はじめに、本発明の第1実施形態である現像装置200を備える画像形成装置100の全体的な構成について説明する。図1は、画像形成装置100の構成を示す模式図である。画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録媒体上にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する。画像形成装置100は、コピアモード(複写モード)、プリンタモード、およびファクシミリモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置、情報記録媒体、メモリ装置を用いた外部機器などからの印刷ジョブの受信に応じて、図示しない制御ユニット部によって、印刷モードが選択される。
画像形成装置100は、トナー像形成部20と、転写部30と、定着部40と、記録媒体供給部50と、排出部60と、図示しない制御ユニット部とを含む。トナー像形成部20は、感光体ドラム21b,21c,21m,21yと、帯電部22b,22c,22m,22yと、露光ユニット23と、現像装置200b,200c,200m,200yと、クリーニングユニット25b,25c,25m,25yと、トナーカートリッジ300b,300c,300m,300yと、トナー供給パイプ250b,250c,250m,250yとを含む。転写部30は、中間転写ベルト31と、駆動ローラ32と、従動ローラ33と、中間転写ローラ34b,34c,34m,34yと、転写ベルトクリーニングユニット35と、転写ローラ36とを含む。
感光体ドラム21、帯電部22、現像装置200、クリーニングユニット25、トナーカートリッジ300、トナー供給パイプ250、および中間転写ローラ34は、カラー画像情報に含まれるブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)、およびイエロー(y)の各色の画像情報に対応するために、それぞれ4つずつ設けられる。本明細書中において、各色に応じて4つずつ設けられる各部材を区別する場合は、各部材を表す数字の末尾に各色を表すアルファベットを付して参照符号とし、各部材を総称する場合は、各部材を表す数字のみを参照符号とする。
感光体ドラム21は、図示しない駆動部によって軸線回りに回転可能に支持され、図示しない導電性基体と、この導電性基体の表面に形成される光導電層とを含む。導電性基体は種々の形状を採ることができ、たとえば、円筒状、円柱状、薄膜シート状などを挙げることができる。光導電層は、光を照射されることで導電性を示す材料によって形成される。感光体ドラム21としては、たとえば、アルミニウムで形成された円筒状部材(導電性基体)と、この円筒状部材の外周面上に形成される、アモルファスシリコン(a−Si)、セレン(Se)、または有機光半導体(OPC)からなる薄膜(光導電層)とを含むものを用いることができる。
帯電部22、現像装置200、およびクリーニングユニット25は、感光体ドラム21の回転方向回りに、この順序で配置され、帯電部22は、現像装置200およびクリーニングユニット25よりも鉛直方向下方に配置される。
帯電部22は、感光体ドラム21表面を所定の極性および電位に帯電させる装置である。帯電部22は、感光体ドラム21に臨む位置に、感光体ドラム21の長手方向に沿って設置される。接触帯電方式の場合、帯電部22は、感光体ドラム21表面に接するように設置される。非接触帯電方式の場合、帯電部22は、感光体ドラム21表面から離隔するように設置される。
帯電部22は、現像装置200、クリーニングユニット25などとともに、感光体ドラム21の周囲に設置される。帯電部22は、現像装置200、クリーニングユニット25などよりも、感光体ドラム21に近い位置に設置されることが好ましい。これによって、感光体ドラム21の帯電不良の発生を確実に防止することができる。
帯電部22としては、ブラシ型帯電装置、ローラ型帯電装置、コロナ放電装置、イオン発生装置などを使用できる。ブラシ型帯電装置およびローラ型帯電装置は、接触帯電方式の帯電装置である。ブラシ型帯電装置には、帯電ブラシを用いるもの、磁気ブラシを用いるものなどがある。コロナ放電装置およびイオン発生装置は、非接触帯電方式の帯電装置である。コロナ放電装置には、ワイヤ状の放電電極を用いるもの、鋸歯状の放電電極を用いるもの、針状の放電電極を用いるものなどがある。
露光ユニット23は、露光ユニット23から出射される光が、帯電部22と現像装置200との間を通過して感光体ドラム21の表面に照射されるように配置される。露光ユニット23は、帯電状態にある感光体ドラム21b,21c,21m,21y表面に、各色の画像情報に対応するレーザ光をそれぞれ照射することによって、感光体ドラム21b,21c,21m,21yそれぞれの表面に、各色の画像情報に対応する静電潜像を形成する。露光ユニット23には、たとえば、レーザ照射部および複数の反射ミラーを備えるレーザスキャニングユニット(LSU)を使用できる。露光ユニット23としては、LED(Light Emitting Diode)アレイ、液晶シャッタと光源とを適宜組み合わせたユニットなどを用いてもよい。
現像装置200は、感光体ドラム21上に形成された静電潜像をトナーによって現像することで、感光体ドラム21上にトナー像を形成する装置である。現像装置200の鉛直方向上部には、筒状部材であるトナー供給パイプ250が接続される。現像装置200の詳細については後述する。
トナーカートリッジ300は、現像装置200よりも鉛直方向上方に配置され、未使用のトナーを貯蔵する。トナーカートリッジ300の鉛直方向下部にはトナー供給パイプ250が接続される。トナーカートリッジ300は、トナー供給パイプ250を介して、現像装置200へトナーを供給する。トナーカートリッジ300の詳細については後述する。
クリーニングユニット25は、感光体ドラム21から中間転写ベルト31にトナー像が転写された後に、感光体ドラム21の表面に残留するトナーを除去し、感光体ドラム21の表面を清浄化する部材である。クリーニングユニット25としては、たとえば、トナーを掻き取るための板状部材と、掻き取ったトナーを回収する容器状部材とが用いられる。
トナー像形成部20によれば、帯電部22によって均一な帯電状態にある感光体ドラム21の表面に、露光ユニット23から画像情報に応じたレーザ光が照射されて静電潜像が形成される。感光体ドラム21上の静電潜像に現像装置200からトナーが供給されることでトナー像が形成される。このトナー像は後述する中間転写ベルト31に転写される。トナー像が中間転写ベルト31に転写された後に、感光体ドラム21表面に残留するトナーは、クリーニングユニット25によって除去される。
中間転写ベルト31は、感光体ドラム21の鉛直方向上方に配置される無端ベルト状部材である。中間転写ベルト31は、駆動ローラ32と従動ローラ33とによって張架されてループ状の経路を形成し、矢符A4方向に移動する。
駆動ローラ32は、図示しない駆動部によってその軸線回りに回転可能に設けられる。駆動ローラ32は、その回転によって、中間転写ベルト31を矢符A4方向へ移動させる。従動ローラ33は、駆動ローラ32の回転に従動して回転可能に設けられ、中間転写ベルト31が弛まないように、中間転写ベルト31に一定の張力を発生させる。
中間転写ローラ34は、中間転写ベルト31を介して感光体ドラム21に圧接し、かつ図示しない駆動部によってその軸線回りに回転可能に設けられる。中間転写ローラ34としては、たとえば、直径8mm〜10mmの金属(たとえば、ステンレス)ローラの表面に、導電性の弾性部材が形成されたものを用いることができる。中間転写ローラ34は、転写バイアスを印加する図示しない電源が接続され、感光体ドラム21表面のトナー像を中間転写ベルト31に転写する機能を有する。
転写ローラ36は、中間転写ベルト31を介して駆動ローラ32に圧接し、図示しない駆動部によって軸線回りに回転可能に設けられる。転写ローラ36と駆動ローラ32との圧接部(転写ニップ部)において、中間転写ベルト31に担持されて搬送されるトナー像は、後述する記録媒体供給部50から送給される記録媒体に転写される。
転写ベルトクリーニングユニット35は、中間転写ベルト31を介して従動ローラ33に対向し、中間転写ベルト31のトナー像担持面に接触するように設けられる。転写ベルトクリーニングユニット35は、記録媒体へのトナー像の転写後に、中間転写ベルト31表面のトナーを除去し回収するために設けられる。記録媒体へのトナー像の転写後に中間転写ベルト31にトナーが付着したまま残っていると、中間転写ベルト31の移動によって、残留トナーが転写ローラ36に付着するおそれがある。転写ローラ36にトナーが付着すると、このトナーは、次に転写する記録媒体の裏面を汚染してしまう。
転写部30によれば、中間転写ベルト31が感光体ドラム21に接しながら移動するとき、中間転写ローラ34に、感光体ドラム21表面のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加され、感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像は、中間転写ベルト31上へ転写される。感光体ドラム21y、感光体ドラム21m、感光体ドラム21c、感光体ドラム21bでそれぞれ形成される各色のトナー画像が、中間転写ベルト31上に、この順番で順次重ねて転写されることによって、フルカラートナー像が形成される。中間転写ベルト31に転写されたトナー像は、中間転写ベルト31の移動によって転写ニップ部に搬送され、転写ニップ部において、記録媒体に転写される。トナー像が転写された記録媒体は、後述する定着部40に搬送される。
記録媒体供給部50は、給紙ボックス51と、ピックアップローラ52a,52bと、搬送ローラ53a,53bと、レジストローラ54と、給紙トレイ55とを含む。給紙ボックス51は、画像形成装置100の鉛直方向下部に設けられ、画像形成装置100内部において記録媒体を貯留する容器状部材である。給紙トレイ55は、画像形成装置100外壁面に設けられ、画像形成装置100外部において記録媒体を貯留するトレイ状部材である。記録媒体としては、普通紙、カラーコピー用紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート、葉書などがある。
ピックアップローラ52aは、給紙ボックス51に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路A1に送給する部材である。搬送ローラ53aは互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材であり、用紙搬送路A1において記録媒体をレジストローラ54に向けて搬送する。ピックアップローラ52bは、給紙トレイ55に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路A2に送給する部材である。搬送ローラ53bは互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材であり、用紙搬送路A2において記録媒体をレジストローラ54に向けて搬送する。
レジストローラ54は、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材であり、搬送ローラ53a,53bから送給される記録媒体を、中間転写ベルト31に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。
記録媒体供給部50によれば、中間転写ベルト31に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、給紙ボックス51または給紙トレイ55から記録媒体が転写ニップ部に送給され、この記録媒体にトナー像が転写される。
定着部40は、加熱ローラ41および加圧ローラ42を備える。加熱ローラ41は、所定の定着温度となるように制御される。加圧ローラ42は、加熱ローラ41に圧接するローラである。加熱ローラ41は、加圧ローラ42とともに記録媒体を加熱しながら挟持することにより、トナー像を構成するトナーを溶融させて記録媒体上に定着させる。トナー像が定着した記録媒体は、後述する排出部60に搬送される。
排出部60は、搬送ローラ61と、排出ローラ62と、排出トレイ63とを含む。搬送ローラ61は、定着部40よりも鉛直方向上方において、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材である。搬送ローラ61は、画像が定着した記録媒体を排出ローラ62に向けて搬送する。
排出ローラ62は、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材である。排出ローラ62は、片面印刷の場合、片面の印刷が完了した記録媒体を排出トレイ63に排出する。排出ローラ62は、両面印刷の場合、片面の印刷が完了した記録媒体を、用紙搬送路A3を介してレジストローラ54へ搬送し、両面の印刷が完了した記録媒体を排出トレイ63に排出する。排出トレイ63は、画像形成装置100の鉛直方向上面に設けられ、画像が定着した記録媒体を貯留する。
画像形成装置100は、図示しない制御ユニット部を含む。制御ユニット部は、たとえば、画像形成装置100の内部空間における鉛直方向上部に設けられ、記憶部と演算部と制御部とを含む。記憶部には、画像形成装置100の鉛直方向上面に配置される図示しない操作パネルを介した各種設定値、画像形成装置100内部の各所に配置される図示しないセンサなどからの検知結果、外部機器からの画像情報などが入力される。また、記憶部には、各種処理を実行するプログラムが書き込まれる。各種処理とは、たとえば、記録媒体判定処理、付着量制御処理、定着条件制御処理などである。
記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置100に電気的に接続可能な電気、電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビジョン受像機器、ビデオレコーダ、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダ、HDDVD(High-Definition Digital Versatile Disc)レコーダ、ブルーレイディスクレコーダ、ファクシミリ装置、携帯端末装置などが挙げられる。
演算部は、記憶部に書き込まれる各種データ(画像形成命令、検知結果、画像情報など)および各種処理のプログラムを取り出し、各種判定を行う。制御部は、演算部の判定結果に応じて画像形成装置100に設けられる各装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。
制御部および演算部は中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路を含む。制御ユニット部は、この処理回路とともに主電源を含み、電源は制御ユニット部だけでなく、画像形成装置100に設けられる各装置にも電力を供給する。
図2は、トナーカートリッジ300の構成を示す模式図である。図3は、図2に示す線III−IIIを切断面線とするトナーカートリッジ300の断面図である。トナーカートリッジ300は、トナー供給パイプ250を介して、現像装置200へトナーを供給する装置である。トナーカートリッジ300は、トナー収容容器301と、トナー汲み上げ部材302と、トナー排出部材303と、トナー排出容器304とを含む。
トナー収容容器301は、略半円柱状の内部空間を有する容器状部材であり、この内部空間において、トナー汲み上げ部材302を回転自在に支持し、未使用のトナーを収容する。トナー排出容器304は、トナー収容容器301の長手方向に沿って設けられる略半円柱状の内部空間を有する容器状部材であり、この内部空間において、トナー排出部材303を回転自在に支持する。トナー収容容器301の内部空間とトナー排出容器304の内部空間とは、トナー収容容器301の長手方向に沿って形成される連通口305を介して連通する。トナー排出容器304は、その鉛直方向下部に、排出口306が形成される。トナー排出容器304には、排出口306において、トナー供給パイプ250が接続される。
トナー汲み上げ部材302は、回転軸302aと、基体302bと、摺動部302cとを含む。回転軸302aは、トナー収容容器301の長手方向に沿って延びる円柱状の部材である。基体302bは、トナー収容容器301の長手方向に沿って延びる板状の部材であり、その幅方向および厚さ方向の中央部において、回転軸302aに取り付けられる。摺動部302cは、基体302bの幅方向両端部に取り付けられる可撓性を有する部材であり、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)から形成される。トナー汲み上げ部材302は、回転軸302aがその軸線回りに回転するのに伴って基体302bが回転運動し、これによって基体302bの幅方向両端部に設けられる摺動部302cがトナー収容容器301の内壁面を摺擦することで、トナー収容容器301内のトナーを、トナー排出容器304へ汲み上げる。
トナー排出部材303は、トナー排出容器304内のトナーを排出口306に向けて搬送する部材である。トナー排出部材303は、トナー排出回転軸303aと、このトナー排出回転軸303aを取り巻いて設けられるトナー排出羽根303bとを含む、オーガスクリュー状部材である。
トナーカートリッジ300によれば、トナー収容容器301内の未使用トナーが、トナー汲み上げ部材302によってトナー排出容器304に汲み上げられる。そして、トナー排出容器304に汲み上げられたトナーは、トナー排出部材303によって排出口306に搬送される。排出口306に搬送されたトナーは、この排出口306からトナー排出容器304外へ排出され、トナー供給パイプ250を介して、現像装置200に供給される。
図4は、現像装置200の構成を示す模式図である。図5は、図4に示す線V−Vを切断面線とする現像装置200の断面図である。図6は、図4に示す線VI−VIを切断面線とする現像装置200の断面図である。図7は、図4に示す線VII−VIIを切断面線とする現像装置200の断面図である。図8は、図7に示す線VIII−VIIIを切断面線とする現像装置200の断面図である。図9は、図7に示す線IX−IXを切断面線とする現像装置200の断面図である。図10は、図7に示す線X−Xを切断面線とする現像装置200の断面図である。
現像装置200は、感光体ドラム21の表面にトナーを供給することで、感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像を現像する装置である。現像装置200は、現像槽201と、第1搬送部材202と、第2搬送部材203と、現像ローラ204と、現像槽カバー205と、ドクターブレード206と、隔壁207と、トナー濃度検知センサ208と、軸受209a,209bと、磁気シール部材211a,211bおよび非磁気シール部材212a,212bを含むシール機構210a,210bと、を含む。本発明の特徴である磁気シール部材211a,211bおよび非磁気シール部材212a,212bについて詳細に説明する前に、現像装置200の全体的な構成について説明する。
現像槽201は、対向して設けられる側壁部201aおよび側壁部201bと、側壁部201a,201bに垂直に連なる底壁部201cとによって内部空間が形成される箱状の部材であり、この内部空間に現像剤が貯留される。本発明において用いられる現像剤としては、磁性トナーのみからなる1成分現像剤であっても、磁性トナーまたは磁性キャリアのうちの少なくとも一方を含む2成分現像剤であってもよい。
側壁部201a,201bには、現像槽201の外方に向かって突出する略円筒状の突出部201d,201eがそれぞれ設けられている。突出部201dの内側の空間と、突出部201eの内側の空間と、側壁部201a,201bおよび底壁部201cによって形成される内部空間とは連通する。突出部201dと突出部201eとは、互いの軸線が一致するように設けられる。突出部201d,201eの内側において、側壁部201a,201bから遠い側の軸線方向端部には、現像ローラ204を軸支するための軸受209a,209bがそれぞれ設けられる。なお、図10では、軸受209aを転がり軸受として示しているが、軸受209a,209bとしては、転がり軸受であっても滑り軸受であってもよい。
現像槽201は、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂)などの樹脂材料から形成される。側壁部201a,201b、底壁部201c、および突出部201d,201eは、一体成形されていてもよいし、別部材であってもよい。
現像槽201には、その鉛直方向上方に現像槽カバー205が設けられ、内部空間に、第1搬送部材202、第2搬送部材203、現像ローラ204、ドクターブレード206、および隔壁207が設けられる。また、現像槽201の鉛直方向下部(底部)には、トナー濃度検知センサ208が設けられる。現像槽201は、感光体ドラム21と現像ローラ204との間に開口部が設けられる。
現像ローラ204は、磁石が配置される略円柱状のマグネットローラとマグネットローラを覆う略円筒状の現像スリーブとを含み、現像槽201内の現像剤を現像スリーブ表面に担持して、担持した現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム21へ供給する。現像ローラ204は、突出部201d,201eの軸線方向と一致する軸線S1方向に延び、突出部201d,201eに挿通され、軸線S1方向両端部が突出部201d,201eの外まで延びている。本実施形態では、現像ローラ204の現像スリーブが、突出部201d,201e内に設けられる軸受209a,209bによって軸支される。なお、本発明の他の実施形態としては、現像ローラ204の軸線S1方向両端部に、軸線S1方向に延びる軸部材を設け、この軸部材が軸受209a,209bによって軸支されるように構成してもよい。
現像ローラ204の現像スリーブの軸線S1方向一端部には、ギア204aが設けられる。現像スリーブは、画像形成装置100が備える図示しないモータなどの回転駆動源によって、このギア204aを介して、軸線S1まわりに、200rpm〜600rpmで回転する。
本実施形態では、現像ローラ204の現像スリーブの回転方向Gは、現像ローラ204の、感光体ドラム21に臨む部分において、現像剤を鉛直方向上方に搬送する回転方向である。本発明の他の実施形態としては、この回転方向Gとは逆の方向、すなわち、現像ローラ204の、感光体ドラム21に臨む部分において、現像剤を鉛直方向下方に搬送する回転方向であってもよい。
現像ローラ204には、図示しない電源が接続され、現像バイアス電圧が印加される。現像ローラ204に担持されたトナーは、感光体ドラム21近傍において、現像バイアス電圧による静電気力によって、感光体ドラム21へ移動する。
シール機構210a,210bは、現像槽201の軸線S1方向端部における、現像槽201の外方への現像剤の移動を遮る機構であり、磁気シール部材211a,211bおよび非磁気シール部材212a,212bを含む。磁気シール部材211a,211bおよび非磁気シール部材212a,212bについては、後に詳述する。
ドクターブレード206は、現像ローラ204の軸線S1方向に延びる矩形板状部材であり、その幅方向の一端が現像槽201に固定され、かつ他端が現像ローラ204の表面に対して間隔を空けて設けられる。ドクターブレード206と現像ローラ204との間隔(ドクターギャップ)は、たとえば0.4mm〜2.0mmである。ドクターブレード206は、現像ローラ204の表面に対して間隔を空けて設けられることで、現像ローラ204に担持される現像剤の量を所定量に規制する。規制された現像剤は、現像ローラ204上で層状になる。ドクターブレード206の材料としては、ステンレス鋼、アルミニウム、合成樹脂などを使用できる。
隔壁207は、現像槽201の幅方向略中央部において、現像槽201の長手方向に沿って延びる形状の部材である。隔壁207は、現像槽201の底壁部201cから立設され、かつ、長手方向両端部が現像槽201の側壁部201a,201bから離間するように設けられる。隔壁207によって、現像槽201の内部空間は、第1搬送路Pと、第2搬送路Qと、第1連通路Rと、第2連通路Sとに区分されている。
第2搬送路Qは、隔壁207の長手方向に沿って延びる略半円柱状の空間であって、現像ローラ204に臨む空間である。第1搬送路Pは、隔壁207の長手方向に沿って延びる略半円柱状の空間であって、隔壁207を挟んで第2搬送路Qに対向する空間である。第1連通路Rは、隔壁207の長手方向一端部207a側において、第1搬送路Pと第2搬送路Qとを連通する空間である。第2連通路Sは、隔壁207の長手方向他端部207b側において、第1搬送路Pと第2搬送路Qとを連通する空間である。
現像槽カバー205は、現像槽201の鉛直方向上部に着脱自在に設けられ、供給口部205aを有する。現像槽カバー205には、供給口部205aにおいて、トナー供給パイプ250が接続される。供給口部205aは、現像槽201にトナーを供給するための開口が形成される開口部であり、トナーカートリッジ300に収容されているトナーは、トナー供給パイプ250およびこの開口を経て、現像槽201内に供給される。
供給口部205aは、第1搬送路Pの鉛直方向上方において第2連通路Sの近傍に設けられる。より詳細には、供給口部205aに形成される開口が、第1搬送路Pに臨み、かつ、隔壁207の長手方向において第2連通路Sと同じ位置となるように設けられる。
第1搬送部材202は、第1搬送路P内に設けられる。第1搬送部材202は、隔壁207の長手方向他端部207b側から長手方向一端部207a側へ向けて、現像槽201内の現像剤を搬送する。以下では、第1搬送部材202による現像剤の搬送方向を、搬送方向Xと称する。
第1搬送部材202は、第1回転軸部材202aと、第1螺旋羽根202bと、第1ギア202cとを含むオーガスクリュー状部材である。第1回転軸部材202aは、直径4mm〜10mmの円柱状部材であり、搬送方向X下流端において、第1ギア202cと接続される。第1回転軸部材202aは、現像槽201の側壁部201aに固定される図示しない軸受および現像槽201の側壁部201bに固定される図示しない軸受によって、軸線まわりに回転自在に支持される。
第1回転軸部材202aの側面には、この側面を螺旋状に取り巻く形状の部材である第1螺旋羽根202bが設けられる。第1螺旋羽根202bの外径は、12mm〜30mmである。
第1回転軸部材202a、第1螺旋羽根202b、および第1ギア202cは、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂、ポリアセタールなどの樹脂材料から形成される。また、第1回転軸部材202aは、SUSやSUMなどの金属材料から形成されてもよい。第1回転軸部材202aおよび第1螺旋羽根202bは、同一の材料から一体成形されることが好ましい。
このような第1搬送部材202は、画像形成装置100が備える図示しないモータなどの回転駆動源によって、第1ギア202cを介して、第1回転軸部材202aの軸線まわりに、150rpm〜600rpmで回転する。これに伴って、第1螺旋羽根202bが第1回転軸部材202aの軸線を中心として回転運動し、その結果、第1搬送路Pに貯留される現像剤は、搬送方向X下流側に搬送される。上述したように、現像槽カバー205の供給口部205aは、第1搬送路Pの鉛直方向上方において第2連通路Sの近傍に形成されるので、トナーカートリッジ300内の未使用のトナーは、まず、第1搬送路Pに供給され、その後、第1搬送部材202によって、第1搬送路Pの搬送方向X下流側に搬送されることになる。
第2搬送部材203は、第2搬送路Q内に設けられる。第2搬送部材203は、隔壁207の長手方向一端部207a側から長手方向他端部207b側へ向けて、現像槽201内の現像剤を搬送する。以下では、第2搬送部材203による現像剤の搬送方向を、搬送方向Yと称する。
第2搬送部材203は、第2回転軸部材203aと、第2螺旋羽根203bと、第2ギア203cとを含むオーガスクリュー状部材である。第2回転軸部材203aは、直径4mm〜10mmの円柱状部材であり、搬送方向Y上流端において、第2ギア203cと接続される。第2回転軸部材203aは、現像槽201の側壁部201aに固定される図示しない軸受および現像槽201の側壁部201bに固定される図示しない軸受によって、軸線まわりに回転自在に支持される。
第2回転軸部材203aの側面には、この側面を螺旋状に取り巻く形状の部材である第2螺旋羽根203bが設けられる。第2螺旋羽根203bの外径は、12mm〜30mmである。
第2回転軸部材203a、第2螺旋羽根203b、および第2ギア203cは、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂、ポリアセタールなどの樹脂材料から形成される。また、第2回転軸部材203aは、SUSやSUMなどの金属材料から形成されてもよい。第2回転軸部材203aおよび第2螺旋羽根203bは、同一の材料から一体成形されることが好ましい。
このような第2搬送部材203は、画像形成装置100が備える図示しないモータなどの回転駆動源によって、第2ギア203cを介して、第2回転軸部材203aの軸線まわりに、150rpm〜600rpmで回転する。これに伴って、第2螺旋羽根203bが第2回転軸部材203aの軸線を中心として回転運動し、その結果、第2搬送路Qに貯留される現像剤は、搬送方向Y下流側に搬送される。
図4に示すトナー濃度検知センサ208は、現像槽201の底部において、第2搬送部材203の鉛直方向下方に装着され、センサ面が第2搬送路Qの長手方向中央部に露出するように設けられる。トナー濃度検知センサ208は、図示しないトナー濃度制御部に電気的に接続される。
トナー濃度制御部は、トナー濃度検知センサ208が検知するトナー濃度検知結果に応じて、トナー排出部材303を回転させ、現像槽201内にトナーを供給する制御を行う。より具体的には、トナー濃度制御部は、トナー濃度検知センサ208によるトナー濃度検知結果が所定の設定値よりも低いか否かを判断し、低いと判断した場合に、トナー排出部材303を回転させる駆動部に制御信号を送り、トナー排出部材303を所定の期間回転させる。
トナー濃度検知センサ208には、図示しない電源が接続される。電源は、トナー濃度検知センサ208を駆動させるための駆動電圧、およびトナー濃度検知結果をトナー濃度制御部に出力するための制御電圧を、トナー濃度検知センサ208に印加する。電源によるトナー濃度検知センサ208への電圧の印加は、図示しない制御部によって制御される。
トナー濃度検知センサ208としては、一般的なトナー濃度検知センサを使用でき、たとえば、透過光検知センサ、反射光検知センサ、透磁率検知センサなどを使用できる。これらのトナー濃度検知センサの中でも、透磁率検知センサを使用することが好ましい。透磁率検知センサとしては、たとえば、TS−L(商品名、TDK株式会社製)、TS−A(商品名、TDK株式会社製)、TS−K(商品名、TDK株式会社製)などが挙げられる。
以上のように構成される現像装置200によれば、現像槽201内において、現像剤は、第1搬送路P、第1連通路R、第2搬送路Q、第2連通路S、という順序で循環搬送される。循環搬送される現像剤のうちの一部は、第2搬送路Qにおいて、現像ローラ204の表面に担持され、担持された現像剤中のトナーは、感光体ドラム21へと移動して順次消費される。所定量のトナーが消費されたことをトナー濃度検知センサ208が検知すると、未使用のトナーがトナーカートリッジ300から第1搬送路P内へ供給される。供給されたトナーは、第1搬送路P内で搬送されながら、既に貯留されていた現像剤中に拡散する。
次に、磁気シール部材211a,211bおよび非磁気シール部材212a,212bについて説明する。図7および図8に示すように、磁気シール部材211aは、現像槽カバー205の、側壁部201a側の端部に固定される。磁気シール部材211bは、現像槽カバー205の、側壁部201b側の端部に固定される。
磁気シール部材211a,211bは、現像ローラ204の軸線S1の鉛直真上において、現像ローラ204の軸線S1方向端部に臨み、現像ローラ204の軸線S1方向端部に対して間隔を空けて設けられる。磁気シール部材211a,211bは、現像ローラ204に沿って湾曲した板状の部材であり、磁石または磁性体(鉄などの強磁性体)を含んでいる。本実施形態では、磁気シール部材211a,211bは、現像ローラ204の軸線S1を軸線とする円筒を周方向に分割した形状の磁石である。
磁気シール部材211a,211bは、現像剤を磁気的に吸引および拘束し、現像ローラ204と磁気シール部材211a,211bとの隙間に磁気ブラシを形成する。磁気ブラシを形成することが可能であれば、磁気シール部材211a,211bに含まれる磁石の磁極の配置はどのような配置であってもよく、磁石の吸着力はどのような大きさであってもよい。たとえば、磁気シール部材211a,211bに含まれる磁石の磁極の配置は、磁気シール部材211a,211bの軸線S1方向両端部が異なる磁極になる配置であり、また、磁石の吸着力は、一方の磁極で吸着して磁化方向に持ち上げることが可能な最大の鉄板の重量で表すと、たとえば0.1〜0.8g重である。なお、磁石の代わりに磁性体が設けられる場合、この磁性体が現像ローラ204内のマグネットローラの磁力によって磁化され、その結果、この磁性体によって磁気ブラシが形成される。磁性体は、このようにして磁気ブラシを形成可能であれば、どのような材質であってもよい。
磁気シール部材211a,211bの軸線S1方向長さL1は、たとえば3mm〜12mmである。また、磁気シール部材211a,211bの、軸線S1の鉛直真上から、回転方向G上流側に延びる部分の中心角度θ1は、たとえば10°〜60°であり、回転方向G下流側に延びる部分の中心角度θ2は、たとえば30°〜100°である。また、磁気シール部材211a,211bと現像ローラ204との間隔L2は、たとえば0.3mm〜1.5mmである。
図7および図8に示すように、非磁気シール部材212aは、突出部201dの内側において、側壁部201aに近い側の軸線方向端部に固定される。非磁気シール部材212bは、突出部201eの内側において、側壁部201bに近い側の軸線方向端部に固定される。
非磁気シール部材212a,212bは、少なくとも現像ローラ204の軸線S1の鉛直真下に設けられ、現像ローラ204の軸線S1方向端部に臨み、現像ローラ204の軸線S1方向端部に対して間隔を空けて設けられる。非磁気シール部材212a,212bは、現像ローラ204に沿って湾曲した板状の部材であり、磁石を含んでいない。本実施形態では、非磁気シール部材212a,212bは、現像ローラ204の軸線S1を軸線とする円筒を周方向に分割した形状の樹脂性の部材である。
非磁気シール部材212a,212bの軸線S1方向長さL3は、たとえば5mm〜12mmである。本実施形態では、非磁気シール部材212a,212bの長さL3は磁気シール部材211a,211bの長さL1と同じであり、軸線S1方向において、非磁気シール部材212a,212bと磁気シール部材211a,211bとは同じ位置に設けられる。非磁気シール部材212a,212bの、軸線S1の鉛直真下から、回転方向G上流側に延びる部分の中心角度θ3は、たとえば80°〜150°であり、回転方向G下流側に延びる部分の中心角度θ4は、たとえば60°〜120°である。本実施形態では、非磁気シール部材212a,212bは、回転方向Gにおいて、磁気シール部材211a,211bに隣接する位置まで、延びて設けられる。具体的には、非磁気シール部材212a,212bは、磁気シール部材211a,211bの回転方向G下流側端部に隣接するように、軸線S1の鉛直真下から回転方向G上流側に延びて設けられる。非磁気シール部材212a,212bと現像ローラ204との間隔L4は、たとえば0mm〜1.0mmである。
非磁気シール部材212a,212bは、現像剤が突出部201d,201eの内側を通って軸受209a,209b側へ移動するのを遮る障壁として機能する。非磁気シール部材212a,212bと現像ローラ204とは離間しているが、現像ローラ204の軸線S1の鉛直方向下方では、現像剤は、主に、突出部201d,201eの鉛直方向下側の内壁面上を移動しようとするので、この内壁面の軸線S1方向において軸受209a,209bから遠い側の端部に非磁気シール部材212a,212bを固定することで、現像ローラ204の軸線S1の鉛直方向下方における、軸受209a,209b側への現像剤の移動を遮ることができる。
これに対して、磁気シール部材211a,211bは、上述したように、現像ローラ204との隙間に磁気ブラシを形成する。磁気シール部材211a,211bと現像ローラ204とは離間しているが、現像ローラ204の軸線S1の鉛直方向上方では、現像剤は、主に、現像ローラ204上を移動しようとするので、軸線S1の鉛直真上に磁気シール部材211a,211bを設け、軸線S1の鉛直真上に磁気ブラシを形成することで、現像ローラ204の軸線S1の鉛直方向上方における、軸受209a,209b側への現像剤の移動を遮ることができる。
さらに、本実施形態では、非磁気シール部材212a,212bは、回転方向Gにおいて磁気シール部材211a,211bに隣接する位置まで延びて設けられるので、飛翔する現像剤が突出部201d,201eの内側を通って軸受209a,209b側へ移動するのを遮る障壁として機能する。これにより、回転方向Gにおいて磁気シール部材211a,211bから非磁気シール部材212a,212bにわたって、軸受209a,209b側への現像剤の移動を遮ることができる。
このように、現像装置200では、磁気シール部材211a,211bおよび非磁気シール部材212a,212bによって、軸受209a,209b側への現像剤の移動を遮ることができる。また、磁気シール部材211a,211bは現像槽カバー205に固定されており、現像槽カバー205は現像槽201に対して着脱自在である。したがって、現像槽201内の現像剤を新しい現像剤へ交換する際には、現像槽カバー205とともに磁気シール部材211a,211bを取り外すことができる。よって、古い現像剤が磁気シール部材211a,211bに拘束されたまま現像装置200に残るのを防止することができ、古い現像剤を現像槽201から除去し易くなる。
本実施形態では、現像ローラ204の回転方向Gは、現像ローラ204の、感光体ドラム21に臨む部分において、現像剤を上方に搬送する方向である。したがって、現像後に現像ローラ204上に残存している、移動し易くなっている現像剤は、軸受209a,209b側へ移動するときに、磁気シール部材211a,211bによって磁気的に吸引され、拘束されることになる。よって、軸受209a,209b側への現像剤の移動をより確実に遮ることができる。
また、本実施形態では、現像ローラ204は、突出部201d,201e内に設けられる軸受209a,209bによって軸支され、軸線S1方向両端部が突出部201d,201eの外まで延びており、軸線S1方向両端部が露出している。したがって、現像ローラ204の軸線S1方向両端部を現像槽201の外で冷却することができる。よって、現像剤の樹脂成分が軸受209a,209b近傍に堆積したとしても、現像ローラ204の軸線S1方向両端部の熱でこの樹脂成分が溶けて軸受209a,209b近傍に凝集固着するのが抑制され、現像ローラ204の回転が阻害され難くなる。
次に、本発明の第2実施形態である現像装置400について説明する。現像装置400は、現像装置200とほぼ同様の構成であるので、異なる部分について主に説明する。図11は、現像装置400を示す図であり、図7に対応する。図12は、図11に示す線XII−XIIを切断面線とする現像装置400の断面図である。図13は、図11に示す線XIII−XIIIを切断面線とする現像装置400の断面図である。
現像装置400は、シール機構210a,210bとして、磁気シール部材211a,211bと、非磁気シール部材212a,212bと、現像剤引渡部材213a,213bと、現像剤飛翔抑制部材214a,214bとを含む。現像装置400は、シール機構210a,210b以外の部材は、現像装置200と共通する。
現像剤引渡部材213a,213bは、現像ローラ204の現像スリーブの表面に固定される。現像剤引渡部材213a,213bは、突出部201d,201eの、側壁部201a,201bに近い側の軸線方向端部の内側において、軸受209a,209bよりも側壁部201a,201bに近い部分に臨み、この部分に対して間隔を空けて設けられる。現像剤引渡部材213a,213bは、現像ローラ204に沿って湾曲した板状の部材であり、磁石を含んでいる。本実施形態では、現像剤引渡部材213a,213bは、現像ローラ204の軸線S1を軸線とする円筒を周方向に分割した形状の磁石である。
現像剤引渡部材213a,213bは、現像ローラ204の現像スリーブの回転に伴って、軸線S1まわりに回転する。現像剤引渡部材213a,213bは、回転によって鉛直方向下方に位置したときに、磁気シール部材211a,211bおよび非磁気シール部材212a,212bによっても遮られずに突出部201d,201e内において外方に移動してきた現像剤を、磁気的に吸引および拘束して、現像剤引渡部材213a,213bの表面上に回収する。そして、現像剤引渡部材213a,213bは、回転によって鉛直方向上方に位置したときに、回収した現像剤を、磁気シール部材211a,211bへ引き渡す。現像剤の引渡しは、磁気シール部材211a,211bの磁力によって行われる。
現像剤引渡部材213a,213bに含まれる磁石の吸着力の大きさは、現像剤の引渡しが可能となるように、磁気シール部材211a,211bとの距離などに基づいて、磁気シール部材211a,211bに含まれる磁石の吸着力の大きさよりも小さく設定される。たとえば、現像剤引渡部材213a,213bに含まれる磁石の吸着力の大きさは、磁気シール部材211a,211bに含まれる磁石の吸着力の大きさの1/10〜1/2に設定される。
現像剤引渡部材213aは、一方の磁極(S極)が軸線S1方向において軸受209aに近い側の端部に配置され、他方の磁極(N極)が軸線S1方向において軸受209aから遠い側の端部に配置され、磁気シール部材211aは、一方の磁極(S極)が軸線S1方向において軸受209aに近い側の端部に配置され、他方の磁極(N極)が軸線S1方向において軸受209aから遠い側の端部に配置される。また、現像剤引渡部材213bは、一方の磁極(N極)が軸線S1方向において軸受209bに近い側の端部に配置され、他方の磁極(S極)が軸線S1方向において軸受209bから遠い側の端部に配置され、磁気シール部材211bは、一方の磁極(N極)が軸線S1方向において軸受209bに近い側の端部に配置され、他方の磁極(S極)が軸線S1方向において軸受209bから遠い側の端部に配置される。このように、軸線S1方向において、磁気シール部材211a,211bの磁極と、現像剤引渡部材213a,213bの磁極とが異なって対向するように各磁極を配置することで、現像剤の引渡しが円滑に行われる。
現像剤引渡部材213a,213bの軸線S1方向長さは、たとえば、磁気シール部材211a,211bの長さL1と同程度である。また、現像剤引渡部材213a,213bの回転方向Gにおける中心角度は、360°未満であり、好ましくは、磁気シール部材211a,211bの中心角度、すなわち中心角度θ1と中心角度θ2との和と同じである。現像剤引渡部材213a,213bの中心角度が360°未満であることにより、現像剤引渡部材213a,213bの回転に伴って突出部201d,201e内の磁場が大きく変化し、突出部201d,201e内での現像剤の滞留が抑制され、その結果、現像剤の引渡しが円滑になる。現像剤引渡部材213a,213bの中心角度が磁気シール部材211a,211bの中心角度と同じであれば、現像剤の引渡しがより円滑になる。
このような現像剤引渡部材213a,213bを備える本実施形態では、現像剤引渡部材213a,213bによって軸受209a,209bよりも内方で現像剤が回収される。したがって、軸受209a,209b側への現像剤の移動をより確実に遮ることができる。また、現像剤引渡部材213a,213bによって回収された現像剤は磁気シール部材211a,211bに引き渡されるので、現像剤引渡部材213a,213bには現像剤が残らず、現像槽カバー205とともに磁気シール部材211a,211bを取り外すことで、古い現像剤が現像装置400に残るのを防止することができる。
現像剤飛翔抑制部材214a,214bは、突出部201d,201eの内側において、軸線S1の鉛直真下に固定される。現像剤飛翔抑制部材214a,214bは、軸線S1において、現像剤引渡部材213a,213bと磁気シール部材211a,211bとの間に設けられる。現像剤飛翔抑制部材214a,214bは、現像ローラ204に対して間隔を空けて設けられる板状の部材であり、磁石を含んでいる。本実施形態では、現像剤飛翔抑制部材214a,214bは、現像ローラ204の軸線S1を軸線とする円筒を周方向に分割した形状の磁石であり、突出部201d,201eの内表面とともに、円筒の内表面を形成する。
現像剤飛翔抑制部材214a,214bは、突出部201d,201e内を飛翔して移動してきた現像剤を、鉛直方向下方に向かわせ、飛翔を抑制する部材である。現像剤の飛翔を抑制することで、現像剤引渡部材213a,213bによる現像剤の回収がより確実に行われることになる。
現像剤飛翔抑制部材214a,214bに含まれる磁石の吸着力の大きさは、現像剤引渡部材213a,213bによる現像剤の回収が可能となるように、現像剤引渡部材213a,213bとの距離などに基づいて、現像剤引渡部材213a,213bに含まれる磁石の吸着力の大きさよりも小さく設定される。たとえば、現像剤飛翔抑制部材214a,214bに含まれる磁石の吸着力の大きさは、現像剤引渡部材213a,213bに含まれる磁石の吸着力の大きさの1/20〜1/5に設定される。
現像剤飛翔抑制部材214aは、一方の磁極(S極)が鉛直方向上側の端部に配置され、他方の磁極(N極)が鉛直方向下側の端部に配置される。また、現像剤飛翔抑制部材214bは、一方の磁極(N極)が鉛直方向上側の端部に配置され、他方の磁極(S極)が鉛直方向下側の端部に配置される。このように、軸線S1方向において現像剤飛翔抑制部材214a,214bに近い側の、現像剤引渡部材213a,213bの磁極とは異なる磁極が鉛直方向上側となるように、現像剤飛翔抑制部材214a,214bの各磁極を配置することで、現像剤引渡部材213a,213bによる現像剤の回収が円滑に行われる。
現像剤飛翔抑制部材214a,214bの軸線S1方向長さは、たとえば、磁気シール部材211a,211bの長さL1と同程度である。また、現像剤飛翔抑制部材214a,214bの、軸線S1の鉛直真下から、回転方向G上流側に延びる部分の中心角度は、たとえば10°〜90°であり、回転方向G下流側に延びる部分の中心角度は、たとえば10°〜90°である。
このような現像剤飛翔抑制部材214a,214bを備える本実施形態では、現像剤引渡部材213a,213bによる現像剤の回収がより確実に行われるので、軸受209a,209b側への現像剤の移動をより確実に遮ることができる。また、現像剤飛翔抑制部材214a,214b近傍に落下した現像剤は現像剤引渡部材213a,213bに回収されるので、現像剤飛翔抑制部材214a,214b近傍には現像剤が残らず、現像槽カバー205とともに磁気シール部材211a,211bを取り外すことで、古い現像剤が現像装置400に残るのを防止することができる。
上述した第1,2実施形態において、磁気シール部材211a,211b、現像剤引渡部材213a,213b、および現像剤飛翔抑制部材214a,214bに含まれる各磁石は永久磁石であってもよく、電磁石であってもよい。永久磁石であれば、電力を供給することなく、軸受209a,209b側への現像剤の移動を遮る効果が得られる。電磁石であれば、電力の供給を停止することで、磁石に付着した現像剤を除去することができ、各磁石のクリーニングが容易になる。
上述した第1,2実施形態において、突出部201d,201eおよび現像ローラ204が現像槽201から分離可能に構成されていてもよい。このように構成すれば、現像槽カバー205とともに磁気シール部材211a,211bを取り外し、その後、突出部201d,201eおよび現像ローラ204とともに現像剤引渡部材213a,213bおよび現像剤飛翔抑制部材214a,214bを取り外すことで、現像装置200,400からすべての磁石を取り外すことができ、現像槽201内の古い現像剤の除去が容易になる。なお、現像剤引渡部材213a,213bおよび現像剤飛翔抑制部材214a,214bを、突出部201d,201eから個別に分離可能に構成してもよい。
以上のような現像装置200または現像装置400を備える画像形成装置100によれば、軸受209a,209b側への現像剤の移動を遮ることができ、画像形成装置100内の現像剤による汚染を防ぐことができる。また、現像槽201内の現像剤の交換が容易になる。