JP5954701B2 - 液晶・高分子複合素子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
一方、近年、日立により開発されたネマチック液晶の水平方向電場による駆動方式(IPS)により、強誘電性液晶もあえて、問題が解決できない水平配向ではなくスメクチックの層がガラス基板に平行になる、垂直配向を用いようとする試みがいくつか試行され始めている。
問題点としては、バナナ型分子の短軸方向の向きは、基本的にSmA相では熱的にランダムな方向を向こうとしている(=液体、無秩序相である)。これに対してSmC*(カイラルスメクチックC)相の場合は、自発的に同じ方向を向こうとしている(=液晶層、秩序相)協同的に小さな力で変化が誘起される。つまり、駆動力は自発分極を使っているので大きいが、基本的には液体中で分子の配向を外場によって誘起するカー効果の変形であるため大きな電場を必要とする。同時に、バナナ型液晶の短軸方向の異方性(バナナの屈曲による)は、分子形状からそれほど大きくなく、誘起される屈折率異方性も小さいのが現状である。また、大きな複屈折を稼ぐためには、大きな駆動電圧を必要としていて実用上に難点がある。
問題点としては、螺旋を維持したまま螺旋の歪を利用して複屈折を発生させているため、バナナ型液晶同様に複屈折の絶対値が小さく、液晶層の厚みを十分にとらないと完全な白・黒を実現できないが、液晶層の厚みを厚くすると、既存のIPS電極では十分な電場がかからない。また、F(強誘電)状態への転移が起きる電場強度以下で駆動しなければならないので、電場によって駆動力を増強することができない。また、駆動電圧も、バナナ型液晶同様、螺旋を歪ませることができるような十分に高い電圧を必要とする。
すなわち、本発明は、第一の基板と、第二の基板と、前記第一の基板と第二の基板間に挟持された液晶組成物と高分子を含有する液晶・高分子複合材料層を有する液晶・高分子複合素子であって、該基板の少なくとも一方には、該液晶・高分子複合材料層を制御する電極を有し、該液晶・高分子複合材料層において液晶相が傾斜スメクチック相を有し、該傾斜スメクチック相のC−ダイレクターの配向が外場の規制力によらず一様に配向しており、前記液晶・高分子複合材料層において、構成する該液晶組成物単独の傾斜スメクチック相の層間隔が、該液晶・高分子複合材料層の傾斜スメクチック相の層間隔より小さいことを特徴とする液晶・高分子複合素子である。
また、本発明は、前駆体である重合性官能基を有する化合物を、前記液晶と混合したのちに重合することにより前記液晶・高分子複合材料層を得る、前記液晶・高分子複合素子の製造方法である。
傾斜スメクチック相とは、分子の重心の位置に関して一次元の併進周期性(すなわち層構造)を有する液晶相(スメクチック相)のうち、分子の配向ベクトル(ダイレクター)が層(レイヤー)の法線の方向に対して傾斜して配向したものであり、SmC、SmF、SmG、SmH、SmI、SmJ(SmG′)、SmK(SmH′)等が知られている。これらの傾斜スメクチック相がカイラル分子を含みラセミでない系は、SmC*、SmF*、SmG*、SmH*、SmI*、SmJ*(SmG′*)、SmK*(SmH′*)等である。
図1の場合、E=0からE<Ethの間では、螺旋構造を取る状態から、螺旋が歪んだ状態、さらには螺旋がほどけた状態まで、徐々に変化するものであり、一般に液晶は高粘度であることから応答速度には制約が生じる。これに対し、図2の場合は、驚くべきことに、電場Eを、Ethから0まで低下させ、あるいは0からEthまで上昇させる間、反傾構造(AF状態)を保持することができる。したがって、電場E=0からE>Ethの電場を印加し、またはE>Ethの電場を切ることにより、反強誘電―強誘電状態間の応答が可能である。しかも、螺旋をほどいた状態から直ちに相転移させることができるため、高速な応答が期待できる。
液晶・高分子複合材料の示す傾斜スメクチック相の層法線が基板に対して略水平となるよう液晶分子が配向している場合、電場を基板に対して略垂直または斜め(例えば45°)となるように印加することにより、E=0のときとは異なる配向を取るように液晶分子を回転させることができる。
また、液晶・高分子複合材料の示す傾斜スメクチック相の層法線が基板に対して略垂直となるよう液晶分子が配向している場合、電場を基板に対して略水平または斜め(例えば45°)となるように印加することにより、E=0のときとは異なる配向を取るように液晶分子を回転させることができる。
本発明では、C−ダイレクターの配列の方向に特定の制約がなく、そのため、固定化条件の制約が少なく、また、製造も容易であるという利点がある。この方法では、液晶・高分子複合材料層の厚み方向のすべての液晶分子の自発分極を駆動力として液晶分子を回転でき、また複屈折も液晶・高分子複合材料層の厚み方向のすべての液晶分子の寄与を総和して用いることができる。分子の傾き角としては、45°以上の材料もあるので、ネマチック液晶の長短軸の屈折率異方性と比べても遜色ない。
なお、本発明では、液晶・高分子複合材料層の液晶を基板に対し水平配向として用いることもできるが、表面安定化による双安定状態とは異なり、基板からのアンカリング力を必要としないことから、セル厚をスメクチック液晶の螺旋ピッチ以上に厚くすることが可能である。
外場に磁場を用いる場合、液晶分子の異方軸を磁場方向に揃えることができる。外場に偏光を用いる場合も、液晶分子の異方軸を偏光の振動面に揃えることができる。光照射による配向回転トルクを与えるには、例えば、アゾ基やクマリン基などの吸光性基を持つ分子を液晶材料中に混合して行うこともできる。吸光性基を持つ液晶材料に偏光を照射すると、光異性化や再配列等の作用により、液晶分子が回転トルクを受け、配向する。
BASF社のイルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア907、イルガキュア127、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819、イルガキュアOXE01、イルガキュアOXE02、ルシリンTPO、ダロキュア1173。LAMBSON社のエサキュア1001M、エサキュアKIP150、スピードキュアBEM、スピードキュアBMS、スピードキュアPBZ、ベンゾフェノン。
これらの重合開始剤は、1種類でも良いが、2種類以上用いても良く、増感剤等を添加しても良い。
ホストとなる液晶性化合物としては、下記の一般式
Zは各々独立に−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−N(Ra)−、−N(Ra)−CO−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−O−SO2−、−SO2−O−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−又は単結合を表し、−CO−N(Ra)−又は−N(Ra)−CO−におけるRaは水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し、
Aは各々独立にフェニレン基、シクロヘキシレン基、ジオキソランジイル基、シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジンジイル基、ナフタレンジイル基、デカヒドロナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基から選択される環式基を表し、前記フェニレン基、ナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基は環内の1つ又は2つ以上の−CH=基が窒素原子で置き換えられてもよく、前記シクロヘキシレン基、ジオキソランジイル基、シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジンジイル基、デカヒドロナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基は環内の1つ又は2つの隣接していない−CH2−基が、−O−及び/又は−S−で置き換えられてもよく、前記環式基の1つ又はそれ以上の水素原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、CN基、NO2基、あるいは、1つ又は2つ以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置き換えられてもよい、炭素原子数1〜7の有するアルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基又はアルコキシカルボニル基で置き換えられていてもよく、
nは1、2、3、4又は5である。)で表される液晶性化合物(LC−0)が好ましい。
Zは各々独立に−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−N(Ra)−、−N(Ra)−CO−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−O−SO2−、−SO2−O−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−又は単結合を表し、−CO−N(Ra)−又は−N(Ra)−CO−におけるRaは水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し、
Yは各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は各々独立にハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよく、
Xは各々独立にハロゲン原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基、−CF3、又は−OCF3を表し、
nは各々独立に0〜4の整数を表し、
n1、n2、n3及びn4は、各々独立に0又は1を表すが、n1+n2+n3+n4=1〜4であり、
Cycloは各々独立に炭素原子数3〜10のシクロアルカンを表し、任意に二重結合を有していてもよい。)で表される液晶性化合物(LC−I)〜(LC−III)が好ましい。
Zは各々独立に−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−N(Ra)−、−N(Ra)−CO−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−O−SO2−、−SO2−O−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−又は単結合を表し、−CO−N(Ra)−又は−N(Ra)−CO−におけるRaは水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し、
Yは各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は各々独立にハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよく、
Xは各々独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基、CF3基、又はOCF3基を表し、
nは各々独立に0〜4の整数を表し、
n1、n2、n3及びn4は、各々独立に0又は1を表すが、n1+n2+n3+n4=1〜4である。)で表される液晶性化合物(LC−I′)〜(LC−III′)が好ましい。
例えば下記一般式
X11〜X22は各々独立に水素原子、フッ素原子、CF3基、又はOCF3基を表し、
L11〜L14は各々独立に単結合、−O−、−S−、−CO−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH2CH2−、−CH=CH−、又は−C≡C−を表し、
Yは各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は各々独立にハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよく、
a1、b1、c1、d1は各々独立に0又は1の整数を表すが、a1+b1+c1+d1は1、2又は3であり、a1が0の場合はd1は0であり、a1が1の場合はc1は0であり、c1が1の場合はa1は0であり、b1=c1=1の場合はa1=d1=0であり、
Cycloは各々独立に炭素原子数3〜10のシクロアルカンを表し、任意に二重結合を有していてもよい。)で表される液晶性化合物(LC−Ia)〜(LC−IIIa)が好ましい。
また、下記一般式
環A1は各々1〜4つの水素原子がフッ素原子、CF3基、OCF3基、又はCN基、あるいはこれらの複数の基で置き換えられてもよい1,4−フェニレン基、又は、1,4−シクロヘキシレン基を表し、
環B1は1〜4つの水素原子がフッ素原子、CF3基、OCF3基、又はCN基、あるいはこれらの複数の基で置き換えられてもよい1,4−フェニレン基を表し、
環C1は1〜4つの水素原子がフッ素原子、CF3基、OCF3基、又はCN基、あるいはこれらの複数の基で置き換えられてもよい1,4−シクロヘキシレン基を表し、
Lは各々独立に単結合、−O−、−S−、−CO−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH2CH2−、−CH=CH−、又は−C≡C−を表し、
Yは各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は各々独立にハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよく、
a1は0、1、又は2を表し、b1、及びc1は0、1、又は2の整数を表し、a1、b1及びc1の合計は1、2または3を表す。)で表される液晶性化合物(LC−IV)、
X21〜X27は各々独立に水素原子、フッ素原子、CF3基、又はOCF3基を表し、
L21〜L24は各々独立に単結合、−O−、−S−、−CO−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH2CH2−、−CH=CH−、又は−C≡C−を表し、
a2、b2、c2及びd2は各々独立に0又は1の整数を表すが、a2+b2+c2+d2は1、2又は3であり、a2が0の場合はd2は0であり、a2が1の場合はc2は0であり、b2=c2=1の場合はa2=d2=0である。)で表される液晶性化合物(LC−V)が好ましい。
粘度が低く高速応答するため、環をつなぐ連結基(−Z−Y−Z−、又は−Y−L−Y−)としては、単結合、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CH=CH−、又は、−C≡C−からなるより選択されることが好ましく、特に、単結合であることが好ましい。分子の局部的な分極を抑制しスイッチング挙動への悪影響を少なくする面でも単結合が好ましい。一方、層構造の安定性を保つための材料としては粘度が高い方が好ましく、その場合には、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−からなるより選択されることが好ましく用いられ、特に、−CO−O−、−O−CO−が好ましく用いられる。
一方、融点を低下させる効果を大きくするという点では、側鎖(R、R11、R12、R21、R22)の一方または両方に水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、イソプロピル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルオキシカルボニルオキシ基を用いることが好ましい。
該アルキル基中の、1つ又は2つの隣接していない−CH2−基は−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−SO2−、−SO2−O−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH3)2−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はCN基で置き換えられていてもよく、
X21〜X24は各々独立に水素原子、ハロゲン、シアノ基、メチル基、メトキシ基、CF3基、又はOCF3基を表し、
環A1はフェニレン基またはシクロヘキシレン基を示し、
Lは各々独立に単結合、−O−、−S−、−CO−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH2CH2−、−CH=CH−、又は−C≡C−を表し、
a1は0、1、又は2を表し、b1、及びc1は0、1、又は2の整数を表し、a1+b1+c1の合計は1又は2を表し、a1=1のときc1=0であり、c1=1のときa1=0である)で表される液晶性化合物(LC−VI)が好ましい。
より好ましくは、各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)であり、
より好ましくは、各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜3のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)である。
X21〜X26は各々独立に水素原子、又はフッ素原子基を表すが、e1が0のときX21〜X24の少なくとも1つはフッ素原子で、e1が1のときX21〜X26の少なくとも1つはフッ素原子であり、
R21及びR22は各々独立に炭素原子数1〜18の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、該アルキル基中の、1つの−CH2−基が−O−で置き換えられてもよく、
L25は単結合、−CH2O−、又は−OCH2−を表し、
環A1はフェニレン基またはシクロヘキシレン基を表す。)で表される液晶性化合物(LC−VII)が特に好ましい。
本発明に用いられる液晶組成物に含まれるキラル化合物としては、不斉原子をもつ化合物、軸不斉をもつ化合物、面不斉をもつ化合物、アトロプ異性体のいずれでもよく、該キラル化合物は重合性基を有するものでも、重合性基を有しないものでもよい。
不斉原子をもつ化合物において、不斉原子は不斉炭素原子であると立体反転が起こりにくく好ましいが、ヘテロ原子が不斉原子となっていてもよい。不斉原子は鎖状構造の一部に導入されていても、環状構造の一部に導入されていてもよい。
R1及びR2のうちいずれか一方又は両方が不斉原子をもつ基であり、
Zは各々独立に−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−N(Ra)−、−N(Ra)−CO−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−又は単結合を表し、−CO−N(Ra)−又は−N(Ra)−CO−におけるRaは水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し、
A1及びA2は各々独立にフェニレン基、シクロヘキシレン基、ジオキソランジイル基、シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジンジイル基、ナフタレンジイル基、デカヒドロナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基から選択される環式基を表し、前記フェニレン基、ナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基は環内の1つ又は2つ以上の−CH=基が窒素原子で置き換えられてもよく、前記シクロヘキシレン基、ジオキソランジイル基、シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジンジイル基、デカヒドロナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基は環内の1つ又は2つの隣接していない−CH2−基が、−O−及び/又は−S−で置き換えられてもよく、前記環式基の1つ又はそれ以上の水素原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、CN基、NO2基、あるいは、1つ又は2つ以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置き換えられてもよい、炭素原子数1〜7の有するアルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基又はアルコキシカルボニル基で置き換えられていてもよく、
mは1、2、3、4又は5である。)で表される光学活性化合物が好ましい。
また、X3及びX4は、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、シアノ基、フェニル基(該フェニル基の1つ又は2つ以上の任意の水素原子はハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、メチル基、メトキシ基、−CF3、−OCF3で置換されていてもよい。)、メチル基、メトキシ基、−CF3、又は−OCF3であることが好ましい。ただし、一般式(IV−a3)及び(IV−a8)において、*を付した位置が不斉原子となるためには、X4はX3と異なる基が選択される。
また、n3は0〜20の整数である。
一般式(IV−a4)及び(IV−a9)におけるR5は、水素原子又はメチル基が好ましい。
一般式(IV−a5)及び(IV−a10)におけるQは、メチレン基、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基などの二価の炭化水素基が挙げられる。
一般式(IV−a11)におけるkは、0〜5の整数である。
軸不斉とは、下記に示すアレン誘導体や、
E61及びE62は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基、ベンジル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルケトン基、複素環基又はこれらの誘導体のいずれかを表す。
R63、R64、R65、R66、R67及びR68は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、又はジアルキルアミノ基を示し、
R63、R64及びR65のうちの2つが、置換基を有していてもよいメチレン鎖又は置換基を有していてもよい、モノ又はポリメチレンジオキシ基を形成していてもよく、
R66、R67及びR68のうちの2つが、置換基を有していてもよいメチレン鎖又は置換基を有していてもよい、モノ又はポリメチレンジオキシ基を形成していてもよい。
ただし、R65とR66が共に水素原子の場合は除く。
面不斉を有する化合物としては、例えば下記に示すヘリセン(Helicene)誘導体
E61及びE62は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基、ベンジル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルケトン基、複素環基又はこれらの誘導体のいずれかを表す。)
A71及びA72は各々独立に、芳香族性あるいは非芳香族性の3ないし8員環、又は、炭素原子数9以上の縮合環を表すが、これらの環の任意の水素がハロゲン、炭素原子数1〜3のアルキル基又はハロアルキル基で置き換えられてもよく、環の1つ又は2つ以上の−CH2−は−O−、−S−、又は−NH−で置き換えられてもよく、環の1つ又は2つ以上の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、
Z71及びZ72は各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜8のアルキレン基を表すが、任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−N(O)=N−、−N=N(O)−、−CH=CH−、−CF=CF−、又は−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
X71及びX72は各々独立に単結合、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、又は−CH2CH2−を表し、
m71及びm72は各々独立に1〜4の整数を表す。ただし、式(IV−d5)におけるm71及びm72のいずれか一方は0でもよい。
式(IV−d2)中、Ar71及びAr72は各々独立にフェニル基又はナフチル基を表し、これらの基においてベンゼン環の任意の1つ又は2つ以上の任意の水素原子はハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、メチル基、メトキシ基、−CF3、−OCF3で置換されていてもよい。
R81、R82、R83及びY81は、各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表し、該アルキル基の1つ又は2つ以上の隣接していない−CH2−基が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−O−SO2−、−SO2−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH3)2−で置き換えられてもよく、さらにアルキル基の1つ又はそれ以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子あるいはCN基で置き換えられていてもよく、重合性基をもっていてもよく、前記アルキル基が縮合又はスピロ環式系を含むものでもよく、前記アルキル基が1つ又は2つ以上のヘテロ原子を含むことができる1つ又は2つ以上の芳香族又は脂肪族の環を含むものでもよく、またこれらの環はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲンで任意に置換されていてもよく、
Z81、Z82、Z83、Z84及びZ85は各々独立に炭素原子数が1〜40個であるアルキレン基を表し、該アルキル基の1つ又は2つ以上のCH2基が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CF=CF−、−CF2−又は−C≡C−により置き換えられていてもよく、
X81、X82及びX83は、各々独立に−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH2CH2−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF=CF−、−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−、又は単結合を表し、
A81、A82及びA83は各々独立にフェニレン基、シクロヘキシレン基、ジオキソランジイル基、シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジンジイル基、ナフタレンジイル基、デカヒドロナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基から選択される環式基を表し、前記フェニレン基、ナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基は環内の1つ又は2つ以上の−CH=基が窒素原子で置き換えられてもよく、前記シクロヘキシレン基、ジオキソランジイル基、シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジンジイル基、デカヒドロナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基は環内の1つ又は2つの隣接していない−CH2−基が、−O−及び/又は−S−で置き換えられてもよく、前記環式基の1つ又はそれ以上の水素原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、CN基、NO2基、あるいは、1つ又は2つ以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置き換えられてもよい、炭素原子数1〜7の有するアルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基又はアルコキシカルボニル基で置き換えられていてもよく、
m81、m82、m83はそれぞれ0又は1であり、m81+m82+m83は1、2又は3である。
CH*81及びCH*82は各々独立にキラルな2価の基を表し、
CH*83はキラルな3価の基を表す。
CH*83に用いられるキラルな3価の基としては、CH*81及びCH*82に用いられるキラルな2価基の任意の位置に、−X83(Z83A83)m83R83が結合できることにより3価の基となればよい。
Z91及びZ92は各々独立に−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−N(Ra)−、−N(Ra)−CO−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−又は単結合を表し、−CO−N(Ra)−又は−N(Ra)−CO−におけるRaは水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す。
他のコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、エチレン、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ジビニルベンゼン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリロニトリル等が挙げられる。
従来、高分子化を用いた液晶の安定化には、高分子安定化強誘電性液晶や液晶ゲル/エラストマーなどのように、試料中に3次元的な高分子ネットワークを均一に形成させたものと、高分子安定化ブルー相のように、構造に特異な欠陥構造を選択的かつ局所的に高分子化する2種類の方法があると理解されている。本発明の「高分子安定化」は、選択的かつ局所的に高分子化することを意図したものであるが、ブルー相のように特異な欠陥構造を利用したものではなく、一般的なスメクチック相の液晶材料に適用することができる。したがって、本発明は、様々な液晶秩序の新しい状態制御の概念として、普遍的に応用するための基礎的なモデル系となる。この意味では、高分子安定化ブルー相は、液晶秩序の「欠陥」という、ブルー相など特殊な液晶相にしか存在しない場所をターゲットにして、高分子化を行っているのに対して、本発明は、スメクチック層の層間という、スメクチック相に普遍的に存在する動的構造をターゲットにしている点が本質的に異なる。
試料は、(1)反強誘電性液晶として、4−(1−メチルヘプチルオキシカルボニル)フェニル−4’−オクチルオキシビフェニル−4−カルボキシレート(MHPOBC)、(2)非液晶性モノアクリル化合物として、ドデシルアクリレート(dodecyl acrylate)、(3)非液晶性ジアクリル化合物として、1,6−ビス(アクリロイルオキシ)ヘキサン[1,6-bis(acryloyloxy)hexane]、(4)重合開始剤として、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(DMPAP)を用いて、重量比(1):(2):(3)=97:1.5:1.5((4)は0.1%以下)の混合試料を調製し、垂直配向処理した櫛歯電極セル(電極間距離15μm、セル厚4〜10μm)に注入した。櫛歯電極セルは、垂直配向下でスメクチック層に平行な電場を印加するために用いた。
図3(b)でAF状態による複屈折が確認できた。また、重合後に電場を切った状態が図3(b’)であり、電場を0にしても図3(a)(分子配列は図1(a))の螺旋状態(暗視野)には戻らず、図1(b)ないし図2(a)のAF状態が保持された。このことより、高分子化によるC−ダイレクターの配向方向が固定(メモリ化)されていることを確認することができた。
リターダーなしの場合、AF状態とF状態の二つはC−ダイレクターの方向が90°異なるが、クロスニコル下では偏光子とのなす角は共に45°であるため、明確に区別が付かない(図4(a)と図4(b)参照)。そこでリターダー(Δnd=530nm)を遅相軸が電場方向と平行になるように試料と検光子の間に配置し、AF状態とF状態を区別できるようにした。願書に添付の図面代用写真ではグレースケールとせざるを得ないため、カラー情報を含めることができなかったものの、図4(a’)はC−ダイレクターとリターダーの遅相軸が平行となり青色(図4(a)、図4(b)と同系統の色)を、図4(b’)は垂直となり赤橙色を呈している。このことから、重合後E>Ethの電場印加により図2(b)のF状態へ電場誘起相転移し、電場を切ると再び図2(a)のAF状態に戻ることが確認できた。
以上のことからSmCA*相のAF状態で、層間の局所的高分子化により、AF状態のC−ダイレクターの配向メモリと、電場ON/OFFによるAF−F状態間のC−ダイレクター一様配向状態のスイッチング制御が可能であることを実証した。
ミクロな層構造については、X線回折実験により、重合性モノマーの添加前の状態、重合性モノマー添加後の状態、モノマー重合後の状態は、若干重合後にシュリンクのあるものの、溶媒であるモノマーによる層間の膨潤が起こって重合性モノマーの局在が実現できていることと、重合が層間にモノマーが局在した状態を保存して、重合が起こっていることを確認できる。一方で層周期の温度依存性も保存されており、温度によってスメクチックA−スメクチックC相転移が起こって液晶分子が傾くことにより、層周期がシュリンクすることも確認できている。ミクロな測定からも、図2に示すような発明者の設計通りの物質制御ができていると確認できていて、かつ傾きの自由度は凍結されていないことがわかる。
Claims (9)
- 第一の基板と、第二の基板と、前記第一の基板と第二の基板間に挟持された液晶組成物と高分子を含有する液晶・高分子複合材料層を有する液晶・高分子複合素子であって、該基板の少なくとも一方には、該液晶・高分子複合材料層を制御する電極を有し、該液晶・高分子複合材料層において液晶相が傾斜スメクチック相を有し、該傾斜スメクチック相のC−ダイレクターの配向が外場の規制力によらず一様に配向しており、前記液晶・高分子複合材料層において、構成する該液晶組成物単独の傾斜スメクチック相の層間隔が、該液晶・高分子複合材料層の傾斜スメクチック相の層間隔より小さいことを特徴とする液晶・高分子複合素子。
- 前記液晶・高分子複合材料層において、傾斜スメクチック相を有する液晶の層間に高分子層を有する請求項1に記載の液晶・高分子複合素子。
- 前記液晶組成物が、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、又はフェリ誘電性液晶である請求項1又は2記載の液晶・高分子複合素子。
- 前記液晶・高分子複合材料のC−ダイレクターの配向の方向が、液晶・高分子複合材料をその傾斜スメクチック相の上限温度を越えて加熱したのち傾斜スメクチック相を示す温度に冷却しても加熱前の配向が保持されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶・高分子複合素子。
- 前記液晶・高分子複合材料の示す傾斜スメクチック相の層法線が基板に対して略水平となるよう液晶分子が配向し、電場を基板に対して略垂直となるように印加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶・高分子複合素子。
- 前記液晶・高分子複合材料の示す傾斜スメクチック相の層法線が基板に対して略垂直となるよう液晶分子が配向し、電場を基板に対して略水平となるように印加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶・高分子複合素子。
- 前記傾斜スメクチック相が、液晶分子のC−ダイレクタ―の配向を維持している請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶・高分子複合素子。
- 前駆体である重合性官能基を有する化合物を、前記液晶と混合したのちに重合することにより前記液晶・高分子複合材料層を得る、請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶・高分子複合素子の製造方法。
- 前記重合を、外場によりC−ダイレクターを特定の方向に配向した状態で行う請求項8に記載の液晶・高分子複合素子の製造方法。
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