JP5970202B2 - 斜方ノズル - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造設備において、鋳片を均一に冷却(二次冷却)するのに有用な斜方ノズル(例えば、二流体ノズル又は気液噴霧ノズル)に関する。
鉄鋼業において、溶鋼を凝固させて鋳片を製造する際、一般に、連続鋳造設備が用いられる。図1に示すように、連続鋳造設備では、鋳型1で一次冷却されて表面が凝固した鋳片2を、鋳型1の下方に少しずつ引き出し、ガイドロール3で挟みながら連続して送り出すことにより、鋳片2が連続して製造される。鋳片2がガイドロール3で送り出される間、ロール帯4において、鋳片2の表面が二次冷却される。具体的には、図2に示すように、鋳片2の引き抜き方向に隣接する一対のガイドロール3間に、噴射ノズル5が配置されており、噴射ノズル5から気液混合ミストを噴射して、鋳片2が二次冷却される。
鋳片2の二次冷却に利用される噴射ノズルとして、例えば、特開2008−168167号公報(特許文献1)には、ノズル本体と、このノズル本体の先端部に形成された複数のスリット状吐出口と、この吐出口の上流側に形成された第1の流路と、第1の流路の上流側に形成され、かつ第1の流路よりも流路幅が狭まった第2の流路と、第2の流路の上流側に形成され、かつ第2の流路よりも流路幅が大きな第3の流路とを備えた噴射ノズルが開示されている。この噴射ノズルは、スリット状吐出口の厚み方向での噴霧分布の均等性を向上できる。
しかし、この噴射ノズルを鋳片の二次冷却に用いると、対称な噴霧パターンでミストが噴霧され、鋳片2の搬送域(又はガイド域)4a,4b、特に鋳片2が鉛直方向の下方に引き出される搬出域4aで、鋳片2の表面に噴射された冷却水の一部が排水されずに、ガイドロール3の上部と鋳片2との間に滞留し、溜まり水6が生成する。溜まり水6は、中央に噴射された水が側方に拡がるため、鋳片2の幅方向の中央部で最も少なく、両側方に向かって増加する分布を示す。このように、鋳片2の幅方向で溜まり水6の分布が異なると、鋳片2を均一に冷却するのが困難である。
また、ガイドロール3で鋳片2を狭圧する場合には、ガイドロール3の剛性を増大させるために、鋳片2の幅方向に複数のガイドロール3を配設している。このような場合、隣接するガイドロールの間には、冷却水の排水による溜まり水は生成せず、鋳片とガイドロールとの接触部で溜まり水が生成し、鋳片の幅方向に冷却むらができる。鋳片の冷却が不均一になると、鋳片の表面性状や内部品質に欠陥が生じる。
特開2008−168167号公報(特許請求の範囲、図1)
従って、本発明の目的は、連続鋳造設備において、鋳片を均一に冷却できる噴射ノズルを提供することにある。
本発明の他の目的は、鋳片が鉛直方向の下方に引き出される搬出域にあっても、鋳片を均一に冷却できる噴射ノズルを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、鋳片の幅方向に複数のロールが配設された搬出域にあっても、鋳片を均一に冷却できる噴射ノズルを提供することにある。
本発明の別の目的は、溜まり水が生成することなく、鋳片の表面性状や内部品質を向上できる噴射ノズルを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ノズル本体の先端部に形成された少なくとも1つの溝部(凹部)と、溝部で長細状に開口する吐出口と、吐出口に連なる流路とを備えた噴射ノズルにおいて、少なくとも1つの溝部が、一方の端部よりも他方の端部が深く形成されていると、吐出口からの流体は、溝部を構成する吐出壁に沿って流れるため、一方の端部(吐出壁の薄肉部又は浅溝部)側からの噴射量を規制しつつ、他方の端部(吐出壁の肉厚部又は深溝部)側からの噴射量を増大でき、ノズル先端の斜め前方域を重点的に噴射できること、この噴射ノズルは、連続鋳造設備において、ロール位置での溜まり水を効率よく掻き出すことができ、鋳片を均一に冷却できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の噴射ノズルは、ノズル本体と、このノズル本体の先端部に形成された少なくとも1つの溝部(例えば、複数の溝部)と、溝部で長細状に開口する吐出口と、吐出口に連なる流路とを備えており、少なくとも1つの溝部(例えば、各溝部)は、一方の端部よりも他方の端部が深く形成されている。換言すれば、少なくとも1つの溝部を構成する吐出壁の高さ(壁厚)が、一方の端部よりも他方の端部で大きい。そのため、吐出口から噴出し、吐出壁に沿って流れる流体の噴射量は、一方の端部(浅溝部)側よりも他方の端部(深溝部)側で増大できる。このように、本発明では、吐出壁が延びる延出方向での流量分布を変化させて、ノズル先端の斜め前方域により多くの流体を噴射できる。
少なくとも1つの溝部(例えば、各溝部)において、吐出口の中心は、ノズル本体の軸芯からずれて、溝部の他方の端部(深溝部)側に位置してもよい。吐出口の中心が、溝部の他方の端部(深溝部)側に位置すると、深溝部側に吐出口からの流体がより多く流れ込み、深溝部側からの噴射量をより一層増大できる。
また、少なくとも1つの溝部(例えば、各溝部)は、ノズル本体の軸芯に対して直交する方向を基準として3〜30°程度傾斜していてもよい。すなわち、少なくとも1つの溝部(例えば、各溝部)において、一方の端部(浅溝部)の底部下端と、他方の端部(深溝部)の底部下端とを結ぶ線は、ノズル本体の軸芯に対して直交する方向を基準にして3〜30°程度傾斜していてもよい。この傾斜角度により、溝部の各端部への流量配分(各端部側からの噴射量配分)を調整できる。なお、上記傾斜角度は、噴射方向の中心軸を、ノズル本体の軸芯に対して他方の端部(深溝部)側に傾斜させる角度に対応させてもよい。
本発明は、ノズル本体と、このノズル本体の先端部に、軸芯を避けて並列に形成された2つの溝部と、各溝部で長細状に開口する吐出口と、これらの吐出口の双方に連なる第1の流路と、この第1の流路よりも上流側に形成され、かつ第1の流路よりも流路幅が狭まった第2の流路と、この第2の流路よりも上流側に形成され、かつ第2の流路よりも流路幅が大きな第3の流路とを備えた噴射ノズル(二条ノズル)を包含する。この噴射ノズルにおいて、第1の流路はノズル本体の軸芯に対して直交する方向に延びていてもよく、第2の流路及び第3の流路はノズル本体の軸芯に沿って延びていてもよい。また、第1の流路、第2の流路及び第3の流路は、それぞれ、断面が円形、楕円形又は涙形の筒状であってもよい。
上記噴射ノズルは、ノズル本体の軸芯に対して直交する方向において、2つの溝部をハの字状(一方の方向から他方の方向にいくにつれて次第に離反して拡がる形態)に形成してもよい。例えば、ノズル本体の軸芯に対して傾斜した2つの溝部の延びる方向は、軸芯を通る(横切る)直線を中心線として、溝部の傾斜面の下部にいくにつれて、中心線から拡がる方向であり、中心線を中心として対称であってもよい。このような形態では、ノズル本体の軸芯に対して直交する方向における2つの溝部間の対向する角度(各溝部の延びる方向に延長した直線が交差する角度)が3〜30°程度であってもよい。
噴射ノズルは、水と空気とが混合した二流体を噴射させる噴射ノズルであってもよい。また、噴射ノズルは、ノズル本体の軸芯に対して特定の角度に流体を多く噴射できるため、連続鋳造ラインの鋳片の両側にロールが配設されたロール帯において、ロール間に配設し、気液混合ミストを噴射して、鋳片を冷却する用途に適している。この用途では、少なくとも1つの溝部(例えば、各溝部)の他方の端部(深溝部)側を、鋳片の側部方向から鋳片の下流方向(鋳造方向)に至る所定の方向(例えば、斜め方向)に向けて、噴射ノズルを配設してもよい。このように噴射ノズルを配設すると、ロール位置での溜まり水を効率よく掻き出すことができ、鋳片を均一に冷却できる。
本発明では、ノズル本体の先端部に、少なくとも1つの溝部が、一方の端部よりも他方の端部を深く切り欠いて形成されているため、ノズル先端の前方斜め域により多くの流体を噴射又は噴霧できる。そのため、本発明の噴射ノズルを連続鋳造設備のロール帯に配設すると、ロールと鋳片との間に生成する水溜まり部に向けて流体を多く噴射でき、溜まり水を効率よく掻き出して、鋳片を均一に冷却できる。特に、本発明の噴射ノズルは、鋳片が鉛直方向の下方に搬出される搬出域や、ロールの剛性を増大させるために複数のロールが鋳片の幅方向に配設された搬出域にあっても、溜まり水を低減し鋳片を均一に冷却できる。このような均一な冷却により、鋳片の表面性状や内部品質も向上できる。
図1は連続鋳造装置を示す概略図である。 図2は噴射ノズルの配置状態を示す概略図である。 図3は本発明の噴射ノズルの一例を示す概略斜視図である。 図4は図3に示すノズルの吐出口を示す部分概略斜視図である。 図5は図3に示すノズルのV−V線概略断面図である。 図6は図3に示すノズルのVI−VI線概略断面図である。 図7は図3に示すノズルの概略平面図である。 図8は図3に示すノズルのVIII−VIII線断面図である。 図9は本発明の噴射ノズルの他の例を示す概略断面図である。 図10は図9に示すノズルの他の概略断面図である。 図11は図9に示すノズルの概略平面図である。 図12は本発明のノズルの噴射方向の一例を示す概略図であり、(A)は正面図、(B)は斜視図である。 図13は本発明のノズルの噴射方向の他の例を示す概略図であり、(A)は正面図、(B)は斜視図である。 図14は本発明のノズルの噴射方向のさらに他の例を示す概略図であり、(A)は正面図、(B)は斜視図である。 図15は、ノズルの中心からの距離と、幅方向の噴霧量との関係を示すグラフである。 図16は、ノズルの中心からの距離と、厚み方向の噴霧量との関係を示すグラフである。 図17は、互いに隣接するノズルの噴領域が重なり合って形成されるラップ領域の中心からの距離と、幅方向の噴霧量との関係を示すグラフである。 図18は、実施例2のノズルの配置例と、鋳片の幅方向の温度分布とを示す概略図である。 図19は、比較例2のノズルの配置例と、鋳片の幅方向の温度分布とを示す概略図である。 図20は、比較例3のノズルの配置例と、鋳片の幅方向の温度分布とを示す概略図である。
以下に必要に応じて添付図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。図3は、本発明の噴射ノズルの一例を示す概略斜視図であり、図4は図3に示すノズルの吐出口を示す部分概略斜視図であり、図5は図3に示すノズルのV−V線概略断面図であり、図6は図3に示すノズルのVI−VI線概略断面図であり、図7は図3に示すノズルの概略平面図であり、図8は図3に示すノズルのVIII−VIII線概略断面図である。
噴射ノズルは、筒状のノズル本体11と、軸芯を避けてノズル本体11の先端に、並列に形成された2つの溝部12,12’と、それぞれの溝部で楕円状に開口する吐出口13,13’と、これらの吐出口の双方に連なり、かつノズル本体11の軸線方向に対して直交する方向に形成された断面円形の筒状体(第1の流路14)と、この第1の流路の上流側で、ノズル本体11の軸芯方向に形成され、かつ第1の流路14よりも流路幅が狭まった断面円形の筒状体(第2の流路15)と、この第2の流路の上流側で、第2の流路15と同軸にノズル本体11の軸芯方向に形成され、かつ第2の流路15よりも流路幅が大きな断面円形の筒状体(第3の流路16)とを備えている。
前記第3の流路16の下流端からは、断面形状が半円弧状の切り欠き凹溝が、第2の流路15に隣接して(又は第2の流路の内壁を切削して)、第2の流路15の途中部まで軸方向に延びて形成され、連通流路17を形成している。前記切り欠き凹溝は、第2の流路15の内壁が対向する対向壁に形成され、互いに対向する一対の連通流路17を形成している。さらに、各切り欠き凹溝の下流端は、上流からの流体が衝突可能な衝突壁(又は段部)18を形成している。
図4〜図6に示されるように、ノズル本体11の軸芯を中心とする噴霧量分布に異方性を付与するため、溝部12,12’において、一方の端部(A側端部、浅溝部)よりも他方の端部(B側端部、深溝部)が深く形成されている。より詳細には、溝部12,12’は、底壁12a,12a’と、前記底壁から互いに対峙して起立する側壁(吐出壁)12b,12b’及び12c,12c’とを備えており、各底壁は、溝に沿って一方の端部から他方の端部にいくにつれて後方方向(上流側)に傾斜し、各吐出壁は、一方の端部で高さ(壁厚)が小さく浅溝部(薄肉部)を形成し、他方の端部で高さ(壁厚)が大きく深溝部(肉厚部)を形成している。そのため、溝部12,12’の底壁12a,12a’で楕円状に開口する吐出口13,13’から噴出し、吐出壁に沿って流れる流体は、溝部12,12’の一方の端部側(浅溝のA側)よりも他方の端部側(深溝のB側)で流量が増大するため、ノズル先端の斜め前方域に多くの流体を噴霧できる。
また、溝部12,12’は、ノズル本体11の軸芯に対して直交する方向を基準として3〜30°程度傾斜している。上記傾斜角度は、溝部12,12’の一方の端部(浅溝部の底部下端)と他方の端部(深溝部の底部下端)とを結ぶ線の傾斜角度(底壁12a,12a’又は吐出口13,13’の傾斜角度)に対応している。上記傾斜により、溝部12,12’の他方の端部側(深溝のB側)からの噴霧量を増大できるとともに、噴霧方向の中心軸をノズル本体11の軸芯に対して他方の端部側(深溝のB側)に傾斜させることができる。
図7に示されるように、並列する溝部12,12’(吐出口13,13’)は、軸芯を通って溝部の列方向に延びる線を中心として対称に位置している。また、吐出口13,13’の中心は、軸芯からずれて、溝部12,12’の他方の端部側(深溝のB側)に位置している。そのため、吐出口13,13’からの流体は、溝部12,12’の一方の端部側(浅溝のA側)よりも他方の端部側(深溝のB側)に多く配分され、他方の端部側(深溝のB側)で噴射量をより一層増大できる。
図8に示されるように、2つの溝部12,12’の向き(深さ方向)は、前方方向(下流側)にいくにつれてノズル本体11の軸線方向に互いに近付く方向(内方)である。すなわち、溝部12,12’を構成する吐出壁12b,12b’及び12c,12c’は、ノズル本体11の軸芯に近づくにつれて前方方向に傾斜(ノズル本体11の側部又は周縁部にいくにつれて後方方向に傾斜)している。そのため、吐出口13,13’からの流体は、ノズル本体11の軸線方向から外方向への噴射が規制され、ノズル本体11の軸線方向(又は内方)への噴射が許容されており、ノズル本体11の先端部の斜め前方域又は衝突混合域で、各吐出口からの流体を衝突混合させて、噴射流の液滴を微細化及び均質化できる。
前記噴射ノズルは、気体と液体との混合流体(二流体)を噴射するのに有用である。すなわち、前記噴射ノズルは、通常、気体供給路と液体供給路とを備えた供給ユニット(供給管など)に気密および液密に装着される。この供給ユニットは、気体と液体とを衝突混合して噴射ノズルに供給するため、混合室を備えていてもよい。
このような噴射ノズルでは、供給ユニットからの気液混合流体は、第3の流路16から第2の流路15に流通する過程で、流路径の小さな第2の流路15において、連通流路17の下流端の衝突壁(又は段部)18で衝突するため、攪乱性又は撹拌性(又は衝突混合性)を向上でき、混合流体(混合ミスト)の液滴を微細化できる。さらに、衝突壁18で撹拌混合された混合流体は、流路径の小さな第2の流路15から流路径の大きな第1の流路14に導入されて開放されるため、さらに混合流体(混合ミスト)の混合性を向上できるとともに、液滴を微細化及び均質化できる。
そして、第1の流路14内で均質化された混合流体(混合ミスト)は、ノズル本体の軸芯を基準にして対称な位置関係にある2つの吐出口13,13’に等しく(又はほぼ等しく)分配できる。また、各吐出口からの混合流体(混合ミスト)は、一方の端部が低く、かつ他方の端部が高い吐出壁に沿って流れるため、吐出壁が延びる延出方向の流量分布において、他方の端部(深溝部)側の流量を増加できる。このような流量分布でノズル先端部から噴射されると、各吐出口からの混合流体(混合ミスト)が、ノズル先端部の斜め前方域で交差して合流又は衝突するため、さらに均一化及び均質化された混合流体(混合ミスト)を被処理体に噴射又は噴霧できる。
図9及び図10は、本発明の噴射ノズルの他の例を示す概略断面図である。なお、図9は、図3のVI−VI線方向の概略断面図に相当し、図10は、図3のVIII−VIII線方向の概略断面図に相当する。図11は、図9及び図10に示すノズルの概略平面図である。
図9〜図11に示す噴射ノズルは、平面形状(又はノズル本体の軸芯に対して直交する面)においてハの字状に溝部22,22’が配列している点及び第1の流路24が断面涙形の筒状体である点を除き、図3〜図8に示す噴射ノズルと同様に構成されている。
このような噴射ノズルは、第1の流路24が前方方向(下流側)にいくにつれて先細る形態であるため、第2の流路25からの混合流体がさらに絞られて均一化及び均質化される。また、2つの溝部22,22’が、軸芯を通る直線を中心線として、溝部の傾斜面(切欠面)の下部にいくにつれて、中心線から拡がるハの字状に形成されているため、混合流体を広域に噴霧でき、特に連続鋳造設備に利用する場合、1つのノズルで鋳片の両側部方向に同時に噴霧できるため、極めて効率よく溜まり水を掻き出すことができる点で有利である。
なお、本発明において、ノズル本体の形状は筒状に特に制限されず、種々の形状のノズル本体が利用できる。また、必要であれば、ノズル本体には気体供給口及び/又は液体供給口を形成してもよい。さらに、ノズル本体の上流側には、気体供給路及び/又は液体供給路を形成してもよい。
ノズル本体の先端部には、少なくとも1つの溝部(凹部)を形成すればよく、噴射厚み方向の広がりを大きく、噴射分布の均等性を向上させる点から、複数の溝部を形成するのが好ましい。溝部の数は、例えば、2〜5程度であってもよいが、通常、2〜4(特に2又は3)程度である場合が多い。
少なくとも1つの溝部は、一方の端部よりも他方の端部を深く形成すればよい。すなわち、溝部の側壁(吐出壁)の高さ(壁厚)は、一方の端部に対して他方の端部が大きければよく、溝部は、一方の端部から他方の端部にいくにつれて、不規則的又は規則的に(直線的に又は湾曲して)深くなっていてもよい。吐出口からの流体は、溝部の吐出壁に沿って流通するため、高さ(壁厚)が小さな浅溝部(薄肉部)では流量を低減でき、高さ(壁厚)が大きな深溝部(肉厚部)では流量を増加できる。このように、吐出壁が延びる延出方向での流量は、吐出壁の高さ(壁厚)によって簡便に調整でき、一方の端部(浅溝部又は吐出壁の薄肉部)よりも他方の端部(深溝部又は吐出壁の肉厚部)から多くの流体を噴射できる。
一方の端部よりも他方の端部が深く形成された溝部は、ノズル本体の軸芯に対して直交する方向を基準として傾斜している。例えば、溝部の一方の端部(浅溝部の底部下端)と他方の端部(深溝部の底部下端)とを結ぶ線(又は溝部の底部)は、ノズル本体の軸芯に対して直交する方向を基準にして傾斜[一方の端部から他方の端部にいくにつれて後方方向(上流側)に傾斜]している。傾斜角度(図12に示す角度αに対応する角度)は、例えば、1〜50°、好ましくは2〜40°、さらに好ましくは3〜30°、特に5〜25°程度である。また、上記傾斜角度は、複数のノズルを間隔をおいて配置する場合には、隣接するノズルの噴射口正面まで噴霧可能な角度とするのが好ましい。上記傾斜角度が大きすぎると、溝部の一方の端部(浅溝部)側の噴射量が低減しすぎ、上記傾斜角度が小さすぎると、溝部の一方の端部(浅溝部)側と他方の端部(深溝部)側の噴射量差が低減して、噴射量分布がノズル本体の軸芯を中心として対称になる。
溝部の深さ方向(吐出壁の厚み方向)は、ノズル本体の軸芯方向であってもよく、ノズル本体の軸芯に対して傾斜する方向[ノズル本体の前方方向(下流側)又は後方方向(上流側)にいくにつれて、ノズル本体の軸芯から離れる方向]であってもよい。ノズル本体の軸芯に対する傾斜角度は、例えば、5〜30°、好ましくは7〜28°、さらに好ましくは10〜25°程度であってもよい。
溝部は、ノズル本体の軸芯を通過して延びていてもよいが、通常、ノズル本体の軸芯を避けて延びている場合が多い。また、溝部は、直線的に又は湾曲して延びていてもよい。さらに、溝部は、ノズル本体の先端を横断していてもよく、ノズル本体の先端を横断することなく軸芯又は軸芯近傍から周縁部に向かって延びていてもよい。
溝部の平面形状(又は溝部の底壁の形状)は、特に制限されず、例えば、矩形、円形、楕円形、砲弾形などであってもよい。また、溝部の断面形状は、特に制限されず、例えば、コ字状、U字状、V字状などであってもよい。
ノズル本体の先端部に複数の溝部を形成する場合、少なくとも1つの溝部(通常、全ての溝部)において、一方の端部よりも他方の端部が深く形成されている。各々の溝部の形態は、同一であってもよく、異なっていてもよい。各々の溝部の形態は、通常、ノズル本体の軸芯を中心として対称である場合が多い。
複数の溝部は、交差して延びていてもよいが、通常、交差することなく延びている。複数の溝部のうち、任意の2つの溝部は、ノズル本体の軸芯に対して直交する方向において、平行に又はハの字状に形成されていてもよい。例えば、ノズル本体の軸芯に対して傾斜した2つの溝部の延びる方向は、ノズル本体の軸芯を通過する直線を中心線として、各溝部の傾斜面の上部又は下部にいくにつれて、中心線から拡がるハの字状であってもよく、中心線を中心として対称であってもよい。ノズル本体の軸芯に対して直交する方向において、ハの字状に形成された2つの溝部間の対向する角度(各溝部の延びる方向に延長した直線の交差する角度)は、例えば、1〜40°、好ましくは2〜35°、さらに好ましくは3〜30°程度であってもよい。
複数の溝部の深さ方向は、平行方向、衝突方向(内方)、開放方向(外方)であってもよい。すなわち、各溝部の深さ方向は、互いに同一又は異なって、ノズル本体の軸芯方向であってもよく、ノズル本体の軸芯に対して傾斜していてもよい。噴霧幅を拡げたり、噴霧流を衝突させて微細化及び均一化したりする点から、任意の2つの溝部のうち、少なくとも一方の溝部の深さ方向がノズル本体の軸芯に対して傾斜していてもよく、任意の2つの溝部の深さ方向は、ノズル本体の軸芯を中心線として、前方方向(下流側)又は後方方向(上流側)にいくにつれて中心線から拡がるハの字状であってもよく、中心線を中心として対称であってもよい。
なお、複数の溝部は、第2の流路の軸方向の投影域と少なくとも部分的に重複していてもよく、前記投影域から外れた領域に形成されていてもよい。さらに、複数の溝部のうち、少なくとも1つの溝部は、ノズル本体の軸芯を通過してもよいが、複数の溝部は、通常、軸芯を避けて形成されている場合が多い。
吐出口は、溝部で開口している限り、特に制限されず、溝部の側壁(吐出壁)で開口してもよいが、溝部の底部又は底壁で開口している場合が多い。
吐出口の中心は、ノズル本体の軸芯上にあってもよいが、軸芯から離れて位置している場合が多い。また、吐出口の中心は、溝部の一方の端部と他方の端部との中央にあってもよいが、溝部の一方の端部側又は他方の端部側に寄って位置していてもよい。特に、複数の吐出口を形成する場合、複数の吐出口(例えば、2つの吐出口)の中心は、それぞれ、軸芯から離れ、かつ一方の端部(浅溝部)側又は他方の端部(深溝部)側(特に、深溝部側)に位置してもよい。また、複数の吐出口(例えば、2つの吐出口)は、軸芯を避けて並列に形成され、かつ軸芯を通る直線を中心として対称に位置していてもよい。このように、複数の吐出口が位置していると、深溝側にいくにつれて流体の噴射量を大きく増加させることができる。
吐出口の形状は、長細状である限り特に制限されず、例えば、矩形、楕円形、砲弾形などであってもよい。吐出口の大きさ(開口径など)は、流体の噴射量に応じて適宜選択できる。なお、複数の吐出口を形成する場合、各吐出口の形状及び大きさは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。各吐出口の大きさを変えることで、各吐出口に分配される混合流体の流量も調整できる。
溝部(及び吐出口)の形成方法は、特に制限されず、例えば、ノズル本体の軸芯に対して直交する方向を基準として、所定の角度だけ前方方向(下流側)又は後方方向(上流側)に傾斜させた方向に従って、直線的に又は湾曲してノズル先端を切り欠くことにより形成してもよい。なお、ノズル本体のみならず流路も切り欠くことにより、溝部と吐出口とを同時に形成してもよい。
吐出口に連なる流路(第1の流路)の形状は、混合流体を開放して微細化できる限り特に制限されず、例えば、断面が円形、楕円形又は涙形(又は液滴形)である筒状であってもよく、球体状、楕円体状、卵状、角柱状などであってもよい。また、流路は、ノズル本体の軸線方向に沿って形成してもよく、ノズル本体の軸線方向に対して直交する方向に形成してもよい。加工性の点から、ノズル本体の軸線方向に対して直交する方向に延びる流路を形成する場合が多い。
なお、吐出口に連なる流路は、少なくとも1つの吐出口に連なっていればよく、複数の吐出口に連なっていてもよい。すなわち、吐出口に連なる流路の数は、吐出口の数と同一又はそれより少ない数であってもよい。
吐出口に連なる流路には、さらに少なくとも1つの(例えば、複数の)流路が連通していてもよい。例えば、吐出口に連なる流路(第1の流路)の上流側に、前記流路とは流路幅が異なる第2の流路が形成され、第2の流路の上流側に、第2の流路とは流路幅が異なる第3の流路が形成されている場合が多い。
第2の流路の形状は、混合流体を絞ることができる限り特に制限されず、例えば、断面が円形、楕円形又は涙形(又は液滴形)である筒状であってもよく、球体状、楕円体状、卵状、角柱状などであってもよい。また、第2の流路の形状は、第1の流路に向かって流路が狭まる形状(例えば、円錐状、角錐状などの錐状)であってもよい。さらに、第2の流路は、第1の流路に比べて流路幅が狭まっていればよく、オリフィス状であってもよい。第2の流路は、通常、ノズル本体の軸線方向、特にノズル本体の軸芯方向に形成する場合が多い。
第3の流路の形状は、特に制限されず、例えば、断面が円形、楕円形又は涙形(又は液滴形)である筒状であってもよく、球体状、楕円体状、卵状、角柱状などであってもよい。また、第3の流路の形状は、第2の流路に向かって流路が狭まる形状(例えば、円錐状、角錐状などの錐状)であってもよい。第3の流路は、第2の流路よりも流路幅が大きく、第3の流路の流路径(平均径)を100としたとき、第2の流路の流路径(平均径)は、例えば、5〜85程度の範囲から選択してもよく、通常、10〜80、好ましくは20〜75、さらに好ましくは30〜70程度であってもよい。さらに、第3の流路は、ノズル本体の軸線方向に形成する場合が多い。例えば、第3の流路は、第2の流路と同軸、特にノズル本体の軸芯方向に形成する場合が多い。
ノズル本体には、第1の流路、第2の流路及び第3の流路で構成された流路が軸芯を同じくして形成してもよく、第1の流路をノズル本体の軸芯に対して直交する方向に形成し、第2の流路及び第3の流路をノズル本体の軸芯に沿って形成してもよい。
噴射ノズルは、第3の流路と第2の流路とを連通するとともに、第3の流路を周方向の少なくとも一箇所で半径方向に狭め、かつ第3の流路からの流体が衝突可能な段部(又は衝突段部、衝突壁)が下流端に形成された連通流路を備えていてもよい。このような連通流路はスプレーの分布形成に有用である。また、連通流路において、段部(又は衝突段部、衝突壁)を形成することにより、段部に衝突して撹拌混合された流体は流路幅の狭い第2の流路でさらに混合撹拌され、第1の流路で解放(特に急激に解放)されて均質化できる。そのため、噴射ノズルには、少なくとも1つの連通流路を形成してもよい。また、噴射ノズルには、周方向の複数箇所(例えば、少なくとも1つの対向する箇所)で連通流路を形成してもよく、例えば、周方向に等間隔毎に形成された2〜6程度の部位で連通流路を形成してもよい。
連通流路の衝突壁(段部)は、半径方向に第3の流路を狭めればよく、通常、周方向の複数箇所(例えば、少なくとも1つの対向する箇所)で第3の流路を半径方向に狭める場合が多く、例えば、周方向に等間隔毎に形成された2〜6程度の部位で第3の流路を半径方向に狭めてもよい。
連通流路は、第2の流路に隣接している(又は第2の流路内壁を軸方向に切削している)場合が多く、第3の流路の下流端から第2の流路の途中部まで下流方向に延びる切り欠き凹溝(切り欠き凹部)で構成してもよい。この切り欠き凹溝の下流端(切り欠き凹溝の下流側の端面)は、通常、前記段部(衝突壁)を形成する。切り欠き凹溝(又は切り欠き凹部)の断面形状は、半円弧状、U字状、コ字状、V字状などであってもよい。さらに、連通流路は、上流方向から下流方向に向かって多段に形成してもよい。
本発明の噴射ノズルは、種々の流体(水などの気体、空気などの気体)を噴射するのに有用であり、水などの液体を単独で噴射させてもよいが、液体(特に水)と気体(特に空気)とを混合した二流体を噴射するのに有用である。そのため、本発明では、噴射ノズルに流体を供給し、吐出口から噴射する。特に、噴射ノズルに気体と液体とを供給し、ノズル内で混合された混合流体を吐出口から噴射する。
本発明において、気体の圧力は、通常、0.01〜1MPa(例えば、0.02〜0.8MPa)、好ましくは0.03〜0.7MPa程度である。液体は、通常、加圧液体(又は高圧液)として供給され、圧力は、0.01〜2MPa、好ましくは0.02〜1.5MPa、さらに好ましくは0.03〜1MPa程度であってもよい。気体と液体との流量比(体積割合)は、例えば、気体/液体(気液体積比)=2〜500、好ましくは3〜400、さらに好ましくは4〜300程度であってもよい。
本発明は、単純な構造であっても、微粒子化されたミスト(混合ミスト)を生成できる。ミスト粒子の粒子径は、気体及び液体の流量などにより変動するが、例えば、平均粒子径(平均液滴径)10〜500μm、好ましくは15〜400μm(例えば、20〜300μm)、さらに好ましくは50〜250μm(例えば、60〜200μm)程度であってもよい。
本発明では、ノズルを斜方に取り付けることなく、ノズル先端から斜め前方域により多くの流体を噴射又は噴霧できる。噴射方向の中心軸は、ノズル本体の軸芯に対して他方の端部(深溝部)側に傾斜しており、傾斜角度(図12に示す角度α)は、例えば、1〜50°、好ましくは2〜40°、さらに好ましくは3〜30°、特に5〜25°程度である。
また、本発明では、ノズル本体の軸芯を中心として非対称な噴射パターンで流体を噴射できる。例えば、溝部の長手方向において、流体の噴射角度(スプレー角度)は、ノズル本体の軸芯を基準として、狭角側(浅溝側の角度、図12に示す角度θ)が10〜50°(好ましくは15〜45°、さらに好ましくは20〜40°)程度であり、広角側(深溝側の角度、図12に示す角度θ)が20〜70°(好ましくは25〜65°、さらに好ましくは30〜60°)程度であってもよい。
なお、複数の溝部(2個1組の溝部など)の向き(深さ方向)が、前方方向(下流側)にいくにつれて、ノズル本体の軸線方向に対して互いに狭まる方向(衝突方向)である場合、各溝部からの噴出流の交差角度は、10〜60°程度の範囲から選択でき、通常、15〜55°、好ましくは20〜50°、さらに好ましくは25〜45°程度である。
本発明のノズル(斜方ノズル)は、ノズル本体の軸芯に対して特定の方向に流体を多く噴射又は噴霧できるため、連続鋳造設備の鋳片の両側にロールが配設されたロール帯において、鋳片を二次冷却するのに有効に利用できる。特に、本発明では、複雑な取り付け方をすることなく、図12に示すように、流体の噴射方向の中心軸をノズル本体の軸芯に対して特定の方向に傾斜させることができるため、ガイドロール位置の溜まり水を効率よく掻き出して、鋳片を均一に冷却できる。なお、図12において、矢印は鋳造方向(鋳片の進行方向)を表す。
図12では、ノズルの軸芯は鋳片の進行方向に対して直交する方向に向いているものの、ノズルの溝部の他方の端部(深溝部)を鋳片の側方に向けて配設しているため、噴霧方向の中心軸が、ノズルの軸芯に対して鋳片の側方に角度α傾斜している。なお、傾斜角度α(斜行角α)は、鋳片の幅方向に隣接する一対のノズル間隔に応じて適宜選択できる。
この例では、鋳片の幅方向に間隔(250〜350mm程度)をおいて隣接する一対のノズルにおいて、一方のノズルから噴射される流体の噴射面を、そのノズルの軸芯から、他方のノズルの軸芯に至る範囲にしている。このように、流体の噴射方向の中心軸を鋳片の側方に傾けることにより、溜まり水が鋳片の側方へ排出されやすくなる。
なお、必要に応じて、図13及び図14に示すように、本発明のノズルを回転及び/又は傾斜させて、流体の噴射方向の中心軸を特定方向に向けて使用することもできる。図13及び図14において、矢印は鋳造方向を表す。
図13では、図12と同様に、ノズルの軸芯は鋳片の進行方向に対して直交する方向に向いているものの、ノズルの溝部の他方の端部(深溝部)を、鋳片の進行方向にいくにつれて鋳片の側方にいく方向に配設しているため、図12に示す噴霧方向の中心軸が、鋳片の面内方向に角度β回転している。そのため、噴射角度の大きい側(θ)をロール上部の水溜まり部に近づけることができ、ロール上部の水溜まり部に多くの流体を噴霧でき、溜まり水の排出性を向上できる。なお、回転角度β(捻り角β)は、鋳造方向に隣接する一対のロール間隔(40〜50mm程度)、ノズルの吐出口と鋳片との距離に応じて、適宜選択でき、1〜50°(好ましくは2〜40°、さらに好ましくは3〜30°、特に5〜25°)程度である。回転角度βが小さすぎると、溜まり水に向けた斜め下方向の噴射が十分でなく、溜まり水の排出効果が小さくなり、回転角度βが大きすぎると、下流側のロールに衝突して鋳片まで到達できず、冷却効率が低下する。
図14では、ノズル本体を鋳造方向の上流側に傾斜させることにより、図13に示す噴霧方向の中心軸を鋳造方向の上流側に角度γ傾斜させている。そのため、回転角度βを大きくしても、流体が鋳造方向の下流側のロールに干渉するのを防止でき、溜まり水の排出性を向上できる。なお、傾斜角度γ(迎え角γ)は、鋳造方向に隣接する一対のロール間隔、ノズルの吐出口と鋳片との距離、及び鋳片の面内方向における噴霧方向の中心軸の回転角度βに応じて、適宜選択でき、1〜50°(好ましくは2〜40°、さらに好ましくは3〜30°、特に5〜25°)程度である。
このように、本発明のノズル(斜方ノズル)は、噴射方向の中心軸をノズル本体の軸芯に対して任意の角度で傾斜させることができるため、ロール位置の溜まり水を効率よく低減(又は鋳片の幅方向に亘る溜まり水の分布を均一化)でき、鋳片を均一に冷却して鋳片の表面性状や内部品質を向上できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(1)ノズル単体の水量分布
実施例1
図3に示すノズルから、表1に示す空気量及び水量、噴射距離155mmの条件で、気液ミストを噴霧した。なお、噴霧角度は、ノズルの中心軸に対してθは35°及びθは60°である。ノズルセンターからの距離と噴霧量(水量密度(%))との関係を示すグラフを作成した。幅方向の噴霧量分布(図3に示すVI−VI線方向の噴霧量分布)を図15の実線に示し、厚み方向の噴霧量分布(図3に示すVIII−VIII線方向の噴霧量分布)を図16の実線に示す。図15及び図16の実線に示されるように、実施例1の斜方ノズルは、厚み方向の噴霧量分布がノズルセンターを中心として対称であるのに対して、幅方向の噴霧量分布がノズルセンターを中心として非対称であり、ノズルセンターからの距離が50〜100mm程度オフセットさせた位置を中心としてほぼ対称な噴霧量分布を示す。また、実施例1の斜方ノズルは、水量を大きく変化させても均一な分布を保てる。
比較例1
特開2008−168167号公報の図1〜5に記載のノズルを用い、実施例1と同様の条件で気液ミストを噴霧し、ノズルセンターからの距離と噴霧量(水量密度(%))との関係を示すグラフを作成した。幅方向の噴霧量分布を図15の破線に示し、厚み方向の噴霧量分布を図16の破線に示す。図15及び図16の破線に示されるように、比較例1のノズルは、幅方向及び厚み方向の噴霧量分布がノズルセンターを中心として対称である。
(2)ラップ水量分布
実施例2
図3に示すノズルを、捻り角(β)を0°とし、270mmの間隔をおいて列状に配置した。各々のノズルから、表1に示す空気量及び水量、噴射距離155mmの条件で、気液ミストを噴霧した。互いに隣接するノズルの噴霧領域が重なり合って形成されるラップ領域の中心部(ラップセンター)からの距離と噴霧量(水量密度(%))との関係を示すグラフを作成した。結果を図17の実線に示す。図17の実線に示されるように、実施例2の斜方ノズルセットは、幅方向の噴霧量分布がラップセンターを中心として非対称である。
比較例2
特開2008−168167号公報の図1〜5に記載のノズルを用い、実施例2と同様の条件で気液ミストを噴霧し、互いに隣接するノズルの噴霧領域が重なり合って形成されるラップ領域の中心部(ラップセンター)からの距離と噴霧量(水量密度(%))との関係を示すグラフを作成した。結果を図17の破線に示す。図17の破線に示されるように、比較例2のノズルセットは、幅方向の噴霧量分布がラップセンターを中心として対称である。
(3)鋳片の冷却効果
実施例3
図3に示すノズル11を用い、図18に示すノズルの配置例に従って、連続鋳造装置に設置した。すなわち、ロールの溜まり水が鋳片の中央を境にして左右の両側に掻き出されるように、非対称スプレー角度の大きい側を鋳片中央部を境にして外向きに配置した。この装置を用いて、表1の噴霧条件3に従って気液ミストを噴霧して、鋳片を冷却し、鋳片の幅方向の温度を測定した。結果を図18に示す。図18に示されるように、ノズルから気液ミストを斜方噴射することにより、ロールの溜まり水が排除され、溜まり水の影響が低減したため、鋳片の幅方向の温度が均一になった。
比較例3
特開2008−168167号公報の図1〜5に記載のノズル31を用い、図19に示すノズルの配置例に従って、連続鋳造装置に設置した。この装置を用いて、実施例3と同様の条件で気液ミストを噴霧して、鋳片の幅方向の温度を測定した。結果を図19に示す。図19に示されるように、隣接するノズルのスプレーが両サイドで干渉するため、ロールの溜まり水をほとんど掻き出すことができず、鋳片温度は両サイドで高く、不均一であった。
比較例4
特開2008−168167号公報の図1〜5に記載のノズル31を用い、図20に示すノズルの配置例に従って、連続鋳造装置に設置した。この装置を用いて、実施例3と同様の条件で気液ミストを噴霧して、鋳片の幅方向の温度を測定した。結果を図20に示す。図20に示されるように、ロールの溜まり水はほとんど掻き出されることがなく、鋳片の両サイドでの溜まり水が冷却に強く影響するため、噴霧量分布は均一であるにも拘わらず、鋳片温度は両サイドで高く、不均一であった。
本発明の噴射ノズルは、被処理体に対して斜め方向に流体を噴射する用途に適しており、例えば、連続鋳造装置(彎曲型、垂直型など)において、鋳片を均一に冷却するために好適に利用できる。特に、本発明の噴射ノズルは、溜まり水を効率よく掻き出すこと(又は溜まり水の分布を均一にすること)ができるため、鋳片が鉛直下方に引き抜かれる搬出域に配置する場合や、ロールを鋳片に狭圧するためにロールを鋳片の幅方向に分割した形態で利用する場合にも適用できる。
1…鋳型
2…鋳片
3…ガイドロール
4…ロール帯
5…噴射ノズル
6…溜まり水
7…軸受け部
11,21,31…ノズル本体
12,12’,22,22’…溝部
13,13’,23,23’…吐出口
14,24…第1の流路
15,25…第2の流路
16,26…第3の流路
17,27…連通流路
18,28…衝突壁

Claims (10)

  1. ノズル本体と、このノズル本体の先端部に形成された1又は複数の溝部と、溝部で長細状に開口する吐出口と、吐出口に連なる流路とを備えた噴射ノズルであって、前記1又は複数の溝部がノズル本体の先端を横断する方向に延びて形成され、前記溝部において、一方の端部よりも他方の端部が深く形成され、前記溝部において、吐出口の中心が、ノズル本体の軸芯からずれて、前記溝部の他方の端部側に位置し、ノズル全体の噴射又は噴霧方向の中心軸が、前記ノズル本体の中心軸に対して傾斜している噴射ノズル。
  2. ノズル本体の先端部に複数の溝部が形成されている請求項1記載の噴射ノズル。
  3. 1又は複数の溝部が、ノズル本体の軸芯に対して直交する方向を基準として3〜30°傾斜している請求項1又は2記載の噴射ノズル。
  4. ノズル本体と、このノズル本体の先端部に、軸芯を避けて並列に形成された2つの溝部と、各溝部で長細状に開口する吐出口と、これらの吐出口の双方に連なる第1の流路と、この第1の流路よりも上流側に形成され、かつ第1の流路よりも流路幅が狭まった第2の流路と、この第2の流路よりも上流側に形成され、かつ第2の流路よりも流路幅が大きな第3の流路とを備えた請求項1〜3のいずれかに記載の噴射ノズル。
  5. 第1の流路がノズル本体の軸芯に対して直交する方向に延び、第2の流路及び第3の流路がノズル本体の軸芯に沿って延びており、第1の流路、第2の流路及び第3の流路が、それぞれ、断面が円形、楕円形又は涙形の筒状である請求項4記載の噴射ノズル。
  6. ノズル本体の軸芯に対して直交する方向において、2つの溝部がハの字状に形成されている請求項4又は5記載の噴射ノズル。
  7. ノズル本体の軸芯に対して直交する方向において、2つの溝部間の対向する角度が3〜30°である請求項6記載の噴射ノズル。
  8. 水と空気とが混合した二流体を噴射させる請求項1〜7のいずれかに記載の噴射ノズル。
  9. 連続鋳造ラインの鋳片の両側にロールが配設されたロール帯において、ロール間に配設し、気液混合ミストを噴射して、鋳片を冷却するために用いられる請求項1〜8のいずれかに記載の噴射ノズル。
  10. 1又は複数の溝部の他方の端部を、鋳片の側部方向から鋳片の下流方向に至る所定の方向に向けて配設し、気液混合ミストを噴射して鋳片を冷却する請求項9記載の噴射ノズル。
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