以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態における画像処理装置1の構成概念を示す図である。この画像処理装置1は、例えば、ユーザーによる指示操作に基づいて、コピージョブやプリントジョブ、スキャンジョブ、FAXジョブなどの様々なジョブを実行することが可能な複合機などで構成される。
画像処理装置1の装置本体1aは、原稿を読み取って画像データを生成するスキャナ部2と、印刷用紙などに対して画像形成を行って印刷出力を行うプリンタ部3とを備えている。また装置本体1aの正面側には、ユーザーが画像処理装置1を操作する際のユーザーインタフェースとなる操作パネル5が設けられている。この操作パネル5は、例えば装置本体1aに対して着脱可能となっている。操作パネル5を装置本体1aから取り外して使用する場合、操作パネル5は、タブレット端末などのような携帯型の表示装置6として機能する。この操作パネル5は、装置本体1aと有線又は無線で通信を行うことにより、各種の操作画面を表示すると共に、ユーザーによる操作を検知して装置本体1aに通知するように構成される。
図2は、画像処理装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、画像処理装置1の装置本体1aは、画像入力部10と、画像メモリ11と、画像処理部12と、画像出力部13と、ハードディスク装置14と、ジョブ制御部15と、通信インタフェース16と、原稿アイコン生成部17とを備えている。装置本体1aにおいてこれら各部が動作することにより、画像処理装置1は、コピージョブやプリントジョブ、スキャンジョブ、FAXジョブなどの様々なジョブを実行する。
画像入力部10は、ジョブの実行対象となる画像データを取得するものである。上述したスキャナ部2は、原稿を読み取ることによってジョブの実行対象となる画像データを取得するため、画像入力部10の一つを構成する。またその他にも、画像処理装置1は、LANなどのネットワークからジョブの実行対象となる画像データを取得したり、或いは、FAXデータを受信することによってジョブの実行対象となる画像データを取得したりすることも可能である。そのため、図示を省略するネットワークインタフェースやFAX受信部なども画像入力部10の一つとして機能するものである。画像入力部10は、ジョブの実行開始に伴い、ジョブの実行対象となる画像データを取得すると、その画像データを画像メモリ11に格納する。画像入力部10がジョブの実行対象として取得する画像データは、1ページ分の画像データであっても良いし、複数ページ分の画像データであっても良い。尚、スキャナ部2は、複数ページ分の原稿を1枚ずつ自動搬送することにより、各ページの画像を連続的に読み取っていくことが可能である。
画像メモリ11は、複数ページ分の画像データを記憶しておくことが可能な記憶領域を有するメモリである。この画像メモリ11にジョブの実行対象となる画像データが格納されると、画像処理部12が機能する。
画像処理部12は、画像入力部10によって取得される画像データに対し、ジョブの実行開始前にユーザーによって予め設定された複数の画像処理を順次実行していくことによって出力対象となる画像データを生成する処理部である。この画像処理部12は、後述するように画像メモリ11に格納される画像データを読み出して複数の画像処理を順次実行していくことにより、画像メモリ11に対して処理済み画像データを格納していく。尚、ユーザーがジョブの実行開始前に画像処理に関する設定操作を行わなかった場合には、画像処理装置1に予め設定されているデフォルト設定が適用され、そのデフォルト設定に基づく複数の画像処理が順次実行される。
画像出力部13は、画像処理部12において画像データに対する全ての画像処理が実行された後、その処理済み画像データを読み出して画像出力を行うものである。上述したプリンタ部3は、各種画像処理が施された画像データに基づいて画像出力の一つの態様である印刷出力を行うものであるため、画像出力部13の一つを構成する。またその他にも、画像処理装置1は、LANなどのネットワーク経由で外部機器に対して画像データを出力したり、或いは、FAXデータを送信したりすることによって画像出力を行うことも可能である。そのため、図示を省略するネットワークインタフェースやFAX送信部なども画像出力部13の一つとして機能するものである。また画像出力部13は、ハードディスク装置14に対して画像データを出力することも可能である。
原稿アイコン生成部17は、画像入力部10によって取得される画像データ、および、画像処理部12において順次生成される処理済み画像データを画像メモリ11から読み出し、それらの画像データに対応する原稿アイコンを生成する処理部である。原稿アイコン生成部17は、例えば、画像メモリ11に格納された画像データを、画素間引きしながら読み出すことにより、その画像データに対応するサムネイル画像を原稿アイコンとして生成する。
ただし、原稿アイコンは、必ずしも実際の画像データに対応するサムネイル画像に限られるものではなく、例えば処理対象である画像データの種類や属性などに応じて予め用意された複数種類のサンプル画像の中から選択されるサンプル画像であっても良い。この場合、画像データの種類や属性などに応じて各画像処理が実行された後の状態を判り易く把握できようにするため、各画像処理の結果を反映させた複数種類のサンプル画像が予め用意される。
ハードディスク装置14は、画像出力部13によって出力される画像データやその他のデータなどを記憶しておくためのものである。
ジョブ制御部15は、ジョブの実行開始に伴い、画像入力部10、画像処理部12、画像出力部13および原稿アイコン生成部17の動作を制御することにより、画像処理装置1におけるジョブの実行を統括的に制御するものである。このジョブ制御部15は、ジョブの実行を開始する際、そのジョブの種類、或いは、ユーザーによるジョブの事前設定操作に基づき、画像処理部12に対して実行すべき画像処理およびその実行順序を指示すると共に、各画像処理を実行する際に適用するパラメータなどを設定する。またジョブ制御部15は、ジョブの種類やユーザーによるジョブの事前設定操作に基づき、画像出力部13に対して出力態様を指示する。そしてジョブ制御部15は、ジョブの実行開始に伴い、画像入力部10、画像処理部12および画像出力部13のそれぞれにおいて必要な動作を行わせることにより、ジョブの実行中に行う一連の動作を制御する。
またジョブ制御部15は、ジョブの実行中に、操作パネル5から例えば画像処理の設定を変更する操作情報(処理内容変更指示)を受信すると、その操作情報を受信したタイミングで画像処理部12において実行される画像処理の設定を変更する。このとき、ジョブ制御部15は、必要に応じてジョブの実行を一時停止させ、画像処理の設定を変更した後にジョブの実行を再開する。
図3は、画像メモリ11、画像処理部12および原稿アイコン生成部17の構成例を示す図である。図3に示すように、画像メモリ11には、入力画像データ記憶部11aと、処理済みデータ記憶部11bとが設けられている。画像入力部10が取得した画像データは、入力画像データ記憶部11aに格納される。この入力画像データ記憶部11aに記憶される画像データは、例えばジョブの実行が完了するまでオリジナルデータ(初期データ)のまま保持される。そのため、ジョブの実行中に、仮に画像処理部12における画像処理の設定が変更された場合であっても、入力画像データ記憶部11aに格納されている画像データを読み出してジョブの実行を再開することが可能であり、画像入力部10は、再度、同じ画像データを取得する必要がない。
画像処理部12は、画像メモリ11の入力画像データ記憶部11aに格納された画像データを順次読み出し、ジョブ制御部15によって予め設定された処理過程に応じて複数の画像処理を順次実行する。図3の例では、画像処理部12は、画像調整部41、画像変換部42および色変換部43を備えており、これらが順次画像処理を行っていく構成である。ただし、図3は単なる一例であり、画像処理部12が行う画像処理には図3に示されていない画像処理が含まれていても良いし、また図3に示されている画像処理が含まれていなくても良い。すなわち、画像処理部12は、ジョブの実行中に複数の画像処理を順次実行していくものであれば良い。尚、以下においては、画像処理部12が図3に示す構成である場合を例示して説明する。
画像調整部41は、例えば画像処理部12において最初に機能する。この画像調整部41は、例えば、入力画像データ記憶部11aに格納された画像データG10を読み出して画像の下地を白色などの予め定められた色に画像調整する処理部である。この画像調整部41は、下地調整を行った画像データG11を処理済みデータ記憶部11bに格納する。
画像変換部42は、画像処理部12において2番目に機能する。この画像変換部42は、例えば、処理済みデータ記憶部11bに格納された下地調整済みの画像データG11を読み出して画像の解像度変換を行う処理部である。この画像変換部42は、解像度変換を行った画像データG12を処理済みデータ記憶部11bに格納する。
色変換部43は、画像処理部12において3番目に機能する。この色変換部43は、処理済みデータ記憶部11bに格納された解像度変換済みの画像データG12を読み出して画像の色変換を行う処理部である。この色変換部43は、色変換を行った画像データG13を処理済みデータ記憶部11bに格納する。
このように画像処理部12は、予め設定された複数の画像処理を順次実行していくことにより、ジョブの実行対象である画像データG10を順次加工して最終的に出力対象となる画像データG13を生成する。尚、画像処理部12における上述した処理順序は単なる一例である。
画像メモリ11の処理済みデータ記憶部11bには、上記のようにして生成される複数の処理済み画像データG11,G12,G13の全てをジョブの実行が完了するまで記憶しておくようにしても良い。ただし、その場合は、ジョブの実行が完了するまで、多数の画像データG11,G12,G13が画像メモリ11の記憶領域を占有することになる。特にジョブの実行対象となる画像データが複数ページで構成される場合には、ページ数が1枚増加するごとに、処理済みデータ記憶部11bには3枚分の処理済み画像データが追加記憶されるため、画像メモリ11の占有率が著しく上昇する。これを防止するためには、上記のように複数の処理済み画像データG11,G12,G13の全てを、ジョブの実行が完了するまで記憶しておくのではなく、例えば後段の画像処理が完了した時点で、処理済み画像データG11,G12を順に処理済みデータ記憶部11bから削除していくようにしても良い。
原稿アイコン生成部17は、画像メモリ11の入力画像データ記憶部11aに、ジョブの実行対象となる画像データG10が格納されると、その画像データG10を読み出してサムネイル画像を生成することにより、画像データG10に対応する原稿アイコンを生成する。また原稿アイコン生成部17は、処理済みデータ記憶部11bに処理済み画像データG11,G12,G13が順次格納される都度、それらの画像データG11,G12,G13を読み出して原稿アイコンを生成する。そのため、原稿アイコン生成部17は、画像データG10,G11,G12,G13のそれぞれに対応する原稿アイコンを順次生成する。
例えば、画像処理部12における画像調整部41、画像変換部42および色変換部43の各処理部がハードウェアで構成される場合、画像処理部12は、各画像処理を高速で実行することが可能である。図4は、画像処理部12の各処理部がハードウェアで構成される場合の処理の概要を示すタイミングチャートである。尚、図4の例では、スキャナ部2が複数ページから成る原稿を1ページずつ読み取ってジョブの実行対象となる画像データを1ページずつ生成する場合を示している。スキャナ部2は、タイミングT1で1ページ目の原稿読み取りを開始すると、読み取りヘッドが原稿を主走査方向1ラインずつ読み取っていき、画像メモリ11に1ページ目の画像データG10を1ラインずつ格納していく。
画像処理部12の各処理部41,42,43がハードウェアで構成される場合、画像メモリ11に処理対象となる画像データが少なくとも1ライン分格納されると、画像処理部12はそれぞれの画像処理を開始することができる。そのため、画像調整部41は、スキャナ部2によって1ページ目の読み取り動作が開始された後、少なくとも1ライン分の画像データが入力画像データ記憶部11aに格納されたタイミングT2で、下地調整処理を開始する。その後、画像調整部41は、スキャナ部2による原稿の読み取り動作と並行して下地調整処理を行っていく。そしてスキャナ部2による最終ラインの読み取りが完了し、タイミングT3で1ページ分全体の画像データG10が画像メモリ11に格納されると、画像調整部41は、そのタイミングT3から僅かに遅れたタイミングT4で1ページ分全体に対する下地調整処理を完了させる。したがって、下地調整済みの画像データG11は、タイミングT4でその全てが処理済みデータ記憶部11bに格納されることになる。
また画像変換部42は、画像調整部41により処理済みデータ記憶部11bに対して下地調整済みの画像データG11が少なくとも1ライン分格納されたタイミングでその画像データG11を読み出し、解像度変換の実行を開始する。そして画像変換部42は、画像調整部41によって1ページ分全体の処理済み画像データG11が画像メモリ11に格納されるタイミングT4から僅かに遅れたタイミングT5で1ページ分全体に対する解像度変換を完了させる。したがって、解像度変換済みの画像データG12は、タイミングT5でその全てが処理済みデータ記憶部11bに格納されることになる。
さらに色変換部43は、画像変換部42により処理済みデータ記憶部11bに対して解像度変換済みの画像データG12が少なくとも1ライン分格納されたタイミングでその画像データG12を読み出し、色変換の実行を開始する。そして色変換部43は、画像変換部42によって1ページ分全体の処理済み画像データG12が画像メモリ11に格納されるタイミングT5から僅かに遅れたタイミングT6で1ページ分全体に対する色変換を完了させる。したがって、色変換済みの画像データG13は、タイミングT6でその全てが処理済みデータ記憶部11bに格納されることになる。
原稿アイコン生成部17は、スキャナ部2によって1ページ分全体の画像データG10が入力画像データ記憶部11aに格納されると、そのタイミングT3で画像データG10を読み出し、画像データG10に対応する原稿アイコンを生成する。また原稿アイコン生成部17は、画像調整部41、画像変換部42および色変換部43のそれぞれの処理が完了して処理済み画像データG11,G12,G13が画像メモリ11に格納されたタイミングT4,T5,T6でそれらの画像データに対応する原稿アイコンを順次生成する。
したがって、画像処理部12がハードウェアで構成される場合、スキャナ部2によって1ページ目の原稿読み取りが完了した後、2ページ目の原稿読み取りが開始されるまでに、複数の画像処理の全てを数ミリ秒程度の一定の処理時間内に完了させることが可能である。また原稿アイコン生成部17は、スキャナ部2が2ページ目の原稿読み取りを開始するまでに、スキャナ部2が読み取って取得した画像データG10、および、複数の画像処理のそれぞれにおいて生成された画像データG11,G12,G13のそれぞれに対応する原稿アイコンを生成しておくことが可能である。
尚、図4の例では、スキャナ部2が少なくとも1ライン分の画像データG10を画像メモリ11に格納した時点で画像処理部12による画像処理が開始される場合を示したが、これに限られるものではない。例えば、スキャナ部2が1ページ分全体の画像データG10を画像メモリ11に格納したタイミングで画像処理部12が画像処理を開始するものであっても構わない。その場合であっても、画像処理部12が各画像処理をハードウェアで実行するものであれば、数マイクロ秒程度で全ての画像処理を完了させることができるため、スキャナ部2が2ページ目の原稿読み取りを開始するまでに、予め設定されている複数の画像処理の全てを完了させることが可能である。
図2に示すジョブ制御部15は、上述した一連の動作を制御することにより、画像処理装置1においてジョブの実行中に行われる画像処理を制御する。
またジョブ制御部15は、通信インタフェース16を介して操作パネル5と通信を行う。通信インタフェース16は、有線又は無線による通信を行うためのインタフェースである。ジョブ制御部15は、ジョブの実行開始に伴い、画像入力部10、画像処理部12および画像出力部13のそれぞれで行われる処理内容を、通信インタフェース16を介して操作パネル5に送信する。またジョブ制御部15は、原稿アイコン生成部17において原稿アイコンが生成される都度、通信インタフェース16を介してその原稿アイコンを操作パネル5に送信する。さらにジョブ制御部15は、ジョブの実行を開始してから完了するまでの間に、操作パネル5から操作情報を受信すると、その操作情報に応じた処理を行う。例えば、ジョブ制御部15は、操作パネル5から受信する操作情報に基づいてジョブの実行に伴う一連の動作を一時的に停止したり、ジョブ実行中に行われる画像処理の設定を変更したり、画像出力の出力態様を変更したりする。また、ジョブ制御部15は、画像処理の設定を変更した場合には、ジョブの実行を再開するとき、その設定変更を反映させた状態でその後のジョブの実行を制御する。
一方、操作パネル5は、図2に示すように、CPU20と、ROM21と、RAM22と、表示部24と、操作部25と、通信インタフェース26とを備えている。CPU20は、ROM21に予め格納されているプログラム23を読み出して実行する演算処理ユニットである。ROM21は、不揮発性のメモリであり、プログラム23の他、様々なデータなどが予め記憶される。RAM22は、CPU20がプログラム23を実行することによって発生する一時的なデータなどを記憶するためのメモリである。例えば、装置本体1aから受信する原稿アイコンなども、このRAM22に一時的に保存される。表示部24は、カラー液晶ディスプレイなどで構成され、ユーザーに対して各種の情報を表示する。操作部25は、例えば表示部24の表示画面上に配置されたタッチパネルセンサなどによって構成され、ユーザーによる操作を受け付ける。通信インタフェース26は、装置本体1aとの間で有線又は無線による通信を行うためのインタフェースである。
操作パネル5のCPU20は、プログラム23を実行することにより、通信制御部31、表示制御部32および操作検知部33として機能する。通信制御部31は、通信インタフェース26を介して装置本体1aから受信する情報を表示制御部32に出力すると共に、操作検知部33から入力する操作情報を通信インタフェース26から装置本体1aに送信する処理部である。
表示制御部32は、表示部24に表示する表示画面を制御する。特に本実施形態における表示制御部32は、画像処理装置1においてジョブの実行が行われるとき、ジョブ制御部15から送信される情報に基づいて、画像入力部10、画像処理部12および画像出力部13のそれぞれで行われる処理内容を特定する。そして表示制御部32は、画像入力部10に画像データが入力してから画像出力部13において画像出力が完了するまでの画像データに対する処理経路を表示部24に表示する。すなわち、表示制御部32は、ジョブの実行中に画像処理部12において行われる複数の画像処理のそれぞれに対応する複数の処理アイコンを表示部24に表示し、それら複数の処理アイコンを画像処理部12で行われる処理順序に従って経路線で接続することにより、処理経路を表示する。そして表示制御部32は、ジョブ制御部15から受信する原稿アイコンをその処理経路上に表示すると共に、その原稿アイコンを更新しながら処理経路に沿って移動させていく。すなわち、表示制御部32は、画像処理部12において実行される各画像処理の進行状況と、各画像処理における画像データの変化とを表示するために、画像処理装置1におけるジョブの実行中に処理経路の表示状態を逐次更新する。
表示制御部32が原稿アイコンを処理経路に沿って移動させていく速度は、画像処理部12において各画像処理が実際に進行していく速度と一致させてなくても良い。すなわち、画像処理部12が上述したようにハードウェアで各画像処理を実行する場合には、画像処理部12において複数の画像処理の全てが極めて短時間で終了してしまうため、そのような短時間で原稿アイコンを処理経路の始点から終点に向かって移動させていくと、ユーザーは十分に原稿アイコンの中身を確認することができなくなる。そのため、表示制御部32が原稿アイコンを処理経路に沿って移動させていく速度は、必ずしも画像処理部12における処理速度に一致していなくても良い。
ただし、画像処理部12における各画像処理が例えばソフトウェアによってシーケンシャルに行われる処理である場合には、上述したハードウェア構成よりも、複数の画像処理の全てを完了させるまでに長時間を要する。そのため、ソフトウェア処理による画像処理の進行に同期させて原稿アイコンを処理経路に沿って移動させていったとしても、ユーザーが十分に原稿アイコンの中身を確認することができるのであれば、原稿アイコンの移動速度を、各画像処理が実際に進行していく速度に一致させるようにしても良い。
操作検知部33は、ユーザーが操作部25に対する操作を行った場合にその操作を検知する処理部である。この操作検知部33は、表示制御部32によって表示部24に処理経路が表示されている状態で、その処理経路に含まれる処理アイコンや、処理経路上に表示されている原稿アイコンに対する操作を検知すると、その操作に基づく操作情報を表示制御部32へ出力すると共に、必要に応じてその操作情報を通信制御部31へ出力する。表示制御部32は、操作検知部33から操作情報を入力すると、その操作情報に基づいて表示部24の表示状態を制御する。さらに通信制御部31は、操作検知部33から操作情報を入力すると、その操作情報をジョブ制御部15に対して送信する。特にジョブの実行中に、操作検知部33からジョブ制御部15に対して送出される操作情報には、原稿アイコンの移動状況を示す信号や、ジョブの実行を一時的に停止させる停止信号、ジョブの実行中に行われる画像処理の設定変更を行う指示(処理内容変更指示)などが含まれる。
以下、上記構成の画像処理装置1においてジョブの実行が行われるときの操作パネル5の表示画面例を示しつつ、ジョブの実行途中でユーザーが行うことが可能な操作、および、その操作によって操作パネル5又は画像処理装置1が行う処理について詳しく説明する。
図5,図6および図7は、いずれも画像処理装置1がジョブの実行を開始してから完了するまでの間に操作パネル5に表示される基本的な表示画面の一例を示す図である。
画像処理装置1は、上述したように、ジョブの実行を開始することに伴い、画像入力部10にジョブの実行対象となる画像データが入力してから画像出力部13による画像出力が行われるまでの間に、画像データが通過する処理経路を操作パネル5の表示部24に表示する。図5に示すように、表示部24に表示される処理経路には、複数の処理アイコンGA,GB,GC,GD,GEと、それら複数の処理アイコンGA,GB,GC,GD,GEを処理順序に従って接続する複数の経路線R1,R2,R3,R4とが含まれる。処理アイコンGAは、画像入力部10に対応する処理アイコンである。また処理アイコンGB,GC,GDは、それぞれ画像処理部12の画像調整部41、画像変換部42および色変換部43に対応する処理アイコンである。さらに処理アイコンGEは、画像出力部13に対応する処理アイコンである。これら処理アイコンGA,GB,GC,GD,GEが経路線R1,R2,R3,R4によって順に接続されることにより、ジョブの実行中に行われる各処理の順序が表示される。すなわち、図5の画面例では、処理アイコンGA,GB,GC,GD,GEの順に画像データに対する処理が行われていくことを示す処理経路となっている。尚、図5の画面例では、各処理アイコンGA,GB,GC,GD,GEの表示サイズが等しく、且つ、配置間隔がほぼ等間隔となっている。また複数の経路線R1,R2,R3,R4の長さもほぼ均等な状態で表示されている。
また図5に示すように、この表示画面の左下部には、ユーザーがジョブの実行を一時停止させるための停止ボタンB3と、ユーザーが画像処理の設定内容などを変更するための編集ボタンB4とが表示される。したがって、ジョブの実行が開始された後に、ユーザーが停止ボタンB3を操作すると、操作パネル5からジョブ制御部15に対して停止信号が送出され、ジョブの実行を一時停止させることができる。また、図5に示すような処理経路が表示された状態でユーザーが意図する処理順序になっていないことに気付いたときには、編集ボタンB4を操作すると、ジョブの実行中に行われる画像処理の設定変更などを行うことができるようになる。さらに、画像調整や画像変換、色変換などの処理内容を個別に変更する場合には、ユーザーは各処理アイコンGA,GB,GC,GD,GEに対するタッチ操作を行うと、それに基づいて各処理における処理内容を個別に設定変更することも可能である。
また図5に示すように、この表示画面の右下部には、ユーザーがドラッグ操作を行って処理経路上に移動させることが可能な操作アイコンが少なくとも1つ表示されるアイコン表示欄RAが表示される。図5の例では、原稿アイコンの移動を停止させる停止アイコンW1が1つだけアイコン表示欄RAに含まれる場合を例示している。ただし、これに限らず、停止アイコンW1以外の操作アイコンが含まれていても良い。
そして表示制御部32は、画像処理装置1においてジョブの実行が開始されると、原稿アイコン生成部17で順次生成される原稿アイコンを取得し、RAM22に格納する。表示制御部32は、画像入力部10によって取得された1ページ目の画像データG10に対応する原稿アイコンC10を取得すると、その原稿アイコンC10を、図5に示すように、処理経路の始点である最初の経路線R1上に表示する。すなわち、図5に示す表示状態は、画像入力部10によって取得された1ページ目の画像データが画像調整部41によって下地調整が行われている状態であることを示すものである。したがって、ユーザーは、図5のような表示画面により、1ページ目の画像データに対する処理が画像調整まで進んでいることを把握することができる。また原稿アイコンC10が1ページ目の画像データのサムネイル画像である場合、ユーザーは、経路線R1上に表示される原稿アイコンC10を見れば、画像入力部10によってどのような画像データが1ページ目として取得されたかを把握することができる。
表示制御部32は、図5に示すように、原稿アイコンC10を経路線R1上に表示すると、その原稿アイコンC10を経路線R1に沿って所定の速度で下流側へ移動させていく。このときの原稿アイコンC10の移動速度は、例えば経路線R1上に表示されてから処理アイコンGBに到達するまでに少なくとも1秒以上の一定の表示時間を確保できるような移動速度とすることが好ましい。そうすることにより、ユーザーは経路線R1上に原稿アイコンC10が示されている間にその画像を確認することができる。尚、他の経路線に原稿アイコンを移動させるときも同様であり、また他の原稿アイコンの移動速度についても同様である。
そして原稿アイコンC10が画像調整部41に対応する処理アイコンGBへ到達したとき、画像調整部41による下地調整が完了しており、下地調整済み画像データG11に対応する原稿アイコンC11がRAM22に格納されていれば、表示制御部32は、その原稿アイコンC11を読み出す。また表示制御部32は、2ページ目の画像データG20に対応する原稿アイコンC20を既に取得していれば、その原稿アイコンC20を読み出す。そして表示制御部32は、図5に示す表示状態を、図6に示す表示状態へと更新する。
すなわち、表示制御部32は、1ページ目の下地調整済み画像データG11に対応する原稿アイコンC11を取得すると、最初の経路線R1上に表示していた1ページ目の原稿アイコンC10を消去し、新たに取得した原稿アイコンC11を、図6に示すように、2番目の経路線R2上に表示し、その原稿アイコンC11を経路線R2に沿って下流側へと移動させていく。また、画像入力部10によって取得された2ページ目の画像データG20に対応する原稿アイコンC20を取得すると、表示制御部32は、その原稿アイコンC20を経路線R1上に表示し、その原稿アイコンC20を経路線R1に沿って下流側へと移動させていく。図6に示す表示状態は、画像入力部10によって取得された1ページ目の画像データが画像変換部42において解像度変換の処理が行われている状態であり、且つ、2ページ目の画像データが画像調整部41において下地調整の処理が行われている状態であることを示すものである。したがって、ユーザーは、図6のような表示画面により、ジョブの実行中において、1ページ目の画像に対する処理が画像変換まで進んでおり、2ページ目の画像に対する処理が画像調整まで進んでいることを把握することができる。また原稿アイコンC11,C20が実際の画像データのサムネイル画像である場合、ユーザーは、経路線R1,R2上に表示される原稿アイコンC11,C20を見れば、1ページ目および2ページ目の画像がどのような状態になっているかを把握することができる。
そして上記と同様、1ページ目の原稿アイコンC11が画像変換部42に対応する処理アイコンGCへ到達したとき、画像変換部42による解像度変換が完了しており、解像度変換済み画像データG12に対応する原稿アイコンC12がRAM22に格納されていれば、表示制御部32は、その原稿アイコンC12を読み出す。また表示制御部32は、2ページ目の原稿アイコンC20が画像調整部41に対応する処理アイコンGBへ到達したとき、画像調整部41による画像調整が完了しており、下地調整済み画像データに対応する原稿アイコンC21がRAM22に格納されていれば、表示制御部32は、その原稿アイコンC21を読み出す。さらに、表示制御部32は、3ページ目の画像データG30に対応する原稿アイコンC30を既に取得していれば、その原稿アイコンC30を読み出す。そして表示制御部32は、図6に示す表示状態を、図7に示す表示状態へと更新する。
すなわち、表示制御部32は、1ページ目の画像変換済み画像データG12に対応する原稿アイコンC12を取得すると、2番目の経路線R2上に表示していた1ページ目の原稿アイコンC11を消去し、新たに取得した原稿アイコンC12を、図7に示すように、3番目の経路線R3上に表示し、その原稿アイコンC12を経路線R3に沿って下流側へと移動させていく。また表示制御部32は、2ページ目の画像調整済み画像データG21に対応する原稿アイコンC21を取得すると、最初の経路線R1上に表示していた2ページ目の原稿アイコンC20を消去し、新たに取得した原稿アイコンC21を、図7に示すように、2番目の経路線R2上に表示し、その原稿アイコンC21を経路線R2に沿って下流側へと移動させていく。さらに、表示制御部32は、画像入力部10によって取得された3ページ目の画像データG30に対応する原稿アイコンC30を取得すると、その原稿アイコンC30を最初の経路線R1上に表示し、その原稿アイコンC30を経路線R1に沿って下流側へと移動させていく。図7に示す表示状態は、画像入力部10によって取得された1ページ目の画像データが色変換部43において色変換の処理が行われている状態であり、2ページ目の画像データが画像変換部42において解像度変換の処理が行われている状態であり、さらに3ページ目の画像データが画像調整部41において下地調整の処理が行われている状態であることを示すものである。したがって、ユーザーは、図7のような表示画面により、ジョブの実行中において、1ページ目の画像に対する処理が色変換まで進んでおり、2ページ目の画像に対する処理が画像変換まで進んでおり、3ページ目の画像に対する処理が画像調整まで進んでいることを把握することができる。また原稿アイコンC12,C21,C30が実際の画像データのサムネイル画像である場合、ユーザーは、経路線R1,R2,R3上に表示される原稿アイコンC12,C21,C30を見れば、その時点において各ページの画像がどのような状態になっているかを把握することができる。
これ以降についても同様であり、表示制御部32は、各経路線に沿って移動させていく各ページの原稿アイコンが次の処理アイコンに到達したとき、次の経路線上に表示すべき原稿アイコンがRAM22に格納されていれば、それを読み出して次の経路線上に表示し、その経路線に沿って下流側へと移動させていく。したがって、ユーザーは、表示部24に表示される処理経路において各ページの原稿アイコンの表示位置などを確認することにより、ジョブの実行中に行われる処理の進行状況を把握することができると共に、各画像処理による画像データの変化も同時に把握することができるようになる。
上記のように処理経路に沿って移動していく原稿アイコンは、各経路線R1,R2,R3,R4上を数秒程度の一定の表示時間をかけて移動していく。そのため、処理経路の始点から終点まで移動する時間も数秒から十数秒程度の一定の時間となっている。ところが、ユーザーにとっては、その程度の短時間では各原稿アイコンの中身を十分に確認することができない可能性もある。
そこで本実施形態の操作パネル5は、上述したように処理経路に沿って移動していく原稿アイコンを表示している状態でユーザーが所定の操作を行った場合に、原稿アイコンの移動を停止させる構成となっている。例えば、本実施形態では、図7に示すように、ユーザーが処理経路上に表示されている原稿アイコンC12に対し、指先やペン先でタッチ操作を行うと、操作パネル5は、その原稿アイコンC12の移動を停止させるようになっている。
図7に示すように、ユーザーが原稿アイコンC12に対するタッチ操作を行った場合、表示制御部32は、その原稿アイコンC12をタッチ操作が行われた位置で停止させる。また表示制御部32は、原稿アイコンC12を処理経路上で停止させることに伴い、その原稿アイコンC12に後続する他の原稿アイコンC21,C30も停止させる。このとき、表示制御部32は、ユーザーによってタッチ操作が行われた原稿アイコンC12の停止と同時に他の原稿アイコンC21,C30の移動を停止させても良い。ただし、本実施形態では、ユーザーによってタッチ操作が行われた原稿アイコンC12を停止させることに伴って直ちに他の原稿アイコンC21,C30の移動を停止させるのではなく、表示制御部32は、原稿アイコンC12を停止させた後もそれに後続する他の原稿アイコンC21,C30の移動を行っていき、それら他の原稿アイコンC21,C30が既に停止している原稿アイコンC12の停止位置の直前位置まで到達した時点で他の原稿アイコンC21,C30の移動を停止させるように制御する。
図8は、原稿アイコンC12が経路線R3上で停止したことに伴ってそれに後続する他の原稿アイコンC21,C30が停止した状態の表示画面の一例を示す図である。すなわち、図7に示すようにユーザーが原稿アイコンC12に対するタッチ操作を行うと、その原稿アイコンC12はタッチ操作が行われた位置で停止するが、他の原稿アイコンC21,C30はその後も移動していき、処理アイコンGB,GCを通過する度に処理結果を原稿アイコンが更新され、処理アイコンGB,GCによる処理結果が反映されていく。そして2ページ目の原稿アイコンC22は、図8に示すように、1ページ目の原稿アイコンC12の停止位置の直前位置まで移動すると、原稿アイコンC12が障害物となり、原稿アイコンC12の直前位置で停止する。同様に、3ページ目の原稿アイコンC32についても、図8に示すように、2ページ目の原稿アイコンC22の停止位置の直前位置まで移動すると、原稿アイコンC22が障害物となり、原稿アイコンC22の直前位置で停止する。
したがって、ユーザーは、処理経路に沿って移動していく原稿アイコンをじっくりと観察したい場合には、原稿アイコンに対するタッチ操作を行うことにより、その原稿アイコンを処理経路上で停止させた状態でじっくりと観察することができる。また上記のように、処理経路に沿って複数の原稿アイコンが移動している状態で、先行する原稿アイコンを処理経路上で停止させた場合であっても、それに後続する原稿アイコンが停止している原稿アイコンを追い越してしまうことがないため、ユーザーは複数の原稿アイコンのそれぞれをじっくりと観察していくことが可能である。その結果、ユーザーは、所望する画像処理が行われていないと判断した場合、停止ボタンB3や編集ボタンB4などを操作することにより、ジョブの実行中に行われる処理内容などを変更することができる。
尚、操作パネル5は、ユーザーによって停止ボタンB3が操作されない場合であっても、例えば図8に示すように複数の原稿アイコンの全てが処理経路上で停止した状態となったときに、画像処理装置1の装置本体1aにジョブの実行を一時的に停止させる停止信号を送出して画像処理装置1におけるジョブの実行を停止させるようにしても良い。
またユーザーは、上述したように処理経路上で原稿アイコンを停止させるだけでなく、原稿アイコンを処理経路から外れた位置に移動させて停止させることも可能である。図9は、原稿アイコンC12を処理経路から外れた位置に移動させた状態の表示画面の一例を示す図である。図9に示すように、ユーザーが原稿アイコンC12をタッチした状態のままで移動させるドラッグ操作を行った場合、表示制御部32は、その原稿アイコンC12をドラッグ操作に基づいて移動させる。そしてユーザーが図9において矢印F1で示すように原稿アイコンC12を処理経路から外れた位置に移動させた状態で原稿アイコンC12のタッチ操作を解除すると、表示制御部32は、そのタッチ操作が解除された位置で原稿アイコンC12を停止させた状態に表示する。したがって、ユーザーは、処理経路に沿って移動していく原稿アイコンをじっくりと観察したい場合には、図9に示すように、その原稿アイコンをドラッグ操作して処理経路から外れた位置で停止表示させることにより、その原稿アイコンをじっくりと観察することも可能である。そしてユーザーは、原稿アイコンC12に対応する画像データに対して所望の画像処理が行われていないと判断した場合には停止ボタンB3や編集ボタンB4などを操作することにより、ジョブの実行中に行われる処理内容などを変更することができる。
ただし、図9に示すように原稿アイコンC12が処理経路から外れた位置で停止した場合には、処理経路上に、後続する他の原稿アイコンC23,C32の移動を妨げる障害物が存在しないことになる。そのため、図9に示すように、処理経路に沿って先行して移動している原稿アイコンC12が処理経路から外れた位置で停止した場合には、その原稿アイコンC12に後続する他の原稿アイコンC23,C32は処理経路に沿って継続的に移動していくようになり、原稿アイコンC12の元の位置を越えてさらに下流側へと移動する。したがって、この場合は、処理経路を移動する原稿アイコンの移動順序が入れ替わる。
ユーザーは、処理経路から外れた位置で原稿アイコンC12を十分に確認した後、その原稿アイコンC12が不要であれば編集ボタンB4を操作して表示部24に編集画面を表示させることにより、削除することも可能である。この場合、操作検知部33はジョブ制御部15に対して原稿アイコンC12に対応する画像データの削除を指示し、ジョブ制御部15がジョブの実行対象の画像データから原稿アイコンC12に対応する画像データを削除する。
またユーザーは、処理経路から外れた位置で原稿アイコンC12を十分に確認した後、その原稿アイコンC12を再びタッチした状態で移動させるドラッグ操作を行うことにより、処理経路上の任意の位置へ戻すことも可能である。この場合、表示制御部32は、操作検知部33から入力する操作情報に基づいてユーザーによって指定された処理経路上の位置を特定し、その特定位置へ原稿アイコンC12を移動させて処理経路に戻した状態で表示する。このとき、原稿アイコンC12を戻す特定位置が元の経路線R3とは異なる経路線上の位置である場合、表示制御部32は、その特定位置が含まれる経路線に対応した原稿アイコンに差し替えて処理経路上に表示する。その後、表示制御部32は、処理経路上の特定位置へ戻した原稿アイコンの移動処理を再開させることにより、その原稿アイコンを再び処理経路に沿って移動させていく。
またユーザーは、上述したように原稿アイコンを処理経路から外れた位置に移動させるだけでなく、処理経路上の別の位置へ移動させることも可能である。図10は、経路線R3上に表示されている原稿アイコンC12を別の経路線R1上の位置に移動させた状態の表示画面の一例を示す図である。図10に示すように、ユーザーが原稿アイコンC12をタッチした状態のままで移動させるドラッグ操作を行った場合、表示制御部32は、その原稿アイコンC12をドラッグ操作に基づいて移動させる。そして図10において矢印F2で示すように、ユーザーが原稿アイコンC12を経路線R1上の別の位置に移動させた状態で原稿アイコンC12のタッチ操作を解除すると、表示制御部32は、経路線R1に対応する原稿アイコンC10に差し替えてタッチ操作が解除された位置に表示する。この場合、図10に示すように、他の原稿アイコンに対して先行する位置から、他の原稿アイコンに後続する位置へと戻されることもある。また逆に、他の原稿アイコンに後続する位置から、他の原稿アイコンよりも先行する位置へ移動されることもある。したがって、ユーザーが原稿アイコンを処理経路上の別の位置へ移動させた場合には、処理経路を移動する原稿アイコンの移動順序が入れ替わることがある。
次に、ユーザーが処理経路上で原稿アイコンを停止させるために行う操作として、上述した原稿アイコンに対するタッチ操作とは異なる操作について説明する。図11および図12は、原稿アイコンを処理経路上に停止させるためにユーザーが経路線に対して行う操作の例を示す図である。
まず図11は、ユーザーが経路線R3を切断するような態様の操作を行うことにより処理経路上に原稿アイコンを停止させる場合を示している。すなわち、図11の矢印F3で示すように、ユーザーが経路線R3を切断するような態様で指先やペン先を移動させる操作を行うと、表示制御部32は、ユーザーによって切断操作された経路線R3を切断した表示態様で表示する。この経路線R3の切断部分は、経路線R3上において原稿アイコンの下流側への移動を妨げる障害物と同様に作用する。つまり、表示制御部32は、ユーザーによる操作に基づいて経路線R3を切断した状態に表示すると、それ以後、その切断部分よりも上流側から移動してくる原稿アイコンを、その切断部分の直前位置で停止させる。したがって、この場合も、図8の場合と同様に、各ページに対応する複数の原稿アイコンが切断部分の直前位置まで移動すると、その位置で停止するようになる。
次に図12は、ユーザーが経路線R3に対して停止アイコンW1を配置する操作を行うことにより処理経路上に原稿アイコンを停止させる場合を示している。すなわち、図12の矢印F4で示すように、ユーザーがアイコン表示欄RAから停止アイコンW1を移動させるドラック操作を行うと、表示制御部32は、ユーザーによって指定された経路線R3の位置に停止アイコンW1を表示する。経路線R3に配置された停止アイコンW1は、少なくとも所定時間(例えば60秒)の間、経路線R3上において原稿アイコンの下流側への移動を妨げる障害物として作用する。そのため、表示制御部32は、ユーザーによる操作に基づいて停止アイコンW1を経路線R3に表示すると、それ以後、その停止アイコンW1よりも上流側から移動してくる原稿アイコンを、その停止アイコンW1が表示されている位置の直前位置で停止させる。したがって、この場合も、図8の場合と同様に、各ページに対応する複数の原稿アイコンが停止アイコンW1の直前位置まで移動すると、その位置で停止するようになる。
表示制御部32は、停止アイコンW1を経路線R3上に表示してから所定時間が経過すると、停止アイコンW1をその経路線R3上から自動的に消去する。そして停止アイコンW1の直前位置で停止していた原稿アイコンの移動処理を再開する。ただし、これに限定されるものではなく、所定時間を経過した後も、ユーザーが停止アイコンW1を経路線R3から消去する操作を行うまで、停止アイコンW1を経路線R3上に表示し続けるようにしても良い。
したがって、本実施形態では、ジョブの実行中に処理経路に沿って移動していく原稿アイコンをユーザーがじっくりと観察したいときには、原稿アイコンに対するタッチ操作を行うだけでなく、原稿アイコンを停止させたい位置で経路線を切断する操作を行っても良いし、また原稿アイコンを停止させたい位置に停止アイコンW1を配置する操作を行っても良い。
次に図13は、ユーザーが2つの原稿アイコンC12,C22を処理経路から外れた位置に移動させた状態を示す図である。このような状態のとき、ユーザーは各原稿アイコンC12,C22を処理経路上の元の位置に戻そうとしても、元の位置が判らないことがある。そのため、表示制御部32は、図13に示すような状態でユーザーが処理経路から外れた位置にある原稿アイコンC12,C22に対するタッチ操作を行うと、それら原稿アイコンC12,C22が処理経路から外された時点の元の位置を表示する。この場合の表示態様としては、種々の表示態様が考えられるが、以下においては2つの表示態様を例示して説明する。
図14は、原稿アイコンC12の元の位置を表示するための第1の表示態様を示す図である。例えば、ユーザーが原稿アイコンC12に対するタッチ操作を行った場合、表示制御部32は、処理経路に含まれる各経路線R1,R2,R3,R4の表示態様を、図14に示すように変更する。図14の画面例では、各経路線R1,R2,R3,R4が処理の進行状況を示すプログレスバーのような表示態様で表示されるため、ユーザーによるタッチ操作が行われた原稿アイコンC12に対する処理が経路線R3上の位置Pまで進行している状態であることを簡単に把握することができるようになる。したがって、このような第1の表示態様によれば、ユーザーは、処理経路から外れた位置に移動させた原稿アイコンC12を元の位置に戻そうとするときには、原稿アイコンC12に対するタッチ操作を行うことにより、元の位置Pを把握することができる。
図15は、原稿アイコンC12の元の位置を表示するための第2の表示態様を示す図である。例えば、ユーザーが原稿アイコンC12に対するタッチ操作を行った場合、表示制御部32は、タッチ操作が行われた原稿アイコンC12が処理経路から外れた位置へ移動する前の元の位置Pに、原稿アイコンC12と同じアイコン画像を表示する。ただし、このアイコン画像は、処理経路に沿って移動している他の原稿アイコンと区別するため、背景を透過させる透過率を他の原稿アイコンとは異なる値に設定して表示される。例えば、処理経路に沿って移動していく通常の原稿アイコンは透過率0%に設定され、原稿アイコンC12の元の位置Pに表示されるアイコン画像は透過率50%などに設定される。また、このアイコン画像は処理経路上の障害物として作用するものではないため、処理経路を移動していく他の原稿アイコンは、アイコン画像が表示される位置Pを通過して移動することが可能である。図15の画面例では、ユーザーによるタッチ操作が行われた原稿アイコンC12に対する処理が経路線R3上の位置Pまで進行している状態であることを示す表示態様となっている。したがって、このような第2の表示態様でも、ユーザーは、処理経路から外れた位置に移動させた原稿アイコンC12を元の位置に戻そうとするときには、原稿アイコンC12に対するタッチ操作を行うことにより、元の位置Pを把握することができる。
このように本実施形態の画像処理装置1はジョブの実行開始に伴い、操作パネル5の表示部24に、そのジョブの実行中に行う各種画像処理の処理経路を表示すると共に、そのジョブの実行中においてジョブ実行対象となる画像データに対応した原稿アイコンをその処理経路に沿って移動させていく。このとき、処理経路を移動していく原稿アイコンは、各種画像処理が進行することに伴って逐次更新され、各種画像処理による処理結果が反映されるようになっている。
ところで、上述したように画像処理部12がハードウェアで構成される場合には複数の画像処理の全てを数ミリ秒程度の一定の処理時間内に完了させることが可能であるが、そのような画像処理の速度に同期させて原稿アイコンを移動させてしまうと、ユーザーは処理経路を移動する原稿アイコンを十分に確認することができない。そのため、表示制御部32は、処理経路の始点から終点まで原稿アイコンを移動させる際には、画像処理部12において複数の画像処理の全てを完了させるのに要する一定の処理時間以上となる数秒程度の時間をかけて比較的ゆっくりと移動させることにより、ユーザーが処理経路を移動していく原稿アイコンをその移動中に確認できるようにしている。ただし、原稿アイコンの移動速度は、ユーザーが自由に設定できるようにしても良い。
また画像処理部12がハードウェアで構成される場合には複数の画像処理の全てを短時間で完了させることが可能であるため、画像処理部12における画像処理の進行を、操作パネル5における原稿アイコンの移動状況に同期させるようにしても良い。すなわち、上述したように、表示制御部32は、原稿アイコンを処理経路上の始点に表示した後、その原稿アイコンを一定の表示時間をかけて処理経路の終点まで移動させるように構成されているため、画像処理部12が、そのような原稿アイコンの移動に同期して複数の画像処理を順次実行していくようにしても良い。
また上述したように本実施形態の画像処理装置1は、ジョブの実行中に、処理経路に沿って原稿アイコンを移動させているとき、ユーザーによる操作に基づいて原稿アイコンの移動を停止させることが可能であるだけでなく、ユーザーによる操作に基づいて原稿アイコンの表示位置を移動させることも可能である。特に、ジョブの実行対象が複数ページから成る画像データである場合、ユーザーが一の原稿アイコンを移動させる操作を行うと、それによって処理経路に沿って移動していく複数の原稿アイコンの移動順序が入れ替わることがある。このとき、ユーザーが画像出力時のページの並び順序を入れ替えることを狙って意図的に原稿アイコンを移動させる操作を行ったのであれば、画像出力部13は、ユーザーによって指定された順序で画像出力を行う必要がある。そこで本実施形態の画像出力部13は、ジョブの実行対象が複数ページから成る画像データである場合、画像処理部12において全ページ分の画像データに対する画像処理が全て完了するまで待機し、全ページ分の画像データが揃ってから画像出力を開始することが好ましい。そのような構成であれば、ユーザーが画像出力時のページの並び順序を入れ替えることを狙って意図的に原稿アイコンを移動させる操作を行った場合、画像出力部13が画像出力時にユーザーによる指示に基づいて画像データの並び順を入れ替えた状態で画像出力を行うことができるようになる。
ただし、ユーザーが原稿アイコンを移動させる操作を行った場合であっても、その操作が画像出力時のページの並び順序を入れ替えることを意図したものではないこともある。例えば、ユーザーが処理経路から外れた位置に原稿アイコンを移動させる操作は、原稿アイコンを一旦処理経路から外した状態でじっくりとその原稿アイコンを観察し、必要に応じて画像処理の設定などを変更することを目的として行われる操作であると考えられる。これに対し、ユーザーが処理経路に沿って移動している原稿アイコンをドラッグして処理経路上の別の位置へ移動させる操作は、画像データの並び順序を入れ替えることを目的として行われる操作であると考えられる。
そこで本実施形態の画像出力部13は、原稿アイコンが処理経路から外れた位置へ移動された後、その原稿アイコンが処理経路上の特定位置へ戻された時点で、複数の原稿アイコンの移動順序が入れ替わっていれば、画像データの並び順序を、移動順序が入れ替わる前の初期順序に戻して画像の出力処理を行うように構成される。また、画像出力部13は、処理経路に沿って移動中の原稿アイコンが処理経路上の別の位置へ移動されたとき、その時点で複数の原稿アイコンの移動順序が入れ替わっている場合には、画像データの並び順序を、移動順序が入れ替わった後の順序のままで画像の出力処理を行うように構成される。したがって、画像出力部13は、ユーザーによる意図に基づき、必要に応じて画像データの並べ替えを行って画像出力を行うことができるようになる。
次に、本実施形態の操作パネル5において行われる処理の詳細について説明する。図16乃至図19は、操作パネル5の表示部24に上述した処理経路を表示するためにCPU20において行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理手順は、例えば画像処理装置1におけるジョブの実行開始に伴って、操作パネル5のCPU20がプログラム23に基づいて実行する処理である。また、このフローチャートでは、主として、上述した表示制御部32における処理手順を示している。
まず図16に示すように、操作パネル5は、ユーザーによるジョブの実行指示を検知すると、ジョブ制御部15に対してジョブ実行指示を送信し(ステップS1)、ジョブ制御部15からジョブの設定情報を受信する(ステップS2)。操作パネル5は、ジョブの設定情報を取得すると、表示制御部32が機能させる。そして表示制御部32は、そのジョブの実行中に行われる一連の動作の処理経路を決定し(ステップS3)、その処理経路を表示部24に表示する(ステップS4)。そして操作パネル5は、画像処理装置1においてジョブの実行が開始されることに伴い、ジョブ制御部15から原稿アイコンを順次取得し、RAM22に格納していく。
表示制御部32は、表示部24に処理経路を表示した後、1ページ目の原稿アイコンがRAM22に格納されることに伴い(ステップS5でYES)、その原稿アイコンをRAM22から取得し(ステップS6)、表示部24における処理経路上の始点に表示する(ステップS7)。その後、表示制御部32は、処理経路の始点に表示した原稿アイコンを処理経路に沿って移動させていく処理を開始する(ステップS8)。これにより、処理経路上に表示された原稿アイコンは、処理経路の下流側に向かって移動表示される。そして表示制御部32は、経路線上の障害物などに基づいて原稿アイコンを停止させたり、原稿アイコンを更新して次の経路線へ移動させたりするための移動更新処理を実行する(ステップS9)。
図17は、この移動更新処理(ステップS9)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。表示制御部32は、この処理を開始すると、原稿アイコンが現在位置する経路線上に障害物があるか否かを判断する(ステップS20)。その結果、障害物があれば(ステップS20でYES)、原稿アイコンをその障害物の直前位置で停止させる(ステップS22)。また経路線上に障害物がない場合には(ステップS20でNO)、経路線が切断されているか否かを判断する(ステップS21)。その結果、経路線が切断されていれば(ステップS21でYES)、原稿アイコンをその障害物の直前位置で停止させる(ステップS22)。
一方、原稿アイコンが現在位置する経路線上に障害物がなく、又、経路線の切断もない場合(ステップS21でNO)、表示制御部32は、その原稿アイコンが現在停止中であるか否かを判断する(ステップS23)。その結果、原稿アイコンが停止中であれば(ステップS23でYES)、原稿アイコンを移動させる処理を再開する(ステップS24)。尚、原稿アイコンが現在の経路上で移動中である場合(ステップS23でNO)、ステップS24の処理はスキップする。
次に表示制御部32は、現在の経路上を移動している原稿アイコンがその下流側に位置する次の処理アイコンの表示位置に到着したか否かを判断する(ステップS25)。その結果、原稿アイコンが次の処理アイコンの表示位置に未だ到着していない場合(ステップS25でNO)、その後の処理は行われることなく、移動更新処理(ステップS9)が終了する。
一方、原稿アイコンが次の処理アイコンの表示位置に到着している場合(ステップS25でYES)、操作パネル5は、ジョブ制御部15に対し、原稿アイコンが処理アイコンに到達したことを通知する(ステップS26)。このとき、操作パネル5は、原稿アイコンのページ数と、処理アイコンに対応する処理とがジョブ制御部15において特定可能な情報を送信する。これにより、ジョブ制御部15は、操作パネル5において移動表示される原稿アイコンが処理経路上のどのような位置に移動したかを把握することができるようになる。そして表示制御部32は、次の処理アイコンに到達した現在の原稿アイコンを、現在の経路線上から消去する(ステップS27)。
次に表示制御部32は、原稿アイコンが到達した処理アイコンの下流側に次の経路線があるか否かを判断する(ステップS28)。その結果、次の経路線がない場合(ステップS28でNO)、原稿アイコンが処理経路の終点まで移動したことになるため、その後の処理は行われることなく、移動更新処理(ステップS9)が終了する。
一方、処理アイコンの下流側に次の経路線がある場合(ステップS28でYES)、表示制御部32は、次の経路線上に表示する原稿アイコンをRAM22から読み出して取得し(ステップS29)、その原稿アイコンを次の経路線上に表示する(ステップS30)。これにより、処理アイコンを通過した原稿アイコンは、その処理アイコンによる処理結果が反映された原稿アイコンに更新される。そして表示制御部32は、次の経路線上に表示した原稿アイコンを、その経路線に沿って移動させていく処理を開始する(ステップS31)。以上で、移動更新処理(ステップS9)が全て終了する。
図16に戻り、次に表示制御部32は、操作検知部33によってユーザーによる操作が検知されたか否かを判断し(ステップS10)、ユーザーによる操作が検知されていれば、操作検知処理を実行する(ステップS11)。この操作検知処理は、ユーザーによる操作に基づいて、原稿アイコンの移動を停止させたり、停止中の原稿アイコンの移動を再開させたりする処理である。またこの他にも、ユーザーによる操作に基づいて原稿アイコンを移動させる処理や、ジョブの実行中に行われる画像処理の設定などを変更する処理も行われる。
図18は、操作検知処理(ステップS11)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。表示制御部32は、この処理を開始すると、ユーザーによって行われた操作が原稿アイコンに対する停止操作であるか否かを判断する(ステップS30)。例えばユーザーによって処理経路上を移動中の原稿アイコンに対するタッチ操作を行われた場合には、停止操作であると判断する。表示制御部32は、ユーザーによる停止操作が行われた場合(ステップS30でYES)、その停止操作が行われた原稿アイコンを特定し、その原稿アイコンの移動を停止させる。これにより、原稿アイコンは、経路線上においてタッチ操作が行われた位置で停止する。そして表示制御部32は、経路線上に停止させた原稿アイコンに対して障害物設定をオンにする(ステップS42)。これにより、後続の原稿アイコンは、経路線上で停止した原稿アイコンを越えて移動することができなくなり、図17のステップS22により、停止している原稿アイコンの直前位置で停止するようになる。尚、ユーザーによって行われた操作が停止操作でない場合(ステップS40でNO)、ステップS41,S42の処理は行われることなくスキップする。
次に表示制御部32は、ユーザーによって行われた操作が停止中の原稿アイコンに対する移動再開操作であるか否かを判断する(ステップS43)。例えば処理経路上の障害物として停止している原稿アイコンに対してユーザーによるタッチ操作を行われた場合には、移動再開操作であると判断する。表示制御部32は、ユーザーによる移動再開操作が行われた場合(ステップS43でYES)、その移動再開操作が行われた原稿アイコンを特定し、その原稿アイコンを処理経路に沿って移動させる処理を再開する。そして表示制御部32は、その原稿アイコンの障害物設定をオフにする(ステップS45)。これにより、後続する原稿アイコンについても、処理経路に沿って再び移動可能な状態となり、図17のステップS24において移動処理が再開される。尚、ユーザーによる操作が移動再開操作でない場合(ステップS43でNO)、ステップS44,S45の処理は行われることなくスキップする。
次に表示制御部32は、ユーザーによって行われた操作が原稿アイコンをドラッグして移動させる操作であるか否かを判断する(ステップS46)。その結果、原稿アイコンの移動操作である場合(ステップS46でYES)、表示制御部32は、移動操作検知処理を実行する(ステップS47)。これに対し、原稿アイコンの移動操作でない場合は、ステップS47の移動操作検知処理は行うことなくスキップする。
図19は、移動操作検知処理(ステップS47)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。表示制御部32は、この処理を開始すると、ユーザーによる操作に基づいてドラッグされている原稿アイコンを表示部24の表示画面内で移動させる表示を行う(ステップS50)。このとき、表示制御部32は、処理経路上に沿って移動していく他の原稿アイコンを表示している場合、ユーザーによる移動操作が終了するまでの間、他の原稿アイコンの移動を一時中断する(ステップS51,S52)。そしてユーザーが原稿アイコンのドラッグ状態を解除して移動操作を終了すると(ステップS52でYES)、表示制御部32は、一時中断していた他の原稿アイコンの移動処理を再開する(ステップS53)。すなわち、表示制御部32は、ユーザーが一の原稿アイコンをドラッグして移動させる操作を行っている状態のときには、他の原稿アイコンを処理経路に沿って移動させる処理を一時中断して停止させることにより、ページの入れ替え操作などを行い易くしているのである。
そして表示制御部32は、ユーザーによる操作によって表示位置を移動させた原稿アイコンが処理経路上に移動したか否かを判断する(ステップS54)。その結果、原稿アイコンが処理経路から外れた位置に移動した場合(ステップS54でNO)には、その移動先の位置で原稿アイコンを停止させた状態のまま表示して処理を終了する。これに対し、原稿アイコンが処理経路上の別の位置へ移動した場合(ステップS54でYES)、表示制御部32は、ユーザーによる移動操作によって原稿アイコンが別の経路線上に移動したか否かを判断する(ステップS55)。原稿アイコンが別の経路線上に移動した場合(ステップS55でYES)には、その経路線に対応する原稿アイコンに差し替える必要があるため、表示制御部32は、別の経路線上に表示する原稿アイコンを変更する(ステップS56)。尚、ユーザーが同一経路線上で原稿アイコンを移動させた場合(ステップS55でNO)には、原稿アイコンを変更する必要がないため、ステップS56の処理は行うことなくスキップする。そして表示制御部32は、原稿アイコンの移動先から再びその原稿アイコンを移動させる処理を再開する(ステップS57)。以上で、移動操作検知処理(ステップS47)が終了する。
図18に戻り、次に表示制御部32は、ユーザーによって行われた操作が上述した操作以外のその他の操作であるか否かを判断し(ステップS48)、その他の操作であれば(ステップS48でYES)、その操作に応じた処理を行う。例えば、ユーザーが処理経路に含まれる複数の経路線R1,R2,R3,R4のうちのいずれかを切断する操作を行った場合、表示制御部32は、その操作に基づいて経路線が切断された状態に処理経路の表示態様を更新すると共に、その切断位置に対する障害物設定をオンにする。また、ユーザーが処理経路に含まれる複数の経路線R1,R2,R3,R4のうちのいずれかに対して停止アイコンW1を設置する操作を行った場合、表示制御部32は、その操作に基づいて停止アイコンW1を移動させて経路線上に表示すると共に、その停止アイコンW1に対する障害物設定をオンにする。
さらに、ユーザーがジョブの実行中に画像処理部12において行われる画像処理の設定変更操作などを行った場合、表示制御部32は、その操作に基づいて処理経路の表示態様を更新する。このとき、操作パネル5は、ユーザーによる設定変更操作に基づき、ジョブ制御部15に対して画像処理の設定変更を行う指示(処理内容変更指示)を送信する。これにより、ジョブ制御部15は、ジョブの実行を一時停止し、ユーザーによる指示に基づいて画像処理の設定などを変更する。そして設定変更を反映させた状態でジョブの実行を再開する。以上で、図18の操作検知処理(ステップS11)が終了する。
図16のフローチャートに戻り、次に表示制御部32は、次のページの原稿アイコンがあるか否かを判断する(ステップS12)。そして次のページ原稿アイコンがある場合(ステップS12でYES)、ステップS6に戻って上述した処理を繰り返す。したがって、処理経路上には、複数のページのそれぞれに対応する複数の原稿アイコンが表示されることもある。次のページの原稿アイコンがない場合(ステップS12NO)、表示制御部32は、画像処理装置1においてジョブの実行が完了したか否かを判断する(ステップS13)。そしてジョブの実行が完了していない場合(ステップS13でNO)には、ステップS9に戻って上述した処理を繰り返す。したがって、原稿アイコンは処理アイコンを通過する度に適宜更新されながら処理経路に沿って移動していくと共に、ジョブの実行が完了するまでにユーザーによる操作が検知されればその操作に応じた処理が行われる。
そして表示制御部32は、画像処理装置1におけるジョブの実行が完了すると(ステップS13でYES)、表示部24における処理経路の表示を終了し(ステップS14)、ジョブの実行に伴う全ての処理を終了する。
以上のように本実施形態の画像処理装置1は、画像入力部10に画像データが入力してから画像出力部13で画像出力が行われるまでの間に画像処理部12において順次実行される複数の画像処理に対応する処理経路を、操作パネル5の表示部24に表示すると共に、原稿アイコン生成部17によって順次生成される原稿アイコンを処理経路に沿って更新しながら移動させていくことにより、画像処理部12における各画像処理の進行状況と各画像処理による処理結果とを表示する構成である。そして表示部24に処理経路を表示する表示制御部32は、処理経路に沿って原稿アイコンを移動させている状態において当該原稿アイコン又は当該原稿アイコンが移動している処理経路に対する所定の操作を検知することに伴い、当該原稿アイコンを処理経路上で停止させると共に、当該原稿アイコンに後続する他の原稿アイコンも処理経路上で停止させる構成である。
つまり、ユーザーが表示部24に表示された処理経路に沿って高速移動していく原稿アイコンを目視で確認するとき、原稿アイコンの細部までを十分に確認することができないような場合には、処理経路に沿って移動していく原稿アイコンをタッチ操作したり、又、原稿アイコンが移動している経路線に対して切断操作や停止アイコンを配置する操作を行ったりすることにより、その原稿アイコンを処理経路上で停止させた状態で表示させることができる。したがって、ユーザーは、原稿アイコンの移動を停止させた状態でじっくりと原稿アイコンの細部までを十分に確認することができるため、各画像処理において所望の画像処理が行われているか否かをジョブの実行中に把握することができるようになる。特に上述したような操作は、ユーザーが直感的に行うことができる簡単な操作であるため、ジョブ実行中における操作性が向上するという利点がある。したがって、本実施形態の画像処理装置1では、ジョブの実行中に逐次変化していく画像データをユーザーが簡単に確認することが可能であり、しかも必要に応じて各種処理内容や処理順序などをジョブの実行中にユーザーが簡単に設定変更することができるという点で利便性に優れたものとなっている。
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は上述した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
例えば、画像処理装置1における画像処理部12がソフトウェア処理で各画像処理を実行するものである場合には、ソフトウェアによって各画像処理が施された処理済み画像データを全て画像メモリ11に保存しておくようにしても良い。この場合、ユーザーが画像処理の設定を変更した場合であっても、その変更された画像処理の前段の画像処理が完了した状態から画像処理を再開できるため、処理効率が向上する。ただし、この場合は、画像メモリ11を多数の処理済み画像データが占有してしまうことになるため、大容量の画像メモリ11を搭載しておくことが好ましい。
また上記実施形態においては、操作パネル5が画像処理装置1の装置本体1aに対して着脱可能であり、操作パネル5を装置本体1aから取り外して使用する場合には操作パネル5がタブレット端末などのような携帯型の表示装置6として機能することを説明した。しかし、上記とは逆に、例えば一般的なタブレット端末などのような携帯型の表示装置6に、上述したプログラム23をアプリケーションとしてインストールすることにより、一般的な表示装置6を、画像処理装置1の操作パネル5として機能させるものであっても構わない。
また上記実施形態においては、一例として画像処理装置1が複合機などで構成される場合を例示したが、本発明における画像処理装置は必ずしも複合機に限られるものではない。すなわち、本発明における画像処理装置は、スキャナ機能のみを有するスキャナであっても良いし、プリント機能のみを有するプリンタであっても良い。またFAX送受信機能のみを有するファクシミリ装置であっても構わない。さらに画像処理装置は、コピージョブやプリントジョブ、スキャンジョブ、FAXジョブ以外のジョブを実行する装置であっても構わない。