JP5970847B2 - 圧電トランスを用いた電源装置 - Google Patents

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本発明は圧電トランスを用いた、1次側と2次側が絶縁された電源装置に関し、小型化が可能で、かつ低電圧出力でも安定に動作する圧電トランスを用いた電源装置に関するものである。
絶縁された電力を供給する電源装置として、巻線式トランスを用いた電源装置が知られている。しかし、巻線式トランスは小型化が困難、可燃性がある、絶縁劣化によるトラブルが生じ易いという欠点があるので、圧電トランスを用いた電源装置が用いられることがある。このような電源装置は、例えばレコーダの絶縁電源に用いられる。
圧電トランスは、圧電セラミックスの圧電効果と逆圧電効果の組み合わせを利用した素子である。圧電トランスの1次側に交流電圧を印加すると機械振動が生じ、この機械振動が2次側に伝搬して圧電効果による電荷が発生する。この現象を用いて、入力電圧より高圧で、かつ絶縁された電圧を発生させることができる。
特許文献1には、圧電トランスを用いた圧電トランスコンバータの発明が記載されている。以下、図4を用いてこの発明の概要を説明する。図4において、駆動回路11には直流電源10から電力が供給され、またV/Fコンバータ12の出力が入力される。駆動回路11は、V/Fコンバータ12の出力周波数で圧電トランス13の1次側を駆動する。圧電トランス13の2次側に発生した電圧は整流平滑回路14で直流電圧に変換され、負荷15に供給される。
圧電トランス13の1次側に供給される電圧と電流は電圧検出回路16と電流検出回路17で検出される。位相検出回路18は、電圧検出回路16が検出した電圧と電流検出回路17が検出した電流の位相差が0になるように、V/Fコンバータ12の出力周波数を制御する。
圧電トランス13のゲインは、共振周波数のときに最大になる特性を有する。このため、電圧と電流の位相差が0になるように圧電トランス13を駆動すると、圧電トランス13を最大力率で動作させることができる。
特許文献2には、圧電トランスを用いた他の電源装置が記載されている。以下、図5を用いてこの発明の概要を説明する。図5において、入力整流部20は交流電源Vinを整流して直流電源に変換し、この直流電源を圧電トランス駆動部21に供給する。圧電トランス駆動部21は圧電トランス22、23の1次側を駆動する。圧電トランス22、23の2次側に発生した電圧は出力整流部24で直流電源に変換され、負荷25に供給される。
電圧差演算部26には圧電トランス22の静電誘導電圧信号および設定基準電圧が入力される。電圧差演算部26は圧電トランス22の静電誘導電圧信号から検出出力電圧を生成し、この検出出力電圧と設定基準電圧の差電圧を駆動電圧制御部27に出力する。駆動電圧制御部27は、入力された差電圧に基づいて圧電トランス22、23の入力に印加される駆動電圧のデューティー比を制御する。
発振部28には圧電トランス22の静電誘導電圧信号が入力される。発振部28は、静電誘導電圧信号が入力されないときは自励振し、デューティー比50%の矩形波を出力する。また、静電誘導電圧信号入力されると、この電圧信号の周波数で発振する矩形波を出力する。この矩形波は、圧電トランス駆動部21に出力される。このような構成により、小型でかつ安定に動作する電源装置を実現することができる。
実開平4−58085号公報 特開2008−72827号公報
しかしながら、このような圧電トランスを用いた電源装置には、次のような課題があった。
図4の電源装置は、圧電トランス13に供給する電圧と電流を検出し、この電圧と電流の位相差が0になるようにV/Fコンバータ12を制御しなければならないので、構成が複雑になってしまうという課題があった。
図5の電源装置は圧電トランスを2個用いなければならないので、小型化が難しいという課題があった。
また、圧電トランスと基板間の静電容量や、圧電トランスと圧電トランスを収納する筐体間の静電容量を用いて、圧電トランス22の静電誘導電圧信号を1次側に帰還するようにしているが、圧電トランスと基板間、あるいは圧電トランスと筐体間の間隔を制御することは難しい。このため、容量値が大きくばらつき、帰還電圧信号が小さくなる低電圧出力の電源では、静電容量のばらつきによって1次側に帰還される電圧が小さくなり、発振が不可能になることがあるという課題もあった。
本発明の目的は、小型化が可能であり、かつ低電圧出力の電源でも安定に動作する、1次側と2次側が絶縁された電源装置を実現することにある。
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
1次側端子と1対の2次側端子を備え、1次側端子に印加された電圧を絶縁して2次側端子に出力する圧電トランスと、
前記圧電トランスの1次側端子に電圧を出力する駆動部と、
前記圧電トランスの2次側端子に出力される電圧を整流、平滑し、直流電圧に変換して出力する整流平滑部と、
2つの入力端子を具備し、これらの入力端子に印加された電圧の差電圧に関連する電圧を、前記駆動部に出力する差動増幅部と、
前記圧電トランスの1対の2次側端子の一方にその一端が接続され、他端が前記差動増幅部の入力端子の一方に接続される第2のコンデンサと、
前記圧電トランスの1対の2次側端子の他方にその一端が接続され、他端が前記差動増幅部の入力端子の他方に接続される第3のコンデンサと、
を具備したものである。小型化が可能であり、かつノイズに影響されない。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記第2のコンデンサ、または前記第3のコンデンサのうち少なくとも1つとして、プリント基板の配線層を用いて形成したコンデンサを用いたものである。部品点数を削減できる。
本発明によれば以下のような効果がある。
請求項1および2の発明によれば、駆動部によって圧電トランスの1次側に電圧を印加し、2次側に発生した交流電圧を整流、平滑して直流電圧に変換すると共に、コンデンサを介して、前記圧電トランスの2次側の電圧を前記駆動部に入力するようにした。
圧電トランスの数を1つにすることができるので、電源装置を小型化することができ、かつコンデンサを用いて圧電トランスの2次側電圧を駆動部に帰還するので、低電圧出力の電源装置でも安定に動作するという効果がある。
また、圧電トランスの2次側電圧を駆動部に入力して帰還するようにしたので、圧電トランスの共振周波数で自励振する。このため、圧電トランスの駆動周波数を決定する発振器や、圧電トランスの駆動周波数を共振周波数に合わせ込む要素が不要になるので、部品点数を少なくすることができる。このため、小型化が可能になり、かつ安価に製作できるという効果もある。
また、圧電トランスの2次側端子と駆動部の入力端子との間に増幅部を配置することにより、簡単に駆動部に入力する電圧を調整できるという効果もある。
また、2つの2次側端子を有する圧電トランスを用い、2次側電圧の差電圧を駆動部に入力することにより、2次側端子と接地間に発生するノイズの影響を除去することができるという効果もある。
さらに、圧電トランスの2次側電圧を駆動部に入力するコンデンサとして、プリント基板の配線層間に形成されたコンデンサを用いることにより、部品点数を更に削減できるという効果もある。
本発明の一実施例を示した構成図である。 コンデンサの構成を示した図である。 本発明の他の実施例を示した構成図である。 従来の圧電トランスを用いた電源装置の構成図である。 従来の圧電トランスを用いた電源装置の構成図である。
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係る圧電トランスを用いた電源装置の一実施例を示した構成図である。
図1において、30は圧電トランスであり、1次側端子A、Bおよび2次側端子C、Dの4つの端子を有している。1次側端子A、B間に交流電圧を印加すると機械振動が発生し、この機械振動が2次側に伝搬して、圧電効果によって2次側端子C、Dに交流電圧が発生する。
31は駆動部であり、圧電トランス30の1次側端子A、B間に駆動電圧を印加する。この駆動電圧は圧電トランス30によって変圧され、2次側端子C、Dに出力される。
32は整流平滑部であり、圧電トランス30の2次側端子C、Dに発生する交流電圧を整流平滑して直流電圧に変換し、出力する。整流平滑部32の出力端子の一方を2次側の接地端子とする。
33は負荷部であり、整流平滑部32で整流、平滑された直流電圧が印加される。負荷部33は絶縁された電源を必要とする装置であり、例えばレコーダの入力部のアンプがある。
34はコンデンサであり、その一端は圧電トランスの2次側端子Cに接続される。35は増幅部であり、その入力端子はコンデンサ34の他端に接続される。増幅部35は入力された電圧を増幅して駆動部31に出力する。駆動部31は、増幅部35の出力電圧に関連する電圧を圧電トランス30の1次側端子A、Bに出力する。コンデンサ34は第1のコンデンサに相当する。
次に、この実施例の動作を説明する。圧電トランス30の1次側端子A、Bに印加された電圧によって2次側端子C、Dに電圧が発生する。この電圧はコンデンサ34、増幅部35、駆動部31を経由して圧電トランス30に帰還される。
特許文献1の第1図に記載されているように、圧電トランスはコンデンサ、インダクタ、抵抗等の等価回路で表され、共振特性を有している。この共振特性と前述した帰還動作により、図1の電源装置は圧電トランス30の共振周波数で自励振する。
駆動部31に電源が投入されると、圧電トランス30の1次側端子A、B間の電圧が変化し、この変化のために2次側端子C、Dに電圧が発生する。この電圧はコンデンサ34、増幅部35、駆動部31を経由して圧電トランス30の1次側端子A、Bに帰還され、1次側端子A、Bの電圧は更に変化する。この動作が繰り返され、最終的に圧電トランス30の共振周波数で自励振する。このため、圧電トランス30の1次側に供給される電力を絶縁、変圧して、負荷部33に供給することができる。
この実施例は、圧電トランスを1つのみ使用する。また、圧電トランスの共振周波数で自励振するので、圧電トランスを駆動する信号を作るための発振器や、圧電トランスの共振周波数に合わせ込む回路が不要になる。このため、部品点数が少なくなるので、小型化が可能になり、かつ安価に製作できるという特徴がある。
コンデンサ34として市販の高耐圧コンデンサを用いることができるが、プリント基板の配線層間容量を利用したコンデンサを用いることもできる。図2にこの実施例を示す。図2において、(A)はプリント基板の断面図、(B)は平面図である。
図2において、40はフェノール樹脂等で構成された基板、41、42は基板40の両面に形成された銅箔である。(B)に示すように、銅箔41、42は長方形の形状を有し、基板40の両面に位置を合わせて形成される。銅箔41、42は近接して配置されているので、静電容量を有している。この銅箔41、42をコンデンサ34として用いると、部品点数を更に削減することができる。
基板40の厚さや誘電率、およびその上に形成される銅箔の位置や大きさは管理されているので、銅箔41、42で形成されるコンデンサの容量のばらつきは小さくなる。従って、低電圧出力の電源装置であっても安定した発振が可能になる。
なお、図2では両面プリント基板を用いた例を示したが、多層(3層以上)プリント基板を用い、隣接する配線層に銅箔41、42を形成するようにしてもよい。
図3に、本発明の他の実施例を示す。なお、図1と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。
図3において、50は2つの入力端子を有する差動増幅部であり、その出力は駆動部31に入力される。51はコンデンサであり、その一端は圧電トランス30の2次側端子Cに、他端は差動増幅部50の一方の入力端子に接続される。52はコンデンサであり、その一端は圧電トランスの2次側端子Dに、他端は差動増幅部50の他方の入力端子に接続される。
コンデンサ51、52は市販のコンデンサや図2のプリント基板上に形成したコンデンサを用いることができる。コンデンサ51は第2のコンデンサに相当し、コンデンサ52は第3のコンデンサに相当する。
圧電トランス30の2次側端子C、Dは、1対の出力端子に相当する。2次側端子C、Dの電圧は、それぞれコンデンサ51、52を経由して差動増幅部50に入力される。差動増幅部50は入力された2つの電圧の差電圧を演算し、駆動部31に出力する。なお、電源装置の動作は図1実施例と同じなので、説明を省略する。
圧電トランス30の1次側端子と接地間、および2次側端子と接地間に加えられたノイズ電圧は、コモンモード電圧として差動増幅部50に入力される。このコモンモード電圧は差動増幅部50によって除去されるので、帰還動作に影響を与えることはない。差動増幅部50としてコモンモードリジェクション特性が高い増幅器を用いることにより、ノイズ電圧が重畳しても、安定した発振動作を実現できる。
なお、図1実施例で増幅部35を用いないで、コンデンサ34の他端を直接駆動部31の入力端子に接続するようにしてもよい。但し、増幅部50を用いると、この増幅部50のゲインを変えるだけで駆動部31に入力する電圧を変えることができるので、調整が簡単になる。
また、増幅部35は、入力された電圧を増幅するだけでなく、減衰して駆動部31に出力するものであってもよい。
さらに、図3実施例において、差動増幅部50は入力された信号の差電圧を増幅して出力するだけでなく、差電圧をそのまま出力するか、減衰するものであってもよい。
30 圧電トランス
31 駆動部
32 整流平滑部
33 負荷部
34、51、52 コンデンサ
35 増幅部
40 基板
41、42 銅箔
50 差動増幅部
A、B 1次側端子
C、D 2次側端子

Claims (2)

  1. 1次側端子と1対の2次側端子を備え、1次側端子に印加された電圧を絶縁して2次側端子に出力する圧電トランスと、
    前記圧電トランスの1次側端子に電圧を出力する駆動部と、
    前記圧電トランスの2次側端子に出力される電圧を整流、平滑し、直流電圧に変換して出力する整流平滑部と、
    2つの入力端子を具備し、これらの入力端子に印加された電圧の差電圧に関連する電圧を、前記駆動部に出力する差動増幅部と、
    前記圧電トランスの1対の2次側端子の一方にその一端が接続され、他端が前記差動増幅部の入力端子の一方に接続される第2のコンデンサと、
    前記圧電トランスの1対の2次側端子の他方にその一端が接続され、他端が前記差動増幅部の入力端子の他方に接続される第3のコンデンサと、
    を具備したことを特徴とする圧電トランスを用いた電源装置。
  2. 前記第2のコンデンサ、または前記第3のコンデンサのうち少なくとも1つとして、プリント基板の配線層を用いて形成したコンデンサを用いたことを特徴とする請求項1に記載の圧電トランスを用いた電源装置。
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