JP6399480B2 - 光学素子 - Google Patents

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Description

本発明は、電場の印加により複屈折を発現する電場誘起複屈折性材料、及び前記電場誘起複屈折性材料を用いた光学素子に関する。
液晶ディスプレイや液晶メモリー素子等では、液晶材料の複屈折を利用している。現在主流の液晶材料はネマチック液晶材料であり、その初期配向を制御することによって、暗状態を得ている。そのため、黒表示を良好に行うためには、高度な配向制御が必要となる。一方、ブルー相のような液晶材料では、初期状態が光学等方性であるため、特に配向処理を行わなくても黒表示を良好に行うことができる。
一方、ある種のスメクチック液晶材料では、等方性液体の状態で電場を印加することにより、複屈折を発現することが開示されている(非特許文献1参照)。また、屈曲型(バナナ型)の液晶材料でも、等方性液体の状態で電場を印加することにより、複屈折を発現することが開示されている(非特許文献2参照)。
The Chemical Record, Vol. 9, 340-355 (2009) ChemPhysChem, 2004, 5, 99-103
しかし、非特許文献1で開示されている方法では、基板間で液晶材料を挟持し、前記基板の表面に対して略垂直方向に電場を印加することにより複屈折を発現している。そして、この方法では、基板の表面に対して略平行方向において液晶分子の向きを揃えることができないため、光学素子へは応用できないという問題点があった。
非特許文献2で開示されている方法でも、非特許文献1で開示されている方法と同様に、基板の表面に対して略垂直方向に電場を印加することにより複屈折を発現していると考えられ、同様の問題点があった。
また、ブルー相等のカー効果を利用する液晶材料も電場の印加によって複屈折を発現するが、原理的に、複屈折の発現に必要な印加電場の閾値を持たないため、このような液晶材料を備えた光学素子は、低レベルの入力信号に対しても不要な応答を示して複屈折を発現してしまい、好ましい特性を有するものではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、基板間で挟持した状態で電場を印加することにより複屈折を発現する、光学素子への利用が可能な新規の電場誘起複屈折性材料、及び前記材料を用いた光学素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、基板間で挟持した、等方性液体の状態にあるネマチック液晶材料又はスメクチック液晶材料に、前記基板の表面に対して略平行方向に電場を印加することにより、複屈折を発現する現象を初めて見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、発明は、基板間で電場誘起複屈折性材料を挟持してなり、前記基板の表面に対して略平行方向に電場を印加する光学素子において、前記電場誘起複屈折性材料は、前記基板の表面に対して略平行方向に電場を印加することにより複屈折を発現するものであり、複屈折を発現するときの前記電場に閾値があり、前記光学素子は、前記閾値以上の前記電場の印加の有無によって、前記電場誘起複屈折性材料における複屈折の発現及び消失を制御し、且つ、光照射の有無によって、前記電場誘起複屈折性材料における複屈折の発現及び消失を制御することを特徴とする光学素子を提供する。
本発明によれば、基板間で挟持した状態で電場を印加することにより複屈折を発現する、光学素子への利用が可能な新規の電場誘起複屈折性材料、及び前記材料を用いた光学素子が提供される。
本発明に係る光学素子の要部である液晶セルを模式的に例示する図であり、(a)は正面図、(b)は一方の基板の平面図である。 本発明における液晶セルに横電場を印加したときの、電場誘起複屈折性材料での複屈折の発現現象を模式的に示す拡大平面図である。 本発明に係る電場誘起複屈折性材料での複屈折の発現領域の移動を模式的に示す拡大平面図である。 実施例4における光学素子の液晶セルの撮像データである。 実施例5における光学素子の液晶セルの撮像データである。 実施例6における光学素子の液晶セルの撮像データである。 実施例8における光学素子の液晶セルの撮像データである。 実施例1の液晶化合物と実施例8の液晶組成物との、交流電場印加時の応答速度を比較したグラフである。
<<電場誘起複屈折性材料>>
本発明に係る電場誘起複屈折性材料は、基板間で挟持して、前記基板の表面に対して略平行方向に電場を印加することにより複屈折を発現し、複屈折を発現するときの前記電場に閾値があることを特徴とする。
かかる電場誘起複屈折性材料は、基板間で挟持し、前記基板の表面に対して略垂直方向の電場(以下、「縦電場」と略記することがある)を印加することにより複屈折を発現する従来の材料とは異なり、前記基板の表面に対して略平行方向の電場(以下、「横電場」と略記することがある)を印加することにより複屈折を発現するため、この方向において液晶分子の向きを揃えることができ、光学素子への応用が可能なものである。また、かかる電場誘起複屈折性材料は、複屈折の発現に必要な印加電場に閾値がある点で、従来の材料とは異なる。
本発明において、「略平行」とは、対象物に対して平行であるか、又はほぼ平行であるとみなし得る程度に平行度が高いことを意味し、対象物表面との為す角度が好ましくは25°以下、より好ましくは20°以下、さらに好ましくは10°以下であることを意味する。
本発明に係る電場誘起複屈折性材料が複屈折を発現するためには、電場の電気力線が占める主要な領域が上記のように略平行であればよく、一部の領域で電場が略平行でなくても構わない。
前記閾値は、電場誘起複屈折性材料の種類に応じて異なり、換言すれば、電場誘起複屈折性材料の種類を調節することで、前記閾値を調節できる。
本発明に係る電場誘起複屈折性材料は、単一の化合物からなるものでもよいし、二種以上の化合物を含有してなる組成物であってもよい。電場誘起複屈折性材料が前記組成物である場合、組成物中の化合物の組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記電場誘起複屈折性材料は、一種以上の液晶化合物を含有するもの、又は一種以上のキラル化合物とそれ以外の化合物を含有する液晶組成物が好ましく、前記液晶化合物は、より具体的に後述するように棒状液晶化合物であることが好ましい。そして、前記電場誘起複屈折性材料は、スメクチック液晶相を示すものが好ましい。
前記電場誘起複屈折性材料は、一種以上の光応答性化合物を含有するものも好ましい。前記光応答性化合物としては、炭素原子間の二重結合(C=C)を有するアルケン化合物、窒素原子間の二重結合(N=N)を有するアゾ化合物が例示できる。
電場誘起複屈折性材料は、光応答性化合物を含有することにより、電場誘起複屈折を光応答性化合物の作用によって光スイッチングすることが可能となる。
前記光応答性化合物は、それ自体が電場誘起複屈折性材料であることが好ましい。
前記光応答性化合物は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記電場誘起複屈折性材料は、一種以上のゲル化剤又は高分子化合物を含有するものも好ましい。前記ゲル化剤及び高分子化合物は、いずれも電場誘起複屈折性材料の構造を強化する効果を有し、電場誘起複屈折性材料の特性の変化に寄与する。電場誘起複屈折性材料は、ゲル化剤又は高分子化合物を含有させることにより、これらを含有しない電場誘起複屈折性材料よりも、等方相と液晶相との間の相転移温度を低くしたり、液晶を示す温度範囲を拡大したりすることができ、室温付近で使用する液晶材料又は表示素子を得るために有用である。
前記ゲル化剤は、液晶中でネットワーク構造を形成するものであればよく、低分子ゲル化剤、高分子ゲル化剤、粒子ゲル化剤、水性ゲル化剤、油性ゲル化剤等が例示できる。代表的なゲル化剤としては、ジェランガム、キサンタンガム、カードラン、プルラン、グァーガム誘導体、ローカストビーンガム、カラギナン、ペクチン、セルロース誘導体、ペクチン、βグルカン、タマリンドガム、サイリウムシードガム、ミクロゲル、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエーテル型シリカ、ベントナイト、デキストリン酸脂肪エステル、イヌリン酸脂肪エステル、シリコーン系増粘ゲル化剤、ポリアミド樹脂、アミノ酸系ゲル化剤、長鎖脂肪酸系ゲル化剤、ソルビトール系ゲル化剤等が例示できる。さらに、前記長鎖脂肪酸系ゲル化剤としては、ヒドロキシ基を有する長鎖脂肪酸が例示でき、例えば、炭素数が8〜20の脂肪酸が用いられる。
電場誘起複屈折性材料における前記ゲル化剤の含有量は、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
前記ゲル化剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記高分子化合物は、後述する重合性化合物を重合してなるものが例示できる。
電場誘起複屈折性材料における前記高分子化合物の含有量は、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。
前記高分子化合物は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
以下、好ましい電場誘起複屈折性材料について、より具体的に説明する。
前記電場誘起複屈折性材料で好ましいものとしては、例えば、キラルな液晶材料であれば、強誘電性液晶相を発現する化合物、反強誘電性液晶相を発現する化合物、コレステリック液晶相を発現する化合物等のキラルな液晶化合物が挙げられる。さらに、キラルな液晶材料としては、キラル化合物を含有する液晶組成物として、キラル化合物及びアキラルなスメクチック液晶化合物を含む強誘電性液晶組成物、キラル化合物及びアキラルなネマチック液晶化合物を含むコレステリック液晶組成物等が挙げられる。
また、前記電場誘起複屈折性材料で好ましいものとしては、例えば、アキラルな液晶材料であれば、アキラルなネマチック液晶化合物、アキラルなスメクチック液晶化合物等が挙げられる。
横電場の印加で複屈折を発現するためには、スメクチック液晶材料であれば、反強誘電性液晶相を示す液晶材料が好ましく、また、その反強誘電性液晶相が電場の印加により強誘電性液晶相に転移し易い(小さい電場強度で強誘電性液晶相に転移する)ものが好ましい。ネマチック液晶材料であれば、誘電率異方性の絶対値や屈折率異方性が大きいものが好ましい。ネマチック液晶であれば、アキラルな化合物が好ましい。
<強誘電性液晶化合物>
キラル又はアキラルな強誘電性液晶化合物としては、下記の一般式
(式中、Rは各々独立に炭素原子数1〜18の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表し、該アルキル基中の、1つ又は2つの隣接していない−CH−基は−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−SO−、−SO−O−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はCN基で置き換えられていてもよく、
Zは各々独立に−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−N(R)−、−N(R)−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−O−SO−、−SO−O−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−、−N=N−又は単結合を表し、−CO−N(R)−又は−N(R)−CO−におけるRは水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し、
Aは各々独立にフェニレン基、シクロヘキシレン基、ジオキソランジイル基、シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジンジイル基、ナフタレンジイル基、デカヒドロナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基から選択される環式基を表し、前記フェニレン基、ナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基は環内の1つ又は2つ以上の−CH=基が窒素原子で置き換えられてもよく、前記シクロヘキシレン基、ジオキソランジイル基、シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジンジイル基、デカヒドロナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基は環内の1つ又は2つの隣接していない−CH−基が、−O−及び/又は−S−で置き換えられてもよく、前記環式基の1つ又はそれ以上の水素原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、CN基、NO基、あるいは、1つ又は2つ以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置き換えられてもよい、炭素原子数1〜7の有するアルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基又はアルコキシカルボニル基で置き換えられていてもよく、
nは1、2、3、4又は5である。)で表される液晶化合物が好ましい。
また、下記の一般式
(式中、Rは各々独立に炭素原子数1〜18の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表し、該アルキル基中の、1つ又は2つの隣接していない−CH−基は−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−SO−、−SO−O−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はCN基で置き換えられていてもよく、
Zは各々独立に−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−N(R)−、−N(R)−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−O−SO−、−SO−O−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−、−N=N−又は単結合を表し、−CO−N(R)−又は−N(R)−CO−におけるRは水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し、
Yは各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は各々独立にハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよく、
Xは各々独立にハロゲン原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基、−CF、又は−OCFを表し、
nは各々独立に0〜4の整数を表し、
、n、n及びnは、各々独立に0又は1を表すが、n+n+n+n=1〜4であり、
Cycloは各々独立に炭素原子数3〜10のシクロアルカンを表し、任意に二重結合を有していてもよい。)で表される液晶化合物(LC−I)〜(LC−III)が好ましい。
ここで、Cycloはシクロヘキサン(シクロへキシレン基)であることが好ましく、例えば下記一般式
(式中、Rは各々独立に炭素原子数1〜18の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表し、該アルキル基中の、1つ又は2つの隣接していない−CH−基は−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−SO−、−SO−O−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はCN基で置き換えられていてもよく、
Zは各々独立に−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−N(R)−、−N(R)−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−O−SO−、−SO−O−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−、−N=N−又は単結合を表し、−CO−N(R)−又は−N(R)−CO−におけるRは水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し、
Yは各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は各々独立にハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよく、
Xは各々独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基、CF基、又はOCF基を表し、
nは各々独立に0〜4の整数を表し、
、n、n及びnは、各々独立に0又は1を表すが、n+n+n+n=1〜4である。)で表される液晶化合物(LC−I′)〜(LC−III′)が好ましい。
液晶性を発現するためには、環に対して1,4−置換であることが好ましい。すなわち該液晶化合物に含まれる環式2価基が1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2,5−ピリミジンジイル基などであることが好ましい。
例えば下記一般式
(式中、R11及びR12は各々独立に炭素原子数1〜18の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又はフッ素原子を表すが、R11とR12が同時にフッ素原子となることはなく、該アルキル基中の、1つ又は2つの隣接していない−CH−基は−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、又はCN基で置き換えられていてもよく、
11〜X22は各々独立に水素原子、フッ素原子、CF基、又はOCF基を表し、
11〜L14は各々独立に単結合、−N=N−、−O−、−S−、−CO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CHCH−、−CH=CH−、又は−C≡C−を表し、
Yは各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は各々独立にハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよく、
、b、c、dは各々独立に0又は1の整数を表すが、a+b+c+dは1、2又は3であり、aが0の場合はdは0であり、aが1の場合はcは0であり、cが1の場合はaは0であり、b=c=1の場合はa=d=0であり、
Cycloは各々独立に炭素原子数3〜10のシクロアルカンを表し、任意に二重結合を有していてもよい。)で表される液晶化合物(LC−Ia)〜(LC−IIIa)が好ましい。
また、下記一般式
(式中、R11及びR12は各々独立に炭素原子数1〜18の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又はフッ素原子を表すが、R11とR12が同時にフッ素原子となることはなく、該アルキル基中の、1つ又は2つの隣接していない−CH−基は−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、又はCN基で置き換えられていてもよく、
環Aは各々1〜4つの水素原子がフッ素原子、CF基、OCF基、又はCN基、あるいはこれらの複数の基で置き換えられてもよい1,4−フェニレン基、又は、1,4−シクロヘキシレン基を表し、
環Bは1〜4つの水素原子がフッ素原子、CF基、OCF基、又はCN基、あるいはこれらの複数の基で置き換えられてもよい1,4−フェニレン基を表し、
環Cは1〜4つの水素原子がフッ素原子、CF基、OCF基、又はCN基、あるいはこれらの複数の基で置き換えられてもよい1,4−シクロヘキシレン基を表し、
Lは各々独立に単結合、−N=N−、−O−、−S−、−CO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CHCH−、−CH=CH−、又は−C≡C−を表し、
Yは各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は各々独立にハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよく、
は0、1、又は2を表し、b、及びcは0、1、又は2の整数を表し、a、b及びcの合計は1、2または3を表す。)で表される液晶化合物(LC−IV)、
(式中、R21及びR22は各々独立に炭素原子数1〜18の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又はフッ素原子を表すが、R21とR22が同時にフッ素原子となることはなく、該アルキル基中の、1つ又は2つの隣接していない−CH−基は−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、又はCN基で置き換えられていてもよく、
21〜X27は各々独立に水素原子、フッ素原子、CF基、又はOCF基を表し、
21〜L24は各々独立に単結合、−N=N−、−O−、−S−、−CO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CHCH−、−CH=CH−、又は−C≡C−を表し、
Yは各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は各々独立にハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよく、
、b、c及びdは各々独立に0又は1の整数を表すが、a+b+c+dは1、2又は3であり、aが0の場合はdは0であり、aが1の場合はcは0であり、b=c=1の場合はa=d=0である。)で表される液晶化合物(LC−V)が好ましい。
フェニルピリミジン系化合物のうち、強誘電性の発現に必要な傾いたスメクチック相を得るため、あるいは、分子の傾き角を大きくするため、もしくは融点を低下させるためには分子の環の部分に置換基として、少なくとも1つ以上のフッ素原子、CF基、あるいはOCF基が導入されることが好ましい。置換基としては形状の小さなフッ素を導入することが、液晶相を安定に保ち、また、高速応答性も保持する面で好ましい。置換基の数は1〜3が好ましい。
粘度が低く高速応答するため、環をつなぐ連結基(−Z−Y−Z−、又は−Y−L−Y−)としては、単結合、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CH=CH−、又は、−C≡C−からなるより選択されることが好ましく、特に、単結合であることが好ましい。分子の局部的な分極を抑制しスイッチング挙動への悪影響を少なくする面でも単結合が好ましい。一方、層構造の安定性を保つための材料としては粘度が高い方が好ましく、その場合には、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−からなるより選択されることが好ましく用いられ、特に、−CO−O−、−O−CO−が好ましく用いられる。
一方、融点を低下させる効果を大きくするという点では、側鎖(R、R11、R12、R21、R22)の一方または両方に水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、イソプロピル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルオキシカルボニルオキシ基を用いることが好ましい。
Δnを大きくするのに適していて、安定な強誘電性液晶相を示し、かつ、粘度が低く高速応答に適した化合物としては、下記一般式
(式中、R21及びR22は各々独立に炭素原子数1〜18の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子、又はフッ素原子を表し、
該アルキル基中の、1つ又は2つの隣接していない−CH−基は−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−SO−、−SO−O−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はCN基で置き換えられていてもよく、
21〜X24は各々独立に水素原子、ハロゲン、シアノ基、メチル基、メトキシ基、CF基、又はOCF基を表し、
環Aはフェニレン基またはシクロヘキシレン基を示し、
Lは各々独立に単結合、−N=N−、−O−、−S−、−CO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CHCH−、−CH=CH−、又は−C≡C−を表し、
Yは各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は各々独立にハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよく、
は0、1、又は2を表し、b、及びcは0、1、又は2の整数を表し、a+b+cの合計は1又は2を表し、a=1のときc=0であり、c=1のときa=0である)で表される液晶化合物(LC−VI)が好ましい。
上記一般式(LC−I)〜(LC−VI)におけるYは、好ましくは、各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜7のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)であり、
より好ましくは、各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)であり、
より好ましくは、各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜3のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)である。
TFT駆動に適していて、安定な強誘電性液晶相を示し、かつ、粘度が低く高速応答に適した化合物としては、下記一般式
(式中、eは0又は1を示し、
21〜X26は各々独立に水素原子、又はフッ素原子基を表すが、eが0のときX21〜X24の少なくとも1つはフッ素原子で、eが1のときX21〜X26の少なくとも1つはフッ素原子であり、
21及びR22は各々独立に炭素原子数1〜18の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、該アルキル基中の、1つの−CH−基が−O−で置き換えられてもよく、
25は単結合、−N=N−、−CHO−、又は−OCH−を表し、
環Aはフェニレン基またはシクロヘキシレン基を表す。)で表される液晶化合物(LC−VII)が特に好ましい。
強誘電性液晶組成物に用いられる液晶化合物は、上記の(LC−0)、(LC−I)〜(LC−III)、(LC−IV)、(LC−V)、(LC−VI)、(LC−VII)等のいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせで用いてもよい。
(キラル化合物)
強誘電性液晶組成物に含まれるキラル化合物としては、不斉原子をもつ化合物、軸不斉をもつ化合物、面不斉をもつ化合物、アトロプ異性体のいずれでもよく、該キラル化合物は重合性基を有するものでも、重合性基を有しないものでもよい。
不斉原子をもつ化合物において、不斉原子は不斉炭素原子であると立体反転が起こりにくく好ましいが、ヘテロ原子が不斉原子となっていてもよい。不斉原子は鎖状構造の一部に導入されていても、環状構造の一部に導入されていてもよい。
該強誘電性液晶組成物において、不斉原子をもつ化合物としては、一般式(IV)
(式(IV)中、R及びRは各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表し、該アルキル基の1つ又は2つ以上の隣接していない−CH−基が−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−O−SO−、−SO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH−で置き換えられてもよく、さらにアルキル基の1つ又はそれ以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子あるいはCN基で置き換えられていてもよく、重合性基をもっていてもよく、前記アルキル基が縮合又はスピロ環式系を含むものでもよく、前記アルキル基が1つ又は2つ以上のヘテロ原子を含むことができる1つ又は2つ以上の芳香族又は脂肪族の環を含むものでもよく、またこれらの環はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲンで任意に置換されていてもよく、
及びRのうちいずれか一方又は両方が不斉原子をもつ基であり、
Zは各々独立に−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−N(R)−、−N(R)−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−、−N=N−又は単結合を表し、−CO−N(R)−又は−N(R)−CO−におけるRは水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し、
及びAは各々独立にフェニレン基、シクロヘキシレン基、ジオキソランジイル基、シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジンジイル基、ナフタレンジイル基、デカヒドロナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基から選択される環式基を表し、前記フェニレン基、ナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基は環内の1つ又は2つ以上の−CH=基が窒素原子で置き換えられてもよく、前記シクロヘキシレン基、ジオキソランジイル基、シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジンジイル基、デカヒドロナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基は環内の1つ又は2つの隣接していない−CH−基が、−O−及び/又は−S−で置き換えられてもよく、前記環式基の1つ又はそれ以上の水素原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、CN基、NO基、あるいは、1つ又は2つ以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置き換えられてもよい、炭素原子数1〜7の有するアルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基又はアルコキシカルボニル基で置き換えられていてもよく、
mは1、2、3、4又は5である。)で表される光学活性化合物が好ましい。
上記一般式(IV)においてR及びRの両方がキラルな基である、ジキラル化合物の具体例として、下記一般式(IV−a1)から(IV−a11)で表される化合物が挙げられる。このようなジキラル化合物は、強誘電性液晶相又は反強誘電性相を発現する化合物として好ましいものであり、反強誘電性相を発現する化合物として特に好ましいものである。
一般式(IV−a1)から(IV−a11)において、Rは、各々独立に炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を表し、該アルキル基の1つ又は2つ以上の隣接していない−CH−基が−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−O−SO−、−SO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH−で置き換えられてもよく、さらにアルキル基の1つ又はそれ以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子あるいはCN基で置き換えられていてもよく、重合性基をもっていてもよい。重合性基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
また、X及びXは、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、シアノ基、フェニル基(該フェニル基の1つ又は2つ以上の任意の水素原子はハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、メチル基、メトキシ基、−CF、−OCFで置換されていてもよい。)、メチル基、メトキシ基、−CF、又は−OCFであることが好ましい。ただし、一般式(IV−a3)及び(IV−a8)において、*を付した位置が不斉原子となるためには、XはXと異なる基が選択される。
また、Zの定義は式(IV)におけるのと同じである。
また、nは0〜20の整数である。
一般式(IV−a4)及び(IV−a9)におけるRは、水素原子又はメチル基が好ましい。
一般式(IV−a5)及び(IV−a10)におけるQは、メチレン基、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基などの二価の炭化水素基が挙げられる。
一般式(IV−a11)におけるkは、0〜5の整数である。
より好ましい例示として、R=C,C13,C17などの炭素原子数4〜8の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基が挙げられる。また、XとしてはCHが好ましい。
一般式(IV)及び(IV−a1)〜(IV−a11)における部分構造式、−A−(Z−A−は、より好ましくは、
(式中、環A、B、Cは、各々独立にフェニレン基、シクロヘキシレン基又はナフタレンジイル基であり、これらの基においてベンゼン環の任意の1つ又は2つ以上の任意の水素原子はハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、メチル基、メトキシ基、−CF、−OCFで置換されていてもよく、ベンゼン環の任意の1つ又は2つ以上の炭素原子は、窒素原子に置換されていてもよい。Zの定義は式(IV)におけるのと同じである。)であり、さらに好ましくは、
(ただし、これらの式においてベンゼン環の任意の1つ又は2つ以上の任意の水素原子はハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、メチル基、メトキシ基、−CF、−OCFで置換されていてもよく、ベンゼン環の任意の1つ又は2つ以上の炭素原子は、窒素原子に置換されていてもよい。Zの定義は式(IV)におけるのと同じである。)が挙げられる。信頼性の面では、ピリジン環、ピリミジン環等の複素環よりもベンゼン環やシクロヘキサン環の方が好ましい。誘電率異方性を大きくするという面では、ピリジン環、ピリミジン環等の複素環を有する化合物を使うことがよいが、その場合には化合物の持つ分極性が比較的大きく、ベンゼン環やシクロヘキサン環等の炭化水素環である場合には、化合物の持つ分極性が低い。このため、キラル化合物の分極性に応じて、適切な含有量を選択することが好ましい。
該強誘電性液晶組成物において、不斉原子をもつ化合物としては、一般式(V)
(式中、R51及びR52は、各々独立に炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、該アルキル基中の、1つ又は2つの隣接していない−CH−基は−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の水素原子はフッ素原子又はCN基で置き換えられていてもよく、A、B及びCは各々独立に、1,4−フェニレン基、ピラジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、1,3−ジチアン−2,5−ジイル基、1,3−チアゾール−2,4−ジイル、1,3−チアゾール−2,5−ジイル、チオフェン−2,4−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基、ピペラジン−1,4−ジイル基、ピペラジン−2,5−ジイル基又はナフタレン−2,6−ジイル基を表し、ただし、該1,4−フェニレン基及びナフタレン−2,5−ジイル基中の水素原子はフッ素原子、CF基、OCF基、CN基、CH基、又はOCH基に置換されていてもよく、該トランス−1,4−シクロへキシレン基中の水素原子はCN基又はCH基で置換されていてもよく、a、b、及びcは各々独立に0又は1を表し、L51及びL52は、各々独立に単結合、−N=N−、−O−、−CO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CHCH−、−CH=CH−又は−C≡C−を表し、L53は、一般式(V−1)、一般式(V−2)、又は一般式(V−3)
(式中、d、e、及びfは、各々独立に0以上7以下の整数を表す。)のいずれかで表される構造を有し、Z51は、一般式(V−4)又は一般式(V−5)
(ただし、Z52はフッ素原子、メチル基又はCF基を表し、R53及びR54は、各々独立に水素原子あるいは炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、*は不斉炭素を表す。)のいずれかで表される構造を有する。)で表される化合物も好ましい。
一般式(V)で表される化合物の中でも特に、Z51が一般式(V−4)の構造を持ち、かつZ52がフッ素原子の化合物、又は、Z51が一般式(V−5)の構造を持ち、かつR53及びR54が水素原子である化合物がさらに好ましい。
一般式(V)で表される化合物の中で、Z51が一般式(V−4)の構造を持ち、かつZ52がフッ素原子の化合物としては、下記一般式(V−b)
(式中、R57及びR58は、各々独立に炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、該アルキル基中の、1つ又は2つの隣接していない−CH−基は−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の水素原子はフッ素原子又はCN基で置き換えられていてもよく、L54は、一般式(V−b−1)、又は一般式(V−b−2)
(式中、g、及びhは、各々独立に0以上7以下の整数を表す。)のいずれかで表される構造を有する。)で表される化合物、又は、下記一般式(V−c)
(式中、R59及びR510は各々独立に炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、ただし、該アルキル基中の少なくともどちらかひとつは分岐状のアルキル基であり、該アルキル基中の、1つ又は2つの隣接していない−CH−基は−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CH=CH−又は−C≡C−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子あるいはCN基で置き換えられていてもよく、X51及びX52は各々独立に水素原子あるいはフッ素原子を表し、dは0又は1の整数を表し、L55は、一般式(V−c−1)、一般式(V−c−2)、又は一般式(V−c−3)、
(式中、j、k、及びmは、各々独立に0以上7以下の整数を表す。)のいずれかで表される構造を有する。)の構造を有することが好ましい。
これら化合物の中でも、一般式(V−b)で表される化合物の場合はR57及びR58は直鎖状又は分岐状のアルキル基がさらに好ましく、特に直鎖状アルキル基が好ましい。一方、一般式(V−c)で表される化合物の場合は、R59は直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基がさらに好ましく、R510は直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましく、特に直鎖状アルキル基が好ましい。
一般式(V)で表される化合物の中で、不斉炭素の構造としてZ51が一般式(V−5)の構造を持ち、かつR53及びR54が水素原子である化合物の例を以下に挙げる。
(式中、R531は炭素数4〜14のアルキル基あるいはアルコキシ基、R532は炭素数1〜8のアルキル基、R533は炭素数4〜14のアルキル基、L531、及びL532は各々独立にカルボニル基又はメチレン基を表す。)
一般式(V)で表される化合物の中で、不斉炭素の構造としてZ51が一般式(V−4)の構造を持つ化合物の例を以下に挙げる。
(式中、Raaは炭素数1〜18の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基又はアルコキシ基、Rbbは炭素数1〜18の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、Maaは炭素数1〜3のメチレン基、Mbbは炭素数1〜2のメチレン基を表す。)
また、強誘電性液晶組成物に用いられるキラル化合物としては、軸不斉を有する化合物又はアトロプ異性体を用いることもできる。
軸不斉とは、下記に示すアレン誘導体や、
下記に示すビフェニル誘導体など、
結合軸の回転が妨げられている化合物中、軸の一端側で置換基X及びYが互いに異なり、軸のもう一端側でも置換基X及びYが互いに異なることで発現する。なお、ビフェニル誘導体など、結合軸の回転が立体障害などの影響によって妨げられる場合をアトロプ異性という。
強誘電性液晶組成物に用いられる軸不斉をもつ化合物としては、例えば、
式(IV−c1)及び(IV−c2)中、X61とY61、X62とY62は、それぞれ、いずれか少なくとも一方が存在し、X61、X62、Y61、Y62は、各々独立にCH、C=O、O、N、S、P、B、Siのいずれかを表す。また、N、P、B、Siである場合は、所要の原子価を満足するように、アルキル基、アルコキシ基、アシル基等の置換基と結合されていてもよい。
61及びE62は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基、ベンジル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルケトン基、複素環基又はこれらの誘導体のいずれかを表す。
また、式(IV−c1)において、R61及びR62は、各々独立に、アルキル基、アルコキシル基もしくはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、シクロペンチル基、又はシクロヘキシル基を表し、
63、R64、R65、R66、R67及びR68は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、又はジアルキルアミノ基を示し、
63、R64及びR65のうちの2つが、置換基を有していてもよいメチレン鎖又は置換基を有していてもよい、モノ又はポリメチレンジオキシ基を形成していてもよく、
66、R67及びR68のうちの2つが、置換基を有していてもよいメチレン鎖又は置換基を有していてもよい、モノ又はポリメチレンジオキシ基を形成していてもよい。
ただし、R65とR66が共に水素原子の場合は除く。
また、強誘電性液晶組成物に用いられるキラル化合物としては、面不斉を有する化合物を用いることもできる。
面不斉を有する化合物としては、例えば下記に示すヘリセン(Helicene)誘導体
(式中、X61とY61、X62とY62は、それぞれ、いずれか少なくとも一方が存在し、X61、X62、Y61、Y62は、各々独立にCH、C=O、O、N、S、P、B、Siのいずれかを表す。また、N、P、B、Siである場合は、所要の原子価を満足するように、アルキル基、アルコキシ基、アシル基等の置換基と結合されていてもよい。
61及びE62は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基、ベンジル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルケトン基、複素環基又はこれらの誘導体のいずれかを表す。)
が挙げられる。このようなヘリセン誘導体においては、前後に重なり合う環の前後関係が自由に変換することができないため、環が右向きの螺旋構造をとる場合と左向きの螺旋構造をとる場合とが区別され、キラリティーを発現する。
液晶組成物に含まれるキラル化合物としては、螺旋構造のピッチが小さくなるように、ねじり力(Helical Twisting Power)が大きい化合物が好ましい。特に400nm以下となる螺旋ピッチの短いDHFLCを調整する際は、ねじり力が大きい化合物を使用することが好ましい。ねじり力が大きい化合物は所望のピッチを得るために必要な添加量が少なくできるので、原料コストの高いキラル化合物を最小限に抑えることができ、コスト削減の観点から好ましい。この観点から、好ましいキラル化合物として、不斉原子を有する化合物である、
や、軸不斉を有する化合物である、
が挙げられる。式(IV−d1)〜(IV−d5)中、R71及びR72は各々独立に、水素、ハロゲン、シアノ(CN)基、イソシアネート(NCO)基、イソチオシナネート(NCS)基又は炭素数1〜20のアルキル基を表すが、このアルキル基中の任意の1つ又は2つ以上の−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、又は−C≡C−で置き換えられてもよく、このアルキル中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく、
71及びA72は各々独立に、芳香族性あるいは非芳香族性の3ないし8員環、又は、炭素原子数9以上の縮合環を表すが、これらの環の任意の水素がハロゲン、炭素原子数1〜3のアルキル基又はハロアルキル基で置き換えられてもよく、環の1つ又は2つ以上の−CH−は−O−、−S−、又は−NH−で置き換えられてもよく、環の1つ又は2つ以上の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、
71及びZ72は各々独立に、単結合、−N=N−又は炭素原子数1〜8のアルキレン基を表すが、任意の−CH−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−N(O)=N−、−N=N(O)−、−CH=CH−、−CF=CF−、又は−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
71及びX72は各々独立に単結合、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、又は−CHCH−を表し、
71及びm72は各々独立に1〜4の整数を表す。ただし、式(IV−d5)におけるm71及びm72のいずれか一方は0でもよい。
式(IV−d2)中、Ar71及びAr72は各々独立にフェニル基又はナフチル基を表し、これらの基においてベンゼン環の任意の1つ又は2つ以上の任意の水素原子はハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、メチル基、メトキシ基、−CF、−OCFで置換されていてもよい。
強誘電性液晶組成物においては、メソゲンを有するキラル化合物を用いることもできる。このようなキラル化合物として、例えば
が挙げられる。式(IV−e1)〜(IV−e3)中、
81、R82、R83及びY81は、各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表し、該アルキル基の1つ又は2つ以上の隣接していない−CH−基が−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−O−SO−、−SO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH−で置き換えられてもよく、さらにアルキル基の1つ又はそれ以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子あるいはCN基で置き換えられていてもよく、重合性基をもっていてもよく、前記アルキル基が縮合又はスピロ環式系を含むものでもよく、前記アルキル基が1つ又は2つ以上のヘテロ原子を含むことができる1つ又は2つ以上の芳香族又は脂肪族の環を含むものでもよく、またこれらの環はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲンで任意に置換されていてもよく、
81、Z82、Z83、Z84及びZ85は各々独立に炭素原子数が1〜40個であるアルキレン基を表し、該アルキル基の1つ又は2つ以上のCH基が−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CF=CF−、−CF−又は−C≡C−により置き換えられていてもよく、Z81、Z82及びZ83は、−N=N−を表してもよく
81、X82及びX83は、各々独立に−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CHCH−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CF=CF−、−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−、又は単結合を表し、
81、A82及びA83は各々独立にフェニレン基、シクロヘキシレン基、ジオキソランジイル基、シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジンジイル基、ナフタレンジイル基、デカヒドロナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基から選択される環式基を表し、前記フェニレン基、ナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基は環内の1つ又は2つ以上の−CH=基が窒素原子で置き換えられてもよく、前記シクロヘキシレン基、ジオキソランジイル基、シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジンジイル基、デカヒドロナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基、又はインダンジイル基は環内の1つ又は2つの隣接していない−CH−基が、−O−及び/又は−S−で置き換えられてもよく、前記環式基の1つ又はそれ以上の水素原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、CN基、NO基、あるいは、1つ又は2つ以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置き換えられてもよい、炭素原子数1〜7の有するアルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基又はアルコキシカルボニル基で置き換えられていてもよく、
81、m82、m83はそれぞれ0又は1であり、m81+m82+m83は1、2又は3である。
CH*81及びCH*82は各々独立にキラルな2価の基を表し、
CH*83はキラルな3価の基を表す。
ここで、CH*81及びCH*82に用いられるキラルな2価の基としては、不斉原子を有する次の2価基
や、軸不斉を有する次の2価基
が好ましい。ただし、CH*81及びCH*82に用いられるこれらの2価基において、ベンゼン環の任意の1つ又は2つ以上の任意の水素原子はハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、メチル基、メトキシ基、−CF、−OCFで置換されていてもよく、ベンゼン環の任意の1つ又は2つ以上の炭素原子は、窒素原子に置換されていてもよい。
CH*83に用いられるキラルな3価の基としては、CH*81及びCH*82に用いられるキラルな2価基の任意の位置に、−X83(Z8383)m8383が結合できることにより3価の基となればよい。
さらに好ましくは、キラルな2価基としてイソソルビド骨格を有する、次の化合物が挙げられる。
式中、R91及びR92は各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表し、該アルキル基の1つ又は2つ以上の隣接していない−CH−基が−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−O−SO−、−SO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH−で置き換えられてもよく、さらにアルキル基の1つ又はそれ以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はCN基で置き換えられていてもよく、重合性基をもっていてもよく、前記アルキル基が縮合又はスピロ環式系を含むものでもよく、前記アルキル基が1つ又は2つ以上のヘテロ原子を含むことができる1つ又は2つ以上の芳香族又は脂肪族の環を含むものでもよく、またこれらの環はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲンで任意に置換されていてもよく、
91及びZ92は各々独立に−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−N(R)−、−N(R)−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−又は単結合を表し、−CO−N(R)−又は−N(R)−CO−におけるRは水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す。
(重合性化合物)
強誘電性液晶組成物は、重合性化合物を添加して、高分子安定化液晶組成物とすることもできる。
(重合性化合物(I))
強誘電性液晶組成物に用いられる重合性化合物(I)は、一般式(I−a)
(式(I−a)中、
は水素原子又はメチル基を表し、
は単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていてもよい。)を表し、
及びAはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から18のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から17のアルキル基で置換されていてもよい。)を表し、
及びAはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から9のアルキル基で置換されていてもよい。)を表し、
kは1から40を表し、
、B及びBは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1から10の直鎖もしくは分岐のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個もしくは2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい)、又は一般式(I−b)
(式(I−b)中、Aは水素原子又はメチル基を表し、
は単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていてもよい。)で表される基を表す。ただし、2k+1個あるB、B及びBのうち前記一般式(I−b)で表される基となるものの個数は0〜3個である。)で表される重合性化合物が好ましい。また、該重合性化合物の重合物のガラス転移温度が−100℃から25℃であることが好ましい。
なお、本願発明において、「アルキレン基」とは、特に断りのない場合、脂肪族直鎖炭化水素の両端の炭素原子から水素原子各1個を除いた二価の基「−(CH−」(ただしnは1以上の整数)を意味するものとし、その水素原子からハロゲン原子もしくはアルキル基への置換、又はメチレン基から酸素原子、−CO−、−COO−もしくは−OCO−への置換がある場合は、その旨を特に断るものとする。また、「アルキレン鎖長」とは、「アルキレン基」の一般式「−(CH−」におけるnをいうものとする。
非液晶性モノマー(I)は、一般式(I−a)で表されるものの中で複数、主鎖長やアルキル側鎖長の異なるものを含有させてもよい。
一般式(I−a)で表される重合性化合物(I)の好ましい構造として、下記一般式(I−c)
(式(I−c)中、A11及びA19はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、
12及びA18はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていてもよい。)を表し、
13及びA16はそれぞれ独立して炭素原子数2から20の直鎖アルキル基(該直鎖アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)を表し、
14及びA17はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から9のアルキル基で置換されていてもよい。)を表し、
15は炭素原子数9から16のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する少なくとも1個以上5個以下のメチレン基において、該メチレン基中の水素原子の一つはそれぞれ独立に炭素原子数1から10の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されている。該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)を表す。)で表される化合物、一般式(I−d)
(式(I−d)中、A21及びA22はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、aは、6〜22の整数を表す。)で表される化合物、一般式(I−e)
(式(I−e)中、A31及びA32はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、b及びcはそれぞれ独立して1〜10の整数を表し、dは1〜10の整数を表し、eは0〜6の整数を表す。)で表される化合物、及び一般式(I−f)
(式(I−f)中、A41及びA42はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、m,n,p及びqはそれぞれ独立して1〜10の整数を表す。)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも、式(I−c)で表される化合物を含むことが好ましい。
一般式(I−c)で表される重合性化合物の好ましい構造として、A11及びA19はいずれも水素原子であることが好ましい。これらの置換基A11,A19がメチル基である化合物においても本願発明の効果は発現するが、水素原子である化合物は重合速度がより速くなる点で有利である。
12及びA18はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1〜3のアルキレン基であることが好ましい。二つの重合性官能基間距離は、A12及びA18とA15とで独立的にそれぞれ炭素数の長さを変えて調整することができる。一般式(I−c)で表される化合物の特徴は、重合性官能基間の距離(架橋点間の距離)が長いことであるが、この距離があまりに長いと重合速度が極端に遅くなって相分離に悪い影響が出てくるため、重合性官能基間距離には上限がある。一方、A13及びA16の二つの側鎖間距離も主鎖の運動性に影響がある。すなわちA13及びA16の間の距離が短いと側鎖A13及びA16がお互いに干渉するようになり、運動性の低下をきたす。従って、一般式(I−c)で表される化合物において重合性官能基間距離はA12、A18、及びA15の和で決まるが、このうちA12とA18を長くするよりはA15を長くした方が好ましい。
一方、側鎖であるA13,A14,A16,A17においては、これらの側鎖の長さが次のような態様を有することが好ましい。
一般式(I−c)において、A13とA14は主鎖の同じ炭素原子に結合しているが、これらの長さが異なるとき、長いほうの側鎖をA13と呼ぶものとする(A13の長さとA14の長さが等しい場合は、いずれが一方をA13とする)。同様に、A16の長さとA17の長さが異なるとき、長いほうの側鎖をA16と呼ぶものとする(A16の長さとA17の長さが等しい場合は、いずれが一方をA16とする)。
このようなA13及びA16は、本願においてはそれぞれ独立して炭素原子数2から20の直鎖アルキル基(該直鎖アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)とされているが、
好ましくは、それぞれ独立して炭素原子数2から18の直鎖アルキル基(該直鎖アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)であり、
より好ましくは、それぞれ独立して炭素原子数3から15の直鎖アルキル基(該直鎖アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)である。
側鎖は主鎖に比べて運動性が高いので、これが存在することは低温での高分子鎖の運動性向上に寄与するが、前述したように二つの側鎖間で空間的な干渉が起こる状況では逆に運動性が低下する。このような側鎖間での空間的な干渉を防ぐためには側鎖間距離を長くすること、及び、側鎖長を必要な範囲内で短くすることが有効である。
さらにA14及びA17については、本願においてはそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1から9のアルキル基で置換されていてもよい。)とされているが、
好ましくは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1から7のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)であり、
より好ましくは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1から5のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)であり、
さらに好ましくは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1から3のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)である。
このA14及びA17についても、その長さが長すぎることは側鎖間の空間的な干渉を誘起するため好ましくない。この一方でA14及びA17が短い長さを持ったアルキル鎖である場合、高い運動性を持った側鎖になり得ること、及び隣接する主鎖同士の接近を阻害する働きを有することが考えられ、高分子主鎖間の干渉を防ぐ作用があり主鎖の運動性を高めているものと考えられ、アンカリングエネルギーが低温で増加して行くことを抑制することができ、高分子安定化液晶光学素子の低温域における特性を改善する上で有効である。
二つの側鎖間に位置するA15は、側鎖間距離を変える意味からも、架橋点間距離を広げてガラス転移温度を下げる意味からも、長い方が好ましい。しかしながらA15が長すぎる場合は一般式(I−c)で表される化合物の分子量が大きくなりすぎ液晶組成物との相溶性が低下してくること、及び重合速度が遅くなりすぎて相分離に悪影響が出ること等の理由から自ずとその長さには上限が設定される。
よって、本願発明においてA15は、炭素原子数9から16のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する少なくとも1個以上5個以下のメチレン基において、該メチレン基中の水素原子の一つはそれぞれ独立に炭素原子数1から10の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されている。該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)であることが好ましい。
すなわち、本願発明においてA15のアルキレン鎖長は炭素原子数9から16であることが好ましい。A15は構造上の特徴として、アルキレン基中の水素原子が炭素原子数1から10のアルキル基で置換された構造を有する。アルキル基の置換数は1個以上5個以下であるが、1個から3個が好ましく、2個又は3個置換されていることがより好ましい。置換するアルキル基の炭素原子数は、1個から5個が好ましく、1個から3個がより好ましい。
一般式(I−a)で表される化合物は、Tetrahedron Letters,Vol.30,pp4985、Tetrahedron Letters,Vol.23,No6,pp681−684、及び、Journal of Polymer Science:PartA:Polymer Chemistry,Vol.34,pp217−225等の公知の方法で合成することができる。
例えば、一般式(I−c)において、A14及びA17が水素である化合物は、エポキシ基を複数有する化合物と、エポキシ基と反応し得る活性水素を有するアクリル酸やメタクリル酸等の重合性化合物とを反応させ、水酸基を有する重合性化合物を合成し、次に、飽和脂肪酸と反応させることにより得ることができる。
更に、複数のエポキシ基を有する化合物と飽和脂肪酸とを反応させ、水酸基を有する化合物を合成し、次に水酸基と反応し得る基を有するアクリル酸塩化物等の重合性化合物とを反応させることにより得ることができる。
またラジカル重合性化合物が、例えば、一般式(I−c)のA14及びA17がアルキル基であり、A12及びA18が炭素原子数1であるメチレン基である場合は、オキセタン基を複数有する化合物と、オキセタン基と反応し得る脂肪酸塩化物や脂肪酸とを反応させ、更に、アクリル酸などの活性水素を有する重合性化合物とを反応させる方法や、オキセタン基を一つ有する化合物と、オキセタン基と反応し得る多価の脂肪酸塩化物や脂肪酸とを反応させ、更に、アクリル酸などの活性水素を有する重合性化合物とを反応させる方法等により得ることができる。
また、一般式(I−c)のA12及びA18が炭素原子数3であるアルキレン基(プロピレン基;−CHCHCH−)の場合は、オキセタン基の代わりにフラン基を複数有する化合物を用いることにより得ることができる。更に、一般式(I−c)のA12及びA18が炭素原子数4であるアルキレン基(ブチレン基;−CHCHCHCH−)の場合は、オキセタン基の代わりにピラン基を複数有する化合物を用いることにより得ることができる。
(重合性液晶化合物(II))
高分子安定化液晶組成物に用いられる重合性液晶化合物(II)は、下記一般式(II−a)
(式(II−a)中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、
及びCはそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
及びZはそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていてもよい。)を表し、
は、単結合、−N=N−、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CHCHO−、−OCHCH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CHCHOCO−、−COOCHCH−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−、−COO−又は−OCO−を表し、
は、0、1又は2を表す。ただし、nが2を表す場合、複数あるC及びZは同じであっても異なっていてもよい。)、
一般式(II−b)
(式(II−b)中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、
は1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)を表し、
はベンゼン−1,2,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,5−トリイル基、シクロヘキサン−1,2,4−トリイル基、シクロヘキサン−1,3,4−トリイル基又はシクロヘキサン−1,3,5−トリイル基を表し、
及びZはそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていてもよい。)を表し、
は、単結合、−N=N−、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CHCHO−、−OCHCH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CHCHOCO−、−COOCHCH−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−、−COO−又は−OCO−を表し、
は、0、1又は2を表す。ただし、nが2を表す場合、複数あるC及びZは同じであっても異なっていてもよい。)、
及び一般式(II−c)
(式(II−c)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、6員環T、T及びTはそれぞれ独立的に、
のいずれか(ただしmは1から4の整数を表す。)を表し、
は0又は1の整数を表し、
、Y及びYはそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CH=CHCHCH−又は−CHCHCH=CH−を表し、Y及びYは、−N=N−を表してもよく、
は単結合、−O−、−COO−、又は−OCO−を表し、
は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1から20のアルキル基、炭素原子数1から20のアルケニル基、炭素原子数1から20のアルコキシ基、又は炭素原子数1から20の炭化水素基を表す。)からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性化合物(II)である。
より具体的には、一般式(II−d)及び(II−e)
(式(II−d)及び(II−e)中、mは、0又は1を表し、
11及びY12はそれぞれ独立して単結合、−O−、−COO−又は−OCO−を表し、
13及びY14はそれぞれ独立して−COO−又は−OCO−を表し、Y13は、−N=N−を表してもよく、
15及びY16はそれぞれ独立して−COO−又は−OCO−を表し、
r及びsはそれぞれ独立して2〜14の整数を表す。式中に存在する1,4−フェニレン基は、非置換であるか又は置換基としてフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基を1個若しくは2個以上有することができる。)のいずれかで表される化合物を用いると、機械的強度や耐熱性に優れた光学異方体が得られるので好ましい。
一般式(II−a)で表される化合物の具体例を以下の(II−1)から(II−10)に挙げることができる。
(式中、j及びkはそれぞれ独立的に2〜14の整数を表す。)
また、一般式(II−d)及び(II−e)のいずれかで表される化合物の具体例を以下の(II−11)から(II−20)に挙げることができる。
(式中、j及びkはそれぞれ独立的に2〜14の整数を表す。)
<キラル性を示す光重合性モノマー>
光重合性モノマー(重合性化合物)としては、上述のようなアキラルな物質に限らず、キラルな物質を用いてもよい。キラル性を示す光重合性モノマーとしては、例えば、下記の一般式(II−x)、又は(II−y)で表される重合性化合物を用いることができる。
上記式(II−x)、及び式(II−y)において、Xは水素原子又はメチル基を表す。また、nは0又は1の整数を表し、nは、0、1又は2の整数を表す。ただし、nが2を表す場合、複数あるT及びYは同じであっても異なっていてもよい。
また、6員環T,T,T,Tは、1,4−フェニレン基、trans−1,4−シクロヘキシレン基等の6員環構造を有する置換基を表す。ただし、6員環T,T,Tは、これらの置換基にのみ限定されるものではなく、下記構造
を有する置換基のうち、何れか一種の置換基を有していればよく、互いに同じであっても異なっていても構わない。なお、上記置換基において、mは1〜4の整数を示す。
また、式(II−y)におけるTは、ベンゼン−1,2,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,4−トリイル基、ベンゼン−1,3,5−トリイル基、シクロヘキサン−1,2,4−トリイル基、シクロヘキサン−1,3,4−トリイル基又はシクロヘキサン−1,3,5−トリイル基などの環式3価基を表す。
また、式(II−x)及び式(II−y)におけるY、Y、及びYは、それぞれ独立的に、炭素原子数が1〜10である直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、又は−N=N−であり、この基中に存在する1個のCH基又は隣接していない2個のCH基は、−O−、−S−、−CO−O−又は−O−CO−により置き換えられていてもよく、単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CH=CHCHCH−、又は−CHCHCH=CH−を含んでいてもよい。また、不斉炭素原子を含んでいてもよく、含まなくてもよい。すなわち、Y及びYは、上記したいずれかの構造を有していれば、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
また、Y及びYは、単結合、−O−、−OCO−、−COO−を表す。
は、不斉炭素原子を持ちかつ分枝鎖構造を含む炭素原子数3〜20のアルキレン基を表す。
は、炭素原子数1〜20のアルキレン基を表し、不斉炭素原子を含んでいてもよく、含まなくてもよい。
強誘電性液晶組成物に用いられる重合性化合物は、上記の(I)、(II)、(II−x)、(II−y)のいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせで用いてもよい。
強誘電性液晶組成物が重合性化合物を含有する場合の重合方法としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等を用いることが可能であるが、ラジカル重合により重合することが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤を用いることができるが、光重合開始剤が好ましい。具体的には以下の化合物が好ましい。
ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系;
ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系;
ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル系;
ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;
2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系;
ミヒラーケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系;
10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が好ましい。この中でも、ベンジルジメチルケタールが最も好ましい。
本発明においては、重合性液晶化合物(II)のほかに多官能液晶性モノマーを添加することもできる。この多官能液晶性モノマーとしては、重合性官能基として、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、エポキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基、エチニル基、メルカプト基、マレイミド基、ClCH=CHCONH−、CH=CCl−、CHCl=CH−、RCH=CHCOO−(ここでRは塩素、フッ素、又は炭素原子数1〜18の炭化水素基を表す)が挙げられるが、これらの中でもアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、メルカプト基、ビニルオキシ基が好ましく、メタクリロイルオキシ基又はアクリロイルオキシ基が特に好ましく、アクリロイルオキシ基が最も好ましい。
多官能液晶性モノマーの分子構造としては、2つ以上の環構造を有することを特徴とする液晶骨格、重合性官能基、さらに液晶骨格と重合性官能基を連結する柔軟性基を少なくとも2つ有するものが好ましく、3つの柔軟性基を有するものがさらに好ましい。柔軟性基としては、−(CH−(ここでnは整数を表す)で表されるようなアルキレンスペーサー基や−(Si(CH−O)−(ここでnは整数を表す)で表されるようなシロキサンスペーサー基を挙げることができ、この中ではアルキレンスペーサー基が好ましい。これらの柔軟性基と液晶骨格、もしくは重合性官能基との結合部分には、−O−、−COO−、−CO−のような結合が介在していてもよい。
液晶組成物の応答速度の向上、配向安定性の向上、閾値電圧の低下、低温での応答速度低下の改善、レイヤー構造の安定化等の目的として、有機粒子、無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子等のナノ粒子を添加することもできる。有機粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリヒドロキシアクリレート、ジビニルベンゼン等のポリマー粒子が挙げられる。無機粒子としては、チタン酸バリウム(BaTiO)、SiO、TiO、Al等の酸化物や、Au、Ag、Cu、Pd等の金属が挙げられる。有機粒子や無機粒子は、表面を他の材料でコーティングしたハイブリッド粒子であってもよく、無機粒子の表面を有機材料でコーティングした有機無機ハイブリッド粒子であってもよい。無機粒子の表面に付与する有機物が液晶性を示すと、周囲の液晶分子が配向しやすくなり、好ましい。
その他、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、非反応性のオリゴマーや無機充填剤、有機充填剤、重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、シランカップリング剤等を適宜添加してもよい。また、二軸性化合物や、イオン及び極性化合物のトラップ材料等を含有するものとすることもできる。
二軸性化合物において二軸性を示す分子構造としては、板状構造、円盤と棒を組み合わせた構造、半円盤と棒を組み合わせた構造、バナナ型液晶などの折れ曲がった構造、Lateral connection(分子側鎖で連結した構造)などが好ましく、具体的な二軸性化合物としてはJ. Mater. Chem., 2010, 20, 4263、The Chemical Record, Vol. 4, 10 (2004)などの文献に記載されている化合物などが挙げられる。
強誘電性液晶組成物は不純物等を除去したり、又は比抵抗値を更に高くしたりする目的で、シリカ、アルミナ等による精製処理を施してもよい。液晶組成物の比抵抗値としては、THTで駆動するためには、1011Ω・cm以上が好ましく、1012Ω・cm以上がより好ましく、1013Ω・cm以上がより好ましい。また、液晶組成物中に不純物として存在するカチオンの影響を防止する方法として、クラウンエーテル、ポダンド、コロナンド、又はクリプタンド等のカチオン包接化合物を添加することもできる。
低温環境下でも液晶光学素子の性能を維持できるようにするため、強誘電性液晶組成物が低温保存安定性を有することが好ましい。液晶組成物の低温保存安定性は、0℃以下、24時間以上の環境でSmCを維持することが好ましく、より好ましくは−20℃以下、500時間以上、さらに好ましくは−30℃以下、700時間以上の環境でSmCを維持することが好ましい。
<反強誘電性液晶化合物>
反強誘電性液晶化合物としては、一般式(CR)
(一般式(CR)中、RCR1は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、RCR2は炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を表す。ただし、RCR1及びRCR2は互いに異なる基を表す。)で表される基を1つ又は2つ以上有する液晶化合物が好ましく、上述の強誘電性液晶組成物に含まれるキラル化合物のうち、不斉原子をもつ化合物で、一般式(CR)で表される基を有する液晶化合物であるものがより好ましい。
これらの中でも、反強誘電性液晶化合物としては、前記一般式(IV−a1)又は(IV−a3)で表される化合物、前記一般式(V)で表され、かつZ51が前記一般式(V-4)で表される構造を有する化合物がさらに好ましい。
<ネマチック液晶化合物>
キラル又はアキラルなネマチック液晶化合物は、下記一般式(LC)で表される化合物であることが好ましい。
(一般式(LC)中、RLCは炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよく、
LC1及びALC2は、それぞれ独立して、
(a)トランス−1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個のCH基又は隣接していない2個以上のCH基は酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよい。)、
(b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個のCH基又は隣接していない2個以上のCH基は窒素原子で置換されていてもよい。)、及び
(c)1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、又はクロマン−2,6−ジイル基
からなる群より選ばれる基を表すが、上記の基(a)、基(b)又は基(c)に含まれる1つ又は2つ以上の水素原子はそれぞれ、F、Cl、CF又はOCFで置換されていてもよく、
LCは単結合、−N=N−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−又は−OCO−を表し、
LCは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、及び炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子によって置換されていてもよく、
aは1〜4の整数を表すが、aが2、3又は4を表し、ALC1が複数存在する場合、複数存在するALC1は、同一であっても異なっていてもよく、ZLCが複数存在する場合、複数存在するZLCは、同一であっても異なっていてもよい。)
前記一般式(LC)で表される化合物は、下記一般式(LC1)及び一般式(LC2)
(式中、RLC11及びRLC21はそれぞれ独立して炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子によって置換されていてもよく、ALC11、及びALC21はそれぞれ独立して下記の何れかの構造
(該構造中、シクロヘキシレン基中の1つ又は2つ以上のCH基は酸素原子で置換されていてもよく、1,4−フェニレン基中の1つ又は2つ以上のCH基は窒素原子で置換されていてもよく、また、該構造中の1つ又は2つ以上の水素原子はF、Cl、CF又はOCFで置換されていてもよい。)を表し、XLC11、XLC12、XLC21〜XLC23はそれぞれ独立して水素原子、Cl、F、CF又はOCFを表し、YLC11及びYLC21はそれぞれ独立して水素原子、Cl、F、CN、CF、OCHF、OCHF又はOCFを表し、ZLC11及びZLC21はそれぞれ独立して単結合、−N=N−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−又は−OCO−を表し、mLC11及びmLC21はそれぞれ独立して1〜4の整数を表し、ALC11、ALC21、ZLC11及びZLC21が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。
LC11及びRLC21はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基がより好ましく、直鎖状であることが更に好ましく、アルケニル基としては下記構造を表すことが最も好ましい。
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
LC11及びALC21はそれぞれ独立して下記の構造が好ましい。
LC11及びYLC21はそれぞれ独立してF、CN、CF又はOCFが好ましく、F又はOCFが好ましく、Fが特に好ましい。
LC11及びZLC21は単結合、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−が好ましく、単結合、−CHCH−、−OCH−、−OCF−又は−CFO−が好ましく、単結合、−OCH−又は−CFO−がより好ましい。
LC11及びmLC21は1、2又は3が好ましく、低温での保存安定性、応答速度を重視する場合には1又は2が好ましく、ネマチック相上限温度の上限値を改善するには2又は3が好ましい。
一般式(LC1)は、下記一般式(LC1−a)から一般式(LC1−c)
(式中、RLC11、YLC11、XLC11及びXLC12はそれぞれ独立して前記一般式(LC1)におけるRLC11、YLC11、XLC11及びXLC12と同じ意味を表し、ALC1a1、ALC1a2及びALC1b1は、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、XLC1b1、XLC1b2、XLC1c1〜XLC1c4はそれぞれ独立して水素原子、Cl、F、CF又はOCFを表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。
LC11はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基がより好ましい。
LC11〜XLC1c4はそれぞれ独立して水素原子又はFが好ましい。
LC11はそれぞれ独立してF、CF又はOCFが好ましい。
また、一般式(LC1)は、下記一般式(LC1−d)から一般式(LC1−m)
(式中、RLC11、YLC11、XLC11及びXLC12はそれぞれ独立して前記一般式(LC1)におけるRLC11、YLC11、XLC11及びXLC12と同じ意味を表し、ALC1d1、ALC1f1、ALC1g1、ALC1j1、ALC1k1、ALC1k2、ALC1m1〜ALC1m3は、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、XLC1d1、XLC1d2、XLC1f1、XLC1f2、XLC1g1、XLC1g2、XLC1h1、XLC1h2、XLC1i1、XLC1i2、XLC1j1〜XLC1j4、XLC1k1、XLC1k2、XLC1m1及びXLC1m2はそれぞれ独立して水素原子、Cl、F、CF又はOCFを表し、ZLC1d1、ZLC1e1、ZLC1j1、ZLC1k1、ZLC1m1はそれぞれ独立して単結合、−N=N−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−又は−OCO−を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であるのが好ましい。
LC11はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基がより好ましい。
LC11〜XLC1m2はそれぞれ独立して水素原子又はFが好ましい。
LC11はそれぞれ独立してF、CF又はOCFが好ましい。
LC1d1〜ZLC1m1はそれぞれ独立して−CFO−、−OCH−が好ましい。
一般式(LC2)は、下記一般式(LC2−a)から一般式(LC2−g)
(式中、RLC21、YLC21、XLC21〜XLC23はそれぞれ独立して前記一般式(LC2)におけるRLC21、YLC21、XLC21〜XLC23と同じ意味を表し、XLC2d1〜XLC2d4、XLC2e1〜XLC2e4、XLC2f1〜XLC2f4及びXLC2g1〜XLC2g4はそれぞれ独立して水素原子、Cl、F、CF又はOCFを表し、ZLC2a1、ZLC2b1、ZLC2c1、ZLC2d1、ZLC2e1、ZLC2f1及びZLC2g1はそれぞれ独立して単結合、−N=N−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−又は−OCO−を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であるのが好ましい。
LC21はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基がより好ましい。
LC21〜XLC2g4はそれぞれ独立して水素原子又はFが好ましく、
LC21はそれぞれ独立してF、CF又はOCFが好ましい。
LC2a1〜ZLC2g4はそれぞれ独立して−CFO−、−OCH−が好ましい。
また、前記一般式(LC)で表される化合物は、下記一般式(LC3)〜一般式(LC5)
(式中、RLC31、RLC32、RLC41、RLC42、RLC51及びRLC52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子によって置換されていてもよく、ALC31、ALC32、ALC41、ALC42、ALC51及びALC52はそれぞれ独立して下記の何れかの構造
(該構造中シクロヘキシレン基中の1つ又は2つ以上のCH基は酸素原子で置換されていてもよく、1,4−フェニレン基中の1つ又は2つ以上のCH基は窒素原子で置換されていてもよく、また、該構造中の1つ又は2つ以上の水素原子はCl、CF又はOCFで置換されていてもよい。)のいずれかを表し、ZLC31、ZLC32、ZLC41、ZLC42、ZLC51及びZLC52はそれぞれ独立して単結合、−N=N−、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−COO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表し、ZはCH基又は酸素原子を表し、XLC41は水素原子又はフッ素原子を表し、mLC31、mLC32、mLC41、mLC42、mLC51及びmLC52はそれぞれ独立して0〜3を表し、mLC31+mLC32、mLC41+mLC42及びmLC51+mLC52は1、2又は3であり、ALC31〜ALC52、ZLC31〜ZLC52が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。
LC31〜RLC52は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、アルケニル基としては下記構造を表すことが最も好ましく、
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
LC31〜ALC52はそれぞれ独立して下記の構造が好ましく、
LC31〜ZLC51はそれぞれ独立して単結合、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−CFO−、−OCF−又は−OCH−が好ましい。
一般式(LC3)は、下記一般式(LC3−a)及び一般式(LC3−b)
(式中、RLC31、RLC32、ALC31及びZLC31はそれぞれ独立して前記一般式(LC3)におけるRLC31、RLC32、ALC31及びZLC31と同じ意味を表し、XLC3b1〜XLC3b6は水素原子又はフッ素原子を表すが、XLC3b1及びXLC3b2又はXLC3b3及びXLC3b4のうちの少なくとも一方の組み合わせは共にフッ素原子を表し、mLC3a1は1、2又は3であり、mLC3b1は0又は1を表し、ALC31及びZLC31が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。
LC31及びRLC32はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基又は炭素原子数2〜7のアルケニルオキシ基を表すことが好ましい。
LC31は、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すことが好ましく、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すことがより好ましい。
LC31は単結合、−N=N−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CHCH−を表すことが好ましく、単結合を表すことがより好ましい。
一般式(LC3−a)としては、下記一般式(LC3−a1)〜一般式(LC3−a4)を表すことが好ましい。
(式中、RLC31及びRLC32はそれぞれ独立して前記一般式(LC3)におけるRLC31及びRLC32と同じ意味を表す。)
LC31及びRLC32はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、RLC31が炭素原子数1〜7のアルキル基を表し、RLC32が炭素原子数1〜7のアルコキシ基を表すことがより好ましい。
一般式(LC3−b)としては、下記一般式(LC3−b1)〜一般式(LC3−b12)を表すことが好ましく、一般式(LC3−b1)、一般式(LC3−b6)、一般式(LC3−b8)、一般式(LC3−b11)を表すことがより好ましく、一般式(LC3−b1)及び一般式(LC3−b6)を表すことがさらに好ましく、一般式(LC3−b1)を表すことが最も好ましい。
(式中、RLC31及びRLC32はそれぞれ独立して前記一般式(LC3)におけるRLC31及びRLC32と同じ意味を表す。)
LC31及びRLC32はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、RLC31が炭素原子数2又は3のアルキル基を表し、RLC32が炭素原子数2のアルキル基を表すことがより好ましい。
一般式(LC4)は下記一般式(LC4−a)から一般式(LC4−c)、一般式(LC5)は下記一般式(LC5−a)から一般式(LC5−c)
(式中、RLC41、RLC42及びXLC41はそれぞれ独立して前記一般式(LC4)におけるRLC41、RLC42及びXLC41と同じ意味を表し、RLC51及びRLC52はそれぞれ独立して前記一般式(LC5)におけるRLC51及びRLC52と同じ意味を表し、ZLC4a1、ZLC4b1、ZLC4c1、ZLC5a1、ZLC5b1及びZLC5c1はそれぞれ独立して単結合、−N=N−、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−COO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であるのがより好ましい。
LC41、RLC42、RLC51及びRLC52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基又は炭素原子数2〜7のアルケニルオキシ基を表すことが好ましい。
LC4a1〜ZLC5c1はそれぞれ独立して単結合、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CHCH−を表すことが好ましく、単結合を表すことがより好ましい。
前記一般式(LC)で表される化合物は、下記一般式(LC6)
(式中、RLC61及びRLC62はそれぞれ独立して炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン置換されていてもよく、ALC61〜ALC63はそれぞれ独立して下記
(該構造中シクロヘキシレン基中の1つ又は2つ以上のCHCH基は−CH=CH−、−CFO−、−OCF−で置換されていてもよく、1,4−フェニレン基中1つ又は2つ以上のCH基は窒素原子で置換されていてもよい。)のいずれかを表し、ZLC61及びZLC62はそれぞれ独立して単結合、−N=N−、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−COO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表し、miii1は0〜3を表す。ただし、一般式(LC1)〜一般式(LC6)で表される化合物を除く。)で表される化合物を1種又は2種以上含有する液晶組成物が好ましい。
LC61及びRLC62は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、アルケニル基としては下記構造を表すことが最も好ましく、
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
LC61〜ALC63はそれぞれ独立して下記の構造が好ましく、
LC61及びZLC62はそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−COO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−が好ましい。
一般式(LC6)は、一般式(LC6−a)から一般式(LC6−m)
(式中、RLC61及びRLC62はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基又は炭素原子数2〜7のアルケニルオキシ基を表す。)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であるのがより好ましい。
(キラル化合物)
ネマチック液晶組成物に含まれるキラル化合物としては、先に述べた強誘電性液晶組成物に含まれるキラル化合物と同様のものが挙げられる。
<<光学素子>>
本発明に係る光学素子は、基板間で電場誘起複屈折性材料を挟持してなり、前記基板の表面に対して略平行方向に電場を印加する光学素子において、前記電場誘起複屈折性材料は、前記基板の表面に対して略平行方向に電場を印加することにより複屈折を発現するものであり、複屈折を発現するときの前記電場に閾値があることを特徴とする。かかる光学素子における電場誘起複屈折性材料としては、上記の本発明に係る電場誘起複屈折性材料を用いることができる。
図1は、本発明に係る光学素子の要部である液晶セルを模式的に例示する図であり、(a)は正面図、(b)は一方の基板の平面図である。
液晶セル1は、一対の基板として第一基板11及び第二基板12が対向配置され、これら基板間に電場誘起複屈折性材料15が挟持されてなるものであり、第一基板11の、第二基板12側の表面には、一対のインプレーンスイッチング用電極である第一電極13及び第二電極14を備える。第一電極13及び第二電極14はいずれも櫛形構造を有し、櫛歯に相当する突出部13a及び14aが、これらの長手方向が一致し、交互に整列するようにして、互いに離間して組み合わされて配置されている。前記突出部13a及び14aの表面(第二基板12側の表面)は、同一平面内にあることが好ましい。
第一基板11及び第二基板12としては、例えば、ガラス又はプラスチックからなるものが挙げられる。前記プラスチックとしては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、環状オレフィン樹脂等の樹脂が挙げられる。
第一電極13及び第二電極14としては、例えば、金属、合金、酸化物又は酸化物半導体からなるものが挙げられる。
これらのうち、光透過性(透明性を有する)電極としては、酸化インジウムスズ(ITO)、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)、インジウムガリウム添加酸化亜鉛(IGZO)、グラフェン又はカーボンナノチューブ等の材料からなるものが例示できる。
また、光不透過性電極としては、モリブデン、アルミニウム;アルミニウム−ネオジム、マグネシウム−銀、アルミニウム−リチウム等の合金;銅、クロム、タングステン、チタン又はこれらの合金等の不透明な導電性物質等の材料からなる単層又は二層以上のものが例示できる。
第一基板11及び第二基板12は、厚さが0.01〜1.0mmであることが好ましく、0.05〜0.7mmであることがより好ましい。また、第一基板11及び第二基板12の表面間距離(すなわちセルギャップ)Lは、1〜100μmであることが好ましく、1.5〜50μmであることがより好ましく、2.5〜30μmであることがさらに好ましい。
第一電極13の突出部13aの幅W、及び第二電極14の突出部14aの幅Wは、それぞれ、開口率を上げるために小さい方が好ましい。また、前記突出部13a及び14aの表面間距離Lは、実効的な駆動電界を大きくするために小さい方が好ましい。
図2は、液晶セル1に横電場を印加したときの、複屈折の発現現象を模式的に示す拡大平面図である。
液晶セル1に横電場(第一基板11及び第二基板12の表面に対して略平行方向の電場)を印加する前は、図2(a)に示すように、電場誘起複屈折性材料15は、第一基板11及び第二基板12間の全領域において等方相を示す。そして、横電場を印加し、その強度を増大させていったときに、所定の強度の電場(閾値)を境にして、図2(b)に示すように、第一電極13の突出部13a及び第二電極14の突出部14a間の領域に複屈折が発現する。このとき、第一電極13上(図2では第一電極13の突出部13a上)及び第二電極14上(図2では第二電極14の突出部14a上)の領域では複屈折が発現せず、等方相のままである。複屈折は典型的には、電場強度が小さい場合は、第一電極13の突出部13aの表面近傍領域(電極界面)及び第二電極14の突出部14aの表面近傍領域(電極界面)のみで発現し、電場強度の増大とともに前記突出部13a及び14a間の領域で発現領域が拡大していき、最終的には前記突出部13a及び14a間の全領域で複屈折が発現する。このように、電場誘起複屈折性材料15は、横電場の印加により、複屈折を発現する領域が変化するので、電場の強度を変化させることにより、光学素子においてグレースケール表示が可能となる。また、充分な強度の電場を印加すれば、前記突出部13a及び14a間の全領域で均一な複屈折が瞬時に得られる。
一方、電場誘起複屈折性材料15は、例えば、複屈折を発現している状態で横電場の印加を停止することにより、複屈折の発現領域が消失(等方相へ転移)せずに、第一基板11及び第二基板12の表面に対して略平行な方向へ移動するものとすることができる。図3は、このような複屈折の発現領域の移動を模式的に示す拡大平面図である。図3(a)に示すように、液晶セル1に閾値以上の横電場を印加して、前記突出部13a及び14a間(電極間)の全領域で複屈折が発現している状態において、横電場の印加を停止することにより、図3(b)に示すように、横電場の印加時には等方相であった前記突出部13a及び14a上(電極上)の領域では複屈折が発現し、複屈折が発現していた前記突出部13a及び14a間(電極間)の全領域が等方相となった状態となる。
このように、複屈折の発現領域を移動させるためには、電場誘起複屈折性材料15の温度を、第一電極13の突出部13a及び第二電極14の突出部14a間の領域で複屈折が発現し、かつ第一電極13(第一電極13の突出部13a)上及び第二電極14(第二電極14の突出部14a)上の領域では複屈折が発現しない温度に調節することが必要となる。電場誘起複屈折性材料15は、その温度が低過ぎると全領域において複屈折を発現し、その温度が高過ぎると全領域で複屈折を発現しない。そして、複屈折を充分に発現する様、前記閾値よりも十分に大きい強度の横電場を電場誘起複屈折性材料15に印加することが好ましい。
上記の移動現象を利用すれば、例えば、第一電極13及び第二電極14について、少なくとも前記突出部13a及び14aを光不透過性の材料からなるものとすることにより、第一基板11及び第二基板12の表面に対して略垂直方向から液晶セル1を見たときに、電場の印加の有無によって、この液晶セル1を一部が暗状態(一部が明状態)のものから全体が暗状態のものへと切り替えが可能であり、新たな光学素子を構成できる。
また、電場誘起複屈折性材料15は、その種類を選択することで、例えば、複屈折を発現している状態で光照射によりこの複屈折が消失するものとすることができる。このような電場誘起複屈折性材料15としては、−N=N−がベンゼン環骨格に結合したアゾベンゼン構造を有する化合物(以下、「アゾベンゼン化合物」と略記することがある)を1種又は2種以上含有するものが好ましい。そして、電場誘起複屈折性材料15における前記アゾベンゼン化合物の含有量は、0.1〜100質量%であることが好ましく、1〜100質量%であることがより好ましい。電場誘起複屈折性材料15は、前記アゾベンゼン化合物の含有量が90〜100質量%である場合には、液晶相の安定化又は低温化のために、2種以上の前記アゾベンゼン化合物を含有することが特に好ましい。
また、このときの照射光の波長は、365nmであることが好ましく、365nmの波長を含む光を照射してもよい。そして、照射光の強度は、前記アゾベンゼン化合物の光異性化を十分に誘起できるものであればよく、具体的には0.1mW/cm以上であることが好ましく、1mW/cm以上であることがより好ましく、10mW/cm以上であることがさらに好ましい。このような複屈折の消失現象を利用することで、電場の印加だけでなく光照射によっても複屈折の発現及び消失を制御可能(オンオフ可能)な新たな光学素子を構成できる。
本発明に係る光学素子は、例えば、以下の方法で製造できる。
まず、一対の基板(第一基板11及び第二基板12)を対向配置し、これらの間に、電場誘起複屈折性材料15を挟持する。
より具体的には、第一基板11及び第二基板12のいずれか一方における、これらの対向面に対して、セルギャップを確保するためのスペーサ突起物、例えば、プラスチックビーズ等を散布すると共に、例えば、エポキシ接着剤等を用いてスクリーン印刷法により、シール部を印刷(形成)する。
そして、第一基板11及び第二基板12を対向配置する。このとき、第一電極13及び第二電極14は、第一基板11及び第二基板12のいずれか一方の前記対向面に配置されるように調節する。第一電極13及び第二電極14は、例えば、スパッタリング法等、公知の方法でパターニングして形成できる。
上記のように配置した第一基板11及び第二基板12を、前記スペーサ突起物及びシール部を介して貼り合わせた後、形成されたスペース(セルギャップ)に電場誘起複屈折性材料15又は電場誘起複屈折性材料15とするための原料(以下、これらをまとめて「電場誘起複屈折性材料15等」と略記する)を注入する。電場誘起複屈折性材料15等は、粘度が小さい等方相の状態において、容易に注入できる。なお、ここで前記原料とは、例えば、高分子化合物を含有する電場誘起複屈折性材料15を調製するための、前記重合性化合物を含有する組成物である。そして、前記原料を注入した場合には、電場誘起複屈折性材料15とするための処理を行う。例えば、電場誘起複屈折性材料15として、前記高分子化合物を含有するものを用いる場合には、封入後の前記原料(前記重合性化合物を含有する組成物)に光を照射して、前記重合性化合物を光重合させればよい。等方相として封入後の電場誘起複屈折性材料15は、横電場の印加により液晶相に相転移(複屈折を発現)させる。最終的に、封入後の電場誘起複屈折性材料15は、例えば、温度を低下させて安定した等方相の状態とするか、又は液晶相を不安定化させて室温において液体状態としておくのが好ましい。なお、上記のように高分子化合物を含有する電場誘起複屈折性材料15の場合には、等方相と液晶相との間の相転移温度が低くなるので、相転移が容易となる。
次いで、得られた液晶セル1について、第一基板11及び第二基板12の電場誘起複屈折性材料15との対向面とは反対側の面うち、一方には第一偏光板を、他方には第二偏光板を、これらの吸収軸が直交する(90°の角度を為す)ように設けることで、光学素子とすることができる。
以下、実施例により、本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、光学素子の評価時における「透過光量」は、評価セルの開口率が50%であることを考慮し、パラレルニコルの場合に透過した光量の1/2の光量を100%として用いている。また、以下に示す「交流電場」は特に断りのない限り、基板の表面に対して略平行方向の交流電場(横交流電場)を意味する。
<液晶化合物の製造>
[製造例1]
下記反応式に従って、液晶性アゾ化合物である化合物(1)を製造した。より具体的には以下のとおりである。
(中間体(1)の製造)
ヒドロキシ安息香酸(0.825g、6.0×10−3mol)、(R)−2−オクタノール(1.75g、13.5×10−3mol)、トリフェニルホスフィン(4.75g、18.3×10−3mol)を、脱水THF(20mL)を入れたなす型フラスコに加えた。
次いで、氷浴中にてなす型フラスコ内を脱気した後、窒素ガスで置換し、脱水THF(10mL)にアゾジカルボン酸ジエチル(40質量%トルエン溶液、アゾジカルボン酸ジエチルとして10.25g、23.5× 10−3mol)を溶解させた溶液をここに加え、24時間、反応させた。
次いで、得られた反応液から溶媒を減圧留去した後、ジクロロメタン:ヘキサン=2:1(体積比)の混合溶媒を展開溶媒として、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって反応物を精製した。
次いで、展開溶媒を留去した後、残留物をエタノールから再結晶して、中間体(1)を得た(収量0.6g)。
(化合物(1)の製造)
4,4’−ジカルボキシアゾベンゼン(0.27g、1.0×10−3mol)、中間体(1)(0.55g、2.2×10−3mol)、ジメチルアミノピリジン(0.02g、0.2×10−3mol)を、脱水ジクロロメタン(10mL)を入れたなす型フラスコに加えた。
次いで、室温において、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.61g、3.0×10−3mol)をここに加え、24時間反応させた。
次いで、得られた反応液から不溶物をろ過して除去し、ろ液から溶媒を減圧留去した後、ジクロロメタンを展開溶媒として、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって反応物を精製した。
次いで、展開溶媒を減圧留去した後、残留物をエタノールから再結晶して、化合物(1)を得た(収量0.33g)。
化合物(1)は、昇温過程において120℃に融点を有し、反強誘電性液晶相を発現し、134℃で等方相へと転移した。
なお、化合物(1)の構造は、H−NMR及び元素分析での解析により特定した。これらの解析データを以下に示す。
H−NMR)
δH (400MHz, CDCl3, TMS); 8.40 (d, 4H, Ar-H), 8.15 (m, 4H, Ar-H), 8.10 (d, 4H, Ar-H), 7.33 (m, 4H,Ar-H), 5.17 (m, 2H, -COO-CH(-CH3)-CH2-), 1.76-1.30 (m, 26H, aliphatic-H), 0.89 (t, 6H, -CH2-CH3).
(元素分析)
4450
分子量:734.88
計算値:C, 71.91; H, 6.86; N, 3.81
分析値:C, 72.15; H, 6.88; N, 3.79
<光学素子の製造及び評価>
[実施例1]
化合物(1)を図1に示す液晶セル1に封入して、光学素子を得た。液晶セル1としては、第一基板11及び第二基板12がいずれも厚さ0.6mmのガラス基板で、Lが5μmであり、ラビング処理は行っていないものであり、第一電極13及び第二電極14がいずれもITO(酸化インジウムスズ)からなり、W及びWが10μm、Lが10μmであるものを用いた。
化合物(1)が等方相を示す135℃において、偏光顕微鏡(クロスニコル)下に、インプレーンの電場の方向が偏光子と40°の角度をなすように前記光学素子を設置して観察したとろ、交流電場を印加しないとき(0Vpp/μm)には、観察視野全面が暗状態であった。
次いで、ここに交流電場(周波数100Hz)を印加したところ、21Vpp/μm未満の交流電場を印加したときには暗状態であったが、21Vpp/μm以上の交流電場を印加したときには、電極間に複屈折が発現し、観察視野が明状態となった。
このように、化合物(1)は、印加電場と平行な方向に電場誘起複屈折が発現し、複屈折の発現に必要な印加電場には閾値(21Vpp/μm)があった。さらに、この複屈折が発現した状態で、化合物(1)に紫外線(波長365nm、照射強度10mW/cm)を照射しながら横電場を印加したところ、複屈折が消失して等方性を示した。このように、横電場の印加だけでなく光照射によっても複屈折の発現及び消失を制御可能(オンオフ可能)な光学素子が得られた。
また、液晶セルの透過光量を測定したところ、30Vpp/μmの交流電場(周波数100 Hz)を印加したときには、開口率換算して約40%となり、光学素子として十分に機能することが確認された。さらに、24Vpp/μm(周波数100Hz)の交流電場を1秒間印加した後、交流電場を1秒間印加しないという操作を1サイクルとし、このサイクルを繰り返し行うことで、光学素子の交流電場印加に対する耐久性を確認したところ、前記サイクルを1時間繰り返し行っても、化合物(1)を封入した液晶セルの透過光量は減少せず、高い耐久性を有することが確認された。
[実施例2]
化合物(1)に代えて、液晶化合物である下記化合物(2)を用いた点以外は、実施例1と同様に光学素子を製造及び評価した。化合物(2)は、昇温過程において74℃に融点を有し、反強誘電性液晶相を発現し、152℃で等方相へと転移した。なお、化合物(2)は「Molecular Crystals and Liquid Crystals,443巻,25〜41頁(2005)」に記載の方法で製造した。
化合物(2)が等方相を示す153℃において、得られた光学素子を実施例1の場合と同様に偏光顕微鏡(クロスニコル)下に設置して、交流電場(周波数100 Hz)を印加したところ、24Vpp/μm未満の交流電場を印加したときには暗状態であったが、24Vpp/μm以上の交流電場を印加したときには、電極間に複屈折が発現し、観察視野が明状態となった。
このように、化合物(2)は、印加電場と平行な方向に電場誘起複屈折が発現し、複屈折の発現に必要な印加電場には閾値(24Vpp/μm)があり、電場の印加によって複屈折の発現及び消失を制御可能な光学素子が得られた。
さらに、30Vpp/μm(周波数100Hz)の交流電場を1秒間印加した後、交流電場を1秒間印加しないという操作を1サイクルとし、このサイクルを繰り返し行うことで、光学素子の交流電場印加に対する耐久性を確認したところ、前記サイクルを1時間繰り返し行っても、化合物(2)を封入した液晶セルの透過光量は減少せず、高い耐久性を有することが確認された。
[実施例3]
下記化合物を混合して液晶組成物(1)を得た。液晶組成物(1)は強誘電性液晶相を発現し、降温過程において、59℃で等方相から強誘電性液晶相へと転移した。そして、化合物(1)に代えて液晶組成物(1)を用いた点以外は、実施例1と同様に光学素子を製造及び評価した。
液晶組成物(1)が等方相を示す68℃から、9Vpp/μm(周波数100Hz)の交流電場を印加しながら降温したところ、60.2℃において電極間にのみ複屈折を示す領域が出現した。そして、この状態で交流電場の印加を停止したところ、先に図3を参照して説明したように、電極間に出現した複屈折を示す領域が電極上へ移動し、電極間が明状態から暗状態へと変化した。
このように、液晶組成物(1)は印加電場と平行な方向に電場誘起複屈折が発現し、電極間での明状態は、27Vpp/μm(周波数100Hz)以上の交流電場を印加することで繰り返し誘起された。すなわち液晶組成物(1)は、複屈折の発現に必要な印加電場には閾値(27Vpp/μm)があり、この組成物(1)を用い、電極を光不透過性の材料からなるものとすることにより、図3を参照して説明した新たな光学素子が得られることを確認できた。
[実施例4]
下記化合物を混合して液晶組成物(2)を得た。液晶組成物(2)は昇温過程において55℃に融点を有し、ネマチック液晶相を発現し、94.5℃で等方相へと転移した。そして、化合物(1)に代えて液晶組成物(2)を用いた点以外は、実施例1と同様に光学素子を製造及び評価した。評価時の液晶セルの撮像データを図4に示す。
液晶組成物(2)が等方相を示す94.6℃において、交流電場を印可する前(0Vpp/μmの場合)の撮像データを図4(a)に示す。そして、この温度において、交流電場(周波数100Hz)を印加したところ、27Vpp/μm未満の交流電場では、0Vpp/μmの場合と同様に透過光を確認できなかった(暗状態であった)。しかし、27Vpp/μm以上の交流電場では、図4(b)に示す(図4(b)では27Vpp/μm)ように透過光を確認できた(明状態であった)。交流電場の印加により発現する複屈折に基づく明状態(複屈折)での透過光量を評価したところ、30Vpp/μm(周波数100Hz)の交流電場を印加したときの透過光量は、約40%であった。このときの撮像データを図4(c)に示す。
なお、図4に示すように、明状態及び暗状態が縞模様に見えるのは、電極が櫛形構造を有し、第一基板及び第二基板が光不透過性の材料からなるためである。
[実施例5]
前記液晶組成物(2)(25.3mg)に下記キラル化合物(0.5 mg、液晶組成物(2)に対して2質量%)をさらに加え、100℃のホットプレート上で加熱し、均一な透明液体とした。次いで、この液体を室温まで冷却して、液晶組成物(3)を得た。液晶組成物(3)は、室温でコレステリック液晶相を発現し、92.4℃で等方相へと転移した。そして、化合物(1)に代えて液晶組成物(3)を用いた点以外は、実施例1と同様に光学素子を製造及び評価した。評価時の液晶セルの撮像データを図5に示す。
液晶組成物(3)が等方相を示す92.5℃において、交流電場を印可する前(0Vpp/μmの場合)の撮像データを図5(a)に示す。そして、この温度において、交流電場(周波数100Hz)を印加したところ、15Vpp/μm以上、24Vpp/μm未満の交流電場では、図5(b)に示す(図5(b)では18Vpp/μm)ように電極界面のみに透過光(明状態)を確認でき、24Vpp/μm以上、30Vpp/μm未満の交流電場では、図5(c)に示す(図5(c)では24Vpp/μm)ように電極界面とその電極間の近傍領域に透過光(明状態)を確認でき、30Vpp/μm以上の交流電場では、図5(d)に示す(図5(d)では30Vpp/μm)ように電極間のすべての領域に透過光(明状態)を確認できた。交流電場の印加により発現する複屈折に基づく明状態(複屈折)での透過光量を評価したところ、30Vpp/μm(周波数100Hz)の交流電場を印加したときの透過光量は、約3%であった。
[実施例6]
前記化合物(1)(50.0mg)に、ゲル化剤である12−ヒドロキシステアリン酸(0.25 mg)を加え、150℃のホットプレート上で加熱し、均一な透明液体とした。次いで、この液体を室温まで冷却して、液晶組成物(4)を得た。液晶組成物(4)は、昇温過程において120℃に融点を有し、反強誘電性液晶相を発現し、129℃で等方相へと転移した。そして、化合物(1)に代えて液晶組成物(4)を用いた点以外は、実施例1と同様に光学素子を製造及び評価した。評価時の液晶セルの撮像データを図6に示す。
液晶組成物(4)が等方相を示す130℃において、交流電場を印可する前(0Vpp/μmの場合)の撮像データを図6(a)に示す。そして、この温度において、交流電場(周波数100Hz)を印加したところ、複屈折の発現による透過光(明状態)を確認した。交流電場が18Vpp/μm、21Vpp/μm、24Vpp/μm、27Vpp/μm、30Vpp/μmの場合の液晶セルの撮像データを、それぞれ図6(b)、(c)、(d)、(e)、(f)に示す。交流電場の印加により発現する複屈折に基づく明状態(複屈折)での透過光量を評価したところ、配向欠陥がない良好な配向状態が得られていることが判った。30Vpp/μm(周波数100Hz)の交流電場を印加したときの透過光量は、約60%であり、ゲル化剤を併用せずに化合物(1)のみを用いた実施例1の場合よりも、大きい透過光量を示した。
[実施例7]
下記化合物を混合して液晶組成物(5)を得た。液晶組成物(5)は誘電率異方性が正であり(Δε=40)、ネマチック液晶相を発現し、昇温過程において92.7℃で等方相へと転移した。そして、化合物(1)に代えて液晶組成物(5)を用いた点以外は、実施例1と同様に光学素子を製造及び評価した。
液晶組成物(5)が等方相を示す92.8℃において、交流電場(周波数100Hz)を印加したところ、24Vpp/μm以上の交流電場で透過光を確認できた(明状態であった)。交流電場の印加により発現する複屈折に基づく明状態(複屈折)での透過光量を評価したところ、30Vpp/μm(周波数100Hz)の交流電場を印加したときの透過光量は、約30%であった。
[実施例8]
(重合性液晶組成物の製造)
下記式(M1)で表される単官能の非メソゲン性重合性化合物(ドデシルアクリレート、50質量部)、下記式(M2)で表される多官能のメソゲン性重合性化合物(50質量部)、下記式(S1)で表されるラジカル重合開始剤(ベンジルジメチルケタール、4質量部)を混合し、重合性液晶組成物(MM1)を得た。
(液晶組成物の製造)
前記化合物(1)(24.7mg)に重合性液晶組成物(MM1)(0.52mg、化合物(1)に対して2質量%)を加えた。得られた液晶混合物を、実施例1の場合と同じ液晶セルに封入し、前記液晶混合物が等方相を示す140℃において、波長365nmの紫外光(照射強度40mW/cm)を5分間照射し、重合性化合物を光重合させた後、室温まで冷却して、液晶組成物(6)を得た。液晶組成物(6)は反強誘電性液晶相を発現し、133℃で等方相へと転移した。化合物(1)の相転移温度は134℃であるため、光重合で液晶組成物中に高分子化合物を含有させることによって、相転移温度を1℃下げることができた。
液晶組成物(6)が等方相を示す134℃において、交流電場を印可する前(0Vpp/μmの場合)の撮像データを図7(a)に示す。そして、この温度において、交流電場(周波数100Hz)を印加したところ、21Vpp/μm未満の交流電場では、図7(b)(図7(b)では18Vpp/μm)に示すように、電場が印加されている領域でも閾値があることによって応答していない(複屈折を発現していない、暗状態である)領域が存在することが観察され、その結果、透過光をほぼ確認できなかった。しかし、21Vpp/μm以上の交流電場では、図7(c)に示す(図7(c)では21Vpp/μm)ように透過光を確認できた(明状態であった)。さらに、交流電場が24Vpp/μm、27Vpp/μm、30Vpp/μmの場合の液晶セルの撮像データを、それぞれ図7(d)、(e)、(f)に示す。交流電場の印加により発現する複屈折に基づく明状態(複屈折)での透過光量を評価したところ、27Vpp/μm(周波数100Hz)の交流電場を印加したときの透過光量は約60%であり、高分子化合物を併用せずに化合物(1)のみを用いた実施例1の場合よりも、大きい透過光量を示した。また、27Vpp/μmの交流電場を印加してから、透過光量が、その増大がほぼ止まった最終値の90%の量に到達するまでの時間(すなわち応答時間)は0.2秒であり、これは、高分子化合物を併用せずに化合物(1)のみを用いた実施例1の場合の応答時間(3.6秒)の約1/20であって、光重合で液晶組成物中に高分子化合物を含有させることによって、電場応答が早くなることを確認できた。このときの応答速度を比較したグラフを図8に示す。図8中、縦軸は液晶セルの透過光量(%)を、横軸は時間(秒)を、それぞれ表す。
1・・・液晶セル、11・・・第一基板、12・・・第二基板、13・・・第一電極、13a・・・第一電極の突出部、14・・・第二電極、14a・・・第二電極の突出部、15・・・電場誘起複屈折性材料、L・・・第一基板及び第二基板の表面間距離(セルギャップ)、L・・・第一電極の突出部及び第二電極の突出部の表面間距離、W・・・第一電極の突出部の幅、W・・・第二電極の突出部の幅

Claims (11)

  1. 基板間で電場誘起複屈折性材料を挟持してなり、前記基板の表面に対して略平行方向に電場を印加する光学素子において、
    前記電場誘起複屈折性材料は、前記基板の表面に対して略平行方向に電場を印加することにより複屈折を発現するものであり、複屈折を発現するときの前記電場に閾値があり、
    前記光学素子は、前記閾値以上の前記電場の印加の有無によって、前記電場誘起複屈折性材料における複屈折の発現及び消失を制御し、且つ、光照射の有無によって、前記電場誘起複屈折性材料における複屈折の発現及び消失を制御することを特徴とする光学素子。
  2. 前記電場誘起複屈折性材料が、前記電場の印加により、複屈折を発現する領域が変化するものである請求項に記載の光学素子。
  3. 前記電場誘起複屈折性材料が一種以上の液晶化合物を含有する請求項1又は2に記載の光学素子。
  4. 前記液晶化合物が棒状液晶化合物である請求項3に記載の光学素子。
  5. 前記電場誘起複屈折性材料がネマチック液晶相を示す請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学素子。
  6. 前記電場誘起複屈折性材料がフッ素原子を有する化合物を含有する請求項5に記載の光学素子。
  7. 前記電場誘起複屈折性材料がスメクチック液晶相を示す請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学素子。
  8. 前記電場誘起複屈折性材料が一種以上のキラル化合物を含有する請求項7に記載の光学素子。
  9. 前記電場誘起複屈折性材料が一種以上の光応答性化合物を含有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学素子。
  10. 前記電場誘起複屈折性材料が一種以上のゲル化剤を含有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学素子。
  11. 前記電場誘起複屈折性材料が一種以上の高分子化合物を含有する請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学素子。
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