JP5969573B2 - 鋳鉄製品のガラスライニング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳鉄製品を製造するための鋳鉄製品のガラスライニング方法に関するものである。なお、ガラスライニングはグラスライニングとも称される。
建物の排水配管系統では、配管同士を接合するために管継手が用いられている。管継手には直線状に接続するもののほかに、エルボなどと呼ばれる直角に曲がる継手やy字型の分岐継手等各種のタイプがある。しかし、排水の流れを変える部分に用いられるものは、直線部分に用いられる継手と比較して大きい抵抗がかかり易いことは自明である。また、排水配管系統といっても条件は様々で、特に、厨房用排水配管については継手本体に短期間で穴が開き、漏水事故が起こるという事例が多く報告され、この点特徴的である。
漏水事故の原因を分析すると、以下のような幾つかの問題点を指摘することができる。
1)グリーストラップの維持、管理が不適切のため、排水管に多くの油脂分が流出し、排水管の負荷となる。
2)排水管内面に汚れが固着し、それを落すために無理な洗浄手段が用いられ、その結果排水管を損傷する。
3)排水管内部清掃のための掃除口がなく、適切な清掃を行なえない。その結果、汚れが堆積し、無理な洗浄を行なうという悪循環に陥る。
4)例えば、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒の後に、十分な水洗浄を行なわない場合、腐食進行の原因となる。
5)ディスポーザーシステムにおいて十分な水を流さないことにより、排水管内に有機物の堆積が起る。
上記のような原因により、有機物や油脂に硫酸塩還元細菌が作用することで硫化水素が発生し、さらに、硫黄酸化細菌により硫酸が発生すると、排水管内は深刻な腐食性の環境となる。排水管内面にはエポキシ樹脂等の保護被膜が形成されているが、腐食性環境に耐え得るものではないため鋳鉄製品である継手にはさびが生成し、さびは洗浄ホース等との接触により清掃の都度削られる。こうして配管清掃とさびの生成が繰り返されると、短期間で穴が開き漏水事故に至ると考えられている。
上記のような鋳鉄製品について施し得る対策として、以下のような方法が考えられる。
A:例えば、現行の保護被膜がエポキシ樹脂塗装で膜厚が50μm程度の場合、膜厚を数倍の300μm余りに高める。
B:保護被膜をエポキシ樹脂以外の樹脂、例えば、ナイロンや塩化ビニル等の樹脂に変更するとともに、それらの粉体樹脂の焼き付けコーティングにより300μm程度の膜厚に形成する。
C:鋳鉄製品の内面に任意の樹脂を用いて厚さ1000μm程度の保護被膜を成型する。
D:鋳鉄製品の内面に亜鉛、アルミニウム、ニッケル等を用いて所要の厚さの保護被膜をめっきにより形成する。
しかしながら、上記の対策には以下のような問題がある。
A:一般的な事項として、樹脂塗装は耐薬品性に優れているが、塗膜表面は柔らかく、耐摩耗性に問題がある。
B:上記の問題があるため、単なる腐食性環境に対する方策としては効果があるものの、洗浄器具との接触が起る特にエルボのような排水管には適さない。
C:成型は塗装と比較して耐久性が高いといえるが、樹脂と鋳鉄との線膨張率が大きく相違するため、加熱冷却の繰り返しによって接着面にて成形被膜が剥離する可能性が高い。また、射出成型によって成形可能な形状には限度があり、排水管の継手のような形状の変化に富んだ鋳鉄製品に対応するのが困難である。
D:金属めっきは樹脂の保護被膜と比較して硬く、密着性も良いが、耐薬品性に問題がある。厨房用排水配管には洗浄用に塩素系の薬品も流れるため、耐薬品性は重要である。
また、鋳鉄製品にガラスライニングを施す前例について先行技術を調査したが、類例を見出すことはできなかった。ただ、特開2002−167680号のグラスライニングの施工方法と称する発明があり、それはステンレス系基材の表面に基材と同一ステンレス材料、Ni金属、Cr金属、Fe金属、Co金属Ni−Cr合金及びFe−Cr合金から選択される溶射材料を溶射処理して溶射処理層を形成し、この層上に下ぐすり及び上ぐすりによるグラスライニングの熱処理によりグラスライニング層を形成することからなる施工方法を開示している。この施工方法はステンレス系基材よりなる大型形状のグラスライニング機器類に安定かつ均一なグラスライニング層を施すことを可能にしたもので、鋳鉄製品表面に対する施釉技術と関連するものはない。
特開2002−167680号
本発明は前記の点に鑑みなされたもので、その課題は、鋳鉄製品のガラスライニング方法を提供することである。また、本発明の他の課題は、排水配管系統に用いられる鋳鉄製品を内面の腐食から確実に保護し得るガラスライニング方法を提供することである。
前記の課題を解決するため、本発明は、前処理工程として鋳鉄製品を炉に投入し、それによって鋳鉄製品の表面の黒鉛を予め873〜1223Kの温度にて10〜120分間脱炭処理し、その後鋳鉄製品の表面を釉薬で被覆し、上記鋳鉄製品を炉に投入し、鋳鉄製品表面を脱炭するとともに、脱炭によって生じた空隙に釉薬成分を充填するために、973〜1223Kの温度にて10〜80分間焼成するという構成を具えている
本発明に係るによって製造されるガラスライニング鋳鉄製品は、例えば、腐食性環境ないしは高熱に曝されるもので、腐食性環境ないしは高熱に曝される面にガラスライニング層を有している鋳鉄製品であることが望ましい。
このようなガラスライニング鋳鉄製品は、例えば管継手に適用することができる。この場合、排水配管系統に用いられる管継手は、内面のガラスライニング層の厚さは前述したように300μm又はそれ以上であることが望ましい。300μm又はそれを超える程度の厚さのガラスライニング層は、例えば鋳鉄製品に施釉焼成工程を前記のように複数回繰り返すことによって形成される。
本発明に係るガラスライニング鋳鉄製品は、鋳鉄製品の表面を釉薬で被覆し、鋳鉄製品表面を脱炭するとともに、脱炭によって生じた空隙に釉薬成分を充填するために、上記鋳鉄製品を炉に投入し、973〜1223Kの温度にて10〜80分間焼成するという方法によって製造することができる。この方法は脱炭と釉薬の充填を同時並行的に実行するものである。
また、本発明の方法は、前処理工程として鋳鉄製品を炉に投入し、それによって鋳鉄製品の表面の黒鉛を予め873〜1223Kの温度にて10〜120分間脱炭処理し、その後鋳鉄製品の表面を釉薬で被覆し、上記鋳鉄製品を炉に投入し、鋳鉄製品表面を脱炭するとともに、脱炭によって生じた空隙に釉薬成分を充填するために、973〜1223Kの温度にて10〜80分間焼成するという手段によって実施しても良い。この方法は脱炭処理のみを先行し、その後の焼成により釉薬の充填を実行するものである。従って、本発明は脱炭を釉薬の充填に先立って行なう方法と、脱炭と充填を同時に行なう方法のどちらによっても実施可能である。
上記脱炭処理における温度の下限を873Kとしたのは、脱炭の深度は時間に比例することによる。また、温度の上限を1223Kとしたのは、ねずみ鋳鉄の融点に近付き好ましくないからある。このように、前処理工程としての脱炭処理は、必要な脱炭の深度に適した温度及び時間の組み合わせにより行なうことができる。
本発明の目的は、鋳鉄製品の表面にガラスライニングを施し、それによって、厨房用排水配管の如く腐食性環境にあってもそれに耐え得る保護被膜を形成することにある。本発明において取り扱う鋳鉄製品及びガラスライニングはそれ自体が特別という訳ではない。しかしながら、鋳鉄製品の表面にガラスライニングを施す技術には前例がほとんどなく、このため、本発明の完成には幾多の試行錯誤を繰り返して一定の知見を得なければならなかった。その結果得られた本発明によれば、コストを抑制しつつ鋳鉄製品の長寿命化を図ることができる。
本発明において画期的であるのは、鋳鉄製品表面を脱炭するとともに、脱炭によって生じた空隙に置換されたケイ素化合物を主とする釉薬成分が充填され、あたかも炭素と置換されるようになることである。この結果、釉薬成分によって一種のアンカー効果を得ることができる。本発明の特徴は、このようにしてガラスライニング層を鋳鉄製品表面に強固に固着させることができることを発見し、ガラスライニング方法として完成させた点にある。従って、本発明に係るガラスライニング方法では、上記脱炭により一種のアンカー効果を得るために焼成工程が重要な要件になる。
本発明に係るガラスライニング方法において必要とされる焼成工程は、973〜1223Kの温度にて10〜80分間の条件で行なう。炉にはガラスライニング方法に一般的な電気炉が用いられる。処理対象の鋳鉄製品は、例えば、ねずみ鋳鉄(FC150)であり、また、釉薬成分も琺瑯製品等に用いられる成分組成から成る一般的なものである。しかしながら、上記以外の、例えばJIS G 5501ねずみ鋳鉄品に含まれる全鋼種、さらにはJIS G 5502球状黒鉛鋳鉄に含まれる全鋼種等の素材から成る鋳鉄製品、上記釉薬成分と主要成分を共通する釉薬等は問題なく本発明に適用することができる。上記焼成工程における973〜1223Kの温度にて10〜80分間という条件は、本発明に用いる釉薬が完全に溶融し、かつまた、発泡や焦げ付きを生じたりしないために必要である。
本発明のガラスライニング方法として、表面を釉薬で覆った鋳鉄製品を炉に投入して行なう焼成工程を、複数回繰り返すという構成は好ましいものである。表面を釉薬で覆った鋳鉄製品を炉に投入して行なう焼成工程は、温度が1073K、時間が40分の条件にて、少なくとも2回以上繰り返すことが望ましい。焼成工程を複数回繰り返すということは、ガラスライニング層が複数層形成されるということであり、これにより厚さ約300μmを超えるライニング層を得ることができ、これは継手の内面処理層として十分な厚さである。
なお、鋳鉄(FC)の線膨張率は11〜13.5×10−6、ガラスライニング部の線膨張率は8〜13×10−6と接近しており、広範囲の温度環境下で安心して使用することができる。また、ガラスライニング部の表面の硬度はHv≧500と測定され、これは洗浄機により加えられることが予測される外力に十分耐え得る機械的強度である。
本発明は以上のように構成され、かつ、作用するものであるから、鋳鉄製品に好適にガラスライニング方法を施すことができ、かつまた、本発明の方法によって耐食性及び耐摩耗性の良好なガラスライニング鋳鉄製品を製造することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、特に、厨房用排水配管のように過酷な条件にさらされる排水配管系統に用いられる鋳鉄製品として、その内面を腐食から確実に保護し得るガラスライニング鋳鉄製品を提供することができる。
以下、図面等を参照して本発明をより詳細に説明する。
<鋳鉄製品>
初めに発明の対象である鋳鉄製品について説明する。図1、図2は本発明に係る鋳鉄製品の例としてエルボなどと呼ばれる継手10を示したものである。このエルボ型の継手10は開口した両端11、12の間に直角に流路を変える形態の曲がり部13を持っている。本実施形態における鋳鉄製品はねずみ鋳鉄(FC150)である。上記継手10の内外両面には、本発明によりガラスライニング層14、15が形成されており、厨房用排水配管を想定しているため腐食性環境等に曝され易い内面のライニング層14は外面のライニング層15よりも肉厚に形成されている(図2参照)。上記内面のガラスライニング層14は、外面のガラスライニング層15の約3倍の厚さに形成されている。
上記の継手10を用いた排水管16の接続構造の一例を具体的に示せば、図2のようになる。この構造は、排水管16の端部外面に鋼球入りパッキング17を配置し、接続リング18と継手10のフランジ部19とをボルト、ナット26を用いて緊締する離脱防止構造を有している。図では鋼球17aを用いて食い込み作用を得ているが、本発明を実施し得る継手はこの例に限られず、他の方法も取り得る。
本発明に係る鋳鉄製品の他の例として、両手鍋20に実施した場合を図3、図4と共に説明する。鍋20は容器21と蓋22とから成り、容器21は本発明の実施品であるが、蓋22に付いては実施品であっても、また、そうでなく例えばガラス製であってもどちらでも良い。鍋20の素材にはダクタイル鋳鉄(FCD)が用いられており、精密鋳造により肉薄く形成されている。
容器21はダクタイル鋳鉄(FCD)より成るから、球状黒鉛23が独立的に存在しているが(図4参照)、球状黒鉛23はダクタイル鋳鉄表面にも現れている。このため、表面に存在している球状黒鉛23が脱炭されることによって、表面に空隙24を生じることになるので、この空隙24に釉薬成分25が充填された状態になる。従って、ダクタイル鋳鉄(FCD)より成る容器21についても、後述するねずみ鋳鉄(FC)を素材とする鋳鉄製品を用いた場合とほぼ同様に、釉薬成分が焼成されることによって、ガラスライニング層を鋳鉄製品表面に強固に固着させることができ、一種のアンカー効果を得ることができる。
次に、上記の鋳鉄製品に施すガラスライニングに関する本発明の手段及び方法を示す。
<釉薬>
釉薬の成分及び組成は以下の通りである。
A成分:SiO+TiO+ZrO=40〜75質量%
但し、A成分中の各要素の割合は以下の通りである。
SiO:40〜75質量%
TiO:0〜15質量%
ZrO:0〜10質量%
A成分が40質量%未満ではフリット自体の強度が低下するため好ましくなく、また75質量%を超えると、フリットの溶融粘性が高くなり、フリット組成物の溶融点が上昇するために好ましくない。

B成分:NaO+KO+LiO=0.5〜20質量%
但し、B成分中の各要素の割合は以下の通りである。
NaO:0.5〜20質量%
O:0〜15質量%
LiO:0〜10質量%
B成分は0.5質量%未満ではフリットの溶融性が悪くなるため好ましくなく、また20質量%を超えると線膨張率が上昇し、物性バランスが崩れるために好ましくない。

C成分:CaO+BaO+ZnO+MgO=1〜15質量%
但し、C成分中の各要素の割合は以下の通りである。
CaO:1〜15質量%
BaO:0〜10質量%
ZnO:0〜6質量%
MgO:0〜5質量%
C成分が1質量%未満ではフリットの耐アルカリ性を向上させるためには不十分であり、また、15質量%を超えると、フリットの溶融粘性が高くなり、フリット組成物の溶融点が上昇するために好ましくない。

D成分:B+Al+Cr+Fe=1〜20質量%
但し、D成分中の各要素の割合は以下の通りである。
:1〜20質量%
Al:0〜10質量%
Cr:0〜10質量%
Fe:0〜10質量%
D成分が1質量%未満では、フリットの溶融性を低下させるため、また、失透防止効果が著しく減少するため好ましくなく、20質量%を超えると焼成中の発泡現象が著しくなるために好ましくない。

E成分:CoO+MnO+NiO+CuO=0〜5質量%
但し、E成分中の各要素の割合は以下の通りである。
CoO:0〜5質量%
MnO:0〜5質量%
NiO:0〜5質量%
CuO:0〜5質量%
E成分はフリットの密着性向上に寄与するが、5質量%を超えると焼成中の発泡現象が著しくなるため好ましくない。

なお、0〜と記載されている成分は、ガラス化に必須ではないけれども粘性、焼成温度の調整、密着性等の補助的な役割に関係を持つものである。
焼成工程
ガラスライニング方法
ガラスライニング方法では鋳鉄製品を炉に投入し、それによって鋳鉄製品の表面の黒鉛を予め脱炭処理する工程を行なうが、この工程は前処理工程として行なうことができ、その場合には、前処理工程の後で前記A〜E成分から成る釉薬を用いた施釉工程を実施することができる。しかし、前処理工程を省略し、前記A〜E成分から成る釉薬を用いて、鋳鉄製品である継手10の表面に塗布して行なう直接的な被覆方法も実施し得る。釉薬を得るには水を分散媒として、釉薬製造の常法により処理することで、流動状のガラスライニング液として生成する。以下、本発明のガラスライニング方法について各別に説明する。
<その1>
鋳鉄製品である継手10の表面を前記A〜E成分から成る上記釉薬を用いて被覆し、上記鋳鉄製品を電気炉に投入し、鋳鉄製品表面を脱炭するとともに、脱炭によって生じた空隙に釉薬成分を充填するために、約1073Kの温度にて40分間焼成する。上記施釉焼成工程を継手について3回繰り返し、ガラスライニング鋳鉄製品を製造する。
<その2>
前処理工程として鋳鉄製品である継手10を炉に投入し、それによって継手10の表面の黒鉛を予め873〜1223Kの温度にて10〜120分間脱炭処理し、その後鋳鉄製品の表面を釉薬で被覆し、上記鋳鉄製品を炉に投入し、鋳鉄製品表面を脱炭するとともに、脱炭によって生じた空隙に釉薬成分を充填するために、973〜1223Kの温度にて10〜80分間焼成する。上記施釉、焼成工程を継手内部について少なくとも1回以上実行し、ガラスライニング鋳鉄製品を製造する。
その1の方法によって得られた、ガラスライニング鋳鉄製品である継手10は滑らかなガラスライニング層を具備しており、表面硬度を測定したところヴッカース硬さでHv≧500の値が得られた。その2の方法による継手10についても、その1と同等の表面硬度が得られた。本発明に係るガラスライニング鋳鉄製品について、硬さに関する性能試験1を行なったので、ここで、硬さ試験及びその結果について以下のとおり説明する。
・評価目的:本発明によって得られたガラスライニング層の硬さを評価する。
・評価方法:JIS Z 2244ビッカース硬さ試験―試験方法による。
・判定基準:硬度500Hv以上であること。
試験結果を次表1に示す。表1によれば、平均値609HVという結果が得られている。
表1
Figure 0005969573
本発明に係るガラスライニング方法によって製造される鋳鉄製品は、ガラスライニング層が鋳鉄製品表面に非常に強固に固着していることが、性能試験2により判明した。性能試験は急冷、急加熱を試験体に対して熱ストレスを加え評価を行なったもので、方法は以下のとおりである。
・温度プロファイル :高温100℃、低温−10℃
・低温⇔高温変化に要する時間:3分以内
・移動のサイクル :3、5、10、20
判定基準
・ガラスライニング層に、鋳物素地に達する亀裂の生じないこと
・ガラスライニング層に、鋳物素地に達する剥離の生じないこと
試験結果を次表2に示す。
表2
Figure 0005969573
*一時間を二分して30分間を冷却、30分間を加熱する工程を1サイクルとし、低温・冷却と高温・加熱の変化に要する時間は3分以内とした。
このような性能試験1、2によって示される事実から、発明者はガラスライニング層が特別なメカニズムによって鋳鉄表面に固着しているのではないかと推測するに至った。そこで、ガラスライニング層と鋳鉄製品表面との界面に生じているであろう現象を明らかにするため、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)による分析を試みた。分析の結果、本発明の斬新さを裏付ける事実を見出したので、次にその内容について言及する。
上記分析試験は埼玉県産業技術総合センターに依頼して行った。依頼品は上記その1の方法で得られたガラスライニング鋳鉄製品の継手10であり、依頼事項はX線マイクロアナライザによる分析及びマッピングである。その試験結果の一つとして反射電子像を図5及び図6に示す。図5においてL1はガラスライニング層、L2は脱炭層、L3は鋳鉄層をそれぞれ示している。L2の層は鋳鉄層の表層であるが、スケールとして下欄に示されている100μm程の厚さの層は、黒い筋状模様のある鋳鉄層L3とは異なっており、ガラスライニング層L1との関係から脱炭されていることを推測させる。
図6は、図5の倍率が×100であるのに対して×2000に拡大された反射電子像を示している。図6の拡大像を見ると明るく見える脱炭層L2に、表層から筋状ないしは点線状の暗く見える模様の入り込んでいるのが分かる。この暗く見える模様は、表層つまりガラスライニング層L1から伸びており、その末端は前記の通り100μm程の深さに及んでいる。
さらに、図7にカラーマップを示す(原図はカラー描画であるのでカラーマップと呼ぶが、特許法の細則ではカラー描画が許容されていないので、トーン描画で示す。)。図7はSiに関するカラーマップであり、高濃度を示す原図の赤色は図6上部にあるガラスライニング層L1である。図7の過半を占めるのは原図で青色の脱炭層L2であり、脱炭層L2には表層から筋状ないしは点線状に入り込んでいる模様が見えるが、これがケイ素化合物であってガラスライニング層L1から伸びているものである。
上記の分析結果及びカラーマップに示された事実から、鋳鉄層L3の脱炭された表層にケイ素化合物が入り込んで鋳鉄層L3に絡み付き、前記したいわばアンカー効果のような状態を呈していることを十分な確実性を以って推認することができる。
本発明に係るガラスライニング方法によって製造された鋳鉄製品の一例を示す断面説明図である。 同上の一部を拡大して示す断面説明図である。 本発明に係る鋳鉄製品の他の例を示す断面説明図である。 同上の一部を模式的に示す断面説明図である。 本発明の方法によって製造されたガラスライニング鋳鉄製品を示す倍率100倍の反射電子像である。 同上要部における倍率2000倍の反射電子像である。 同じくSi(ケイ素化合物)のカラーマップである。
10 継手
11、12 継手の両方の端部
13 継手の曲がり部
14 内面のガラスライニング層
15 外面のガラスライニング層
16 排水管
17 パッキング
18 接続リング
19 フランジ部
20 鍋
21 容器
22 蓋
23 球状黒鉛
24 空隙
25 釉薬成分

Claims (2)

  1. 前処理工程として鋳鉄製品を炉に投入し、それによって鋳鉄製品の表面の黒鉛を予め873〜1223Kの温度にて10〜120分間脱炭処理し、その後鋳鉄製品の表面を釉薬で被覆し、上記鋳鉄製品を炉に投入し、鋳鉄製品表面を脱炭するとともに、脱炭によって生じた空隙に釉薬成分を充填するために、973〜1223Kの温度にて10〜80分間焼成することを特徴とする
    鋳鉄製品のガラスライニング方法。
  2. 表面を釉薬で覆った鋳鉄製品を炉に投入して行なう焼成工程は、温度が1073K、時間が40分の条件にて、少なくとも3回以上繰り返される
    請求項記載の鋳鉄製品のガラスライニング方法。
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