JP6927810B2 - ガラス質層被覆鋳鉄およびその製造方法 - Google Patents

ガラス質層被覆鋳鉄およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス質層で被覆された鋳鉄に関する。
鋳鉄は、鋼(はがね)より炭素含有率が高く、溶融温度が低いため、鍛造に向くとされる。なかでも、球状の黒鉛(グラファイト)が鉄中に分散したダクタイル鋳鉄(FCD)は、強度が高く、耐久性・耐食性に優れることから、「ダクタイル鋳鉄管」としてJISにも規定され、上水道の導水管,送水管,配水管,給水管等に広く利用されている(JIS G 5526,JIS G 5527等を参照)。
ダクタイル鋳鉄管を、上水道の配管として使用する場合、通常、外面(外周面)には、防食用として、エポキシ樹脂,アクリル樹脂等からなる外面塗装(外面防食)が施される。また、高耐食性が求められる箇所では、日本ダクタイル鉄管協会規格であるJDPA Z 2009に規定される外面特殊塗装が施される場合がある他、ポリエチレン製のスリーブで、管を被覆する場合もある。
一方、ダクタイル鋳鉄管の内面(内周面)には、上水(水道水)の水質に影響を与えないように、ライニングが施される。内面防食としては、従来、モルタルライニングの表面に、樹脂製のシールコートを施したものが使用されてきた。近年では、JIS G 5528:2014にも規定されるように、ダクタイル鋳鉄管の内面塗装は「エポキシ樹脂粉体塗装」が主流になってきている。
日本ダクタイル鉄管協会規格 JDPA Z 3001−2017「ダクタイル鋳鉄管エポキシ樹脂粉体塗装」 日本水道協会規格 JWWA G 112:2015「水道用ダクタイル鋳鉄管内面エポキシ樹脂粉体塗装」
ところで、鍋等の鉄製品や酒造タンクの内面塗装には、耐水性,耐薬品性に優れる無機質ライニングとして、ほうろう(琺瑯)またはグラスライニングと呼ばれるガラス質層被覆が使用されており、これらガラス質層被覆を鋳鉄管の内面にライニングとして使用すれば、耐食性が向上すると思われる。
しかしながら、ほうろうまたはグラスライニングを、鋳鉄製品に適用しようとする場合、従来のほうろう等は、焼成温度が樹脂の粉体塗装における加工温度(約210℃)より高いため、炭素を3.5wt%程度含有する鋳鉄からは、焼成温度が約770℃を超えると、脱炭に起因する二酸化炭素(CO)や一酸化炭素(CO)等が発生してしまう。
発生した二酸化炭素や一酸化炭素等は、気泡となって、前記ほうろう層等の表面が荒れたり、気泡が抜けた跡が孔(ピンホール)として残ったりして、恒久的な耐水・耐食性を維持できない場合があった。
本発明の目的は、表面荒れやピンホール等の欠点が少なく、高い耐食性を長期間にわたり安定して維持することのできる、ガラス質層被覆の鋳鉄を提供することである。
本発明は、鋳鉄表面を覆うガラス質被覆層の形成に、けい酸ナトリウム(3号けい酸ナトリウムの水溶液、いわゆる「水ガラス」)を含有する釉または釉薬を使用することにより、鋳鉄との密着性を向上させるとともに、焼成中に発生する二酸化炭素等からなる気泡の抜けを良くして、表面が滑らかで均質なガラス質被覆層を、鋳鉄上に形成しようとするものである。
すなわち、鋳鉄からなる基材と、前記基材の表面に設けられた、けい酸ナトリウムを含有する厚さ90μm以上500μm以下のガラス質基材密着層と、を有することを特徴とする。
また、本発明のガラス質層被覆鋳鉄は、前記ガラス質基材密着層の、JIS G 5528:2014に記載のピンホール試験におけるピンホール数が、10個/m以下であることを特徴とする。
一方、本発明のガラス質層被覆鋳鉄は、前記ガラス質基材密着層の外側に積層された、厚さ50μm以上500μm以下のガラス質表面コート層を有し、前記ガラス質基材密着層および前記ガラス質表面コート層からなるガラス質被覆層の、JIS G 5528:2014に記載のピンホール試験におけるピンホール数が、0(零)である構成を、好適に採用する。
さらに、前記ガラス質層被覆鋳鉄は、前記ガラス質表面コート層が、アルキルシリケート加水分解物を含有するガラス質層、または、けい酸ナトリウムを含有するガラス質層、であることを特徴とする。
また、本発明は、鋳鉄からなる基材と、前記基材の表面に設けられた、けい酸ナトリウムを含有する厚さ90μm以上500μm以下のガラス質基材密着層と、を有するガラス質層被覆鋳鉄を製造する製造方法であって、前記基材の表面に、けい酸ナトリウムを含有するガラス質基材密着層を塗布して770〜850℃で5〜30分焼成することを特徴とするガラス質層被覆鋳鉄の製造方法である。
さらに、本発明は、前記ガラス質基材密着層の外側に積層された、厚さ50μm以上500μm以下のガラス質表面コート層を有し、前記ガラス質基材密着層および前記ガラス質表面コート層からなるガラス質被覆層の、JIS G 5528:2014に記載のピンホール試験におけるピンホール数が、0(零)であるガラス質層被覆鋳を製造する製造方法であって、前記基材上に、ガラス質基材密着層と、ガラス質表面コート層とを、焼成工程を経ることなく連続して塗布し、その後、1度の焼成によりガラス質被覆層を形成することを特徴とするガラス質層被覆鋳鉄の製造方法である。
なお、本発明において使用する「けい酸ナトリウム」は、通常、常温下においても流動性を有する、けい酸ナトリウムの水溶液、いわゆる「水ガラス」を指すものであり、JIS K 1408−1966「けい酸ナトリウム(けい酸ソーダ)」に記載の、3号けい酸ナトリウムと同等のものである。
また、「アルキルシリケート加水分解物」とは、下記の化学式のように、
(H2n+1O)−Si−(OC2n+1 + 4(HO) →
SiO + 4(C2n+1OH)
アルキルシリケート〔Si−(OR) R=C2n+1)を加水分解することにより生じる、シリカ(SiO)を含有するアルコール溶液であり、具体的には、C炭素数nが4以下の、メチルシリケート,エチルシリケート,ブチルシリケート,プロピルシリケートの加水分解物を指す。
さらに、「JIS G 5528:2014に記載のピンホール試験」とは、JIS K 6766:2008「防食用樹脂ライニング皮膜の検査方法−ピンホール試験方法」に準拠するものであり、JIS K 6766:2008の SS6.2に記載の「乾式のピンホール試験機」(JIS G 5528:2014においては「ホリデーディテクタ」)を用いて行うものを言う。
本発明のガラス質層被覆鋳鉄は、鋳鉄からなる基材の表面に、けい酸ナトリウムを含有する釉または釉薬からなる厚さ90μm以上のガラス質基材密着層が形成されている。このガラス質基材密着層は、密着性が高く均質で平滑なガラス質被覆層である。これにより、鋳鉄基材の耐水性,耐食性が向上している。
また、本発明のガラス質層被覆鋳鉄のなかでも、前記ガラス質基材密着層の、JIS G 5528:2014に記載のピンホール試験におけるピンホール数が、10個/m以下であるものは、前記ガラス質基材密着層の平滑性と、耐水・耐食性とが、より高いことが実証されている。
さらに、本発明のガラス質層被覆鋳鉄のなかでも、特に、前記ガラス質基材密着層の外側に積層された、厚さ50μm以上のガラス質表面コート層を有し、前記ガラス質基材密着層および前記ガラス質表面コート層からなるガラス質被覆層の、JIS G 5528:2014に記載のピンホール試験におけるピンホール数が、0(零)であるものは、ガラス質表面コート層の表面(外面)に、表面荒れやピンホール等の欠点がなく、鋳鉄基材の高い耐食性を、長期にわたり高く維持することができる。
なお、本発明のガラス質層被覆鋳鉄のなかでも、前記ガラス質表面コート層が、アルキルシリケート加水分解物またはけい酸ナトリウムを含有するガラス質層であるものは、鋳鉄基材上の前記ガラス質基材密着層に対する密着性が高く、二度目の焼成時に前記のガラス質基材密着層を抜けてくる気泡等をおさえ込む作用で、ピンホール等の発生を抑制できる効果がある。したがって、これらの使用により、より平滑で、より耐食性の高いガラス質被覆層を実現することができる。
そして、なかでも、前記ガラス質被覆層が、焼成回数1回のシングルベイク層であるものは、前記2層(ガラス質基材密着層および前記ガラス質表面コート層)からなるガラス質被覆層を、省エネルギーかつ低コストで形成することができる。その結果、高品質なガラス質層被覆鋳鉄を、より低コストで提供することが可能になる。
実施例1(基材密着層 単層)のガラス質層被覆鋳鉄の断面顕微鏡写真である。 実施例3(各層ごとに2回焼成)のガラス質層被覆鋳鉄の断面顕微鏡写真である。 実施例9(2層一括塗布後、1回焼成)のガラス質層被覆鋳鉄の断面顕微鏡写真である。
以下の3つの実施形態では、本発明のガラス質層被覆鋳鉄として、ダクタイル鋳鉄管の内面(内周面)に、ガラス質被覆層を形成した例について、説明する。なお、形成するガラス質被覆層の仕様(品質)については、水道(上水道)用管への利用を前提として、日本水道協会(JWWA)規格を満たす性能を目指すものとするが、発明品の構成および発明の技術範囲は、これらJWWAや、JDPA,JIS等の規格や仕様に制限されるものではない。
第1の実施形態のガラス質層被覆鋳鉄(ダクタイル鋳鉄管)は、鋳鉄からなる基材(鋳鉄管)の少なくとも内面に、けい酸ナトリウム(水ガラス)を含有する釉からなる、厚さ90μm以上のガラス質基材密着層を有する。なお、ガラス質層は、鋳鉄管の外面(外周面)やその他の表面に形成してもよい。
基材となる鋳鉄管は、先述のようなダクタイル鋳鉄(FCD)からなり、所要の形状(管状等)に鋳造された後、焼鈍されたものである。なお、鋳鉄管の表面(塗装対象面である内外面)は、焼鈍後に、ブラストあるいはグラインディング等による表面処理を行って、その塗装対象面から、錆びや酸化スケール等が除去されている。
また、ダクタイル鋳鉄の表面には、球状黒鉛が独立的に存在しているため、後記する焼成等により、表面に存在する球状黒鉛が脱炭された際は、その跡に、空隙(微小凹部)が生じる場合がある。
前記鋳鉄管の表面にガラス質基材密着層を形成するための釉(または釉薬)としては、けい酸ナトリウムの水溶液(以下、水ガラス)を含有するものを用いる。水ガラスは、常温下においても流動性を有するもので、先にも述べたJIS K 1408−1966「けい酸ナトリウム(けい酸ソーダ)」に記載の、3号けい酸ナトリウムの高濃度溶液である。なお、使用する水ガラスの溶媒は水で、固形分(ガラス成分)は約40wt%のものを使用した。
ガラス質基材密着層を形成する下釉(「したぐすり」とも言う)の代表的な構成成分を下記に示す。
<下 釉>
成分A 釉 薬(フリットA):100重量部
成分B 水 ガ ラ ス :20〜100重量部
(質量換算で約10〜45wt%の範囲内)
成分C 溶 剤 ( 水 ):25〜75重量部
(質量換算で約10〜40wt%の範囲内)
成分D 添加剤(たれ止め剤等):0.1重量部以下
〔ただし、下釉全体の固形分(加熱残分)を約40〜70wt%に調製。〕
調製された下釉を用いて、スプレー(スプレーガン)や浸漬(ディッピング)等により、前記鋳鉄管の表面に、下釉からなる層(焼成前の基材密着層)を塗布形成する。なお、塗布前の基材を予め加温する、プレヒート(約40〜80℃)を行う場合もある。また、下釉の塗布量は、下釉の固形分(wt%)や比重等にも左右されるが、後記する焼成後の基材密着層の層厚(膜厚)が90μm以上になることを考慮して、約250g/m以上となるように制御される。
下釉(基材密着層)の焼成は、770〜850℃、好ましくは770〜800℃で、5〜30分間行い、放冷後、表面(塗装対象面)に層厚が90μm以上のガラス質基材密着層が形成された鋳鉄管を得た。なお、層厚が90μm以上の場合、本実施形態のガラス質基材密着層は、JIS G 5528:2014に記載の「ホリデーディテクタ(ピンホール試験機)」を用いたピンホール試験(後述)で、ピンホール数が10個/m以下である。また、焼成後の層厚が90μm未満のものは、塗布量不足により全面に均一な層(膜)を形成できていないか、または、形成できていたとしても、サイズの大きな気泡の抜け跡が複数見られた。
ガラス質基材密着層の層厚は、その上に、後記するガラス質表面コート層を塗布する場合は、厚さ90μm以上で充分であるが、表面コート層を塗布しない場合は、厚さ150μm以上、好ましくは厚さ200μm以上とすることが望ましい。ガラス質基材密着層の層厚を厚くすることにより、ピンホール等の欠点の発生を、飛躍的に減少させることができる。
また、ガラス質基材密着層の層厚に、機能・性能上の上限はないが、ある程度の層厚以上では、厚みを増やしても性能(耐久性)の向上が見られなくなるうえ、塗布回数や塗布量が増えたことによるコストデメリットが増大する。そのため、経済的側面からの上限は存在する。たとえば、ガラス質基材密着層は、厚さ500μm以下、好ましくは、厚さ300μm以下とすればよい。
上記構成により、第1の実施形態では、ガラス質基材密着層の層厚90μm以上とした場合、水道管や下水管等、長期の耐久性を要求される用途には適さないものの、汎用的な用途には充分な内面塗膜性能を有する鋳鉄管を製造することができた。また、ガラス質基材密着層の層厚を200μm以上とした場合、全面ほぼ均質な、ピンホールの少ない、ガラス質層被覆鋳鉄が得られることが分かった。
つぎに、第2の実施形態のガラス質層被覆鋳鉄は、前記第1の実施形態で形成されたガラス質基材密着層(厚さ90μm以上)の上側でかつ外側に、厚さ50μm以上のガラス質表面コート層を有する、ダクタイル鋳鉄管である。また、ガラス質基材密着層およびガラス質表面コート層からなる「ガラス質被覆層」の、JIS G 5528:2014に記載のピンホール試験におけるピンホール数が、0(零)であること、すなわち、ガラス質被覆層に欠点がなく、耐水性・耐食性に優れることを特徴とする。
前記ガラス質基材密着層を覆う、ガラス質表面コート層について詳しく説明すると、ガラス質表面コート層を形成するための釉(または釉薬)としては、下記の2種の上釉(「うわぐすり」とも言う)のうち、いずれかを用いる。
(1)アルキルシリケート加水分解物を含有する上釉
(2)けい酸ナトリウム〔けい酸ナトリウム水溶液(水ガラス)〕を含有する上釉
たとえば、上釉の代表的な構成成分としては、下記の2種があげられる。
<上 釉 1>
成分E 釉 薬 ( フ リ ッ ト E ):100重量部
成分F アルキルシリケート加水分解物の溶液:10〜60重量部
(質量換算で約5〜45wt%の範囲内)
成分G 溶 剤 ( I P A ) :5〜50重量部
(質量換算で約1〜40wt%の範囲内)
成分H 添加剤(たれ止め剤等):0.1重量部以下
〔IPA:イソプロパノール。ただし、アルキルシリケート加水分解物の溶液は、固形分を15〜30wt%とする、アルキルシリケート加水分解物のIPA溶液である。また、上釉1全体の固形分(加熱残分)は、約50〜80wt%に調製される。〕
<上 釉 2>
成分E 釉 薬(フリットE):100重量部
成分J 水 ガ ラ ス :10〜50重量部(質量換算で約3〜40wt%の範囲内)
成分K 溶 剤 (水):25〜75重量部 (質量換算で約5〜40wt%の範囲内)
成分L 添加剤(たれ止め剤等):1〜30重量部
〔ただし、上釉2全体の固形分(加熱残分)を約50〜80wt%に調製。〕
調製された上釉を用いて、スプレー等により、前述の基材(ガラス質基材密着層が形成された鋳鉄管)の表面に、上釉からなる層(焼成前の表面コート層)を塗布形成した。なお、塗布前の基材を予め加温する、プレヒート(約40〜80℃)を行う場合もある。また、上釉の塗布量は、上釉の固形分(wt%)や比重等にも左右されるが、後記する焼成後の表面コート層の層厚が50μm以上になるように、約200g/m以上に制御される。
ついで、上釉(表面コート層)の焼成は、770〜850℃、好ましくは770〜800℃で、5〜30分間行い、放冷後、表面(塗装対象面)に層厚(膜厚)が50μm以上のガラス質表面コート層が形成された鋳鉄管を得た。
なお、表面コート層は、その塗布時および焼成時に、基材密着層に存在していたピンホール等の欠点を塞ぐように形成される。そのため、ガラス質表面コート層は、ピンホール等の欠点のない、表面に光沢のある均質なガラス質被覆層となる。すなわち、本実施形態における鋳鉄は、ガラス質表面コート層の形成(焼成)後において、JIS G 5528:2014に記載の「ホリデーディテクタ(ピンホール試験機)」を用いたピンホール試験(後述)で、ピンホール数が0(零)であった。これにより、第2実施形態のガラス質層被覆鋳鉄は、耐水性,耐食性に優れたものとすることができる。
また、ガラス質表面コート層の層厚も、好ましくは100μm以上、より好ましくは150μm以上とすることが望ましい。先に述べたガラス質基材密着層と同様、ガラス質表面コート層の層厚も、機能上の上限はない。しかしながら、ある程度の層厚以上では、厚みを増やしても性能(ピンホール数および耐久性)の向上が見られなくなる点も同様である。したがって、塗布回数や塗布量が増えたことによるコストデメリットが増大するため、ガラス質表面コート層の層厚は、経済的側面を考慮して、厚さ500μm以下、好ましくは、厚さ250μm以下に抑えられる。
つぎに、前述のガラス質基材密着層とガラス質表面コート層とが、一度の焼成により作製された第3実施形態について説明する。
本発明の第3の実施形態のガラス質層被覆鋳鉄は、基材上に、ガラス質基材密着層(厚さ90μm以上)と、ガラス質表面コート層(厚さ50μm以上)とを、焼成工程を経ることなく連続して塗布し、その後、1度の加熱(焼成)工程により、ガラス質被覆層(全厚140μm以上)を形成したものである。すなわち、この1度の加熱(焼成)工程により得られたガラス質被覆層を、シングルベイク層と呼ぶ。
使用する下釉および上釉としては、前述の第1,第2実施形態と同様のものを用いる。すなわち、下釉(したぐすり)として、釉薬100重量部に対して25〜100重量部の水ガラスを含有するものを用いる(前記<下釉>を参照)。また、上釉(うわぐすり)として、(1)アルキルシリケート加水分解物を含有する上釉、または、(2)けい酸ナトリウム〔けい酸ナトリウム水溶液(水ガラス)〕を含有する上釉のいずれかを用いる(前記<上釉1>または<上釉2>を参照)。
これら<下釉>+<上釉1>または<下釉>+<上釉2>の塗布は、まず、調製された下釉を用いて、スプレー等により、表面処理済みの基材(ダクタイル鋳鉄管)の表面に、下釉からなる層を塗布形成する。この時、塗布前の基材を予め加温する、プレヒート(約40〜80℃)を行っておいてもよい。また、塗布後、下釉層表面の水分を飛ばすための加熱乾燥(約150℃×10分間程度)を行ってもよい。この加熱乾燥には、下釉層と、後で塗布する上釉層との混ざり込みや、層の乱れを防止するという効果もある。
ついで、焼成工程の前に、調製された上釉(1または2)を用いて、スプレー等により、下釉層が形成された基材の表面に、上釉からなる層を塗布形成する。なお、下釉と同様、塗布前の基材を予め加温する、プレヒート(約40〜80℃)を行う場合もある。また、塗布後、上釉層表面の水分を除去するための加熱乾燥(約150℃×10分間程度)を行ってもよい。
つぎに、塗布されたガラス質被覆層(下釉+上釉)の焼成は、前述の第1,第2実施形態と同様の加熱工程を1度行う。すなわち、ガラス質被覆層の焼成は、770〜850℃、好ましくは770〜800℃で、5〜30分間行い、放冷後、基材の表面(塗装対象面)に、層厚が140μm以上のガラス質被覆層(シングルベイク層)が形成された鋳鉄管を得た。
なお、得られたガラス質被覆層(シングルベイク層)の、「ホリデーディテクタ(ピンホール試験機)」を用いたピンホール試験(後述)の結果は、先に述べた第2実施形態と同様、ピンホール数が0(零)であった。これにより、第3実施形態のガラス質層被覆鋳鉄も、耐水性,耐食性に優れたものとすることができる。また、工数および手間が少なく、省エネルギーで、ガラス質被覆層を形成できることから、ガラス質層被覆鋳鉄のコストダウンを実現することが可能である。
つぎに、本発明のガラス質層被覆鋳鉄として、鋳鉄製の板の上に、ガラス質基材密着層(単層)、または、ガラス質基材密着層+ガラス質表面コート層(複層)からなるガラス質被覆層を複数種形成し、これらの性能を確認すべく、得られたサンプルに対してピンホール試験を行った実施例について説明する。
まず、構成部材について説明する。
[基材]
鋳鉄(FCD)製板状部材(厚さ10mm) 200mm×100mm角
なお、板状部材は、釉の塗布前に予め、グラインディングによる表面処理を行って、その塗布対象面から、錆びや酸化スケール等が除去されている。
ガラス質層を形成するための各釉の成分(レシピ)を以下に示す。
[下釉1]
下釉1は、成分A(フリットA)を主成分とするものであり、成分Aに、成分B〜Dが添加されている。なお、ベントンは、たれ止め剤である。
成分A フリットA:100重量部(54wt%)
成分B 水ガラス : 37重量部(20wt%)10〜30wt%の範囲で調製
成分C 水 : 48重量部(25.995wt%)
成分D ベントン :0.01重量部(0.005wt%)
〔下釉1全体の比重は1.68、固形分(加熱残分)は約62wt%に調製。〕
ただし、水ガラスとは、3号けい酸ナトリウムの固形分40wt%水溶液を指す。したがって、下釉1全体に対する3号けい酸ナトリウムの有効含有量は、8.0wt%に相当する。
[下釉2]
下釉2は、下釉1から成分B(水ガラス)を除いた配合である。
成分A フリットA:100重量部
成分C 水 : 48重量部
成分D ベントン :0.01重量部
[下釉3]
下釉3は、下釉1の成分B(水ガラス)の代わりに、後記の成分F(エチルシリケート加水分解物)および成分G(IPA)を添加したものである。
成分A フリットA:100重量部(54wt%)
成分F エチルシリケート加水分解物のIPA溶液:37重量部(20wt%)
成分G IPA :48重量部(26wt%)
なお、下釉3全体に対するエチルシリケート加水分解物の有効含有量は、3.6wt%に相当する。
[上釉1]
上釉1は、成分E(フリットE)を主成分とするものであり、成分Eに、成分Fおよび成分G(溶剤)が添加されている。
成分E フリットE:100重量部(64.5wt%)
成分F エチルシリケート加水分解物のIPA溶液:25重量部(16.1wt%)
10〜30wt%の範囲で調製
成分G IPA :30重量部(19.4wt%)
〔上釉1全体の比重は1.62、固形分(加熱残分)は約67wt%に調製。〕
ただし、IPAはイソプロパノール(i−プロピルアルコール)であり、「エチルキルシリケート加水分解物のIPA溶液」の固形分は18wt%である。したがって、上釉1全体に対するエチルキルシリケート加水分解物の有効含有量は、約2.9wt%である。
[上釉2]
上釉2は、成分E(フリットE)を主成分とするものであり、成分Eに、成分J〜Nが添加されている。なお、ベントンは、たれ止め剤である。また、リチウムポリシリケートおよび縮合リン酸アルミは、硬化(促進)剤として添加されている。
成分E フリットE:100重量部(55.6wt%)
成分J 水ガラス : 25重量部(13.9wt%)10〜30wt%の範囲で調製
成分K 水 : 50重量部(27.694wt%)
成分L ベントン :0.01重量部(0.006wt%)
成分M リチウムポリシリケート:2.5重量部(1.4wt%)
成分N 縮合リン酸アルミ:2.5重量部(1.4wt%)
〔上釉2全体の比重は1.69、固形分(加熱残分)は約64wt%に調製。〕
ただし、水ガラス(3号けい酸ナトリウムの水溶液)の固形分は40wt%であるため、上釉2全体に対する3号けい酸ナトリウムの有効含有量は、約5.6wt%である。
なお、各釉に使用したフリットA,Eは、ほうろう用フリット(東罐マテリアル・テクノロジー社製)である。
[上釉3]
上釉3は、成分P(フリットP)を主成分とするものであり、成分Pに、成分Q〜Uが添加されている。なお、ベントンは、たれ止め剤である。
成分P フリットP:100重量部(61.9wt%)
成分Q 粘土 : 6重量部(3.7wt%)
成分R 電解質 :0.4重量部(0.25wt%)
成分S ベントン :0.2重量部(0.12wt%)
成分T 珪石粉 : 5重量部(3.1wt%)
成分U 水 :50重量部(30.9wt%)
〔上釉3全体の比重は1.70、固形分(加熱残分)は約68wt%に調製。〕
<供試品の作製(1層)>
供試用のサンプルは、以下のようにして作製した。
まず、表面処理済みの基材をオーブンを用いて加熱し、基材を温度75±5℃のプレヒート状態とした。そして、プレヒート状態の基材の一面(処理対象面)に、スプレーを用いて、調製済みの各下釉を塗布した。
なお、焼成後の所定層厚を目標として下釉を塗布する場合、厚さ90μmとなる目安の塗布重量は、下釉1で、5.0g/基材1枚〔200×100mm角、以下同じ〕または250g/mの塗布量である。また、厚さ200μmとなる目安の塗布重量は、下釉1で、9.8g/基材1枚または490g/mの塗布量である。いずれも、スプレー塗布前と塗布後の基材の重量を秤等で測定して比較することにより、おおよその塗装厚さ(層厚)を知ることができる。
[釉の塗布]
焼成後の基材密着層の厚さの目標を90μmとして、下釉1を基材1枚あたり5.0gスプレー塗布して、「実施例1」(単層)のサンプルを作製した。また、焼成後の基材密着層の厚さの目標を200μmとして、下釉1を9.8g/枚スプレー塗布して、「実施例2」(単層)のサンプルを作製した。さらに、焼成後の基材密着層の厚さの目標を50μmとして、下釉1を1.9g/枚スプレー塗布して、「比較例1」(単層)のサンプルを作製した。
また、同様の方法で、水ガラス(成分B)を添加しない下釉2をスプレー塗布したサンプル「比較例2」(単層、目標厚さ200μm)と、水ガラスの代わりに、エチルシリケート加水分解物を添加した下釉3をスプレー塗布したサンプル「比較例3」(単層、目標厚さ200μm)とを作製した。
[焼成]
ついで、これらの各下釉塗布済みサンプルに、下釉層表面の水分を除去するための加熱乾燥(150℃×10分間)を施した後、オーブン中で、790℃×10分間の焼成を行って、実施例1,2および比較例1〜3の供試用鋳鉄サンプルを得た。参考として、実施例1(基材密着層 単層)の断面顕微鏡写真を、図1に示す。
つぎに、得られた各供試用鋳鉄サンプルの性能(耐久性)を比較するために、ピンホール試験を実施した。ピンホール試験は、先にも述べたように、JIS G 5528:2014「ダクタイル鋳鉄管内面エポキシ樹脂粉体塗装」に記載されているもので、測定に使用する方法および機器は、JIS K 6766:2008「防食用樹脂ライニング皮膜の検査方法−ピンホール試験方法」に記載の、「乾式のピンホール試験機」(JIS G 5528:2014においては「ホリデーディテクタ」)に準拠するものである。
[ピンホール試験]
本実施例におけるピンホール試験は、『試験機の高電圧出力側端子をプローブに、接地側端子を試験対象の金属素地(鋳鉄基材)に接続し、ライニング皮膜上をプローブで走査し、皮膜欠陥部に向けて生じる放電電流を検出することによって、ピンホールの有無を試験する』ものである。試験に用いるホリデーディテクタ(サンコウ電子研究所製)は、『プローブを取り付ける高電圧出力側端子及び試験対象金属素地(鋳鉄基材)に接続する接地側端子を備え、外部電源又は内蔵電池によって直流,交流又はパルス電流の高電圧を発生する方式の乾式のピンホール試験機』であり、『放電が生じた場合に、プローブから離れた場所でも試験者が欠陥の有無を判定できる検出器(ランプ及び/又はブザー)』を備える。なお、プローブには、『細い針金を束ねたブラシ状のもの』を用いた。
試験は、出力(探査)電圧として、単層の場合は1000V、複層の場合は1000Vまたは1500Vを印加した状態で、プローブを秒速30cm以下の速さで一方向に動かし、サンプル(ガラス被覆層面)の全面を走査して、検出器の反応回数(=ピンホールの個数)を計数した。なお、性能の差が分かり難い場合は、参考として2000Vを印加した試験(実験)を行っている。
つぎに、サンプルの参考物性として、表面光沢を測定した。
[表面光沢]
サンプルの表面光沢は、JIS Z 8741−1997「鏡面光沢度−測定方法」に準拠して測定した。なお、測定機として上記JISに準拠した光沢計(グロスメーター コニカミノルタ社製)を用い、測定の角度は、SS 3.測定方法の種類の「方法5」−「20度鏡面光沢 Gs(20°)」を使用した。
各サンプルの仕様と測定結果を、下記の「表1」に示す。なお、実施例1,2および比較例1〜3は、供試サンプル数を10枚(n=10、合計0.2m)とし、結果は範囲値で表示した(参考の表面光沢は平均値)。また、ピンホール数が30個/m(10枚0.2mあたり6個)を超えるものは、不良品とみなしてそこで計数を終了している。
Figure 0006927810
表1から、鋳鉄からなる基材の表面に設けられた、水ガラスを含有する釉からなる下釉層は、均質で平滑なガラス質被覆層を形成するとともに、ガラス質被覆層の厚さを90μm以上とすることにより、ピンホール試験におけるピンホール数が10個/m以下の、耐水性・耐食性を有するガラス質層を実現することができた。また、ガラス質被覆層の厚さを200μm以上とすることにより、耐水性・耐食性を、より向上させることが可能であることが分かった。
つぎに、水ガラスを含有する下釉1からなるガラス層基材密着層(厚さ90μm)の上に、前記の各上釉からなるガラス質表面コート(厚さ50μmまたは200μm)を塗布して、複層のガラス質被覆層(焼成2回)を形成し、ピンホール試験等を行った。なお、基材と、下釉1および上釉1〜3は、前述のものを使用した。
<供試品の作製(2層)>
下釉1からなるガラス質基材密着層(焼成済み:平均厚さ90μm)が既に形成されている基材の、上記基材密着層に、室温下で、調製済みの各上釉を、焼成後の基材密着層の厚さの目標を50μmまたは200μmとして、スプレーを用いて塗布した。
[焼成]
ついで、これらの各上釉塗布済みのサンプルに、上釉層表面の水分を除去するための加熱乾燥(150℃×10分間)を施した後、オーブン中で、790℃×10分間の焼成を行って、実施例3〜7の供試用鋳鉄サンプルを得た。なお、各サンプルにおける使用上釉の種類と、形成されたガラス質表面コート層の厚さは、後記の「表2」にまとめて示した。また、参考として、実施例3(各層ごとに計2回焼成)の断面顕微鏡写真を、図2に示す。なお、図2に記載のサンプルは、撮影で分かり易いように、釉に顔料を添加して上釉層を白く着色している(下釉層は黒色)。
[ピンホール試験]
ついで、前述と同じ方法により、各実施例のピンホール試験を行った。なお、実施例3〜7は複層のため、印加電圧1000Vに加え、1500Vでも試験を行っている。また、参考として2000Vを印加した試験も行った。
[表面光沢]
前述と同じ方法を用いて、実施例3〜7の表面光沢を測定した。結果は、前記ピンホール試験とともに、下記の「表2」にまとめて示す。
Figure 0006927810
表2から、上釉層をコートすることにより、耐水性・耐食性が向上し、日本水道協会(JWWA)規格や日本ダクタイル鉄管協会(JDPA)規格等に規定の仕様(品質)を満たす鋳鉄とすることができた。なかでも、表面コート層の厚さを200μm以上とした場合、飛躍的に耐水性・耐食性が向上することが分かった。
つぎに、前記の各実施例と同じ基材と、前述の下釉1および上釉1,2を用いて、ガラス質基材密着層とガラス質表面コート層とを、一度の焼成により形成した実施例8〜10の供試用鋳鉄サンプル、すなわち、先に述べた第3実施形態に相当する「シングルベイク層」を有する鋳鉄サンプル、を作製した。
<供試品の作製(シングルベイク)>
まず、表面処理済みの基材をオーブンを用いて加熱し、基材を温度75±5℃のプレヒート状態とした。そして、プレヒート状態の基材の一面(処理対象面)に、スプレーを用いて、調製済みの下釉1を塗布した。
続けて、室温下で、下釉1からなる下釉層(平均厚さ90または200μm)が塗布済みの基材の、上記下釉層上に、調製済みの各上釉を、焼成後の基材密着層の厚さの目標を90μmまたは200μmとして、スプレーを用いて塗布した。
[焼成]
ついで、これらの各上釉塗布済みのサンプルに、釉層表面の水分を除去するための加熱乾燥(150℃×10分間)を施した後、オーブン中で、790℃×10分間の焼成(1度のみ)を行って、実施例8〜10の供試用鋳鉄サンプルを得た。なお、各サンプルにおける上釉の種類と、形成されたガラス質表面コート層の厚さは、後記の「表3」にまとめて示した。また、参考として、実施例9(2層連続塗布後、1回のみ焼成)の断面顕微鏡写真を、図3に示す。なお、前記図2と同様、図3に記載のサンプルも、上釉層に白色の顔料を添加しており、黒く写っている部分が下釉層に相当する。
そして、先の各実施例と同様の「ピンホール試験」および参考の「表面光沢」の測定を行って、結果を、「表3」にまとめて示した。なお、表3における上2段「実施例4」と「実施例6」は、先の表2に記載した実施例4,6と同じもの(再掲)である。
Figure 0006927810
表3から、基材上のガラス質被覆層が、焼成回数1回のシングルベイク層であっても、下釉・上釉ごとにそれぞれ計2回の焼成を経たガラス質被覆層と、同等の性能を有することが分かった。これにより、2層(ガラス質基材密着層およびガラス質表面コート層)からなる高品質のガラス質被覆層を、省エネルギーかつ低コストで、安定的に形成することが可能であることが実証された。
本発明は、上記実施例や実施形態における構成やその結果に左右されることなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は特許請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、水道管用,下水道管用のダクタイル鋳鉄管の他、工業用水用等、耐水性・耐食性が求められる鋳鉄管あるいは鉄管に、広く利用することができる。また、鍋等の鉄製品や酒造タンク等の内面に施される、ほうろう(琺瑯)やグラスライニング等としても使用することが可能である。

Claims (6)

  1. 鋳鉄からなる基材と、
    前記基材の表面に設けられた、けい酸ナトリウムを含有する厚さ90μm以上500μm以下のガラス質基材密着層と、を有することを特徴とするガラス質層被覆鋳鉄。
  2. 前記ガラス質基材密着層の、JIS G 5528:2014に記載のピンホール試験におけるピンホール数が、10個/m以下であることを特徴とする請求項1に記載のガラス質層被覆鋳鉄。
  3. 前記ガラス質基材密着層の外側に積層された、厚さ50μm以上500μm以下のガラス質表面コート層を有し、
    前記ガラス質基材密着層および前記ガラス質表面コート層からなるガラス質被覆層の、JIS G 5528:2014に記載のピンホール試験におけるピンホール数が、0(零)であることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス質層被覆鋳鉄。
  4. 前記ガラス質表面コート層が、アルキルシリケート加水分解物またはけい酸ナトリウムを含有するガラス質層であることを特徴とする請求項3に記載のガラス質層被覆鋳鉄。
  5. 請求項1または2記載のガラス質層被覆鋳鉄を製造する製造方法であって、
    前記基材の表面に、けい酸ナトリウム水溶液を含有する釉を塗布して、770〜850℃で5〜30分間焼成してガラス質基材密着層を形成することを特徴とするガラス質層被覆鋳鉄の製造方法。
  6. 請求項3または4記載のガラス質層被覆鋳鉄を製造する製造方法であって、
    前記基材上に、ガラス質基材密着層と、ガラス質表面コート層とを、焼成工程を経ることなく連続して塗布し、その後、1度の焼成によりガラス質被覆層を形成することを特徴とするガラス質層被覆鋳鉄の製造方法
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