JP5960404B2 - トップシート及びこれを用いた吸収性物品 - Google Patents
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<請求項1記載の発明>
表裏に貫通する繊維突出孔が間隔を空けて多数形成された基層と、
この基層の裏側に配された繊維集合体層と、
前記繊維集合体層における前記繊維突出孔と対応する部分が、前記基層の裏側から前記繊維突出孔を介して表側に突出されて形成された、基層の表側に突出するパイル束と、を備えた、吸収性物品のトップシートにおいて、
前記繊維集合体層を構成する繊維は疎水性繊維であり、前記繊維集合体層のうち、前記パイル束には親水剤が含有されておらず、かつ前記基層の裏側に位置する部分には親水剤が含有されており、
前記パイル束の親水度をHAとし、前記基層の親水度をHBとし、前記繊維集合体層における前記基層の裏側に位置する部分の親水度をHCとしたとき、HA<HB<HCの関係を満足するように構成されている、
ことを特徴とするトップシート。
親水度をこのような大小関係とすることによって、尿等の排泄液が表側から裏側に円滑に移動すると共に逆戻りしにくくなる。もちろん、エンボス加工によらずに凹凸が形成される(パイル束が凸部となり、パイル束間が凹部となる)ことによる利点、及び表面の凹凸形成による利点が損なわれることもない。また、本発明では、主な肌接触部分であるパイル束が液持ちし難くなるため、逆戻り防止効果がより一層のものとなる。また、基層の裏側から親水剤を塗布するだけで、前述の親水度の大小関係を形成でき、製造容易であるという利点ももたらされる。
前記繊維集合体層の構成繊維は溶融されておらず、前記基層が前記繊維集合体層に融着されており、前記基層と前記繊維集合体層とが一体化されている、請求項1記載のトップシート。
前記繊維集合体層は、前記基層に沿って所定方向に連続する連続繊維の束からなり、かつ少なくとも前記パイル束を構成する連続繊維相互が接合されておらず、
前記パイル束の形が、平面視での直径が高さよりも長い形状とされている、請求項1又は2記載のトップシート。
繊維集合体層が不織布、つまり繊維が交絡した線維集合体である場合、これを押し出してパイル束を形成すると、(a)パイル束が硬いものとなる、(b)不織布層におけるパイル束の周囲に大きな皺が寄り、素材が不必要に厚くなる、(c)皺により形成される空隙が表裏方向の液の透過性を低下させる、(d)短繊維不織布の場合、又は長繊維不織布であってもパイル束の押し出しにより繊維が切れた場合、パイル束から繊維端が突出して肌触りがチクチクしたものとなる、といった問題点がある。
これに対して、繊維相互が接合されていない連続繊維の束であると、パイル束が硬くならず、パイル束の周囲に大きな皺が寄ることもなく、従って、素材が不必要に厚くなったり、皺により形成される空隙が表裏方向の液の透過性を低下させたりすることもない。さらに、繊維相互が接合されていないから、力が加えられても繊維が切れにくく、パイル束から繊維端が突出して肌触りがチクチクする事態は起こりにくい。
身体側表面を形成する透液性トップシートと、その裏面側に位置する液不透過性シートと、これら透液性トップシートと液不透過性シートとの間に配置された吸収体と、を備えた吸収性物品において、
前記トップシートとして、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトップシートを備えた、
ことを特徴とする吸収性物品。
前述の各作用効果が奏せられる。
前記トップシートの両側部及びそれらの間の中間部にそれぞれパイル束を有するとともに、両側部におけるパイル束の繊維量が中間部におけるパイル束の繊維量よりも多い、請求項4記載の吸収性物品。
このようにトップシート両側部のパイル束の繊維量を増加することにより、パイル束による堰き止め作用が両側部において高くなるため、いわゆる横漏れ防止効果に優れるようになる。
前記トップシートの両側部における繊維突出孔の面積が、前記トップシートの中間部における繊維突出孔の面積よりも大きい、請求項5記載の吸収性物品。
前述のように特定部位のパイル束の繊維量を増加する場合、単にパイル束の突出長さを長くすることも考えられるが、その場合、パイル束の形状・姿勢が安定し難くなるおそれがあるため、上述のようにパイル束の繊維量を増加する部位では繊維突出孔の面積を相対的に大きくし、パイル束の首部(繊維突出口の部分)を太くして形状・姿勢安定性を高めるのが好ましい。また、このように繊維突出孔の面積に大小を設けると、繊維の突出高さを同じか少ないものとしてもパイル束の繊維量が増加するため、製造が極めて容易となる。
<吸収性物品の例>
図1〜図7はテープタイプ使い捨ておむつの一例を示しており、図中の符号Xはファスニングテープを除いたおむつの全幅を示しており、符号Lはおむつの全長を示しており、断面図中の点模様部分はホットメルト接着剤の塗布部分を示している。
(外装シート)
外装シート12は吸収要素50を支持し、着用者に装着するための部分である。外装シート12は、両側部の前後方向中央部が括れた砂時計形状とされており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。
外装シート12としては不織布が好適であるが、これに限定されない。不織布の種類は特に限定されず、素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付けは10〜50g/m2、特に15〜30g/m2のものが望ましい。
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に液不透過性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この液不透過性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
トップシート30としては後述の吸収性物品用シート状素材80を用いる。
トップシート30を透過した排泄物を吸収体へ移動させ、逆戻りを防ぐために、トップシート30と吸収要素50との間に中間シート(セカンドシートもいわれる)40を設けることができる。この中間シート40は、排泄物を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した排泄物の吸収体からの逆戻りを防止し、トップシート30表面を肌触りを良くするものである。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材を用いることができる。中間シート40はトップシート30に接合するのが好ましく、その接合にヒートエンボスや超音波溶着を用いる場合は、中間シート40の素材はトップシート30と同程度の融点をもつものが好ましい。また、便中の固形分を透過させることを考慮するならば中間シート40に用いる繊維の繊度は5.0〜7.0dtexであるのが好ましいが、トップシート30における液残りが多くなる。これに対して、中間シート40に用いる繊維の繊度が1.0〜2.0dtexであると、トップシート30の液残りは発生し難いが、便の固形分が透過し難くなる。よって、中間シート40に用いる不織布の繊維は繊度が2.0〜5.0dtex程度とするのが好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収要素50の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために、製品の両側に、使用面側に突出(起立)する側部立体ギャザー60、60を設けるのは好ましい。
この側部立体ギャザー60は、実質的に幅方向に連続するギャザーシート62と、このギャザーシート62に前後方向に沿って伸張状態で固定された細長状弾性伸縮部材63とにより構成されている。このギャザーシート62としては撥水性不織布を用いることができ、また弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。弾性伸縮部材は、図1及び図2に示すように各複数本設ける他、各1本設けることができる。
ギャザーシート62の内面は、トップシート30の側部上に幅方向の固着始端を有し、この固着始端から幅方向外側の部分は、液不透過性シート11の側部およびその幅方向外側に位置する外装シート12の側部にホットメルト接着剤などにより固着されている。この固着部分のうち固着始端近傍の幅方向外側において、ギャザーシート62と外装シート12とが対向する部分のシート間に、前後方向に沿って糸ゴム等からなる脚周り弾性伸縮部材64がそれぞれ設けられている。
脚周りにおいては、側部立体ギャザー60の固着始端より幅方向内側は、製品前後方向両端部ではトップシート30上に固定されているものの、その間の部分は非固定の自由部分であり、この自由部分が糸ゴム63の収縮力により起立するようになる。おむつの、装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そして糸ゴム63の収縮力が作用するので、糸ゴム63の収縮力により側部立体ギャザー60が起立して脚周りに密着する。その結果、脚周りからのいわゆる横漏れが防止される。
図示形態と異なり、ギャザーシート62の幅方向内側の部分における前後方向両端部を、幅方向外側の部分から幅方向内側に延在する基端側部分とこの基端側部分の幅方向中央側の端縁から身体側に折り返され幅方向外側に延在する先端側部分とを有する二つ折り状態で固定し、その間の部分を非固定の自由部分とすることもできる。
吸収要素50は、尿や軟便などの液を吸収保持する部分である。吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包装シート58とを有している。包装シート58は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して液不透過性シート11の内面に接着することができる。
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
吸収体56は、高吸収性ポリマー粒子を含むのが好ましく、特に、少なくとも液受け入れ領域において、繊維の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。
吸収体56の上部、下部、及び中間部にSAP粒子が無い、あるいはあってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、繊維の集合体に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散している形態も含まれる。また、一部のSAP粒子が繊維の集合体中に侵入しないでその表面に残存している形態や、一部のSAP粒子が繊維の集合体を通り抜けて包装シート58上にある形態も排除されるものではない。
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
この包装シート58は、図3に示すように、吸収体56の全体を包む形態のほか、その層の裏面及び側面のみを包装するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包装シートの構成要素となる)。必要ならば、吸収体56を、上下2層のシートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
図1、図2及び図5に示されるように、ファスニングテープ13は、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材からなるシート基材の端部がテープ取付部13Cとしておむつに取り付けられており、おむつ側縁から突出する先端側部分であるテープ本体部13Bには腹側に対する係止部13Aとして、メカニカルファスナーのフック材が設けられている。ファスニングテープのテープ取付部は、サイドフラップ部における内側層をなすギャザーシート及び外側層をなす外装シート間に挟まれ、かつホットメルト接着剤により両シート62,30に接着されている。また、フック材13Aはシート基材13Cに接着剤により剥離不能に接合されている。
乳幼児用おむつにおいては、テープ取付部13Cの寸法のうち、おむつの幅方向の長さX1は10〜50mm、特に20〜40mmであるのが好ましく、前後方向長さY1は、20〜100mm、特に40〜80mmであるのが好ましい。また、テープ本体部13Bの寸法のうち、おむつの幅方向の長さは30〜80mm、特に40〜60mmであるのが好ましく、前後方向の長さ(高さ)は20〜70mm、特に25〜50mmであるのが好ましい。なお、ファスニングテープ13の一部または全部が例えば略テーパ形状をなし、前後方向長さや幅方向長さが一定でない場合は、上記数値範囲は平均値にて定める。ファスニングテープ13の形状は、矩形形状などの左右対称形状でもよいが、幅広の取り付け部分と細長状の先端側部分からなる凸型形状であると、先端側部分の摘み部が摘みやすく、かつ左右の基部間の張力が広範囲に作用するため、好ましい。フック材13Aは、その外面側に多数の係合突起を有する。係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。フック材13Aに代えて、ファスニングテープ13の係止部として粘着材層を設けることもできる。
おむつの装着に際しては、背側のサイドフラップ部SFを腹側のサイドフラップ部SFの外側に重ねた状態で、ファスニングテープを腹側F外面の適所に係止する。ファスニングテープ13の係止箇所の位置及び寸法は任意に定めることができる。乳幼児用おむつにおいては、係止箇所は、前後方向20〜80mm、幅方向150〜300mmの矩形範囲とし、その上端縁と腹側上縁との高さ方向離間距離を0〜60mm、特に20〜50mmとし、かつ製品の幅方向中央とするのが好ましい。
ファスニングテープ13は、背側のエンドフラップ部EFと吸収要素50の境界線上にファスニングテープ13のテープ取付部13Cが重なるように取り付けられていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ13の取り付け部分間に働く張力により、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。また、ファスニングテープ13の取り付け部分が、おむつの背側端部(後端部)と離れすぎていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ13のテープ取付部13C間に働く張力がおむつの背側端部にまで及ばないため、おむつの背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすい。従って、背側のエンドフラップ部EFの前後方向長さは、ファスニングテープ13のテープ取付部13Cの前後方向長さと同じか又は短いことが好ましい。
腹側Fにおけるファスニングテープ13の係止箇所には、係止を容易にするためのターゲット有するターゲットシート12Tを設けるのが好ましい。ターゲットシート12Tは、係止部がフック材13Aの場合、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸がプラスチックフィルムや不織布からなるシート基材の表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムからなるシート基材の表面に剥離処理を施したものを用いることができる。 また、腹側Fにおけるファスニングテープ13の係止箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態の外装シート12が不織布からなる場合であって、ファスニングテープ13の係止部がフック材13Aの場合には、ターゲットシート12Tを省略し、フック材13Aを外装シート12の不織布に絡ませて係止することもできる。この場合、ターゲットシート12Tを外装シート12と液不透過性シート11との間に設けてもよい。
エンドフラップ部は、吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収要素50を有しない部分であり、前側の延出部分が腹側エンドフラップ部EFであり、後側の延出部分が背側エンドフラップ部EFである。
背側エンドフラップEFの前後方向長さは、前述の理由によりファスニングテープ13の取り付け部分の前後方向長さと同じか短い寸法とすることが好ましく、また、おむつ背側端部と吸収要素50とが近接しすぎると、吸収要素50の厚みとコシによりおむつ背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすいため、10mm以上とすることが好ましい。
腹側エンドフラップ部EF及び背側エンドフラップ部EFの前後方向長さは、おむつ全体の前後方向長さLの5〜20%程度とするのが好ましく、乳幼児用おむつにおいては、10〜60mm、特に20〜50mmとするのが適当である。
図示形態では、両ファスニングテープ13間に、幅方向に弾性伸縮する帯状の背側伸縮シート70が設けられ、おむつ背側部におけるフィット性を向上させている。背側伸縮シート70の両端部は両ファスニングテープ13の取り付け部分と重なる部位まで延在されているのが好ましいが、幅方向中央側に離間していても良い。背側伸縮シート70の前後方向寸法は、ファスニングテープ13の取り付け部分の前後方向寸法と概ね同じにするのが適当であるが、±20%程度の寸法差はあってもよい。また、図示のように背側伸縮シート70が背側エンドフラップ部EFと吸収要素50の境界線と重なるように配置されていると、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。背側伸縮シート70は、ゴムシート等のシート状弾性部材を用いても良いが、通気性の観点から不織布や紙を用いるのが好ましい。この場合、伸縮不織布のような通気性を有するシート状弾性部材を用いることもできるが、図5に示すように、二枚の不織布等のシート基材71をホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせるとともに、両シート基材71間に有孔のシート状、網状、細長状(糸状又は紐状等)等の弾性伸縮部材72を幅方向に沿って伸張した状態で固定したものが好適に用いられる。この場合におけるシート基材71としては、外装シート12と同様のものを用いることができる。弾性伸縮部材72の伸張率は150〜250%程度であるのが好ましい。また、弾性伸縮部材72として細長状(糸状又は紐状等)のものを用いる場合、太さ420〜1120dtexのものを3〜10mmの間隔72dで5〜15本程度設けるのが好ましい。
本発明では、上述のトップシート30として、図8〜図18に示すような吸収性物品用シート状素材80を用いる。この吸収性物品用シート状素材80は、表裏に貫通する繊維突出孔82が間隔を空けて多数形成された基層81と、この基層81の裏側に配された繊維集合体層83と、繊維集合体層83における繊維突出孔82と対応する部分が、基層81の裏側から繊維突出孔82を介して表側に突出されて形成された、基層81の他方側に突出するパイル束84と、を備えたものである。繊維集合体層83は、先行例と同様に不織布としても良いが、前述のとおり種々の問題点があるため、基層81に沿って所定方向に連続する連続繊維の束からなり、少なくともパイル束84(繊維集合体層83も含めて全体とするのが好ましいが、パイル束84のみでも良い)を構成する連続繊維相互が接合されておらず、個々の繊維が自由に変形可能なものとするのが望ましい。パイル束84は繊維突出孔82による絞られた部分から離れるほど膨らみ、ループ状をなしている。このループパイル束84の先端をカットすれば図14に示すようなカットパイル束84Cを形成することも可能である。このようなカットパイル束84とすることにより、ループパイル束84よりもソフトで軟らかい肌触りが得られる。ただし、ループパイル束84の方が弾力性及び復元性に優れる。もちろん、カットパイル束84とループパイル束84とを混在させても良い。
用語「前後方向(縦方向)」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの腹側部分と背側部分を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に幅方向と直交する方向を意味する。
また、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。
また、用語「パイル束の繊維量」とは、パイル束部分の繊維重量を意味する。
Claims (6)
- 表裏に貫通する繊維突出孔が間隔を空けて多数形成された基層と、
この基層の裏側に配された繊維集合体層と、
前記繊維集合体層における前記繊維突出孔と対応する部分が、前記基層の裏側から前記繊維突出孔を介して表側に突出されて形成された、基層の表側に突出するパイル束と、を備えた、吸収性物品のトップシートにおいて、
前記繊維集合体層を構成する繊維は疎水性繊維であり、前記繊維集合体層のうち、前記パイル束には親水剤が含有されておらず、かつ前記基層の裏側に位置する部分には親水剤が含有されており、
前記パイル束の親水度をHAとし、前記基層の親水度をHBとし、前記繊維集合体層における前記基層の裏側に位置する部分の親水度をHCとしたとき、HA<HB<HCの関係を満足するように構成されている、
ことを特徴とするトップシート。 - 前記繊維集合体層の構成繊維は溶融されておらず、前記基層が前記繊維集合体層に融着されており、前記基層と前記繊維集合体層とが一体化されている、請求項1記載のトップシート。
- 前記繊維集合体層は、前記基層に沿って所定方向に連続する連続繊維の束からなり、かつ少なくとも前記パイル束を構成する連続繊維相互が接合されておらず、
前記パイル束の形が、平面視での直径が高さよりも長い形状とされている、請求項1又は2記載のトップシート。 - 身体側表面を形成する透液性トップシートと、その裏面側に位置する液不透過性シートと、これら透液性トップシートと液不透過性シートとの間に配置された吸収体と、を備えた吸収性物品において、
前記トップシートとして、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトップシートを備えた、
ことを特徴とする吸収性物品。 - 前記トップシートの両側部及びそれらの間の中間部にそれぞれパイル束を有するとともに、両側部におけるパイル束の繊維量が中間部におけるパイル束の繊維量よりも多い、請求項4記載の吸収性物品。
- 前記トップシートの両側部における繊維突出孔の面積が、前記トップシートの中間部における繊維突出孔の面積よりも大きい、請求項5記載の吸収性物品。
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