以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の電流センサ101を説明する分解斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態の電流センサ101を説明する斜視図である。なお、説明を容易にするため、絶縁基板19を省略している。図3は、本発明の第1実施形態の電流センサ101を説明する構成図であって、図2に示すZ1側から見た上面図である。図4は、本発明の第1実施形態の電流センサ101を説明する構成図であって、図3に示すIV−IV線における断面図である。
本発明の第1実施形態の電流センサ101は、図1ないし図4に示すように、第1扁平形状部12fを有する第1電流路12と、第1電流路12上に配設される第1磁電変換素子13と、を備えて構成されている。他に、第1電流路12と対向して配設された絶縁基板19や、図示はしていないが、電流センサ101への電力の供給や電流センサ101からの信号取り出しのために、外部制御機器と接続するコネクタが備えられている。
第1電流路12は、銅(Cu)等の導電性の良い金属製の材質を用い、図1ないし図4に示すように、第1扁平形状部12fと、第1電流路12の一方の端部12tから立設している第1凸部12wとを有して構成され、この第1凸部12wは、被測定電流の流れる向き(図2に示すY方向)に沿って形成されている。また、図示していないが、第1電流路12の両端側には、図示していない機器(被測定機器)の被測定電流路(測定したい電流路)と接続し固定するための保持部が設けられている。
また、第1扁平形状部12fと第1凸部12wとは、銅(Cu)等の金属板を折り曲げて、一体で形成されている。これにより、第1扁平形状部12fと第1凸部12wとを製造する際に、1枚の金属板から容易に製造することができる。このことにより、電流センサ101を安価にすることができる。
第1磁電変換素子13は、第1電流路12に被測定電流が流れたときに発生する磁気を検出する素子であって、例えば、巨大磁気抵抗効果を用いた磁気抵抗効果素子(GMR(Giant Magneto Resistive)素子と言う)を用い、図4に示すように、磁気センサパッケージ14内にパッケージングされている。また、第1磁電変換素子13は、図2及び図3に示すように、第1扁平形状部12f上に配設され、第1扁平形状部12fの長手方向の中央近傍に配設されているとともに、第1電流路12の他方の端部側に配設されている。そして、第1磁電変換素子13の感度方向が図3に示すX方向になるように配設されている。
この磁気センサパッケージ14は、GMR素子をシリコン基板上に作製した後、切り出されたGMR素子のチップと信号の取り出しのためのリード端子14rとを電気的に接続して、熱硬化性の合成樹脂でパッケージングして作製されている。そして、磁気センサパッケージ14は、リード端子14rにより、回路基板である絶縁基板19にはんだ付けされて、図示していない配線パターンとコネクタを介して、外部制御機器と接続されている。なお、第1磁電変換素子13をパッケージングして、磁気センサパッケージ14として絶縁基板19に配設したが、例えば第1磁電変換素子13をそのまま配設、所謂ベアチップ実装して配設しても良い。
絶縁基板19は、一般に広く知られている片面のプリント配線板を用いており、ガラス入りのエポキシ樹脂のベース基板に、ベース基板上に設けられた銅(Cu)等の金属箔をパターニングして、配線パターンを形成している。絶縁基板19には、図3及び図4に示すように、第1磁電変換素子13がパッケージングされた磁気センサパッケージ14が1個搭載されるようになっている。なお、絶縁基板19にガラス入りのエポキシ樹脂からなるプリント配線板を用いたが、これに限定されるものではなく、例えばセラミック配線板、フレキシブル配線板でも良い。また、本発明の第1実施形態では、絶縁基板19として回路基板を好適に用いたが、回路基板に限るものではなく、絶縁基板19上に回路基板を重ね合わせて、磁気センサパッケージ14を搭載する構成にしても良い。
以上のように構成された電流センサ101について、周波数の違う被測定電流が流れた場合の磁場の変化に関して、有限要素法解析システムを用いた磁場解析を行った。図5は、本発明の第1実施形態の電流センサのシミュレーションに用いたモデルの第1電流路12の断面図であって、図5(a)は、モデルA1であり、図5(b)は、モデルA2である。また、図6は、本発明の第1実施形態の電流センサのシミュレーションに用いたモデルの第1電流路12の断面図であって、図6(a)は、モデルB1であり、図6(b)は、モデルB2である。
このシミュレーションに用いた数値は(図5及び図6を参照)、第1電流路12の全体の長さを100(mm)、全体の幅W1を20(mm)とし、第1扁平形状部12fの厚みT1を4(mm)とし、第1凸部12wの長さを100(mm)として、全てのモデルについて同じにした。一方、モデルA1について、第1凸部12wの幅W2を4(mm)、厚みT2を4(mm)とし、モデルA2について、第1凸部12wの幅W2を4(mm)、厚みT2を10(mm)とし、モデルB1について、第1凸部12wの幅W2を6(mm)、厚みT2を4(mm)とし、第1凸部12wの幅W2を8(mm)、厚みT2を4(mm)とし、可変させた。なお、図1ないし図4に示す電流センサ101は、このモデルA1を具現化したものである。
また、図7は、本発明の第1実施形態の電流センサのシミュレーション結果であって、図5(a)のモデルA1,図5(b)のモデルA2に対応したグラフである。図8は、本発明の第1実施形態の電流センサのシミュレーション結果であって、図6(a)のモデルB1,図6(b)のモデルB2に対応したグラフである。図7及び図8のグラフの横軸は、第1電流路12の幅W1であり、中心からの距離(左右それぞれ10(mm))を示しており、図7及び図8のグラフの縦軸は、第1扁平形状部12fで第1凸部12wが設けられていない部分における磁束密度を示している。なお、図中のP11は、機器(被測定機器)で用いられる被測定電流の周波数が10(Hz)と、想定される最低周波数の場合の最低周波数磁束密度を示し、図中のP2は、機器(被測定機器)で用いられる被測定電流の周波数が10(kHz)と、想定される最高周波数の場合の最高周波数磁束密度を示している。
また、比較のため、第1電流路12に第1凸部12wが無い従来の構成についてもシミュレーションを行った。図26は、本発明の第1実施形態の電流センサ101と比較した図であって、図26(a)は、シミュレーションに用いた比較例のモデルH101の図であって、図26(b)は、モデルH101のシミュレーション結果のグラフである。なお、比較例のモデルH101について、電流路H12の長さを100(mm)、厚みH1を4(mm)、幅H2を20(mm)と、同じサイズにした。
その結果、図26(b)のような被測定電流の低周波数と高周波数との違いで磁束密度が大きく差が生じる場合と比較して、図7及び図8に示すように、第1凸部12wが設けられていない第1扁平形状部12f上で、被測定電流の低周波数と高周波数との違いによる磁束密度の差、つまり最低周波数磁束密度P11と最高周波数磁束密度P2との差が小さくなっていた。これは、第1凸部12wを設けたことにより、第1電流路12の周囲の磁場に変化が見られたためと考えられる。したがって、被測定電流の流れる向きに沿って導電性の第1凸部12wを設けることにより、最低周波数磁束密度P11と最高周波数磁束密度P2とを近づけて、より一致させることができる。
このことにより、最低周波数磁束密度P11と最高周波数磁束密度P2とが略一致する第1電流路12の上の位置に、第1磁電変換素子13が配設されるのが好適である。例えば、図7に示すように、モデルA1の場合は、第1電流路12の第1凸部12wが設けられていない第1扁平形状部12f上で、中心からの距離が約7(mm)の位置に第1磁電変換素子13を配設するのが望ましく、モデルA2の場合は、第1電流路12の第1凸部12wが設けられていない第1扁平形状部12f上で、中心からの距離が約6.5(mm)の位置に第1磁電変換素子13を配設するのが望ましい。また、図8に示すように、モデルB1の場合は、第1電流路12の第1凸部12wが設けられていない第1扁平形状部12f上で、中心からの距離が約5.5(mm)の位置に第1磁電変換素子13を配設するのが望ましく、モデルB2の場合は、第1電流路12の第1凸部12wが設けられていない第1扁平形状部12f上で、中心からの距離が約5(mm)の位置に第1磁電変換素子13を配設するのが望ましい。このように、本発明の電流センサ101は、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置に、第1磁電変換素子13を配設することができるので、被測定電流の周波数が変化しても最低周波数磁束密度P11と最高周波数磁束密度P2とが大きく異ならないので、精度良く電流値を測定することができる。
一方、従来例の電流測定装置900では、電流感度の低下を抑えるために、図26(b)に示す最高周波数磁束密度P2のピーク(図26(b)のR部分)の位置(中心からの距離が約9(mm)の位置)に、磁気センサ910を設けるとしているので、最低周波数磁束密度P11と最高周波数磁束密度P2との差が大きいものとなっている。このため、周波数の違う被測定電流を用いた他の機器に適用する場合や同じ機器であっても周波数が状態によって変化する場合、電流測定装置900で測定する電流感度が大きく違い、正確な測定精度が得られなくなる。
また、図7及び図8に示す結果から、第1扁平形状部12fの端部12tから第1凸部12wを立設させて、第1凸部12wの高さT2及び幅W2を変えることにより、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置を任意に変えることができる。これにより、第1磁電変換素子13の配設位置を任意に設定することもできる。また、図示していないが、第1凸部12wの形状、例えば、長さ或いはコーナーの面形状等を変えることによっても、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置を変えることができ、第1磁電変換素子13の配設位置を任意に設定することができる。
また、図7及び図8に示す結果から、第1凸部12wが第1扁平形状部12fの端部12tから立設しているので、最低周波数磁束密度P11と最高周波数磁束密度P2とが略一致する位置を、第1電流路12の中央側に移動させることができる。このことにより、第1磁電変換素子13を第1電流路12の中央付近により近づけて配設でき、従来例のように被測定導体(電流路)901の外側に磁気センサ(磁電変換素子)910を配置した場合と比較して、隣り合う電流路等からの外部磁場の影響を低減することができる。
また、この効果が存在することによって、次のような課題が解決できる。第1凸部12wの高さH2や幅W2を変化させることで、最低周波数磁束密度P11と最高周波数磁束密度P2とが略一致する位置を任意に変えることができるので、例えば車載用途において、電流センサを配置できる位置が限られ、従来例のような電流測定装置900では、磁気センサ(磁電変換素子)910を最良な位置に配設できないという課題を解決することができる。
また、最低周波数磁束密度P11と最高周波数磁束密度P2とが略一致する第1電流路12上の位置に、第1磁電変換素子13が配設されるのが好適であるが、最低周波数磁束密度P11と最高周波数磁束密度P2とが同等となる領域に対応する第1電流路12上の位置に、第1磁電変換素子13が配設されても良い。例えば、図7(b)に示すように、モデルA2の場合は、最低周波数磁束密度P11と最高周波数磁束密度P2とが同等となる領域、つまり中心からの距離が4.5(mm)から7.5(mm)の間、好ましくは、5.5(mm)から7(mm)の間に第1磁電変換素子13を配設しても良い。例えば、図8(b)に示すように、モデルB2の場合は、中心からの距離が2.5(mm)から7(mm)の間、好ましくは4.5(mm)から6(mm)の間に第1磁電変換素子13を配設しても良い。このように、最低周波数磁束密度P11と最高周波数磁束密度P2とが同等となる領域が広くなるように、第1凸部12wを設けることができる。このことにより、第1磁電変換素子13をこの領域の範囲内で任意に配設することができるので、例えば車載用途において、電流センサ101を配置できる位置が限られる場合であっても、第1磁電変換素子13を最良な位置に配設することができる。
以上のように構成された第1実施形態の電流センサ101における、効果について、以下に説明する。
本発明の第1実施形態の電流センサ101は、第1電流路12には、被測定電流の流れる向きに沿って長い導電性の第1凸部12wが設けられているので、機器(被測定機器)で用いられる最低周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最低周波数磁束密度P11と、最高周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最高周波数磁束密度P2と、を近づけてより一致させることができる。このため、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置に、第1磁電変換素子13を配設することができる。このことにより、被測定電流の周波数が変化しても最低周波数磁束密度P11と最高周波数磁束密度P2とが大きく異ならないので、精度良く電流値を測定することができる。
また、第1凸部12wが第1扁平形状部12fのいずれか一方の端部12tから立設しているので、最低周波数磁束密度P11と最高周波数磁束密度P2とが略一致する位置を、第1電流路12の中央側に移動させることができる。このことにより、第1磁電変換素子13を第1電流路12の中央付近により近づけて配設でき、従来例のように被測定導体(電流路)901の外側に磁気センサ(磁電変換素子)910を配置した場合と比較して、隣り合う電流路等からの外部磁場の影響を低減することができる。
また、第1扁平形状部12f及び第1凸部12wが、金属板を折り曲げて一体で形成されているので、第1扁平形状部12fと第1凸部12wとを製造する際に、1枚の金属板から容易に製造することができる。このことにより、電流センサ101を安価にすることができる。
[第2実施形態]
図9は、本発明の第2実施形態の電流センサ102を説明する分解斜視図である。図10は、本発明の第2実施形態の電流センサ102を説明する斜視図である。図11は、本発明の第2実施形態の電流センサ102を説明する構成図であって、図10に示すZ1側から見た上面図である。なお、図10及び図11は、説明を容易にするため、基板29を透明化して示している。図12は、本発明の第2実施形態の電流センサ102を説明する構成図であって、図11に示すXII−XII線における断面図である。また、第2実施形態の電流センサ102は、第1実施形態に対し、第2電流路62と第2磁電変換素子63を設けたところが異なる。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明の第2実施形態の電流センサ102は、図9ないし図12に示すように、第1扁平形状部22fを有する第1電流路22と、第2扁平形状部62fを有する第2電流路62と、第1電流路22と第2電流路62との一端同士を接続する接続部92と、第1電流路22上に配設される第1磁電変換素子23と、第2電流路62上に配設される第2磁電変換素子63と、を備えて構成されている。他に、第1電流路22及び第2電流路62と対向して配設された基板29や、図示はしていないが、電流センサ102への電力の供給や電流センサ102からの信号取り出しのために、外部制御機器と接続するコネクタが備えられている。
第1電流路22は、銅(Cu)等の導電性の良い金属製の材質を用い、図9ないし図12に示すように、第1扁平形状部22fと、第1電流路22の一方の端部22tから立設している第1凸部22wとを有して構成され、この第1凸部22wは、被測定電流の流れる向き(図10に示すY方向)に沿って形成されている。
また、図9ないし図11に示すように、第1電流路22の他端側には、第1電流路22に連続して端子部27Aが設けられ、この端子部27Aには、図示していない機器(被測定機器)の被測定電流路(測定したい電流路)と接続し固定するための貫通孔27hが設けられている。
第2電流路62は、銅(Cu)等の導電性の良い金属製の材質を用い、図9ないし図12に示すように、第2扁平形状部62fと、第2電流路62の一方の端部62tから立設している第2凸部62wとを有して構成され、この第2凸部62wは、被測定電流の流れる向き(図10に示すY方向)に沿って形成されている。
また、図9ないし図11に示すように、第2電流路62の他端側には、第2電流路62に連続して端子部27Bが設けられ、この端子部27Bには、図示していない機器(被測定機器)の被測定電流路(測定したい電流路)と接続し固定するための貫通孔27kが設けられている。
第1電流路22と第2電流路62とは、図9ないし図11に示すように、並列に配置され、それぞれの一端同士を接続部92により接続している。その際に、第1電流路22の第1凸部22wが、第2電流路62から離れた側の端部22tから立設し、第2電流路62の第2凸部62wが、第1電流路22から離れた側の端部22tから立設するように配設される。そして、第1凸部22wと第2凸部62wとが対向して配設されている。なお、本発明の第2実施形態では、第1電流路22と第2電流路62と接続部92とで、U字形状をなしており、第1電流路22と第2電流路62とが線対称になっている。
また、上述した、第1扁平形状部22f、第1凸部22w、接続部92、第2扁平形状部62f及び第2凸部62wは、銅(Cu)等の金属板を折り曲げて、一体で形成されている。これにより、第1扁平形状部22fと第1凸部22wと接続部92と第2扁平形状部62fと第2凸部62wとを製造する際に、1枚の金属板から容易に製造することができる。このことにより、電流センサ102を安価にすることができる。
第1磁電変換素子23は、第1電流路22に被測定電流が流れたときに発生する磁気を検出する素子であって、例えば、巨大磁気抵抗効果を用いた磁気抵抗効果素子(GMR(Giant Magneto Resistive)素子と言う)を用い、図12に示すように、磁気センサパッケージ24内にパッケージングされている。また、第1磁電変換素子23は、図10ないし図12に示すように、第1凸部22wが立設されている部分の第1扁平形状部22f上に配設されている。そして、第1磁電変換素子23の感度方向が図11に示すX方向になるように配設されている。
第2磁電変換素子63は、第2電流路62に被測定電流が流れたときに発生する磁気を検出する素子であって、第1磁電変換素子23と同様に、例えば、巨大磁気抵抗効果を用いた磁気抵抗効果素子(GMR(Giant Magneto Resistive)素子と言う)を用い、図12に示すように、磁気センサパッケージ64内にパッケージングされている。また、第2磁電変換素子63は、図10ないし図12に示すように、第2凸部62wが立設されている部分の第2扁平形状部62f上に配設されている。そして、第2磁電変換素子63の感度方向が図11に示すX方向になるように配設されている。なお、第1磁電変換素子23と第2磁電変換素子63とで差動処理を行うため、第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63は、それぞれの感度軸の向きが同じ向きになるように配設されている。
上述した磁気センサパッケージ(24、64)は、GMR素子をシリコン基板上に作製した後、切り出されたGMR素子のチップと信号の取り出しのためのリード端子(24r、64r)とを電気的に接続して、熱硬化性の合成樹脂でパッケージングして作製されている。そして、この磁気センサパッケージ24及び磁気センサパッケージ64は、リード端子(24r、64r)により、回路基板である基板29にはんだ付けされて、同一基板29上に設けられている。また、この磁気センサパッケージ24及び磁気センサパッケージ64は、図示していない配線パターンとコネクタを介して、外部制御機器と接続されている。なお、第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63をパッケージングして、磁気センサパッケージ(24、64)として基板29に配設したが、例えば第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63をそのまま配設、所謂ベアチップ実装して、同一基板29上に配設しても良い。
基板29は、一般に広く知られている両面のプリント配線板を用いており、ガラス入りのエポキシ樹脂のベース基板に、ベース基板上に設けられた銅(Cu)等の金属箔をパターニングして、配線パターンを形成している。基板29には、図3及び図4に示すように、第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63がパッケージングされた磁気センサパッケージ(4、64)が各々1個搭載されるようになっている。なお、基板29にガラス入りのエポキシ樹脂からなるプリント配線板を用いたが、これに限定されるものではなく、例えばセラミック配線板、フレキシブル配線板でも良い。また、本発明の第2実施形態では、基板29として回路基板を好適に用いたが、回路基板に限るものではなく、基板29上に回路基板を重ね合わせて、磁気センサパッケージ(24、64)を搭載する構成にしても良い。
以上のように構成された電流センサ102について、周波数の違う被測定電流が流れた場合の磁場の変化に関して、有限要素法解析システムを用いた磁場解析を行った。図13は、本発明の第2実施形態の電流センサのシミュレーションに用いたモデルC1の第1電流路22及び第2電流路62の断面図である。
このシミュレーションに用いた数値は(図13を参照)、第1電流路22の全体の長さを100(mm)、全体の幅W21を20(mm)とし、第1扁平形状部22fの厚みT21を4(mm)とし、第1凸部22wの長さを60(mm)、幅W22を4(mm)、高さT22を10(mm)とした。一方、第2電流路62の全体の長さを100(mm)、全体の幅W61を20(mm)とし、第2扁平形状部62fの厚みT61を4(mm)とし、第2凸部62wの長さを60(mm)、幅W62を4(mm)、高さT62を10(mm)とした。また、第1電流路22と第2電流路62との間隔W41を5(mm)とした。また、第1電流路22及び第2電流路62の表面から1(mm)離れた空間での磁束密度とした。なお、図9ないし図12に示す電流センサ102は、このモデルC1を具現化したものである。
また、図14は、本発明の第2実施形態の電流センサのモデルC1のシミュレーション結果である。図14のグラフの横軸は、第1電流路22と第2電流路62の中間点をゼロとした時の幅方向の距離を示しており、マイナス側が第1電流路22、プラス側が第2電流路62である。また、図14のグラフの縦軸は、第1扁平形状部22fの第1凸部22w及び第2扁平形状部62fの第2凸部62wが設けられていない部分における磁束密度を示している。なお、図中のP21は、機器(被測定機器)で用いられる被測定電流の周波数が10(Hz)と、想定される最低周波数の場合の最低周波数磁束密度を示し、図中のP22は、機器(被測定機器)で用いられる被測定電流の周波数が10(kHz)と、想定される最高周波数の場合の最高周波数磁束密度を示している。
その結果、図26(b)のような被測定電流の低周波数と高周波数との違いで磁束密度が大きく差が生じる場合と比較して、図14(マイナス側)に示すように、第1電流路22の第1凸部22wが設けられていない第1扁平形状部22f上で、被測定電流の低周波数と高周波数との違いによる磁束密度の差、つまり最低周波数磁束密度P21と最高周波数磁束密度P22との差が小さくなっていた。これは、第1凸部22wを設けたことにより、第1電流路22の周囲の磁場に変化が見られたためと考えられる。したがって、被測定電流の流れる向きに沿って導電性の第1凸部22wを設けることにより、最低周波数磁束密度P21と最高周波数磁束密度P22とを近づけて、より一致させることができる。
また、第2電流路62においても、図14(プラス側)に示すように、第2凸部62wが設けられていない第2扁平形状部62f上で、被測定電流の低周波数と高周波数との違いによる磁束密度の差、つまり最低周波数磁束密度P21と最高周波数磁束密度P22との差が小さくなっていた。これは、第2凸部62wを設けたことにより、第2電流路62の周囲の磁場に変化が見られたためと考えられる。したがって、被測定電流の流れる向きに沿って導電性の第2凸部62wを設けることにより、最低周波数磁束密度P21と最高周波数磁束密度P22とを近づけて、より一致させることができる。
以上のことにより、最低周波数磁束密度P21と最高周波数磁束密度P22とが略一致する第1電流路22及び第2電流路62の上の位置に、第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63が配設されるのが好適である。例えば、図14に示すようなモデルC1の場合は、第1電流路22の第1凸部22wが設けられていない第1扁平形状部22f上で、中心からの距離が約−7.5(mm){第1電流路22の他方の端部から約5(mm)}の位置に第1磁電変換素子23を配設するのが望ましく、第2電流路62の第2凸部62wが設けられていない第2扁平形状部62f上で、中心からの距離が約7.5(mm){第2電流路62の他方の端部から約5(mm)}の位置に第2磁電変換素子63を配設するのが望ましい。このように、本発明の電流センサ102は、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置に、第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63を配設することができるので、被測定電流の周波数が変化しても最低周波数磁束密度P21と最高周波数磁束密度P22が大きく異ならないので、精度良く電流値を測定することができる。
更に、第1磁電変換素子23と第2磁電変換素子63を用い、それぞれ同一基板29上に設けるようにしたので、外部磁界や電流路(第1電流路22及び第2電流路62)に電流が流れたときに発生する内部磁界による影響が、2つの磁電変換素子(第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63)に同じ強さで現れてくる。このため、2つの磁電変換素子(第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63)からの出力を差動処理することにより、この磁界の影響をより正確に相殺することができる。このことにより、電流センサ102の測定精度の悪化を低減することができる。
また、図14に示す結果から容易に推定されるが、第1電流路22の第1凸部22wの高さT22及び幅W22を変えることにより、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置を任意に変えることができる。これにより、所望する第1磁電変換素子23の配設位置を任意に設定することもできる。また、図示していないが、第1凸部22wの形状、例えば、長さ或いはコーナーの面形状等を変えることによっても、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置を任意に変えることができる。同様にして、第2電流路62の第2凸部62wの高さT62及び幅W62、或いはコーナーの面形状等を変えることにより、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置を任意に変えることができる。これにより、所望する第2磁電変換素子63の配設位置を任意に設定することもできる。
また、最低周波数磁束密度P21と最高周波数磁束密度P22とが略一致する第1電流路22上の位置に、第1磁電変換素子23が配設されるのが好適であるが、最低周波数磁束密度P21と最高周波数磁束密度P22とが同等となる領域に対応する第1電流路22上の位置に、第1磁電変換素子23が配設されても良い。例えば、モデルC1の場合は、図14(マイナス側)に示すように、最低周波数磁束密度P21と最高周波数磁束密度P22とが同等となる領域、つまり中心からの距離が−6(mm)から−14(mm)の間、好ましくは−7(mm)から−9(mm)の間に第1磁電変換素子23を配設しても良い。例えば、モデルC1の場合は、図14(プラス側)に示すように、中心からの距離が6(mm)から14(mm)の間、好ましくは7(mm)から9(mm)の間に第2磁電変換素子63を配設しても良い。このように、最低周波数磁束密度P21と最高周波数磁束密度P22とが同等となる領域が広くなるように、第1凸部22w及び第2凸部62wを設けることができる。このことにより、第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63をこの領域の範囲内で任意に配設することができるので、例えば車載用途において、電流センサ102を配置できる位置が限られる場合であっても、第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63を最良な位置に配設することができる。
以上のように構成された第2実施形態の電流センサ102における、効果について、以下に説明する。
本発明の第2実施形態の電流センサ102は、第1電流路22には、被測定電流の流れる向きに沿って長い導電性の第1凸部22wが設けられているので、機器(被測定機器)で用いられる最低周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最低周波数磁束密度P21と、最高周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最高周波数磁束密度P22と、を近づけてより一致させることができる。このため、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置に、第1磁電変換素子23を配設することができる。このことにより、被測定電流の周波数が変化しても最低周波数磁束密度P21と最高周波数磁束密度P22とが大きく異ならないので、精度良く電流値を測定することができる。
更に、第2電流路62には、被測定電流の流れる向きに沿って導電性の第2凸部62wが設けられているので、機器で用いられる最低周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最低周波数磁束密度P21と、最高周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最高周波数磁束密度P22と、を近づけてより一致させることができる。このため、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置に、第2磁電変換素子63を配設することができる。このことにより、被測定電流の周波数が変化しても最低周波数磁束密度P21と最高周波数磁束密度P22とが大きく異ならないので、第2電流路62においても、精度良く電流値を測定することができる。
また、第1磁電変換素子23と第2磁電変換素子63を用い、それぞれ同一基板29上に設けるようにしたので、外部磁界や電流路(第1電流路22及び第2電流路62)に電流が流れたときに発生する内部磁界による影響が、2つの磁電変換素子(第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63)に同じ強さで現れてくる。このため、2つの磁電変換素子(第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63)からの出力を差動処理することにより、この磁界の影響をより正確に相殺することができる。このことにより、電流センサ102の測定精度の悪化を低減することができる。
また、第1扁平形状部22f、第1凸部22w、接続部92、第2扁平形状部62f及び第2凸部62wは、銅(Cu)等の金属板を折り曲げて、一体で形成されているので、第1扁平形状部22fと第1凸部22wと接続部92と第2扁平形状部62fと第2凸部62wとを製造する際に、1枚の金属板から容易に製造することができる。このことにより、電流センサ102を安価にすることができる。
[第3実施形態]
図15は、本発明の第3実施形態の電流センサ103を説明する分解斜視図である。図16は、本発明の第3実施形態の電流センサ103を説明する斜視図である。図17は、本発明の第3実施形態の電流センサ103を説明する構成図であって、図16に示すZ1側から見た上面図である。なお、図16及び図17は、説明を容易にするため、基板29を透明化して示している。図18は、本発明の第3実施形態の電流センサ103を説明する構成図であって、図18(a)は、図17に示すXVII−XVII線における断面図であり、図18(b)は、図17に示すXVIII−XVIII線における断面図である。また、第3実施形態の電流センサ103は、第2実施形態に対し、第1磁電変換素子33及び第2磁電変換素子73を設けたところが異なる。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明の第2実施形態の電流センサ103は、図15ないし図18に示すように、第1扁平形状部22fを有する第1電流路22と、第2扁平形状部62fを有する第2電流路62と、第1電流路22と第2電流路62との一端同士を接続する接続部92と、第1電流路22上に配設される第1磁電変換素子23及び第1磁電変換素子33と、第2電流路62上に配設される第2磁電変換素子63及びと第2磁電変換素子73、を備えて構成されている。他に、第1電流路22及び第2電流路62と対向して配設された基板29や、図示はしていないが、電流センサ103への電力の供給や電流センサ103からの信号取り出しのために、外部制御機器と接続するコネクタが備えられている。
第1電流路22、第2電流路62及び接続部92は、第2実施形態と同じ構造なので、ここでの説明は、省略する。
第1磁電変換素子23は、図16及び図17に示すように、第1凸部22wが立設された第1扁平形状部22fの第1位置22a上に配設されている。そして、第1磁電変換素子23の感度方向が図17に示すX方向になるように配設されている。
第1磁電変換素子33は、第1電流路22に被測定電流が流れたときに発生する磁気を検出する素子であって、例えば、巨大磁気抵抗効果を用いた磁気抵抗効果素子(GMR(Giant Magneto Resistive)素子と言う)を用い、図18に示すように、磁気センサパッケージ34内にパッケージングされている。また、第1磁電変換素子33は、図16及び図17に示すように、第1凸部22wが立設されない第1扁平形状部22fの第3位置22c上に配設されている。そして、第1磁電変換素子33の感度方向が図17に示すX方向になるように配設されて、第1磁電変換素子23と同じ感度軸の向きにしている。
第2磁電変換素子63は、図16及び図17に示すように、第2凸部62wが立設された第2扁平形状部62fの第2位置62b上に配設されている。そして、第2磁電変換素子63の感度方向が図17に示すX方向になるように配設されている。
第2磁電変換素子73は、第2電流路62に被測定電流が流れたときに発生する磁気を検出する素子であって、例えば、巨大磁気抵抗効果を用いた磁気抵抗効果素子(GMR(Giant Magneto Resistive)素子と言う)を用い、図18に示すように、磁気センサパッケージ74内にパッケージングされている。また、第2磁電変換素子73は、図16及び図17に示すように、第2凸部62wが立設されない第2扁平形状部62fの第4位置62d上に配設されている。そして、第2磁電変換素子73の感度方向が図17に示すX方向になるように配設されて、第2磁電変換素子63と同じ感度軸の向きにしている。
上述した磁気センサパッケージ(24、34、64、74)は、GMR素子をシリコン基板上に作製した後、切り出されたGMR素子のチップと信号の取り出しのためのリード端子(24r、34r、64r、74r)とを電気的に接続して、熱硬化性の合成樹脂でパッケージングして作製されている。そして、この磁気センサパッケージ(24、34、64、74)は、リード端子(24r、34r、64r、74r)により、回路基板である基板29にはんだ付けされて、同一基板29上に設けられている。また、この磁気センサパッケージ(24、34、64、74)は、図示していない配線パターンとコネクタを介して、外部制御機器と接続されている。
以上のように構成された電流センサ103について、周波数の違う被測定電流が流れた場合の磁場の変化に関して、有限要素法解析システムを用いた磁場解析を行った。
図19は、本発明の第3実施形態の電流センサのシミュレーションに用いたモデルD1の第1電流路22、第2電流路62及び接続部92の平面図である。図20は、本発明の第3実施形態の電流センサのシミュレーションに用いたモデルD1の第1電流路22及び第2電流路62の断面図であって、図19に示すXVII−XVII線における断面図である。図21は、本発明の第3実施形態の電流センサのシミュレーション結果であって、図19に示すXVII−XVII線方向のシミュレーション結果である。図22は、シミュレーション結果を示しており、図22(a)は、本発明の第3実施形態の電流センサにおける図19に示すXX−XX線方向のシミュレーション結果であり、図22(b)は、図22(a)と比較した比較例H131のシミュレーション結果である。比較例H131は、図19に示す第1凸部22w及び第2凸部62wが無いモデルである。また、図中のP31は、機器(被測定機器)で用いられる被測定電流の周波数が10(Hz)と、想定される最低周波数の場合の最低周波数磁束密度を示し、図中のP32は、機器(被測定機器)で用いられる被測定電流の周波数が10(kHz)と、想定される最高周波数の場合の最高周波数磁束密度を示している。
このシミュレーションに用いた数値は(図19及び図20を参照)、第1電流路22の全体の長さL21を120(mm)、全体の幅W21を20(mm)とし、第1扁平形状部22fの厚みT21を4(mm)とし、第1凸部22wの長さL22を60(mm)、幅W22を4(mm)、高さT22を4(mm)とした。一方、第2電流路62の全体の長さも100(mm)、全体の幅W61を20(mm)とし、第2扁平形状部62fの厚みT61を4(mm)とし、第2凸部62wの長さも60(mm)、幅W62を4(mm)、高さT62を4(mm)とした。また、第1電流路22及び第2電流路62の端部から、XVII−XVII線までの長さL53を30(mm)とし、第1凸部22w及び第2凸部62wの端部からXVIII−XVIII線までの長さL63を20(mm)とした。つまり、XVII−XVII線とXVIII−XVIII線との間の長さは、40(mm)となる。また、第1電流路22と第2電流路62の中間点からXX−XX線までの長さW81を12.5(mm)とした。また、第1電流路22と第2電流路62との間隔W41を5(mm)とした。また、第1電流路22及び第2電流路62の表面から1(mm)離れた空間での磁束密度とした。なお、図15ないし図18に示す電流センサ103は、このモデルD1を具現化したものである。
その結果、図26(b)のような被測定電流の低周波数と高周波数との違いで磁束密度が大きく差が生じる場合と比較して、図21(マイナス側)に示すように、第1電流路22の第1凸部22wが設けられていない第1扁平形状部22f上で、被測定電流の低周波数と高周波数との違いによる磁束密度の差、つまり最低周波数磁束密度P31と最高周波数磁束密度P32との差が小さくなっていた。これは、第1凸部22wを設けたことにより、第1電流路22の周囲の磁場に変化が見られたためと考えられる。したがって、被測定電流の流れる向きに沿って導電性の第1凸部22wを設けることにより、最低周波数磁束密度P31と最高周波数磁束密度P32とを近づけて、より一致させることができる。
また、第2電流路62においても、図21(プラス側)に示すように、第2凸部62wが設けられていない第2扁平形状部62f上で、被測定電流の低周波数と高周波数との違いによる磁束密度の差、つまり最低周波数磁束密度P31と最高周波数磁束密度P32との差が小さくなっていた。これは、第2凸部62wを設けたことにより、第2電流路62の周囲の磁場に変化が見られたためと考えられる。したがって、被測定電流の流れる向きに沿って導電性の第2凸部62wを設けることにより、最低周波数磁束密度P31と最高周波数磁束密度P32とを近づけて、より一致させることができる。
以上のことにより、最低周波数磁束密度P31と最高周波数磁束密度P32とが略一致する第1電流路22及び第2電流路62の上の位置に、第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63が配設されるのが好適である。例えば、図14に示すようなモデルC1の場合は、第1電流路22の第1凸部22wが設けられていない第1扁平形状部22f上で、中心からの距離が約−7.5(mm){第1電流路22の他方の端部から約5(mm)}の位置に第1磁電変換素子23を配設するのが望ましく、第2電流路62の第2凸部62wが設けられていない第2扁平形状部62f上で、中心からの距離が約7.5(mm){第2電流路62の他方の端部から約5(mm)}の位置に第2磁電変換素子63を配設するのが望ましい。このように、本発明の電流センサ102は、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置に、第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63を配設することができるので、被測定電流の周波数が変化しても最低周波数磁束密度P31と最高周波数磁束密度P32が大きく異ならないので、精度良く電流値を測定することができる。
更に、第1磁電変換素子23と第2磁電変換素子63を用い、それぞれ同一基板29上に設けるようにしたので、外部磁界や電流路(第1電流路22及び第2電流路62)に電流が流れたときに発生する内部磁界による影響が、2つの磁電変換素子(第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63)に同じ強さで現れてくる。このため、2つの磁電変換素子(第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63)からの出力を差動処理することにより、この磁界の影響をより正確に相殺することができる。このことにより、電流センサ102の測定精度の悪化を低減することができる。
また、図22(a)に示す結果は、最低周波数磁束密度P31と最高周波数磁束密度P32の両方ともに、XVIII−XVIII線の部分(図中の40(mm))の磁束密度よりXVII−XVII線の部分(図中の0(mm))の磁束密度の方が小さくなっている。つまり、第1凸部22wが立説された第1位置22aおけるXVII−XVII線の部分の磁束密度と第1凸部22wが立説されない第3位置22cおけるXVIII−XVIII線の部分の磁束密度が大きく異なっている。一方、図22(b)に示す比較例H131の結果では、最低周波数磁束密度P31と最高周波数磁束密度P32の両方ともに、XVIII−XVIII線の部分(図中の40(mm))の磁束密度とXVII−XVII線の部分(図中の0(mm))の磁束密度は、ほぼ同じになっている。
これにより、第1凸部22wが立説された第1電流路22の第1位置22a上に第1磁電変換素子23を配設し、第1凸部22wが立説されない第1電流路22の第3位置22c上に第1磁電変換素子33を配設することにより、第1磁電変換素子23が検出する磁気量と第1磁電変換素子33が検出する磁気量の絶対量が違ってくる。このため、第1位置22aに配設される第1磁電変換素子23を高電流測定用、第3位置22cに配設される第1磁電変換素子33を定電流測定用と、使い分けることができる。このことにより、高電流測定用では、ワイドレンジで測定することができ、低電流測定用では、精度良く測定することができる。なお、図19及び図20に示すようなモデルD1の場合では、図22(a)に示すように、第1磁電変換素子23の配設位置は、第1位置22aであって、−15(mm){第1凸部の端部から5(mm)}から+5(mm)の範囲が好適であり、第1磁電変換素子33の配設位置は、第3位置22cであって、−35(mm){第1凸部の端部から15(mm)}以上離した領域が好適である。
また、図示はしていないが、第2電流路62についても同様なことが言え、第2凸部62wが立説された第2電流路62の第2位置62b上に第2磁電変換素子63を配設し、第2凸部62wが立説されない第2電流路62の第4位置62d上に第2磁電変換素子73を配設するのが良い。これにより、第2磁電変換素子63が検出する磁気量と第2磁電変換素子73が検出する磁気量の絶対量が違ってくるので、第2位置62bに配設される第2磁電変換素子63を高電流測定用、第4位置62dに配設される第2磁電変換素子73を低電流測定用と、使い分けることができる。このことにより、高電流測定用では、ワイドレンジで測定することができ、低電流測定用では、精度良く測定することができる。
更に、第1磁電変換素子33と第2磁電変換素子73を用い、それぞれ同一基板29上に設けるようにしたので、外部磁界や電流路(第1電流路22及び第2電流路62)に電流が流れたときに発生する内部磁界による影響が、2つの磁電変換素子(第1磁電変換素子33及び第2磁電変換素子73)に同じ強さで現れてくる。このため、2つの磁電変換素子(第1磁電変換素子33及び第2磁電変換素子73)からの出力を差動処理することにより、この磁界の影響をより正確に相殺することができる。このことにより、電流センサ103の測定精度の悪化を低減することができる。
以上のように構成された第3実施形態の電流センサ103における、効果について、以下に説明する。
本発明の第3実施形態の電流センサ103は、第1電流路22には、被測定電流の流れる向きに沿って長い導電性の第1凸部22wが設けられているので、機器(被測定機器)で用いられる最低周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最低周波数磁束密度P31と、最高周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最高周波数磁束密度P32と、を近づけてより一致させることができる。このため、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置に、第1磁電変換素子23を配設することができる。このことにより、被測定電流の周波数が変化しても最低周波数磁束密度P31と最高周波数磁束密度P32とが大きく異ならないので、精度良く電流値を測定することができる。
更に、第2電流路62には、被測定電流の流れる向きに沿って導電性の第2凸部62wが設けられているので、機器で用いられる最低周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最低周波数磁束密度P31と、最高周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最高周波数磁束密度P32と、を近づけてより一致させることができる。このため、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置に、第2磁電変換素子63を配設することができる。このことにより、被測定電流の周波数が変化しても最低周波数磁束密度P31と最高周波数磁束密度P32とが大きく異ならないので、第2電流路62においても、精度良く電流値を測定することができる。
また、第1磁電変換素子23と第2磁電変換素子63を用い、それぞれ同一基板29上に設けるようにしたので、外部磁界や電流路(第1電流路22及び第2電流路62)に電流が流れたときに発生する内部磁界による影響が、2つの磁電変換素子(第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63)に同じ強さで現れてくる。このため、2つの磁電変換素子(第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63)からの出力を差動処理することにより、この磁界の影響をより正確に相殺することができる。このことにより、電流センサ102の測定精度の悪化を低減することができる。
また、第1凸部22wが立説された第1電流路22の第1位置22a及び第2凸部62wが立説された第2電流路62の第2位置62bに配設される第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63と、第1凸部22wが立説されない第1電流路22の第3位置22c及び第2凸部62wが立説されない第2電流路62の第4位置62dに配設される第1磁電変換素子33及び第2磁電変換素子73と、を、それぞれ分けて配設している。これにより、第1位置22a及び第2位置62bに配設された第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63が検出する磁気量と、第3位置22c及び第4位置62dに配設された第1磁電変換素子33及び第2磁電変換素子73が検出する磁気量の絶対量が違ってくる。このため、第1位置22a及び第2位置62bに配設される第1磁電変換素子23及び第2磁電変換素子63を高電流測定用、第3位置22c及び第4位置62dに配設される第1磁電変換素子33及び第2磁電変換素子73を定電流測定用と、使い分けることができる。このことにより、高電流測定用では、ワイドレンジで測定することができ、低電流測定用では、精度良く測定することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
図23は、本発明の第1実施形態の電流センサ101の変形例を説明する図であって、図23(a)は、変形例1のモデルAC1であり、図23(b)は、変形例2のモデルAC2であり、図23(c)は、変形例3のモデルAC3であり、図23(d)は、変形例4のモデルAC4である。図24は、本発明の第1実施形態の電流センサ101の変形例を説明する図であって、図24(a)は、変形例5の電流センサC105の平面図であり、図24(b)は、変形例6の電流センサC106の平面図である。図25は、本発明の第2実施形態の電流センサ102の変形例を説明する図であって、図25(a)は、変形例7の電流センサC107の斜視図であって、図25(b)は、変形例8の電流センサC108の斜視図であって、図25(c)は、変形例9の電流センサC109の斜視図である。
<変形例1><変形例2>
上記第1実施形態では、第1扁平形状部12fの端部12tから第1凸部12wを立設させて、しかも第1扁平形状部12fの端面と第1凸部12wの一方面と面一になるように構成したが、図23(a)に示すように、第1扁平形状部12fの端面と第1凸部12wの一方面とが面一にならない程度に、第1扁平形状部12fの端部12tから第1凸部C12wを立設させた構成にしても良い。また、図23(b)に示すように、第1扁平形状部12fの端部12tから立設させない第1凸部C22wの構成でも良い。
<変形例3><変形例4>
上記第1実施形態では、第1凸部12wの断面形状が矩形になるように構成したが、矩形に限らず他の形状に構成しても良い。例えば、図23(c)に示すように、台形状の第1凸部C32wであっても良いし、図23(d)に示すように、段差部を有した形状の第1凸部C42wであってもでも良いし、更に階段状に形成しても良い。
<変形例5><変形例6>
上記第1実施形態では、第1電流路12の長手方向の全長にわたって第1凸部12wを設けた構成にしたが、図24(a)に示すように、長手方向の一部に第1凸部C52wを設ける構成であっても良いし、図24(b)に示すように、第1扁平形状部12fの端面と第1凸部12wの一方面とが面一にならない第1凸部C62wを設ける構成であっても良い。
<変形例7>
上記第2実施形態では、第1電流路22の第1凸部22wと第2電流路62の第2凸部62wが、同じ大きさでしかも同じ位置で対向するように構成したが、これに限らず、例えば、図25(a)に示すように、互いにずらして対向させた構成にしても良い。
<変形例8>
上記第2実施形態では、第1電流路22の第1凸部22wと第2電流路62の第2凸部62wが、第1電流路22及び第2電流路62の長手方向の端部まで延びた構成にしたが、これに限らず、例えば、図25(b)に示すように、接続部92が無い部分の第1電流路22及び第2電流路62にのみ、第1凸部22w及び第2凸部62wを設けて、長手方向の端部(C72a、C72b)まで延ばさない構成にしても良い。
<変形例9>
上記第2実施形態では、第1電流路22及び第2電流路62の長手方向の端部は、開放された構成にしたが、例えば、図25(c)に示すように、第1電流路22及び第2電流路62の長手方向の端部(C72a、C72b)、及び接続部92の端部C92tから立設した壁部82wを設けた構成にしても良い。
<変形例10>
上記実施形態では、第1磁電変換素子(13、23、33)及び第2磁電変換素子(163、7け)としてGMR素子を好適に用いたが、磁気を検知できる磁気検出素子であれば良く、上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。