JP5967055B2 - 溶融亜鉛めっき鋼板用の熱延鋼板の冷却方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融亜鉛めっき鋼板用の熱延鋼板を熱延ラインで製造する際、熱延後の熱延鋼板を、めっき後の外観およびめっきの密着性を、鋼板の全長・全幅で良好にするための冷却方法およびこの冷却方法を適用して製造された熱延鋼板コイルに関するものである。
図2に示すように、熱延ラインにおいて、熱延鋼板を製造するには、加熱炉1において所定温度に加熱されたスラブを粗圧延機2で熱間圧延して粗バーとなし、ついでこの粗バーを複数基の圧延スタンドからなる連続熱間仕上圧延機3において所定の厚みに仕上げた後、ランアウトテーブルに設置された冷却設備4から鋼板表面に冷却水を供給することによって鋼板を所定の温度に冷却して巻取機5でコイル7に巻き取ることにより製造される。
溶融亜鉛めっき鋼板は熱延鋼板を素材とし、酸洗、冷間圧延、焼鈍、めっきのプロセスを経て製造される。また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、めっき処理の後に合金化処理が施される。以下、溶融亜鉛めっき鋼板と合金化溶融亜鉛めっき鋼板をまとめて「めっき鋼板」ということがある。
めっき鋼板は耐食性が良好であり、自動車や家電製品等に使用されるが、素材となる鋼板については、軽量化や安全性の向上などの要請から高強度化が求められている。
鋼板にSiを含有させると、延性や加工性を損なうことなく、強度を高めることができることが知られており、めっき鋼板の素材となる鋼板は、通常、3%程度以下の範囲でSiを含有している。
しかし、Siは易酸化性元素であり、Siを含有する鋼板の表面にめっき層を形成すると、めっき密着性不良や外観不良(不めっきや合金むら)などのめっき不良が発生しやすい。
以下、非特許文献1および2を参考にし、溶融亜鉛めっき鋼板あるいは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造プロセスに沿って、Siを含有する鋼板がめっき不良を引き起こすメカニズムについて説明する。
熱間圧延工程でコイル状に巻き取られた後、鋼板の表層には酸化鉄が生成されるが、それよりも内部にSiの酸化物層(以降、内部酸化層とする)が生成される。
コイル状に巻き取られた熱延鋼板(以降、コイルと称する)は放冷完了後に酸洗を施されるが、酸洗前の熱延鋼板の状態は、表面から順に、酸化鉄層、Siの内部酸化層、Siの欠乏層、地鉄となっている。
ここで、Siの欠乏層とはSiが拡散し、Si量が他に比べて少ない層のことである。通常、酸洗時に酸化鉄層およびSi内部酸化層が除去される。
焼鈍過程における炉内環境は、鉄にとっては還元雰囲気であるが、Siにとっては酸化雰囲気である。そのため、地鉄から表層に拡散し、鋼板表層に存在するSiは鋼板表面で酸化物を生成する。
Siの酸化物は溶融亜鉛との濡れ性が悪いため、鋼板表面に生成されたSi酸化物は、溶融亜鉛めっき後の表面外観およびめっきの密着性(以降、めっき性と称する)を悪化させる。
Siが添加された鋼板では、焼鈍時、鋼板表面のSi酸化物の生成量が大きく、めっき性が悪化する。
そのため、例えば、特許文献1のように、焼鈍炉内の露点を制御し、鋼板表面でのSiの酸化を防止し、めっき性が悪化するのを抑制する手法が提案されている。
ところで、酸洗前の鋼板において、Siの内部酸化層厚さが厚いとSiの欠乏層が厚くなり、焼鈍時のSiの表面酸化を抑制しやすい。そのため、Siの内部酸化層厚さが厚い場合、良好なめっき性が得られる。逆に、Siの内部酸化層厚さが薄いとSiの欠乏層が薄くなり、焼鈍時のSiの表面酸化を抑制できない。そのため、Siの内部酸化層厚さが薄い場合、めっき性が悪い。
しかし、内部酸化層厚さが過剰に厚い場合、酸洗時にSiの内部酸化層を除去しきれず、焼鈍過程において、残存した内部酸化層が焼鈍炉内のロールに付着し、その付着物が鋼板に再付着して、やはり溶融亜鉛めっき後の表面外観およびめっきの密着性を悪化させる。
この内部酸化層厚さは、とりわけSiが0.2質量%以上含有する鋼板で著しく大きくなる。
このように、過剰に厚い内部酸化物層も、めっき性を悪化させるから、酸洗前の内部酸化層厚さを適正範囲に制御する必要がある。
ここで、内部酸化層の厚さはコイルの温度履歴により決定される。
非特許文献2に示されるように、鋼中元素の酸化反応速度は式(1)のようにアレニウス型の式で表され、酸化生成速度は高温では速く、低温では遅い。
ここで、Tは絶対温度(K)、kは定数(ms−1)、Qは活性化エネルギー(Jmol−1)、Rは気体定数(JK−1mol−1)である。
内部酸化層の生成速度が式(1)で表されるとすると、内部酸化層厚さは式(2)を解けば求められることが知られている。
ここで、δは内部酸化層の厚さ(m)、tは時間(秒)である。
式(2)の解は式(3)で表される。
ここで、tcは巻取時の時刻(秒)、teは常温になる時刻(秒)である。
つまり、内部酸化の厚さをコイルの温度履歴により制御できる。非特許文献1においては、熱間圧延工程において、適切な熱処理をすることにより、適切な量の内部酸化層を生成し、めっき性を向上させることが可能であるという報告がなされている。
特開2009−209397
「熱延鋼板の内部酸化層が冷間圧延後の再結晶焼鈍時におけるSi,Mn表面濃化挙動におよぼす影響」表面技術、社団法人表面技術協会、2004年、Vol.55、No.1、p.48〜55 「加熱,圧延鋼材の脱炭現象の解析」山陽特殊鋼技法、2001年、Vol.8,No.1,p.43〜50
通常、コイルの板幅方向端部、内周部および外周部といったコイル表面部分はコイル内部よりも冷却速度が比較的速く、コイル内部は冷却速度がコイル表面部分よりも比較的遅い。そのため、コイル内部は、内部酸化層厚さが過剰に厚くなる傾向にあり、内部酸化層厚さの好適範囲から外れやすく、めっき性(溶融亜鉛めっき後の表面外観およびめっきの密着性)が悪化する場合がある。
鋼板の内部酸化層厚さが好適範囲から外れた場合、特許文献1の方法でも十分なめっき性を得ることが困難である。
そこで、本発明の目的は、上記の実情に鑑み、溶融亜鉛めっき鋼板用の、内部酸化層の生成が著しいSi含有率が0.2質量%以上の熱延鋼板について、めっき性を良好にする熱延後の熱延鋼板の冷却方法を提供することである。
本発明は、以下の手段を採用する。
[1]熱延ラインにおいて、熱間圧延後の熱延鋼板をランアウトテーブルでヘッダーに設置されたノズルより冷却水を供給して冷却し、次いで巻取機で巻き取ってコイルとした後、コイルの端部面のコイル内径から外径までの半径方向距離の内径側から1/4〜1/2の範囲のみに冷却水を噴射して冷却することを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板用のSi含有率が0.2質量%以上の熱延鋼板の冷却方法。
[2]冷却水を中空円錐状に噴射可能なノズルを用いて、前記のコイルの端部面のコイル内径から外径までの半径方向距離の内径側から1/4〜1/2の範囲のみに冷却水を噴射して冷却することを特徴とする[1]に記載の溶融亜鉛めっき鋼板用のSi含有率が0.2質量%以上の熱延鋼板の冷却方法。
[3]前記の熱間圧延後の熱延鋼板を、ランアウトテーブルでヘッダーに設置されたノズルより冷却水を供給して冷却する際、熱延鋼板の幅方向端部に対して、ノズルからの冷却水の供給を遮断することにより、巻取時の板幅方向端部を他の部分よりも高温にすることを特徴とする[1]または[2]に記載の溶融亜鉛めっき鋼板用のSi含有率が0.2質量%以上の熱延鋼板の冷却方法。
[4]前記熱延鋼板の幅方向端部のそれぞれ板幅50mm〜150mmの範囲に対して、ノズルからの冷却水の供給を遮断することにより、巻取時の板幅方向端部を他の部分よりも高温にすることを特徴とする[3]に記載の溶融亜鉛めっき鋼板用のSi含有率が0.2質量%以上の熱延鋼板の冷却方法。
[5]前記熱延鋼板の幅方向端部に対して、鋼板とノズルとの間に装入した樋により、ノズルからの冷却水の供給を遮断することを特徴とする[3]または[4]に記載の溶融亜鉛めっき鋼板用のSi含有率が0.2質量%以上の熱延鋼板の冷却方法。
本発明の冷却方法によれば、溶融亜鉛めっき鋼板用のSi含有率が0.2質量%以上の熱延鋼板について、熱延鋼板の全長・全幅で均一に冷却することができ、めっき性の良好な溶融亜鉛めっき鋼板用の熱延鋼板を高い歩留で製造することができる。
熱延鋼板のコイル端部面を中空円錐状の冷却水で冷却することを示す。 熱延鋼板を圧延してコイルに巻き取る熱延ラインの概略を示す。 コイル端部面のコイルの半径方向の温度分布を示す。 エッジマスクを用いた場合の熱延鋼板の幅方向の温度分布を模式的に示す。
本発明者は、内部酸化層の厚さδが前述の式(3)で表されるように、熱延後の熱延鋼板を巻き取ったコイルの温度履歴に依存することから、コイルの冷却を適正に行えば、熱延鋼板の全長・全幅で内部酸化層厚さが均一化して、内部酸化層厚さが過剰に厚い部位や過剰に薄い部位の発生を抑えることができ、このことにより内部酸化層の厚さが適正な範囲に収まる鋼板の部位の範囲(面積)を拡大することができると考え、本発明を完成した。
コイルは円筒状の鋼板が積層された状態にあると考えることができ、幅方向の熱伝導に対し、半径方向の熱伝導が著しく悪く、コイル半径方向中央部付近の温度の低下が遅い。そのため、コイル半径方向中央部付近の部位では、内部酸化層厚さが過剰になりやすい。
図3に、鋼板の幅方向端部の面におけるコイル半径方向の温度分布の例を示す。内径と外径の中心よりやや内径側の位置の温度が最も高くなる。その最も温度が高い部分のみを水冷し、コイル内の温度を均一化させることで、コイルを均一に冷却でき、したがって内部酸化層の厚さを均一化させることができる。そして、このことにより、内部酸化層過剰に厚い部位の発生を抑えることができ、内部酸化層の厚さが適正な範囲に収まる鋼板の部位の範囲(面積)を拡大することができる。
ここで、コイルの最も温度が高くなる部位は、コイル内径から外径までの半径方向距離の内径側から1/4〜1/2の範囲であるため、この範囲を冷却することによりコイル全体の冷却速度を均一化することが可能である。
この内径側から1/4の位置よりも内側を冷却範囲に含めると、内径側の冷却速度が速くなり過ぎ、また、この内径側から1/2の位置よりも外側を冷却範囲に含めると外径側の冷却速度が速くなり過ぎるという問題がある。すなわち、コイルの冷却速度が速い部分に水冷を行うと内部酸化層の厚さが薄くなってしまうため、水冷を行う部分は温度の高い位置でなければならない。
そこで、コイル内径から外径までの半径方向距離の内径側から1/4〜1/2の範囲のコイルの端面を選択的に冷却すれば、コイル全体の温度履歴が均一化される。
そして、コイル全体の温度履歴が均一化される冷却を行えば、コイルの鋼板の全長・全幅で内部酸化層厚さが均一化して、内部酸化層厚さが過剰に厚い部位や過剰に薄い部位の発生を抑えることができるため、内部酸化層の適正な厚み範囲に収まる部位の面積を拡大することができ、その結果、めっき性の良好な鋼板を製造することができる。
このような冷却を行うには、上記の部位を選択的に冷却できるものであればどのようなものでも良いが、例えば、図1に示すように、冷却水を中空円錐状に噴射可能なノズルを用いればよい。
なお、上記のように冷却範囲を限定しても、冷却水は、不可避的にコイル外面や内面、および、コイル端面の適正範囲外にも散布されてしまう。しかし、上記の適正範囲へ供給される冷却水の水量密度に対し、上記の範囲外の水量密度が小さいから、本発明の効果に実質的な影響はほとんどない。
コイルの冷却は、図1の通りコイル両側から冷却するのが好ましい。片面側からのみ冷却すると、反対側の面の冷却速度が遅くなるため、コイル全体の冷却速度の均一化は達成しがたい。
また、図2におけるランアウトテーブルにおける冷却設備4において、熱延鋼板に冷却水を供給するヘッダーに設置されたノズルからの冷却水の供給を、熱延鋼板の幅方向端部に対して樋等で遮断することで、巻取時の板幅方向端部を他の部分よりも高温にすることにより、コイルの幅方向端部の温度を比較的高くすることができる(これは、熱延鋼板の幅方向端部にマスクし、冷却水を遮断することから、以降、この方法をエッジマスク法と呼ぶことにする)。この方法により、図4のような温度分布をつくることができる。
鋼板の幅方向端部にエッジマスク法を適用する領域は50mm〜150mm(したがって幅方向の両端部のマスク幅の合計は100〜300mm)が好適である。マスクする領域を50mm未満にした場合、巻き取ったコイルのマスクが施された部位の高温の領域が少なく、熱拡散により、すぐに均熱されるため、内部酸化の生成速度が速い時間を十分に確保することができない。
また、マスクする領域が150mmを超える場合、コイルの全体の温度が上昇し、内部酸化量が全体的に過剰になる。
そのため、幅方向端部の昇温領域は50mm〜150mmが適切である。
本発明における溶融亜鉛めっき鋼板は、めっき層の合金化処理を施していない溶融亜鉛めっき鋼板および合金化処理を施した溶融亜鉛めっき鋼板(合金化溶融亜鉛めっき鋼板)を含むものである。
以下の実施例では、合金化溶融亜鉛めっき鋼板について本発明を適用しているが、めっき層の合金化処理を施していない溶融亜鉛めっき鋼板についても、同様の結果が得られており、本発明を適用することができる。
Si含有量が異なる2種(鋼種Aおよび鋼種B)の590MPa級の溶融亜鉛めっき鋼板用の熱延鋼板について、本発明を適用した実施例を以下に説明する。
熱延鋼板のSi含有量は、鋼種Aが0.3質量%、鋼種Bが0.8質量%である。
鋼種A、Bのいずれの熱延鋼板も、図2に示す熱延鋼板の製造ライン設備で製造し、板厚3.0mm、板幅1000mm、全長790mの鋼板に圧延して、ランナウトテーブルにおいて冷却設備に設けられたヘッダーのノズルから冷却水を噴射して冷却した後、600℃の巻取温度でコイル外径が1900mm、コイル内径が750mmのコイルに巻き取った。
ランアウトテーブルでの冷却では、エッジマスク法を適用して冷却をする場合は、鋼板の所定の幅の板幅端部に冷却水噴射口からの冷却水が直接あたらないように、樋を鋼板とノズルの冷却水噴射口との間に装入して行った。
コイルに巻き取られた熱延鋼板は、その後、酸洗、冷間圧延、焼鈍、合金化溶融亜鉛めっき処理を行い、製品の歩留を調査した。表1に冷却条件とその結果を示す。
ここで、製品の歩留は、合金化溶融亜鉛めっき処理後の鋼板について、表面検査によりめっき不良部および表面欠陥部と判定された部分を含む鋼板の部位を幅方向に切断して除いためっき鋼板重量を、表面検査の対象となっためっき鋼板全体の重量で除して求め、%で表記した。
表1において、「冷却の方式/水冷範囲」は、コイルの冷却について、どのような冷却をどのような範囲で行ったかを表している。
「放冷」は、大気中でコイルを放置した場合の冷却である。
「中実円錐スプレー」はコイルの両側面を円錐形に広がるスプレーによる冷却である。この場合、スプレー面は円形となり、コイルの軸心部の空洞内にも冷却水がスプレーされることになる。
「中空円錐スプレー」は、コイルの両側面を、スプレー面が円環状に、かつ円錐形に広がるスプレーによる冷却である。
「中実円錐スプレー」および「中空円錐スプレー」では、ともに40L/minの流量で噴射するノズルを、コイル側面のそれぞれの近傍に1つずつ設置して冷却水をスプレーした(図1参照)。
また、「エッジマスク」は、ランアウトテーブルでの冷却において、エッジマスク法による冷却の有無を示している。例えば、「あり/両端25mm」は、鋼板の板幅両端部をそれぞれ幅25mmに冷却水があたらないように冷却したことを示している。
比較例1は、ランアウトテーブルでの冷却(エッジマスクなし)およびコイルの冷却(放冷)が従来通りのものである。図3に示すように、コイルの冷却が不均一に進行し、内部酸化層厚さの適正範囲に収まる部位のほかに、この適正範囲を外れる部位(適正範囲の上限を超える部位および下限を下回る部位)がかなり発生したと考えられる。Si含有量が0.3質量%の鋼種Aでは歩留が60%、Si含有量が0.8質量%の鋼種Bでは歩留が40%であった。
比較例2は、ランアウトテーブルでの冷却が比較例1と同様に従来通りのものであるが、コイルの両端部面全域を中実円錐スプレーで冷却している。このため、コイルの冷却は、やや改善されているが、依然として不均一に進行し、内部酸化層厚さの適正範囲に収まる部位の面積は、比較例1に比べてやや拡大したものの、その程度は小さかったと考えられる。鋼種Aでは歩留が65%、鋼種Bでは歩留が45%であった。
比較例3は、比較例1、2と同様に、ランアウトテーブルでの冷却が従来通りのものであるが、中空円錐スプレーでコイルの両端部面を、コイル内径〜コイル内径から外径までの半径方向距離の1/2の範囲に冷却水を当てて冷却している。このため、コイルの冷却は、比較例2に比べてやや改善されているものの、やはり不均一に進行し、内部酸化層厚さの適正範囲に収まる部位の拡大は比較例2に比べてわずかであったと考えられる。鋼種Aでは歩留が68%、鋼種Bでは歩留が48%であった。
比較例4は、比較例1〜3と同様に、ランアウトテーブルでの冷却が従来通りのものであるが、コイルの両端部面を中空円錐スプレーで両端部面を、コイル内径から外径までの半径方向距離の内径側から1/4〜コイル外径の範囲に当てて冷却している。このため、比較例3と同様に、比較例2と比べて、コイルの冷却はやや改善されているものの、内部酸化層厚さの適正範囲に収まる部位の拡大は比較例2に比べてわずかであったと考えられる。鋼種Aでは歩留が68%、鋼種Bでは歩留が48%であった。
これに対して、発明例1は、比較例1〜4と同様に、ランアウトテーブルでの冷却が従来通りのものであるが、中空円錐スプレーでコイルの両端部面をコイル内径から外径までの半径方向距離の内径側から1/4〜1/2の範囲に冷却水を当てている。その結果、コイルの冷却がより均一に進行して、内部酸化層厚さの適正範囲に収まる部位が比較例1〜4に比べて著しく拡大したと考えられる。鋼種Aでは歩留が90%、鋼種Bでは歩留が80%であり、比較例1〜4に比べて、めっき性は著しく向上している。
発明例2は、発明例1と同様に、中空円錐スプレーでコイルの両端部面をコイル内径から外径までの半径方向距離の内径側から1/4〜1/2の範囲に冷却水を当て、かつランアウトテーブルでの冷却においても、鋼板の両幅方向端部に100mmずつエッジマスク法を適用している。その結果、本発明例2では発明例1よりも、さらに内部酸化層厚さの適正範囲に収まる部位が発明例1よりも拡大したと考えられる。鋼種Aでは歩留が98%、鋼種Bでは歩留が95%であり、比較例1〜4に比べて、めっき性は著しく向上している。
発明例3、4では、発明例1、2と同様に中空円錐スプレーでコイルの両端部面をコイル内径から外径までの半径方向距離の内径側から1/4〜1/2の範囲に冷却水を当て、発明例2と同様にエッジマスク冷却を行っているが、いずれも、エッジマスク領域が好適範囲外である。このため、発明例2よりもエッジマスク効果が小さく、その結果、内部酸化層厚さの適正範囲に収まる部位の拡大は、発明1よりもわずかにとどまったと考えられる。鋼種Aでは歩留が91%、鋼種Bでは歩留が81%であり、比較例1〜4に比べて、めっき性は著しく向上している。
以上のように、本発明の熱延鋼板の冷却方法により、全長・全幅で良好なめっき性を得られる溶融亜鉛めっき用の熱延鋼板の製造が可能となった。
1 加熱炉
2 粗圧延機
3 仕上圧延機
4 ランアウトテーブルでの冷却設備
5 巻取機
6 鋼板
7 熱延コイル
8 冷却水を中空円錐状に噴射するノズル

Claims (5)

  1. 熱延ラインにおいて、熱間圧延後の熱延鋼板をランアウトテーブルでヘッダーに設置されたノズルより冷却水を供給して冷却し、次いで巻取機で巻き取ってコイルとした後、コイルの端部面のコイル内径から外径までの半径方向距離の内径側から1/4〜1/2の範囲のみに冷却水を噴射して冷却することを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板用のSi含有率が0.2質量%以上の熱延鋼板の冷却方法。
  2. 冷却水を中空円錐状に噴射可能なノズルを用いて、前記のコイルの端部面のコイル内径から外径までの半径方向距離の内径側から1/4〜1/2の範囲のみに冷却水を噴射して冷却することを特徴とする請求項1に記載の溶融亜鉛めっき鋼板用のSi含有率が0.2質量%以上の熱延鋼板の冷却方法。
  3. 前記の熱間圧延後の熱延鋼板を、ランアウトテーブルでヘッダーに設置されたノズルより冷却水を供給して冷却する際、熱延鋼板の幅方向端部に対して、ノズルからの冷却水の供給を遮断することにより、巻取時の板幅方向端部を他の部分よりも高温にすることを特徴とする請求項1または2に記載の溶融亜鉛めっき鋼板用のSi含有率が0.2質量%以上の熱延鋼板の冷却方法。
  4. 前記熱延鋼板の幅方向端部のそれぞれ板幅50mm〜150mmの範囲に対して、ノズルからの冷却水の供給を遮断することにより、巻取時の板幅方向端部を他の部分よりも高温にすることを特徴とする請求項3に記載の溶融亜鉛めっき鋼板用のSi含有率が0.2質量%以上の熱延鋼板の冷却方法。
  5. 前記熱延鋼板の幅方向端部に対して、鋼板とノズルとの間に装入した樋により、ノズルからの冷却水の供給を遮断することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の溶融亜鉛めっき鋼板用のSi含有率が0.2質量%以上の熱延鋼板の冷却方法。
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