JP5970222B2 - 熱電発電装置 - Google Patents

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本発明は、熱電変換モジュールを用いて高温側と低温側の温度差から発電する熱電発電装置に関する。
従来、熱電変換素子のゼーベック効果又はペルチェ効果を利用して、熱エネルギーを電気エネルギーに、又は電気エネルギーを熱エネルギーに直接変換する熱電変換モジュールが知られている。
一般的な熱電変換モジュールの構成を図1に示す。図1に示すように、熱電変換モジュール10は、熱電素子であるp型半導体111とn型半導体112を金属電極113によって「π」型に接続した熱電素子対11を、多数集合させて電気的に直列に接続し、2枚の絶縁基板(例えばセラミックス基板)12、13で狭持した構成を有する。
この平板状の熱電変換モジュール10を、一方の面(例えば絶縁基板12)が高温側、他方の面(例えば絶縁基板13)が低温側となるように配置して両面間に温度差を与えると、起電力が生じる。この電力は、熱電変換モジュール10に接続された電流リード14、15を介して取り出される。逆に、電流リード14、15を介して熱電変換モジュール10に電流を流すと、一方の面(例えば絶縁基板12)で発熱が生じ、他方の面(例えば絶縁基板13)で吸熱が生じる。
特許文献1、2には、このような熱電変換モジュール10を用いた熱電変換装置が提案されている。特に、熱電変換モジュール10を用いて発電する装置は、熱電発電装置と呼ばれる。
熱電変換モジュールは、可動部(機械的な駆動部分)を持たず構造が簡単であるため、摩耗劣化などの心配がなく信頼性・耐久性に優れる、メンテナンスが容易である、小型化・軽量化が容易で適用場所の制限が少ない、という利点がある。そして、このような利点を有することから、大量の熱が排出される工業炉(電気炉や燃焼炉等、各種産業分野で溶解、精錬、加熱等の工程で使用される炉)にも比較的容易に設置することができる。
この熱電変換モジュールを用いた熱電発電装置は、二酸化炭素を排出することもなく、廃熱を回収してエネルギー源として再利用することができる技術として、環境保全や省エネルギーの観点から非常に注目されている。
熱電発電装置を工業炉に設置する場合、熱電変換モジュールの高温側となる面(以下、加熱面)を加熱する一方で、低温側となる面(以下、冷却面)を冷却し、両端面間に温度差を生じさせる必要がある。また、工業炉の炉壁は、炉内の高温保持性及び安全性の観点から断熱性が高くなっているため、炉壁の外面に熱電変換モジュールの加熱面を密着させても、炉内の熱エネルギーを効率よく取り出すことはできない。
そこで、図2に示すように、炉壁100に形成された開口100aを受熱板20で閉塞し、この受熱板20に熱電変換モジュール10の加熱面を接触させて熱電変換モジュール10を取り付ける手法が採用されている。受熱板20には、一般に熱伝導率の高い硬質板材が用いられる。
ここで、熱電発電装置5において、受熱板20から熱電変換モジュール10に効率よく熱が伝達されるためには、両者が密着して固体間で熱伝導が行われることが望ましい。そのため、両者の接触面には平面仕上げ加工が施され、両者が密着するようになっている。
かかる手法によれば、炉内の熱が受熱板20で吸熱され、熱電変換モジュール10の加熱面に伝達されるので、加熱面が効率よく加熱される。また、受熱板20により炉内の高温ガスが遮蔽され、熱電変換モジュール10の冷却面側に回り込まないため、加熱面と冷却面に大きな温度差が生じる。したがって、熱電発電装置5は、効率よく発電することができる。
また、熱電発電装置に関する技術として、特許文献3には、熱電変換モジュールに対して受熱板を分割して配置した熱電発電装置が開示されている。特許文献4、5には、受熱板と熱電変換モジュールの間に密着性の高い伝熱シート(シリコーン、エポキシ樹脂、グラファイト)を介装させた熱電発電装置が開示されている。
特開2009−200249号公報 特開2007−73889号公報 特許第4751322号公報 特開2005−353621号公報 特開2011−14737号公報
しかしながら、実際に熱電発電装置5を工業炉などに設置して稼働させた場合、受熱板20が熱変形(熱膨張)により湾曲し、両者の密着状態が損なわれる虞がある(図3参照)。受熱板20の一方の面は高温である炉内に面し、他方の面は熱電変換モジュール10を介して水冷板30によって冷却されることとなり、両面間に極めて大きな温度差が生じるためである。この場合、熱電変換モジュール10と受熱板20との間に生じた隙間が断熱層となり、受熱板20から熱電変換モジュール10への伝熱が大幅に阻害されるため、熱電発電装置5の発電効率が著しく低下してしまう。
また、受熱板20と熱電変換モジュール10の間に発生する隙間は、熱歪みによるものだけではなく、表面仕上げ精度、表面の傷等、さまざまな要因によるものが含まれる。これらの様々な要因を考慮すると、隙間の大きさは数μmオーダーから数mmオーダーまで広範となる。
特許文献3のように、熱電変換モジュール10に対して受熱板20を分割して配置すれば、一分割単位当たりの隙間(空気層)は低減されると考えられるが、分割数には限度があるため、数十μmオーダーの隙間を排除することは困難である。
また、特許文献4、5のように、受熱板20と熱電変換モジュール10の間に伝熱シートを介装させれば、受熱板20と熱電変換モジュール10の密着性は高まるが、受熱板20が熱変形して生じる数mmオーダーの隙間を排除することは困難である。
このように、従来の熱電発電装置5は、受熱板20と熱電変換モジュール10の間に生じる隙間の影響を少なからず受けるため、さらなる改善の余地がある。
本発明の目的は、受熱板と熱電変換モジュール間及び水冷板と熱電変換モジュール間における界面熱抵抗を低減でき、発電効率の向上を図ることができる熱電発電装置を提供することである。
本発明に係る熱電発電装置は、熱源に向けて配置される一枚の受熱板と、
一方の面を前記受熱板に向けて配置され、前記一方の面と他方の面との温度差を利用して発電出力を得る一つの熱電変換モジュールと、
前記熱電変換モジュールの他方の面に、密着、固定して取り付けられる一枚の水冷板と、
前記水冷板及び前記熱電変換モジュールからなる複合体の周縁部に配置され、前記複合体を前記受熱板に付勢する付勢部材と、を備え、
前記受熱板又は前記複合体の何れか一方が分割構造を有し
前記受熱板と前記熱電変換モジュールの間に柔軟層が介装されていることを特徴とする。
本発明によれば、受熱板と熱電変換モジュール間及び水冷板と熱電変換モジュール間における界面熱抵抗が低減されるので、高い発電効率を有する熱電発電装置が実現される。
熱電変換モジュールの構成を示す図である。 従来の熱電発電装置の稼働前の状態を示す図である。 従来の熱電発電装置の稼働時の状態を示す図である。 第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係る熱電発電装置の断面図である。 第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係る熱電発電装置の稼働時の状態を示す図である。 第3の実施の形態及び第4の実施の形態に係る熱電発電装置の断面図である。 第3の実施の形態及び第4の実施の形態に係る熱電発電装置の稼働時の状態を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態では、DIPフォーミング方式(真空中で銅母線の周囲に溶銅を付着凝固させ、銅線を製造する製法)の銅線製造設備を構成する予熱炉(銅を予め加熱する炉、炉内温度:約850℃)、溶解炉(銅を溶融する炉、炉内温度:1000℃以上)、保持炉(溶融した銅を貯留する炉、炉内温度:1000℃以上)のうち、予熱炉に熱電発電装置を設置する場合について説明する。
[第1の実施の形態]
図4は、第1の実施の形態の熱電発電装置の断面図である。なお、図4では熱電発電装置1を炉壁100に取り付けた状態を示している。また、熱電変換モジュール10として、440×440mmサイズのものを用いるものとする。
図4に示すように、熱電発電装置1は、熱電変換モジュール10、受熱板20、水冷板30、及び付勢部材50等が、ケース60内に収容された構成を有する。第1の実施の形態に係る熱電発電装置1においては、受熱板20が2つの受熱板20A、20Bに分割されている。
熱電発電装置1において、ケース60は、熱電変換モジュール10等を収容する箱状の収容部61と、収容部61の低温側開口61aから外側に張り出すフランジ部62と、収容部61の高温側開口61bに形成される中枠63を有する。
収容部61は、炉壁100に形成された開口100aとほぼ同一形状の外形を有する。収容部61の底面は額縁状に形成され、高温側開口61bから受熱板20が炉内に臨むようになっている。また、中枠63は、収容部61の底面に架設され、高温側開口61bを複数の区画に分割(例えば均等に4分割)する。
熱電変換モジュール10は、加熱面10aと冷却面10bとの温度差を利用して発電出力を得ることができる平板状のモジュールである。熱電変換モジュール10は、図1に示すように、熱電素子であるp型半導体111とn型半導体112を金属電極113によって「π」型に接続した熱電素子対11を、多数集合させて電気的に直列に接続し、高温側絶縁基板12、低温側絶縁基板13で狭持した構成を有する。高温側絶縁基板12が受熱板20に対向して配置され、低温側絶縁基板13が水冷板30に対向して配置される。
p型半導体111、n型半導体112には、例えば酸化物系の化合物半導体が好適である。酸化物系半導体は適用温度が高く、1000℃近い高温環境下でも動作させることができるためである。一例として、p型半導体としてはCa3Co49を適用でき、n型半導体としてはLaNiO3を適用できる。
なお、高温側絶縁基板12を設けないハーフスケルトン型の熱電変換モジュールを適用することもできる。
低温側絶縁基板13は、従来のように耐熱性・絶縁性が高く、取り扱い性に優れたカプトンテープ(商品名)で構成してもよいが、Al23板又はAlN板で構成するのが望ましい。Al23及びAlNは、カプトンテープよりも熱伝導率が高く、熱電変換モジュール10の発電効率を向上できるためである。
低温側絶縁基板13としてAl23板を用いた熱電変換モジュール10と、カプトンテープを用いた熱電変換モジュール10について、発電効率を評価した結果を表1に示す。ここでは、熱電変換モジュール10の加熱面10aを700℃に保持し、冷却面10bを20℃に保持したときの開放電圧を測定し、発電効率を評価した。
表1に示すように、低温側絶縁基板13としてAl23板を用いた場合、厚さがカプトンテープの13倍であるにもかかわらず、熱抵抗はカプトンテープの1/10程度であり、発電効率を示す開放電圧は25%程度向上した。
Figure 0005970222
また、AlNの熱伝導率は、Al23の6〜10倍であるため、低温側絶縁基板13にAlN板を用いることで発電効率はさらに向上する。
このように、Al23及びAlNは、カプトンテープに比較して厚く、取扱性が悪いが、発電効率を圧倒的に改善できることから、本実施の形態では低温側絶縁基板13として採用している。なお、低温側絶縁基板13は、薄いほど熱抵抗が小さくなるため、取扱性を考慮して最低限の強度を保持できる範囲で薄くするのが望ましい。
受熱板20は、熱電変換モジュール10の高温側絶縁基板12に接触して配置され、熱電変換モジュール10の加熱面10aを加熱する。受熱板20は、熱電変換モジュール10の加熱面10aよりも一回り大きく、ケース60の収容部61とほぼ同一形状を有する。また、受熱板20の熱電変換モジュール10の加熱面10aとの接触面(以下、モジュール接触面)には、平面加工処理が施される。具体的には、受熱板20のモジュール接触面は、JIS B 0601に規定されている算術平均粗さRa(以下、表面粗さ)が100μm以下であることが望ましい。熱電変換モジュール10との密着性を高めるためである。また、稼働時の受熱板10の全体の最大そり量は500μm以下であることが望ましい。
受熱板20は、熱膨張率が3.0×10-6〜18.0×10-6/℃で、熱伝導率が29.3〜62.8W/(m・K)であることが、熱変形及び熱伝導効率の面から望ましい。このような熱膨張率、熱伝導率を有する材料としては、例えば炭化珪素(熱膨張率:4.5×10-6/℃、熱伝導率:40.0W/(m・K))が好適である。
また、受熱板20は、中枠63で区画されたそれぞれの開口に対応して配置される2つの受熱板20A、20Bに分割されている。受熱板20A、20Bの周縁部は、それぞれケース60の底面と中枠63によって炉内側から支持される。
このように、熱電変換モジュール10と水冷板30からなる一つの複合体25に対して受熱板20を分割して設けることにより、受熱板20に生じる熱歪みが低減される。したがって、稼働時に受熱板20と熱電変換モジュール10の間に隙間が生じにくくなり、生じたとしても数百μmオーダー以下に抑制される。
440×440mmサイズの熱電変換モジュール10に対して受熱板20を分割して設けた場合に、熱電変換モジュール10と受熱板20の間に生じる隙間を計算した結果を表2〜4に示す。表2は受熱板20を400℃で加熱した場合、表3は受熱板20を600℃で加熱した場合、表4は受熱板20を800℃で加熱した場合について示している。
表2〜4に示すように、受熱板20の面分割が細かいほど隙間による熱抵抗は低減され、32分割した110×55mmサイズでは、元の440×440mmサイズの1/31になる。
Figure 0005970222
Figure 0005970222
Figure 0005970222
また、受熱板20と熱電変換モジュール10は、柔軟層40を介して圧着される。第1の実施の形態では、柔軟層40はグラファイトシートで構成される。グラファイトシートからなる柔軟層40は適度な弾塑性変形能力を有するため、受熱板20と熱電変換モジュール10の界面に生じうる数百μm以下の隙間は柔軟層40により埋められる。また、稼働時に受熱板20が熱変形しても、変形量が微量であれば、柔軟層40が受熱板20の変形に追随して弾塑性変形する。
したがって、稼働時に受熱板20が熱変形しても、受熱板20と熱電変換モジュール10間に隙間が生じることはなく、界面熱抵抗が増大するのを防止できる。熱電変換モジュール10の加熱面10aは効率的に加熱され、冷却面10bとの間で大きな温度差が得られるので、熱電変換モジュール10の発電効率は格段に向上する。
例えば、受熱板20A、20Bの対角線の長さが90〜160mmである場合、受熱板20と熱電変換モジュール10の間に生じる隙間が数百μmとなるので(表2〜4参照)、グラファイトシートからなる柔軟層40を設けることにより隙間が生じるのを防止できる。
また、柔軟層40をグラファイトシートで構成する場合、その厚さは0.2〜2.0mmであることが望ましい。これにより、受熱板20A、20Bと熱電変換モジュール10との間の界面熱抵抗を効果的に低減することができる。
水冷板30は、熱電変換モジュール10の低温側絶縁基板13に接触して配置され、熱電変換モジュール10の冷却面10bを冷却する。水冷板30は、例えば、金属製の板材に水を流通させるパイプを埋設した構成を有する。冷却機構としての水冷板30を設け、これに所定の流量で水を流すことにより、熱電変換モジュール10の冷却面10bを所定の温度に冷却することができる。
熱電変換モジュール10の低温側絶縁基板13と水冷板30は、例えば熱伝導性のグリースを介して圧着される。これにより、低温側絶縁基板13と水冷板30の熱膨張率差による変形に対応することができる。
また、水冷板30と熱電変換モジュール10との間に、グラファイトシートや六方晶系窒化ホウ素等からなる柔軟層(図示略)を介装させてもよい。これにより、水冷板30の変形や表面粗さに起因して隙間が生じても、柔軟層が追従して弾塑性変形するので、水冷板30と熱電変換モジュール10間に隙間が生じることはなく、界面熱抵抗が増大するのを防止できる。熱電変換モジュール10の冷却面10bは効率的に加熱され、冷却面10bとの間で大きな温度差が得られるので、熱電変換モジュール10の発電効率は格段に向上する。
付勢部材50は、受熱板20A、20Bに対して熱電変換モジュール10を付勢するとともに、熱電変換モジュール10に対して水冷板30を付勢する部材であり、例えば圧縮コイルばねを適用できる。付勢部材50は、受熱板20A、20Bに対して複合体25を効果的に付勢できるように、例えば水冷板30の周縁部(例えば矩形の4隅)及び中央部に配置される。
付勢部材50を設けることにより、受熱板20A、20Bと熱電変換モジュール10との密着性、及び熱電変換モジュール10と水冷板30との密着性を高めることができる。また、付勢部材50を圧縮コイルばねで構成することにより、付勢力を容易に制御することができる。
第1の実施の形態の熱電発電装置1を組み立てる場合、ケース60の収容部61に受熱板20A、20B、熱電変換モジュール10、水冷板30を順に配置する。受熱板20A、20Bと熱電変換モジュール10の間には柔軟層40を介装する。そして、付勢部材50を固定した補強梁70を水冷板30の背面(熱電変換モジュール10と接触する面と反対の面)に配置し、両端をケース60にねじ止めする。受熱板20A、20B、熱電変換モジュール10、水冷板30は、弾性保持された状態で固定される。
このとき、付勢部材50による付勢力は24〜64kPaであることが望ましい。これにより、稼働時に受熱板20A、20Bが熱変形しても、受熱板20A、20Bに対して複合体25(熱電変換モジュール10)が押圧されて両者の密着状態が確保されるので、受熱板20A、20Bと熱電変換モジュール10間の界面熱抵抗が増大するのを効果的に防止できる。
組み立てられた熱電発電装置1は、予熱炉の炉壁100に形成された開口100aに設置される。予熱炉には、炉内を点検するためのメンテナンスハッチが設けられているので、これを開口100aとして利用することができる。
具体的には、炉壁100の開口100aにケース60の収容部61を嵌合させるとともに、フランジ部62を炉壁100にねじ止めすることにより、熱電発電装置1が炉壁100に取り付けられる。熱電変換モジュール10の加熱面10aが高温側である炉内に向き、冷却面10bが低温側である炉外に向いた状態となる。
ケース60に形成された高温側開口61bは受熱板20によって完全に閉塞されている(すなわち炉壁100に形成された開口100aが受熱板20A、20Bによって閉塞されている)ので、炉内の高温ガスが熱電変換モジュール10の冷却面10b側に回り込むことはない。
予熱炉において銅材が加熱されると、このときに発生する熱が、受熱板20A、20Bによって吸収され、熱電変換モジュール10に伝達される。これにより、熱電変換モジュール10の加熱面10aが高温(例えば700℃)に加熱される。一方、熱電変換モジュール10の冷却面10bは水冷板30によって低温(例えば80℃)に保持される。
熱電変換モジュール10の両面間には数百℃の温度差が生じ、この温度差に応じて起電力が生じる。この電力は、熱電変換モジュール10に接続された電流リード14、15を介して取り出される(図1参照)。
このように、第1の実施の形態に係る熱電発電装置1は、炉壁100に形成された開口100aを閉塞する受熱板20と、加熱面10a(一方の面)を受熱板20に向けて配置され、加熱面10aと冷却面10b(他方の面)との温度差を利用して発電出力を得る熱電変換モジュール10と、熱電変換モジュール10の冷却面10bに、密着、固定して取り付けられる水冷板30と、水冷板30及び熱電変換モジュール10からなる複合体25を受熱板20に付勢する付勢部材50を備える。
また、受熱板20は2つの受熱板20A、20Bに分割され、受熱板20と熱電変換モジュール10の間にグラファイトシートからなる柔軟層40が介装されている。
図5に示すように、稼働時には、受熱板20A、20Bは熱変形(熱膨張)により少なからず湾曲する。従来の熱電発電装置5においては、この隙間が断熱層となり、受熱板20から熱電変換モジュール10への伝熱が大幅に阻害されるため、発電効率が著しく低下していた(図3参照)。
これに対して、第1の実施の形態の熱電発電装置1においては、受熱板20が受熱板20A、20Bに分割されているので、稼働時に受熱板20A、20Bと熱電変換モジュール10の間に隙間が生じにくくなり、生じたとしても数百μmオーダー以下に抑制される。また、稼働時に受熱板20A、20Bが熱変形しても、グラファイトシートからなる柔軟層40が受熱板20A、20Bの変形に追随して弾塑性変形するので、受熱板20A、20Bと熱電変換モジュール10間に隙間が生じることはない。さらには、付勢部材50により、受熱板20A、20Bと熱電変換モジュール10との密着性、及び熱電変換モジュール10と水冷板30との密着性が確保される。
したがって、受熱板20A、20Bと熱電変換モジュール10間及び水冷板30と熱電変換モジュール10間における界面熱抵抗が低減されるので、熱電発電装置1の発電効率が格段に向上する。よって、第1の実施の形態の熱電発電装置1は、工業炉で発生する廃熱を回収してエネルギー源として再利用することができる技術として、極めて有効である。
[実施例1−1]
実施例1−1では、受熱板20を32分割して110×55mmサイズ(対角線長さ:123mm)とし、受熱板20と熱電変換モジュール10の間にグラファイトシートからなる柔軟層40を介装させ、付勢部材50によって受熱板20、熱電変換モジュール10、及び水冷板30を弾性保持した熱電発電装置1を作製した。
また、熱電変換モジュール10における低温側絶縁基板13はAl23板で構成し、柔軟層40の厚さは0.3mmとし、付勢部材50による付勢力は63kPaとした。また、適当な表面研磨加工を施すことにより、受熱板20のモジュール接触面の表面粗さRaを6μm、42μmとした2つの熱電発電装置1を用意した。
[比較例1−1]
比較例1−1では、実施例1−1に係る熱電発電装置1において、受熱板20を分割することなく440×440mmサイズとした。なお、比較例1−1では、ケース60の高温側開口61bは中枠63で区画されていない。また、受熱板20のモジュール接触面の表面粗さは6μmとした。
[比較例1−2]
比較例1−2では、実施例1−1に係る熱電発電装置1において、受熱板20と熱電変換モジュール10間に柔軟層40を介装させず、受熱板20と熱電変換モジュール10を直接接着した。また、適当な表面研磨加工を施すことにより、受熱板20のモジュール接触面の表面粗さRaを6μm、42μmとした2つの熱電発電装置1を用意した。
[比較例1−3]
比較例1−3では、実施例1−1に係る熱電発電装置1において、付勢部材50を用いずに、水冷板30の背面にボルト80を締め付けて固定した。また、受熱板20のモジュール接触面の表面粗さは6μmとした。
実施例1−1及び比較例1−1〜1−3の熱電発電装置について、受熱板20を850℃で加熱し、水冷板30を30℃で冷却したときの開放電圧を測定し、それぞれの発電効率を評価した。評価結果を表5に示す。
表5に示すように、実施例1−1(モジュール接触面の表面粗さが6μmのもの)と比較例1−1の評価結果より、受熱板20を分割することで発電効率を改善できることが確認された。受熱板20を分割することにより、受熱板20と熱電変換モジュール10間の界面熱抵抗が低減されたためと考えられる。
また、実施例1−1と比較例1−2の評価結果より、受熱板20と熱電変換モジュール間にグラファイトシートからなる柔軟層40を介装させることで発電効率を改善できることが確認された。グラファイトシートからなる柔軟層40を介装させることにより、受熱板20が熱変形しても、界面熱抵抗に影響を及ぼす程度の隙間が生じなかったためと考えられる。
また、実施例1−1、比較例1−2の評価結果より、受熱板20のモジュール接触面の表面粗さRaが小さいほど、開放電圧が大きくなることが確認された。受熱板20のモジュール接触面の表面粗さRaが小さいほど、受熱板20と熱電変換モジュール10間の界面熱抵抗が低減されるためと考えられる。
また、実施例1−1(モジュール接触面の表面粗さが6μmのもの)と比較例1−3の評価結果より、受熱板20、熱電変換モジュール10、及び水冷板30を、付勢部材を介して固定することで発電効率を改善できることが確認された。受熱板20、熱電変換モジュール10、及び水冷板30を弾性保持することにより、受熱板20が熱変形した際にも、受熱板20と熱電変換モジュール10間及び熱電変換モジュール10と水冷板30間の密着性が確保されたためと考えられる。
Figure 0005970222
[実施例1−2]
実施例1−2では、実施例1−1の熱電発電装置1(モジュール接触面の表面粗さRaが6μmのもの)において、付勢部材50による付勢力を、9〜66kPaとして、付勢部材50による付勢力の最適範囲を確認した。評価結果を表6に示す。
表6より、付勢部材50による付勢力が24kPa以上の場合に、46V程度の開放電圧が得られた。付勢部材50による付勢力が24kPaよりも小さいと、受熱板20が熱変形することにより受熱板20と複合体25の密着性が損なわれるため、開放電圧が若干小さくなったと考えられる。
なお、発電効率の観点からは付勢部材50による付勢力の上限は規定されないが、64kPaよりも大きいと受熱板20又は複合体25を破損させる虞があるため、付勢部材50による付勢力は64kPa以下とするのが望ましい。
Figure 0005970222
[実施例1−3]
実施例1−3では、実施例1−1の熱電発電装置1(モジュール接触面の表面粗さRaが6μmのもの)において、グラファイトシートからなる柔軟層40の厚さを、0.1〜2.5mmとして、柔軟層40の厚さの最適範囲を確認した。評価結果を表7に示す。
表7より、柔軟層40の厚さが0.2mm以上の場合に、46V程度の開放電圧が得られた。柔軟層40の厚さが0.2mmよりも薄いと、受熱板20と熱電変換モジュール10間に生じる隙間を埋める効果が低いため、受熱板20と熱電変換モジュール10間の界面熱抵抗が十分に低減されないためと考えられる。
また、柔軟層40の厚さが2.0mmを超えると、開放電圧が低下した。柔軟層40が厚いほど受熱板20A、20Bと熱電変換モジュール10との隙間を埋める効果は高まるが、逆に柔軟層40自身の熱抵抗が増大するため、発電効率が低下したと考えられる。
Figure 0005970222
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、図4における柔軟層40が六方晶系窒化ホウ素(h−BN)で構成されている。その他の構成は第1の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
すなわち、第2の実施の形態の熱電変換装置1では、受熱板20と熱電変換モジュール10は、六方晶系窒化ホウ素(h−BN)からなる柔軟層40を介して圧着される。h−BNからなる柔軟層40は適度な塑性変形能力を有するため、受熱板20と熱電変換モジュール10の界面に生じうる数百μm以下の隙間は柔軟層40により埋められる。また、稼働時に受熱板20が熱変形しても、変形量が微量であれば、柔軟層40が受熱板20の変形に追随して塑性変形する。
したがって、稼働時に受熱板20が熱変形しても、受熱板20と熱電変換モジュール10間の隙間が低減され、界面熱抵抗が増大するのを防止できる。熱電変換モジュール10の加熱面10aは効率的に加熱され、冷却面10bとの間で大きな温度差が得られるので、熱電変換モジュール10の発電効率は格段に向上する。
またh−BNは優れた耐熱性を有するので、600℃以上の高温環境下での使用にも耐えうる。
例えば、受熱板20A、20Bの対角線の長さが90〜160mmである場合、受熱板20と熱電変換モジュール10の間に生じる隙間が数百μmとなるが(表2〜4参照)、h−BNからなる柔軟層40を設けることにより隙間を低減することができる。
h−BNからなる柔軟層40は、例えばh−BN粉末を20Vol%で溶解させたエタノール溶液を受熱板20A,20Bにスプレーして塗布した後、室温で風乾することにより形成される。
柔軟層40をh−BNで構成する場合、その塗布量は1.0〜50.0g/m2であることが望ましい。これにより、受熱板20A、20Bと熱電変換モジュール10との間の界面熱抵抗を効果的に低減することができる。
また、h−BN粉末の粒径は、8.0〜12.0μmであることが望ましい。これにより、柔軟層40が受熱板20の変形に効果的に追随することが可能になる。
第2の実施の形態の熱電発電装置1を組み立てる場合、ケース60の収容部61に、背面にh−BNからなる柔軟層40を形成した受熱板20A、20B、熱電変換モジュール10、水冷板30を順に配置する。そして、付勢部材50を固定した補強梁70を水冷板30の背面(熱電変換モジュール10と接触する面と反対の面)に配置し、両端をケース60にねじ止めする。受熱板20A、20B、熱電変換モジュール10、水冷板30は、弾性保持された状態で固定される。
このとき、付勢部材50による付勢力は24〜64kPaであることが望ましい。これにより、稼働時に受熱板20A、20Bが熱変形しても、受熱板20A、20Bに対して複合体25(熱電変換モジュール10)が押圧されて両者の密着状態が確保されるので、受熱板20A、20Bと熱電変換モジュール10間の界面熱抵抗が増大するのを効果的に防止できる。
組み立てられた熱電発電装置1は、予熱炉の炉壁100に形成された開口100aに設置される。予熱炉には、炉内を点検するためのメンテナンスハッチが設けられているので、これを開口100aとして利用することができる。
具体的には、炉壁100の開口100aにケース60の収容部61を嵌合させるとともに、フランジ部62を炉壁100にねじ止めすることにより、熱電発電装置1が炉壁100に取り付けられる。熱電変換モジュール10の加熱面10aが高温側である炉内に向き、冷却面10bが低温側である炉外に向いた状態となる。
ケース60に形成された高温側開口61bは受熱板20によって完全に閉塞されている(すなわち炉壁100に形成された開口100aが受熱板20A、20Bによって閉塞されている)ので、炉内の高温ガスが熱電変換モジュール10の冷却面10b側に回り込むことはない。
予熱炉において銅材が加熱されると、このときに発生する熱が、受熱板20A、20Bによって吸収され、熱電変換モジュール10に伝達される。これにより、熱電変換モジュール10の加熱面10aが高温(例えば700℃)に加熱される。一方、熱電変換モジュール10の冷却面10bは水冷板30によって低温(例えば80℃)に保持される。
熱電変換モジュール10の両面間には数百℃の温度差が生じ、この温度差に応じて起電力が生じる。この電力は、熱電変換モジュール10に接続された電流リード14、15を介して取り出される(図1参照)。
このように、第2の実施の形態に係る熱電発電装置1は、炉壁100に形成された開口100aを閉塞する受熱板20と、加熱面10a(一方の面)を受熱板20に向けて配置され、加熱面10aと冷却面10b(他方の面)との温度差を利用して発電出力を得る熱電変換モジュール10と、熱電変換モジュール10の冷却面10bに、密着、固定して取り付けられる水冷板30と、水冷板30及び熱電変換モジュール10からなる複合体25を受熱板20に付勢する付勢部材50を備える。
また、受熱板20は2つの受熱板20A、20Bに分割され、受熱板20と熱電変換モジュール10の間に六方晶系窒化ホウ素からなる柔軟層40が介装されている。
第2の実施の形態の熱電発電装置1においては、受熱板20が受熱板20A、20Bに分割されているので、稼働時に受熱板20A、20Bと熱電変換モジュール10の間に隙間が生じにくくなり、生じたとしても数百μmオーダー以下に抑制される。また、稼働時に受熱板20A、20Bが熱変形しても、h−BNからなる柔軟層40が受熱板20A、20Bの変形に追随して塑性変形するので、受熱板20A、20Bと熱電変換モジュール10間の隙間が低減される。さらには、付勢部材50により、受熱板20A、20Bと熱電変換モジュール10との密着性、及び熱電変換モジュール10と水冷板30との密着性が確保される。
したがって、受熱板20A、20Bと熱電変換モジュール10間及び水冷板30と熱電変換モジュール10間における界面熱抵抗が低減されるので、熱電発電装置1の発電効率が格段に向上する。よって、第2の実施の形態の熱電発電装置1は、工業炉で発生する廃熱を回収してエネルギー源として再利用することができる技術として、極めて有効である。
また、h−BNは優れた耐熱性を有するので、第2の実施の形態の熱電発電層1は600℃以上の高温環境下でも使用可能となる。
[実施例2−1]
実施例2−1では、受熱板20を32分割して110×55mmサイズ(対角線長さ:123mm)とし、受熱板20と熱電変換モジュール10の間にh−BNからなる柔軟層40を介装させ、付勢部材50によって受熱板20、熱電変換モジュール10、及び水冷板30を弾性保持した熱電発電装置1を作製した。
また、熱電変換モジュール10における低温側絶縁基板13はAl23板で構成し、柔軟層40の塗布量は40g/m2とし、付勢部材50による付勢力は63kPaとした。また、適当な表面研磨加工を施すことにより、受熱板20のモジュール接触面の表面粗さRaを6μm、42μmとした2つの熱電発電装置1を用意した。
[比較例2−1]
比較例2−1では、実施例2−1に係る熱電発電装置1において、受熱板20を分割することなく440×440mmサイズとした。なお、比較例2−1では、ケース60の高温側開口61bは中枠63で区画されていない。また、受熱板20のモジュール接触面の表面粗さは6μmとした。
[比較例2−2]
比較例2−2では、実施例2−1に係る熱電発電装置1において、受熱板20と熱電変換モジュール10間に柔軟層40を介装させず、受熱板20と熱電変換モジュール10を直接接着した。また、適当な表面研磨加工を施すことにより、受熱板20のモジュール接触面の表面粗さRaを6μm、42μmとした2つの熱電発電装置1を用意した。
[比較例2−3]
比較例2−3では、実施例2−1に係る熱電発電装置1において、付勢部材50を用いずに、水冷板30の背面にボルト80を締め付けて固定した。また、受熱板20のモジュール接触面の表面粗さは6μmとした。
実施例2−1及び比較例2−1〜2−3の熱電発電装置について、受熱板20を850℃で加熱し、水冷板30を30℃で冷却したときの開放電圧を測定し、それぞれの発電効率を評価した。評価結果を表8に示す。
表8に示すように、実施例2−1(モジュール接触面の表面粗さが6μmのもの)と比較例2−1の評価結果より、受熱板20を分割することで発電効率を改善できることが確認された。受熱板20を分割することにより、受熱板20と熱電変換モジュール10間の界面熱抵抗が低減されたためと考えられる。
また、実施例2−1と比較例2−2の評価結果より、受熱板20と熱電変換モジュール間にh−BNからなる柔軟層40を介装させることで発電効率を改善できることが確認された。h−BNからなる柔軟層40を介装させることにより、受熱板20が熱変形しても、界面熱抵抗に影響を及ぼす隙間が低減されたためと考えられる。
また、実施例2−1、比較例2−2の評価結果より、受熱板20のモジュール接触面の表面粗さRaが小さいほど、開放電圧が大きくなることが確認された。受熱板20のモジュール接触面の表面粗さRaが小さいほど、受熱板20と熱電変換モジュール10間の界面熱抵抗が低減されるためと考えられる。
また、実施例2−1(モジュール接触面の表面粗さが6μmのもの)と比較例2−3の評価結果より、受熱板20、熱電変換モジュール10、及び水冷板30を、付勢部材を介して固定することで発電効率を改善できることが確認された。受熱板20、熱電変換モジュール10、及び水冷板30を弾性保持することにより、受熱板20が熱変形した際にも、受熱板20と熱電変換モジュール10間及び熱電変換モジュール10と水冷板30間の密着性が確保されたためと考えられる。
Figure 0005970222
[実施例2−2]
実施例2−2では、実施例2−1の熱電発電装置1(モジュール接触面の表面粗さが6μmのもの)において、付勢部材50による付勢力を、9〜66kPaとして、付勢部材50による付勢力の最適範囲を確認した。評価結果を表9に示す。
表9より、付勢部材50による付勢力が24kPa以上の場合に、47V程度の開放電圧が得られた。付勢部材50による付勢力が24kPaよりも小さいと、受熱板20が熱変形することにより受熱板20と複合体25の密着性が損なわれるため、開放電圧が若干小さくなったと考えられる。
なお、発電効率の観点からは付勢部材50による付勢力の上限は規定されないが、64kPaよりも大きいと受熱板20又は複合体25を破損させる虞があるため、付勢部材50による付勢力は64kPa以下とするのが望ましい。
Figure 0005970222
[実施例2−3]
実施例2−3では、実施例2−1の熱電発電装置1(モジュール接触面の表面粗さが6μmのもの)において、h−BNからなる柔軟層40の塗布量を、0.2〜60.0g/m2として、柔軟層40の塗布量の最適範囲を確認した。評価結果を表10に示す。
表10より、柔軟層40の塗布量が1.0g/m2以上の場合に、47V程度の開放電圧が得られた。柔軟層40の塗布量が1.0g/m2よりも少ないと、受熱板20と熱電変換モジュール10間に生じる隙間を埋める効果が低いため、受熱板20と熱電変換モジュール10間の界面熱抵抗が十分に低減されないためと考えられる。
また、柔軟層40の塗布量が50.0g/m2を超えると、開放電圧が低下した。塗布量が多いほど受熱板20A、20Bと熱電変換モジュール10との隙間を埋める効果は高まるが、逆に柔軟層40自身の熱抵抗が増大するため、発電効率が低下したと考えられる。
Figure 0005970222
[第3の実施の形態]
図6は、第3の実施の形態の熱電発電装置の断面図である。なお、図3では熱電発電装置2を炉壁100に取り付けた状態を示している。図6において、第1の実施の形態と同一又は対応する構成要素については、同一の符号を付して示し、詳細な説明については省略する。
図6に示すように、熱電発電装置2は、熱電変換モジュール10、受熱板20、水冷板30、及び付勢部材50等が、ケース60内に収容された構成を有する。第3の実施の形態に係る熱電発電装置2においては、熱電変換モジュール10が2つの熱電変換モジュール10A、10Bに分割され、また水冷板30も熱電変換モジュール10A、10Bに対応するように2つの水冷板30A、30Bに分割されている。すなわち、熱電発電装置2は、熱電変換モジュール10Aと水冷板30Aからなる複合体25A、及び熱電変換モジュール10Bと水冷板30Bからなる複合体25Bを有する。
また、第3の実施の形態では、受熱板20は分割されていないので、ケース60に中枠63(図4参照)は形成されていない。すなわち、受熱板20の周縁部は、ケース60の底面によって炉内側から支持される。
複合体25A、25Bは、水冷板30A、30Bの背面に配置された付勢部材50により、受熱板20に対して付勢される。付勢部材50は、受熱板20に対して複合体25A、25Bを効果的に付勢できるように、例えば水冷板30A、30Bのそれぞれの周縁部(例えば矩形の4隅)に配置される。
また、第3の実施の形態では、柔軟層40はグラファイトシートで構成される。
このように、第3の実施の形態に係る熱電発電装置2は、炉壁100に形成された開口100aを閉塞する受熱板20と、加熱面10a(一方の面)を受熱板20に向けて配置され、加熱面10aと冷却面10b(他方の面)との温度差を利用して発電出力を得る熱電変換モジュール10と、熱電変換モジュール10の冷却面10bに、密着、固定して取り付けられる水冷板30と、水冷板30及び熱電変換モジュール10からなる複合体25を受熱板20に付勢する付勢部材50を備える。
また、複合体25は2つの複合体25A、25Bに分割され、受熱板20と熱電変換モジュール10A、10Bの間にグラファイトシートからなる柔軟層40が介装されている。
図7に示すように、稼働時には、受熱板20は熱変形(熱膨張)により少なからず湾曲する。従来の熱電発電装置5においては、この隙間が断熱層となり、受熱板20から熱電変換モジュール10への伝熱が大幅に阻害されるため、発電効率が著しく低下していた(図3参照)。
これに対して、第3の実施の形態の熱電発電装置2においては、複合体25が複合体25A、25Bに分割され、それぞれが受熱板20に対して付勢されているので、稼働時に受熱板20が熱変形したときに生じる隙間は数百μmオーダー以下に抑制される。また、稼働時に受熱板20が熱変形しても、グラファイトシートからなる柔軟層40が受熱板20の変形に追随して弾塑性変形するので、受熱板20と熱電変換モジュール10A、10B間に隙間が生じることはない。さらには、付勢部材50により、受熱板20と熱電変換モジュール10A、10Bとの密着性、及び熱電変換モジュール10A、10Bと水冷板30A、30Bとの密着性が確保される。
したがって、受熱板20と熱電変換モジュール10A、10B間及び水冷板30A、30Bと熱電変換モジュール10A、10B間における界面熱抵抗が低減されるので、熱電発電装置2の発電効率が格段に向上する。よって、第3の実施の形態の熱電発電装置2は、工業炉で発生する廃熱を回収してエネルギー源として再利用することができる技術として、極めて有効である。
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態では、図6における柔軟層40が六方晶系窒化ホウ素(h−BN)で構成されている。その他の構成は第3の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
すなわち、第4の実施の形態の熱電発電装置2は、炉壁100に形成された開口100aを閉塞する受熱板20と、加熱面10a(一方の面)を受熱板20に向けて配置され、加熱面10aと冷却面10b(他方の面)との温度差を利用して発電出力を得る熱電変換モジュール10と、熱電変換モジュール10の冷却面10bに、密着、固定して取り付けられる水冷板30と、水冷板30及び熱電変換モジュール10からなる複合体25を受熱板20に付勢する付勢部材50を備える。
また、複合体25は2つの複合体25A、25Bに分割され、受熱板20と熱電変換モジュール10A、10Bの間に六方晶系窒化ホウ素からなる柔軟層40が介装されている。
第4の実施の形態の熱電発電装置2においては、複合体25が複合体25A、25Bに分割され、それぞれが受熱板20に対して付勢されているので、稼働時に受熱板20が熱変形したときに生じる隙間は数百μmオーダー以下に抑制される。また、稼働時に受熱板20が熱変形しても、h−BNからなる柔軟層40が受熱板20の変形に追随して塑性変形するので、受熱板20と熱電変換モジュール10A、10B間の隙間が低減される。さらには、付勢部材50により、受熱板20と熱電変換モジュール10A、10Bとの密着性、及び熱電変換モジュール10A、10Bと水冷板30A、30Bとの密着性が確保される。
したがって、受熱板20と熱電変換モジュール10A、10B間及び水冷板30A、30Bと熱電変換モジュール10A、10B間における界面熱抵抗が低減されるので、熱電発電装置2の発電効率が格段に向上する。よって、第2の実施の形態の熱電発電装置2は、工業炉で発生する廃熱を回収してエネルギー源として再利用することができる技術として、極めて有効である。
また、h−BNは優れた耐熱性を有するので、熱電発電装置2は600℃以上の高温環境下でも使用可能となる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、受熱板20又は複合体25の分割数は制限されず、熱電発電装置1、2を稼働したときの高温環境において隙間が生じない範囲、すなわち受熱板20と熱電変換モジュール10の密着性が損なわれない範囲で適宜変更することができる。
熱電発電装置1、2は、DIPフォーミング方式の銅線製造設備を構成する溶解炉や保持炉、その他の工業炉(焼却炉等)に設置することができる。
なお、グラファイトシート40は、600℃以上の温度環境下では分解する虞があるため、熱電発電装置1,2の使用環境は600℃未満であることが望ましい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1、2 熱電発電装置
10、10A、10B 熱電変換モジュール
20、20A、20B 受熱板
25、25A、25B 複合体
30、30A、30B 水冷板
40 柔軟層(グラファイトシート、六方晶系窒化ホウ素)
50 付勢部材
60 ケース
70 補強梁
100 炉壁

Claims (8)

  1. 熱源に向けて配置される一枚の受熱板と、
    一方の面を前記受熱板に向けて配置され、前記一方の面と他方の面との温度差を利用して発電出力を得る一つの熱電変換モジュールと、
    前記熱電変換モジュールの他方の面に、密着、固定して取り付けられる一枚の水冷板と、
    前記水冷板及び前記熱電変換モジュールからなる複合体の周縁部に配置され、前記複合体を前記受熱板に付勢する付勢部材と、を備え、
    前記受熱板又は前記複合体の何れか一方が分割構造を有し
    前記受熱板と前記熱電変換モジュールの間に柔軟層が介装されていることを特徴とする熱電発電装置。
  2. 前記柔軟層が、六方晶系窒化ホウ素で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱電発電装置。
  3. 前記六方晶系窒化ホウ素の粒径が、8.0〜12.0μmであることを特徴とする請求項2に記載の熱電発電装置。
  4. 前記柔軟層が、グラファイトシートで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱電発電装置。
  5. 前記グラファイトシートの厚さが、0.2〜2.0mmであることを特徴とする請求項4に記載の熱電発電装置。
  6. 前記熱電変換モジュールの低温側絶縁基板が、Al23又はAlNで形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の熱電発電装置。
  7. 前記付勢部材による付勢力が、24〜64kPaであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の熱電発電装置。
  8. 前記受熱板又は前記複合体が、対角線の長さが90〜160mmの矩形状に分割されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の熱電発電装置。
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