[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による気体分岐装置について図1及び図2を用いて説明する。図1は、本実施形態による気体分岐装置を示す概略図である。図2は、本実施形態による気体分岐装置の動作を示すフローチャートである。
まず、本実施形態による気体分岐装置の構成について図1を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態による気体分岐装置100は、気体を供給すべき被供給部である複数のバーナー10−1〜10−5に気体を分岐して供給するものである。なお、以下では、バーナー10−1〜10−5が、OVD法により光ファイバ用ガラス微粒子堆積体を製造するためのバーナーである場合を例に説明する。また、バーナーの数は2つ以上の複数であれば特に限定されるものではないが、以下では5つのバーナー10−1〜10−5を用いた場合を例に説明する。
バーナー10−1〜10−5は、互いに同一設計で作製された例えば石英ガラス製のものである。各バーナー10−1〜10−5は、火炎を形成してその火炎中に原料ガスを導入するため、複数の気体が供給されるようになっている。各バーナー10−1〜10−5に供給される複数の気体は、例えば、水素(H2)ガス、酸素(O2)ガス、アルゴン(Ar)ガス、及び原料ガスである。原料ガスには、SiCl4等が含まれる。OVD法では、各バーナー10−1〜10−5において、これらのガスが用いられ、酸水素火炎が形成されるとともに、その酸水素火炎中に原料ガスが導入される。各ガスをバーナー10−1〜10−5に供給する流量は特に限定されるものではないが、H2ガスの流量は、例えば20000〜40000sccmである。O2ガスの流量は、例えば35000〜40000sccmである。Arガスの流量は、例えば3000〜5000sccmである。原料ガスの流量は、例えば3000〜10000sccmである。
なお、以下では、各バーナー10−1〜10−5に供給される複数の気体のうちの1種の気体を供給する構成を例に説明するが、他の気体を各バーナー10−1〜10−5に供給する構成も、以下に説明する構成と同様の構成とすることができる。
バーナー10−1〜10−5の火炎が吹きつけられる長尺棒状の芯材12は、プリフォームとなるガラス微粒子が堆積するものであり、例えばガラスロッドである。芯材12は、その長手方向が水平になるように保持されている。また、芯材12は、その中心軸を回転軸として回転可能に保持されている。芯材12の長さは、特に限定されるものではないが、例えば数メートル、より具体的には例えば1〜2mである。
バーナー10−1〜10−5は、長尺棒状の芯材12の長手方向に沿って等間隔で水平方向に並んで配置されている。なお、本実施形態では5つのバーナー10−1〜10−5を例に説明しているが、例えば、長さ1〜2mの芯材12に対して配置するバーナー数は、5〜30とすることができる。こうしてバーナー10−1〜10−5が等間隔で配置されていることで、バーナー10−1〜10−5による複数の火炎が、等間隔で芯材12に向けて吹きつけられるようになっている。
また、バーナー10−1〜10−5は、芯材12の長手方向に沿って所定の範囲を往復移動可能に構成されている。なお、バーナー10−1〜10−5を往復移動可能に構成することに代えて、芯材12がその長手方向に沿って往復移動可能となるように構成してもよい。
本実施形態による気体分岐装置100は、複数のバーナー10−1〜10−5に供給すべき気体を分岐する分流器14を有している。また、本実施形態による気体分岐装置100は、分流器14に気体を供給する配管系と、分流器14と複数のバーナー10−1〜10−5との間を接続する配管系とを有している。
分流器14は、例えば金属製のものであり、2つの気体導入口14i−1、14i−2と、複数のバーナー10−1〜10−5の数と同数の複数の気体導出口14o−1〜14o−5とを有している。複数の気体導出口14o−1〜14o−5は、一定の配列方向に等間隔に並んで設けられている。分流器14は、複数の気体導出口14o−1〜14o−5の配列方向が例えば芯材12の長手方向と同様に水平になるように配置されている。
なお、分流器14の体積は、特に限定されるものではなく、気体の供給条件等に応じて選定することができるが、例えば1000〜5000cm3である。また、分流器14が2つの気体導入口14i−1、14i−2を有する場合について説明しているが、気体導入口の数は2つに限定されるものではない。気体導入口の数は、1つであっても2つ以上の複数であってもよく、気体の供給条件、分流器14の体積等に応じて適宜変更することができる。
本実施形態による気体分岐装置100は、バーナー10−1〜10−5に供給すべき同種の気体を分流器14に供給するための配管16−1、16−2を有している。配管16−1、16−2の上流端は、バーナー10−1〜10−5に供給すべき気体の供給源(図示せず)に接続されている。配管16−1、16−2には、それぞれMFC18−1、18−2が設けられている。MFC18−1、18−2により、それぞれ配管16−1、16−2内を分流器14に向かって流れる気体の流量を制御することが可能になっている。
分流器14の2つの気体導入口14i−1、14i−2には、それぞれ配管16−1、16−2の下流端が接続されている。
また、分流器14は、複数の配管20−1〜20−5の上流に配置されている。分流器14の複数の気体導出口14o−1〜14o−5には、それぞれ配管20−1〜20−5の上流端が接続されている。分流器14は、複数の気体導出口14o−1〜14o−5への気体の分岐比が均等になるように設計されている。すなわち、分流器14は、配管16−1、16−2から分流器14に導入された気体が、複数の気体導出口14o−1〜14o−5から均等な分岐比でそれぞれ配管20−1〜20−5に導出されるように設計されている。
各配管20−1〜20−5は、それぞれの下流端側で、複数のバーナー10−1〜10−5の数と同数の複数の分岐配管に分岐されている。すなわち、配管20−1は、その下流端側で、分岐配管20−1−1〜20−1−5に分岐されている。配管20−2は、その下流端側で、分岐配管20−2−1〜20−2−5に分岐されている。配管20−3は、その下流端側で、分岐配管20−3−1〜20−3−5に分岐されている。配管20−4は、その下流端側で、分岐配管20−4−1〜20−4−5に分岐されている。配管20−5は、その下流端側で、分岐配管20−5−1〜20−5−5に分岐されている。
配管20−1〜20−5の分岐配管には、それぞれ分岐配管を開閉するエアバルブが設けられている。すなわち、分岐配管20−1−1〜20−1−5には、それぞれエアバルブAV11、AV12、AV13、AV14、AV15が設けられている。分岐配管20−2−1〜20−2−5には、それぞれエアバルブAV21、AV22、AV23、AV24、AV25が設けられている。分岐配管20−3−1〜20−3−5には、それぞれエアバルブAV31、AV32、AV33、AV34、AV35が設けられている。分岐配管20−4−1〜20−4−5には、それぞれエアバルブAV41、AV42、AV43、AV44、AV45が設けられている。分岐配管20−5−1〜20−5−5には、それぞれエアバルブAV51、AV52、AV53、AV54、AV55が設けられている。なお、以下の説明では、これらエアバルブをエアバルブAVxy(ただし、xは1≦x≦5を満たす整数であり、yは1≦y≦5を満たす整数である)と表記することがある。
互いに分岐元の配管が異なる分岐配管20−1−1、20−2−1、20−3−1、20−4−1、20−5−1の下流端には、配管22−1の上流端が共通して接続されている。互いに分岐元の配管が異なる分岐配管20−1−2、20−2−2、20−3−2、20−4−2、20−5−2の下流端には、配管22−2の上流端が共通して接続されている。互いに分岐元の配管が異なる分岐配管20−1−3、20−2−3、20−3−3、20−4−3、20−5−3の下流端には、配管22−3の上流端が共通して接続されている。互いに分岐元の配管が異なる分岐配管20−1−4、20−2−4、20−3−4、20−4−4、20−5−4の下流端には、配管22−4の上流端が共通して接続されている。互いに分岐元の配管が異なる分岐配管20−1−5、20−2−5、20−3−5、20−4−5、20−5−5の下流端には、配管22−5の上流端が共通して接続されている。
配管22−1の下流端はバーナー10−1に接続され、配管22−1からバーナー10−1に気体が供給されるようになっている。配管22−2の下流端はバーナー10−2に接続され、配管22−2からバーナー10−2に気体が供給されるようになっている。配管22−3の下流端はバーナー10−3に接続され、配管22−3からバーナー10−3に気体が供給されるようになっている。配管22−4の下流端はバーナー10−4に接続され、配管22−4からバーナー10−4に気体が供給されるようになっている。配管22−5の下流端はバーナー10−5に接続され、配管22−5からバーナー10−5に気体が供給されるようになっている。
本実施形態による気体分岐装置100は、エアバルブAVxyの開閉を制御する制御部24をさらに有している。制御部24は、種々の演算、制御、判別等の処理を実行するCPU(図示せず)を有している。また、制御部24は、CPUによって実行される様々な制御プログラム、CPUが参照するデータベース等を格納するROM(図示せず)を有している。また、制御部24は、CPUが処理中のデータや入力データ等を一時的に格納するRAM(図示せず)を有している。
制御部24は、バーナー10−1〜10−5の火炎を用いてプリフォームを製造する間、エアバルブAVxyの開閉状態を複数回ランダムに切り替えるように、エアバルブAVxyの開閉を制御する。エアバルブAVxyの開閉状態の切り替えに際して、制御部24は、以下の条件(I)及び(II)が満足されるようにエアバルブAVxyの開閉を制御する。
(I)x=1〜5のそれぞれについて、エアバルブAVx1、AVx2、AVx3、AVx4、AVx5のうち、いずれか1つを開放状態とし、残りを閉鎖状態とする。
(II)y=1〜5のそれぞれについて、エアバルブAV1y、AV2y、AV3y、AV4y、AV5yのうち、いずれか1つを開放状態とし、残りを閉鎖状態とする。
制御部24は、上記エアバルブAVxyの開閉状態の切り替えを所定の時間間隔で実行する。この時間間隔は、特に限定されるものではないが、例えば1〜10分とすることができる。
ガラス微粒子堆積体を製造する間、上記制御部24によるエアバルブAVxyの開閉状態の切り替えにより、分流器14の複数の気体導出口14o−1〜14o−5と、複数のバーナー10−1〜10−5とが1:1に対応して接続されることになる。さらに、バーナー10−1〜10−5に対して接続される分流器14の気体導出口14o−1〜14o−5は、ランダムに切り替えられることになる。
本実施形態による気体分岐装置100では、複数の気体導出口14o−1〜14o−5への気体の分岐比が均等になるように分流器14が設計されている。また、複数の気体導出口14o−1〜14o−5からバーナー10−1〜10−5までの配管抵抗の差が極力小さくなるように設計されている。しかしながら、加工精度や経時変化に起因して、分流器14の分岐比が完全に均等でないことがある。また、加工精度や経時変化に起因して、複数の気体導出口14o−1〜14o−5からバーナー10−1〜10−5までの配管抵抗に差が生じることがある。さらに、バーナー10−1〜10−5の間には、これらが互いに同一設計で作製されているものの、加工精度や経時変化に起因して個体差が存在している。このように、分流器14からバーナー10−1〜10−5までの間には、加工精度や経時変化に起因する部材又は部品のばらつきが存在している。部材又は部品のばらつきが存在したままでは、その影響により、高い均一性で複数のバーナー10−1〜10−5に気体を供給することが困難となる。その結果、芯材12の長手方向に沿って製造されるガラス微粒子堆積体の長手方向における均一性、安定性が損なわれるおそれがある。
これに対し、本実施形態による気体分岐装置100では、制御部24によるエアバルブAVxyの開閉状態の切り替えにより、バーナー10−1〜10−5に対して接続される分流器14の気体導出口14o−1〜14o−5がランダムに切り替えられる。これにより、上記のような加工精度や経時変化に起因する部材又は部品のばらつきによる影響が打ち消されていくため、部材又は部品のばらつきによる影響を低減することができる。したがって、本実施形態によれば、部材又は部品のばらつきによる影響を低減しつつ、高い均一性で複数のバーナー10−1〜10−5に気体を供給することができる。こうして、本実施形態によれば、長手方向おける均一性、安定性に優れたガラス微粒子堆積体を製造することができる。また、バーナーや配管の交換があった場合であっても、交換前と同様の気体の供給状態を高い再現性で再現することができ、長手方向おける均一性、安定性に優れたガラス微粒子堆積体を高い再現性で製造することができる。
次に、本実施形態による気体分岐装置100の動作についてさらに図2を用いて説明する。
気体分岐装置100の動作開始前は、エアバルブAVxyのすべてが閉鎖状態となっている。
まず、気体分岐装置100の動作を開始して、配管16−1、16−2から分流器14に向けて気体を導入する。配管16−1、16−2から気体を導入する間、MFC18−1、18−2は、それぞれ配管16−1、16−2を流れる気体の流量を制御する。
次いで、制御部24により、エアバルブAVxyの開閉を制御する(ステップS11)。これにより、エアバルブAVxyの開閉状態を、上記条件(I)及び(II)を満足する開閉状態とする。エアバルブAVxyの開閉の制御に際し、制御部24は、例えば、乱数又は疑似乱数を生成し、生成した乱数又は疑似乱数に基づき開放状態とするエアバルブを選定して開放状態とし、残りのエアバルブを閉鎖状態とする。
上記のようにエアバルブAVxyの開閉状態を設定したうえで、複数のバーナー10−1〜10−5にそれぞれ気体を供給する(ステップS12)。また、ガラス微粒子堆積体の製造に用いる他の気体についても、同様にして複数のバーナー10−1〜10−5に供給する。
上記のようにして気体が供給される各バーナー10−1〜10−5では、供給される気体のうちの燃料ガスにより火炎が形成されるともに、供給される気体のうちの原料ガスが火炎中に導入される。こうして、原料を含む火炎が、中心軸を回転軸として回転する芯材12に向けて吹きつけられる。これにより、光ファイバのプリフォームとなるガラス微粒子が芯材12上に堆積していく。なお、この間、複数のバーナー10−1〜10−5を芯材12の長手方向に沿って往復移動させてもよい。
上記のようにしてガラス微粒子を芯材12上に堆積する間、芯材12上に堆積されたガラス微粒子の堆積重量をモニタし、モニタされる堆積重量に基づき、ガラス微粒子の堆積を終了するか否かを判定する(ステップS13)。
ガラス微粒子の堆積重量が所定の重量未満であり堆積を終了せずに継続する場合(ステップS13、NO)、エアバルブAVxyの開閉状態を切り替えるべき時間間隔が経過したか否かを判定する(ステップS14)。
エアバルブAVxyの開閉状態を切り替えるべき時間間隔が経過していない場合(ステップS14、NO)、ステップS12に戻り、そのまま各気体を供給しつつ、ガラス微粒子の堆積を継続する。
一方、エアバルブAVxyの開閉状態を切り替えるべき時間間隔が経過した場合(ステップS14、YES)、ステップS11に戻り、再び、制御部24により、エアバルブAVxyの開閉を制御する。これにより、エアバルブAVxyの開閉状態を、上記条件(I)及び(II)を満足する開閉状態にランダムに切り替えたうえで、各気体を供給しつつ、ガラス微粒子の堆積を継続する。エアバルブAVxyの開閉の制御に際し、制御部24は、例えば、乱数又は疑似乱数を生成し、生成した乱数又は疑似乱数に基づき開放状態とするエアバルブを選定して開放状態とし、残りのエアバルブを閉鎖状態とする。
このように、本実施形態によれば、制御部24によるエアバルブAVxyの開閉状態のランダムな切り替えにより、バーナー10−1〜10−5に対して接続される分流器14の気体導出口14o−1〜14o−5がランダムに切り替えられる。これにより、加工精度や経時変化に起因する部材又は部品のばらつきによる影響を低減することができる。
なお、エアバルブAVxyの開閉状態の切り替えは、各気体導出口14o−1〜14o−5から導出される気体が各バーナー10−1〜10−5に供給される時間の積算時間が、バーナー10−1〜10−5の間で等しくなるように行うことが好ましい。これにより、加工精度や経時変化に起因する部材又は部品のばらつきによる影響をさらに低減することができ、より高い均一性で複数のバーナー10−1〜10−5に気体を供給することができる。
一方、ガラス微粒子の堆積重量が所定の重量となっており堆積を終了する場合(ステップS13、YES)、制御部24により、エアバルブAVxyをすべて閉鎖状態とする(ステップS15)。こうして、芯材12上へのガラス微粒子の堆積を終了し、ガラス微粒子の堆積物であるガラス微粒子堆積体を得る。
その後、上記のようにして得られたガラス微粒子堆積体に対して炉中にて脱水及び焼結を行うことにより、プリフォームが得られる。
以上のとおり、本実施形態によれば、高い均一性で複数の被供給部に気体を供給することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による気体分岐装置について説明する。なお、上記第1実施形態による気体分岐装置と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
上記第1実施形態では、エアバルブAVxyの開閉状態を複数回ランダムに切り替えるように、エアバルブAVxyの開閉を制御する場合を例に説明した。しかしながら、エアバルブAVxyの開閉の制御は、エアバルブAVxyの開閉状態を複数回ランダムに切り替えるように行う場合に限定されるものではない。例えば、エアバルブAVxyの開閉状態を複数回規則的に切り替えるように、エアバルブAVxyの開閉を制御してもよい。
本実施形態では、エアバルブAVxyの開閉状態を複数回規則的に切り替えるように、エアバルブAVxyの開閉を制御する場合について説明する。
この場合、例えば、エアバルブAVxyの開閉状態を切り替えるべき所定の時間間隔が経過するごとに、次のように以下の各バルブ群におけるエアバルブAxyの開閉を同期して制御する。
まず、エアバルブAV11〜AV15のバルブ群については、エアバルブAV11、エアバルブAV12、エアバルブAV13、エアバルブAV14、及びエアバルブAV15の順で繰り返し開放状態とする。一方、開放状態としたエアバルブ以外の残りのエアバルブは閉鎖状態とする。
また、エアバルブAV21〜AV25のバルブ群については、エアバルブAV22、エアバルブAV23、エアバルブAV24、エアバルブAV25、及びエアバルブAV21の順で繰り返し開放状態とする。一方、開放状態としたエアバルブ以外の残りのエアバルブは閉鎖状態とする。
また、エアバルブAV31〜AV35のバルブ群については、エアバルブAV33、エアバルブAV34、エアバルブAV35、エアバルブAV31、及びエアバルブAV32の順で繰り返し開放状態とする。一方、開放状態としたエアバルブ以外の残りのエアバルブは閉鎖状態とする。
また、エアバルブAV41〜AV45のバルブ群については、エアバルブAV44、エアバルブAV45、エアバルブAV41、エアバルブAV42、及びエアバルブAV43の順で繰り返し開放状態とする。一方、開放状態としたエアバルブ以外の残りのエアバルブは閉鎖状態とする。
また、エアバルブAV51〜AV55のバルブ群については、エアバルブAV55、エアバルブAV51、エアバルブAV52、エアバルブAV53、及びエアバルブAV54の順で繰り返し開放状態とする。一方、開放状態としたエアバルブ以外の残りのエアバルブは閉鎖状態とする。
上記のように、エアバルブAVxyの開閉状態を、上記条件(I)及び(II)を満足する開閉状態に複数回規則的に切り替えるように、エアバルブAVxyの開閉を制御することもできる。このようなエアバルブAVxyの開閉状態の規則的な切り替えにより、バーナー10−1〜10−5に対して接続される分流器14の気体導出口14o−1〜14o−5が規則的に切り替えられる。このような規則的な切り替えによっても、加工精度や経時変化に起因する部材又は部品のばらつきによる影響を低減することができる。したがって、本実施形態によれば、部材又は部品のばらつきによる影響を低減しつつ、高い均一性で複数のバーナー10−1〜10−5に気体を供給することができる。
なお、この場合も、エアバルブAVxyの開閉状態の切り替えは、各気体導出口14o−1〜14o−5から導出される気体が各バーナー10−1〜10−5に供給される時間の積算時間が、バーナー10−1〜10−5の間で等しくなるように行うことが好ましい。
本発明は、上記第1及び第2実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
例えば、上記第1及び第2実施形態では、5つのバーナー10−1〜10−5に気体を分岐して供給する場合を例に説明したが、バーナーの数は2つ以上の複数であれば特に限定されるものではない。
第1〜第N(ただし、Nは2以上の整数)のバーナーに気体を分岐して供給する場合、分流器は、気体が導出される第1〜第Nの気体導出口を有し、第1〜第Nの気体導出口への気体の分岐比が均等になるように設計されたものとする。また、第1〜第Nの気体導出口には、それぞれ第1〜第Nの配管の上流端が接続されたものとする。また、第1〜第Nの配管のそれぞれは、下流端側で第1〜第Nの分岐配管に分岐されたものとする。さらに、1以上N以下の整数iのそれぞれについて、第1〜第Nの配管の第iの分岐配管が、それぞれ第iのバーナーに共通して接続され、第1〜第Nの配管の第iの分岐配管にバルブがそれぞれ設けられているように構成する。
上記第1〜第Nのバーナーに気体を分岐して供給する場合において、制御部は、次の第1の条件及び第2の条件が満足されるように、バルブの開閉を制御すればよい。すなわち、第1の条件は、1以上N以下の整数jのそれぞれについて、第jの配管の第1〜第Nの分岐配管に設けられたN個のバルブのうち、1つを開放状態とし、残りを閉鎖状態とするものである。また、第2の条件は、1以上N以下の整数kのそれぞれについて、第1〜第Nの配管の第kの分岐配管に設けられたN個のバルブのうち、1つを開放状態とし、残りを閉鎖状態とするものである。
また、上記第1及び第2実施形態では、気体が供給される複数の被供給部としてバーナー10−1〜10−5を例に説明したが、被供給部はバーナーに限定されるものではない。被供給部は、供給される気体を用いて製品の製造、被加工品に対する加工等の何らかの処理を行うものであればよい。
また、上記第1及び第2実施形態では、被供給部としてのバーナー10−1〜10−5が長尺の対象物である芯材12の長手方向に沿って配置された場合を例に説明したが、複数の被供給部は、必ずしも対象物の長手方向に沿って配置されたものである必要はない。
また、上記第1及び第2実施形態では、エアバルブAVxyを用いた場合を例に説明したが、エアバルブに代えて、制御部24により開閉が制御可能な種々のバルブを用いることができる。例えば、エアバルブに代えて、電磁バルブ等を用いることができる。
また、上記第1及び第2実施形態では、芯材12をその長手方向が水平になるように保持する場合を例に説明したが、芯材12を保持する態様はこれに限定されるものではない。例えば、芯材12をその長手方向が鉛直になるように保持してもよい。この場合、バーナー10−1〜10−5は、鉛直に配置された芯材12の長手方向に沿って等間隔に配置することができる。また、分流器14は、上記と同様に複数の気体導出口14o−1〜14o−5の配列方向が水平になるように配置してもよいし、複数の気体導出口14o−1〜14o−5の配列方向が鉛直になるように配置することもできる。
また、上記第1及び第2実施形態は、分流器を用いない場合や分流器の分岐比が均等でない場合にも適用可能である。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による気体分岐装置について図3及び図4を用いて説明する。図3は、本実施形態による気体分岐装置を示す概略図である。図4は、本実施形態による気体分岐装置の動作を示すフローチャートである。
まず、本実施形態による気体分岐装置の構成について図3を用いて説明する。
図3に示すように、本実施形態による気体分岐装置1100は、気体を供給すべき被供給部である複数のバーナー110−1〜110−3に気体を分岐して供給するものである。なお、以下では、バーナー110−1〜110−3が、OVD法により光ファイバ用ガラス微粒子堆積体を製造するためのバーナーである場合を例に説明する。また、バーナーの数は2つ以上の複数であれば特に限定されるものではないが、以下では3つのバーナー110−1〜110−3を用いた場合を例に説明する。
バーナー110−1〜110−3は、互いに同一設計で作製された例えば石英ガラス製のものである。各バーナー110−1〜110−3は、火炎を形成してその火炎中に原料ガスを導入するため、複数の気体が供給されるようになっている。各バーナー110−1〜110−3に供給される複数の気体は、例えば、水素(H2)ガス、酸素(O2)ガス、アルゴン(Ar)ガス、及び原料ガスである。原料ガスには、SiCl4等が含まれる。OVD法では、各バーナー110−1〜110−3において、これらのガスが用いられ、酸水素火炎が形成されるとともに、その酸水素火炎中に原料ガスが導入される。各ガスをバーナー110−1〜110−3に供給する流量は特に限定されるものではないが、H2ガスの流量は、例えば20000〜40000sccmである。O2ガスの流量は、例えば35000〜40000sccmである。Arガスの流量は、例えば3000〜5000sccmである。原料ガスの流量は、例えば3000〜10000sccmである。
なお、以下では、各バーナー110−1〜110−3に供給される複数の気体のうちの1種の気体を供給する構成を例に説明するが、他の気体を各バーナー110−1〜110−3に供給する構成も、以下に説明する構成と同様の構成とすることができる。
バーナー110−1〜110−3の火炎が吹きつけられる長尺棒状の芯材112は、プリフォームとなるガラス微粒子が堆積するものであり、例えばガラスロッドである。芯材112は、その長手方向が鉛直になるように保持されている。また、芯材112は、その中心軸を回転軸として回転可能に保持されている。芯材112の長さは、特に限定されるものではないが、例えば数メートル、より具体的には例えば1〜2mである。
芯材112が大型化して長尺になり又は重くなると、芯材112をその長手方向が水平になるように保持したのでは、芯材112に撓みが生じる。この結果、長手方向に均一性を確保してガラス微粒子堆積体を製造することが困難になる。本実施形態では、芯材112がその長手方向が鉛直になるように保持されるため、芯材112における撓みの発生を抑制することができる。
バーナー110−1〜110−3は、長尺棒状の芯材112の長手方向に沿って等間隔で鉛直方向に並んで配置されている。なお、本実施形態では3つのバーナー110−1〜110−3を例に説明しているが、例えば、長さ1〜2mの芯材112に対して配置するバーナー数は、5〜30とすることができる。こうしてバーナー110−1〜110−3が等間隔で配置されていることで、バーナー110−1〜110−3による複数の火炎が、等間隔で芯材112に向けて吹きつけられるようになっている。
また、バーナー110−1〜110−3は、芯材112の長手方向に沿って所定の範囲を往復移動可能に構成されている。なお、バーナー110−1〜110−3を往復移動可能に構成することに代えて、芯材112がその長手方向に沿って往復移動可能となるように構成してもよい。
本実施形態による気体分岐装置1100は、複数のバーナー110−1〜110−3に供給すべき気体を分岐する複数の分流器114−1〜114−3を有している。また、本実施形態による気体分岐装置1100は、複数の分流器114−1〜114−3に気体を供給する配管系と、複数の分流器114−1〜114−3と複数のバーナー110−1〜110−3との間を接続する配管系とを有している。
分流器114−1〜114−3は、それぞれ例えば金属製のものであり、互いに同一設計で作製されたものである。
分流器114−1は、2つの気体導入口114−1i−1、114−1i−2と、複数のバーナー110−1〜110−3の数と同数の複数の気体導出口114−1o−1〜114−1o−3とを有している。複数の気体導出口114−1o−1〜114−1o−3は、一定の配列方向に等間隔に並んで設けられている。
分流器114−2は、2つの気体導入口114−2i−1、114−2i−2と、複数のバーナー110−1〜110−3の数と同数の複数の気体導出口114−2o−1〜114−2o−3とを有している。複数の気体導出口114−2o−1〜114−2o−3は、一定の配列方向に等間隔に並んで設けられている。
分流器114−3は、2つの気体導入口114−3i−1、114−3i−2と、複数のバーナー110−1〜110−3の数と同数の複数の気体導出口114−3o−1〜114−3o−3とを有している。複数の気体導出口114−3o−1〜114−3o−3は、一定の配列方向に等間隔に並んで設けられている。
分流器114−1〜114−3は、上側から下側にこの順に鉛直に並んで配置されている。鉛直に並んで配置された分流器114−1〜114−3では、複数の気体導出口114−1o−1〜114−1o−3、114−2o−1〜114−2o−3、114−3o−1〜114−3o−3の配列方向が、芯材112の長手方向と同様に鉛直になっている。
上記のように分流器114−1〜114−3が配置されているため、分流器114−1〜114−3の複数の気体導出口は高さ位置が異なり、これらの間には高低差が存在している。すなわち、分流器114−1では、気体導出口114−1o−1が上段、気体導出口114−1o−2が中段、気体導出口114−1o−3が下段に位置している。分流器114−2では、気体導出口114−2o−1が上段、気体導出口114−2o−2が中段、気体導出口114−2o−3が下段に位置している。分流器114−3では、気体導出口114−3o−1が上段、気体導出口114−3o−2が中段、気体導出口114−3o−3が下段に位置している。
なお、分流器114−1〜114−3の体積は、特に限定されるものではなく、気体の供給条件等に応じて選定することができるが、例えば1000〜5000cm3である。また、分流器114−1〜114−3がそれぞれ2つの気体導入口を有する場合について説明しているが、気体導入口の数は2つに限定されるものではない。気体導入口の数は、1つであっても2つ以上の複数であってもよく、気体の供給条件、分流器114−1〜114−3の体積等に応じて適宜変更することができる。
本実施形態による気体分岐装置1100は、バーナー110−1〜110−3に供給すべき同種の気体を分流器114−1〜114−3に供給するための配管116−1、116−2を有している。配管116−1、116−2の上流端は、バーナー110−1〜110−3に供給すべき気体の供給源(図示せず)に接続されている。配管116−1、116−2には、それぞれMFC118−1、118−2が設けられている。MFC118−1、118−2により、それぞれ配管116−1、116−2内を分流器114−1〜114−3に向かって流れる気体の流量を制御することが可能になっている。
配管116−1、116−2は、それぞれの下流端側で、分流器114−1〜114−3の数と同数の複数の分岐配管に分岐されている。すなわち、配管116−1は、その下流端側で、分岐配管116−1−1〜116−1−3に分岐されている。配管116−2は、その下流端側で、分岐配管116−2−1〜116−2−3に分岐されている。
分流器114−1の2つの気体導入口114−1i−1、114−1i−2には、それぞれ分岐配管116−1−1、116−2−1の下流端が接続されている。分流器114−2の2つの気体導入口114−2i−1、114−2i−2には、それぞれ分岐配管116−1−2、116−2−2の下流端が接続されている。分流器114−3の2つの気体導入口114−3i−1、114−3i−2には、それぞれ分岐配管116−1−3、116−2−3の下流端が接続されている。
配管116−1、116−2の分岐配管には、それぞれ分岐配管を開閉するエアバルブが設けられている。すなわち、分岐配管116−1−1、116−2−1には、それぞれエアバルブBV11、BV12が設けられている。分岐配管116−1−2、116−2−2には、それぞれエアバルブBV21、BV22が設けられている。分岐配管116−1−3、116−2−3には、それぞれエアバルブBV31、BV32が設けられている。なお、以下の説明では、これらエアバルブをエアバルブBVxy(ただし、xは1≦x≦3を満たす整数であり、yは1又は2である)と表記することがある。
また、分流器114−1の複数の気体導出口114−1o−1〜114−1o−3には、それぞれ配管120−1−1〜120−1−3の上流端が接続されている。分流器114−1は、複数の気体導出口114−1o−1〜114−1o−3への気体の分岐比が均等になるように設計されている。すなわち、分流器114−1は、分岐配管116−1−1、116−2−1から分流器114−1に導入された気体が、複数の気体導出口114−1o−1〜114−1o−3から均等な分岐比でそれぞれ配管120−1−1〜120−1−3に導出されるように設計されている。
配管120−1−1〜120−1−3には、それぞれチャッキバルブ(逆止弁)CV11、CV12、CV13が設けられている。チャッキバルブCV11、CV12、CV13は、それぞれ配管120−1−1〜120−1−3における気体の下流側から上流側である分流器114−1側への逆流を防止するものである。なお、チャッキバルブCV11、CV12、CV13に代えて、気体導入側のエアバルブBV11、BV12と同期して開閉するエアバルブをそれぞれ設けてもよい。
また、分流器114−2の複数の気体導出口114−2o−1〜114−2o−3には、それぞれ配管120−2−1〜120−2−3の上流端が接続されている。分流器114−2は、複数の気体導出口114−2o−1〜114−2o−3への気体の分岐比が均等になるように設計されている。すなわち、分流器114−2は、分岐配管116−1−2、116−2−2から分流器114−2に導入された気体が、複数の気体導出口114−2o−1〜114−2o−3から均等な分岐比でそれぞれ配管120−2−1〜120−2−3に導出されるように設計されている。
配管120−2−1〜120−2−3には、それぞれチャッキバルブCV21、CV22、CV23が設けられている。チャッキバルブCV21、CV22、CV23は、それぞれ配管120−2−1〜120−2−3における気体の下流側から上流側である分流器114−2側への逆流を防止するものである。なお、チャッキバルブCV21、CV22、CV23に代えて、気体導入側のエアバルブBV21、BV22と同期して開閉するエアバルブをそれぞれ設けてもよい。
また、分流器114−3の複数の気体導出口114−3o−1〜114−3o−3には、それぞれ配管120−3−1〜120−3−3の上流端が接続されている。分流器114−3は、複数の気体導出口114−3o−1〜114−3o−3への気体の分岐比が均等になるように設計されている。すなわち、分流器114−3は、分岐配管116−1−3、116−2−3から分流器114−3に導入された気体が、複数の気体導出口114−3o−1〜114−3o−3から均等な分岐比でそれぞれ配管120−3−1〜120−3−3に導出されるように設計されている。
配管120−3−1〜120−3−3には、それぞれチャッキバルブCV31、CV32、CV33が設けられている。チャッキバルブCV31、CV32、CV33は、それぞれ配管120−3−1〜120−3−3における気体の下流側から上流側である分流器114−3側への逆流を防止するものである。なお、チャッキバルブCV31、CV32、CV33に代えて、気体導入側のエアバルブBV31、BV32と同期して開閉するエアバルブをそれぞれ設けてもよい。
なお、以下の説明では、上記のチャッキバルブをチャッキバルブCVmn(ただし、mは1≦m≦3を満たす整数であり、nは1≦n≦3を満たす整数である)と表記することがある。
配管120−1−1、120−2−2、120−3−3の下流端には、配管122−1の上流端が共通して接続されている。これら配管120−1−1、120−2−2、120−3−3は、分流器における高低差が異なる気体導出口に接続されている。すなわち、配管120−1−1は上段の気体導出口114−1o−1に接続され、配管120−2−2は中段の気体導出口114−2o−2に接続され、配管120−3−3は下段の気体導出口114−3o−3に接続されている。
配管120−1−3、120−2−1、120−3−2の下流端には、配管122−2の上流端が共通して接続されている。これら配管120−1−3、120−2−1、120−3−2は、分流器における高低差が異なる気体導出口に接続されている。すなわち、配管120−1−3は下段の気体導出口114−1o−3に接続され、配管120−2−1は上段の気体導出口114−2o−1に接続され、配管120−3−2は中段の気体導出口114−3o−2に接続されている。
配管120−1−2、120−2−3、120−3−1の下流端には、配管122−3の上流端が共通して接続されている。これら配管120−1−2、120−2−3、120−3−1は、分流器における高低差が異なる気体導出口に接続されている。すなわち、配管120−1−2は中段の気体導出口114−1o−2に接続され、配管120−2−3は下段の気体導出口114−2o−3に接続され、配管120−3−1は上段の気体導出口114−3o−1に接続されている。
配管122−1の下流端はバーナー110−1に接続され、配管122−1からバーナー110−1に気体が供給されるようになっている。配管122−2の下流端はバーナー110−2に接続され、配管122−2からバーナー110−2に気体が供給されるようになっている。配管122−3の下流端はバーナー110−3に接続され、配管122−3からバーナー110−3に気体が供給されるようになっている。
こうして、複数の分流器114−1〜114−3のそれぞれの複数の気体導出口が、複数のバーナー110−1〜110−3のいずれかに配管により1:1で接続されている。すなわち、分流器114−1の気体導出口114−1o−1は、配管120−1−1、122−1を介してバーナー110−1に接続されている。分流器114−1の気体導出口114−1o−2は、配管120−1−2、122−3を介してバーナー110−3に接続されている。分流器114−1の気体導出口114−1o−3は、配管120−1−3、122−2を介してバーナー110−2に接続されている。分流器114−2の気体導出口114−2o−1は、配管120−2−1、122−2を介してバーナー110−2に接続されている。分流器114−2の気体導出口114−2o−2は、配管120−2−2、122−1を介してバーナー110−1に接続されている。分流器114−2の気体導出口114−2o−3は、配管120−2−3、122−3を介してバーナー110−3に接続されている。分流器114−3の気体導出口114−3o−1は、配管120−3−1、122−3を介してバーナー110−3に接続されている。分流器114−3の気体導出口114−3o−2は、配管120−3−2、122−2を介してバーナー110−2に接続されている。分流器114−3の気体導出口114−3o−3は、配管120−3−3、122−1を介してバーナー110−1に接続されている。
本実施形態による気体分岐装置1100は、エアバルブBVxyの開閉を制御する制御部124をさらに有している。制御部124は、種々の演算、制御、判別等の処理を実行するCPU(図示せず)を有している。また、制御部124は、CPUによって実行される様々な制御プログラム、CPUが参照するデータベース等を格納するROM(図示せず)を有している。また、制御部124は、CPUが処理中のデータや入力データ等を一時的に格納するRAM(図示せず)を有している。
制御部124は、バーナー110−1〜110−3の火炎を用いてガラス微粒子堆積体を製造する間、気体の分岐に使用する分流器を分流器114−1〜114−3のいずれかに複数回ランダムに切り替えるように、エアバルブBVxyの開閉を制御する。使用する分流器の切り替えに際して、制御部124は、分流器114−1に対するエアバルブBV11、BV12の開閉を同期して制御する。また、分流器114−2に対するエアバルブBV21、BV22の開閉を同期して制御する。また、分流器114−3に対するエアバルブBV31、BV32の開閉を同期して制御する。また、制御部124は、これら同期して制御するエアバルブBV11、BV12の組、エアバルブBV21、BV22の組、及びエアバルブBV31、BV32の組のうち、いずれか1組を開放状態とし、残りの組を閉鎖状態とする。
制御部124は、上記使用する分流器の切り替えを所定の時間間隔で実行する。この時間間隔は、特に限定されるものではないが、例えば1〜10分とすることができる。
ガラス微粒子堆積体を製造する間、上記制御部124による分流器の切り替えにより、複数のバーナー110−1〜110−3に供給する気体を分岐するために分流器114−1〜114−3のいずれか1つが使用され、使用される分流器がランダムに切り替えられる。
使用される分流器が異なると、複数のバーナー110−1〜110−3に気体を供給する分流器の気体導出口の高さ位置が異なることになる。すなわち、分流器114−1が使用されると、バーナー110−1には上段の気体導出口114−1o−1から、バーナー110−2には下段の気体導出口114−1o−3から、バーナー110−3には中段の気体導出口114−1o−2から気体が供給されることになる。分流器114−2が使用されると、バーナー110−1には中段の気体導出口114−2o−2から、バーナー110−2には上段の気体導出口114−2o−1から、バーナー110−3には下段の気体導出口114−2o−3から気体が供給される。分流器114−3が使用されると、バーナー110−1には下段の気体導出口114−3o−3から、バーナー110−2には中段の気体導出口114−3o−2から、バーナー110−3には上段の気体導出口114−3o−1から気体が供給される。
ガラス微粒子堆積体の製造に際して分流器により気体を分岐して複数のバーナーに供給する場合、製造すべきガラス微粒子堆積体が大型化すると、分流器自体も大型化し、分流器による分岐数を増加する必要が生じる。また、芯材をその長手方向が水平になるように保持したのでは、芯材及びガラス微粒子堆積体の重量の増加によりこれらに撓みが生じることになる。このような撓みを抑制するため、芯材をその長手方向が鉛直になるように保持する必要がある。また、この場合、分流器の複数の気体導出口と複数のバーナーとの間の配管距離差及びこれに伴う配管抵抗差を最小限に抑えるため、複数の気体導出口の配列方向が鉛直になるように分流器を縦向きに配置する必要もある。
しかしながら、上記のように分流器を縦向きに配置すると、重力の影響により分流器内において高さ位置で圧力差が生じ、その結果、複数の気体導出口への分岐比に差が生じることがある。特に、原料ガス等の比較的に比重が大きい気体の場合、重力の影響を受けやすいため、分岐比に差が生じやすい。このように分流器の分岐比に差が生じていたのでは、高い均一性で複数のバーナーに気体を供給することが困難となる。その結果、芯材の長手方向に沿って製造されるガラス微粒子堆積体の長手方向における均一性、安定性が損なわれるおそれがある。
これに対し、本実施形態による気体分岐装置1100では、制御部124により、気体の分岐に使用される分流器が、分流器114−1〜114−3のいずれか1つにランダムに切り替えられる。使用される分流器が異なると、上述のように、複数のバーナー110−1〜110−3に気体を供給する分流器の気体導出口の高さ位置が異なることになる。これにより、上記のような分流器による気体の分岐に対する重力による影響が打ち消されていくため、重力による影響を低減することができる。
また、本実施形態による気体分岐装置1100では、複数の気体導出口への気体の分岐比が均等になるように複数の分流器114−1〜114−3のそれぞれが設計されている。また、複数の気体導出口からバーナー110−1〜110−3までの配管抵抗の差が極力小さくなるように設計されている。しかしながら、加工精度や経時変化に起因して、分流器114−1〜114−3の分岐比が完全に均等でないことがある。また、加工精度や経時変化に起因して、複数の気体導出口からバーナー110−1〜110−3までの配管抵抗に差が生じることがある。さらに、バーナー110−1〜110−3の間には、これらが互いに同一設計で作製されているものの、加工精度や経時変化に起因して個体差が存在している。このように、分流器114−1〜114−3からバーナー110−1〜110−3までの間には、加工精度や経時変化に起因する部材又は部品のばらつきが存在している。部材又は部品のばらつきが存在したままでは、高い均一性で複数のバーナー110−1〜110−3に気体を供給することが困難となり、その結果、芯材112の長手方向に沿って製造されるガラス微粒子堆積体の長手方向における均一性、安定性が損なわれるおそれがある。
これに対し、本実施形態による気体分岐装置1100では、上述のように、制御部124により、気体の分岐に使用される分流器がランダムに切り替えられる。これにより、上記のような加工精度や経時変化に起因する部材又は部品のばらつきによる影響が打ち消されていくため、部材又は部品のばらつきによる影響を低減することができる。
以上より、本実施形態によれば、重力による影響及び部材又は部品のばらつきによる影響を低減しつつ、高い均一性で複数のバーナー110−1〜110−3に気体を供給することができる。こうして、本実施形態によれば、長手方向おける均一性、安定性に優れたガラス微粒子堆積体を製造することができる。また、バーナーや配管の交換があった場合であっても、交換前と同様の気体の供給状態を高い再現性で再現することができ、長手方向おける均一性、安定性に優れたガラス微粒子堆積体を高い再現性で製造することができる。
次に、本実施形態による気体分岐装置1100の動作についてさらに図4を用いて説明する。
気体分岐装置1100の動作開始前は、エアバルブBVxyのすべてが閉鎖状態となっている。
まず、気体分岐装置1100の動作を開始して、配管116−1、116−2から分流器114−1〜114−3に向けて気体を導入する。配管116−1、116−2から気体を導入する間、MFC118−1、118−2は、それぞれ配管116−1、116−2を流れる気体の流量を制御する。
次いで、制御部124により、エアバルブBVxyの開閉を制御する。これにより、エアバルブBV11、BV12の組、エアバルブBV21、BV22の組、及びエアバルブBV31、BV32の組のうち、いずれか1組を開放状態とし、残りの組を閉鎖状態とする。エアバルブBVxyの開閉の制御に際し、制御部124は、例えば、乱数又は疑似乱数を生成し、生成した乱数又は疑似乱数に基づき開放状態とするエアバルブの組を選定して開放状態とし、残りのエアバルブの組を閉鎖状態とする。こうして、分流器114−1〜114−3のいずれか1つを、気体の分岐に使用する分流器に設定する(ステップS111)。
上記のように気体の分岐に使用する分流器を設定したうえで、設定した分流器により気体を分岐して、複数のバーナー110−1〜110−3にそれぞれ気体を供給する(ステップS112)。なお、分流器114−1〜114−3に対しては気体導出側にチャッキバルブCVmnがそれぞれ設けられているため、気体の分岐に使用していない分流器に気体が逆流することはない。また、ガラス微粒子堆積体の製造に用いる他の気体についても、同様にして複数のバーナー110−1〜110−3に供給する。
上記のようにして気体が供給される各バーナー110−1〜110−3では、供給される気体のうちの燃料ガスにより火炎が形成されるともに、供給される気体のうちの原料ガスが火炎中に導入される。こうして、原料を含む火炎が、中心軸を回転軸として回転する芯材112に向けて吹きつけられる。これにより、光ファイバのプリフォームとなるガラス微粒子が芯材112上に堆積していく。なお、この間、複数のバーナー110−1〜110−3を芯材112の長手方向に沿って往復移動させてもよい。
上記のようにしてガラス微粒子を芯材112上に堆積する間、芯材112上に堆積されたガラス微粒子の堆積重量をモニタし、モニタされる堆積重量に基づき、ガラス微粒子の堆積を終了するか否かを判定する(ステップS113)。
ガラス微粒子の堆積重量が所定の重量未満であり堆積を終了せずに継続する場合(ステップS113、NO)、気体の分岐に使用する分流器を切り替えるべき時間間隔が経過したか否かを判定する(ステップS114)。
気体の分岐に使用する分流器を切り替えるべき時間間隔が経過していない場合(ステップS114、NO)、ステップS112に戻り、そのまま各気体を供給してガラス微粒子の堆積を継続する。
一方、気体の分岐に使用する分流器を切り替えるべき時間間隔が経過した場合(ステップS114、YES)、ステップS111に戻り、再び、制御部124により、エアバルブBVxyの開閉を制御する。これにより、エアバルブBV11、BV12の組、エアバルブBV21、BV22の組、及びエアバルブBV31、BV32の組のうち、いずれか1組を開放状態とし、残りの組を閉鎖状態とする。エアバルブBVxyの開閉の制御に際し、制御部124は、例えば、乱数又は疑似乱数を生成し、生成した乱数又は疑似乱数に基づき開放状態とするエアバルブの組を選定して開放状態とし、残りのエアバルブの組を閉鎖状態とする。こうして、再度気体の分岐に使用する分流器を設定することにより、気体の分岐に使用する分流器をランダムに切り替えたうえで、各気体を供給しつつ、ガラス微粒子の堆積を継続する。
このように、本実施形態によれば、制御部124による分流器のランダムな切り替えにより、バーナー110−1〜110−3に対して接続される分流器の気体導出口の高さ位置がランダムに切り替えられる。これにより、分流器の分岐比に対する重力による影響を低減することができる。また、加工精度や経時変化に起因する部材又は部品のばらつきによる影響を低減することもできる。
なお、気体の分岐に使用する分流器の切り替えは、各分流器114−1〜114−3が気体の分岐に使用される時間の積算時間が互いに等しくなるように行うことが好ましい。これにより、重力による影響及び加工精度や経時変化に起因する部材又は部品のばらつきによる影響をさらに低減することができ、より高い均一性で複数のバーナー110−1〜110−3に気体を供給することができる。
一方、ガラス微粒子の堆積重量が所定の重量となっており堆積を終了する場合(ステップS113、YES)、制御部124により、エアバルブBVxyをすべて閉鎖状態とする(ステップS115)。こうして、芯材112上へのガラス微粒子の堆積を終了し、ガラス微粒子の堆積物であるガラス微粒子堆積体を得る。
その後、上記のようにして得られたガラス微粒子堆積体に対して炉中にて脱水及び焼結を行うことにより、プリフォームが得られる。
以上のとおり、本実施形態によれば、高い均一性及び高い再現性で複数の被供給部に気体を供給することができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による気体分岐装置について説明する。なお、上記第3実施形態による気体分岐装置と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
上記第3実施形態では、気体の分岐に使用する分流器を複数回ランダムに切り替えるように、エアバルブBVxyの開閉を制御する場合を例に説明した。しかしながら、エアバルブBVxyの開閉の制御は、気体の分岐に使用する分流器を複数回ランダムに切り替えるように行う場合に限定されるものではない。例えば、気体の分岐に使用する分流器を複数回規則的に切り替えるように、エアバルブBVxyの開閉を制御してもよい。
本実施形態では、気体の分岐に使用する分流器を複数回規則的に切り替えるように、エアバルブBVxyの開閉を制御する場合について説明する。
この場合、例えば、気体の分岐に使用する分流器を切り替えるべき所定の時間間隔が経過するごとに、エアバルブBV11、BV12の組、エアバルブBV21、BV22の組、及びエアバルブBV31、BV32の組の順で繰り返し開放状態とする。一方、開放状態とした組以外の残りの組は閉鎖状態とする。こうして、気体の分岐に使用する分流器が、分流器114−1、分流器114−2、分流器114−3の順で順次繰り返して切り替えられる。
上記のように、気体の分岐に使用する分流器を複数回規則的に切り替えるように、エアバルブBVxyの開閉を制御することもできる。このような規則的な切り替えによっても、重力による影響及び部材又は部品のばらつきによる影響を低減することができる。したがって、本実施形態によれば、重力による影響及び部材又は部品のばらつきによる影響を低減しつつ、高い均一性で複数のバーナー110−1〜110−3に気体を供給することができる。
なお、この場合も、気体の分岐に使用する分流器の切り替えは、各分流器114−1〜114−3が気体の分岐に使用される時間の積算時間が互いに等しくなるように行うことが好ましい。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による気体分岐装置について説明する。なお、上記第3及び第4実施形態による気体分岐装置と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
上記第3及び第4実施形態では、複数の分流器114−1〜114−3が鉛直に並んで配置された場合を例に説明した。この場合、複数の気体導出口114−1o−1〜114−1o−3、114−2o−1〜114−2o−3、114−3o−1〜114−3o−3の配列方向が、芯材112の長手方向と同様に鉛直になっていた。しかしながら、複数の分流器114−1〜114−3を配置される態様は、鉛直に並んで配置される場合に限定されるものではない。例えば、複数の分流器114−1〜114−3は水平に並んで配置されていてもよい。
本実施形態では、複数の分流器114−1〜114−3が水平に配置された場合について説明する。
この場合、水平に並んで配置された分流器114−1〜114−3では、複数の気体導出口114−1o−1〜114−1o−3、114−2o−1〜114−2o−3、114−3o−1〜114−3o−3の配列方向が水平になっている。
なお、芯材112は、第3及び第4実施形態と同様に、その長手方向を鉛直になるように保持されている。
上記のように、複数の分流器114−1〜114−3が水平に配置された本実施形態においても、第3及び第4実施形態と同様に、制御部124により、気体の分岐に使用される分流器がランダムに切り替えられる。これにより、上記のような加工精度や経時変化に起因する部材又は部品のばらつきによる影響を低減することができる。したがって、本実施形態によれば、部材又は部品のばらつきによる影響を低減しつつ、高い均一性で複数のバーナー110−1〜110−3に気体を供給することができる。
本発明は、上記第3乃至第5実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
例えば、上記第3乃至第5実施形態では、3つのバーナー110−1〜110−3に気体を分岐して供給する場合を例に説明したが、バーナーの数は2つ以上の複数であれば特に限定されるものではない。また、3つの分流器114−1〜114−3を気体分岐装置1100が有する場合を例に説明したが、分流器の数は2つ以上の複数であれば特に限定されるものではない。ただし、装置の複雑化を回避するため、分流器の数は10以下であることが好ましい。
第1〜第N(ただし、Nは2以上の整数)のバーナーに気体を分岐して供給する場合、気体が分岐されて導出される第1〜第Nの気体導出口を有し、第1〜第Nの気体導出口への気体の分岐比が均等になるように設計された互いに同一設計の複数の分流器を用いる。複数の分流器のそれぞれの第1〜第Nの気体導出口は、分流器における高さ位置等の位置が互いに異なっている。複数の分流器のそれぞれの第1〜第Nの気体導出口は、第1〜第Nのバーナーのいずれかに1:1で複数の配管により接続されたものとする。第1〜第Nのバーナーのそれぞれに接続された複数の気体導出口は、分流器における高さ位置等の位置が互いに異なるものとする。
上記第1〜第Nのバーナーに気体を分岐して供給する場合において、制御部124は、複数の分流器のいずれか1つを気体の分岐に使用するように、気体の分岐に使用する分流器を切り替えればよい。
また、上記第3乃至第5実施形態では、気体が供給される複数の被供給部としてバーナー110−1〜110−3を例に説明したが、被供給部はバーナーに限定されるものではない。被供給部は、供給される気体を用いて製品の製造、被加工品に対する加工等の何らかの処理を行うものであればよい。
また、上記第3乃至第5実施形態では、被供給部としてのバーナー110−1〜110−3が対象物である芯材112の長手方向に沿って配置された場合を例に説明したが、複数の被供給部は、必ずしも対象物の長手方向に沿って配置されたものである必要はない。
また、上記第3乃至第5実施形態では、エアバルブBVxyを用いた場合を例に説明したが、エアバルブに代えて、制御部124により開閉が制御可能な種々のバルブを用いることができる。例えば、エアバルブに代えて、電磁バルブ等を用いることができる。
また、上記第3乃至第5実施形態では、エアバルブの開閉を制御することにより、気体の分岐に使用する分流器を切り替える場合を例に説明したが、分流器の切り替え方法はこれに限定されるものではない。気体の分岐に使用する分流器の切り替えは、種々の方法により行うことができる。
また、上記第3乃至第5実施形態では、芯材112をその長手方向が鉛直になるように保持する場合を例に説明したが、芯材112を保持する態様はこれに限定されるものではない。例えば、芯材112をその長手方向が水平になるように保持してもよい。この場合、バーナー110−1〜110−3は、水平に配置された芯材112の長手方向に沿って等間隔に配置することができる。また、分流器114−1〜114−3は、上記のように鉛直又水平に並んで配置することができる。
また、上記第3乃至第5実施形態では、複数のバーナー110−1〜110−3の数と複数の分流器114−1〜114−3の数とが同数である場合を例に説明したが、両者は必ずしも同数である必要はない。ただし、複数のバーナーの数と複数の分流器の数とは、同数であることが好ましい。これにより、各バーナーに対して、分流器におけるすべての位置の気体導出口を接続することができる。
また、上記第3乃至第5実施形態は、分流器の分岐比が均等でない場合にも適用可能である。
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態による気体分岐装置について図5及び図6を用いて説明する。図5は、本実施形態による気体分岐装置を示す概略図である。図6は、本実施形態による気体分岐装置の動作を示すフローチャートである。
まず、本実施形態による気体分岐装置の構成について図5を用いて説明する。
図5に示すように、本実施形態による気体分岐装置2100は、気体を供給すべき被供給部である複数のバーナー210−1〜210−3に気体を分岐して供給するものである。なお、以下では、バーナー210−1〜210−3が、OVD法により光ファイバ用ガラス微粒子堆積体を製造するためのバーナーである場合を例に説明する。また、バーナーの数は2つ以上の複数であれば特に限定されるものではないが、以下では3つのバーナー210−1〜210−3を用いた場合を例に説明する。
バーナー210−1〜210−3は、互いに同一設計で作製された例えば石英ガラス製のものである。各バーナー210−1〜210−3は、火炎を形成してその火炎中に原料ガスを導入するため、複数の気体が供給されるようになっている。各バーナー210−1〜210−3に供給される複数の気体は、例えば、水素(H2)ガス、酸素(O2)ガス、アルゴン(Ar)ガス、及び原料ガスである。原料ガスには、SiCl4等が含まれる。OVD法では、各バーナー210−1〜210−3において、これらのガスが用いられ、酸水素火炎が形成されるとともに、その酸水素火炎中に原料ガスが導入される。各ガスをバーナー210−1〜210−3に供給する流量は特に限定されるものではないが、H2ガスの流量は、例えば20000〜40000sccmである。O2ガスの流量は、例えば35000〜40000sccmである。Arガスの流量は、例えば3000〜5000sccmである。原料ガスの流量は、例えば3000〜10000sccmである。
なお、以下では、各バーナー210−1〜210−3に供給される複数の気体のうちの1種の気体を供給する構成を例に説明するが、他の気体を各バーナー210−1〜210−3に供給する構成も、以下に説明する構成と同様の構成とすることができる。
バーナー210−1〜210−3の火炎が吹きつけられる長尺棒状の芯材212は、プリフォームとなるガラス微粒子が堆積するものであり、例えばガラスロッドである。芯材212は、その長手方向が水平になるように保持されている。また、芯材212は、その中心軸を回転軸として回転可能に保持されている。芯材212の長さは、特に限定されるものではないが、例えば数メートル、より具体的には例えば1〜2mである。
バーナー210−1〜210−3は、長尺棒状の芯材212の長手方向に沿って等間隔で水平方向に並んで配置されている。なお、本実施形態では3つのバーナー210−1〜210−3を例に説明しているが、例えば、長さ1〜2mの芯材212に対して配置するバーナー数は、5〜30とすることができる。こうしてバーナー210−1〜210−3が等間隔で配置されていることで、バーナー210−1〜210−3による複数の火炎が、等間隔で芯材212に向けて吹きつけられるようになっている。
また、バーナー210−1〜210−3は、芯材212の長手方向に沿って所定の範囲を往復移動可能に構成されている。なお、バーナー210−1〜210−3を往復移動可能に構成することに代えて、芯材212がその長手方向に沿って往復移動可能となるように構成してもよい。
本実施形態による気体分岐装置2100は、複数のバーナー210−1〜210−3に供給すべき気体を分岐する複数の分流器214−1〜214−3を有している。また、本実施形態による気体分岐装置2100は、複数の分流器214−1〜214−3に気体を供給する配管系と、複数の分流器214−1〜214−3と複数のバーナー210−1〜210−3との間を接続する配管系とを有している。
分流器214−1〜214−3は、それぞれ例えば金属製のものであり、互いに体積が異なっている。すなわち、分流器214−1は、小体積のものである。分流器214−2は、分流器214−1よりも体積が大きい中体積のものである。分流器214−3は、分流器214−2よりも体積が大きい大体積のものである。分流器214−1〜214−3は、後述するように、分岐すべき気体の流量に応じて使い分けられる。
分流器214−1は、2つの気体導入口214−1i−1、214−1i−2と、複数のバーナー210−1〜210−3の数と同数の複数の気体導出口214−1o−1〜214−1o−3とを有している。複数の気体導出口214−1o−1〜214−1o−3は、一定の配列方向に等間隔に並んで設けられている。
分流器214−2は、2つの気体導入口214−2i−1、214−2i−2と、複数のバーナー210−1〜210−3の数と同数の複数の気体導出口214−2o−1〜214−2o−3とを有している。複数の気体導出口214−2o−1〜214−2o−3は、一定の配列方向に等間隔に並んで設けられている。
分流器214−3は、2つの気体導入口214−3i−1、214−3i−2と、複数のバーナー210−1〜210−3の数と同数の複数の気体導出口214−3o−1〜214−3o−3とを有している。複数の気体導出口214−3o−1〜214−3o−3は、一定の配列方向に等間隔に並んで設けられている。
分流器214−1〜214−3は、水平に並んで配置されている。水平に並んで配置された分流器214−1〜214−3では、複数の気体導出口214−1o−1〜214−1o−3、214−2o−1〜214−2o−3、214−3o−1〜214−3o−3の配列方向が例えば芯材212の長手方向と同様に水平になっている。
なお、分流器214−1〜214−3の体積は、特に限定されるものではなく、気体の供給条件等に応じて選定することができる。小体積の分流器214−1の体積は、例えば500〜1000cm3である。中体積の分流器214−2の体積は、例えば1000〜2000cm3である。大体積の分流器214−3の体積は、例えば2000〜3000cm3である。また、分流器214−1〜214−3がそれぞれ2つの気体導入口を有する場合について説明しているが、気体導入口の数は2つに限定されるものではない。気体導入口の数は、1つであっても2つ以上の複数であってもよく、気体の供給条件、分流器214−1〜214−3の体積等に応じて適宜変更することができる。
本実施形態による気体分岐装置2100は、バーナー210−1〜210−3に供給すべき同種の気体を分流器214−1〜214−3に供給するための配管216−1、216−2を有している。配管216−1、216−2の上流端は、バーナー210−1〜210−3に供給すべき気体の供給源(図示せず)に接続されている。配管216−1、216−2には、それぞれMFC218−1、218−2が設けられている。MFC218−1、218−2により、それぞれ配管216−1、216−2内を分流器214−1〜214−3に向かって流れる気体の流量を制御することが可能になっている。
配管216−1、216−2は、それぞれの下流端側で、分流器214−1〜214−3の数と同数の複数の分岐配管に分岐されている。すなわち、配管216−1は、その下流端側で、分岐配管216−1−1〜216−1−3に分岐されている。配管216−2は、その下流端側で、分岐配管216−2−1〜216−2−3に分岐されている。
分流器214−1の2つの気体導入口214−1i−1、214−1i−2には、それぞれ分岐配管216−1−1、216−2−1の下流端が接続されている。分流器214−2の2つの気体導入口214−2i−1、214−2i−2には、それぞれ分岐配管216−1−2、216−2−2の下流端が接続されている。分流器214−3の2つの気体導入口214−3i−1、214−3i−2には、それぞれ分岐配管216−1−3、216−2−3の下流端が接続されている。
配管216−1、216−2の分岐配管には、それぞれ分岐配管を開閉する導入側エアバルブが設けられている。すなわち、分岐配管216−1−1、216−2−1には、それぞれ導入側エアバルブAVi11、AVi12が設けられている。分岐配管216−1−2、216−2−2には、それぞれ導入側エアバルブAVi21、AVi22が設けられている。分岐配管216−1−3、216−2−3には、それぞれ導入側エアバルブAVi31、AVi32が設けられている。なお、以下の説明では、これら導入側エアバルブを導入側エアバルブAVixy(ただし、xは1≦x≦3を満たす整数であり、yは1又は2である)と表記することがある。また、導入側エアバルブを単にエアバルブと称することもある。
また、分流器214−1の複数の気体導出口214−1o−1〜214−1o−3には、それぞれ配管220−1−1〜220−1−3の上流端が接続されている。分流器214−1は、複数の気体導出口214−1o−1〜214−1o−3への気体の分岐比が均等になるように設計されている。すなわち、分流器214−1は、分岐配管216−1−1、216−2−1から分流器214−1に導入された気体が、複数の気体導出口214−1o−1〜214−1o−3から均等な分岐比でそれぞれ配管220−1−1〜220−1−3に導出されるように設計されている。
配管220−1−1〜220−1−3には、それぞれ配管220−1−1〜220−1−3を開閉する導出側エアバルブAVo11、AVo12、AVo13が設けられている。なお、導出側エアバルブAVo11、AVo12、AVo13に代えてチャッキバルブ(逆止弁)を設け、チャッキバルブにより、配管220−1−1〜220−1−3における気体の下流側から上流側である分流器214−1側への逆流を防止してもよい。
また、分流器214−2の複数の気体導出口214−2o−1〜214−2o−3には、それぞれ配管220−2−1〜220−2−3の上流端が接続されている。分流器214−2は、複数の気体導出口214−2o−1〜214−2o−3への気体の分岐比が均等になるように設計されている。すなわち、分流器214−2は、分岐配管216−1−2、216−2−2から分流器214−2に導入された気体が、複数の気体導出口214−2o−1〜214−2o−3から均等な分岐比でそれぞれ配管220−2−1〜220−2−3に導出されるように設計されている。
配管220−2−1〜220−2−3には、それぞれ配管220−2−1〜220−2−3を開閉する導出側エアバルブAVo21、AVo22、AVo23が設けられている。なお、導出側エアバルブAVo21、AVo22、AVo23に代えてチャッキバルブを設け、チャッキバルブにより、配管220−2−1〜220−2−3における気体の下流側から上流側である分流器214−2側への逆流を防止してもよい。
また、分流器214−3の複数の気体導出口214−3o−1〜214−3o−3には、それぞれ配管220−3−1〜220−3−3の上流端が接続されている。分流器214−3は、複数の気体導出口214−3o−1〜214−3o−3への気体の分岐比が均等になるように設計されている。すなわち、分流器214−3は、分岐配管216−1−3、216−2−3から分流器214−3に導入された気体が、複数の気体導出口214−3o−1〜214−3o−3から均等な分岐比でそれぞれ配管220−3−1〜220−3−3に導出されるように設計されている。
配管220−3−1〜220−3−3には、それぞれ配管220−3−1〜220−3−3を開閉する導出側エアバルブAVo31、AVo32、AVo33が設けられている。なお、導出側エアバルブAVo31、AVo32、AVo33に代えてチャッキバルブを設け、チャッキバルブにより、配管220−3−1〜220−3−3における気体の下流側から上流側である分流器214−3側への逆流を防止してもよい。
なお、以下の説明では、上記の導出側エアバルブを導出側エアバルブAVomn(ただし、mは1≦m≦3を満たす整数であり、nは1≦n≦3を満たす整数である)と表記することがある。また、導出側エアバルブを単にエアバルブと称することもある。
配管220−1−1、220−2−1、220−3−1の下流端には、配管222−1の上流端が共通して接続されている。配管220−1−2、220−2−2、220−3−2の下流端には、配管222−2の上流端が共通して接続されている。配管220−1−3、220−2−3、220−3−3の下流端には、配管222−3の上流端が共通して接続されている。
配管222−1の下流端はバーナー210−1に接続され、配管222−1からバーナー210−1に気体が供給されるようになっている。配管222−2の下流端はバーナー210−2に接続され、配管222−2からバーナー210−2に気体が供給されるようになっている。配管222−3の下流端はバーナー210−3に接続され、配管222−3からバーナー210−3に気体が供給されるようになっている。
こうして、複数の分流器214−1〜214−3のそれぞれの複数の気体導出口が、複数のバーナー210−1〜210−3のいずれかに配管により1:1で接続されている。すなわち、分流器214−1の気体導出口214−1o−1は、配管220−1−1、222−1を介してバーナー210−1に接続されている。分流器214−1の気体導出口214−1o−2は、配管220−1−2、222−2を介してバーナー210−2に接続されている。分流器214−1の気体導出口214−1o−3は、配管220−1−3、222−3を介してバーナー210−3に接続されている。分流器214−2の気体導出口214−2o−1は、配管220−2−1、222−1を介してバーナー210−1に接続されている。分流器214−2の気体導出口214−2o−2は、配管220−2−2、222−2を介してバーナー210−2に接続されている。分流器214−2の気体導出口214−2o−3は、配管220−2−3、222−3を介してバーナー210−3に接続されている。分流器214−3の気体導出口214−3o−1は、配管220−3−1、222−1を介してバーナー210−1に接続されている。分流器214−3の気体導出口214−3o−2は、配管220−3−2、222−2を介してバーナー210−2に接続されている。分流器214−3の気体導出口214−3o−3は、配管220−3−3、222−3を介してバーナー210−3に接続されている。
本実施形態による気体分岐装置2100は、導入側エアバルブAVixy及び導出側エアバルブAVomnの開閉を制御する制御部224をさらに有している。制御部224は、種々の演算、制御、判別等の処理を実行するCPU(図示せず)を有している。また、制御部224は、CPUによって実行される様々な制御プログラム、CPUが参照するデータベース等を格納するROM(図示せず)を有している。また、制御部224は、CPUが処理中のデータや入力データ等を一時的に格納するRAM(図示せず)を有している。
制御部224は、バーナー210−1〜210−3の火炎を用いてガラス微粒子堆積体を製造する間、気体の分岐に使用する分流器を分流器214−1〜214−3のいずれかに切り替えるように、導入側エアバルブAVixy及び導出側エアバルブAVomnの開閉を制御する。使用する分流器の切り替えに際して、制御部224は、分流器214−1に対する導入側エアバルブAVi11、AVi12及び導出側エアバルブAVo11、AVo12、AVo13の開閉を同期して制御する。また、分流器214−2に対する導入側エアバルブAVi21、AVi22及び導出側エアバルブAVo21、AVo22、AVo23の開閉を同期して制御する。また、分流器214−3に対する導入側エアバルブAVi31、AVi32及び導出側エアバルブAVo31、AVo32、AVo33の開閉を同期して制御する。また、制御部224は、これら同期して制御するエアバルブAVi11、AVi12、AVo11、AVo12、AVo13の組、エアバルブAVi21、AVi22、AVo21、AVo22、AVo23の組、及びエアバルブAVi31、AVi32、AVo31、AVo32、AVo33の組のうち、いずれか1組を開放状態とし、残りの組を閉鎖状態とする。
制御部224は、分岐すべき気体の流量をMFC218−1、218−2から取得し、分岐すべき気体の流量に応じて上記分流器の切り替えを実行する。すなわち、制御部224は、分岐すべき気体の流量が低流量の場合には、気体の分岐に使用する分流器を小体積の分流器214−1に切り替える。気体の流量が低流量の場合よりも高い中流量の場合には、気体の分岐に使用する分流器を中体積の分流器214−2に切り替える。気体の流量が中流量の場合よりも高い高流量の場合には、気体の分岐に使用する分流器を大体積の分流器214−3に切り替える。
なお、各分流器214−1〜214−3を使用する気体の流量は、特に限定されるものではないが、例えば、分岐すべき気体の流量が3000〜5000sccmの低流量の場合には、体積が500〜1000cm3の小体積の分流器214−1を用いることができる。また、分岐すべき気体の流量が5000〜8000sccmの中流量の場合には、体積が1000〜2000cm3の中体積の分流器214−2を用いることができる。また、分岐すべき気体の流量が8000〜10000sccmの高流量の場合には、体積が2000〜3000cm3の大体積の分流器214−3を用いることができる。
各バーナー210−1〜210−3には、1つのガラス微粒子堆積体の製造開始から製造終了までの間、時間の経過に応じて流量を変化させて気体を供給する。例えば、製造開始から製造終了までの間、時間の経過に応じて流量が段階的に増加するように各バーナー210−1〜210−3に気体を供給する。このため、分岐すべき気体の流量も、時間の経過に応じて変化し、例えば段階的に増加する。本実施形態による気体分岐装置2100では、このように変化する気体の流量に応じて、気体の分岐に使用する分流器が分流器214−1〜214−3のいずれかに切り替えられる。なお、気体の流量が変化する態様は、特に限定されるものではない。時間の経過に応じて段階的に増加する態様のほか、例えば、時間の経過に応じて段階的に減少する態様、時間の経過に応じて漸増又は漸減する態様、時間の経過に応じて増減する態様、これらの態様を組み合わせた変化の態様であってもよい。
光ファイバ用ガラス微粒子堆積体の製造に際しては、複数のバーナーに供給する気体の流量を変化させる場合がある。このため、分流器により分岐すべき気体の流量も変化することになる。しかしながら、気体の流量に対して分流器の体積が小さすぎたり大きすぎたりして適切でないと、均等な分岐が困難になる等の不都合が生じる。
具体的には、まず、分岐すべき気体が高流量である場合に、分流器の体積が小さすぎると、動圧の影響が増加する。このため、一般的に導出側の流路が絞られる構造の分流器では、均等な分岐が困難になる。また、分岐すべき気体が低流量の場合に、分流器の体積が大きすぎると、分流器内が均圧になるのに時間を要するため、導出側の流量変化に遅延が生じるとともに、均等な分岐が困難になる。
このため、分岐すべき気体の流量が変化すると、流量によって分流器による分岐比が均一に安定せず不安定になることがある。このように分流器の分岐比が不安定になっていたのでは、高い均一性で複数のバーナーに気体を供給することが困難となる。その結果、芯材の長手方向に沿って製造されるガラス微粒子堆積体の長手方向における均一性、安定性が損なわれるおそれがある。
これに対し、本実施形態による気体分岐装置2100では、制御部224により、気体の分岐に使用される分流器が、分岐すべき気体の流量に応じて、互いに体積が異なる分流器214−1〜214−3のいずれか1つに切り替えられる。こうして分岐すべき気体の流量に応じて分流器を切り替えることにより、分岐すべき気体の流量に応じてより適切な分流器を使用することができる。これにより、流量による影響を低減しつつ、安定して気体を分岐して高い均一性でバーナー210−1〜210−3に供給することができる。したがって、本実施形態によれば、長手方向おける均一性、安定性に優れたガラス微粒子堆積体を製造することができる。
次に、本実施形態による気体分岐装置2100の動作についてさらに図6を用いて説明する。
気体分岐装置2100の動作開始前は、導入側エアバルブAVixy及び導出側エアバルブAVomnのすべて閉鎖状態となっている。
まず、気体分岐装置2100の動作を開始して、配管216−1、216−2から分流器214−1〜214−3に向けて気体を導入する。配管216−1、216−2から気体を導入する間、MFC218−1、218−2は、それぞれ配管216−1、216−2を流れる気体の流量を制御する。
制御部224は、MFC218−1、218−2から、分岐すべき気体の流量を取得する(ステップS211)。
次いで、制御部224は、MFC218−1、218−2から取得した流量が、小体積の分流器214−1を使用する上限値である流量値f1以下であるか否か判定する(ステップS212)。流量値f1以下である場合(ステップS212、YES)、制御部224は、エアバルブAVi11、AVi12、AVo11、AVo12、AVo13の組を開放状態とする。同時に、制御部224は、エアバルブAVi21、AVi22、AVo21、AVo22、AVo23の組、及びエアバルブAVi31、AVi32、AVo31、AVo32、AVo33の組を閉鎖状態とする。こうして、小体積の分流器214−1を、気体の分岐に使用する分流器に設定する(ステップS213)。
一方、流量値f1以下でない場合(ステップS212、NO)、制御部224は、MFC218−1、218−2から取得した流量が、中体積の分流器214−2を使用する上限値である流量値f2以下であるか否かを判定する(ステップS214)。なお、流量値f2は流量値f1よりも大きい値である。流量値f2以下である場合(ステップS214、YES)、制御部224は、エアバルブAVi21、AVi22、AVo21、AVo22、AVo23の組を開放状態とする。同時に、制御部224は、エアバルブAVi11、AVi12、AVo11、AVo12、AVo13の組、及びエアバルブAVi31、AVi32、AVo31、AVo32、AVo33の組を閉鎖状態とする。こうして、中体積の分流器214−2を、気体の分岐に使用する分流器に設定する(ステップS215)。
一方、流量値f2以下でない場合(ステップS214、NO)、制御部224は、エアバルブAVi31、AVi32、AVo31、AVo32、AVo33の組を開放状態とする。同時に、制御部224は、エアバルブAVi11、AVi12、AVo11、AVo12、AVo13の組、及びエアバルブAVi21、AVi22、AVo21、AVo22、AVo23の組を閉鎖状態とする。こうして、大体積の分流器214−3を、気体の分岐に使用する分流器に設定する(ステップS216)。
上記のように気体の流量に応じて気体の分岐に使用する分流器を設定したうえで、設定した分流器により気体を分岐して、複数のバーナー210−1〜210−3にそれぞれ気体を供給する(ステップS217)。なお、ガラス微粒子堆積体の製造に用いる他の気体についても、同様にして複数のバーナー210−1〜210−3に供給する。
上記のようにして気体が供給される各バーナー210−1〜210−3では、供給される気体のうちの燃料ガスにより火炎が形成されるともに、供給される気体のうちの原料ガスが火炎中に導入される。こうして、原料を含む火炎が、中心軸を回転軸として回転する芯材12に向けて吹きつけられる。これにより、光ファイバのプリフォームとなるガラス微粒子が芯材212上に堆積していく。なお、この間、複数のバーナー210−1〜210−3を芯材212の長手方向に沿って往復移動させてもよい。
上記のようにしてガラス微粒子を芯材212上に堆積する間、芯材212上に堆積されたガラス微粒子の堆積重量をモニタし、モニタされる堆積重量に基づき、ガラス微粒子の堆積を終了するか否かを判定する(ステップS218)。
ガラス微粒子の堆積重量が所定の重量未満であり堆積を終了せずに継続する場合(ステップS218、NO)、ステップS211に戻り、上記のようにして気体の流量に応じて分流器を切り替えつつ、各気体を供給してガラス微粒子の堆積を継続する。
一方、ガラス微粒子の堆積重量が所定の重量となっており堆積を終了する場合(ステップS218、YES)、制御部224により、導入側エアバルブAVixy及び導出側エアバルブAVomnをすべて閉鎖状態とする(ステップS219)。こうして、芯材212上へのガラス微粒子の堆積を終了し、ガラス微粒子の堆積物であるガラス微粒子堆積体を得る。
その後、上記のようにして得られたガラス微粒子堆積体に対して炉中にて脱水及び焼結を行うことにより、プリフォームが得られる。
以上のとおり、本実施形態によれば、高い均一性で複数の被供給部に気体を供給することができる。
なお、上記では、1つのガラス微粒子堆積体を製造する間に分流器214−1〜214−3を切り替える場合について説明した。一方、サイズ、材料構成等が異なる異種類のガラス微粒子堆積体を製造する場合には、バーナーに供給すべき気体の流量も異なり、分岐すべき気体の流量も異なることがある。このようにサイズ等が異なる異種類のガラス微粒子堆積体を製造する場合において、ガラス微粒子堆積体の種類に応じて、気体に分岐する使用する分流器214−1〜214−3を切り替えて使い分けることもできる。これにより、異種類のガラス微粒子堆積体を製造する場合においても、各ガラス微粒子堆積体を製造する際に安定した気体の分岐を実現することができる。
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態による気体分岐装置について図7を用いて説明する。図7は、本実施形態による気体分岐装置を示す概略図である。なお、上記第6実施形態による気体分岐装置と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
上記第6実施形態では、互いに体積が異なる複数の分流器214−1〜14−3を用いる場合を例に説明した。しかしながら、気体の分岐に使用する分流器の体積を変更することができれば、必ずしも複数の分流器214−1〜214−3を用いる必要はない。すなわち、体積可変の分流器を用いることにより、複数の分流器214−1〜214−3を用いた場合と同様に、流量による影響を低減して安定した気体の分岐を実現することができる。
本実施形態では、互いに体積が異なる複数の分流器214−1〜214−3に代えて、体積可変の単一の分流器を用いた場合について説明する。
図7に示すように、本実施形態による気体分岐装置2200は、複数のバーナー210−1〜210−3に供給すべき気体を分岐する体積可変の分流器226を有している。また、本実施形態による気体分岐装置2200は、分流器226に気体を供給する配管系と、分流器226と複数のバーナー210−1〜210−3との間を接続する配管系とを有している。
分流器226は、例えば金属製のものであり、その体積を変化させることが可能な体積可変機構を有している。体積可変機構の構成は、特に限定されるものではなく、分流器226の体積を変化させることができるものであればよい。なお、体積可変の分流器226の体積は、制御部228によって制御される。
分流器226は、2つの気体導入口226i−1、226i−2と、複数のバーナー210−1〜210−3の数と同数の複数の気体導出口226o−1〜226o−3とを有している。複数の気体導出口226o−1〜226o−3は、一定の配列方向に等間隔に並んで設けられている。分流器226は、複数の気体導出口226o−1〜226o−3の配列方向が例えば芯材212の長手方向と同様に水平になるように配置されている。
なお、分流器226の体積の可変範囲は、特に限定されるものではなく、気体の供給条件等に応じて選定することができるが、例えば500〜3000cm3の範囲で分流器226の体積を変化させることが可能になっている。また、分流器226が2つの気体導入口226i−1、226i−2を有する場合について説明しているが、気体導入口の数は2つに限定されるものではない。気体導入口の数は、1つであっても2つ以上の複数であってもよく、気体の供給条件、分流器226の体積の可変範囲等に応じて適宜変更することができる。
本実施形態による気体分岐装置2200は、バーナー210−1〜210−3に供給すべき同種の気体を分流器226に供給するための配管216−1、216−2を有している。配管216−1、216−2の上流端は、バーナー210−1〜210−3に供給すべき気体の供給源(図示せず)に接続されている。配管216−1、216−2には、それぞれMFC218−1、218−2が設けられている。MFC218−1、218−2により、それぞれ配管216−1、216−2内を分流器226に向かって流れる気体の流量を制御することが可能になっている。
分流器226の2つの気体導入口226i−1、226i−2には、それぞれ配管216−1、216−2の下流端が接続されている。
また、分流器226の複数の気体導出口226o−1〜226o−3には、それぞれ配管220−1〜220−3の上流端が接続されている。分流器226は、その体積の可変範囲内にわたって、複数の気体導出口226o−1〜226o−3への気体の分岐比が均等になるように設計されている。すなわち、分流器226は、その体積の可変範囲内にわたって、配管216−1、216−2から分流器226に導入された気体が、複数の気体導出口226o−1〜226o−3から均等な分岐比でそれぞれ配管220−1〜220−3に導出されるように設計されている。
配管220−1〜220−3には、それぞれ配管220−1〜220−3を開閉するエアバルブAV1〜AV3が設けられている。
配管220−1の下流端はバーナー210−1に接続され、配管220−1からバーナー210−1に気体が供給されるようになっている。配管220−2の下流端はバーナー210−2に接続され、配管220−2からバーナー210−2に気体が供給されるようになっている。配管220−3の下流端はバーナー210−3に接続され、配管220−3からバーナー210−3に気体が供給されるようになっている。
本実施形態による気体分岐装置2200は、エアバルブAV1〜AV3の開閉を制御するとともに、体積可変の分流器226の体積を制御する制御部228をさらに有している。制御部228は、種々の演算、制御、判別等の処理を実行するCPU(図示せず)を有している。また、制御部228は、CPUによって実行される様々な制御プログラム、CPUが参照するデータベース等を格納するROM(図示せず)を有している。また、制御部228は、CPUが処理中のデータや入力データ等を一時的に格納するRAM(図示せず)を有している。
制御部228は、バーナー210−1〜210−3の火炎を用いてガラス微粒子堆積体を製造する間、エアバルブAV1〜AV3を開放状態とするとともに、分流器226により分岐すべき気体の流量に応じて、体積可変の分流器226の体積を制御する。
制御部228は、分岐すべき気体の流量をMFC218−1、218−2から取得し、分岐すべき気体の流量に応じて分流器226の体積を制御する。すなわち、制御部228は、分岐すべき気体の流量が比較的に低流量の場合には、分流器226の体積を比較的に小さい値に設定し、分岐すべき気体の流量が比較的に高流量の場合には、分流器226の体積を比較的に大きい値に設定する。
なお、制御部228が設定する分流器226の体積範囲は、特に限定されるものではないが、例えば、気体の流量が3000〜5000sccmの低流量の場合には、分流器226の体積を500〜1000cm3の小体積の値に設定することができる。また、気体の流量が5000〜8000sccmの中流量の場合には、分流器226の体積を1000〜2000cm3の中体積の値に設定することができる。また、気体の流量が8000〜10000sccmの高流量の場合には、分流器226の体積を2000〜3000cm3の大体積の値に設定することができる。
こうして、分岐すべき気体の流量に応じて体積可変の分流器226の体積を変更することにより、分岐すべき気体の流量に応じて分流器226の体積をより適切な値に設定することができる。このため、本実施形態によっても、第6実施形態と同様に、流量による影響を低減しつつ、安定して気体を分岐して高い均一性でバーナー210−1〜210−3に供給することができる。したがって、本実施形態によれば、長手方向おける均一性、安定性に優れたガラス微粒子堆積体を製造することができる。
本発明は、上記第6及び第7実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
例えば、上記第6及び第7実施形態では、3つのバーナー210−1〜210−3に気体を分岐して供給する場合を例に説明したが、バーナーの数は2つ以上の複数であれば特に限定されるものではない。また、互いに体積が異なる3つの分流器214−1〜214−3を気体分岐装置2100が有する場合を例に説明したが、互いに体積が異なる分流器の数は2つ以上の複数であれば特に限定されるものではない。ただし、装置の複雑化を回避するため、分流器の数は10以下であることが好ましい。
第1〜第N(ただし、Nは2以上の整数)のバーナーに気体を分岐して供給する場合、気体が分岐されて導出される第1〜第Nの気体導出口を有し、第1〜第Nの気体導出口への気体の分岐比が均等になるように設計された複数の分流器を用いる。複数の分流器は、互いに体積が異なるものとする。複数の分流器のそれぞれの第1〜第Nの気体導出口は、第1〜第Nのバーナーのいずれかに1:1で複数の配管により接続されたものとする。
上記第1〜第Nのバーナーに気体を分岐して供給する場合において、制御部は、複数の分流器のうちのいずれか1つを気体の分岐に使用するように、気体の流量に応じて、気体の分岐に使用する分流器を切り替えればよい。
また、複数の分流器に代えて、気体が分岐されて導出される第1〜第Nの気体導出口を有し、第1〜第Nの気体導出口への気体の分岐比が均等になるように設計された体積可変の分流器を用いることもできる。体積可変の分流器の第1〜第Nの気体導出口は、第1〜第Nのバーナーのいずれかに1:1で複数の配管により接続されたものとする。
上記体積可変の分流器を用いる場合において、制御部は、気体の流量に応じて、分流器の体積を制御すればよい。
また、上記第6及び第7実施形態では、気体が供給される複数の被供給部としてバーナー210−1〜210−3を例に説明したが、被供給部はバーナーに限定されるものではない。被供給部は、供給される気体を用いて製品の製造、被加工品に対する加工等の何らかの処理を行うものであればよい。
また、上記第6及び第7実施形態では、被供給部としてのバーナー210−1〜210−3が対象物である芯材212の長手方向に沿って配置された場合を例に説明したが、複数の被供給部は、必ずしも対象物の長手方向に沿って配置されたものである必要はない。
また、上記第6及び第7実施形態では、エアバルブAVixy、AVomn、AV1〜AV3を用いた場合を例に説明したが、エアバルブに代えて、制御部224、228により開閉が制御可能な種々のバルブを用いることができる。例えば、エアバルブに代えて、電磁バルブ等を用いることができる。
また、上記第6及び第7実施形態では、エアバルブの開閉を制御することにより、気体の分岐に使用する分流器を切り替える場合を例に説明したが、分流器の切り替え方法はこれに限定されるものではない。気体の分岐に使用する分流器の切り替えは、種々の方法により行うことができる。
また、上記第6及び第7実施形態では、芯材212をその長手方向が水平になるように保持する場合を例に説明したが、芯材212を保持する態様はこれに限定されるものではない。例えば、芯材212をその長手方向が鉛直になるように保持してもよい。この場合、バーナー210−1〜210−3は、鉛直に配置された芯材212の長手方向に沿って等間隔に配置する。分流器214−1〜214−3は、上記のように水平に並んで配置してもよいし、鉛直に並んで配置してもよい。
また、上記第6及び第7実施形態では、複数のバーナー210−1〜210−3の数と複数の分流器214−1〜214−3の数とが同数である場合を例に説明したが、両者は必ずしも同数である必要はない。分岐すべき気体の流量範囲等に応じて、互いに体積が異なる複数の分流器の数を設定することができる。
また、上記第6及び第7実施形態は、分流器の分岐比が均等でない場合にも適用可能である。