の構成単位以外の構成単位を意味する。末端の構成単位は、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基であり、これらの基は後述の置換基を有していてもよい。
「重水素原子」とは、二重水素原子または三重水素原子のいずれであってもよいが、好ましくは二重水素原子である。
「N価の芳香族炭化水素基」とは、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合するN個の水素原子を除いてなる基を意味する。「N価の芳香族複素環基」とは、芳香族複素環式化合物から環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合するN個の水素原子を除いてなる基を意味する。
「芳香族炭化水素」は、置換基を有していてもよく、炭素原子数が、置換基の炭素原子数を含まないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜48、さらに好ましくは6〜30である。具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、フルオレン、ピレン、ペリレン等が例示される。
「芳香族複素環式化合物」とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素として、炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子、ヒ素原子等のヘテロ原子を含むものであって、芳香族性を示す化合物である。
「芳香族複素環式化合物」は、置換基を有していてもよく、炭素原子数が、置換基の炭素原子数を含まないで、通常2〜60であり、好ましくは3〜30である。具体的には、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾホスホール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン等のヘテロ原子を含む複素環自体が芳香族性を示す化合物、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等のヘテロ原子を含む複素環それ自体は芳香族性を示さなくとも、該複素環に芳香族炭化水素が縮環されている化合物が例示される。
(高分子化合物)
本発明の高分子化合物は、重水素原子を有する末端の構成単位を有する高分子化合物であって、該重水素原子を有する末端の構成単位の重水素原子率(以下、TDと表す。)と末端の構成単位以外の構成単位の平均重水素原子率(以下、BDと表す。)と、が下記式(1)を満たす。
0≦BD<TD≦1 (1)
「末端の構成単位の重水素原子率(TD)」は、下記式(1a−1)で表される。
TD=(末端の構成単位が有する重水素原子の総数)/{(末端の構成単位が有する重水素原子の総数)+(末端の構成単位が有する水素原子の総数)} (1a−1)
TDは、通常、0.1以上であり、好ましくは0.4以上であり、より好ましくは0.6以上であり、さらに好ましくは0.8以上であり、特に好ましくは1.0である。
「末端の構成単位以外の構成単位の平均重水素原子率(BD)」は、下記式(1b−1)で表される。
BD=(末端の構成単位以外の構成単位が有する重水素原子の総数}/{(末端の構成単位以外の構成単位が有する重水素原子の総数)+(末端の構成単位以外の構成単位が有する水素原子の総数)} (1b−1)
BDは、通常、0.1未満であり、好ましくは0.01以下であり、より好ましくは0.001以下であり、さらに好ましくは0.0001以下であり、特に好ましくは0である。
本発明の高分子化合物は、高分子化合物の全構成単位の平均重水素原子率(以下、PDと表す。)が、下記式(2)を満たすことが好ましい。
0<PD≦0.1 (2)
ここで、「平均重水素原子率」は、下記式(2a−1)で表さる。
PD=(全構成単位が有する重水素原子の総数)/{(全構成単位が有する重水素原子の総数)+(全構成単位が有する水素原子の総数)} (2a−1)
PDは、通常、0.1以下であり、好ましくは0.01以下であり、より好ましくは0.005以下である。
高分子化合物のBD、TDおよびPDは、高分子化合物の合成時の仕込みモノマーの比率、および、高分子化合物の数平均分子量から、推定される高分子化合物の構造を用いて、算出することができる。
高分子化合物の重量平均分子量および数平均分子量は、通常SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)測定により決定される。SEC測定では高分子量成分ほど溶出時間が短く、低分子量成分ほど溶出時間が長くなるが、分子量既知のポリスチレン(標準試料)の溶出時間から算出した校正曲線を用いて、サンプルの溶出時間を分子量に換算することによって、重量平均分子量および数平均分子量を算出する。
本明細書において、「水素原子」とは、特記しない限り、軽水素を意味する。
「末端の構成単位」、「重水素原子を有する末端の構成単位」および「末端の構成単位以外の構成単位」について、下記式(P−1)〜(P−3)で表される高分子化合物P−1〜P−3の例を用いて、説明する。
Figure 0005970952
式(P−1)中、B、BおよびBは、それぞれ独立に、構成単位を表し、na、nbおよびncは、それぞれ独立に、構成単位のモル比率を表し、nは重合度を表し、TおよびTは、それぞれ独立に、重水素原子を有する1価の芳香族炭化水素基または重水素原子を有する1価の芳香族複素環基を表す。なお、構成単位B、構成単位Bおよび構成単位Bの重合形式は、ランダム重合、規則性を有する重合およびブロック重合の何れであってもよい。
Figure 0005970952
式(P−2)中、B'、B'、B'およびB'は、それぞれ独立に、構成単位を表し、na'、nb'およびnc'は、それぞれ独立に、構成単位のモル比率を表し、n'、m'およびl'は、それぞれ独立に、高分子化合物に含まれるブロックの重合度を表し、T'、T'およびT'は、それぞれ独立に、重水素原子を有する1価の芳香族炭化水素基または重水素原子を有する1価の芳香族複素環基を表す。
Figure 0005970952
式(P−3)中、B''、B''、B''およびB''は、それぞれ独立に、構成単位を表し、na''、nb''およびnc''は、それぞれ独立に、構成単位のモル比率を表し、n''およびm''は、それぞれ独立に、高分子化合物に含まれるブロックの重合度を表し、T''およびT''は、それぞれ独立に、重水素原子を有する1価の芳香族炭化水素基または重水素原子を有する1価の芳香族複素環基を表す。なお、構成単位B''および構成単位B''の重合形式は、交互重合、ランダム重合、規則性を有する重合およびブロック重合の何れであってもよい。
「構成単位のモル比」は、上述の通り、高分子化合物の合成時の仕込みモノマー比率から推定される高分子化合物の構造を用いて、算出することができる。また、NMRを用いて、構成単位のモル比率を算出することも可能である。
式(P−1)において、「末端の構成単位」とは、TおよびTであり、「重水素原子を有する末端の構成単位」とは、TおよびTであり、「末端の構成単位以外の構成単位」とは、B、BおよびBである。
式(P−2)において、「末端の構成単位」とは、T'、T'およびT'であり、「重水素原子を有する末端の構成単位」とは、T'、T'およびT'であり、「末端の構成単位以外の構成単位」とは、B'、B'、B'およびB'である。
式(P−3)において、「末端の構成単位」とは、T''およびT''であり、「重水素原子を有する末端の構成単位」とは、T''およびT''であり、「末端の構成単位以外の構成単位」とは、B''、B''、B''およびB''である。
具体的なBD、TDおよびPDの算出方法を、式(P−1)で表される高分子化合物を用いて説明する。
式(P−1)で表される高分子化合物のTD(以下、TDP−1と表す。)は、下記式(1a−2)で表される。
TDP−1=(tDTa+tDTb)/(tDTa+tDTb+tHTa+tHTb) (1a−2)
式(1a−2)中、tDTaは、Tが有する重水素原子数を表し、tDTbは、Tが有する重水素原子数を表し、tHTaは、Tが有する水素原子数を表し、tHTbは、Tが有する水素原子数を表す。
式(P−1)で表される高分子化合物の末端の構成単位以外の構成単位の平均分子量(以下、Ma−cと表す。)は、下記式(1−1a)で表される。
a−c=MBa×NA+MBb×NB+MBc×NC (1-1a)
式(1−1a)中、MBaは、構成単位Bの分子量を表し、MBbは、構成単位Bの分子量を表し、MBcは、構成単位Bの分子量を表し、NAは、na/(na+nb+nc)を表し、NBは、nb/(na+nb+nc)を表し、NCは、nc/(na+nb+nc)を表す。なお、na、nbおよびncは、前記と同じ意味を表す。
式(P−1)で表される高分子化合物の重合度nは、下記式(1−1b)で表される。
n={MP−1−(MTa+MTb)}/Ma−c (1−1b)
式(1−1b)中、MP−1は、式(P−1)で表される高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量を表し、MTaは、Tの分子量を表し、MTbは、Tの分子量を表し、Ma−cは、前記と同じ意味を表す。
式(P−1)で表される高分子化合物のBD(以下、BDP−1と表す。)は、下記式(1b−2)で表される。
BDP−1={(tDBa×NA+tDBb×NB+tDBc×NC)×n}/[{(tDBa×NA+tDBb×NB+tDBc×NC)×n}+{(tHBa×NA+tHBb×NB+tHBc×NC)×n}] (1b-2)
式(1b−2)中、tDBaは、Bが有する重水素原子数を表し、tDBbは、Bが有する重水素原子数を表し、tDBcは、Bが有する重水素原子数を表し、tHBaは、Bが有する水素原子数を表し、tHBbは、Bが有する水素原子数を表し、tHBcは、Bが有する水素原子数を表し、NA、NB、NCおよびnP−1は、前記と同じ意味を表す。
式(P−1)で表される高分子化合物のPD(以下、PDP−1と表す。)は、下記式(2a−2)で表される。
PDP−1=[{(tDBa×NA+tDBb×NB+tDBc×NC)×n}+(tDTa+tDTb)]/[{(tDBa×NA+tDBb×NB+tDBc×NC)×n}+{(tHBa×NA+tHBb×NB+tHBc×NC)×n}+(tDTa+tDTb+tHTa+tHTb)] (2a−2)
式(2a−2)中、tDBa、NA、tDBb、NB、tDBc、NC、n、tDTa、tDTb、tHBa、tHBb、tHBc、tHTaおよびtHTbは、前記と同じ意味を表す。
本実施形態の高分子化合物において、重水素原子を有する末端の構成単位は、下記式(3)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 0005970952
(3)
式(3)中、Arは、(m1+n1+1)価の芳香族炭化水素基または(m1+n1+1)価の芳香族複素環基を表す。
Arで表される(m1+n1+1)価の芳香族炭化水素基は、下記に例示される芳香族炭化水素の環を構成する炭素原子から(m1+n1+1)個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることが好ましい。
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Arで表される(m1+n1+1)価の芳香族複素環基は、下記に例示される芳香族複素環式化合物の環を構成する炭素原子またはヘテロ原子から(m1+n1+1)個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることが好ましい。
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Arは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、インデノフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、チオフェン、ピロール、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、インドールまたはカルバゾールから、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する(m1+n1+1)個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることがより好ましい。
Arは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、インデノフルオレン、フェナントレンまたはジヒドロフェナントレンから、環を構成する炭素原子に直接結合する(m1+m1+1)個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることがさらに好ましい。
式(3)中、Rは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−O−RAで表される基、−N(RA)で表される基、−S−RAで表される基、−P(RA)で表される基、−B(−O−RA)で表される基または−Si(RA)で表される基を表し、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。なお、Rが有していてもよい置換基は、重水素原子を有するものであってもよい。
Aは、水素原子、重水素原子、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を表し、RAが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよいが、水素原子、重水素原子またはアルキル基であることが好ましい。なお、RAで表されるアルキル基、アルケニル基およびアルケニル基の定義や例は、後述のRで表されるアルキル基、アルケニル基およびアルケニル基の定義や例と、同様である。
は、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−O−RAで表される基または−N(RA)であり、より好ましくは、アルキル基または−O−RAであり、さらに好ましくは、アルキル基である。
で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が好ましい。
で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基または環状アルキル基(シクロアルキル基)のいずれであってもよい。アルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、通常1〜60(環状アルキル基の場合、通常3〜60)であり、好ましくは1〜20(環状アルキル基の場合、好ましくは3〜20)である。
で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基またはドデシル基が好ましい。
で表されるアルケニル基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルケニル基、分岐状アルケニル基または環状アルケニル基のいずれであってもよい。アルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、通常2〜60(環状アルケニル基の場合、通常3〜60)であり、好ましくは2〜20(環状アルケニル基の場合、好ましくは3〜20)である。
で表されるアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−へキセニル基、2−へキセニル基、3−へキセニル基、4−へキセニル基、5−へキセニル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、5−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、1−オクテニル基、2−オクテニル基、3−オクテニル基、4−オクテニル基、5−オクテニル基、6−オクテニル基、7−オクテニル基、1−シクロヘキセニル基、2−シクロヘキセニル基または3−シクロヘキセニル基が好ましい。
で表されるアルキニル基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルキニル基、分岐状アルキニル基または環状アルキニル基のいずれであってもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、通常2〜60(環状アルキニル基の場合、通常3〜60)であり、好ましくは2〜20(環状アルケニル基の場合、好ましくは3〜20)である。
で表されるアルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、1−ヘプチニル基、2−ヘプチニル基、3−ヘプチニル基、4−ヘプチニル基、5−ヘプチニル基、6−ヘプチニル基、1−オクチニル基、2−オクチニル基、3−オクチニル基、4−オクチニル基、5−オクチニル基、6−オクチニル基、7−オクチニル基、2−シクロヘキシニル基、3−シクロヘキシニル基またはシクロヘキシルエチニル基が好ましい。
で表される−O−RAで表される基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは0〜20である。
で表される−N(RA)で表される基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは0〜40である。
で表される−S−RAで表される基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは0〜20である。
で表される−P(RA)で表される基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは0〜40である。
で表される−B(−O−RA)で表される基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは0〜40である。
で表される−Si(RA)で表される基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは0〜60である。
で表される基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−O−RAで表される基、−N(RA)で表される基、−S−RAで表される基、−N(RA)で表される基、−B(−O−RA)で表される基、−Si(RA)で表される基が挙げられ、これらの基の定義や例は、Rで表されるこれらの基の定義や例と、同様である。
式(3)中、Dは重水素原子を表す。*は、末端の構成単位以外の構成単位との結合位置を表す。
式(3)中、n1およびm1は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。ただし、m1が0の場合、n1は1以上の整数であり、かつ、Rで表される基は重水素原子を有する。
本発明の高分子化合物が有する、式(3)で表される重水素原子を有する末端の構成単位としては、下記の構造が例示される。なお、Dおよび*は、前記と同じ意味を表し、Dとは、重水素原子X個を意味し、例えば、Dとは、重水素原子4個を意味する。
Figure 0005970952
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Figure 0005970952
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本発明の高分子化合物が有する、式(3)で表される重水素原子を有する末端の構成単位としては、下記式(4)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 0005970952
(4)
式(4)中、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、Rは、重水素原子を有していてもよく、Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基または2−エチルヘキシル基が好ましい。
で表されるアルキル基における水素原子が重水素原子で置換されていてもよく、水素原子がすべて重水素原子で置換されていてもよい。
式(4)中、Dおよび*は、前記と同じ意味を表す。
式(4)中、m2およびn2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表し、n2+m2=5であることが好ましい。ただし、m2が0の場合、n2が1以上の整数であり、かつ、Rが重水素原子を有する。
m2は1以上であることが好ましい。
本発明の高分子化合物が有する、式(4)で表される重水素原子を有する末端の構成単位としては、下記の構造が例示される。なお、下記において、Dおよび*は前記と同じ意味を表す。
Figure 0005970952
Figure 0005970952
本発明の高分子化合物において、末端の構成単位以外の構成単位としては、下記式(5)で表される構成単位および/または下記式(6)で表される構成単位を含むことが好ましく、下記式(5)で表される構成単位を含むことがより好ましい。
Figure 0005970952
(5)
式(5)中、Arは、(n3+2)価の芳香族炭化水素基を表す。
Arで表される(n3+2)価の芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、6〜30が好ましい。
Arで表される(n3+2)価の芳香族炭化水素基は、下記に例示される芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する(n3+2)個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることが好ましい。
Figure 0005970952
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Figure 0005970952
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Arで表される(n3+2)価の芳香族炭化水素基は、ベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、クオターフェニル、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、インデン、フルオレン、ベンゾフルオレン、インデノフルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、ピレン、ペリレンまたはクリセンから、環を構成する炭素原子に直接結合する(n3+2)個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることがより好ましい。
Arで表される(n3+2)価の芳香族炭化水素基は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ベンゾフルオレン、インデノフルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、ナフタセン、ピレン、ペリレンまたはクリセンから、環を構成する炭素原子に直接結合する(n3+2)個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることがさらに好ましい。
式(5)中、Rは、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−O−RBで表される基、−N(RB)で表される基、−S−RBで表される基、−P(RB)で表される基、−B(−O−RB)で表される基、−Si(RB)で表される基、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を表し、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
Bは、水素原子、重水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を表し、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。RBが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよいが、水素原子、アルキル基、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基であることが好ましい。なお、RBで表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、1価の芳香族炭化水素基および1価の芳香族複素環基の定義や例は、後述のRで表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、1価の芳香族炭化水素基および1価の芳香族複素環基の定義や例と、同様である。
式(5)中、n3は、0以上の整数を表す。
は、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−O−Rで表される基、−N(R)で表される基、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基であり、より好ましくはアルキル基、−O−Rで表される基、−N(R)で表される基、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基である。
で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が好ましい。
で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基または環状アルキル基(シクロアルキル基)のいずれであってもよい。アルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、通常1〜60(環状アルキル基の場合、通常3〜60)であり、好ましくは1〜20(環状アルキル基の場合、3〜20)である。
で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基またはドデシル基が好ましい。
で表されるアルケニル基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルケニル基、分岐状アルケニル基または環状アルケニル基のいずれであってもよい。アルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、通常2〜60(環状アルケニル基の場合、通常3〜60)であり、好ましくは2〜20(環状アルケニル基の場合、3〜20)である。
で表されるアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−へキセニル基、2−へキセニル基、3−へキセニル基、4−へキセニル基、5−へキセニル基、1−ヘプテニル基、2−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、5−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、1−オクテニル基、2−オクテニル基、3−オクテニル基、4−オクテニル基、5−オクテニル基、6−オクテニル基、7−オクテニル基、1−シクロヘキセニル基、2−シクロヘキセニル基または3−シクロヘキセニル基が好ましい。
で表されるアルキニル基は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルキニル基、分岐状アルキニル基または環状アルキニル基のいずれであってもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、通常2〜60(環状アルキニル基の場合、通常3〜60)であり、好ましくは2〜20(環状アルキニル基の場合、3〜20)である。
で表されるアルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、1−ヘプチニル基、2−ヘプチニル基、3−ヘプチニル基、4−ヘプチニル基、5−ヘプチニル基、6−ヘプチニル基、1−オクチニル基、2−オクチニル基、3−オクチニル基、4−オクチニル基、5−オクチニル基、6−オクチニル基、7−オクチニル基、2−シクロヘキシニル基、3−シクロヘキシニル基またはシクロヘキシルエチニル基が好ましい。
で表される1価の芳香族炭化水素基は、置換基を有してもよく、置換基の炭素原子数を含めずに、通常6〜60であり、好ましくは6〜30である。
で表される1価の芳香族炭化水素基としては、前述のArで表される(n3+2)価の芳香族炭化水素基において例示された芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する1個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることが好ましく、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、インデン、フルオレン、ベンゾフルオレン、インデノフルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、ピレン、ペリレンまたはクリセンから、環を構成する炭素原子に直接結合する1個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることがより好ましい。
で表される1価の芳香族複素環基は、置換基を有してもよく、置換基の炭素原子数を含めずに、通常2〜60であり、好ましくは3〜20である。
で表される1価の芳香族複素環基としては、後述のArで表される(n3+2)価の芳香族複素環基において例示する芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する1個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることが好ましく、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、インドールまたはカルバゾールから、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する1個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることがより好ましい。
で表される−O−Rで表される基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは0〜30である。
で表される−N(R)で表される基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは0〜60である。
で表される−S−Rで表される基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは0〜30である。
で表される−P(R)で表される基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは0〜60である。
で表される−B(−O−R)で表される基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは0〜60である。
で表される−Si(R)で表される基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは0〜90である。
で表される基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−O−Rで表される基、−N(R)で表される基、−S−Rで表される基、−N(R)で表される基、−B(−O−R)で表される基、−Si(R)で表される基が挙げられ、これらの基の定義や例は、Rで表されるこれらの基の定義や例と、同様である。
Figure 0005970952
(6)
式(6)中、Arは、(n3+2)価の芳香族複素環基を表す。
Arで表される(n3+2)価の芳香族複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜60であり、3〜30が好ましい。
Arで表される(n3+2)価の芳香族複素環基は、下記に例示される芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する(n3+2)個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることが好ましい。
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Figure 0005970952
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Figure 0005970952
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Figure 0005970952
Arで表される(n3+2)価の芳香族複素環基は、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、インドール、カルバゾール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ホスホール、ベンゾホスホール、ジベンゾホスホール、ボロール、ベンゾボロール、ジベンゾボロール、シロール、ベンゾシロール、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジンまたはベンゾチアジアゾールから、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する(n3+2)個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることがより好ましい。
Arで表される(n3+2)価の芳香族複素環基は、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、インドール、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジンまたはベンゾチアジアゾールから、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する(n3+2)個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることがさらに好ましい。
式(6)中、Rおよびn3は、前記と同じ意味を表す。
本発明の高分子化合物において、末端の構成単位以外の構成単位として、下記式(7)で表される構成単位を含んでいてもよい。
Figure 0005970952
(7)
式(7)中、n5は、0以上の整数を表し、好ましくは2以下であり、n6は、0以上の整数を表し、好ましくは2以下である。
式(7)中、Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、2価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表し、これらの基は置換基を有してもよい。ArおよびArが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
2価の芳香族炭化水素基および芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、上記式(5)におけるRで表される基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられ、これらの基は互いに結合して環を形成していてもよい。
Ar、Ar、ArおよびArで表される2価の芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、6〜30が好ましい。
Ar、Ar、ArおよびArで表される2価の芳香族炭化水素基は、上述のArで表される(n3+2)価の芳香族炭化水素基において例示された芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることが好ましい。
Ar、Ar、ArおよびArで表される2価の芳香族炭化水素基は、ベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、クオターフェニル、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、インデン、フルオレン、ベンゾフルオレン、インデノフルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、ピレン、ペリレンまたはクリセンから、環を構成する炭素原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることがより好ましい。
Ar、Ar、ArおよびArで表される2価の芳香族炭化水素基は、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ベンゾフルオレン、インデノフルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、ナフタセン、ピレン、ペリレンまたはクリセンから、環を構成する炭素原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることがさらに好ましい。
Ar、Ar、ArおよびArで表される2価の芳香族複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜60であり、3〜30が好ましい。
Ar、Ar、ArおよびArで表される2価の芳香族複素環基は、Arで表される(n3+2)価の芳香族複素環基において例示された芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることが好ましい。
Ar、Ar、ArおよびArで表される2価の芳香族複素環基は、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、インドール、カルバゾール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ホスホール、ベンゾホスホール、ジベンゾホスホール、ボロール、ベンゾボロール、ジベンゾボロール、シロール、ベンゾシロール、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジンまたはベンゾチアジアゾールから、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることがより好ましい。
Ar、Ar、ArおよびArで表される2価の芳香族複素環基は、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、インドール、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジンまたはベンゾチアジアゾールから、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合する2個の水素原子を取り除いた残りの原子団であることがより好ましい。
式(7)中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、重水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基をを表し、これらの基は置換基を有してもよい。RおよびRが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
、RおよびRで表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基は、前述のRで表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、1価の芳香族炭化水素基および1価の芳香族複素環基の定義や例と、同様である。
、RおよびRで表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、上記式(5)におけるRで表される基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられ、これらの基は互いに結合して環を形成していてもよい。
、RおよびRは、好ましくはアルキル基、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基である。
式(7)で表される構成単位としては、下記の構成単位が例示される。なお、当該構成単位は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、上記式(5)におけるRで表される基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
Figure 0005970952
本発明の高分子化合物において、末端の構成単位以外の構成単位として、下記式(8)で表される繰り返し単位を含んでいてもよい。
Figure 0005970952
(8)
式(8)中、n7は、0以上の整数を表し、好ましくは2以下である。
式(7)中、Ar、ArおよびAr10は、それぞれ独立に、2価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表し、これらの基は置換基を有してもよい。Arが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
2価の芳香族炭化水素基および芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、上記式(5)におけるRで表される基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられ、これらの基は互いに結合して環を形成していてもよい。
Ar、ArおよびAr10で表される2価の芳香族炭化水素基の定義や例は、上記のAr、Ar、ArおよびArで表される2価の芳香族炭化水素基の定義や例と、同様である。
Ar、ArおよびAr10で表される2価の芳香族複素環基の定義や例は、上記のAr、Ar、ArおよびArで表される2価の芳香族複素環基の定義や例と、同様である。
式(7)中、ZおよびZは、それぞれ独立に、−(R)C=C(R)−または−C≡C−を表し、Zが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−O−RBで表される基、−N(RB)で表される基、−S−RBで表される基、−P(RB)で表される基、−B(−O−RB)で表される基、−Si(RB)で表される基、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を表し、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−O−RBで表される基、−N(RB)で表される基、−S−RBで表される基、−P(RB)で表される基、−B(−O−RB)で表される基、−Si(RB)で表される基、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、上記式(5)におけるRで表される基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられ、これらの基は互いに結合して環を形成していてもよい。
およびRは、好ましくは、水素原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−O−RBで表される基、−N(RB)で表される基、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基である。
およびRで表されるハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−O−RBで表される基、−N(RB)で表される基、−S−RBで表される基、−P(RB)で表される基、−B(−O−RB)で表される基、−Si(RB)で表される基、1価の芳香族炭化水素基および1価の芳香族複素環基の定義や例は、上記のRで表されるハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−O−RBで表される基、−N(RB)で表される基、−S−RBで表される基、−P(RB)で表される基、−B(−O−RB)で表される基、−Si(RB)で表される基、1価の芳香族炭化水素基および1価の芳香族複素環基の定義や例と、同様である。
本実施形態の高分子化合物において、重水素原子を有する末端の構成単位以外の構成単位としては、上記の式(5)〜(8)で表される構成単位からなる群から選ばれる2種以上の構成単位を含むことが好ましい。
本実施形態の高分子化合物において、重水素原子を有する末端の構成単位以外の構成単位としては、上記の式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位の双方を含むことがより好ましい。
本実施形態の高分子化合物において、重水素原子を有する末端の構成単位以外の構成単位としては、上記の式(5)で表される構成単位および上記式(7)で表される構成単位の双方を含んでいてもよい。
本実施形態の高分子化合物において、重水素原子を有する末端の構成単位以外の構成単位としては、上記の式(7)で表される構成単位および上記式(8)で表される構成単位の双方を含んでいてもよい。
本実施形態の高分子化合物において、重水素原子を有する末端の構成単位以外の構成単位として、上記の式(5)で表される構成単位、上記式(6)で表される構成単位および上記式(7)で表される構成単位を含むことがより好ましい。
本実施形態の高分子化合物は、共役系高分子化合物であることが好ましい。
本明細書において、「共役系高分子化合物」とは、二重結合(または三重結合)と単結合が交互に連なっている高分子化合物だけではなく、実質的に共役系の広がった高分子化合物も含める。
二重結合(または三重結合)と単結合が交互に連なっている高分子化合物としては、ポリフルオレン、ポリフェニレンといった2価の芳香族炭化水素基を構成単位とするポリアリーレン;ポリチオフェン、ポリジベンゾフランといった2価の芳香族複素環基を構成単位とするポリへテロアリーレン;ポリフェニレンビニレン等のポリアリーレンビニレン、または、それらの構成単位が組み合わされた共重合体が例示される。
実質的に共役系の広がった高分子化合物とは、二重結合と単結合が交互に連なっていないが、実質的に共役がつながっている高分子化合物を表す。具体的には、トリフェニルアミン等のへテロ原子を含む構成単位を含む高分子化合物が例示される。該高分子化合物は、二重結合と単結合が交互に連なっていないが、実質的に共役がつながっているため、共役系高分子化合物とみなす。
本実施形態の高分子化合物は、共重合体である場合、如何なる共重合体であってもよく、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体またはグラフト共重合体のいずれであってもよい。
本実施形態の高分子化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)によるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常、1×10〜1×10であり、好ましくは1×10〜5×10である。また、本実施形態の高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常、1×10〜1×10であり、成膜性が良好になり、かつ、高分子化合物を用いて製造される発光素子の輝度寿命がより優れるので、好ましくは5×10〜1×10である。
発光素子を作製するための様々なプロセスに対する耐久性が優れ、かつ、発光素子の耐熱性が良好となるので、本実施形態の高分子化合物のガラス転移温度は、70℃以上であることが好ましい。
本実施形態の高分子化合物を用いた発光素子は、輝度寿命に優れた高性能の発光素子である。したがって、該発光素子は、液晶ディスプレイのバックライト、照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置等に有用である。さらに、本実施形態の高分子化合物は、レーザー用色素、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体、導電性薄膜、有機半導体薄膜等の伝導性薄膜用材料、蛍光や燐光を発する発光性薄膜材料としても用いることができる。
(重水素原子を有する末端の構成単位の原料モノマーの製造方法)
本発明の高分子化合物の製造において、重水素原子を有する原料モノマーは、和光純薬工業、アルドリッチ(Aldrich)、CDN−アイソトープス(CDN−Isotopes)等から入手可能である。
また、上記以外の入手方法として、例えば、WO2009/096555、WO2008/066158、WO04/060831、WO04/011400、WO2009/005069、WO2002/47440、WO2010/114583等に記載の公知の方法により製造することも可能である。
(末端の構成単位以外の構成単位の製造方法)
本発明の高分子化合物の製造において、末端の構成単位以外の構成単位の製造方法は、公知の重合反応を用いて合成することができる。なお、末端の構成単位以外の構成単位は、重水素原子を有していてもよい。
上記の重合方法は、付加重合、縮合重合またはこれらの組み合わせのいずれであってもよいが、好ましくは縮合重合である。
付加重合としては、アニオン重合、カチオン重合またはラジカル重合等の公知の重合方法を用いることができる。
縮合重合としては、例えば、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第109巻,897−1091頁(2009年)等に記載の公知の重合方法を用いることができる。なお、末端の構成単位以外の構成単位の原料モノマーとして、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第109巻,897−1091頁(2009年)等に記載の公知の化合物を用いることもできる。
縮合重合としては、Suzuki反応、Yamamoto反応およびBuchwald反応等の遷移金属を触媒として用いるカップリング反応により重合させる方法、並びに、Gilch反応、Wittig反応およびKnoevenagel反応等の遷移金属を用いない反応により重合させる方法が好ましく、遷移金属を触媒として用いるカップリング反応により重合させる方法がより好ましい。
カップリング反応により重合させる方法としては、Suzuki反応、Yamamoto反応、Stille反応、Buchwald反応、Hiyama反応、Ullmann反応、Heck反応、Negishi反応、Kumada反応、Glaser反応、Sonogashira反応により重合させる方法が好ましく、Suzuki反応、Yamamoto反応、Buchwald反応により重合させる方法がより好ましい。
付加重合と縮合重合の組み合わせとしては、例えば、US2002/0045719A1等に記載の方法が例示される。
(高分子化合物の製造方法)
本発明の高分子化合物の製造方法は、特に限定されないが、末端の構成単位以外の構成単位の原料モノマーと、重水素原子を有する末端の構成単位の原料モノマーと、を反応させることにより、重水素原子を有する末端の構成単位を形成することが好ましい。
例えば、本発明の高分子化合物を付加重合により製造する場合においては、開始剤および停止剤の少なくとも一方に重水素原子を有する末端の構成単位の原料モノマーを用いることにより、重水素原子を有する末端の構成単位を形成することができる。また、付加重合により末端の構成単位以外の構成単位を形成し、次いで後述する後処理により処理した後、さらに重水素原子を有する末端の構成単位の原料モノマーとを反応させることにより、重水素原子を有する末端の構成単位を形成することもできる。
例えば、本発明の高分子化合物を縮合重合により製造する場合においては、末端封止剤に重水素原子を有する末端の構成単位の原料モノマーを用いることにより、重水素原子を有する末端の構成単位を形成することができる。該末端封止剤と、末端の構成単位以外の構成単位との反応はいつ行ってもよく、重合中または重合後が好ましい。
前記重合後には、上記縮合重合により末端の構成単位以外の構成単位を形成し、次いで後述する後処理により処理した後も含まれる。
末端の構成単位以外の構成単位の原料モノマーと、重水素原子を有する末端の構成単位の原料モノマーと、の反応としては、Suzuki反応、Yamamoto反応およびBuchwald反応等の遷移金属を触媒として用いるカップリング反応、並びに、Wittig反応およびKnoevenagel反応等の遷移金属を用いない反応を用いることができ、遷移金属を触媒として用いるカップリング反応が好ましく、Suzuki反応、Yamamoto反応、Stille反応、Buchwald反応、Hiyama反応、Ullmann反応、Heck反応、Negishi反応、Kumada反応、Glaser反応、Sonogashira反応がより好ましく、Suzuki反応、Yamamoto反応、Buchwald反応がさらに好ましい。
重合反応の後処理は、公知の方法で行うことができ、例えば、分液により水溶性不純物を除去する方法や、メタノール等の低級アルコールに重合反応後の反応液を加えて、析出させた沈殿を濾過、乾燥させる方法等を、単独または組み合わせて行うことができる。
本実施形態の高分子化合物の純度が低い場合には、再結晶、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製すればよいが、本実施形態の高分子化合物を発光素子の製造に用いる場合、その純度が発光特性等の発光素子の性能に影響を与えることがあるため、縮合重合後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
(組成物)
本発明の組成物は、本発明の高分子化合物と、正孔輸送性材料、電子輸送性材料および発光材料からなる群から選ばれる少なくとも一種の材料と、を含有する組成物である。
正孔輸送性材料としては、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)およびその誘導体等が挙げられる。その他にも、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第109巻,897−1091頁(2009年)に記載された正孔輸送性材料も挙げられる。
正孔輸送性材料の含有量は、組成物中の本発明の高分子化合物100重量部に対して、好ましくは1〜500重量部、より好ましくは5〜200重量部である。
電子輸送性材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、アントラセンおよびその誘導体等が挙げられる。その他にも、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第109巻,897−1091頁(2009年)に記載された電子輸送性材料も挙げられる。
電子輸送性材料の含有量は、組成物中の本発明の高分子化合物100重量部に対して、好ましくは1〜500重量部であり、より好ましくは5〜200重量部である。
発光材料としては、蛍光発光材料、燐光発光材料等が挙げられる。
蛍光発光材料の例としては、ナフタレン誘導体、アントラセンおよびその誘導体、ペリレンおよびその誘導体、ポリメチン系色素、キサンテン系色素、クマリン系色素、シアニン系色素等の色素類、8−ヒドロキシキノリンを配位子として有する金属錯体、8−ヒドロキシキノリン誘導体を配位子として有する金属錯体、その他の蛍光性金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンおよびその誘導体、テトラフェニルブタジエンおよびその誘導体、スチルベン系、含ケイ素芳香族系、オキサゾール系、フロキサン系、チアゾール系、テトラアリールメタン系、チアジアゾール系、ピラゾール系、メタシクロファン系、アセチレン系等の低分子化合物の蛍光性材料、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第109巻,897−1091頁(2009年)等に記載の高分子化合物の蛍光材料が挙げられる。その他にも、特開昭57−51781号公報、特開昭59−194393号公報等に記載された発光材料も挙げられる。
燐光発光材料の例としては、イリジウム錯体、白金錯体等の三重項発光錯体が挙げられる。
三重項発光錯体としては、例えば、イリジウムを中心金属とするIr(ppy)、BtpIr(acac)、FIrpic、COM−1、COM−2、COM−3、COM−4、COM−5、COM−6、COM−7、COM−8、アメリカンダイソース社から市販されているADS066GE等のイリジウム錯体、白金を中心金属とするPtOEP等の白金錯体、ユーロピウムを中心金属とするEu(TTA)phen等のユーロピウム錯体等の低分子化合物が挙げられる。これらの三重項発光錯体は、以下の化学式で表されるものである。
Figure 0005970952
Figure 0005970952
また、燐光発光材料として、例えば、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第109巻,897−1091頁(2009年)等に記載の高分子化合物の燐光発光材料も挙げられる。
発光材料の含有量は、組成物中の本発明の高分子化合物100重量部に対して、好ましくは1〜500重量部であり、より好ましくは5〜200重量部である。
本発明の組成物は、本発明の高分子化合物と、溶媒と、を含有する組成物(以下、「液状組成物」ということがある。)であってもよく、好ましくは本発明の高分子化合物を有機溶媒に溶解または分散させた組成物である。このような液状組成物は、インク、ワニスとも呼ばれる。本発明の液状組成物は、後述するように、発光素子に使用する有機薄膜を形成する際に好適に使用することができる。なお、本発明の液状組成物には、上記の正孔輸送性材料、電子輸送性材料および発光材料からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料を更に含有していてもよい。
本発明の組成物は、その他の物質が含有されていてもよい。その他の物質としては、酸化防止剤、粘度調整剤、界面活性剤等が挙げられる。
ここで、有機溶媒としては、本発明の高分子化合物が溶解または分散する限り、特に限定されないが、以下の有機溶媒(以下、「溶媒群」ということがある。)が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶媒:トルエン、キシレン(各異性体またはそれらの混合物)、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、メシチレン(1,3,5−トリメチルベンゼン)、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、2−フェニルブタン、tert−ブチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ネオペンチルベンゼン、イソアミルベンゼン、ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、3−プロピルトルエン、4−プロピルトルエン、1−メチル−4−プロピルベンゼン、1,4−ジエチルベンゼン、1,4−ジプロピルベンゼン、1,4−ジ−tert−ブチルベンゼン、インダン、テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン)等。
脂肪族炭化水素系溶媒:n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、デカリン等。
芳香族系エーテル系溶媒:アニソール、エトキシベンゼン、プロポキシベンゼン、ブチロキシベンゼン、ペンチルオキシベンゼン、シクロペンチルオキシベンゼン、ヘキシルオキシベンゼン、シクロヘキシルオキシベンゼン、ヘプチルオキシベンゼン、オクチルオキシベンゼン、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、4−エチルアニソール、4−プロピルアニソール、4−ブチルアニソール、4−ペンチルアニソール、4−ヘキシルアニソール、ジフェニルエーテル、4−メチルフェノキシベンゼン、4−エチルフェノキシベンゼン、4−プロピルフェノキシベンゼン、4−ブチルフェノキシベンゼン、4−ペンチルフェノキシベンゼン、4−ヘキシルフェノキシベンゼン、4−フェノキシトルエン、3−フェノキシトルエン、1,3−ジメトキシベンゼン、2,6−ジメチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、3,5−ジメチルアニソール等。
脂肪族エーテル系溶媒:テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等。
ケトン系溶媒:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等。
エステル系溶媒:酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、エチルセルソルブアセテート等。
塩素化溶媒:塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等。
アルコール系溶媒:メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、フェノール等。
多価アルコールおよびその誘導体:エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等。
非プロトン性極性溶媒:ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等。
これらの有機溶媒は、一種単独で用いても二種以上を用いた混合溶媒として使用してもよい。混合溶媒を用いる場合、上記の溶媒群における溶媒の二種または三種以上を組み合わせることが好ましいが、上記例示の同じ系の溶媒群から複数を組み合わせても、異なる系の溶媒群から1種以上ずつを組み合わせてもよい。その組成比は、各溶媒の物性、および、高分子化合物等の溶解性を考慮して決めることができる。
上記例示の同じ系の溶媒群から複数種を選んで組み合わせる場合の好ましい例としては、芳香族炭化水素系溶媒から複数種、芳香族エーテル系溶媒から複数種が挙げられる。
上記例示の異なる系の溶媒群から1種以上ずつを選んで組み合わせる場合の好ましい例としては、以下の組み合わせが挙げられる。
芳香族炭化水素系溶媒と脂肪族炭化水素系溶媒;芳香族炭化水素系溶媒と芳香族エーテル系溶媒;芳香族炭化水素系溶媒と脂肪族エーテル系溶媒;芳香族炭化水素系溶媒と非プロトン性極性溶媒;芳香族エーテル系溶媒と非プロトン性極性溶媒等。
また、単独溶媒または混合有機溶媒に水を添加することもできる。
これらの有機溶媒のうち、ベンゼン環を含む構造を有し、融点が0℃以下であり、かつ、沸点が100℃以上である有機溶媒を一種以上含む単独溶媒または混合溶媒が、粘度および成膜性が良好であるので好ましく、なかでも芳香族炭化水素系溶媒、芳香族エーテル系溶媒を一種以上含む単独溶媒または混合溶媒がより好ましい。
有機溶媒は、一種単独で用いても二種以上を用いた混合溶媒として使用してもよいが、成膜性を制御することができるので、混合溶媒を用いることが好ましい。有機溶媒は、必要に応じ、洗浄、蒸留、吸着剤への接触等の方法により精製を行ってから使用してもよい。
上記液状組成物によれば、本発明の高分子化合物を含有する有機薄膜を容易に製造することができる。具体的には、上記液状組成物を基板上に塗布して、加熱、送風、減圧等により有機溶媒を留去することにより、本発明の高分子化合物を含有する有機薄膜が得られる。有機溶媒の留去は、使用される有機溶媒に応じて条件を変更することができ、例えば、50〜150℃での加熱または10−3Pa程度での減圧等が条件として挙げられる。
塗布には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビア法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
上記液状組成物の好適な粘度は印刷法によっても異なるが、25℃において、好ましくは0.5〜1000mPa・sであり、より好ましくは0.5〜500mPa・sである。また、インクジェット印刷法のように上記液状組成物が吐出装置を経由する場合、吐出時の目詰まりや飛行曲がりを防止するために25℃における粘度は、好ましくは0.5〜50mPa・sであり、より好ましくは0.5〜20mPa・sである。液状組成物中の本発明の高分子化合物の濃度は、限定されないが、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.1〜5重量%であることがより好ましい。
(有機薄膜)
本発明の有機薄膜は、本発明の高分子化合物を含有する有機薄膜である。本発明の有機薄膜は、上記液状組成物から容易に製造することができる。
本発明の有機薄膜の種類としては、発光性薄膜、導電性薄膜、有機半導体薄膜などが挙げられる。導電性薄膜としては、電子輸送性薄膜または正孔輸送性薄膜が挙げられる。
発光性薄膜は、発光素子の発光効率が良好になり得るので、発光量子収率が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましい。
導電性薄膜は、表面抵抗が1KΩ/□以下であることが好ましく、100Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることがさらに好ましい。導電性薄膜に、ルイス酸、イオン性化合物等をドープすることにより、電気伝導度を高めることができる。
有機半導体薄膜は、電子移動度または正孔移動度のいずれかが大きい方が、好ましくは、10−5cm/V/s以上であり、より好ましくは10−3cm/V/sであり、さらに好ましくは10−1cm/V/sである。また、有機半導体薄膜を用いて、有機トランジスタを作製することができる。具体的には、SiO等の絶縁膜とゲート電極とを形成したSi基板上に有機半導体膜を形成し、Au等でソース電極とドレイン電極を形成することにより、有機トランジスタとすることができる。
(有機トランジスタ)
本実施形態の有機トランジスタは、本実施形態の高分子化合物を含む有機トランジスタである。以下、有機トランジスタの一態様である電界効果型トランジスタを説明する。
本実施形態の高分子化合物は、高い電荷輸送性を持ち得るため、電界効果型トランジスタの材料として、中でも有機半導体層(活性層)として好適に用いることができる。電界効果型トランジスタの構造としては、通常は、ソース電極およびドレイン電極が本実施形態の高分子化合物を含有する有機半導体層(活性層)に接して設けられており、さらに有機半導体層(活性層)に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられていればよい。
電界効果型トランジスタは、通常支持基板上に形成される。支持基板としては、ガラス基板やフレキシブルなフィルム基板やプラスチック基板も用いることができる。
電界効果型トランジスタは、公知の方法、例えば、特開平5−110069号広報に記載の方法により製造することができる。
有機半導体層(活性層)を形成する際に、上記液状組成物を用いることが製造上有利であり好ましい。液状組成物(特に、本実施形態の高分子化合物を有機溶媒に溶解させた溶液)からの成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビア法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
電界効果型トランジスタを作製後、封止してなる封止電界効果型トランジスタが好ましい。これにより、電界効果型トランジスタが、大気から遮断され、電界効果型トランジスタの特性の低下を抑えることができる。
上記封止の方法としては、紫外(UV)硬化樹脂、熱硬化樹脂や無機のSiONx膜等でカバーする方法、ガラス板やフィルムをUV硬化樹脂、熱硬化樹脂等で張り合わせる方法等が挙げられる。大気との遮断を効果的に行うため電界効果型トランジスタを作製後、封止するまでの工程を大気に曝すことなく(例えば、乾燥した窒素ガス雰囲気中、真空中等で)行うことが好ましい。
(有機光電変換素子)
本実施形態の有機光電変換素子(例えば、有機太陽電池素子等)は、本実施形態の高分子化合物を含む有機光電変換素子である。
本実施形態の高分子化合物は、有機光電変換素子の材料として、中でも有機半導体と金属との界面を利用するショットキー障壁型素子の有機半導体層として、また、有機半導体と無機半導体あるいは有機半導体どうしの界面を利用するpnヘテロ接合型素子の有機半導体層として、好適に用いることができる。
さらに、ドナー・アクセプターの接触面積を増大させたバルクへテロ接合型素子における電子供与性高分子化合物、電子受容性高分子化合物として、また、高分子化合物・低分子化合物の複合系を用いる有機光電変換素子、例えば、電子受容体としてフラーレン誘導体を分散したバルクへテロ接合型有機光電変換素子の電子供与性高分子化合物として、好適に用いることができる。
有機光電変換素子の構造としては、例えば、pnヘテロ接合型素子では、オーム性電極、例えば、ITO上に、p型半導体層を形成し、さらに、n型半導体層を積層し、その上にオーム性電極が設けられていればよい。
有機光電変換素子は、通常は支持基板上に形成される。支持基板としては、ガラス基板や、フレキシブルなフィルム基板やプラスチック基板も用いることができる。
有機光電変換素子は、公知の方法、例えば、Synth.Met.,102,982(1999)に記載の方法やScience,270,1789(1995)に記載の方法により製造することができる。
(発光素子)
次に、本発明の発光素子について説明する。
本発明の発光素子は、陽極と、陰極と、該陽極および該陰極の間に存在する有機層と、を備え、上記有機層に本発明の高分子化合物を含有する。
上記有機層としては、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および電子注入層等が挙げられる。発光層は、発光する機能を有する層を意味する。正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する層を意味する。電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する層を意味する。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層といい、電子注入層と正孔注入層を総称して電荷注入層という。上記有機層は、発光層一層のみからなっていてもよく(すなわち、一層中にこれらの各層の機能が含まれる)、発光層、並びに正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および電子注入層から選ばれる層からなる多層構造であってもよい。
本発明の高分子化合物を含有する有機層は、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および電子注入層からなる群より選ばれる1種以上の層であることが好ましい。
本発明の高分子化合物を含有する有機層が発光層である場合には、発光層がさらに正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、添加剤等を含んでいてもよい。ここで、発光材料とは、蛍光または燐光を発する材料を意味する。
本発明の高分子化合物を含有する有機層が、本発明の高分子化合物と正孔輸送性材料と、を含有する場合には、本発明の高分子化合物100重量部に対して、正孔輸送性材料の含有量は、通常1〜500重量部であり、好ましくは5〜200重量部である。
本発明の高分子化合物を含有する有機層が、本発明の高分子化合物と電子輸送性材料とを含有する場合には、本発明の高分子化合物100重量部に対して、電子輸送性材料の含有量は、通常1〜500重量部であり、好ましくは5〜200重量部である。
本発明の高分子化合物を含有する有機層が、本発明の高分子化合物と発光材料とを含有する場合には、本発明の高分子化合物100重量部に対して、発光材料の含有量は、通常、1〜500重量部であり、好ましくは5〜200重量部である。
正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料は、公知の低分子量の化合物、三重項発光錯体、高分子量の化合物が使用できる。
高分子量の化合物としては、WO99/13692、WO99/48160、GB2340304A、WO00/53656、WO01/19834、WO00/55927、GB2348316、WO00/46321、WO00/06665、WO99/54943、WO99/54385、US5777070、WO98/06773、WO97/05184、WO00/35987、WO00/53655、WO01/34722、WO99/24526、WO00/22027、WO00/22026、WO98/27136、US573636、WO98/21262、US5741921、WO97/09394、WO96/29356、WO96/10617、EP0707020、WO95/07955、特開2001−181618号公報、特開2001−123156号公報、特開2001−3045号公報、特開2000−351967号公報、特開2000−303066号公報、特開2000−299189号公報、特開2000−252065号公報、特開2000−136379号公報、特開2000−104057号公報、特開2000−80167号公報、特開平10−324870号公報、特開平10−114891号公報、特開平9−111233号公報、特開平9−45478号公報に記載されているフルオレンジイル基を構成単位とする重合体および共重合体(以下、「(共)重合体」という。)、アリーレン基を構成単位とする(共)重合体、アリーレンビニレン基を構成単位とする(共)重合体、2価の芳香族アミン残基を構成単位とする(共)重合体等が挙げられる。
低分子量の化合物としては、ナフタレン誘導体、アントラセンおよびその誘導体、ペリレンおよびその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系等の色素類、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンおよびその誘導体、テトラフェニルブタジエンおよびその誘導体が挙げられ、具体的には、特開昭57−51781号公報、特開昭59−194393号公報に記載されている化合物が挙げられる。
三重項発光錯体としては、上記の三重項発光錯体が使用できる。
発光層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、より好ましくは5nm〜200nmであり、さらに好ましくは50nm〜150nmである。
発光層の形成方法としては、上記液状組成物からの成膜による方法が挙げられる。液状組成物からの成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができるが、パターン形成や多色の塗分けが容易であるので、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法が好ましい。
本発明の発光素子としては、陰極と発光層との間に電子輸送層を設けた発光素子、陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた発光素子、陰極と発光層との間に電子輸送層を設け、かつ、陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた発光素子が挙げられる。本実施形態の発光素子において、本発明の高分子化合物は、発光層に含まれることが好ましい。
このような発光素子の構造としては、以下のa)〜d)の構造が例示される。なお、「/」は、その前後の層が隣接して積層していることを示す(例えば、「陽極/発光層」とは、陽極と発光層とが隣接して積層していることを示す。以下同じ。)。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
また、これら構造の各々について、発光層と陽極との間に、発光層に隣接して正孔輸送層を設けてもよい。このような発光素子の構造としては、以下のa’)〜d’)の構造が例示される。
a’)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
b’)陽極/正孔輸送層/正孔輸送層/発光層/陰極
c’)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
d’)陽極/正孔輸送層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
本実施形態の発光素子が正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層には、正孔輸送性材料が含まれる。正孔輸送性材料(高分子量の化合物、低分子量の化合物のいずれであってもよい。)としては、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミン構造を有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)およびその誘導体等や、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているものが例示される。
これらの中でも、高分子量の化合物としては、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミン構造を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)およびその誘導体が好ましく、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミン構造を有するポリシロキサン誘導体がより好ましい。
これらの中でも、低分子量の化合物としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体が好ましい。これらの低分子量の化合物は、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
上記高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害せず、可視光に対する吸収が強くない化合物が好ましく、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)およびその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンが例示される。
ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体は、例えば、ビニルモノマーからカチオン重合またはラジカル重合によって得られる。
ポリシランおよびその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
ポリシロキサンおよびその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖または主鎖に上記低分子量の正孔輸送性の構造を有する化合物が好ましく、正孔輸送性の芳香族アミン構造を側鎖または主鎖に有する化合物がより好ましい。
正孔輸送層の成膜の方法としては、低分子量の化合物を用いる場合には、高分子バインダーとの液状組成物からの成膜による方法が例示され、高分子量の化合物(本実施形態の高分子化合物を含む。)を用いる場合には、上記の液状組成物からの成膜による方法が例示される。
液状組成物からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送性材料を溶解または均一に分散できるものが好ましい。溶媒としては、上記本発明の液状組成物の項目で説明したものが挙げられる。
液状組成物からの成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
正孔輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適切な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2〜500nmであり、より好ましくは5〜200nmである。
本実施形態の発光素子が電子輸送層を有する場合、電子輸送層には、上記の電子輸送性材料(高分子量の化合物、低分子量の化合物のいずれであってもよい)が含まれる。電子輸送性材料としては、公知のものが使用できるが、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体等や、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報に記載されている化合物が例示され、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜法としては、低分子量の化合物を用いる場合には、粉末からの真空蒸着法、または液状組成物もしくは溶融状態からの成膜による方法が例示され、高分子量の化合物を用いる場合には、液状組成物または溶融状態からの成膜による方法が例示される。液状組成物または溶融状態からの成膜による方法では、上記高分子バインダーを併用してもよい。
液状組成物からの成膜に用いる溶媒は、電子輸送性材料と、必要に応じて高分子バインダーと、を溶解または均一に分散できる溶媒が好ましい。溶媒としては、上記本発明の液状組成物の項目で説明したものが挙げられる。
液状組成物または溶融状態からの成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
電子輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適切な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2〜500nmであり、より好ましくは5〜200nmである。
正孔注入層、電子注入層は、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、発光素子の駆動電圧を下げる効果を有するものである。
電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して電荷注入層または絶縁層(通常、平均の厚さで0.5〜4.0nmであり、以下、同じである)を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。
積層する層の順番や数および各層の厚さは、発光素子の発光効率や素子寿命を勘案して調整すればよい。
電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた本実施形態に係る発光素子としては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた発光素子、陽極に隣接して電荷注入層を設けた発光素子が挙げられる。このような発光素子の構造としては、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
これらの構造の各々について、発光層と陽極との間に、発光層に隣接して正孔輸送層を設ける構造も例示される。
電荷注入層としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層等が挙げられる。
電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、導電性高分子の電気伝導度は、1×10−5〜1×10S/cmであることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、1×10−5〜1×10S/cmがより好ましく、1×10−5〜1×10S/cmがさらに好ましい。通常、導電性高分子の電気伝導度をこのような範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープする。
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンとしては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオン等が例示され、カチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが例示される。
電荷注入層に用いる材料としては、電極や隣接する層の材料との関係で選択すればよく、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体等の導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニン等)、カーボンが例示される。
絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。絶縁層を設けた発光素子としては、陰極に隣接して絶縁層を設けた発光素子、陽極に隣接して絶縁層を設けた発光素子が挙げられる。
このような発光素子の構造としては、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/絶縁層/陰極
s)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
t)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
v)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
w)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
y)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
z)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
ab)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
これらの構造の各々について、発光層と陽極との間に、発光層に隣接して正孔輸送層を設ける構造も例示される。
本発明の発光素子を形成する支持基板は、電極を形成し、有機層を形成する際に化学的に変化しないものであればよく、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン等の材料からなるものが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明または半透明であることが好ましい。
本発明の発光素子が有する陽極および陰極の少なくとも一方は、通常、透明または半透明であるが、陽極側が透明または半透明であることが好ましい。
陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられ、具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、および、それらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性化合物を用いて作製された膜、NESA、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。陽極として、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。陽極を2層以上の積層構造としてもよい。
陽極の厚さは、光の透過性と電気伝導度とを考慮して選択することができるが、例えば、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、より好ましくは30〜500nmである。
陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボン等からなる層;金属酸化物、金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる絶縁層を設けてもよい。
陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、またはそれらのうち2種以上の合金、またはそれらのうち1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金、並びにグラファイトおよびグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
陰極の厚さは、電気伝導度や耐久性を考慮して調整すればよく、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、より好ましくは50〜500nmである。
陰極の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、または、金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機層との間に、導電性高分子からなる層、または金属酸化物、金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均の厚さが2nm以下の層を設けてもよく、陰極形成後、発光素子を保護する保護層を装着していてもよい。発光素子を長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するための保護層および/または保護カバーを装着することが好ましい。
保護層としては、高分子量の化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物等を用いることができる。保護カバーとしては、金属板、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板等を用いることができ、保護カバーを熱硬化樹脂や光硬化樹脂で発光素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、発光素子の損傷を防ぐことが容易である。空間に窒素ガスやアルゴンガスのような不活性ガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を空間内に設置することにより、発光素子の製造工程で吸着した水分または硬化樹脂を通り抜けて浸入する微量の水分が素子に損傷を与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、1種以上の方策を採ることが好ましい。
図1は、第1実施形態に係る発光素子(上記(p)の構成を有する発光素子)の模式断面図である。図1に示す発光素子100は、基板10と、該基板10上に形成された陽極11、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14、電子輸送層15、電子注入層16および陰極17と、を有している。陽極11は、基板10と接するように基板10上に設けられており、陽極11の基板10とは反対側には、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14、電子輸送層15、電子注入層16および陰極17が、この順で積層されている。正孔輸送層13には、本実施形態の高分子化合物が含まれる。
図2は、第2実施形態に係る発光素子(上記(h)の構成を有する発光素子)の模式断面図である。図2に示す発光素子110は、基板10と、該基板10上に形成された陽極11、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14および陰極17と、を有している。陽極11は、基板と接するように基板10上に設けられており、陽極11の基板10と反対側には、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14および陰極17が、この順で積層されている。正孔輸送層13には、本実施形態の高分子化合物が含まれる。
本実施形態の高分子化合物を含有する発光素子は、曲面状光源、平面状光源等の面状光源(例えば、照明);セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置(例えば、ドットマトリックスのフラットディスプレイ)、液晶表示装置(例えば、液晶表示装置、液晶ディスプレイのバックライト)等の表示装置等に有用である。また、本実施形態の高分子化合物は、これらの作製に用いられる材料として好適である以外にも、レーザー用色素、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体、導電性薄膜、有機半導体薄膜等の伝導性薄膜用材料、蛍光を発する発光性薄膜材料、高分子電界効果トランジスタの材料等としても有用である。
本実施形態の発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、上記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、陽極もしくは陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号等を表示できるセグメント表示装置が得られる。
さらに、ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法や、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダー等の表示装置として用いることができる。
図3は、本実施形態に係る面状光源の模式断面図の一例である。図3に示す面状光源200は、基板20と、陽極21と、正孔注入層22と、発光層23と、陰極24と、保護層25と、から構成されている。陽極21は、基板20と接するように基板20上に設けられており、陽極21の基板20と反対側には、正孔注入層22、発光層23および陰極24がこの順で積層されている。保護層25は、基板20上に形成された陽極21、電荷注入層22、発光層23および陰極24を全て覆うように、かつ、端部で基板20と接するように、形成されている。発光層23には、上記高分子化合物が含まれる。
図3に示した面状光源200は、発光層23以外の発光層をさらに複数有する構成とし、それぞれの発光層に赤色発光材料、青色発光材料および緑色発光材料を用い、それぞれの発光層の駆動を制御することで、カラー表示装置とすることができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(島津製作所製、商品名:LC−10Avp)を用いて以下の測定条件により求めた。測定する高分子化合物を、約0.05重量%の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに10μL注入した。GPCの移動相としてテトラヒドロフランを用い、2.0mL/分の流速で流した。カラムとして、PLgel MIXED−B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:RID−10A)を用いた。
NMRの測定は、測定試料5〜20mgを約0.5mLの有機溶媒に溶解させて、NMR(バリアン(Varian,Inc.)製、商品名:INOVA300)を用いて行った。
LC−MSの測定は、以下の方法で行った。測定試料を1〜10mg/mLの濃度になるように適切な有機溶媒(クロロホルム、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン等)に溶解させて、LC−MS(アジレント・テクノロジー製、商品名:1100LCMSD)にて測定し、解析した。LC−MSの移動相には、イオン交換水、アセトニトリル、テトラヒドロフランまたはそれらの混合液を用い、必要に応じて酢酸を添加した。カラムは、L−column 2 ODS(3μm)(化学物質評価研究機構製、内径:4.6mm、長さ:250mm、粒子径3μm)を用いた。
化合物MT1および化合物MT2は、それぞれ、Aldrich社およびBoron Molecular社から購入した。
Figure 0005970952
<合成例1:化合物MB1の合成>
化合物MB1は、特開2010―189620号公報に記載の方法に従って合成した。
Figure 0005970952
<合成例2:化合物MB2の合成>
化合物MB2は、WO02/045184に記載の方法に従って合成した。
Figure 0005970952
<合成例3:化合物MB3の合成>
化合物MB3は、特開2010―189630号公報に記載の方法に従って合成した。
Figure 0005970952
<合成例4:化合物MB4の合成>
化合物MB4は、WO2002/045184に記載の方法に従って合成した。
Figure 0005970952
<合成例5:化合物MB5の合成>
化合物MB5は、WO2011/049241に記載の方法に従って合成した。
Figure 0005970952
<合成例6:化合物MB6の合成>
化合物MB6は、WO2002/045184に記載の方法に従って合成した。
Figure 0005970952
<合成例7:配位子ML1の合成>
化合物ML1は、特開2005―99481号公報に記載の方法に従って合成した。
Figure 0005970952
<合成例8:金属錯体ME1の合成>
Figure 0005970952
反応容器に、配位子ML1(20.00g、74.79mmol)および塩化イリジウム三水和物(11.93g、33.83mmol)を量り取り、反応容器内の気体をアルゴンガスで置換した。次いで、2−エトキシエタノール(180mL)および水(60mL)を加え、反応容器内をアルゴンガス気流下とした後、101〜102℃で20時間還流した。放冷後、得られた混合物をろ別し、残渣を水(400mL)、メタノール(200mL)、ヘキサン(200mL)の順で洗浄し、その後乾燥させることにより、金属錯体ME1−1(22.49g)を得た。
反応容器に、金属錯体ME1−1(22.49g、14.79mmol)および配位子ML1(19.77g、73.95mmol)を量り取り、反応容器内の気体をアルゴンガスで置換した。次いで、ジグライム(128mL)およびトリフルオロメタンスルホン酸銀(7.60g、29.58mmol)を加え、反応容器内をアルゴンガス気流下とした後、148〜150℃で5時間撹拌した。その後、トリフルオロメタンスルホン酸銀(7.60g、29.58mmol)を追加し、更に12時間攪拌した。放冷後、得られた反応混合物に水(600mL)を加え、生じた沈澱をろ別した。ろ別した沈澱をトルエン(500mL)に溶解させ、ろ過した。得られたろ液を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過、濃縮することで溶媒を留去した。得られた残渣をヘキサンとトルエンからなる混合溶媒(ヘキサン/トルエン=3/1(体積基準))に溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、溶媒を留去した。得られた残渣をメタノール(200mL)で洗浄し、その後乾燥させた。得られた固体を、トルエンとアセトニトリルからなる混合溶媒(トルエン/アセトニトリル=1.0/4.8(体積基準))を用いて結晶化させ、得られた結晶をろ別した。得られた固体をメタノールで洗浄し、その後乾燥させることにより、金属錯体ME1(14.30g、14.42mmol)を得た。
LC−MS(APCI, positive) m/z : 992([M+H])
H NMR(300MHz,CDCl);δ(ppm)=0.88(m,9H)、 1.22(m,30H)、 1.44(m,6H)、 2.35(t,J=7.5Hz,6H)、 6.69(m,6H)、 6.78(t,J=6.0Hz,3H)、 7.47(m,9H)、 7.77(d,J=6.0Hz,3H).
<合成例9:高分子化合物HT1の合成>
高分子化合物HT1は、WO2011/049241に記載の方法に従って合成した。高分子化合物HT1のポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量は、それぞれ、Mn=8.9×10およびMw=4.2×105であった。
Figure 0005970952
<実施例1:高分子化合物PM1−1の合成>
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物MB1(1.4652g、2.94mmol)、化合物MB2(1.3163g、2.40mmol)、化合物MB3(0.3813g、0.60mmol)およびトルエン(40mL)を混合し、約80℃に加熱した。次いで、酢酸パラジウム(0.74mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4.23mg)および20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(10.6g)を加えた後、オイルバスで更に加熱しながら、110℃の還流下において6時間攪拌した。その後、化合物MT1(76.2mg)、酢酸パラジウム(0.71mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4.23mg)および20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(10.6g)を加え、110℃の還流下で17時間攪拌した。その後、5重量%N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム水溶液(16.9g)を加え、約85℃で2時間攪拌した。冷却後、得られた有機層を、3.6重量%塩酸で2回、2.5重量%アンモニア水溶液で2回、イオン交換水で4回の順番で洗浄した。得られた有機層をメタノールに滴下することで生じた沈殿を濾取し、乾燥して固体を得た。得られた固体をトルエンに溶解させ、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムに通液させた。得られた溶液をメタノールに滴下することで生じた沈殿をろ取した後、乾燥して、高分子化合物PM1−1を得た(1.76g)。
高分子化合物PM1−1のポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量は、それぞれ、Mn=4.82×10およびMw=1.27×10であった。
高分子化合物PM1−1の合成時の仕込みモノマーの比率、および、高分子化合物PM1−1の数平均分子量から、高分子化合物PM1−1の構造は、下記式(PM1−1)と推定される。
Figure 0005970952
上記式(PM1−1)より、高分子化合物PM1−1のTDは、1となる。また、高分子化合物PM1−1の重合度は74.10であるため、高分子化合物PM1−1のBDは0となり、PDは0.002となる。
<比較例1:高分子化合物PM1−2の合成>
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物MB1(1.4652g、2.94mmol)、化合物MB2(1.3163g、2.40mmol)、化合物MB3(0.3813g、0.60mmol)およびトルエン(40mL)を混合し、約80℃に加熱した。次いで、酢酸パラジウム(0.73mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4.22mg)および20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(10.6g)を加えた後、オイルバスで更に加熱しながら、110℃の還流下において6時間攪拌した。その後、フェニルボロン酸(73.2mg)、酢酸パラジウム(0.71mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4.24mg)および20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(10.6g)を加え、110℃の還流下において17時間攪拌した。その後、5重量%N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム水溶液(16.9g)を加え、約85℃で2時間攪拌した。冷却後、得られた有機層を、3.6重量%塩酸で2回、2.5重量%アンモニア水溶液で2回、イオン交換水で4回の順番で洗浄した。得られた有機層をメタノールに滴下することで生じた沈殿を濾取し、乾燥して固体を得た。得られた固体をトルエンに溶解させ、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムにトルエン溶液を通液させた。得られた溶液をメタノールに滴下することで生じた沈殿を濾取した後、乾燥して、高分子化合物PM1−2を得た(2.46g)。
高分子化合物PM1−2のポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量は、それぞれ、Mn=5.11×10およびMw=1.34×10であった。
高分子化合物PM1−2の合成時の仕込みモノマーの比率、および、高分子化合物PM1−2の数平均分子量から、高分子化合物PM1−2の構造は、下記式(PM1−2)と推定される。
Figure 0005970952
上記式(PM1−2)より、高分子化合物PM1−2のTDは、0となる。また、高分子化合物PM1−2の重合度は78.56であるため、高分子化合物PM1−2のBDは0となり、PDは0となる。
<実施例2:液状組成物PM1−1Aの製造>
クロロベンゼン溶媒中に、高分子化合物PM1−1を1.0重量%の濃度で溶解させ、液状組成物PM1−1Aを調製した。
<比較例2:液状組成物PM1−2Aの製造>
クロロベンゼン溶媒中に、高分子化合物PM1−2を1.0重量%の濃度で溶解させ、液状組成物PM1−2Aを調製した。
<実施例3:液状組成物PM1−1Bの製造>
液状組成物PM1−1Aと、クロロベンゼン溶媒中に1.0重量%の濃度で溶解させた金属錯体ME1の溶液と、を重量比で、高分子化合物PM1−1:金属錯体ME1=70:30となるように混合して、液状組成物PM1−1Bを調製した。
<比較例3:液状組成物PM1−2Bの製造>
液状組成物PM1−2Aと、クロロベンゼン溶媒中に1.0重量%の濃度で溶解させた金属錯体ME1の溶液と、を重量比で、高分子化合物PM1−2:金属錯体ME1=70:30となるように混合して、液状組成物PM1−2Bを調製した。
<実施例4:発光素子1−1Aの製造と評価>
スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を成膜したガラス基板に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plextronics社製)をスピンコート法により50nmの厚みで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱し、正孔注入層を形成した。
上記の正孔注入層上に、キシレン溶媒中に0.7重量%の濃度で溶解させた高分子化合物HT1の溶液をスピンコート法により20nmの厚みで成膜した。その後、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱し、正孔輸送層を形成した。
上記の正孔輸送層上に、液状組成物PM1−1Aをスピンコート法により80nmの厚みで成膜した。その後、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で130℃、10分間加熱し、発光層を形成した。
上記の発光層上に、陰極としてフッ化ナトリウムを約5nm、次いでアルミニウムを約120nm蒸着して、発光素子1−1Aを作製した。なお、真空度が、1×10−4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。
発光素子1−1Aに電圧を印加したところ、この素子から主に高分子化合物PM1−1に由来する495nmにピークを有するEL発光が得られた。
発光素子1−1Aを、初期輝度が200cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度半減寿命評価を行った。その結果を表1に示す。
<比較例4:発光素子1−2Aの製造と評価>
実施例4における液状組成物PM1−1Aに代えて、液状組成物PM1−2Aを用いたこと以外は、実施例4と同様にして、発光素子1−2Aを作製した。
発光素子1−2Aに電圧を印加したところ、この素子から主に高分子化合物PM1−2に由来する495nmにピークを有するEL発光が得られた。
発光素子1−2Aを、初期輝度が200cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度半減寿命評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0005970952
上記表1中、「相対輝度半減寿命A」とは、下記式(α−1)で表される。
(相対輝度半減寿命A)=(実施例4の輝度半減寿命時間)/(比較例4の輝度半減寿命時間) (α−1)
<実施例5:発光素子1−1Bの製造と評価>
実施例4における液状組成物PM1−1Aに代えて、液状組成物PM1−1Bを用いたこと以外は、実施例4と同様にして、発光素子1−1Bを作製した。
発光素子1−1Bに電圧を印加したところ、この素子から主に金属錯体ME1に由来する510nmにピークを有するEL発光が得られた。
発光素子1−1Bを、初期輝度が2000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度半減寿命評価を行った。その結果を表2に示す。
<比較例5:発光素子1−2Bの製造と評価>
実施例4における液状組成物PM1−1Aに代えて、液状組成物PM1−2Bを用いたこと以外は、実施例4と同様にして、発光素子1−2Bを作製した。
発光素子1−2Bに電圧を印加したところ、この素子から主に金属錯体ME1に由来する510nmにピークを有するEL発光が得られた。
発光素子1−2Bを、初期輝度が2000cd/mとなるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度半減寿命評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0005970952
上記表2中、「相対輝度半減寿命B」とは、下記式(α−2)で表される。
(相対輝度半減寿命B)=(実施例5の輝度半減寿命時間)/(比較例5の輝度半減寿命時間) (α−2)
10…基板、11…陽極、12…正孔注入層、13…正孔輸送層、14…発光層、15…電子輸送層、16…電子注入層、17…陰極、20…基板、21…陽極、22…正孔注入層、23…発光層、24…陰極、25…保護層、100…発光素子、110…発光素子、200…面状光源。

Claims (10)

  1. 下記式(3)で表される重水素原子を有する末端の構成単位を有し、下記式(5)で表される構成単位を含む高分子化合物であって、
    該重水素原子を有する末端の構成単位の重水素原子率(以下、TDと表す。)と末端の構成単位以外の構成単位の平均重水素原子率(以下、BDと表す。)と、が下記式(1)を満たす、高分子化合物。
    0≦BD<TD≦1 (1)
    Figure 0005970952
    (3)
    [式中、
    Ar は、(m1+n1+1)価の芳香族炭化水素基または(m1+n1+1)価の芳香族複素環基を表す。
    は、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−O−R A で表される基、−N(R A ) で表される基、−S−R A で表される基、−P(R A ) で表される基、−B(−O−R A ) で表される基または−Si(R A ) で表される基を表し、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。R が複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。R A は、水素原子、重水素原子、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を表し、R A が複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
    Dは、重水素原子を表す。
    n1及びm1は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。ただし、m1が0の場合、n1は1以上の整数であり、かつ、R で表される基は重水素原子を有する。
    *は、末端の構成単位以外の構成単位との結合位置を表す。]
    Figure 0005970952
    (5)
    [式中、
    Ar は、(n3+2)価の芳香族炭化水素基を表す。
    は、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−O−R B で表される基、−N(R B ) で表される基、−S−R B で表される基、−P(R B ) で表される基、−B(−O−R B ) で表される基、−Si(R B ) で表される基、1価の芳香族炭化水素基または1価の複素環基を表し、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。R が複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。R B は、水素原子、重水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、1価の芳香族炭化水素基または1価の複素環基を表し、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。R B が複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
    n3は、0以上の整数を表す。]
  2. 前記高分子化合物の全構成単位の平均重水素原子率(以下、PDと表す。)が、下記式(2)を満たす、請求項1に記載の高分子化合物。
    0<PD≦0.1 (2)
  3. 前記Arが、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、インデノフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、チオフェン、ピロール、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、インドールまたはカルバゾールから、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合した(m1+n1+1)個の水素原子を取り除いた残りの原子団を表す、請求項1または2に記載の高分子化合物。
  4. 前記重水素原子を有する末端の構成単位が、下記式(4)で表される構成単位である、請求項に記載の高分子化合物。
    Figure 0005970952
    (4)
    [式中、
    は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、Rは重水素原子で置換されてもよく、Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
    m2及びn2は、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。ただし、m2が0の場合、n2が1以上の整数であり、かつ、Rが重水素原子を有する。
    Dおよび*は、前記と同じ意味を表す。]
  5. 前記Arが、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ベンゾフルオレン、インデノフルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、ナフタセン、ピレン、ペリレンまたはクリセンから、環を構成する炭素原子に直接結合する(n3+2)個の水素原子を取り除いた残りの原子団である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子化合物。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の高分子化合物と、
    正孔輸送性材料、電子輸送性材料および発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料と、を含有する組成物。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の高分子化合物と、溶媒と、を含有する組成物。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する、有機薄膜。
  9. 陽極と、陰極と、該陽極および該陰極の間に有機層と、を有し、
    該有機層が、請求項に記載の有機薄膜である、発光素子。
  10. 請求項に記載の発光素子を用いた、面状光源または表示装置。
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