JP5962251B2 - ドレン回収システム - Google Patents

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この発明は、負荷機器で生成した高温のドレンを密閉型ドレンタンクに回収して、回収したドレンを蒸気ボイラへ供給して利用するドレン回収システムに関する。
従来、ドレンを排出する負荷機器と、負荷機器へ蒸気を供給する蒸気ボイラと、ドレン戻しラインを通して負荷機器から排出されるドレンを貯留し、貯留したドレンをドレン供給ラインを通して蒸気ボイラへ供給する密閉型のドレンタンクとを備えるドレン回収システムは、特許文献1等で知られている。
特開2011−237065号公報
特許文献1のドレン回収システムにおいては、負荷機器が第一圧力のドレンを排出する第一負荷機器と、第一圧力よりも低い第二圧力のドレンを排出する第二負荷機器とがドレンタンクに対して並列に接続される場合、ドレンタンク内の圧力は、低い方の第二負荷機器のドレン圧力に合わせた圧力に調整せざるを得ない。そうした場合、第一負荷機器のドレンがドレンタンクに流入すると、フラッシュ蒸気が発生する。このフラッシュ蒸気の発生は熱ロスに繋がる。
この発明が解決しようとする課題は、ドレン圧力の異なる複数の負荷機器がドレンタンクに接続されてもフラッシュ蒸気の発生を低減することである。
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、ドレンを排出する負荷機器と、前記負荷機器へ蒸気を供給する蒸気ボイラと、ドレン戻しラインを通して前記負荷機器から排出されるドレンを貯留し、貯留したドレンをドレン供給ラインを通して前記蒸気ボイラへ供給する密閉型のドレンタンクとを備えるドレン回収システムであって、
前記負荷機器は、第一圧力のドレンを排出する第一負荷機器と、前記第一負荷機器と並列に接続され前記第一圧力よりも低い第二圧力のドレンを排出する第二負荷機器とを含んで構成され、
前記第二負荷機器のドレン戻しラインに、前記第二負荷機器からのドレンを前記ドレンタンク内へ圧送するドレン圧送手段を備えたことを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、ドレンタンク内の圧力を前記第一負荷機器の排出ドレンの流入によりフラッシュ蒸気の発生を抑制する高い圧力とすることができるので、フラッシュ蒸気の発生を低減できる。
この発明によれば、ドレン圧力の異なる複数の負荷機器がドレンタンクに接続されてもフラッシュ蒸気の発生を低減することができる。
この発明を実施したドレン回収システムの実施例1の概略構成図である。 同実施例1のドレン圧送手段の機能を模式的に説明する概略構成図である。
この発明の実施例1のドレン回収システムを図1および図2に従い説明する。
<実施例1の構成>
この実施例1のドレン回収システム1は、ドレンを排出する負荷機器2(2A,2Bを含む)と、負荷機器2へ蒸気を供給する蒸気ボイラ3と、ドレン戻しライン4(4A,4Bを含む)を通して負荷機器2から排出されるドレンを貯留し、貯留したドレンを、ドレン供給ライン5を通して蒸気ボイラへ供給する密閉型のドレンタンク6と、ドレンタンク6内圧力に応じて開閉する加圧弁としての第一弁V1を有し、蒸気ボイラ3からドレンタンク6へ高圧蒸気を供給する加圧蒸気ライン7を備えている。ドレン戻しライン4には、ノーマルクローズのモータバルブからなるドレン戻し弁としての第二弁V2を備えている。
加圧蒸気ライン7は、蒸気ボイラ(蒸気ボイラの蒸気出口に設けられるスチームヘッダを含む)からドレンタンクへ大気圧を超える圧力の加圧蒸気を供給し、第一弁V1の開閉により、ドレンタンク6内の圧力を後記第一圧力P1よりやや低い第三圧力P3に制御する。
第一弁V1は、機械式に圧力に応答して開閉する弁,または圧力センサにより電気的に開閉するモータバルブなどの弁とする。また、第一弁V1は、供給蒸気量を調整する機能と蒸気を遮断する機能を有する単一の弁とするが、供給蒸気量を調整する弁と、蒸気を遮断する弁とから構成することもできる。
この実施例1の特徴とするところの第一は、負荷機器2が第一圧力P1のドレンを排出する第一負荷機器2Aと、第一負荷機器2Aと並列に接続され第一圧力P1よりも低い第二圧力P2のドレンを排出する第二負荷機器2Bとを含んで構成されているところにある。勿論、負荷機器2は、3以上であってもよい。
また、実施例1の特徴とするところの第二は、第二負荷機器2Bのドレン戻しライン4Bに、第二負荷機器2Bからの排出ドレンをドレンタンク6内へ圧送するドレン圧送手段8を備えたところにある。なお、第一負荷機器2Aのドレン戻しライン4Aには、ドレン圧送手段8でなく、通常用いられるスチームトラップ9を設けている。
ドレン圧送手段8は、第二圧力P2のドレンを第二圧力P2より高い圧力のドレンタンク6内に圧送する(押し込む)の機能(ドレン圧送機能)を有する。この実施例1では、ドレン圧送手段8は、株式会社テイエルブイ製の液体圧送装置GT10を用いている。このドレン圧送手段8は、図2に示すように、密閉容器11と、密閉容器11に接続される給気管12に設けられ、蒸気ボイラ3からの蒸気の導入を制御する給気弁13と、密閉容器11に接続される排気管14に設けられ、密閉容器11内の蒸気の排出を制御する排気弁15と、反密閉容器11方向への流れを阻止する第一逆止弁(チャッキバルブ)16を設けた流入管4B1と、密閉容器11方向への流れを阻止する第二逆止弁(チャッキバルブ)17および主弁19を設けた流出管4B2と、給気弁13,排気弁15および主弁19と機械的連結機構20により連結され、自らの上下動に応じて機械的連結機構20よりこれらの弁13,15,19の開閉を行うフロート21とを含んで構成されている。
ドレン圧送手段8によるドレン圧送機能の概要は、つぎの通りである。密閉容器11内のドレン貯留量が少ない初期状態では、流入管4B1より、第一逆止弁16を通って密閉容器11内にドレンが流入するとフロート21が上昇する。密閉容器11内の蒸気は排気弁14を通って抜ける。密閉容器11内のドレン貯留量の増加によるフロート21の上昇に応じて主弁19が開き、密閉容器11内圧が第二逆止弁17の背圧より高い場合、ドレンは第二逆弁17を通り流出管4B2へ排出される。
密閉容器11内圧<第二逆止弁17の背圧の場合、ドレンが排出されず密閉容器11内に貯留される。ドレンが密閉容器11に溜まり続け、フロート21が上点まで上昇すると、機械的連結機構20の一部を構成するスナップアクション機構(図示省略)のプッシュロッド(図示省略)が急上昇して排気弁15を閉じ、給気弁12を開く。すると、給気弁12から給気された蒸気の圧力により、密閉容器11内圧>第二逆止弁17の背圧となり、第一逆止弁16が閉じ、第二逆弁17が開き、密閉容器11内のドレンを流出管4B2から排出させ、ドレンタンク6へ圧送する。
密閉容器11内ドレンが排出されることにより、フロート21は密閉容器11内水位と共に下降し、下点まで降下すると、前記プッシュロッドは急降下して排気弁15を開き、給気弁13を閉じ、前記初期状態に戻る。
ドレン圧送手段8は、特許第2741303号公報,特許第3360232号公報に記載された上述の構成と類似の液体圧送装置を用いることができる。
図1に戻って、ドレン回収システム1は、補給水ライン22と、補給水タンク23と、ドレン逃がしライン24と、圧力逃がしライン25と、ドレン循環ライン26と、制御手段としての制御器27とを備えている。蒸気ボイラ3は、蒸気を使用する負荷機器2A,2Bへ蒸気供給ライン(符号省略)を通して供給するものである。
ドレンタンク6には、水面計30が気相部同士を連通する第一連通管31と液相部同士を連通する第二連通管32とで接続されている。第一連通管31には、ドレンタンク6内の圧力を検出する圧力検出器としての圧力センサ33を設けている。この圧力センサ33は、ドレンタンク6または水面計30の液相部(または気相部)に設けても良い。また、水面計30には、水面計30内の水位を検出する第一水位検出器としての差圧式の水位センサ34を備えている。
補給水ライン22は、補給水ポンプ35と、補給水タンク23方向の流れを阻止する第三逆止弁36とを有し、大気開放型の補給水タンク23内に貯留された補給水をドレンタンク6へ供給するものである。補給水タンク23には、補給水補充ライン37を備えており、図示省略の水位検出器により補給水タンク23内の水位が設定水位となるように補給水補充ライン37の流量を調整する。
ドレン供給ライン5には、ドレンポンプ38と、ドレンポンプ38方向の流れを阻止する第四逆止弁39とを設けている。そして、ドレン供給ライン5のドレンポンプ38出口側とドレンタンク6との間に、ドレンタンク6内のドレンを循環させる前記ドレン循環ライン26(ドレン供給ライン5の一部を含む)を設けている。ドレン循環ライン26の循環量は、ドレンポンプ38冷却必要な最低限の流量である最小流量(ミニマムフロー)以上としている。
ドレン逃がしライン24は、ドレン戻しライン4の第二弁V2の上流側と補給水タンク23とを接続し、ノーマルオープンのモータバルブからなるドレン逃がし弁としての第三
弁V3を設けている。
圧力逃がしライン25は、ドレンタンク6の気相部と補給水タンク23とを接続し、設定圧以上で開く圧力逃がし弁としての圧力調整弁40と、この圧力調整弁40と並列に接続するモータバルブからなる第四弁V4を設けている。第四弁V4は、圧力センサ33により圧力調整弁の作動圧力(第一作動圧力)より高い作動圧力(第二作動圧力)で開き、第二作動圧力よりディファレンシャル分低い圧力で閉じる。この圧力逃がしライン25は、加圧蒸気ライン7と共に、ドレンタンク6内の圧力を所定の高圧に調整する圧力調整手段を構成している。
制御器27は、圧力センサ33,水位センサ34,ドレンタンク6内圧力を検出する圧力スイッチ41などからの信号を入力して、予め記憶している制御手順に基づき、第一弁V1〜第四弁V4,ドレンポンプ38、補給水ポンプ35などを制御する。
制御器27の制御手順には、ドレンタンク内圧力制御手順,水位・ドレン温度制御手順,ドレン循環ライン26の循環を制御するドレン循環制御手順などが含まれている。ここでは、ドレンタンク内圧力制御手順についてのみ説明する。
ドレンタンク内圧力制御手順は、圧力センサ33が圧力調整弁40の作動圧力(第一作動圧力)より高い第二作動圧力PHを検出すると第四弁V4を開き、圧力スイッチ41が第二作動圧力PHより高い第三作動圧力PHHを検出すると、第四弁V4を閉じ、加圧蒸気ライン7を閉じると共に、第一弁V1を閉じ、第二弁V2を開く手順である。
<実施例1の動作>
この実施例1においては、負荷機器2A,2Bからのドレンのドレンタンク6内への流入を停止したい場合やドレンのドレンタンク6への流入が不可能な場合(ドレンタンク内の高圧異常や水位異常など)には、第二弁V2を閉じ、第三弁V3を開き(第一開閉状態)、負荷機器2A,2Bからドレンタンク6内へのドレンの流入を停止させる。その結果、ドレンタンク6へ流入しようとしたドレンは、ドレン逃がしライン24を通して補給水タンク23へ流入するので、負荷機器2A,2Bの運転の停止を回避できる。
正常運転時には、第二弁V2を開き、第三弁V3を閉じ(第二開閉状態)、負荷機器2A,2Bからのドレンがドレンタンク6内へ流入する。この第二開閉状態において、加圧蒸気ライン7から供給される加圧蒸気によりドレンタンク6内は加圧されている。加圧蒸気の供給は、加圧蒸気ライン7の第一弁V1の開閉により行われ、ドレンタンク6内の圧力は、大気圧より高い所定の第三圧力P3にほぼ保持されている。
第一負荷機器2Aにて生成されたドレンは、第一圧力P1>第三圧力P3であるので、ドレンタンク6内へ流入する。他方、第二負荷機器2Bにて生成されたドレンは、第二圧力P1<第三圧力P3であるので、ドレン圧送手段8が無いとドレンタンク6内へ流入できないが、ドレン圧送手段8のドレン圧送機能によりドレンタンク6内へ圧送される。このドレン圧送手段8によるドレン圧送機能は、前述の通りである。
<実施例1の効果>
ドレン圧送手段8を備えないドレン回収システムでは、ドレンタンク6内の圧力は、低い方の第二負荷機器2Bのドレン圧力P2に合わせた圧力に調整される。すると、第一負荷機器2Aの高圧P1のドレンがドレンタンク6に流入する際に、フラッシュ蒸気が第一負荷機器2Aのみの場合と比較して多く発生する。このフラッシュ蒸気(ドレンタンクの加圧蒸気を含む)は、圧力調整弁40または第四弁V4が開くと、補給水タンク23へ放出される。補給水タンク23は大気開放であるので、放出されたフラッシュ蒸気の熱が大
気中に逃げ、エネルギーロスを生ずることになる。
これに対して、上記の構成を備える実施例1によれば、高い方の第一負荷機器2Aのドレン圧力P1に合わせた第三圧力P3にドレンタンク6内の圧力に調整するので、第一負荷機器2Aの排出ドレンの流入によるフラッシュ蒸気の発生を抑制することができる。その結果、フラッシュ蒸気の発生による熱ロスを低減できる。
この発明は、前記実施例1に限定されるものではなく、ドレン回収システムの構成は、特許文献1に記載のものとすることができる。また、実施例1において、加圧蒸気ライン7を省略したシステムとすることができる。この場合、ドレンタンク6内は、圧力逃がしライン25の圧力調整弁40により第三圧力に相当する所定の高圧に保持される。
1 ドレン回収システム
2 負荷機器
2A 第一負荷機器
2B 第二負荷機器
3 蒸気ボイラ
4,4A,4B ドレン戻しライン
5 ドレン供給ライン
8 ドレン圧送手段

Claims (1)

  1. ドレンを排出する負荷機器と、前記負荷機器へ蒸気を供給する蒸気ボイラと、ドレン戻しラインを通して前記負荷機器から排出されるドレンを貯留し、貯留したドレンをドレン供給ラインを通して前記蒸気ボイラへ供給する密閉型のドレンタンクとを備えるドレン回収システムであって、
    前記負荷機器は、第一圧力のドレンを排出する第一負荷機器と、前記第一負荷機器と並列に接続され前記第一圧力よりも低い第二圧力のドレンを排出する第二負荷機器とを含んで構成され、
    前記第二負荷機器のドレン戻しラインに、前記第二負荷機器からのドレンを前記ドレンタンク内へ圧送するドレン圧送手段を備え
    前記第一負荷機器のドレン戻しラインには、前記ドレン圧送手段ではなくスチームトラップを設けたドレン回収システム。
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