JP5954392B2 - 水処理システムの制御方法、プログラム、制御器、及び水処理システム - Google Patents

水処理システムの制御方法、プログラム、制御器、及び水処理システム Download PDF

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Description

本発明は、濾過膜モジュールを有する水処理システムの制御方法、プログラム、制御器、及び水処理システムに関する。
周知のように、原水から精製水や浄化水を製造する際に、原水を逆浸透膜、ナノ濾過膜、限外濾過膜等の濾過膜を有する濾過膜モジュールで膜分離処理して、原水に含まれている溶存塩類や懸濁物質等の夾雑成分を除去する方法が広く用いられている。
このように濾過膜モジュールを用いた水処理では、運転時間の経過とともに原水中に含まれる懸濁物質が膜面に堆積して、濾過膜に目詰まりが生じて透過水の生産流量(すなわち、水回収率)が低下するといった事態が生じる。そこで、積算時間に基づいて濾過膜の一次側領域の濃縮水を高流量で排出(フラッシング)して、原水(以下、被処理水という。)中の懸濁物質による濾過膜の目詰まりを防止する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、濾過膜モジュールを用いた水処理システムでは、濾過膜モジュールで製造された透過水の流量を検出し、透過水の流量が予め設定された目標流量値となるように、濾過膜モジュールに供給する被処理水の圧力(供給圧力)を調整する運転が行われている。この運転では、濾過膜に生じた目詰まりに影響されずに、透過水の生産流量(すなわち、回収率)を安定化させている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2005−279461号公報 特開2005−296945号公報
上記濾過膜モジュールを備えた水処理システムは、特許文献1に記載のように積算時間ごとに濾過膜モジュールの一次側領域をフラッシングすることにより、運転時における濾過膜の目詰まりが軽減される。しかしながら、濾過膜モジュールの一次側領域に高濃度の濃縮水が貯留された状態で運転を停止すると、濃縮水中のシリカ等が膜面に析出して、濾過膜に目詰まりを発生して悪影響を及ぼす可能性があるため、運転停止時にも濾過膜モジュールをフラッシングする必要がある。
濾過膜モジュールのフラッシングの実施においては、フラッシングを短時間で行なおうとすると、濃縮水の排水流量を増加させる必要から、回収率調節用の排水バルブに加えて、フラッシング用の排水バルブが必要となり、コストアップに繋がる。
また、透過水ラインに給水制御用の遮断バルブ(透過水バルブ)を搭載していない場合には、ポンプを運転させて行なう従来のフラッシングでは、フラッシング中も透過水が生成されるために、濾過膜モジュールの一次側領域の夾雑成分濃度が低減されにくく、しかも濃度ムラが起こりやすい。そのため、夾雑成分濃度を所定値まで低減させ、かつ濃度ムラを小さくするにはフラッシング時間が長くなり、排水量が過多となるという問題がある。
一方、特許文献2に記載された水処理システムでは、透過水の流量が流量センサの故障等により検出できなくなった場合に、例えば、図7に示すように、流量センサの故障前直近の水透過係数を用いてポンプを運転している。具体的には、流量センサの故障が検出されると(ステップS101)、直近の水透過係数を読み出して供給水温に応じて補正し(ステップS102)、この補正水透過係数と目標流量値とを用いて必要な供給圧力Pを算出する(ステップS103)。そして、この算出された供給圧力Pに対し、所定の二次関数(F=a・P+b・P+c;a,b,cはポンプの性能により定まるポンプ係数)によりインバータの出力周波数Fを算出して(ステップS104)、この固定された出力周波数Fでポンプをフィードフォワード制御している(ステップS105)。
しかしながら、かかる技術は、水処理システムに搭載されるポンプごとに上記ポンプ係数を把握していないと実施できないうえ、フィードフォワード制御であるが故に外乱を受けやすく、透過水の流量が目標流量値と一致しにくいという問題がある。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、
(1)濾過膜モジュールの一次側領域を短時間で、かつ濃度ムラが小さくなるようにフラッシングすること
(2)搭載されるポンプごとのポンプ係数を把握することなく、ポンプを制御すること
(3)外乱の影響を受けることなく、濾過膜モジュールの透過水流量を安定させること
少なくとも、上記いずれかの課題を解決することにより、効率的に透過水を製造することが可能な濾過膜モジュールを有する水処理システムの制御方法、プログラム、制御器、及び水処理システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1記載の発明は、被処理水を移送するポンプと、ポンプにより送り込まれた被処理水を膜分離処理して透過水と濃縮水とを製造する濾過膜モジュールと、濾過膜モジュールから送出された透過水の流量を検出する流量センサと、ポンプによる被処理水の供給圧力を検出する圧力センサとを備え、流量センサで検出される透過水流量が予め設定された目標流量値となるように、ポンプの回転数を制御するように構成された水処理システムの制御方法であって、透過水流量に基づく制御の実行中に、少なくとも流量センサで検出される透過水流量、及び圧力センサで検出される供給圧力を用いて水透過係数を演算し、流量センサからの流量信号が入力されなくなった場合に、透過水流量に基づく制御を供給圧力に基づく制御に切り換え、制御の切り換え前に演算された水透過係数、及び予め設定された目標流量値を用いて被処理水の供給圧力の目標圧力値を算出し、圧力センサで検出される供給圧力が算出された目標圧力値となるように、ポンプの回転数を制御することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、被処理水を移送するポンプと、ポンプにより送り込まれた被処理水を膜分離処理して透過水と濃縮水とを製造する濾過膜モジュールと、濾過膜モジュールから送出された透過水の流量を検出する流量センサと、ポンプによる被処理水の供給圧力を検出する圧力センサとを備え、流量センサで検出される透過水流量が予め設定された目標流量値となるように、ポンプの回転数を制御するように構成された水処理システムを制御するプログラムであって、透過水流量に基づく制御の実行中に、少なくとも流量センサで検出される透過水流量、及び圧力センサで検出される供給圧力を用いて水透過係数を演算し、流量センサからの流量信号が入力されなくなった場合に、透過水流量に基づく制御を供給圧力に基づく制御に切り換え、制御の切り換え前に演算された水透過係数、及び予め設定された目標流量値を用いて被処理水の供給圧力の目標圧力値を算出し、圧力センサで検出される供給圧力が算出された目標圧力値となるように、ポンプの回転数を制御することを特徴とする。
この発明に係る水処理システムの制御方法、及びプログラムによれば、流量センサの故障等により流量信号が得られなくなった場合のバックアップ運転に際して、搭載されるポンプごとのポンプ係数を必要としないので、汎用性の高い制御を行うことができる。また、ポンプをフィードバック制御により制御するため、透過水の流量を精度よく目標流量値に一致させることができる。
上記発明に係るプログラムを備えた制御器を、水処理システムに用いてもよい。
また、この制御器を水処理システムに設けてもよい。
本発明に係る水処理システムの制御方法、プログラム、制御部、及び水処理システムによれば、流量センサの故障等により流量信号が得られなくなった場合のバックアップ運転に際して、搭載されるポンプごとのポンプ係数を必要としないので、汎用性の高い制御を行うことができる。また、ポンプをフィードバック制御により制御するため、透過水の流量を精度よく目標流量値に一致させることができる。
本発明の参考例に係る水処理システムの概略構成を示す図である。 参考例の水処理システムにおけるフラッシング方法の概略を示すフロー図である。 参考例に係る水処理システムのフラッシング方法の概略を説明する図である。 参考例に係る水処理システムのフラッシング方法の効果を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る水処理システムの要部構成を示す図である。 一実施形態の水処理システムにおける流量センサ故障時の運転手順を示すブロック図である。 従来の水処理システムにおける流量センサ故障時の運転手順を示すブロック図である。
(参考例)
以下、図1〜図3を参照して、本発明の参考例に係る水処理システム1について説明する。
図1は、参考例の水処理システム1の概略構成を示す図であり、図2は、水処理システム1における濾過膜モジュールのフラッシングを制御するプログラムの概要を、図3はフラッシングの概略を説明する図である。
水処理システム1は、例えば、図1に示すように、被処理水中の硬度成分を除去して軟水化処理するための、例えば陽イオン交換樹脂を用いた周知の軟水装置2と、被処理水中のゴミ等を除去するプレフィルター3と、被処理水中の溶存塩類や懸濁物質等の夾雑成分を濾過する濾過膜を備えた濾過膜モジュール4と、濾過膜モジュール4により得られた透過水中の溶存気体を脱気する気体透過膜を備えた脱気膜モジュール5と、脱気膜モジュール5により得られた浄化水を貯留する貯留タンク6とを備えており、これらが上流側からこの順に配置されている。
原水としての被処理水は、原水ラインL1により軟水装置2に供給され、軟水化処理された被処理水は、軟水ラインL2によりプレフィルター3に移送されるようになっている。ここでの原水は、所定の水圧(通常、0.098〜0.49MPa)を有している。プレフィルター3で処理された被処理水は、供給ラインL3により濾過膜モジュール4に供給され、膜分離処理されて製造された透過水は、透過水ラインL4により脱気膜モジュール5に移送されるようになっている。更に、脱気処理された透過水は、浄化水ラインL5を経由して貯留タンク6に移送されるようになっている。
濾過膜モジュール4は、単一又は複数の濾過膜エレメントを圧力容器に装填したものであり、該濾過膜エレメントにより被処理水を膜分離処理して、夾雑成分が除去された透過水を製造するとともに、被処理水の夾雑成分濃度が高まった濃縮水を製造する。濾過膜モジュール4は、濾過膜によって一次側領域と二次側領域に区画されている。つまり、濾過膜モジュール4の一次側領域には、被処理水が供給されるとともに、濃縮水が流通するようになっている。また、濾過膜モジュール4の二次側領域には、透過水が流通するようになっている。
濾過膜エレメントは、浄化水に要求される水質に応じて、逆浸透膜エレメント、ナノ濾過膜エレメント、限外濾過膜エレメント等から選択される。なお、濾過膜エレメントの形状は、特に限定されないが、通常はスパイラル型エレメントが使用される。
供給ラインL3は、プレフィルター3からの被処理水の移送を制御する供給バルブ7と、被処理水を加圧して濾過膜モジュール4に供給するポンプ8とが、上流側からこの順に配置されている。ポンプ8は、サクション側の水圧(軟水装置2及びプレフィルター3を通過することにより減圧された原水の水圧)を濾過膜の浸透圧以上に加圧して移送するものであり、ポンプ8により加圧された被処理水が濾過膜モジュール4の一次側領域に供給されるようになっている。
濾過膜モジュール4の一次側入口には、供給ラインL3が接続されており、一次側出口には、膜分離処理により濾過膜モジュール4の一次側領域に製造された濃縮水を流出させる濃縮水ラインL6が接続されている。濃縮水ラインL6は、濃縮水の一部を系外に排出する排水ラインL6aと、濃縮水の残部を供給ラインL3に移送する循環ラインL6bに分岐されている。また、濾過膜モジュール4の二次側出口には、膜分離処理により濾過膜モジュール4の二次側領域に製造された透過水を流出させる透過水ラインL4が接続されている。
排出ラインL6aには、濃縮水の排出を制御する排水バルブ10が配置され、排水バルブ10を開閉して排水ラインL6aからの濃縮水の排出流量を調整することにより、濾過膜モジュール4の回収率を調整するようになっている。透過水流量が一定の条件の場合、排水バルブ10の開度を大きくすると、濃縮水の排出流量が増加して回収率は低くなる。逆に、排水バルブ10の開度を小さくすると、濃縮水の排水流量が減少して回収率は高くなる。
循環ラインL6bには、逆止弁11が配置されている。逆止弁11は、供給ラインL3の被処理水が循環ラインL6b及び濃縮水ラインL6に流入するのを防止するとともに、濾過膜モジュール4の一次側領域から流出する水が供給ラインL3に循環するように、流れ方向を規制している。
なお、本明細書でいう「ライン」とは、流路、経路、管路(配管)等の流体の流通が可能なラインの総称である。
また、水処理システム1は、制御器12を備えている。制御器12は、図示しない種々のセンサからの検出信号が入力されるとともに、供給バルブ7、ポンプ8を駆動するインバータ13、透過水バルブ9及び排水バルブ10に制御信号を出力するようになっている。そして、制御器12は、例えば、ROM等の記憶媒体に格納されたプログラムを実行して、水処理システム1の運転を制御するようになっている。
また、制御器12は、プログラムを実行することにより、濾過膜モジュール4による膜分離処理中に、透過水の流量を一定に維持する制御を行う。すなわち、透過水ラインL4に設けられた流量センサ(不図示)からの流量検出信号をフィードバックしながら、インバータ13によりポンプ8の回転数を調節して、透過水の流量が予め設定された目標値になるように供給圧力を制御している(定流量制御)。同時に、制御器12は、排水バルブ10の開度を調節することにより、濾過膜モジュール4からの濃縮水の排出流量を調整することで、所定範囲の回収率を維持するようになっている。
上記構成により、水処理システム1においては、軟水装置2で被処理水中のカルシウムイオン等の硬度成分が除去され、次いでプレフィルター3で被処理水中のゴミ等が除去されて、軟水化された被処理水が製造される。この軟水化された被処理水は、ポンプ8で加圧されながら濾過膜モジュール4に供給され、膜分離処理されることにより透過水と濃縮水とが製造される。濾過膜モジュール4で製造された透過水は、脱気膜モジュール5で脱気された後、浄化水として貯留タンク6に貯留される。
また、制御器12は、濾過膜モジュール4の一次側領域をフラッシングするように構成されたプログラムを有している。このプログラムによれば、まずポンプ8を停止して、濾過膜モジュール4における被処理水の膜分離処理を停止させる膜分離処理停止工程を実行する。次に、ポンプ8を停止した状態で、ポンプ8のサクション側の水圧により濾過膜モジュール4の一次側領域に被処理水を送り込んで、所定量(例えば、一次側領域の30%容量)の濃縮水を被処理水に置換しながら系外へ排出する第1フラッシング工程を実行する。ポンプ8のサクション側の水圧とは、軟水装置2及びプレフィルター3を通過することにより減圧された原水の水圧である。そして、ポンプ8を駆動した状態で、濾過膜モジュール4の一次側領域の水を攪拌しながら系外へ排出する第2フラッシング工程を実行する。第2フラッシング工程では、被処理水により所定量置換された濃縮水の攪拌は、濾過膜モジュール4の一次側領域から流出する水の一部を、循環ラインL6bを経由して供給ラインL3に循環することにより行われる。同時に、濾過膜モジュール4の一次側領域から流出する水の残部は、排水ラインL6aを介して系外へ排出する。
このフラッシングは、図2に示すステップに従って行われる。まず、ステップS1では、貯留タンク6の満水検知信号などに基づいてポンプ8を停止し、濾過膜モジュール4における分離膜処理を停止する(膜分離停止工程)。ステップS2では、ポンプ8を停止したまま、濾過膜モジュール4の一次側領域にある濃縮水のうち、所定量を被処理水に置換する(第1フラッシング工程)。具体的には、所定水圧の原水が軟水装置2及びプレフィルター3を通過した後の水圧を利用して、供給ラインL3から移送される被処理水で濃縮水を押し出しながら、濃縮水ラインL6及び排水ラインL6aを介して廃棄する。ステップS3では、ポンプ8を駆動して、濾過膜モジュール4の一次側領域に存在する水(被処理水により所定量置換された濃縮水)のうち、一部を濃縮水ラインL6、循環ラインL6b、及び供給ラインL3を経由して濾過膜モジュール4の一次側領域に循環させて攪拌しながら、残部を濃縮水ラインL6及び排水ラインL6aを介して廃棄する(第2フラッシング工程)。そして、ステップS4では、循環による攪拌を開始してから、所定時間が経過すると、ポンプ8を停止して、フラッシングを終了するようになっている。
以下、図3を参照して、水処理システム1のフラッシング方法について説明する。
まず、ポンプ8を停止して、水処理システム1の運転、すなわち濾過膜モジュール4における被処理水の膜分離処理を停止する(膜分離処理停止工程)。このとき、図3(A)に示すように、濾過膜モジュール4の一次側領域には、網かけで示すように、濃縮水が残留している。
次いで、図3(B)に示すように、濾過膜モジュール4の一次側領域に、被処理水を流入させて、濃縮水のうち所定量を被処理水に置換する(第1フラッシング工程)。このとき、ポンプ8を停止した状態で、被処理水を供給ラインL3から濾過膜モジュール4に流れ込ませる。また、透過水バルブ9は閉じ、排出バルブ10は開放することにより置換する濃縮水を排出ラインL6aから排出させる。図3(B)において、白い矢印は被処理水の流れを、ハッチングした矢印は濃縮水の流れを示している。
次いで、図3(C)に示すように、濾過膜モジュール4の一次側領域の水、すなわち所定量が被処理水により置換された濃縮水を、循環ラインL6bを経由して供給ラインL3に循環させて、濾過膜モジュール4の一次側領域の水を攪拌する(第2フラッシング工程)。このとき、制御器12は、インバータ13に、例えば、周波数30Hz(通常は60Hz)の駆動電力を発生させる指示をし、ポンプ8を濾過膜の浸透圧未満の供給圧力で駆動させる。また、透過水バルブ9は閉じ、排出バルブ10は開放することにより、循環している水の一部を排水ラインL6aから排出させる。図3(C)において、網かけ矢印は、系内を循環する水及び系外へ排出する水の流れを示している。
次に、図4を参照して、参考例に係るフラッシング方法の効果について説明する。図4に示したグラフは、横軸がフラッシング開始後の経過時間[分]を表し、縦軸が濃縮水の電気伝導率の変化率[%]を表している。この変化率は、フラッシング開始時点の電気伝導率をE1、所定時間経過時点の電気伝導率をE2として、E2/E1×100により計算したものである。
また、(△)で示した折れ線は、第1フラッシング工程のみを行なった場合の濃縮水の電気伝導率の変化率を示し、(□)で示した折れ線は、第2フラッシング工程のみを行なった場合の濃縮水の電気伝導率の変化率を示している。そして、(●)で示した折れ線は、参考例に係る第1及び第2フラッシング工程を含むフラッシングを行なった場合の濃縮水の電気伝導率の変化率を示している。
図4に示すように、フラッシングを開始してから濃縮水の電気伝導率の変化率が70%まで低下するのに、第1フラッシング工程のみを行なった場合には、約3.7分が必要とされ、また第2フラッシング工程のみを行なった場合には、約4.5分が必要とされる。これに対して、参考例に係る方法によれば、約2分しか必要とされず、短時間でフラッシングすることができる。
以上のように、参考例に係る水処理システム1のフラッシング方法、及び水処理システム1によれば、濾過膜モジュール4の一次側領域に残存する濃縮水のうち、一部を予め被処理水と置換することにより、容易かつ効率的に濃縮水の濃度を低下させることができ、しかも攪拌することにより、濾過膜モジュール4の一次側領域における濃縮水と被処理水との濃度ムラの発生を抑制することができる。その結果、濾過膜モジュール4を短時間でフラッシングすることができ、フラッシング時の排水量を低減して節水することができる。
また、参考例に係る水処理システム1のフラッシング方法、及び水処理システム1によれば、濾過膜モジュール4の一次側領域から流出する水の一部を、ポンプに8より循環ラインL6bを経由して循環させつつ、残部を系外に排出するので、一次側領域の水の濃度を均一化しながら、短時間で減少させることができる。また、膜分離処理中の回収率を調整するための排水バルブ10をフラッシング用の排水バルブと兼用しているため、水処理システム1のイニシャルコストを削減することができる。
(一実施形態)
次に、図5及び図6を参照して、この発明の一実施形態に係る水処理システム1Aについて説明する。
一実施形態は、図5に示すように、被処理水を濾過膜モジュール4に移送する供給ラインL3に、被処理水の供給圧力を検出する圧力センサ21がポンプ(例えば、渦巻きポンプ)8の下流側に設けられるとともに、濾過膜モジュール4で製造された透過水を移送する透過水ラインL4に、透過水の流量を検出する流量センサ22が配置されている。また、圧力センサ21及び流量センサ22の検出信号は、それぞれ制御器12Aに入力されている。
制御器12Aは、参考例でも説明したように、濾過膜モジュール4による膜分離処理中に、透過水流量に基づくフィードバック制御を行なっている。具体的には、流量センサ22からの流量検出信号をフィードバックして、予め設定された目標流量値と比較し、検出流量値と目標流量値の偏差がゼロとなるように、ポンプ8の運転周波数を制御するようになっている。ポンプ8の運転周波数の制御は、インバータ13によって行われ、ポンプ8の回転数が調節されることで、供給圧力が制御される。
また、制御器12Aは、透過水流量に基づくフィードバック制御の実行中に、少なくとも流量センサ22で検出される透過水流量、及び圧力センサ21で検出される供給圧力を用いて水透過係数を演算し、その結果を定期的にRAM等の記憶媒体に記憶するようになっている。ここで、水透過係数K[m・m−2・s−1・Pa−1]は、流量センサ22で検出される透過水流量をQ[m/s]、圧力センサ21で検出される供給圧力をP[Pa]、及び濾過膜モジュール4の膜面積をA[m]とすると、次式(1)で計算される。
K=Q/(A・P) ・・・(1)
なお、水透過係数Kは、温度によって変化するため、供給温度が大きく変動する場合には、供給ラインL2等に温度センサ(不図示)を設け、基準温度(例えば、25℃)における水透過係数に補正するのが望ましい。
更に、制御器12Aは、流量センサ22が故障するなどの原因により、流量センサ22からの流量検出信号が所定時間入力されない場合に、透過水流量に基づくフィードバック制御を終了して、被処理水の供給圧力に基づくフィードバック制御に切り換えるプログラムを有している。供給圧力に基づくフィードバック制御は、具体的には、制御の切り換え前に演算された水透過係数(RAM等の記憶媒体に記憶された直近の数値)、及び予め設定された目標流量値を用いて、上記式(1)の関係から被処理水の供給圧力の目標圧力値を算出する。そして、圧力センサ21からの圧力検出信号をフィードバックして、算出された目標圧力値と比較し、検出圧力値と目標圧力値の偏差がゼロとなるように、ポンプ8の運転周波数を制御する。
なお、制御の切り換え前に演算された水透過係数が基準温度(例えば、25℃)における水透過係数に換算されている場合には、供給ラインL2等に温度センサ(不図示)を設け、制御切り換え後の供給温度に応じた水透過係数に補正した後、供給圧力の目標圧力値を算出するのが望ましい。
被処理水の供給圧力に基づくフィードバック制御への切り換えは、図6に示すステップに従って行われる。まず、ステップS11では、透過水流量に基づくフィードバック制御の実行中に、流量センサ22からの流量検出信号が入力されない状態に基づいて流量センサ22の故障等が検出される。ステップS12では、透過水流量に基づくフィードバック制御の実行中に演算・記憶された直近の水透過係数をRAM等から読み出すとともに、供給温度を検出して、水透過係数の温度補正を行う。また、予め設定された目標流量値をRAM等から読み出す。ステップS13では、温度補正された水透過係数と目標流量値から被処理水の供給圧力の目標圧力値を算出する。そして、ステップS14では、圧力センサ21の検出圧力値が目標圧力値と一致するように、ポンプ8に対するインバータ13の出力周波数を制御する。
その他は、参考例と同様であるので、参考例と同一符号を付し、その説明を省略する。
一実施形態に係る水処理システム1Aによれば、流量センサ22の故障等により流量信号が得られなくなった場合のバックアップ運転に際して、搭載されるポンプ8ごとのポンプ係数を必要としないので、汎用性の高い制御を行うことができる。また、ポンプ8をフィードバック制御により制御するため、透過水の流量を精度よく目標流量値に一致させることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記参考例においては、水処理システム1が、軟水装置2、プレフィルター3、濾過膜モジュール4、脱気膜モジュール5、貯留タンク6等を備えた場合について説明したが、これらの配置、構成を適宜変更し又は一部の構成要素を適宜組み合わせ又は置換、変更してもよい。
また、上記参考例においては、第1フラッシング工程において、置換する濃縮水の所定量が一次側領域の30%容量である場合を例示して説明したが、他の数値を用いることも可能である。また、膜分離処理を停止させたときの濃縮水の夾雑成分濃度に応じて、置換する濃縮水の所定量を毎回変更するようにしてもよい。
また、上記参考例と一実施形態とを組合わせてもよいことはいうまでもない。
1 水処理システム
4 濾過膜モジュール
8 ポンプ
L6 供給ライン
L6a 排水ライン
L6b 循環ライン
10 排水バルブ
12、12A 制御器
13 インバータ
21 圧力センサ
22 流量センサ

Claims (4)

  1. 被処理水を移送するポンプと、前記ポンプにより送り込まれた被処理水を膜分離処理して透過水と濃縮水とを製造する濾過膜モジュールと、前記濾過膜モジュールから送出された透過水の流量を検出する流量センサと、前記ポンプによる被処理水の供給圧力を検出する圧力センサとを備え、前記流量センサで検出される透過水流量が予め設定された目標流量値となるように、前記ポンプの回転数を制御するように構成された水処理システムの制御方法であって、
    透過水流量に基づく制御の実行中に、少なくとも前記流量センサで検出される透過水流量、及び前記圧力センサで検出される供給圧力を用いて水透過係数を演算し、
    前記流量センサからの流量信号が入力されなくなった場合に、透過水流量に基づく制御を供給圧力に基づく制御に切り換え、
    制御の切り換え前に演算された水透過係数、及び予め設定された目標流量値を用いて被処理水の供給圧力の目標圧力値を算出し、
    前記圧力センサで検出される供給圧力が算出された目標圧力値となるように、前記ポンプの回転数を制御することを特徴とする水処理システムの制御方法。
  2. 被処理水を移送するポンプと、前記ポンプにより送り込まれた被処理水を膜分離処理して透過水と濃縮水とを製造する濾過膜モジュールと、前記濾過膜モジュールから送出された透過水の流量を検出する流量センサと、前記ポンプによる被処理水の供給圧力を検出する圧力センサとを備え、前記流量センサで検出される透過水流量が予め設定された目標流量値となるように、前記ポンプの回転数を制御するように構成された水処理システムを制御するプログラムであって、
    透過水流量に基づく制御の実行中に、少なくとも前記流量センサで検出される透過水流量、及び前記圧力センサで検出される供給圧力を用いて水透過係数を演算し、
    前記流量センサからの流量信号が入力されなくなった場合に、透過水流量に基づく制御を供給圧力に基づく制御に切り換え、
    制御の切り換え前に演算された水透過係数、及び予め設定された目標流量値を用いて被処理水の供給圧力の目標圧力値を算出し、
    前記圧力センサで検出される供給圧力が算出された目標圧力値となるように、前記ポンプの回転数を制御することを特徴とするプログラム。
  3. 請求項2に記載のプログラムを備えたことを特徴とする制御器。
  4. 請求項3に記載の制御器を備えたことを特徴とする水処理システム。
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