ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション端末の構成:
(2)評価情報取得処理:
(3)過去評価取得処理:
(4)音声案内処理:
(5)他の実施形態:
(1)ナビゲーション端末の構成:
図1は、車両に搭載された評価案内システムの構成を示すブロック図である。本実施形態において評価案内システムは、ナビゲーション端末10によって実現される。ナビゲーション端末10は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部20を備えており、ROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラムを実行可能である。当該ナビゲーションプログラムは、ナビゲーション端末の表示部に車両の現在位置が含まれる地図を表示し、運転者が指定した出発地から目的地までの走行予定経路を探索し、走行予定経路に沿って運転者を目的地まで案内する機能を制御部20に実現させるプログラムである。本実施形態において、当該ナビゲーションプログラムには、走行予定経路に従った走行を促す音声案内を行う図示しない経路案内プログラムと、過去評価が所定の評価レベルよりも悪い悪化区間に関する音声案内を行う評価案内プログラム21が含まれている。
本実施形態にかかる車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とユーザI/F部44とを備えている。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための信号を示す信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の現在位置を取得する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ43は、車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両の向きに対応した信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の進行方向を取得する。車速センサ42およびジャイロセンサ43等は、車両の走行軌跡を特定するために利用され、本実施形態においては、車両の出発位置と走行軌跡とに基づいて現在位置が特定され、当該出発位置と走行軌跡とに基づいて特定された車両の現在位置がGPS受信部41の出力信号に基づいて補正される。
なお、制御部20は、車速センサ42が出力する信号に基づいて取得される車速に基づいて車両の加速度を取得することも可能である。制御部20は、当該車速および加速度が予め決められた判定条件に合致するか否かを判定することにより、車両において車両の燃費を悪化させる悪化原因が発生したか否かを判定することができる。なお、本実施形態においては、燃費を悪化させる走行ではない場合における車両の走行を経済走行と呼ぶ。
ユーザI/F部44は、運転者の指示を入力し、また運転者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネルディスプレイからなる表示部やスイッチ等の入力部、スピーカー等の音声出力部を備えている。ユーザI/F部44は制御信号を制御部20から受信し、各種案内を行うための画像をタッチパネルディスプレイに表示し、各種案内を行うための音声をスピーカーから出力する。
記録媒体30には地図情報30aおよび音声案内情報30cが予め記録されている。地図情報30aは、車両が走行する道路の端点に対応するノードの位置等を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ等を含んでいる。また、リンクデータには、各リンクデータが示す道路区間の道路種別を示す情報が対応づけられている。なお、本実施形態において、道路種別は、都市間高速道路、都市高速道路、有料道路、取り付け道、一般道路のいずれかであるが、むろん、他の分類によって道路種別を規定しても良い。
音声案内情報30cは、音声案内の内容を示す音声情報と当該音声情報に従って音声案内を出力する場合の音声の出力継続期間を示す情報とが記録された情報である。本実施形態において、音声案内情報30cには、経路案内を行うための音声案内についての音声情報および出力継続期間を示す情報と、悪化区間に関する音声案内についての音声情報および出力継続期間を示す情報が含まれる。悪化区間に関する音声案内についての音声情報および出力継続期間を示す情報には、悪化原因が対応づけられて記録媒体30に記録される。制御部20は、悪化原因に対応する音声情報をユーザI/F部44のスピーカーに出力することで悪化原因を解消させるための音声案内をスピーカーに出力させることができる。また、制御部20は、悪化原因に対応する音声の出力継続期間を示す情報を参照することで悪化原因に対応する音声の出力継続期間を特定することができる。なお、ここでは、経路案内を行うための音声案内を第2種音声案内と呼び、悪化区間に関する音声案内を第1種音声案内と呼ぶ。
また、本実施形態においては、車両が走行するたびに車両の燃費の評価を示す評価情報30bが記録される。本実施形態において評価情報30bは、単位区間内において経済走行をしていた割合を示す情報である。また、本実施形態においては、単位区間内において燃費の悪化原因が発生した場合に、当該悪化原因と悪化原因が発生していた状態で車両が走行した距離とを示す情報が評価情報30bに対応づけられて記録される。
なお、本実施形態において、目的地を設定して走行した状態で評価情報30bが記録される場合には、当該目的地と出発地とを示す情報が評価情報30bに対応付けられて記録される。また、本実施形態においては、予め想定された複数の走行シーンにおいて既定の悪化原因が発生した場合に燃費が悪化すると見なす構成となっており、複数の走行シーン毎に悪化原因が分類されている。すなわち、制御部20は、上述の車速センサ42の出力信号に基づいて取得される車速、加速度が、走行シーン毎に予め設定された判定条件に合致しているか否かを判定し、合致している場合にその走行シーンにおいて予め規定された悪化原因が発生したと見なし、当該走行シーンを示す情報と当該悪化原因が発生していた状態で車両が走行した距離とを評価情報30bに対応づけて記録する。
制御部20は、ナビゲーションプログラムに含まれる経路案内プログラムを実行することにより、ユーザI/F部44のスピーカーから車両の直前の分岐交差点(進行方向が直進以外の交差点)における進行方向を示す第2種音声案内を出力する。すなわち、制御部20は、ユーザI/F部44の入力部を介して運転者が入力する目的地を受け付け、地図情報30aを参照して車両の現在位置から目的地までの経路を探索する。車両の走行が開始されると、制御部20は、走行予定経路上で車両の前方の最も近い分岐交差点を特定する。そして、制御部20は、当該分岐交差点よりも車両側に存在する既定位置に車両が到達すると、分岐交差点での進行方向を示す第2種音声案内をユーザI/F部44のスピーカーに対して出力する。この結果、運転者が第2種音声案内に従って車両を走行させることで目的地まで走行することが可能である。
なお、本実施形態において、分岐交差点での進行方向を示す第2種音声案内が出力される既定位置は道路種別毎に予め決められている。表1は、道路種別毎に分岐交差点と既定位置との距離を示す表である。
同表1においては、初期音声案内終了距離(L1)、中間音声案内終了距離(L2)、直前音声案内終了距離(L3)が定義され(単位はm)、一部の道路種別の道路については3種類全ての距離について数値が定義され、残りの道路種別の道路については2種類の距離について数値が定義されている。すなわち、本実施形態においては、分岐交差点よりも車両側に存在する2カ所あるいは3カ所の位置が第2種音声案内を出力すべき既定位置として定義されている。例えば、車両が都市間高速道路上を走行している場合においては、分岐交差点よりも車両側に2000mの位置で初期音声案内が終了するように第2種音声案内が出力され、分岐交差点よりも車両側に1000mの位置で中間音声案内、分岐交差点よりも車両側に500mの位置で直前音声案内が終了するように第2種音声案内が出力される。
具体的には、制御部20は、音声案内情報30cを参照して分岐交差点での進行方向を示す第2種音声案内の出力継続期間を特定し、当該出力継続期間の音声出力が完了する段階で車両が既定位置に到達するように音声出力を開始する。このために、制御部20は、車両の走行開始後および車両が分岐交差点を通過した後に、走行予定経路上で車両の前方の最も近い分岐交差点について音声出力のタイミングを特定し、特定されたタイミングでスピーカーに音声出力を行わせる。
具体的には、制御部20は、車両が道路種別毎に予め規定された固定車速で走行していると見なし、車両が固定車速で走行した場合に既定位置に到達する到達時刻よりも出力継続期間だけ前のタイミングを特定し、当該タイミングで音声出力を開始する。図5Aは、車両が走行する道路上の位置および各位置を走行する時刻を矢印によって模式的に示した図であり、道路上の位置を示す矢印上に分岐交差点の位置Pgと車両の現在位置Ppとを示している。当該図5Aにおいては、分岐交差点の位置Pgから進行方向の逆方向に初期音声案内終了距離L1の位置P1、位置Pgから進行方向の逆方向に中間音声案内終了距離L2の位置P2、位置Pgから進行方向の逆方向に直前音声案内終了距離L3の位置P3も道路上の位置を示す矢印上に示している。
制御部20は、GPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力に基づいて車両の現在位置Ppを特定し、表1に基づいて分岐交差点の位置Pgから進行方向の逆方向に初期音声案内終了距離L1の位置P1を特定する。また、制御部20は、現在位置Ppから位置P1までの距離を固定車速で除して得られる所要期間T1を取得する。そして、制御部20は、現在時刻から所用期間T1だけ経過した時刻Tge1を位置P1での第2種音声案内の終了時刻として取得する。さらに、時刻Tge1から位置P1での第2種音声案内の出力継続期間S21を減じて得られる時刻Tg1を位置P1での第2種音声案内の開始時刻として取得する。そして、制御部20は、開始時刻Tg1おいて位置P1での第2種音声案内を出力するように設定する。制御部20は、位置P2および位置P3についても同様の処理を行って、開始時刻Tg2おいて位置P2での第2種音声案内を出力するように設定する。開始時刻Tg3おいて位置P3での第2種音声案内を出力するように設定する。
なお、以上の処理は、車両の走行開始後および車両が分岐交差点を通過した後に、次の分岐交差点までの距離が初期音声案内終了距離L1よりも充分に大きい場合の処理例であり、次の分岐交差点までの距離が、既定位置で第2種音声案内を出力するために充分な距離でない場合には第2種音声案内を省略しても良い。また、第2種音声案内のタイミングや既定位置等の定義は時間軸上でなされても良いし、空間軸上でなされても良い。すなわち、位置および時間は車速を介して互いに変換可能であるため、第2種音声案内のタイミングや既定位置等を位置および時間のいずれで定義しても両者は実質的に同一である。例えば、車両の現在位置と音声出力を開始すべき位置との距離を特定し、車速センサ42の出力から特定される現在位置以後の走行距離に基づいて、音声出力を開始すべき位置に車両が到達したと判定される場合に音声出力を開始しても良い。
さらに、本実施形態において、制御部20は、評価案内プログラム21を実行することにより、過去評価が所定の評価レベルよりも悪い悪化区間に関する音声案内を行う。この処理を実行するため、評価案内プログラム21は、今回走行履歴取得部21aと悪化区間取得部21bと判定区間設定部21cと音声案内部21dとを備えている。
今回走行履歴取得部21aは、車両が走行する過程において後述する評価情報取得処理を実行し、単位区間(本実施形態においては、一定距離(例えば50m)の区間)毎の評価情報30bを取得し、記録媒体30に記録する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。
評価情報取得処理においては、車両の車速センサ42の出力信号に基づいて取得される車速と加速度とのいずれかまたは双方と、走行シーン毎に規定された判定条件とを比較することによって悪化原因が発生したか否かが特定され、悪化原因が発生した場合には当該悪化原因を示す情報が評価情報30bに対応づけられる。なお、本実施形態においては、車両が「発進」、「加速」、「減速」、「巡航」、「高速走行」の各走行シーンである状態において悪化原因が発生したか否かを判定するように構成されており、各走行シーンについて予め判定条件が設定されている。当該評価情報取得処理の詳細は後述する。
本実施形態においては、運転者がナビゲーションプログラムの機能により、ユーザI/F部44を操作して目的地を設定し、当該目的地を設定した時点での車両の現在位置を出発地とし、当該出発地から目的地までの経路を探索して案内する。そして、現在において当該出発地から当該目的地まで走行している場合に、当該出発地から当該目的地までの走行を今回の走行とみなす。すなわち、今回走行した区間は、出発地が始点、現在位置が終点となる区間であり、車両の進行とともに車両が目的地に到達するまで今回走行した区間の総距離が大きくなる。目的地を設定した走行が行われ、車両が目的地に到達した場合、制御部20は、評価情報30bを記録する際に、出発地から目的地まで走行するまでの各単位区間についての評価情報30bと当該出発地および当該目的地とを対応付けて記録する。
悪化区間取得部21bは、今回の走行よりも過去における車両の燃費の評価を単位区間毎に示す過去評価を取得する機能と、過去評価が所定の評価レベルよりも悪い単位区間である悪化区間の位置と、当該悪化区間における燃費悪化の原因である悪化原因を取得する機能とを制御部20に実現させるプログラムモジュールである。本実施形態において制御部20は、車両が今回の走行よりも過去に出発地と同一の地点から出発し、目的地と同一の地点まで走行した場合における一連の走行を過去評価の取得対象となる過去の走行と見なす。そして、制御部20は、過去の走行で車両が走行した区間の単位区間毎の評価を過去評価として取得する。
このために、制御部20は、評価情報30bから上述の今回の走行と同一の出発地、目的地が対応付けられた経済走行割合を示す情報を取得する。そして、制御部20は、経済走行割合と所定の評価レベル(所定の閾値)とを比較し、所定の評価レベル以上である場合に燃費の評価を「良」、当該点灯割合が所定の評価レベルよりも小さい場合に燃費の評価を「悪」とする。このように「悪」評価とされた単位区間が悪化区間であり、制御部20は、当該悪化区間を示す情報を図示しないメモリに記録する。
なお、今回の走行と過去の走行とで出発地と目的地とが同一か否かを判定するためには、地点からの距離に所定のマージンを設け、例えば、距離が300m以内の2地点は同一と見なすような構成を採用可能である。また、過去に複数回に渡って、今回の走行と同一の出発地から同一の目的地まで走行した場合、各走行に際して記録された評価情報30bから単位区間毎に1個の情報を取得すれば良い。例えば、過去の走行のうち、最も現在に近い時刻にて走行した際の評価情報30bを取得する構成や、過去の走行のうち、最も評価が良い評価情報30bを単位区間毎に取得する構成等を採用可能である。また、所定の評価レベルは、燃費の評価を行う際に決定されていればよく、本実施形態においては、運転者が予め設定した自身の運転技術に応じて設定される。すなわち、運転者はユーザI/F部44の入力部によって複数段階のレベルのいずれかを指定することで自身の運転技術を指定し、制御部20は、指定されたレベルが高いほど値が大きくなるように評価レベルとしての閾値を決定する。なお、本実施形態において、運転技術を示すレベルは初級、中級、上級の3段階である。
さらに、制御部20は、悪化区間取得部21bの処理により、悪化区間における燃費の悪化の原因である悪化原因を取得する。本実施形態においては、評価情報30bに対応づけられた走行シーンを示す情報が悪化原因と等価であると見なして当該走行シーンを示す情報を取得する。すなわち、燃費が悪化しているか否かを判定するための判定条件は走行シーン毎に予め決められているため、走行シーンが特定されると、悪化原因が特定されることになる。
判定区間設定部21cは、連続する複数の単位区間からなる判定区間を設定する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。本実施形態において制御部20は、悪化区間取得部21bの処理によって過去評価が取得された単位区間の数を計測し、一定数(例えば、8個)の単位区間が連続する区間を判定区間として設定する。すなわち、制御部20は、複数の単位区間をより長い区間である判定区間に分類する。判定区間は、当該判定区間内に悪化区間が存在するか否かが判定されるための単位として定義される区間である。本実施形態においては、判定区間内に悪化区間が存在する場合に案内対象区間となり、各案内対象区間について1回ずつ悪化区間に関する第1種音声案内が行われるため、判定区間毎に案内対象とすべきか否かが判定されることとなる。判定区間内に含まれる単位区間の数は任意であり、一定数であっても良いし変動する数であっても良いが、複数の単位区間についての悪化区間に関する第1種音声案内がまとめて1回で案内されることにより、短期間で頻繁に第1種音声案内が行われることが防止されるように判定区間に含まれる単位区間の数が規定される。
なお、図6Aは、車両の走行予定経路を矢印によって示しており、走行予定経路上に設定された単位区間Zuを模式的に示している。制御部20は、車両の走行開始後に、車両の出発地に近い単位区間Zuから走行予定経路に沿って順に単位区間Zuの数を特定し、一定数に達した場合に当該一定数の単位区間Zuによって構成される区間を判定区間として定義する処理を出発地から目的地までの経路について実施する。図6Aにおいては、一定数の単位区間によって形成される判定区間をZn(nは2以上の自然数)で示している。
音声案内部21dは、1個以上の悪化区間が含まれる判定区間を案内対象区間とし、各案内対象区間について1回ずつ、案内対象区間に含まれる悪化区間に関する第1種音声案内を行う機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20が、連続する複数の単位区間からなる案内対象区間毎に悪化区間に関する第1種音声案内を1回行うことで、短期間での頻繁に第1種音声案内が行われることが防止されるように構成されている。
具体的には、制御部20は、判定区間設定部21cの処理によって設定された判定区間のそれぞれについて判定区間に含まれる単位区間が悪化区間であったか否かを判定する。そして、制御部20は、判定区間に1個でも悪化区間が含まれていればその判定区間を案内対象区間とする。例えば、図6Aに示す例においては、各単位区間の中央に葉を模したアイコンによって過去評価Epg,Epbを示しており、ハッチを付したアイコンEpbは単位区間が悪化区間であったことを示し、ハッチを付していないアイコンEpbは単位区間が悪化区間ではない単位区間(「良」評価であった単位区間)であったことを示している。従って、当該図6Aに示す例において、判定区間Zn,Zn+1は案内対象区間である。
本実施形態において、制御部20は、案内対象区間に対して進行方向の逆方向に隣接する判定区間の開始位置に車両が到達した段階で当該案内対象区間に関する第1種音声案内を出力可能であるか否かを判定し、出力可能である場合、当該案内対象区間に関する第1種音声案内を1回実行する。例えば,図6Aに示す例において、制御部20は、案内対象区間Zn+1に対して進行方向の逆方向に隣接する判定区間Znの開始位置Pnsに車両が到達すると、案内対象区間Zn+1に関する第1種音声案内を出力可能であるか否かを判定し、出力可能であれば案内対象区間Zn+1に関する第1種音声案内を出力する。
なお、悪化区間に関する第1種音声案内は、当該第1種音声案内の内容を伝達された運転者が燃費改善のための運転操作を試みることができるように構成されていれば良い。従って、悪化区間の存在や位置等を示す第1種音声案内であっても良いし、悪化区間における燃費の評価を悪化させた悪化原因等を示す第1種音声案内であっても良いし、燃費改善のためのアドバイスを示す第1種音声案内であっても良く、種々の構成を採用可能である。
本実施形態においては、悪化原因に関する第1種音声案内を行うことで悪化区間に関する第1種音声案内を行うように構成されている。悪化原因に関する第1種音声案内は、悪化原因を直接的に示す案内でも良いし、間接的に示す案内であっても良く、以下、悪化原因を間接的に示す案内として悪化原因を解消するための運転操作を第1種音声案内とする構成によって本実施形態を説明する。
すなわち、本実施形態において、制御部20は、案内対象区間に1個の悪化区間が含まれる場合、当該悪化区間の悪化原因が対応づけられた音声情報を音声案内情報30cから抽出し、当該音声情報が示す第1種音声案内を当該悪化区間に関する案内とする。一方、案内対象区間に2個以上の悪化区間が含まれる場合、制御部20は、当該案内対象区間に含まれる悪化区間の悪化原因を特定し、案内優先度が高い悪化原因を優先的に選択し、選択された悪化原因に関する第1種音声案内を行う。
すなわち、案内対象区間内に悪化区間が2個以上含まれる場合、全ての悪化区間に関する第1種音声案内を行うのではなく、案内対象区間内に含まれる悪化区間のうち、案内優先度が低い一部の悪化区間については第1種音声案内対象から除外し、案内優先度が高い悪化区間に関する第1種音声案内を優先的に行う。本実施形態において制御部20は、2個以上の悪化区間の悪化原因を案内優先度順に1個ずつ選択して第1種音声案内が出力可能であるか否かを判定し、最初に出力可能であると判定された悪化原因について、当該悪化原因が対応づけられた音声情報を音声案内情報30cから抽出し、当該音声情報が示す第1種音声案内を当該悪化区間に関する案内とする。
本実施形態において、第1種音声案内が出力可能であるか否かの判定は、第2種音声案内との重複を避けて第1種音声案内を出力可能であるか否かを判定することによって行われる。具体的には、上述のように、各分岐交差点よりも車両側に存在する各既定位置についての第2種音声案内が出力されるように第2期間が取得されるため、制御部20は、第1種音声案内が第2種音声案内に重ならない第1期間において第1種音声案内を開始する。
すなわち、第1種音声案内の出力継続期間と当該第2期間とが重複しないように当該第1種音声案内を出力可能な第1期間が存在する場合、制御部20は、当該第1期間に含まれるいずれかの時刻にて第1種音声案内を開始する。具体的には、制御部20は、第2種音声案内の第2期間(開始時刻および終了時刻)を取得する。すなわち、制御部20は、経路案内プログラムを実行することにより、第2種音声案内の開始時刻および終了時刻である第2期間は決定済であるため、制御部20は、当該決定済の開始時刻および終了時刻によって第2期間を特定する。例えば、図5Aに示す位置P1に関しては、上述のように特定された第2種音声案内の開始時刻Tg1から終了時刻Tge1までの期間を第2期間とする。同様に位置P2に関しては、開始時刻Tg2から終了時刻Tge2までの期間を第2期間とし、位置P3に関しては、開始時刻Tg3から終了時刻Tge3までの期間を第2期間とする。
さらに、制御部20は、悪化区間に関する案内として特定済の第1種音声案内について、音声案内情報30cを参照し、当該悪化区間の悪化原因が対応づけられた第1種音声案内の出力継続期間を示す情報を取得する。そして、制御部20は、第2期間の開始時刻よりも第1種音声案内の出力継続期間だけ前の時刻から第2期間の終了時刻までの期間を除く期間を第1種音声案内が出力可能な第1期間であるとみなす。図5Bは、図5Aに示す例の一部を拡大した図であり、この例において、図6Aに示す判定区間Zn-1,Zn,Zn+1が図5Bに図示された位置関係にある場合を例にして第1期間が特定される様子を説明する。
図5Bに示す例において、車両が案内対象区間Zn+1に対して進行方向の逆方向に隣接する判定区間Znの開始位置Pnsに到達すると、制御部20は、案内対象区間Zn+1に関する第1種音声案内を出力可能であるか否かを悪化区間の悪化原因の案内優先度順に判定する。ここでは、第1種音声案内の出力継続期間がC1である悪化原因を想定する(出力継続期間C1は悪化原因によって異なり得る)。この場合、制御部20は、第2期間の開始時刻Tg2,Tg3よりも第1種音声案内の出力継続期間C1だけ前の時刻Ts2,Ts3から第2期間の終了時刻Tge2,Tge3までの期間を除く期間を第1種音声案内が出力可能な第1期間S1であるとみなす。
なお、本実施形態においては、車両が案内対象区間の開始位置に到達する以前に悪化区間に関する第1種音声案内が終了するように当該第1種音声案内を開始するように構成される。すなわち、運転者は、案内対象区間において、悪化区間に関する音声案内に応じて運転操作の改善を試みるため、運転者が音声案内を認識し、運転操作を想定し、実行するためには案内対象区間に車両が到達する前に音声案内が終了することが好ましい。そこで、制御部20は、図5Bに示す例においては、案内対象区間Zn+1の開始位置Pn+1sに到達する以前に悪化区間に関する音声案内が終了するように当該音声案内を開始する。具体的には、制御部20は、車両の現在位置から案内対象区間Zn+1の開始位置Pn+1sまでの距離を固定車速で除した値と、現在時刻との和に基づいて案内対象区間Zn+1の開始位置Pn+1sへの到達時刻Tn+1sを特定する。そして、制御部20は、位置Pn+1sへの到達時刻Tn+1sよりも第1種音声案内の出力継続期間C1だけ前の時刻Tn+1から位置Pn+1sへの到達時刻Tn+1sまでの期間を除く期間を第1種音声案内が出力可能な第1期間S1であるとみなす。
以上のような処理の結果、第1期間が存在する場合において、制御部20は、第1種音声案内が出力可能であると判定し、出力可能であれば案内対象区間Zn+1に関する第1種音声案内を出力する。ある案内優先度の悪化原因について第1種音声案内が出力可能であると判定されない場合、次の案内優先度の悪化原因について同様の処理が行われ、いずれの案内優先度の悪化原因についても第1種音声案内が出力可能と判定されない場合、第1種音声案内は行われない。
以上の構成によれば、案内対象区間に複数の悪化区間が含まれる場合であっても、各悪化区間についての音声案内は行われず、音声案内は1回出力されることになる。このため、車両の前方に悪化区間が多数存在する場合や、悪化区間同士の距離が近接している場合であっても、運転者は悪化区間に関する音声案内を容易に理解することができる。従って、容易に当該音声案内に応じた燃費改善を実施することができ、着実に燃費を改善することが可能である。そして、少しずつであっても着実に燃費が改善されることにより、煩雑で理解困難な運転支援が行われる場合と比較して、効率的に燃費を改善することが可能である。
さらに、本実施形態によれば、案内対象区間に複数の悪化区間が含まれる場合に、悪化原因の案内優先度順に第1種音声案内の対象となる悪化原因を特定する。従って、案内優先度が高い悪化原因から優先的に解消するように促すことが可能である。さらに、悪化区間に関する音声案内である第1種音声案内と、経路案内である第2種音声案内とが重複しないように第1種音声案内を開始することが可能である。従って、悪化区間に関する音声案内によって経路案内が阻害されることはなく、運転者を確実に目的地まで誘導しながらも、悪化原因を徐々に解消していくように促すことができる。さらに、案内対象区間の第1種音声案内を当該案内対象区間に車両が到達する前に出力するため、運転者は余裕を持って案内対象区間の悪化区間に対応した運転操作を開始することが可能である。
(2)評価情報取得処理:
次に、評価情報取得処理について詳細に説明する。図2は、評価情報取得処理のフローチャートであり、本実施形態において制御部20は、目的地を設定した走行が開始された後に今回走行履歴取得部21aによって評価情報取得処理を実行する。評価情報取得処理が実行される前に制御部20は、車両が単位区間の長さとして定義された一定距離を走行したか否かを判定するための累計距離と、車両が経済走行をした距離を特定するための経済走行距離と、車両が経済走行をしなかった距離を特定するための不経済走行距離とを示す変数を初期化する。なお、不経済走行距離は走行シーン毎に定義され、発進シーンでの不経済走行距離、加速シーンでの不経済走行距離、巡航(加速)シーンでの不経済走行距離、減速シーンでの不経済走行距離、巡航(減速)シーンでの不経済走行距離、高速走行シーンでの不経済距離が定義される。
評価情報取得処理が実行されると、制御部20は、車両の車速、加速度、現在位置を取得する(ステップS100)。すなわち、制御部20は、車速センサ42の出力情報に基づいて車速を特定し、車速の時間変化に基づいて加速度を取得する。さらに、制御部20は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43との出力信号に基づいて車両の現在位置を取得する。この結果、車両の位置毎の車速と加速度が特定される。
次に、制御部20は、走行距離を累計距離に加算する(ステップS105)。本実施形態において、ステップS100〜S180はループ処理となっており、ループ処理が繰り返される場合には一定の期間(例えば、100ms)毎にステップS100の処理が行われる。そこで、制御部20は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43との出力信号に基づいて、前回ステップS100が実行されてから今回ステップS100が実行されるまでの間に車両が走行した走行距離ΔLを特定し、累計距離に加算する。すなわち、制御部20は、ステップS100〜S180が繰り返されている間に車両が走行した総距離を示す値が累計距離となるように加算処理を行う。
次に、制御部20は、発進シーンでの悪化原因が発生したか否かを判定し(ステップS110)、発進シーンでの悪化原因が発生したと判定されない場合にはステップS115をスキップする。一方、ステップS110にて、発進シーンでの悪化原因が発生したと判定された場合、制御部20は、走行距離を発進シーンでの不経済走行距離に加算する(ステップS115)。すなわち、ステップS105にて累計距離に加算された上述の走行距離ΔLを発進シーンでの不経済走行距離に加算する。
なお、ステップS110においては、車両を発進させる際の燃費が基準の燃費よりも悪くなるような運転操作が発進シーンにおいて行われていたか否かを判定することができれば良く、本実施形態においては、当該判定を車速について予め規定された判定条件に基づいて実施する。すなわち、車両を発進させる際に過度の加速を行うとエネルギーが無駄に消費される。そこで、停止していると見なすことができる車両の車速が大きくなる発進シーンにおいて、車速の変化が急激である場合に発進シーンでの悪化原因が発生したと判定する構成等を採用可能である。具体的には、発進後の経過時間とともに大きくなる閾値を時刻毎に設定し、発進開始後の初期において時刻毎の車速が当該閾値を超える場合に発進シーンでの悪化原因が発生したと判定する構成や、単位時間あたりの車速の変化が所定の閾値を超える場合に発進シーンでの悪化原因が発生したと判定する構成等を採用可能である。
次に、制御部20は、加速シーンでの悪化原因が発生したか否かを判定し(ステップS120)、加速シーンでの悪化原因が発生したと判定されない場合にはステップS125をスキップする。一方、ステップS120にて、加速シーンでの悪化原因が発生したと判定された場合、制御部20は、走行距離を加速シーンでの不経済走行距離に加算する(ステップS125)。すなわち、ステップS105にて累計距離に加算された上述の走行距離ΔLを加速シーンでの不経済走行距離に加算する。
なお、ステップS120においては、車両を加速させる際の燃費が基準の燃費よりも悪くなるような運転操作が加速シーンにおいて行われていたか否かを判定することができれば良く、本実施形態においては、当該判定を車速および加速度について予め規定された判定条件に基づいて実施する。すなわち、車両を加速させる際に過度の加速を行うとエネルギーが無駄に消費される。また、車両が高速で走行している状態と低速で走行している状態とを比較すると、前者の方が後者よりも大きな加速度が必要とされるシーンが少ない。そこで、車速が大きいほど値が小さくなる閾値を予め定義しておき、車両の車速が大きくなる加速シーン(停止状態からの加速は除く)において、加速度が当該閾値を超えている場合に加速シーンでの悪化原因が発生したと判定する構成等を採用可能である。なお、閾値は、車速が大きくなるにつれて連続的に変化しても良いし段階的に変化しても良い。
次に、制御部20は、巡航シーンにおいて加速に伴う悪化原因が発生したか否かを判定し(ステップS130)、巡航シーンにおいて加速に伴う悪化原因が発生したと判定されない場合にはステップS135をスキップする。一方、ステップS130にて、巡航シーンにおいて加速に伴う悪化原因が発生したと判定された場合、制御部20は、走行距離を巡航シーンでの不経済走行距離に加算する(ステップS135)。すなわち、ステップS105にて累計距離に加算された上述の走行距離ΔLを巡航(加速)シーンでの不経済走行距離に加算する。なお、巡航シーンは、車両が一定範囲の車速で走行を継続しているシーンである。
また、ステップS130においては、車両を走行させる際の燃費が基準の燃費よりも悪くなるような加速操作が巡航シーンにおいて行われていたか否かを判定することができれば良く、本実施形態においては、当該判定を車速および加速度について予め規定された判定条件に基づいて実施する。すなわち、車両を巡航させる際に過度の加速を行うとエネルギーが無駄に消費される。そこで、制御部20は、車両が一定範囲の車速で走行する巡航走行を継続しているか否かを車速に基づいて判定し、巡航走行を継続している場合は、さらに、加速度が予め決められた閾値を超えている場合に巡航シーンでの悪化原因が発生したと判定する構成等を採用可能である。なお、巡航シーンにおいては、過度の加速のみならず過度の減速も燃費の悪化原因となるため、図2のステップS130,S135においては、巡航シーンにおいて加速されたことを判定していることを示すため、巡航(加速)シーンと表記し、S150,S155においては、巡航シーンにおいて減速されたことを判定していることを示すため、巡航(減速)シーンと表記している。
次に、制御部20は、減速シーンでの悪化原因が発生したか否かを判定し(ステップS140)、減速シーンでの悪化原因が発生したと判定されない場合にはステップS145をスキップする。一方、ステップS140にて、減速シーンでの悪化原因が発生したと判定された場合、制御部20は、走行距離を減速シーンでの不経済走行距離に加算する(ステップS145)。すなわち、ステップS105にて累計距離に加算された上述の走行距離ΔLを減速シーンでの不経済走行距離に加算する。
また、ステップS140においては、車両を減速させる際の燃費が基準の燃費よりも悪くなるような運転操作が減速シーンにおいて行われていたか否かを判定することができれば良く、本実施形態においては、当該判定を車速および加速度について予め規定された判定条件に基づいて実施する。すなわち、車両を減速させる際に過度の減速が行われた場合、減速前の車速に到達するための加速が無駄であったことになる。また、車両が高速で走行している状態と低速で走行している状態とを比較すると、前者の方が後者よりも過度に減速させた場合に無駄になるエネルギーが多い。そこで、減速させるための加速度である負の加速度について、車速が大きいほど大きくなる(負の範囲で絶対値が小さくなる)閾値を予め定義しておき、車両の車速が小さくなる減速シーンにおいて、加速度が当該閾値を下回る場合に減速シーンでの悪化原因が発生したと判定する構成等を採用可能である。なお、閾値は、車速が大きくなるにつれて連続的に変化しても良いし段階的に変化しても良い。
次に、制御部20は、巡航シーンにおいて減速に伴う悪化原因が発生したか否かを判定し(ステップS150)、巡航シーンにおいて減速に伴う悪化原因が発生したと判定されない場合にはステップS155をスキップする。一方、ステップS150にて、巡航シーンにおいて減速に伴う悪化原因が発生したと判定された場合、制御部20は、走行距離を巡航シーンでの不経済走行距離に加算する(ステップS155)。すなわち、ステップS105にて累計距離に加算された上述の走行距離ΔLを巡航(減速)シーンでの不経済走行距離に加算する。
また、ステップS150においては、車両を走行させる際の燃費が基準の燃費よりも悪くなるような減速操作が巡航シーンにおいて行われていたか否かを判定することができれば良く、本実施形態においては、当該判定を車速および加速度について予め規定された判定条件に基づいて実施する。すなわち、車両を巡航させる際に過度の減速を行うと減速前の速度に加速させるためのエネルギーが無駄であったことになる。そこで、制御部20は、車両が一定範囲の車速で走行する巡航走行を継続しているか否かを車速に基づいて判定し、巡航走行を継続している場合は、さらに、加速度が予め決められた閾値を下回る場合に巡航シーンでの悪化原因が発生したと判定する構成等を採用可能である。
次に、制御部20は、高速走行シーンでの悪化原因が発生したか否かを判定し(ステップS160)、高速走行シーンでの悪化原因が発生したと判定されない場合にはステップS165をスキップする。一方、ステップS160にて、高速走行シーンでの悪化原因が発生したと判定された場合、制御部20は、走行距離を高速走行シーンでの不経済走行距離に加算する(ステップS165)。すなわち、ステップS105にて累計距離に加算された上述の走行距離ΔLを高速走行シーンでの不経済走行距離に加算する。
また、ステップS160においては、車両を走行させる際の燃費が基準の燃費よりも悪くなるような運転操作が高速走行シーンにおいて行われていたか否かを判定することができれば良く、本実施形態においては、当該判定を車速について予め規定された判定条件に基づいて実施する。すなわち、車速を過度に大きくすると、過度にエネルギーを消費する。そこで、制御部20は、車両の車速が予め決められた閾値を超えている場合に高速走行シーンでの悪化原因が発生したと判定する構成等を採用可能である。
次に、制御部20は、悪化原因が発生しなかったか否かを判定する(ステップS170)。すなわち、ステップS110〜S160で判定したような各走行シーンでの悪化原因のいずれも発生していなかった場合、制御部20は、ステップS105にて取得された走行距離ΔLを走行する過程において、悪化原因が発生しなかったと見なす。このため、制御部20は、ステップS115,S125,S135,S145,S155,S165において各走行シーンの不経済走行距離が加算されなかった場合に、悪化原因が発生しなかったと見なす。そして、ステップS170において、悪化原因が発生しなかったと判定された場合、制御部20は、走行距離を経済走行距離に加算する(ステップS175)。すなわち、ステップS105にて累計距離に加算された上述の走行距離ΔLを経済走行距離に加算する。一方、テップS170において、悪化原因が発生しなかったと判定されなかった場合、ステップS175はスキップされる。
次に、制御部20は、累計距離が一定距離以上になったか否かを判定し(ステップS180)、ステップS180にて累計距離が一定距離以上になったと判定されるまでステップS100以降の処理を繰り返す。すなわち、制御部20は、累計距離が、単位区間の距離として予め定義された一定距離以上になった場合に、車両が単位区間を走行したと見なしてステップS100〜S180のループ処理を抜けることになる。
ステップS180にて、累計距離が一定距離以上になったと判定された場合、制御部20は、経済走行割合を経済走行距離/累計距離に設定する(ステップS185)。次に、制御部20は、経済走行割合および走行シーン毎の不経済走行距離を、累計距離の計測対象となった単位区間に対応付けて評価情報30bとして記録媒体30に記録する(ステップS190)。以上の処理によれば、単位区間毎の評価情報30bを記録媒体30に記録することができる。なお、車両の目的地が設定された状態で評価情報取得処理が実行された場合、制御部20は、ステップS190において、目的地と出発地とを示す情報を評価情報30bに対応付けて記録する。
(3)過去評価取得処理:
次に、過去評価取得処理について詳細に説明する。図3は、過去評価取得処理のフローチャートであり、本実施形態においては、運転者によって目的地が設定され、今回の走行の出発地および目的地と同一の出発地および目的地であった過去の走行についての評価情報30bが存在する場合に当該過去評価取得処理が実行される。
過去評価取得処理において、制御部20は、悪化区間取得部21bの処理により、走行予定経路上の単位区間の評価情報を取得する(ステップS200)。すなわち、制御部20は、悪化区間取得部21bの処理により、地図情報30aおよび評価情報30bを参照し、車両の出発地から目的地までの走行予定経路を特定し、当該走行予定経路上で設定された単位区間毎の評価情報を取得する。次に、制御部20は、未処理の単位区間を処理対象の単位区間に設定する(ステップS205)。すなわち、制御部20は、出発地に近い単位区間から処理対象に設定して過去評価を行う処理を目的地の単位区間まで順次行うこととしており、初回にステップS205が実行される場合、出発地からの走行開始後に通過する単位区間を処理対象の単位区間とし、処理対象の単位区間についてステップS2005〜S230の処理が終了すると、未処理の単位区間であって出発地に近い単位区間が新たに処理対象の単位区間とされる。
次に、制御部20は、悪化区間取得部21bの処理により、処理対象の単位区間の過去の走行における経済走行割合が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS210)。ステップS210で経済走行割合が所定の閾値以上であると判定された場合、制御部20は、悪化区間取得部21bの処理により、処理対象の単位区間の過去評価を「良」に設定する(ステップS215)。また、ステップS210で経済走行割合が所定の閾値以上であると判定されない場合、制御部20は、悪化区間取得部21bの処理により、処理対象の単位区間の過去評価を「悪」に設定する(ステップS220)。なお、経済走行割合と比較される所定の閾値は上述の所定の評価レベルである。ステップS215あるいはS220が実行されると、各単位区間には過去評価を示す情報が対応づけられ、当該単位区間毎の過去評価を示す情報がRAMに記録される。
ステップS220によって過去評価が悪に設定された場合、すなわち、処理対象の単位区間が悪化区間であった場合、制御部20は、悪化区間取得部21bの処理により、当該悪化区間の悪化原因を取得する(ステップS225)。すなわち、制御部20は、悪化区間の評価情報30bを参照し、走行シーン毎の不経済走行距離を特定する。当該走行シーンの不経済走行距離は、各走行シーンでの悪化原因が発生していた状態で車両が悪化区間内を走行した累計距離を走行シーン毎に示している。そこで、制御部20は、走行シーン毎の不経済走行距離を比較し、最も距離が長い走行シーンを選択する。そして、制御部20は、選択された走行シーンでの悪化原因が当該悪化区間の悪化原因であると見なす。悪化原因が取得されると、当該悪化原因を示す情報が悪化区間を示す情報に対応づけられてRAMに記録される。
ステップS215あるいはS225が実行されると、制御部20は、悪化区間取得部21bの処理により、全ての単位区間の過去評価を特定済であるか否かを判定する(ステップS230)。すなわち、制御部20は、走行予定経路上の単位区間の全てについて処理対象として過去評価を特定する処理を行ったか否かを判定する。ステップS230にて、全ての単位区間の過去評価を特定済であると判定されない場合、ステップS205以降の処理を繰り返す。一方、ステップS230にて、全ての単位区間の過去評価を特定済であると判定された場合、制御部20は、過去評価取得処理を終了する。以上の処理の結果、図6Aに葉を模したアイコンで示すような、単位区間Zu毎の過去評価が特定される。
(4)音声案内処理:
次に、音声案内処理について詳細に説明する。図4は、音声案内処理のフローチャートである。本実施形態において制御部20は、過去評価取得処理が終了した後、車両が走行している過程において判定区間設定部21cおよび音声案内部21dの処理により、音声案内処理を実行する。音声案内処理の実行が開始されると、制御部20は、判定区間設定部21cの処理により、判定区間を設定する(ステップS300)。すなわち、制御部20は、過去評価取得処理によって過去評価が取得された複数の単位区間について、出発地から順に単位区間を一定数取得して判定区間として定義する処理を目的地まで繰り返す。この結果、図6Aに示すように一定数の単位区間Zuが判定区間Zn(nは2以上の自然数)のそれぞれに分類される。各単位区間には判定区間を示すID等の情報が対応づけられ、当該単位区間毎に判定区間を示す情報がRAMに記録される。
次に、制御部20は、音声案内部21dの処理により、案内対象区間を取得する(ステップS305)。すなわち、制御部20は、1個以上の悪化区間が含まれる判定区間を案内対象区間として取得する。図6Aに示す例において判定区間Zn,Zn-1は案内対象区間として取得される。各判定区間には判定区間が案内対象区間であるか否かを示すフラグ等の情報が対応づけられ、当該判定区間が案内対象区間であるか否かを示す情報がRAMに記録される。
次に、制御部20は、音声案内部21dの処理により、車両の現在位置が案内対象区間まで既定距離以下であると判定されるまで待機する(ステップS310)。本実施形態において既定距離は、判定区間の距離(一定数の単位区間の距離の和)と同一である。従って、本実施形態において制御部20は、案内対象区間に対して進行方向の逆方向に隣接する判定区間の開始位置に到達するまで待機し、当該判定区間の開始位置に到達すると、ステップS320以降の処理が実行されることになる。例えば、図6Aに示す例において、車両が位置Pnsに到達すると、制御部20は、案内対象区間Zn+1についての処理を行うためにステップS320以降の処理を実行する。
次に、制御部20は、音声案内部21dの処理により、第2種音声案内が出力される第2期間を取得する(ステップS320)。当該第2期間は制御部20が経路案内プログラムを実行することによって決定済であるため、制御部20は、当該決定済の開始時刻および終了時刻を取得することで第2期間を取得する。例えば、図5Aに示す例においては、分岐交差点Pgに関する初期音声案内の開始時刻Tg1、終了時刻Tge1が取得され、中間音声案内の開始時刻Tg2、終了時刻Tge2が取得され、直前音声案内の開始時刻Tg3、終了時刻Tge3が取得されることで第2期間が取得される。
次に、制御部20は、案内対象区間に含まれる悪化区間の悪化原因を取得する(ステップS325)。すなわち、制御部20は、案内対象区間に含まれる悪化区間のそれぞれについてステップS225でRAMに記録された悪化原因を示す情報を取得し、各悪化区間の悪化原因を取得する。図6B,図6Cは、図6Aに示す案内対象区間Zn,案内対象区間Zn+1を拡大して示す図であり、悪化区間の下方に悪化原因の例を示している。ステップS310において既定距離以下であるか否かが判定された案内対象区間が、図6Bに示す案内対象区間Znである場合、制御部20は、ステップS325において、悪化区間Epb1,Epb2の悪化原因が加速シーンでの悪化原因であり、悪化区間Epb3,Epb4,Epb5の悪化原因が減速シーンでの悪化原因であることを取得する。ステップS310において既定距離以下であるか否かが判定された案内対象区間が、図6Cに示す案内対象区間Zn+1である場合、制御部20は、ステップS325において、悪化区間Epb6の悪化原因が減速シーンでの悪化原因であり、悪化区間Epb7の悪化原因が発進シーンでの悪化原因であり、悪化区間Epb8の悪化原因が加速シーンでの悪化原因であることを取得する。
以後、制御部20は、案内対象区間内の悪化区間の悪化原因を順次判定対象とし、音声案内の対象となる悪化原因を1個選択するための処理を行う。このために、制御部20は、音声案内部21dの処理により、未判定の悪化原因の中で最も案内優先度が高いものを判定対象に設定する(ステップS330)。
なお、本実施形態においては、2種類の観点から案内優先度の高い悪化原因が取得される。すなわち、制御部20は、案内対象区間内において悪化原因が同一である単位区間の数が多いほど当該悪化原因の案内優先度が高いと見なす。すなわち、案内対象区間内に同一の悪化原因が多く含まれる場合、当該悪化原因に関する案内を行えば、同一の悪化原因であった悪化区間の全て(あるいは複数)で運転者が燃費を改善でき、結果として燃費を効果的に改善できる可能性が高い。そこで、悪化原因が同一である単位区間の数が多いほど当該悪化原因の案内優先度が高くなるように構成すれば、燃費を効果的に改善できる可能性が高い悪化原因ほど優先的に案内することが可能になる。
そこで、制御部20は、ステップS325で取得された悪化原因のそれぞれについて同一のものをカウントする。そして、カウント数が多いほど案内優先度が高いと見なす。例えば、図6Bに示す案内対象区間Znに含まれる悪化区間の悪化原因は減速シーンでの悪化原因が3個、加速シーンでの悪化原因が2個である。従って、案内対象区間Znにおいては、減速シーンでの悪化原因が最も案内優先度が高く、加速シーンでの悪化原因の方が案内優先度が低い。
一方、案内対象区間内において悪化原因が同一である単位区間の数が一致する場合、悪化原因の数によって案内優先度を決定することができない。そこで、案内対象区間内において悪化原因が同一である単位区間の数が一致する場合、制御部20は、悪化原因が同一である単位区間同士については燃費を改善する効果が高い悪化原因ほど案内優先度が高いと見なす。すなわち、悪化原因ごとに当該悪化原因が解消される効果を予め解析すれば、悪化原因ごとの燃費の改善効果を定義することができる。そこで、燃費を改善する効果が高い悪化原因ほど案内優先度が高いと見なす構成を採用すれば、燃費を効果的に改善できる可能性が高い悪化原因ほど優先的に案内することが可能になる。
そこで、制御部20は、同一の悪化原因についてのカウント結果が一致した場合、さらに、一致した悪化原因同士を比較し、燃費の改善効果が高いほど悪化原因の案内優先度が高くなるように設定する。なお、燃費の改善効果は悪化原因ごとに予め決められていれば良く、悪化原因を解消した場合と解消していない場合との燃費の差が大きいものほど高いと見なされるように構成しても良いし、運転者が悪化原因の解消を試みた場合において悪化原因の解消が容易であるものほど燃費を改善する効果が高いと見なされるように構成しても良い。
例えば、本実施形態において、燃費の改善効果が高い順に高速走行シーンでの悪化原因、巡航シーンでの悪化原因、発進シーンでの悪化原因、加速シーンでの悪化原因、減速シーンでの悪化原因と規定されていることを想定する。この場合において、図6Cのように案内対象区間Zn+1に含まれる悪化区間の悪化原因が1個ずつで3種類存在する場合、悪化原因の数は全て同一であるため、燃費の改善効果に基づいて案内優先度を特定する。すなわち、図6Cに示す悪化原因のうち、最も燃費の改善効果が高い悪化原因は発進シーンでの悪化原因である。また、次に燃費の改善効果が高い悪化原因は加速シーンでの悪化原因であり、減速シーンでの悪化原因の燃費の改善効果が最も低い。従って、案内対象区間Zn+1においては、発進シーンでの悪化原因が最も案内優先度が高く、加速シーンでの悪化原因が次に高い案内優先度となり、減速シーンでの悪化原因が最も案内優先度が低くなる。
以上のような案内優先度の順に基づいて未判定の悪化原因の中で最も案内優先度が高いものが判定対象に設定されると、制御部20は、音声案内部21dの処理により、判定対象の悪化原因に関する第1種音声案内の出力継続期間を取得する(ステップS340)。すなわち、制御部20は、音声案内情報30cを参照し、判定対象の悪化原因に対応づけられた第1種音声案内の出力継続期間を示す情報を取得する。
次に、制御部20は、第1種音声案内が第2種音声案内と重複しない第1期間が存在するか否かを判定する(ステップS345)。すなわち、制御部20は、第2期間の開始時刻よりも第1種音声案内の出力継続期間だけ前の時刻から第2期間の終了時刻までの期間を除く期間を第1種音声案内が出力可能な第1期間であるとみなす処理を行い、この処理によって第1期間が定義された場合には、第1種音声案内が第2種音声案内と重複しない第1期間が存在すると判定する。例えば、図5Bに示す例において、案内対象区間Zn+1に含まれるある悪化区間の悪化原因が判定対象となった場合に、第1種音声案内の出力継続期間がC1であれば、制御部20は、時刻Tge2から時刻Ts3までの期間と時刻Tge3から時刻Tn+1までの期間を第1期間S1であるとみなす。このため、この場合においては、第1種音声案内が第2種音声案内と重複しない第1期間が存在すると判定される。一方、第1種音声案内の出力継続期間C1が時刻Tge2から時刻Tg3までの期間よりも長く、当該出力継続期間C1が時刻Tge3から時刻Tn+1sまでの期間よりも長い場合には、第1種音声案内が第2種音声案内と重複しない第1期間が存在すると判定されない。
ステップS345において、第1種音声案内が第2種音声案内と重複しない第1期間が存在すると判定されない場合、制御部20は、音声案内部21dの処理により、全悪化原因についてステップS345の判定が終了したか否かを判定する(ステップS350)。すなわち、制御部20は、ステップS310において、既定距離以下であると判定された案内対象区間に含まれる各悪化区間の悪化原因の全てについてステップS345の判定が終了した場合、全悪化原因についてステップS345の判定が終了したと判定する。むろん、同一の悪化原因である悪化区間が複数個存在する場合、当該悪化原因は一回判定対象とされれば良い。
ステップS350において、全悪化原因についてステップS345の判定が終了したと判定されない場合、ステップS330以降の処理を繰り返す。ステップS350において、全悪化原因についてステップS345の判定が終了したと判定された場合、ステップS310にて既定距離以下であると判定された案内対象区間に含まれる悪化原因については音声案内を行わず、次の案内対象区間について処理を行うように設定(ステップS352)してステップS310以降の処理を行う。すなわち、第2種音声案内を優先して出力することとし、第2種音声案内に重複する第1種音声案内は出力せずに次の案内対象区間についての処理に移行する。
一方、ステップS345において、第1種音声案内が第2種音声案内と重複しない第1期間が存在すると判定された場合、制御部20は、音声案内部21dの処理により、現在第1期間であると判定されるまで待機する(ステップS355)。現在第1期間であると判定された場合、制御部20は、判定対象の悪化原因に関する第1種音声案内を出力する(ステップS360)。すなわち、制御部20は、図示しない計時回路によって現在時刻を特定し、現在時刻が第1期間内であれば、音声案内情報30cを参照し、ステップS330にて判定対象に設定された悪化原因に対応づけられた音声情報を取得し、ユーザI/F部44のスピーカーに対して出力する。この結果、ステップS330にて判定対象に設定された悪化原因に関する第1種音声案内がユーザI/F部44のスピーカーから出力される。
以上の処理によれば、案内対象区間に悪化区間が1個含まれ、当該悪化区間の悪化原因に関する第1種音声案内を第2種音声案内と重複しないように出力可能であれば、案内対象区間に対して進行方向の逆方向に隣接する判定区間の開始位置に到達した段階で、当該悪化区間の悪化原因に関する第1種音声案内が出力される。また、案内対象区間に悪化区間が2個以上含まれる場合、案内対象区間に対して進行方向の逆方向に隣接する判定区間の開始位置に到達した段階で、第1種音声案内を第2種音声案内と重複しないように出力可能な悪化原因のうち、最も案内優先度が高い悪化原因に関する第1種音声案内が出力される。
(5)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、各案内対象区間について1回ずつ前記案内対象区間に含まれる前記悪化区間に関する音声案内を行う限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、過去評価、悪化原因は、車両に搭載されていない装置、例えば、情報管理センターから取得しても良い。むろん、ナビゲーション端末10は、車両に固定的に搭載されていても良いし、持ち運び可能なナビゲーション端末10が車両内に持ち込まれて利用される態様であっても良い。さらに、上述の車両は内燃機関によって駆動される車両であるが、適用対象の車両はこのような車両に限定されず、ハイブリッド車や電気自動車にて燃費(電気自動車の場合には単位距離あたりの消費電力量)の悪化原因を案内する構成であっても良い。
悪化原因は、運転者に通知することによって燃費の改善を期待し得る原因であればよく、上述の実施形態のように車速および加速度に基づいて特定する構成の他にも種々の構成を採用可能である。例えば、アクセルペダルの操作やシフトレバーの操作、走行モード(通常走行モードやトルクを最大化するパワーモード等)等に基づいて悪化原因が発生したことを特定しても良いし、消費燃料の計測結果等に基づいて悪化原因が発生したことを特定しても良い。なお、1個の単位区間において複数の悪化原因が存在した場合、最も燃費を悪化させる原因を悪化原因としてもよいし、燃費を悪化させる度合いが大きいn個(nは2以上の整数)の原因を悪化原因としてもよく、種々の構成を採用可能である。
さらに、音声案内対象の悪化原因は、上述の実施形態のように、1個でもよいし複数個でもよい。すなわち、案内対象区間に悪化区間が複数個含まれ、この結果、悪化原因が複数個になる場合にこれらの悪化区間に関する案内を行っても良い。この場合の音声案内の出力継続期間は各悪化区間それぞれについての音声案内の出力継続期間の和よりも短くなるように構成されることになる。すなわち、各案内対象区間について1回ずつ音声案内を出力することにより、案内対象区間に含まれる悪化区間の全てについて案内する場合よりも音声案内が短い期間で完了するように構成される。
なお、案内対象区間に悪化区間が複数個含まれる場合における音声案内の内容は、複数個の悪化区間のいずれかまたは組み合わせから生成されればよい。すなわち、複数個の悪化区間がN(Nは2以上の自然数)個の悪化区間である場合、(N−1)以下の個数の悪化区間を選択し、選択された悪化区間についての音声案内を1回で出力しても良いし、N個の悪化区間から選択された任意数の悪化区間に関する音声案内を統合した音声案内を1回で出力しても良い。
さらに、第2種音声案内は悪化区間に関する音声案内である第1種音声案内と異なる種類の案内であれば良いが、第2種音声案内の出力を既定位置で開始するように構成し、当該第2種音声案内に重複しないように第1種音声案内の出力開始位置を調整する構成においては、第2種音声案内の出力開始位置が既定位置となる。従って、第2種音声案内の方が第1種音声案内よりも案内優先度が高い種類であることが好ましい。
なお、第2種音声案内の案内優先度を第1種音声案内よりも高くすることが好ましい構成としては、第2種音声案内が地理的な位置が固定された地物に関する音声案内である構成が挙げられる。すなわち、地理的な位置が固定された地物(実空間内で移動しない地物)に関する音声案内は、上述の分岐交差点に関する音声案内のように、通常、当該地物から既定距離だけ手前の位置(あるいは既定期間だけ前の時刻)にて出力が開始される。地理的な位置が固定された地物に関する音声案内は、当該分岐交差点に関する経路案内以外にも、走行注意地点等の音声案内が挙げられ、ナビゲーションシステムにおいて重要な案内である場合が多い。そこで、このような地理的な位置が固定された地物に関する音声案内を第2種音声案内とし、案内優先度を第1種音声案内よりも高くすれば、重要な音声案内の開始時刻が規定通りの時刻となるように音声案内の出力開始位置を制御することができる。むろん、第1種音声案内の出力を既定位置で開始するように構成し、当該第1種音声案内に重複しないように第2種音声案内の出力開始位置を調整する構成であっても良く、この構成は第1種音声案内の方が第2種音声案内よりも案内優先度が高い種類である場合に適用するのが好ましい。
さらに、上述の実施形態の一部を省略する構成を採用しても良い。例えば、上述の実施形態においては、車両が案内対象区間の開始位置に到達する以前に悪化区間に関する第1種音声案内が終了するように構成していたが、この構成を省略しても良い。また、車両が案内対象区間の開始位置から進行方向の逆方向に所定距離の位置に到達する以前に悪化区間に関する第1種音声案内が終了するように構成しても良い。
具体的には、図5Bに示す例と同様な例において制御部20は、図7に示すように、案内対象区間Zn+1の開始位置Pn+1sから進行方向の逆方向に所定距離Lpの位置Pn+1に到達する以前に悪化区間に関する音声案内が終了するように当該音声案内を開始する。このために、制御部20は、第1期間S1を特定する際に、第2種音声案内との重複を避けて第1種音声案内を出力可能な第1期間は上述の実施例と同様に特定する。一方、案内対象区間の開始位置より前で第1種音声案内を終了させるための第1期間を特定する代わりに、制御部20は、車両の現在位置から案内対象区間Zn+1の開始位置Pn+1sまでの距離を固定車速で除した値と、現在時刻との和に基づいて案内対象区間Zn+1の開始位置Pn+1sへの到達時刻Tn+1sを特定する。さらに、制御部20は、所定距離Lpを固定車速で除した値を、到達時刻Tn+1sから減じることで位置Pn+1への到達時刻Tn+1を特定する。そして、制御部20は、位置Pn+1への到達時刻Tn+1よりも第1種音声案内の出力継続期間C1だけ前の時刻Tsn+1から位置Pn+1への到達時刻Tn+1までの期間を除く期間(時刻Tge3〜時刻Tsn+1までの期間)を第1種音声案内が出力可能な第1期間S1であるとみなす。
この構成によれば、運転者は余裕を持って案内対象区間の悪化区間に対応した運転操作を開始することが可能である。むろん、この構成は一例であり、案内対象の悪化区間の開始位置、当該開始位置から進行方向の逆方向に所定距離の位置等に到達する以前に悪化区間に関する第1種音声案内が終了するように構成しても良い。
さらに、上述の実施形態においては、案内優先度を2種類の観点に基づいて決定していたが、むろん、この構成は一例であり、他の構成を採用しても良い。例えば、燃費の改善効果のみに基づいて案内優先度を決定しても良いし、運転者が予め案内優先度を指定する構成であっても良い。
さらに、上述の実施形態においては、位置と時刻とを対応づけるために道路種別毎に予め決められた固定車速を利用していたが、むろん、車速は実測値であっても良い。車速を実測する場合、複数地点での実測値を統計した値であっても良いし、過去の履歴から実測値を補正した値であっても良い。
さらに、悪化区間に関する案内として、音声案内以外の案内、例えば、画像による案内が併用されても良い。画像による案内としては、例えば、図6Aに示すような悪化区間であるか否かを単位区間毎に示すアイコンを表示部に表示された地図上で示す案内等が挙げられる。むろんこの場合、悪化原因を示す画像を表示部に表示しても良いし、今回の走行において走行済の単位区間についてのアイコンや悪化原因を示す画像を表示部に表示しても良い。
さらに、音声案内の開始トリガも上述のステップS355に限定されない。例えば、車両と案内対象区間の開始位置との間に悪化区間が存在しない場合に案内対象区間に含まれる悪化区間に関する音声案内が行われるように構成しても良い。すなわち、ある案内対象区間に含まれる悪化区間に関する音声案内を行う場合、制御部20が、車両と案内対象区間の開始位置との間に悪化区間が存在するか否かを判定する構成とする。そして、制御部20は、車両と案内対象区間の開始位置との間に悪化区間が存在すると判定されない場合に、当該案内対象区間に含まれる悪化区間に関する音声案内を行う。この構成によれば、音声案内対象を運転者に誤認させることなく音声案内を行うことができる。
さらに、上述の実施形態においては、2個以上の悪化区間が含まれる案内対象区間についての第1種音声案内を案内対象区間に到達する前に行っていたが、このような第1種音声案内を行った後、特定の悪化区間についての第1種音声案内を案内対象区間内で行うように構成しても良い。例えば、案内対象区間での過去の走行において発進シーンでの悪化原因が発生していた場合、当該悪化原因は当該悪化原因の直前で案内されることによってより容易に悪化原因を解消可能である。そこで、悪化区間の悪化原因が特定の悪化原因である場合については、車両が案内対象区間に到達する前に案内するのではなく、悪化区間に到達する前(あるいは悪化区間の開始位置から進行方向の逆方向に既定距離の位置に到達した段階で)悪化区間に関する第1種音声案内を行うように構成しても良い。
さらに、上述のステップS355においては、制御部20が、現在時刻が第1期間内であるか否かを判定する構成を採用していたが、むろん、制御部20が第1期間に対応する第1区間内に車両が存在するか否かを判定し、第1区間内に車両が存在する場合に判定対象の悪化原因に関する第1種音声案内を出力する構成としても良い。例えば、制御部20が、第1期間の開始時刻における車両の推定位置を開始位置とし、第1期間の終了時刻における車両の推定位置を終了位置とし、当該開始位置から終了位置までの区間を第1期間に対応する第1区間と定義する構成とする。そして、制御部20が、車両の現在位置が第1区間内であるか否かを判定する構成とし、第1区間内に車両が存在する場合に判定対象の悪化原因に関する第1種音声案内を出力する構成とする。すなわち、位置および時間は車速を介して互いに変換可能であるため、第1期間と第1区間とは実質的に同一である。むろん、他の事項、例えば、第2種音声案内のタイミングや既定位置等を位置および時間のいずれで定義しても両者は実質的に同一である。