JP5965804B2 - 成型炭の製造方法 - Google Patents

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本発明は、成型炭の製造方法に関し、具体的には、コークス製造用の石炭と、成型性維持のためのバインダーとを混練してから成型することにより成型炭を製造する方法に関する。
コークスの製造においては、通常は複数の石炭銘柄が用いられる。各銘柄の使用比率はそれぞれの石炭銘柄の性状を考慮して決定・配合されることによりコークス製造用の石炭となる。コークス製造用の石炭の一部を高密度に成型したいわゆる成型炭と残部の粉炭とを混合して装入炭とし、コークス炉内に装入しコークスを製造する手法において、全装入炭量に対する成型炭の配合比率を高めることには、以下に列記の利点A〜Cがある。
(A)装炭時における、成型炭と粉炭との平均嵩密度が増加する。すなわち、コークス炉に装入できる石炭量が増えるために、コークスの生産性が向上する。
(B)成型炭内は高密度であるため石炭粒子同士がより近接した状態にあり、石炭が加熱されて軟化溶融時の融着が促進されるため、コークス化性が低い石炭、すなわち非粘結炭の比率が高い配合構成とすることが可能になる。したがって、全装入炭に対する成型炭の配合比率を高めると全装入炭における非粘結炭の割合を高めることができる。
(C)成型炭は、製造プロセス装置からコークス炉までの搬送過程での機械的衝撃に起因する破壊を最小限に抑制するための強度が必要とされ、実操業においてはトロンメル強度と呼ばれる強度指標で管理されている。なお、トロンメル強度とは、成型直後の成型炭5kgを、内径500mm,長さ500mmで内部に80mm幅の羽を有するドラム試験機内に入れた後に12rpmで5分間、合計60回転させた後の15mm篩上質量比率であり、実コークス炉における管理基準値は約80%である。
成型炭が所定の強度を有するには、成型時におけるバインダーの添加が不可欠となる。用いられるバインダーとしては、コークス製造時の副生成物であるコールタールから軽質留分を除去した後に残存する重質成分であるロードタールが有用であることが広く知られている。
しかし、コールタールは、電極用ピッチなど他の工業原料としての用途も多く、ロードタールの原料として利用可能な量には制限がある。すなわち、成型炭用のバインダーとしてのロードタールは不足している状況にあるため、ロードタールの一部あるいは全量を代替可能なバインダーで代替することが求められる。
特許文献1には、粘結材としては石炭ピッチ,アスファルト,ロードタール,また石油系重質油などを熱処理或いは溶媒抽出処理して得られるピッチ分などが利用でき、これにコールタール,ロードタール,プロパン抽出アスファルト(PDA)などを添加配合した混合材も利用できることが開示されている。
しかし、これらは軟化溶融時の粘結性を増強させてコークス化性の向上を図ることが目的であり、成型炭の成型性維持のためのバインダーとして石炭ピッチ,アスファルト,ロードタール,コールタールが使用可能であることが記載されているものの、これらの混合が成型性に及ぼす影響に関しては記載されていない。
特許文献2には、成型炭の成型性維持のためのバインダーとして石油系アスファルトを用いる場合に、補助粘結材としてコールタールを適当量添加する成型炭の製造方法、具体的には、コールタールの混合比は、バインダー比7%で36〜44%、同7.5%で26〜39%、8%で16〜35%が、一般に要求される成型炭の圧潰強度(100kg/個)以上となるため好適であることが開示されている。
特許文献2には、石油系アスファルトの軟化点は77℃、コールタールの軟化点の具体的記述はないものの常温で液状と記載されており、混合バインダーの軟化点は石油系アスファルト単体のそれよりも低いと推察される。石炭との混練温度は100℃前後と記載されており、それよりは低い。
特公昭60−9547号公報 特公昭57−20359号公報
成型炭の製造プロセスにおいては、バインダーを石炭中に均一に分散させるため、石炭とバインダーとの混練温度は、少なくともバインダーの軟化点よりも高く設定する必要がある。よって、混練温度を高く設定すると、より軟化点が高いバインダーが利用可能となるが、バインダーは瀝青物であるため高温になると臭気が激しくなるという作業環境上の問題が生ずる。したがって、バインダーであるロードタールの一部あるいは全量を、代替可能なバインダーにより代替するにあたっては、石炭とバインダーとの混練温度を高める必要がないことが求められる。
しかしながら、従来の技術においては、成型炭の成型性維持のためのバインダーとして用いられるロードタールの一部あるいは全量を代替可能なバインダーや、その特性および配合条件については開示も示唆もされていない。
本発明は、従来の技術が有するこのような課題に鑑みてなされたものであり、成型炭の成型性維持のためのバインダーとして用いられるロードタールの一部あるいは全量を代替可能なバインダーを用いて、石炭とバインダーとの混練温度を上げずに、成型炭を製造する方法を提供することを目的とする。
ロードタールの代替バインダーとして幾つかの瀝青物が考えられるが、軟化点が高過ぎるものは、先述のように石炭との混練温度を高くしなければならず、作業環境上好ましくない。また、ロードタールよりも軟化点が低い瀝青物として最も一般的なのはコールタールであるが、軟化点が低下するため成型炭内での固化状態が悪化し、成型炭の強度低下を誘発するために望ましくない。すなわち、ロードタールの代替バインダーとしては、ロードタールよりも高軟化点で、かつ石炭との混練温度は高くせずとも従来と同様に操業が可能であるものが望ましい。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下に列記の知見を得て、本発明を完成した。
(I)主たるバインダーをロードタールとした際の代替バインダーとして、軟化点が異なる複数種の溶剤脱れきアスファルトを用いて行った成型炭の製造およびトロンメル強度の測定試験の結果より、代替バインダーとして溶剤脱れきアスファルトが好適である。
ここで、溶剤脱れきアスファルトは、SDA(Solvent deasphalting asphalt)とも称され、石油の蒸留残油(アスファルト)から軽質成分を抽出する際の残渣であり、先述したプロパン抽出アスファルト(PDA)は、その一種で、溶剤としてプロパンを用いたものであり、ピッチとも称される。
石炭の成型に際しては、これまでにも、特許文献1の2頁に例示されるように、多くの物質が添加されてきた。この添加物質の機能は、(A)500℃以降のコークス生成時の強度確保(特許文献1における「粘結材」),(B)常温から100℃程度の成型炭強度確保(本明細書や特許文献1における用語「バインダー」)に大別される。
ここで、特許文献1の態様は、成型炭中に劣質炭を多く配置して、そのままではコークス強度が弱くなるところを、粘結材添加と嵩密度向上で補填するという技術思想に基づいており(成型炭配合法の当初の狙い)、軟化点が例えば187℃と高い粘結材が使用されてきた。すなわち、特許文献1では、コークス強度を確保するための粘結材機能が重視されてきた。
これに対し、本発明は、バインダーが不足する一方でコークス炉に装入する成型炭の比率を高めたいという相反する状況下において、バインダー、特にロードタールの代替バインダーとして機能評価した場合に、従来使用されていた物質であっても、機能に優劣を生じることから、成型炭の強度確保が可能な差異的な代替バインダーを鋭意検討し、溶剤脱れきアスファルトを提示する点に特徴を有するものである。
(II)は、炭化水素系の抽出溶媒の種類を変える等の製造条件を変更することによって、残渣の軟化点を変更することが可能であるため、溶剤脱れきアスファルトを用いれば、代替バインダーとして適切な軟化点を有するピッチを比較的容易に得ることができる。
ここで、以下の(a)〜(c)に、溶剤脱れきアスファルトの製造法と典型的な製造条件を例示する。
(a)ライトリフォーメート(SDA装置溶剤)について
原料である原油を常圧蒸留して分留されるナフサ留分(主に沸点が30〜230℃の留分)を得る。次いで、これを必要に応じて水素化精製装置で水素化脱硫処理を行った後、常圧蒸留で軽質ナフサ留分(主に沸点30〜90℃の留分)と重質ナフサ留分(主に沸点80〜180℃の留分)に分留する。なお、この水素化脱硫処理は、常圧蒸留で軽質ナフサ留分と重質ナフサに分留した後に、水素化精製装置にかけてもよい。
次に、接触改質装置によって、前記ナフサ留分(水素化脱硫処理を行った場合は、前記重質ナフサ留分)を改質して、炭素数5以上の芳香族系炭化水素を主成分とする留分であるリフォーメートを得る。このようにして得られたリフォーメートは、密度が0.78〜0.81g/cm、リサーチ法オクタン価が96〜104、モーターオクタン価が86〜89であり、芳香族分を50〜70容量%、飽和分を30〜50容量%含むものである。
その後、精留装置によって、炭素数5の炭化水素を主成分とするライトリフォーメートと、炭素数6以上の芳香族系炭化水素を主成分とする留分とに分離する。この炭素数6以上の芳香族系炭化水素を主成分とする留分は、炭素数6以上の芳香族系炭化水素を主成分とするものであり、他に炭素数6以上の飽和炭化水素、オレフィン系炭化水素、及びナフテン系炭化水素などの成分を含むものである。ライトリフォーメート及び炭素数6以上の芳香族系炭化水素を主成分とする留分に含まれる各成分は、例えば、GC(ガスクロマトグラフ)分析(JIS K2536「石油製品‐成分試験方法」)などにより求めることができる。
(b)SDA装置について
前記のライトリフォーメートを溶剤として、原油を常圧蒸留して得られる常圧蒸留残油、並びに原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られる減圧蒸留残油から選ばれる少なくとも1種を含む残油を抽出処理しSDAピッチを得る。この抽出処理の際、溶剤抽出装置のミキサーなどの混合装置によって、前記の残油と溶剤とは混合され、この溶剤の臨界圧力以上、臨界温度以下の一定の条件に保たれている溶剤抽出装置のアスファルテン分離槽に供給される。このアスファルテン分離槽内では、残油に含まれるアスファルトが沈殿する。沈殿物は、アスファルテン分離槽の底部から連続的に抜出され、ストリッパーによってわずかに含まれる溶剤が除去されて、溶剤脱れきピッチとされる。なお、アスファルテン分離槽の上部から抜き出された油は、脱れき油として利用される。
前記の残油と溶剤(ライトリフォーメート)とを抽出処理する際、抽出温度を130℃〜200℃とし、溶剤と残油との流量比(溶剤/残油)を4/1〜8/1として行う。
(c)PDA装置について
プロパンを主成分とする溶剤を用い、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られる減圧蒸留残油を抽出処理し、PDAピッチを得る。
前記の残油は脱アスファルト塔上部へ、前記の溶剤(プロパン)は脱アスファルト塔下部へ供給される。残油とプロパンの間に比重差があるため、軽いプロパンは脱れき油の留分を吸収しながら塔内を上昇し、プロパンに吸収されないピッチ分(アスファルト分)は下降し、脱アスファルト塔上部からはプロパンに吸収された脱れき油が、下部からはピッチ(アスファルト)が抜き出される。それぞれ、プロパンを溶剤回収系で分離させ、脱れき油およびピッチ(アスファルト)が生成する。脱れき油は、一般的に高粘度の潤滑油用途などに用いられる。
PDA装置の運転条件は、溶剤比(溶剤/残油)3/1〜6/1、抽出温度50〜85℃程度の範囲である。
(III)ロードタールの一部あるいは全量を溶剤脱れきアスファルトにて代替するに際し、その代替率を適正化することにより、所望の強度を有する成型炭を製造することも可能になる。
本発明は以下に列記の通りである
(1)コークス製造用の石炭と、成型性維持のためのバインダーとを混練してから成型することにより成型炭を製造する際に、前記バインダーであるロードタールを、その軟化点から前記ロードタールの軟化点を減じた軟化点差がプラス30℃以下であって、軟化点が60℃以下となる溶剤脱れきアスファルトにより4%以上100%以下の質量割合で代替することを特徴とする成型炭の製造方法。
)前記石炭と前記バインダーとは60〜100℃で混練される(1)項に記載された成型炭の製造方法。
本発明により、ロードタールに対して適正なバインダーを選定することができ、ロードタールの供給量が低下した際にも現状の量を確保すること、ひいては成型炭の製造量を維持することが可能となる。また、ロードタールの一部が代替可能であることから、ロードタールの供給量が維持された場合にはバインダー量の増量が見込まれ、安価な非粘結炭の使用割合が高くなることによる粘結炭資源の有効利用が期待される。
図1は、バインダー内における溶剤脱れきアスファルト配合率とトロンメル強度の関係を示すグラフである。 図2は、バインダー内における溶剤脱れきアスファルト配合率とトロンメル強度の関係を示すグラフであって、図1の拡大図である。 図3は、各溶剤脱れきアスファルトとロードタールとの軟化点差に対するトロンメル強度(溶剤脱れきアスファルト代替率33%)の関係を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
成型炭のバインダー効果を支配する一つ目の要因は、成型炭を構成する石炭粒子間への分散性である。より均一に分散することで石炭粒子同士がバインダーを介し接着する点数が増加する。石炭との混練時におけるバインダーの粘度が低いほど分散性は高くなるため、ロードタールの代替バインダーとしては粘度が著しく上昇しない性状のものを選択する必要がある。
成型炭のバインダー効果を支配する二つ目の要因は、成型後のバインダー自身が有する粘着性である。ここで、粘着性とは、耐破壊性と柔らかさのバランスを意味する。耐破壊性はバインダー自身の固さ、すなわち成型炭内の温度におけるバインダー粘度とも対応し、同一成型炭内温度においては軟化点が高い(軟化点と成型炭温度の差が大きい)バインダーほど硬くなる。
その一方で、バインダー固化に伴って内部に歪が発生し、これは接着の観点からはマイナスとなる。したがって、バインダーには、自身の固さ(耐破壊性)に加え、歪を吸収する柔らかさがある程度必要であり、軟化点が低い(軟化点と成型炭温度の差が小さい)バインダーほど柔らかさを有する。
これら分散性と粘着性をはじめとする複数の要因により、成型炭用のバインダーの能力は単純に軟化点の高低で設定することはできない。そこで、以下の試験により実際に成型炭を製造してバインダー能力の確認を行った。
以下の条件で成型炭の製造を実施した。所定量のバインダー(ロードタール単味あるいはロードタールとピッチ(溶剤脱れきアスファルト)の混合物)を成型炭製造用の石炭に添加し、スチームニーダーにて約80℃で10分間混練した後にダブルロール型の成型機に供し、成型炭を製造した。成型炭の大きさは41.3[mm]×41.3[mm]×22.4[mm]、容積は25ccであった。製造直後の成型炭をサンプリングし、トロンメル強度を測定した。
なお、バインダーは予め所定量を入れた一斗缶を混練温度と同温度にて数時間保持し、充分に攪拌した後に、スチームニーダー内の石炭中へ投入することで添加した。また、攪拌時の溶解性を目視にて評価した。
バインダーは、軟化点30℃のロードタールをベースとし、表1に示すピッチA(軟化点150℃)、ピッチB(軟化点90℃)、ピッチC(軟化点60℃)を用いて、表2に示す条件で単味或いは混合して用いた。また、各バインダーは、JIS−K−2425の手法にしたがいエングラー粘度測定を行った。なお、ここで軟化点とは、JIS−K2207に規定される環球法で測定される軟化点を意味する。
Figure 0005965804
図1は、バインダー内におけるピッチ配合率とトロンメル強度の関係を示すグラフである。図1の横軸は、バインダー全量に対する溶剤脱瀝ピッチの割合、換言するとロードタールに対する溶剤脱瀝ピッチの代替率である。
また、表2に、トロンメル強度の結果評価およびバインダーの粘度測定結果および溶解性の目視評価を示す。表2の「バインダー条件」欄の%数値は、成型炭製造用の石炭量に対する各バインダーの添加率(以下、バインダー比)を表す。
Figure 0005965804
なお、表2における試験ケースNo.1は実機での成型炭製造におけるロードタールを確保できた標準的条件であり、試験ケースNo.2はロードタールが不足した場合を模擬してバインダー比を4%と設定した。試験ケースNo.3〜5は、同一のバインダー比(6%)の条件下でロードタールを試験ケースNo.2と同じ4%と設定し、残りの2%を各種ピッチで代替したものである。なお、ピッチCのみ、軟化点が現状の混練温度以下であったため、同一バインダー比において単体での使用を試み、これを試験ケースNo.6とした。
表2中のトロンメル強度の評価は、上述したようにトロンメル強度の管理基準値として用いている80%を基準とし、これを上回る場合であれば、試験ケースNo.1より下回ったとしてもほぼ同等、すなわち代替は可能であると判断し、評価を△とし、試験ケースNo.1を上回る場合を○とした。
最も軟化点が高いピッチAでロードタールを代替した試験ケースNo.3は、エングラー粘度が測定不可能なほどバインダー粘度が著しく低下し石炭中に均一に分散しなかったため、トロンメル強度が大幅に低下した。なお、ピッチAはロードタールと相互に溶解しておらず、固形物が懸濁している様子が観察された。
ピッチBで代替した試験ケースNo.4は、ロードタール単体に比較し粘度が若干低下したのに伴い、トロンメル強度も若干低下したものの80%を上回っており、ロードタール単体とほぼ遜色無い値であった。なお、ピッチBはロードタールと相互に溶解はしたものの、少量づつ長時間かけてようやく溶解できたことから、溶解性は高くないと評価した。
最も軟化点の低いピッチC添加時、すなわち試験ケースNo.5は、本発明例であり、トロンメル強度は試験ケースNo.1よりも増加した。ピッチC単味をバインダーとした試験ケースNo.6は、本発明例であり、トロンメル強度は若干低下したが、80%を上回っており、ロードタール単体とほぼ遜色無い値であった。ピッチCは、ロードタールと容易に相互溶解し、溶解性は良好と評価された。各ケース間の粘度変動はあまり大きくないが、軟化点がトロンメル強度測定時の成型炭温度よりも若干高いピッチCを添加した場合にはバインダー自身の耐破壊性が増したこと、また全バインダーをピッチCとした場合は粘度の増加が石炭中への分散性に影響し、結果としてトロンメル強度が若干減少したものと考えられた。
図1および表2に示す結果からは、ピッチをロードタールの代替バインダーとして使用するにあたり、ピッチC(軟化点60℃)では、その添加率にかかわらずロードタール(軟化点30℃)に比較して遜色無い結果が得られることがわかる。
図2は、バインダー内におけるピッチ配合率とトロンメル強度の関係を示すグラフであって、図1の拡大図である。
図2に示すように、特に、ピッチを代替バインダーとして半量以下使用する場合には、ロードタールより良好な結果が得られるため、その範囲で用いるのが特に望ましい。
また、ピッチB(軟化点90℃)添加時は、トロンメル強度が若干低下するもののロードタールと遜色無いレベルである。ただし、表1に示すようにピッチのロードタール溶解時の状況を目視した結果、33%でもやや難渋しており、少なくとも半量以上の添加は困難と判断された。
図3は、各ピッチとロードタールとの軟化点差に対するトロンメル強度(溶剤脱瀝ピッチ代替率33%)の関係を示すグラフである。図3のグラフには、各溶剤脱瀝ピッチのロードタールとの軟化点差、すなわちピッチの軟化点からロードタールの軟化点を減じて求めた差分に対する、配合率あるいは代替率33%時におけるトロンメル強度を示す。
以上でトロンメル強度は大幅に減少する傾向にあり、軟化点差が大きすぎるピッチは代替バインダーとしては適さないことがわかる。
なお、ロードタール不足状況を模擬した試験ケースNo.2におけるトロンメル強度はベースを大幅に下回ったことから、ブリケットがある程度の強度を維持するためには相当量のバインダーが必要とされることが明らかとなり、上記にて検討した代替バインダーが有用であることが示された。

Claims (2)

  1. コークス製造用の石炭と、成型性維持のためのバインダーとを混練してから成型することにより成型炭を製造する際に、前記バインダーであるロードタールを、その軟化点から前記ロードタールの軟化点を減じた軟化点差がプラス30℃以下であって、軟化点が60℃以下となる溶剤脱れきアスファルトにより4%以上100%以下の質量割合で代替することを特徴とする成型炭の製造方法。
  2. 前記石炭と前記バインダーとは60〜100℃で混練される請求項1に記載された成型
    炭の製造方法。
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