JP5952636B2 - 色温度変更フィルタ及び色温度変更フィルタを備えた光学モジュール - Google Patents

色温度変更フィルタ及び色温度変更フィルタを備えた光学モジュール Download PDF

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本発明は、色温度を変更するための色温度変更フィルタ、および、色温度変更フィルタを備えた光学モジュールに関する。
従来、照明光の色を変更するために、光源と照明用光学系の間に色変更用のフィルタを挿入したり、光源表面や照明光学系を構成する光学素子の少なくとも一面の一部に色変更用のフィルタを形成することが行われている。
色変更用のフィルタとしてはカラーフィルタが一般的に使用されている(例えば、特許文献1参照)。カラーフィルタとしては、光学ガラスや光学樹脂表面に所定の波長光を吸収する特定波長帯吸収被膜が形成されたもの、もしくは光学ガラスや光学樹脂に所定の波長光を吸収する光吸収体を混入されたものが有る。
特開平05−238777号公報
しかし、特定波長帯吸収被膜と光吸収体とは特定波長帯の光を吸収するがそれ以外の波長帯には効果をもたず、カラーフィルタへ入射した特定波長帯以外の光は単純な光学ガラス製や樹脂製の光学素子に対して入射した場合とほとんど変わらないため、本来は透過すべき光線の一部が入射表面において反射してしまい光効率が低下する問題があった。
また、特定波長帯吸収被膜または光吸収体により特定光のみを吸収するカラーフィルタを使用すると、光源光の色度がx-y色度図上で黒体輻射曲線上にあり偏差が零であったとしても、カラーフィルタを出射した光が黒体輻射曲線上から外れて有限の偏差を有する色に変化してしまうという課題があった。また、JISZ8726に規定されている演色評価数を比較すると、光源光の演色評価数に比べてカラーフィルタを出射した光の演色評価数が低下してしまうという課題があった。
ここで、演色評価数とは、JISZ8726に規定されているように、演色評価基準色(R1〜R15)の合計15の試験色に試料光を照射した際の15個の反射光スペクトルをそれぞれ数値化したものである。基準光である自然光もしくは黒体輻射光を照射した際の演色評価数はそれぞれが100である。基準光で試験色を見たときの演色性に対して試料光(光源光またはカラーフィルタを出射した光)で試験色を見たときの演色性のずれが大きくなるに従って、数値が100から小さくなる。
本発明の目的は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、演色性を保ちつつ色温度を下げることができる色温度変更フィルタおよびこの色温度変更フィルタを用いた光学モジュールを提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の色温度変更フィルタは、
光学素子表面に成膜される光学多層膜からなり、前記光学素子が樹脂製の場合は下地層を含めて四層もしくは五層の膜からなり、前記光学素子が光学ガラスの場合は四層から八層の膜からなり、前記光学素子とフィルタとの密着性の向上もしくは前記光学素子表面の保護のための下地層がある場合は下地層を除いた残りの膜の総膜数をx枚、膜全体の膜厚をynmとし、下地層がなければ前記光学素子の表面に形成された膜全体の総膜数をx枚とし、膜全体の膜厚をynmとし、それぞれの場合の空気と接する最外層の膜厚をznmとしたとき、
45≦(y/x)≦100・・・ (1)
120≦z≦175・・・(2)
を満たし、
370nmから750nmの波長領域において、650nmよりも短波長側へいくほど反射率が増加し、400nmから500nmの間に反射率のピークを有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の色温度変更フィルタにおいて、
370nmから750nmの波長領域において、700nm以上の長波長の反射率は4%以下であり、400nmから500nmの間におけるピーク反射率は30〜60%であること、
を特徴とする。
請求項3に記載の発明の光学モジュールは、
光源と、
前記光源の光出射側に設けられる光学素子と、
前記光学素子の前記光源側の表面に塗布され、前記光源からの出射光のうち第1の帯域の光を励起光として前記励起光よりも長波長である第2の帯域の蛍光を発する波長変換用蛍光体と、
前記光学素子の前記波長変換用蛍光体と反対側の面に成膜されており、前記光源からの出射光の一部の光を反射する請求項1または2記載の色温度変更フィルタと、
前記色温度変更フィルタで反射された光を前記波長変換用蛍光体に向けて反射するリフレクタと、
を備えていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明の光学モジュールは、
光源と、
前記光源の光出射側に設けられる光学素子と、
前記光学素子に混入され、前記光源からの出射光のうち第1の帯域の光を励起光として前記励起光よりも長波長である第2の帯域の蛍光を発する波長変換用蛍光体と、
前記光学素子に対して前記光源と反対側の面に成膜されており、前記光源からの出射光の一部の光を反射する請求項1または2記載の色温度変更フィルタと、
前記色温度変更フィルタで反射された光を前記波長変換用蛍光体に向けて反射するリフレクタと、
を備えていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の光学モジュールにおいて、
前記波長変換用蛍光体は光源の光のうち、第1の帯域の光を部分的に第2の帯域の蛍光に変換し、
前記波長変換用蛍光体で変換されなかった第1の帯域の光の一部が光学素子の出射面側に設置された前記色温度変更フィルタにて反射されて光源側へ戻されて再度光学素子内を通過し、通過した光の一部が前記波長変換用蛍光体により第2の帯域の蛍光に変換され、光学素子の入射面側から出射した蛍光はリフレクタにより再度光学素子側に向かって反射されることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の光学モジュールにおいて、
前記光源は白色LEDであることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の光学モジュールにおいて、
前記光源には少なくとも1つの青色LEDを含み、
前記波長変換用蛍光体は、第1の帯域として370nmから480nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として540nmから600nmの波長帯の蛍光を発光することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項5に記載の光学モジュールにおいて、
前記光源には少なくとも1つの青色LEDを含み、
前記波長変換用蛍光体は、複数の波長変換用蛍光体を含み、
前記複数の波長変換用蛍光体の一つは、第1の帯域として370nmから480nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として500nmから560nmの波長帯の蛍光を発光する緑色蛍光体であり、
前記複数の波長変換用蛍光体の他の一つは、第1の帯域として370nmから480nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として590nmから700nmの波長帯の蛍光を発光する赤色蛍光体である、
ことを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項5に記載の光学モジュールにおいて、
前記光源には少なくとも1つの近紫外LEDを含み、
前記波長変換用蛍光体は、複数の波長変換用蛍光体を含み、
前記複数の波長変換用蛍光体の一つは、第1の帯域として300nmから360nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として430nmから490nmの波長帯の蛍光を発光する青色蛍光体であり、
前記複数の波長変換用蛍光体の一つは、第1の帯域として300nmから360nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として500nmから560nmの波長帯の蛍光を発光する緑色蛍光体であり、
前記複数の波長変換用蛍光体の一つは、第1の帯域として370nmから480nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として590nmから700nmの波長帯の蛍光を発光する赤色蛍光体である、
ことを特徴とする。
本発明に従うと、演色性を保つことができる色温度変更フィルタを提供することができる。また、この色温度変更フィルタを用いた光学モジュールを提供することができる。
本発明の実施の形態に係る光学モジュールの断面図である。 光学モジュールに設けられるLEDの発光スペクトルの一例を示す図である。 実施例1の色温度変更フィルタの層構成を示す図である。 実施例1の色温度変更フィルタの反射特性を示す図である。 実施例2の色温度変更フィルタの層構成を示す図である。 実施例2の色温度変更フィルタの反射特性を示す図である。 実施例3の色温度変更フィルタの層構成を示す図である。 実施例3の色温度変更フィルタの反射特性を示す図である。 実施例1の色温度変更フィルタの入射光と出射光のスペクトルを比較して示す図である。 実施例1の色温度変更フィルタの入射光と出射光の色度をxy色度図上に示す図である。 実施例1の色温度変更フィルタを形成した光学素子とフィルタを形成していない光学素子に実施形態のLEDの光を照射した際の出射光の演色評価数を比較して示す図である。 実施例2の色温度変更フィルタの入射光と出射光のスペクトルを比較して示す図である。 実施例3の色温度変更フィルタの入射光と出射光のスペクトルを比較して示す図である。 光学モジュールの出射光スペクトルと、光学モジュールの構成から色温度変更フィルタを排除した場合の出射光スペクトルとを比較して示す図である。 光学モジュールの出射光と、光学モジュールの構成から色温度変更フィルタ6を排除した比較例の出射光の演色評価数を比較して示す図である。 本実施形態の変形例に係る光学モジュールの断面図である。
まず、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る光学モジュール100の断面図である。図1に示すように、本発明の実施の形態に係る光学モジュール100は、光源1と、実装面が光を反射するように構成されている光源を実装するための基板2と、光源1及び基板2を取り囲むように形成されたリフレクタ3と、基板2およびリフレクタ3と対向して設置される光学素子4と、その光学素子4の光入射側の面に塗布されている波長変換用蛍光体5と、光学素子4の光出射側の面に形成された色温度変更フィルタ6とを備えている。
光源1には、例えば、発光ダイオード(以下、LEDと称する。)を使用することができる。図2は、光学モジュール100に設けられるLEDの発光スペクトルの一例を示す図である。青の帯域である約460nmに強い強度を有し、全体としては白色の光を発光する。光源であるLEDは、基板2に実装されている。基板2はその実装面が光を反射するような反射面が形成されている。
リフレクタ3は、少なくとも可視帯である370nm〜750nmの領域において反射率の高い反射面を有する。反射面は、例えば、金属板を磨いた金属鏡、ガラス板や樹脂板の表面にアルミニウムや銀などの金属を蒸着したもの、ガラス板の表面に光学多層膜を設けたもの、などを用いることができる。
光学素子4はたとえばBK7等の光学ガラス、樹脂材料により板状に形成されている。また、光学素子4の形状は、屈折パワーを有するレンズ状であってもよい。
波長変換用蛍光体5は、沈殿法やプリント法等の手法によりバインダと混合されて、光学素子4の表面に所定厚みに塗布(成膜)されている。
波長変換用蛍光体には370nmから480nmの波長帯の波長光に対して励起帯を持ち、励起状態から基底状態へ移行する際に540nmから600nmの波長帯の波長光を蛍光発光する黄色蛍光体を用いた。
色温度変更フィルタ6は光学多層膜で構成され、光学素子4の表面または、下地層を介して形成されている。
色温度フィルタ6を形成する基板としての光学素子4の材料は、例えば、光学ガラスであるBK7、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等のアクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂からなる。その他には、BK7以外の光学ガラス、ポリエチレンテレフタレート樹脂・ポリカーボネート樹脂等の樹脂を用いることができる。
色温度変更フィルタ6の特性は、可視光帯である370nmから750nmの領域において、700nm以上の長波長側の反射率は4%以下であり、600nmよりも短波長側へいくほど反射率が徐々に増大し、400nmから500nmの間に反射率のピークを持ち、ピーク時の反射率は略30〜60%である。
上記特性を満たすため、下地層を除く光学薄膜の平均物理厚みは、式(1)を満たすように構成されている。
すなわち、光学素子が樹脂製の場合は下地層を含めて四層もしくは五層の膜からなり、光学素子が光学ガラスの場合は四層から八層の膜からなる。光学素子とフィルタとの密着性の向上もしくは光学素子表面の保護のための下地層がある場合は、下地層を除いた残りの膜の総膜数をx枚、膜全体の膜厚(物理膜厚)をynmとし、下地層がなければ光学素子の表面に形成された膜全体の総膜数をx枚とし、膜全体の膜厚(物理膜厚)をynmとし、それぞれの場合の空気と接する最外層の膜厚(物理膜厚)をznmとしたとき、以下の式を満たすように構成される。
45≦(y/x)≦100・・・(1)
100≦z≦200 ・・・(2)
式(1)における(y/x)の値は、600nmよりも短波長側へいくほど反射率が徐々に増大する特性を満たすため、フィルタの透過帯を可視帯である370nm〜750nmの領域の長波長側から赤外領域に設定する要件に関連する。
また、具体的な膜構成は後述する実施例で示すが、その膜構成を保ち各層厚を同じ割合で増減させた場合において、(y/x)が100を越えると、ピーク波長が500nmよりも長波長にシフトして所望の波長域に対する反射特性を得られない。一方、(y/x)が45より小さくなると、ピーク波長が短波長にシフトしてしまい、所望の波長域に対する反射特性が得られない。
また、実施例の各層厚が異なる割合で増減した場合、フィルタの光学特性のプロファイルが変化する。
また、式(2)については、Zが100より小さくなるとフィルタとしての耐久性の低下、光学性能の劣化を引き起こす。一方、200を越えると、密着性の低下、光学性能の劣化を引き起こす。
色温度変更フィルタ6の高屈折率材料にはチタン酸ランタン、酸化ニオブ、または、チタン酸化物、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、などの内の1つもしくは二つ以上の混合物を用いることができる。色温度変更フィルタ6の中屈折材料には酸化アルミニウムと酸化ジルコニウムの混合物が用いられる。また、中屈折材料は、酸化アルミニウム単体、酸化アルミニウムと高屈折材料との混合物を用いることもできる。色温度変更フィルタ6の底屈折材料には、SiO2、フッ化マグネシウムが用いられる。
以下、色温度変更フィルタ6を具体的な実施例を用いて説明する。
[実施例1]
図3は、実施例1の色温度変更フィルタの層構成を示す図である。実施例1の色温度変更フィルタ6の基板は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)製光学素子である。図3に示すように、PMMA上に形成された色温度変更フィルタ6は下地層を除いて4層からなる多層膜である。
具体的には、下地層としてSiO層を成膜した上に、第1層として高屈折率材料であるチタン酸ランタン層を、第2層として低屈折率材料であるSiO2層を、第3層として高屈折率材料である酸化ニオブ層を、第4層として低屈折率材料であるSiO2層を、それぞれ成膜している。
具体的な成膜方法は、まず蒸着装置内を脱気して実質的な真空状態にして真空蒸着法により、下地層であるSiO層をSiOの固体を揮発させて膜厚を測定しながら成膜する。
次にチタン酸ランタンの固体を揮発させて膜厚を測定しながら成膜を行う。第2層から第4層も第1層と同様に膜厚を測定しながら重ねるように成膜を行う。各層の成膜時に膜厚を測定し、任意の膜厚になった所で各層の成膜を終了して次の層の成膜を開始する。
具体的な測定方法は、薄膜が蒸着されている最中の光学素子4の表面に事前に設定した波長光を照射し、形成した薄膜の表面及び薄膜を透過してレンズ表面で反射した各反射光の干渉によるパターンを測定し膜厚を求めている。
蒸着物質の揮発方法は抵抗加熱法、電子線等が使用可能である。また、真空蒸着法以外にもスパッタリング法、イオンアシスト法、イオンプレーティング法、等の方法を使用する事が可能である。
上記方法によって実際に光学素子4表面から順に成膜した結果、フィルタを構成する薄膜の各層の屈折率は、第1層のチタン酸ランタン層が屈折率=1.93、第2層のSiO2層が屈折率=1.46、第3層の酸化ニオブ層が屈折率=2.11、第4層のSiO2層が屈折率=1.46となり、また、各層の膜厚はそれぞれ第1層のチタン酸ランタンが51.96nm、第2層のSiO2が73.72nm、第3層の酸化ニオブが63.55nm、第4層のSiO2が154.98nmとなった。
図4は、実施例1の色温度変更フィルタ6の反射特性を示す図である。実施例1の色温度変更フィルタ6の反射特性は、可視光帯である370nmから750nmの領域において670nm以上の長波長側の反射率は4%以下であり、670nmから470nmの間では短波長側へいくほど反射率が徐々に増大している。そして、470nm付近で反射率のピークを持ち、ピーク時の反射率は略50%であり、ピークよりも短波長側ではより短波長側へいくほど反射率は低下する。
上記のように、実施例1の色温度変更フィルタ6の膜構成は、光学素子4側から高屈折率層−低屈折率層−高屈折率層−低屈折率層であり、高屈折率層と低屈折率層を互いに重ね合わせる構成となっている。また、各層の膜厚を調整する事により、長波長側の反射率を低下させつつ、短波長側の波長光ほど透過させずに反射させることが可能である。
[実施例2]
図5は、実施例2の色温度変更フィルタの層構成を示す図である。実施例2の色温度変更フィルタ6の基板は、BK7製光学素子4である。BK7は光学ガラスの1種である。図5に示すように、BK7上に形成された色温度変更フィルタ6は6層からなる多層膜である。具体的には、下地層を用いず、BK7の表面に対してフィルタが直接形成されている。フィルタは、第1層に高屈折率材料である酸化ジルコニウムと酸化チタンの混合物、第2層に中屈折率材料である酸化ジルコニウムと酸化アルミニウムの混合物、第3層に高屈折率材料である酸化ジルコニウムと酸化チタンの混合物、第4層に中屈折率材料である酸化ジルコニウムと酸化アルミニウムの混合物第、第5層に高屈折率材料である酸化ジルコニウムと酸化チタンの混合物、第6層に低屈折率材料であるフッ化マグネシウムから構成されている。
光学素子4の材質であるBK7は、屈折率=1.51、第1層の酸化ジルコニウムと酸化チタンの混合物は屈折率=2.04、第2層の酸化ジルコニウムと酸化アルミニウムの混合物は屈折率=1.65、第3層の酸化ジルコニウムと酸化チタンの混合物は屈折率=2.04、第4層の酸化ジルコニウムと酸化アルミニウムの混合物は屈折率=1.65、第5層の酸化ジルコニウムと酸化チタンの混合物は屈折率=2.04、第6層のフッ化マグネシウムは屈折率=1.38であった。
また、実施例2の色温度変更フィルタ6を構成する各層の膜厚は、第1層の酸化ジルコニウムと酸化チタンの混合物は18.13nm、第2層の酸化ジルコニウムと酸化アルミニウムの混合物は94.08nm、第3層の酸化ジルコニウムと酸化チタンの混合物は89.77nm、第4層の酸化ジルコニウムと酸化アルミニウムの混合物は25.53nm、第5層の酸化ジルコニウムと酸化チタンの混合物は74.53nm、第6層のフッ化マグネシウムは145.91nmであった。
図6は、実施例2の色温度変更フィルタ6の反射特性を示す図である。実施例2の色温度変更フィルタ6では、図6に示すように、可視光帯である370nmから750nmの領域において600nm以上の長波長側の反射率は4%以下であり、600nmから470nmの間では短波長側へいくほど反射率が徐々に増大している。そして、470nm付近で反射率のピークを持ち、ピーク時の反射率は略35%であり、ピークよりも短波長側ではより短波長側へいくほど反射率は低下する。
上記のように、実施例2の色温度変更フィルタ6の膜構成は、光学素子4側から高屈折率層−中屈折率層−高屈折率層−中屈折率層−高屈折率層−低屈折率層であり、最も外側の層(第6層)とその内側の層(第5層)との屈折率の差を大きくとり、それ以降の各層における隣り合った層との屈折率の差を第6層と第5層との差と比べて小さくし、かつ、各層の膜厚を調整する事により、長波長側の反射率を低下させつつ、短波長側の波長光ほど透過させずに反射させることが可能である。
[実施例3]
図7は、実施例3の色温度変更フィルタ6の層構成を示す図である。実施例3の色温度変更フィルタ6の基板は、シクロオレフィンポリマー樹脂製光学素子4である。図7に示すように、シクロオレフィンポリマー樹脂上に形成された色温度変更フィルタ6は4層からなる多層膜である。具体的には、下地層を用いず、シクロオレフィンポリマー樹脂の表面に対してフィルタが直接形成されている。第1層として高屈折率材料であるチタン酸ランタン層を、第2層として低屈折率材料であるSiO2層を、第3層として高屈折率材料であるチタン酸ランタン層を、第4層として低屈折率材料であるSiO2層を、それぞれ成膜している。
光学素子4の材質であるシクロオレフィンポリマー樹脂は、屈折率=1.52、第1層のチタン酸ランタン(LaTiO3)は屈折率=1.93、第2層のSiO2は屈折率=1.44、第3層のチタン酸ランタン(LaTiO3)は屈折率=1.93、第4層のSiO2は屈折率=1.44であった。
また、実施例3の色温度変更フィルタ6を構成する各層の膜厚は、第1層のチタン酸ランタン(LaTiO3)は60.5nm、第2層のSiO2は74.61nm、第3層のチタン酸ランタン(LaTiO3)は68.85nm、第4層のSiO2は161.58nmであった。
図8は、実施例3の色温度変更フィルタ6の反射特性を示す図である。実施例3の色温度変更フィルタ6の反射特性は、図8に示すように、可視光帯である370nmから750nmの領域において650nm以上の長波長側の反射率は4%以下であり、650nmから470nmの間では短波長側へいくほど反射率が徐々に増大している。そして、470nm付近で反射率のピークを持ち、ピーク時の反射率は略40%であり、ピークよりも短波長側ではより短波長側へいくほど反射率は低下する。
上記のように、実施例3の色温度変更フィルタ6の膜構成は、光学素子4側から高屈折率層−低屈折率層−高屈折率層−低屈折率層であり、高屈折率層と低屈折率層を互いに重ね合わせる構成となっている。これは、実施例1の膜構成と類似であり、各層の膜厚を調整する事により、長波長側の反射率を低下させつつ、短波長側の波長光ほど透過させずに反射させることが可能である。
以上の実施例1〜3では、式(1)、(2)に関するx、y、zは、
実施例1:x=4、y=344.21、y/x=86.05、z=154.98
実施例2:x=6、y=447.67、y/x=74.61、z=145.91
実施例3:x=4、y=365.55、y/x=91.39、z=161.58
である。
ここで、色温度変更フィルタ6として、x、y、zは、記述の通り、以下の式を満たすように構成される。
45≦(y/x)≦100・・・(1)
100≦z≦200 ・・・(2)
なお、
65≦(y/x)≦100
120≦z≦175
であることがより好ましい。
また、シクロオレフィンポリマー樹脂以外の光学樹脂を基板として用いる場合は、樹脂の表面と色温度変更フィルタとの間の密着性を向上させるための下地層を設けることが好ましい。実施例1では下地層にSiOを使用したが、SiO以外にも、例えば、Si系高分子被膜等を用いることができる。これらの下地層は蒸着若しくはコーティングにより成膜される。
下地層は、フィルタの光学的性能に対してほとんど影響を与えず、光学素子4表面とフィルタとの密着性を向上させることを目的として形成する膜層である。本願の下地層の材質は、その膜厚を下地層としての使用に適した厚さの範囲内において変動させたとしても650nm以上の可視光領域の反射率が4%を超えない性質を有しているものが選択可能である。また、光学素子4に対するフィルタの密着性が十分であるならば下地層を形成しなくてもよい。
次に本発明の実施の形態に係る色温度変更フィルタ6および光学モジュール100の動作について説明する。
まず、実施例1に係る色温度変更フィルタ6の動作について説明する。具体的には、図2に示した発光ダイオードの光を色温度変更フィルタ6に入射させてその出射光を評価した。色温度変更フィルタ6は、入射する光の色温度を低い方向に変更する。以下、具体的に説明する。
図9は、実施例1の色温度変更フィルタ6の入射光と出射光のスペクトルを比較して示す図である。入射光は、図2に示した発光ダイオードの光である。
色温度変更フィルタ6の出射光のスペクトルは、入射する発光ダイオードの光のうち最も強度の強い450nmから470nmまでの波長帯の光線の強度が大きく低下し、490nmから650nmまでの波長帯における光線の強度の低下が長波長側へ行くほど徐々に少なくなっていることが判る。
図10は、実施例1の色温度変更フィルタ6の入射光と出射光の色度をxy色度図上に示す図である。入射光は、図2に示した発光ダイオードの光である。図10には、黒体輻射(偏差は0uv)の色度、および、色温度が3000K〜8000Kであって偏差が+0.02uv、−0.02uvの光の色度も示している。入射光の色度は(0.333、0.34)であり、出射光の色度は(0.366、0.368)であった。図10のように、実施例1の色温度変更フィルタ6への入射光および当該フィルタ6からの出射光は、ともに、黒体輻射曲線上にほぼ位置しており、かつ、色温度変更フィルタ6からの出射光は入射光に対して色温度が低下していることが判る。
すなわち、実施例1に係る色温度変更フィルタは、入射する光の偏差を変えることなく、その色度を黒体輻射曲線にそって色温度を低下させる方向に変化させる。
次に、実施例1の色温度変更フィルタ6を形成した光学素子4とフィルタを形成していない光学素子4に発光ダイオードの光を照射して、その出射光の演色評価数を測定した結果を説明する。
ここで、演色評価数とは、ある物体を照らしている試料光が基準光と比較してどれだけ色を忠実に再現できているかという観点から演色性を数値化したものである。
具体的には、演色評価数とは、JISZ8726に規定されているように、演色評価基準色(R1〜R15)の合計15の試験色に試料光を照射した際の15個の反射光スペクトルをそれぞれ数値化したものである。基準光である自然光もしくは黒体輻射光を照射した際の演色評価数はそれぞれが100である。基準光で試験色を見たときの演色性に対して試料光で試験色を見たときの演色性のずれが大きくなるに従って、数値が100から小さくなる。平均演色評価数(Ra)は、R1〜R8までの演色評価基準色における演色評価数の平均値である。
図11は、実施例1の色温度変更フィルタを形成した光学素子とフィルタを形成していない光学素子に実施形態のLEDの光を照射した際の出射光の演色評価数を比較して示す図である。
実施例1の色温度変更フィルタ6を形成した光学素子4の場合の演色評価数は、全ての評価基準色において、フィルタを形成していない光学素子4の場合の演色評価数と同等、若しくはフィルタを形成していない光学素子4の場合の演色評価数よりも高い。上記の結果から実施例1のフィルタは光の色を黒体輻射曲線上から大きく逸脱させる事なく色温度を低下させ、かつフィルタを使う事で演色評価数を低下させる事が無いため、照明光として使用する際に不自然な色合いになることなく照明光の印象を変化させることが可能である。
次に、実施例2、3に係る色温度変更フィルタ6の動作について説明する。具体的には、図2に示した発光ダイオードの光を実施例2、3に係る色温度変更フィルタ6に入射させてその出射光を評価した。実施例2、3に係る色温度変更フィルタ6は、入射する光の色温度を低い方向に変更する。以下、具体的に説明する。
図12は、実施例2の色温度変更フィルタ6の入射光と出射光のスペクトルを比較して示す図である。
図13は、実施例3の色温度変更フィルタ6の入射光と出射光のスペクトルを比較して示す図である。実施例2、3の色温度変更フィルタ6の入射光は、図2に示した発光ダイオードの光である。
いずれの場合においても、色温度変更フィルタ6の出射光のスペクトルは、入射する発光ダイオードの光のうち、最も強度の強い450nmから470nmまでの波長帯の光線の強度が大きく低下し、490nmから650nmまでの波長帯における光線の強度の低下が長波長側へ行くほど徐々に少なくなっていることが判る。
また、色度の評価、および演色性の評価も実施例1と同様の結果が得られた。
すなわち、実施例2、3に係る色温度変更フィルタ6も実施例1のフィルタと同様、入射する光の偏差を変えることなく、その色度を黒体輻射曲線にそって色温度を低下させる方向に変化させる。また、実施例2、3に係る色温度変更フィルタ6も、透過光の演色評価数を低下させないため、照明光として使用する際に不自然な色合いになることなく照明光の印象を変化させることができる。
以上のように、本実施形態の実施例1〜3によれば、色温度変更フィルタ6は光学素子表面に成膜される光学多層膜からなり、光学素子が樹脂製の場合は下地層を含めて四層もしくは五層の膜からなり、光学素子が光学ガラスの場合は四層から八層の膜からなり、光学素子とフィルタとの密着性の向上もしくは光学素子表面の保護のための下地層がある場合は下地層を除いた残りの膜の総膜数をx枚、膜全体の膜厚をynmとし、下地層がなければ光学素子の表面に形成された膜全体の総膜数をx枚とし、膜全体の膜厚をynmとし、それぞれの場合の空気と接する最外層の膜厚をznmとしたとき、
45≦(y/x)≦100・・・(1)
100≦z≦200 ・・・(2)
を満たし、
370nmから750nmの波長領域において、600nmよりも短波長側へいくほど反射率が徐々に増加し、400nmから500nmの間に反射率のピークを有することを特徴とする。
これにより、長波長側の反射率を低下させつつ、短波長側の波長光ほど透過させずに反射させることが可能となっている。そして、演色性を保ちつつ色温度を下げることができる。
また、色温度変更フィルタは、370nmから750nmの波長領域において、700nm以上の長波長の反射率は4%以下であり、400nmから500nmの間におけるピーク反射率は略30〜60%であること、を特徴とする。
これにより、長波長の反射率を極力抑え、青の帯域の反射率を極大にできるので、色温度の変更を効果的に行うことができる。
次に本発明の実施の形態に係る光学モジュール100の動作について説明する。
本発明の実施の形態の光学モジュール100では、光源1であるLEDの光は光学素子4上の波長変換用蛍光体5に入射し、波長変換用蛍光体5を構成する黄色蛍光体により370nmから480nmの範囲の短波長帯の光線の一部が540nmから600nmの範囲の中波長帯の光線に変換される。色温度変更フィルタ6にて、主に光学素子4内で変換されなかった短波長帯の光線が反射し、それ以外の光線は概ね色温度変更フィルタ6を透過して光学モジュール100外へ出射する。
反射して光源側へ戻された短波長帯の光線は再度光学素子4内を通過し、その過程で黄色蛍光体により短波長帯の光線の一部が中波長帯の光線へ変換され、光学素子4の入射面側から出射する。光学素子4の入射面から出射した光線はLEDが設置された基板上若しくは基板周囲に設置されたリフレクタ3の反射面により反射して再度光学素子4に向かう。再度光学素子4に向かった光のうち、一部の短波長帯の光線は更に黄色蛍光体により中波長帯の光線に変換される。そして、色温度フィルタ6で更に一部の短波長帯の光線は再度反射して光源側へ戻されることを繰り返す。このような繰り返しにより、無駄なく短波長側の光を抑制しつつ、相対的に長波長の光の発光効率を向上させることができる。
図14は、光学モジュール100の出射光スペクトルと、光学モジュール100の構成から色温度変更フィルタ6を排除した比較例の出射光スペクトルとを比較して示す図である。色温度変更フィルタ6は実施例1のものを用いている。LEDの発光スペクトルは図2に示すLEDと類似しており、青の帯域である約450nmに強い強度を有し、全体としては白色の光を発光する。
色温度変更フィルタ6を用いていない比較例の光学モジュールの光量が177.19(lm)であるのに対し、色温度変更フィルタ6を用いた光学モジュール100の光量は171.31(lm)であり、減少率は略3.3%であった。
可視光帯である370nmから750nmの領域における両者の出射光のスペクトル分布を比較すると、色温度変更フィルタ6を用いた光学モジュール100では、比較例と比べて450nm付近のピーク強度がほぼ半減している。また、ピークを挟んだ430−480nm付近の強度も低下している。一方、450nm付近のピークから遠ざかるほど強度の低下率は小さくなっている。570nmよりも長波長側では両者の強度の差はほとんどなく、逆に、色温度変更フィルタ6を用いた光学モジュール100のほうが強度が高い波長もあった。
以上の結果から、色温度変更フィルタ6により光学素子4の出射面から反射して光源側へ戻された相対的に短波長の光は、そのまま熱となり消滅するのではなく、基板の実装表面およびリフレクタ3の反射面によって再度反射されて光学素子4へ入射し再利用されていることが判る。
図15は、光学モジュール100の出射光と、光学モジュール100の構成から色温度変更フィルタ6を排除した比較例の出射光の演色評価数を比較して示す図である。
その結果、実施形態の光学モジュール100の出射光の演色評価数は、全ての評価基準色において、比較例の光学モジュールの出射光とほぼ同等の演色評価数であることが判明した。上記の結果から実施形態の光学モジュール100はLEDの光を黒体輻射曲線上から大きく逸脱させる事なく色温度を低下させ、かつ色温度変更フィルタ6を使う事で演色評価数を低下させる事が無いため、照明光として使用する際に不自然な色合いになることなく照明光の印象を変化させることが可能である。
また、実施例2、3の色温度変更フィルタ6を用いた場合でも、図14、図15と同様の効果が得られた。
なお、本発明の実施の形態では、光源1には青の帯域である約460nmに強い強度を有し、全体としては白色の光を発光するLEDを用いたが、光源に青色LEDを使用し、蛍光体として黄色蛍光体を使用してもよい。
青色LEDとは、例えば、概ね波長470nm近辺に発光スペクトルのピークを持ち430〜500nm程度の波長域の光線を出射するLEDである。
また、実施形態で用いた黄色蛍光体は、370nmから480nmの波長帯の波長光に対して励起帯を持ち、励起状態から基底状態へ移行する際に540nmから600nmの波長帯の波長光を蛍光発光するが、波長の値は例示であり、青色光を励起光として黄色の蛍光を発する蛍光体であればよい。
黄色蛍光体を波長変換用蛍光体として用い、色温度変更フィルタ6と組み合わせることで、光量を確保しつつ、演色評価数を低下させることなく、色温度を下げることができる。
また、青色LEDと黄色蛍光体の組み合わせ以外に、光源に青色LEDを、蛍光体に赤色蛍光体と緑色蛍光体の混合体を使用しても良い。
緑色蛍光体は、青色光を励起光として緑色の蛍光を発する蛍光体である。例えば、青色370nmから480nmの波長帯の光で励起され、500nmから560nmの波長帯の蛍光を発光する蛍光体を用いることができる。赤色蛍光体は、青色光を励起光として赤色の蛍光を発する蛍光体である。例えば、370nmから480nmの波長帯の光で励起され、590nmから700nmの波長帯の蛍光を発光する蛍光体を用いることができる。
また、光源に近紫外LEDを、蛍光体に赤色蛍光体と青色蛍光体と緑色蛍光体との混合体を使用してもよい。近紫外LEDとは、概ね360nm−380nm近辺に発光スペクトルのピークを持ち300nm−410nm程度の波長域の光線を出射するLEDである。
また、LEDの数は1つでも良く複数でも良い。また、青色LEDまたは近紫外LEDに緑色LED、黄色LED、赤色LEDを同時に使用してもよい。例えば、青色LEDと1種または複数種の蛍光体とを組み合わせて白色光を形成すると言う構成が可能である。また、RGB単色の各LEDを組み合わせて白色光を形成してから色温度変更フィルタにて色温度を下げるように構成することもできる。
ここで、緑色LEDとは、520nm近辺に発光スペクトルのピークを持ち470−600nm程度の波長域の光線を出射するLEDである。赤色LEDとは、630nm近辺に発光スペクトルのピークを持ち590−660nm程度の波長域の光線を出射するLEDである。黄色LEDとは、600nm付近に発光スペクトルのピークを持ち520−800程度の波長域の光線を出射するLEDである。
以上のように、本実施形態によれば、光学モジュール100は、光源と、光源の光出射側に設けられる光学素子4と、光学素子の光源側の表面に塗布され、光源からの出射光のうち第1の帯域の光を励起光として励起光よりも長波長である第2の帯域の蛍光を発する波長変換用蛍光体5と、光学素子4の波長変換用蛍光体5と反対側の面に成膜されており、光源からの出射光の一部の光を反射する色温度変更フィルタ6と、色温度変更フィルタ6で反射された光を波長変換用蛍光体に向けて反射するリフレクタと、を備えている。
これにより、色温度変更フィルタ6を用いた光学モジュール100は、光源光のうち相対的に短波長の光を、基板の実装表面およびリフレクタ3の反射面によって再度反射されて光学素子4へ入射して再利用させ、光源の光を黒体輻射曲線上から大きく逸脱させる事なく、演色評価数を低下させる事なく、色温度を低下させ、不自然な色合いになることなく照明光の印象を変化させることが可能となる。
また、光学モジュール100において、波長変換用蛍光体5は光源の光のうち、第1の帯域の光を部分的に第2の帯域の蛍光に変換し、波長変換用蛍光体で変換されなかった第1の帯域の光の一部が光学素子の出射面側に設置された色温度変更フィルタ6にて反射されて光源側へ戻されて再度光学素子内を通過し、通過した光の一部が波長変換用蛍光体5により第2の帯域の蛍光に変換され、光学素子4の入射面側から出射した蛍光はリフレクタ3により再度光学素子側に向かって反射される。
これにより、色温度を低下させるために短波長の光を減少させても波長変換用蛍光体5により相対的に長波長の光が増加し、光学モジュール100の光量を維持することができる。
また、上記構成において、光源は白色LEDであることを特徴とするので、1個のLEDで演色性の良い光学モジュールを得ることができる。
また、上記構成において光源1には少なくとも1つの青色LEDを含み、波長変換用蛍光体5は、第1の帯域として370nmから480nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として540nmから600nmの波長帯の蛍光を発光することを特徴とするので青色LEDを用いて演色性の良い光学モジュールを得ることができる。
また、上記構成において、光源1には少なくとも1つの青色LEDを含み、波長変換用蛍光体5は、複数の波長変換用蛍光体を含み、複数の波長変換用蛍光体の一つは、第1の帯域として370nmから480nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として500nmから560nmの波長帯の蛍光を発光する緑色蛍光体であり、複数の波長変換用蛍光体の他の一つは、第1の帯域として370nmから480nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として590nmから700nmの波長帯の蛍光を発光する赤色蛍光体であるので、青色LEDを用いて演色性の良い光学モジュールを得ることができる。
また、上記構成において、光源1には少なくとも1つの近紫外LEDを含み、波長変換用蛍光体5は、複数の波長変換用蛍光体を含み、複数の波長変換用蛍光体の一つは、第1の帯域として300nmから360nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として430nmから490nmの波長帯の蛍光を発光する青色蛍光体であり、複数の波長変換用蛍光体の一つは、第1の帯域として300nmから360nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として500nmから560nmの波長帯の蛍光を発光する緑色蛍光体であり、複数の波長変換用蛍光体の一つは、第1の帯域として370nmから480nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として590nmから700nmの波長帯の蛍光を発光する赤色蛍光体であるので、近紫外LEDを用いて演色性の良い光学モジュールを得ることができる。
[変形例]
次に本実施形態の変形例に係る光学モジュール200について説明する。なお、下記の説明において、本実施形態に係る光学モジュール100と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図16は、本実施形態の変形例に係る光学モジュール200の断面図である。
本実施形態の変形例に係る光学モジュール200は、光源1と、実装面が光を反射するように構成されている光源を実装するための基板2と、光源1及び基板2を取り囲むように形成されたリフレクタ3と、基板2およびリフレクタ3と対向して設置される光学素子40と、その光学素子40に混入されている波長変換用蛍光体5と、光学素子40の光出射側の面に形成された色温度変更フィルタ6とを備えている。
光学素子40は、例えば、ガラス粉末と蛍光体粉末を混合したものを加熱成形する、または、ガラス中に蛍光体結晶を析出させる等の、種々の方法で製作することができる。また、蛍光体と樹脂の混合ペーストを成形する等の方法で製作することができる。
以上のように、変形例に係る、光学モジュール200は、光源1と、光源1の光出射側に設けられる光学素子40と、光学素子40に混入され、光源1からの出射光のうち第1の帯域の光を励起光として励起光よりも長波長である第2の帯域の蛍光を発する波長変換用蛍光体5と、光学素子40に対して光源1と反対側の面に成膜されており、光源1からの出射光の一部の光を反射する色温度変更フィルタ6と、色温度変更フィルタ6で反射された光を波長変換用蛍光体5に向けて反射するリフレクタ3と、を備えている。
これにより、蛍光体分散ガラスを用いて光学モジュールを得ることができる。
なお、本実施形態の変形例に係る光学モジュール200は、実施の形態に係る光学モジュール100と同様の動作であるので、動作の説明については省略する。
なお、本発明は、上記実施の形態およびその変形例に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
本実施形態に係る光学モジュール100及び変形例に係る200は、光学素子40の表面または内部に波長変換用蛍光体5を有しており、光源1及び基板2の周囲にリフレクタ3が形成されているが、リフレクタ3を備えていない構成も可能である。リフレクタを備えていない光学モジュールは、色温度変更フィルタ6で反射して光源側に戻された光が捨てられるため、光学モジュールからの出射光量は多少減少するがコストを下げることができる。
また、光学モジュールにおいて、例えば、光源1からの出射光が白色である場合に波長変換用蛍光体5を使用しない構成も可能である。その場合には、光源1からの出射光は直接光学素子40へ入射することになる。
100、200 光学モジュール
1 光源
2 基板
3 リフレクタ
4、40 光学素子
5、50 波長変換用蛍光体
6 色温度変更フィルタ

Claims (9)

  1. 光学素子表面に成膜される光学多層膜からなり、前記光学素子が樹脂製の場合は下地層を含めて四層もしくは五層の膜からなり、前記光学素子が光学ガラスの場合は四層から八層の膜からなり、前記光学素子とフィルタとの密着性の向上もしくは前記光学素子表面の保護のための下地層がある場合は下地層を除いた残りの膜の総膜数をx枚、膜全体の膜厚をynmとし、下地層がなければ前記光学素子の表面に形成された膜全体の総膜数をx枚とし、膜全体の膜厚をynmとし、それぞれの場合の空気と接する最外層の膜厚をznmとしたとき、
    45≦(y/x)≦100・・・ (1)
    120≦z≦175・・・(2)
    を満たし、
    370nmから750nmの波長領域において、650nmよりも短波長側へいくほど反射率が増加し、400nmから500nmの間に反射率のピークを有することを特徴とする色温度変更フィルタ。
  2. 370nmから750nmの波長領域において、700nm以上の長波長の反射率は4%以下であり、400nmから500nmの間におけるピーク反射率は30〜60%であること、
    を特徴とする請求項1に記載の色温度変更フィルタ。
  3. 光源と、
    前記光源の光出射側に設けられる光学素子と、
    前記光学素子の前記光源側の表面に塗布され、前記光源からの出射光のうち第1の帯域の光を励起光として前記励起光よりも長波長である第2の帯域の蛍光を発する波長変換用蛍光体と、
    前記光学素子の前記波長変換用蛍光体と反対側の面に成膜されており、前記光源からの出射光の一部の光を反射する請求項1または2記載の色温度変更フィルタと、
    前記色温度変更フィルタで反射された光を前記波長変換用蛍光体に向けて反射するリフレクタと、
    を備えていることを特徴とする光学モジュール。
  4. 光源と、
    前記光源の光出射側に設けられる光学素子と、
    前記光学素子に混入され、前記光源からの出射光のうち第1の帯域の光を励起光として前記励起光よりも長波長である第2の帯域の蛍光を発する波長変換用蛍光体と、
    前記光学素子に対して前記光源と反対側の面に成膜されており、前記光源からの出射光の一部の光を反射する請求項1または2記載の色温度変更フィルタと、
    前記色温度変更フィルタで反射された光を前記波長変換用蛍光体に向けて反射するリフレクタと、
    を備えていることを特徴とする光学モジュール。
  5. 前記波長変換用蛍光体は光源の光のうち、第1の帯域の光を部分的に第2の帯域の蛍光に変換し、
    前記波長変換用蛍光体で変換されなかった第1の帯域の光の一部が光学素子の出射面側に設置された前記色温度変更フィルタにて反射されて光源側へ戻されて再度光学素子内を通過し、通過した光の一部が前記波長変換用蛍光体により第2の帯域の蛍光に変換され、光学素子の入射面側から出射した蛍光はリフレクタにより再度光学素子側に向かって反射されることを特徴とする請求項3または4に記載の光学モジュール。
  6. 前記光源は白色LEDであることを特徴とする請求項5記載の光学モジュール。
  7. 前記光源には少なくとも1つの青色LEDを含み、
    前記波長変換用蛍光体は、第1の帯域として370nmから480nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として540nmから600nmの波長帯の蛍光を発光することを特徴とする請求項5に記載の光学モジュール。
  8. 前記光源には少なくとも1つの青色LEDを含み、
    前記波長変換用蛍光体は、複数の波長変換用蛍光体を含み、
    前記複数の波長変換用蛍光体の一つは、第1の帯域として370nmから480nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として500nmから560nmの波長帯の蛍光を発光する緑色蛍光体であり、
    前記複数の波長変換用蛍光体の他の一つは、第1の帯域として370nmから480nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として590nmから700nmの波長帯の蛍光を発光する赤色蛍光体である、
    ことを特徴とする請求項5に記載の光学モジュール。
  9. 前記光源には少なくとも1つの近紫外LEDを含み、
    前記波長変換用蛍光体は、複数の波長変換用蛍光体を含み、
    前記複数の波長変換用蛍光体の一つは、第1の帯域として300nmから360nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として430nmから490nmの波長帯の蛍光を発光する青色蛍光体であり、
    前記複数の波長変換用蛍光体の一つは、第1の帯域として300nmから360nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として500nmから560nmの波長帯の蛍光を発光する緑色蛍光体であり、
    前記複数の波長変換用蛍光体の一つは、第1の帯域として370nmから480nmの波長帯の光で励起され、第2の帯域として590nmから700nmの波長帯の蛍光を発光する赤色蛍光体である、
    ことを特徴とする請求項5に記載の光学モジュール。
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