以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る回生ブレーキ装置を備えた車両駆動装置、および電動車両として、電動アシスト自転車を示している。この電動アシスト自転車は車体フレーム10を備え、この車体フレームは、車体前方に位置するヘッドパイプ11と、ヘッドパイプ11から下後方に延びたダウンパイプ12と、ダウンパイプ12の終端部近傍から上方に立上がるシートポスト14とを備えている。ヘッドパイプ11の上部にはハンドルポスト15を介してハンドル16が回動自在に挿通され、ヘッドパイプ11の下部にはハンドルポスト15に連結されたフロントフォーク18が支承されている。フロントフォーク18の下端には前輪FWが回転自在に軸支されている。
シートポスト14の下端部から後方側に左右一対のチェーンステー20が延出し、これらチェーンステー20の終端間には、後輪RWが軸支されている。シートポスト14の上部および両チェーンステー20の終端間には、左右一対のシートステー21が設けられる。シートポスト14には、シート22の高さを調整できるよう、上端にシート22を備えるシートパイプ24が摺動可能に装着される。
シートポスト14の下端部には、クランク軸26が回転自在に支承され、クランク軸26の左右両端にはクランク27を介してペダル28が軸支される。クランク軸26には第1スプロケット30が固定され、クランク軸26と一体に回転自在に支持されている。後輪RWの枢軸に後輪と一体に回転する第2スプロケット32が取付けられ、この第2スプロケット32と第1スプロケット30とにチェーン34が掛けられている。ペダル28、クランク27により第1スプロケット30を回転することにより、チェーン34を介して第2スプロケット32および後輪RWに人力駆動力を伝達することができる。
電動アシスト自転車は、電動駆動装置として、例えば、後輪RWのハブに内蔵されて後輪を駆動するモータ36と、このモータ36に電力を供給する電池38と、モータへの電力の供給を制御する後述の制御回路と、を備えている。また、例えば、ハンドル16に、電源をオン・オフ切り換えするための電源スイッチ17が設けられている。電池38は、シートポスト14の後部に装着される。電池38は収納ケースに収容され、バッテリブラケットを介してシートポスト14に脱着自在に取り付けられる。電池38は複数の電池セルを含み、長手方向が略上下方向となるようシートポスト14に沿って設置される。このような電動駆動装置により、モータ36を駆動源として後輪RWを駆動する。
電動アシスト自転車は、車輪に制動力を加えるブレーキ機構と、後述の回生ブレーキ装置とを備えている。図1および図2に示すように、ハンドル16の左右両端部には、ブレーキ操作量を発生するブレーキ操作部として、それぞれブレーキレバーが設けられている。通常の自転車と同様に、乗車した人に対して、ハンドル16の左端部に左側に後ブレーキレバー40Aが取りつけられ、ハンドル16の右端部に前ブレーキレバー40Bが取り付けられている。
前輪FWを制動する前輪ブレーキ機構は、フロントフォーク18に取付けられ、前輪FWのリムにブレーキシューを押し当てて制動するサイドブレーキ42を有している。このサイドブレーキ42は、ブレーキワイヤを介して前ブレーキレバー40Bに接続されている。前ブレーキレバー40Bをハンドル16のグリップ側に握り締める操作により、ブレーキワイヤを引っ張り、サイドブレーキ42を作動させる。
後輪RWを制動する後輪ブレーキ機構として、後輪RWの中心にドラム形のブレーキ44が設けられている。図3および図4に示すように、ドラム形のブレーキ44は円板状のブレーキドラム46を備え、このブレーキドラム46は、車体フレーム10に固定される後輪RWの枢軸Fの回りに、後輪RWと共に回転自在に設置されている。ブレーキドラム46は、枢軸Fと同軸的に位置する環状部46aを有している。ブレーキドラム46の内側には、環状部46aの内周面に摺接してブレーキドラム46の回転、すなわち、後輪RWの回転、を制動するブレーキシュー48が設置されている。ブレーキシュー48は、ハンドル16に設けられた後ブレーキレバー40Aの操作によって外側に移動され、環状部46aに押し付けられる。後ブレーキレバー40aのブレーキ操作量は、ブレーキ操作量伝達部として機能する後ブレーキワイヤ50を介してブレーキ44に伝達される。
ブレーキ44の外側は、ブレーキ保持部52が覆っている。また、ブレーキ保持部52は、前方へ延出したアーム部52aを有し、このアーム部52aは、車体フレーム10のチェーンステー20に固定されている。後ブレーキワイヤ50は、インナーワイヤ50aと、このインナーワイヤの周囲を覆うアウターチューブ50bを有し、インナーワイヤ50aはアウターチューブ内に移動自在に挿通されている。
図3に示すように、アーム部52aの前端部に固定部52bが形成され、この固定部52bに、アウターチューブ50bの後端が固定されている。後ブレーキワイヤ50のインナーワイヤ50aは、固定部52bから更に後方へ延出し、連結部材54に固定されている。連結部材54はブレーキシュー48を操作する延出バー(図示せず)に連結されている。固定部52bには、周知のように、後ブレーキワイヤ50の長さを調整する調整ネジ56、固定ナット58が設けられている。
図5に示すように、後ブレーキワイヤ50の他端は、後ブレーキレバー40Aに連結されている。前述したように、後ブレーキレバー40Aは、レバーブラケット60によってハンドル16のグリップ16aの近傍に回動可能に支持されている。レバーブラケット60にピボット軸61が設けられ、後ブレーキレバー40Aはこのピボット軸61の周りで回動自在に設けられる。後ブレーキワイヤ50のアウターチューブ50bの端部はレバーブラケット60に固定され、インナーワイヤ50aは、後ブレーキレバー40Aに連結されている。
このような構造により、後ブレーキレバー40Aをグリップ16a側に握り締める操作により、後ブレーキワイヤ50のインナーワイヤ50aを引っ張ると、連結部材54が変位して延出バーを動かし、ブレーキシュー48を働かせて、後輪RWを制動する。
上記構成の電動アシスト自転車は、ペダル28を踏むと、クランク27が第1スプロケット30を回転し、第1スプロケット30がチェーン34と第2スプロケット32を介して後輪RWを回転する。ペダル28をこいで後輪RWを駆動するとき、人力によるトルクを検出し電池38からモータ36に電力が供給され、補助的にモータ36が後輪RWを駆動する。電動アシスト自転車は、設定速度よりも遅い領域において、モータ36が後輪RWを駆動する回転トルクと、ペダル28が後輪RWを駆動する回転トルクとが同じになるようにモータ36の供給電力を制御している。自転車が設定速度に達すると、モータ36は後輪RWを駆動しなくなる。この時、モータ36が後輪RWを駆動する回転トルクと、ペダル28が後輪RWを駆動する回転トルクとの比が、自転車の速度、すなわち後輪RWの回転速度に応じて変動する構成としても良い。
図6は、電動駆動装置の制御系を示すブロック図である。電動駆動装置は、ペダル28の踏力が後輪RWを駆動するトルクを検出するトルクセンサ62と、電池38とモータ36との間に接続されて、電池38からモータ36に供給する電力を制御する制御回路64とを備える。また、制御回路64は、回生制動時、モータ36で発生した回生電力を電池38に供給し蓄電する。
次に、電動アシスト自転車に設けられた回生ブレーキ装置について詳細に説明する。
図1および図7に示すように、回生ブレーキ装置66は、例えば、クランク27の近傍で、車体フレーム10の下部に設けられ、後ブレーキレバー40Aと後ブレーキ機構、ここでは、ブレーキ44との間に設置されている。回生ブレーキ装置66は、ブレーキ操作力センサ68、ブレーキ操作反力発生装置70、これらを収容するケース71を有し、後ブレーキワイヤ50は、回生ブレーキ装置66を通って延びている。
ブレーキ操作力センサ68は、ブレーキ操作反力発生装置70よりも後ブレーキレバー40A側に配置され、後ブレーキワイヤ50のインナーワイヤ50aに発生している張力を検出する。ブレーキ操作力センサ68は、筐体67内に並んで設けられた複数、例えば、3つの滑車72と、真ん中の滑車に作用する圧力を検出する圧力センサ74と、を有している。そして、後ブレーキワイヤ50のアウターチューブ50bは、ケース71に固定され、インナーワイヤ50aは、ケース71および筐体67を貫通し、3つの滑車72に係合して延びている。
後ブレーキレバー40Aが操作され、インナーワイヤ50aが引かれると、ブレーキ操作力センサ68は、滑車72によりインナーワイヤ50aに発生している張力を圧力センサ74への圧力に変換する。ブレーキ操作力センサ68は、圧力センサ74によりこの圧力を検出して、ブレーキワイヤの張力を検出している。圧力センサ74の検出信号は、制御回路64に出力される。
ブレーキ操作反力発生装置70は、コア締結体76によりインナーワイヤ50aに固定された円柱形状のコア磁性体78と、コア磁性体を取り囲んで磁路を形成するように構成された円筒形状の外周磁性体80と、外周磁性体80に組み込まれた環状の磁石82と、を備えている。コア磁性体78は、インナーワイヤ50aと一体に、外周磁性体80内を移動可能に支持されている。磁石82は、コア磁性体78と外周磁性体80により形成された磁路に起磁力を与える。外周磁性体80内にはコイル84が設置され、コア磁性体78の周囲に位置している。コイル84は前述した制御回路64に接続され、コイル84には、モータ36から電池38に回生される直流電流が流れる。コア磁性体78、外周磁性体80およびコイル84は、モータ36からの回生電流によりブレーキ操作反力を発生しブレーキワイヤ50に印加する反力印加部を構成している。
このように構成された回生ブレーキ装置66において、後ブレーキレバー40Aが操作された場合、後ブレーキレバー40Aによりブレーキワイヤ50のインナーワイヤ50aが後ブレーキレバー40A側(図7において左側)に引かれる。インナーワイヤ50aによりコア磁性体78が左側に引かれ、外周磁性体80との間の対向面積が減少する。この際、磁石82によりコア磁性体78と外周磁性体80には磁束が発生しているので、この磁束によりコア磁性体78は、元の位置、すなわち、ブレーキ機構側(図面右側)に戻ろうとする力が発生し、インナーワイヤ50aをブレーキ操作方向と反対方向に引っ張る。これにより、インナーワイヤ50aに張力が発生する。なお、本実施形態では磁石による構成としたが、ブレーキ44をブレーキのかからない状態に戻すバネによってもインナーワイヤ50aはブレーキ操作方向と反対方向に引っ張られるので、磁石を用いなくても、後ブレーキレバー40Aの操作によりインナーワイヤ50aに張力が発生する。このため、磁石82を用いない回生ブレーキ装置66も有り得る。
この張力は、ブレーキ操作力センサ68の滑車72により圧力センサ74への圧力に変換され、圧力センサ74により検出される。圧力センサ74の検出信号は、制御回路64へ送られる。制御回路64は、ブレーキ操作力センサ68により張力の発生を検出すると、モータ36を発電機として使用し回生を開始する。このとき、制御回路64は、モータ36からの回生量を、ブレーキ操作力センサ68によって検出したブレーキワイヤ50の張力に応じて制御する。すなわち、インナーワイヤ50aの張力が大きいほど回生量を増加させる。モータ36による後輪RWの回生制動量は、回生量に応じて変化するため、インナーワイヤ50aの張力に応じて回生制動量をコントロールすることができる。
回生によりモータ36から発生し電池38に蓄電される回生電流は、ブレーキ操作反力発生装置70内のコイル84に流れる。このコイル84に流れる電流によりコア磁性体78および外周磁性体80に対して起磁力が発生し、増加した磁束によりコア磁性体78が後輪ブレーキ機構側へ引き戻される力が増加する。これにより、インナーワイヤ50aの張力が増加し、後ブレーキレバー40Aに作用する反力が増加する。操作者は、後ブレーキレバー40Aからの反力などから、必要以上の回生制動が発生していると感じた場合、後ブレーキレバー40Aに加えている力を緩めると、ブレーキワイヤ50の張力が小さくなり、回生制動力も小さくすることができる。これにより、回生制動量を適正にコントロールすることができる。
インナーワイヤ50aの張力は、後ブレーキレバー40Aに反力として伝わる。そのため、後ブレーキレバー40Aの操作者は、後ブレーキレバー40Aを握った際の反力によって、回生制動力の大きさを感じ取ることができる。
以上のように構成された回生ブレーキ装置66では、ブレーキワイヤ50のインナーワイヤ50aに作用する張力により回生制動力を制御するため、後ブレーキレバー40Aの操作量(ブレーキワイヤを移動させる量)は小さくても良い。したがって、ブレーキ機構の操作の遊びの範囲で十分な回生制動量のコントロールができる。この際、後ブレーキレバー40Aの操作者は、回生制動量を後ブレーキレバー40Aからブレーキ操作反力として感じることができるため、ブレーキレバーを握る力を変えることによって、回生制動量を思うように操作することができる。この時、回生制動量が十分であれば、ブレーキ44によっては制動されないため、制動エネルギーは有効に電池に充電される。
なお、ブレーキ44による制動量もブレーキワイヤ50の張力に応じてブレーキシュー48がブレーキドラム46に押し付けられることによって制御されるため、本実施形態の回生ブレーキは回生ブレーキを持たない通常のブレーキ機構と比較して違和感が少ない。
後ブレーキレバー40Aを離すとコア磁性体78は元の位置に戻るため、コア磁性体78と外周磁性体80との間に働いていた力は無くなる。このとき、回生電流がコイル84内にどれだけ流れていてもコア磁性体78と外周磁性体80との間に力は発生しない。そのため、インナーワイヤ50aの張力も無くなり、圧力センサ74の検出信号もなくなる。これにより、制御回路64は、モータ36から回生および電池38への蓄電を終了する。これは、電池38からモータ36への駆動電流がコイル84内を流れる場合も同様であるから、モータ36の駆動時にブレーキワイヤ50に張力が発生し、回生制動が不必要に発生するなどの事象も生じることが無い。
なお、後ブレーキレバー40Aの僅かな操作によっても回生制動が起こらないようにするためには、コア磁性体78の長さを外周磁性体80より長くすれば良い。このような構成では、コア磁性体78の端部が外周磁性体80の端部より内側へ移動するまでの間は、コア磁性体78と外周磁性体80との間に力が発生せず、回生ブレーキ装置66に操作の遊びを作ることができる。
モータ36の回転数が少なくなり回生量、すなわち回生制動量が小さくなった場合には、コイル84に流れる回生電流量が小さくなり、コア磁性体78が戻ろうとする力も小さくなる。したがって、制動させようと後ブレーキレバー40Aを握る力をかけ続けている場合には、インナーワイヤ50aがブレーキレバー側に引き出され、ブレーキ44のブレーキシュー48がブレーキドラム46に押し付けられる。ブレーキシュー48がブレーキドラム46に押し付けられると、ブレーキワイヤ50には張力が発生するため、後ブレーキレバー40Aを握る力は継続することになる。このように、上記回生ブレーキ装置66によれば、回生制動から通常のブレーキ機構(ブレーキ44)による制動への移行も違和感無く行うことができる。これは、電池38が満充電になり回生を終了させた場合も同じである。そして、仮に、回生制動が故障あるいは壊れた場合でも、通常のブレーキ機構により車輪の制動を行うことができ、高い安全性を維持することができる。
なお、回生制動から移行するブレーキ機構は、本実施の形態のように回生制動が働いていた車輪に動作させた方が違和感が少ない。そこで、モータ36により後輪RWを駆動する場合には、後輪RWのブレーキ機構と後ブレーキレバーとの間に本実施形態に係る回生ブレーキ装置66を設け、モータ36により前輪FWを駆動させる場合には、前輪のブレーキ機構と前ブレーキレバーとの間に回生ブレーキ装置を設けることが良い。
また、急制動時には、ブレーキレバーをブレーキ機構が作動するまで握ることになり、この時、ブレーキワイヤに張力も発生しているため、その張力が検出されることにより回生制動も行われる。これにより、ブレーキ機構と回生制動を同時に作動させることもできる。
以上のことから、回生制動量をブレーキ操作量に応じて適切にかつ容易に調整することが可能な電動車両の回生ブレーキ装置が得られる。
本実施形態では、ブレーキレバー操作時、磁石82によりコア磁性体78と外周磁性体80に磁束を発生させてブレーキワイヤに張力を作用させ、これを検知して回生を開始する構成としたが、これに限らず、ブレーキワイヤの移動によりONする回生スイッチにより、回生を開始する構成としても良い。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る回生ブレーキ装置について説明する。図8は、第2の実施形態に係る回生ブレーキ装置を示す断面図である。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
本実施形態によれば、回生ブレーキ装置66は、ブレーキレバーの操作量を油圧によってブレーキ機構に伝達する電動車両に適用したものである。回生ブレーキ装置66は、ブレーキ操作力センサ68およびブレーキ操作反力発生装置70を備えている。ブレーキ操作力センサ68は、直接、ブレーキ配管86内に配置された圧力センサ74を有し、ブレーキ配管86内の作動流体の圧力を検出する。
ブレーキ操作反力発生装置70は、円柱形状のコア磁性体78と、コア磁性体を取り囲んで磁路を形成するように構成された円筒形状の外周磁性体80と、外周磁性体80に組み込まれた環状の磁石82と、を備えている。コア磁性体78は、外周磁性体80内を移動可能に支持されている。磁石82は、コア磁性体78と外周磁性体80により形成された磁路に起磁力を与える。外周磁性体80内にはコイル84が設置され、コア磁性体78の周囲に位置している。コイル84は制御回路に接続され、コイル84には、モータから電池に回生される直流電流が流れる。
コア磁性体78の中心部にはガイドロッド88が挿通され、コア磁性体と一体に移動可能となっている。ガイドロッド88の一端部は、コア磁性体78から突出し、ブレーキ配管86の一部を貫通して延びている。ガイドロッド88の端部にはピストン90が固定され、このピストン90はブレーキ配管86内に摺動自在に配置されている。ピストン90は、ブレーキ配管86内を圧力に応じて移動し、このピストンと一体に、ガイドロッド88およびコア磁性体78が移動される。ピストン90およびガイドロッド88は、ブレーキ配管86内の油圧、すなわち、ブレーキレバーの操作量、をコア磁性体78に伝達する圧力伝達機構を構成している。
このような構成の回生ブレーキ装置66によれば、ブレーキ配管内の作動流体の操作量およびブレーキ操作力は、コア磁性体へ伝達されるため、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、第1の実施形態に係る回生ブレーキ装置は、主に自転車に適用され、第2の実施形態に係る回生ブレーキ装置は、主に自動二輪車に適用されると考えられるが、いずれの実施形態も自転車、自動二輪車のいずれに適用してもよく、更に、他の電動車両に適用してもよい。また、第1および第2の実施形態において、ブレーキ操作をブレーキレバーによって説明したが、ブレーキペダルを用いる構成としても良い。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る回生ブレーキ装置について説明する。図9は、第3の実施形態に係る回生ブレーキ装置を示す断面図である。なお、第3の実施形態において、第1の実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図9に示すように、回生ブレーキ装置66は、ブレーキ操作力センサ68およびブレーキ操作反力発生装置70を備え、ブレーキレバーとブレーキ機構との間に設置される。本実施形態では、ブレーキレバーの操作を、ブレーキワイヤ50によりブレーキ機構に伝達する場合について説明する。
ブレーキ操作力センサ68は、ブレーキ操作反力発生装置70よりブレーキレバー側に配置され、ブレーキワイヤ50に発生している張力を検出する。ブレーキ操作力センサ68は、ブレーキワイヤ50のアウターチューブ50bの中途部に埋め込まれた、例えば、環状の圧力センサ74を備えている。ブレーキ操作力センサ68は、ブレーキワイヤ50のインナーワイヤ50aに発生している張力の反力としてアウターチューブ50bに発生している圧力を圧力センサ74により検出して、インナーワイヤ50aの張力を検出する。制御回路は、ブレーキ操作力センサ68で検出したインナーワイヤ50aの張力に応じて、モータの回生量を制御する。
ブレーキ操作反力発生装置70は、ブレーキワイヤ50の中途部に接続されている。すなわち、ブレーキ操作反力発生装置70は、コア締結体76によりインナーワイヤ50aに固定された円筒状のコア磁石94と、コア磁石94の外側にブレーキワイヤ50の延出方向に並ぶように配置された第1コイル96aおよび第2コイル96bと、第1および第2コイルの外周側に配設された円筒状の外周磁性体80と、を備えている。外周磁性体80は、コア磁石94、第1、第2コイル96a、96bにより発生する磁束の戻り磁路を形成し、外部への磁束の漏洩を低減する。なお、第1、第2コイル96a、96bは、第1の実施形態および第2の実施形態のコイル84に相当する。
コア磁石94、第1、第2コイル96a、96bは、モータからコイルに送られる回生電流と磁石とにより磁石に発生する電磁力をブレーキ操作反力としてインナーワイヤ50aに印加する反力印加部を構成している。
インナーワイヤ50aは、ブレーキ操作反力発生装置70を貫通して延び、コア磁石94は、インナーワイヤ50aと一体的に、第1および第2コイル96a、96b内をその軸方向に沿って移動可能となっている。ブレーキワイヤ50のアウターチューブ50bは、ブレーキ操作反力発生装置70の外面に固定されている。
第1コイル96aおよび第2コイル96bには、モータから電池に回生される直流電流が流れる。図10に示すように、第1コイル96aおよび第2コイル96bは逆向きに捲回されている。コア磁石94の両端の異なる磁極から生じる磁束と、第1コイル96aおよび第2コイル96bを流れる電流とにより発生する電磁力が、いずれも同じブレーキレバー側となるように構成されている。これにより、第1コイル96aおよび第2コイル96に電流が流れると、コア磁石94には、第1コイル96aおよび第2コイル96bに発生する電磁力の反力として、ブレーキ機構側への電磁力が発生する。
本実施形態において、モータを駆動する電流が電池から第1および第2コイル96a、96bを通る構成とした場合、回生時と電流の方向が逆となる。そのため、回生時と同じ向きの磁束が第1および第2コイル96a、96bを通過している場合、コア磁石94はブレーキレバー側に電磁力を発生させ、乗車している人の意思に関わり無くブレーキ機構を作動させることとなり不都合となる。
そこで、ブレーキレバーを操作していない状態においては、コア磁石94が十分にブレーキ機構側に移動し、回生時に第2コイル96bを通る磁束を発生するコア磁石94の端が第1コイル96aと対向し、この端からの磁束が第1コイル96aを通るように配置する。このように構成することにより、モータを駆動している場合には、第1コイル96aに流れる電流と第1コイル96aを通る磁束のいずれもが回生時と反対方向となるため、第1コイル96aに発生する電磁力は、回生時と同一方向であるブレーキレバー側となる。このため、コア磁石94に発生する電磁力はブレーキ機構側となり、不要にブレーキ機構が動作することが無い。
なお、切り替えスイッチにより、電池からモータを駆動する電流が第1および第2コイル96a、96bを通らないように構成することもできる。
以上のように構成された回生ブレーキ装置66において、ブレーキレバーが操作された場合、ブレーキワイヤ50が引っ張られ、インナーワイヤ50aに固定されたコア磁石94がブレーキレバー側(図9〜図11中左側)に移動する。コア磁石94がブレーキレバー側に移動すると、図10に示す位置での第1コイル96aおよび第2コイル96bを通る磁束の大きさよりも、図11に示す位置での第1コイル96aおよび第2コイル96bを通る磁束の方が大きくなる。このことから分かるように、ブレーキレバーの操作量に応じてインナーワイヤ50aおよびブレーキレバーに作用する張力が増大する。この張力の増大により回生制動量も増大する。
回生制動量の増大は、回生直流電流量の増大となり、第1コイル96aおよび第2コイル96bに流れる電流が大きくなる。これにより、コア磁石94に作用する電磁力が増大し、ブレーキレバーに反力の増大として伝わる。
ブレーキレバーの操作量を少なくした場合には、コア磁石94は図11に示す位置から図10に示す位置の方向(ブレーキ機構方向)へ移動し、コア磁石94に発生する電磁力の減少、ブレーキワイヤ張力の減少、回生制動量の減少となる。
以上のように構成された第3の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、第3の実施形態に係る回生ブレーキ装置66によれば、ブレーキレバーの操作により回生制動量を操作することができ、その回生制動量をブレーキレバーの反力として伝えることができる。そのため、ブレーキレバーの操作者は、ブレーキレバーを握った際の反力によって、回生制動力の大きさを感じ取ることができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る回生ブレーキ装置について説明する。図12は、第2の実施形態に係る回生ブレーキ装置を含む電動駆動装置の制御系を示すブロック図である。なお、第4の実施形態において、第1の実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
電動アシスト自転車の電動駆動装置は、例えば、後輪RWのハブに内蔵されて後輪を駆動するモータ36と、このモータ36に電力を供給する電池38と、モータへの電力の供給を制御する後述の制御回路64と、を備えている。制御回路64は、回生制動時、モータ36で発生した回生電力を電池38に供給し蓄電する。電動駆動装置は、更に、ペダル28の踏力が後輪RWを駆動するトルクを検出するトルクセンサ62を備え、このトルクセンサ62は、検出信号を制御回路64へ入力する。
回生ブレーキ装置66は、ブレーキ操作力センサ68、およびブレーキ操作反力発生装置70を備えている。ブレーキ操作反力発生装置70は、ブレーキ操作力センサ68と後ブレーキ44との間に設けられ、後ブレーキワイヤ50は、回生ブレーキ装置66を通って延びている。ブレーキ操作力センサ68は、例えば、第1の実施形態と同様に構成されている。第4の実施形態では、ブレーキ操作反力発生装置70の構成が前述した実施形態と相違している。
図13、図14、図15に示すように、本実施形態に係るブレーキ操作反力発生装置70は、電動駆動装置からの回生量およびブレーキ操作量に応じたブレーキ操作反力を、1対の電磁石の反発力により生じさせてブレーキ操作量伝達部、例えば、ブレーキワイヤ50に加える。ブレーキ操作反力発生装置70は、一対の電磁石102および104と、これらの電磁石を移動可能に支持した一対の取付け板103a、103bと、を備えている。電磁石102は、円柱状のコア磁性体102a、コア磁性体102aを取り囲んで磁路を形成するように構成された円筒形状の外周磁性体102b、およびコア磁性体102aの周囲に捲回されたコイル102cを有している。同様に、電磁石104は、円柱状のコア磁性体104a、コア磁性体104aを取り囲んで磁路を形成するように構成された円筒形状の外周磁性体104b、およびコア磁性体104aの周囲に捲回されたコイル104cを有している。電磁石102、104のコイル102c、104cは、前述した制御回路64に接続され、これらのコイルには、モータ36から電池38に回生される直流電流が流れる。
一対の電磁石102、104は、互いに同軸的に、かつ、隙間を置いて向かい合って配置されている。電磁石102、104は、コイル102c、104cに回生電流が流れる際、コア磁性体102a、104aの互いに対向する側が同極となるように励磁される。
電磁石102は、外周磁性体102bから両側に、かつ、電磁石の軸と直交する方向に突出する一対の第1支持ピン106aと、外周磁性体102bから両側に、かつ、電磁石の軸と直交する方向に突出する一対の第2支持ピン106bと、を有している。第1支持ピン106aは、電磁石102の軸方向一端部、ここでは、他方の電磁石104から離れた端部に設けられ、第2支持ピン106bは、電磁石102の軸方向他端部、ここでは、他方の電磁石104と対向する端部に設けられ、第1支持ピン106aから電磁石102の軸方向に沿って離間して位置している。
電磁石104は、外周磁性体104bから両側に、かつ、電磁石の軸と直交する方向に突出する一対の第1支持ピン108aと、外周磁性体104bから両側に、かつ、電磁石の軸と直交する方向に突出する一対の第2支持ピン108bと、を有している。第1支持ピン108aは、電磁石104の軸方向一端部、ここでは、他方の電磁石102から離れた端部に設けられ、第2支持ピン108bは、電磁石104の軸方向他端部、ここでは、他方の電磁石102と対向する端部に設けられ、第1支持ピン108aから電磁石104の軸方向に沿って離間して位置している。
一対の取付け板103a、103bは、電磁石102、104の両側に配置され、互いに平行に、かつ、電磁石102、104の軸と平行に、設けられている。取付け板103a、103bには、細長い直線状の支持スリット110a、110bが形成され、電磁石102、104の軸と平行に延びている。
電磁石102から突出した第1支持ピン106a、第2支持ピン106bは、それぞれ向かい合う取付け板103a、103bの支持スリット110a、110bに挿通され、これにより、電磁石102は、支持スリット110a、110bに沿って移動可能に、取付け板103a、103bに支持されている。電磁石104から突出した第1支持ピン108a、第2支持ピン108bは、それぞれ向かい合う取付け板103a、103bの支持スリット110a、110bに挿通され、これにより、電磁石104は、支持スリット110a、110bに沿って移動可能に、取付け板103a、103bに支持されている。これにより、一対の電磁石102、104は、互いに接近する方向および離間する方向に移動可能となっている。
また、一対の電磁石102、104は、一対の第1支持アーム112a、112b、一対の第2支持アーム113a、113b、および一対の中央支持板114により支持されている。細長い板状の第1支持アーム112a、112bは、取付け板103a、103bの外側に設けられている。第1支持アーム112a、112bの一端は、枢軸116によって回動自在に支持され、第1支持アーム112a、112bの他端には、支持スリット117が形成されている。枢軸116は、電磁石102、104の軸とほぼ直交する方向に延びているとともに、電磁石102、104の間と中央部と対向して設けられている。電磁石102に突設された支持ピン106aは、取付け板103a、103bの支持スリット110a、110bをそれぞれ貫通し、第1支持アーム112a、112bの支持スリット117に挿通されている。一対の第1支持アーム112a、112bは、枢軸116と平行に延びる連結ロッド112cによって互いに連結されている。
細長い板状の第2支持アーム113a、113bは、取付け板103a、103bの外側にそれぞれ設けられている。第2支持アーム113a、113bの一端は、枢軸116によって回動自在に支持され、第2支持アーム113a、113bの他端には、支持スリット118が形成されている。電磁石104に突設された支持ピン108aは、取付け板103a、103bの支持スリット110a、110bをそれぞれ貫通し、第1支持アーム112a、112bの支持スリット117に挿通されている。一対の第2支持アーム113a、113bは、枢軸116と平行に延びる連結ロッド113cによって互いに連結されている。
細長い板状の中央支持板114a、114bは、取付け板103a、103bの外側に、取付け板とほぼ平行に設けられている。中央支持板114a、114bの一端は、枢軸116によって回動可能に支持され、他端部は、取付け板103a、103bと隣接対向している。各中央支持板114a、114bの他端部には、一対のガイドスリット120a、120bが形成されている。ガイドスリット120aは、支持スリット110aと平行に延びる第1部分と第1部分に対して垂直上方に延びる第2部分とを有している。ガイドスリット120bは、ガイドスリット120aと対称に形成され、支持スリット110aと平行に延びる第1部分と第1部分に対して垂直上方に延びる第2部分とを有している。ガイドスリット120a、120bは、電磁石102、104の軸方向に沿って、所定の間隔を置いて設けられている。また、ガイドスリット120a、120bの第1部分は、互いに離間する方向に延びている。各ガイドスリット120a、120bにおいて、第1部分と第2部分との移行部は、円弧状に形成されている。
電磁石102に突設された支持ピン106bは、取付け板103a、103bの支持スリット110a、110bをそれぞれ貫通し、中央支持板114a、114bのガイドスリット120aに挿通されている。また、電磁石104に突設された支持ピン108bは、取付け板103a、103bの支持スリット110a、110bをそれぞれ貫通し、中央支持板114a、114bのガイドスリット120bに挿通されている。
このようにして、一対の電磁石102、104は、第1支持アーム112a、112b、第2支持アーム113a、113b、および中央支持板114a、114bにより支持されている。そして、第1および第2支持アーム112a、112b、113a、113bが枢軸116の周りで回動することにより、一対の電磁石102、104は、軸方向に沿って互いに接近する接離する方向に移動される。
自転車のブレーキワイヤ50は、例えば、第1および第2支持アームの連結ロッド112c、113cに接続されている。ブレーキワイヤ50のアウターチューブ50bの一端が第1支持アームの連結ロッド112cに連結され、インナーワイヤ50aは、第1支持アームの連結ロッド112cを通り、第2支持アームの連結ロッド113cに連結されている。後ブレーキレバー40Aを作動させてブレーキワイヤ50のインナーワイヤ50aを引っ張ることにより、第1および第2支持アーム112a〜113bが枢軸116の周りで回動される。これにより、機械ブレーキ、ここでは、後ブレーキ44が作動するようになっている。
電磁石102、104からの磁界が漏洩しないように、磁気シールド124が電磁石102、104を覆うように設けられ、取付け板103a、103bに固定されている。
図16は、上記のように構成されたブレーキ操作反力発生装置70を後輪ブレーキ機構である、ドラム型のブレーキ44に組み付けた例を示している。ブレーキ44は円板状のブレーキドラム46を備え、このブレーキドラム46は、車体フレーム10に固定される後輪RWの枢軸Fの回りに、後輪RWと共に回転自在に設置されている。ブレーキドラム46の内側には、ブレーキドラム46の回転、すなわち、後輪RWの回転、を制動するブレーキシュー48が設置されている。ブレーキ44の外側は、ブレーキ保持部52が覆っている。また、ブレーキ保持部52は、前方へ延出したアーム部52aを有し、このアーム部52aは、車体フレーム10のチェーンステーに固定されている。
アーム部52aの前端部に固定部52bが形成され、この固定部52bに、アウターチューブ50bの後端が固定されている。後ブレーキワイヤ50のインナーワイヤ50aは、固定部52bから更に後方へ延出し、連結部材54に固定されている。連結部材54は枢軸54aの周りで回動自在に支持され、その一端は、ブレーキシュー48を操作する延出バー48aに連結されている。固定部52bには、周知のように、後ブレーキワイヤ50の長さを調整する調整ネジ56、固定ナット58が設けられている。固定部52bと連結部材54との間にコイルばね59が設けられ、このコイルばね59は、連結部材54および後ブレーキレバー40Aを初期値に戻す方向、すなわち、ブレーキワイヤ50を戻す方向に付勢している。
後ブレーキレバー40Aをグリップ16a側に握り締める操作により、後ブレーキワイヤ50のインナーワイヤ50aを引っ張ると、連結部材54が回動して延出バー48aを動かし、ブレーキシュー48を働かせて、後輪RWを制動する。
ブレーキ操作反力発生装置70の第1支持アーム112aは、ブレーキ44の固定部52bに固定され、また、第2支持アーム113aは、連結部材54に連結され、枢軸54aの周りで回動可能となっている。中央支持板114a、114bは枢軸54aに回動自在に支持される。これにより、ブレーキ操作反力発生装置70は、ブレーキ44に連結され、後輪ブレーキが操作されると、連結部材54と共に第2支持アーム113aが回動し、反力発生動作を行う。
次に上記のように構成された回生ブレーキ装置の動作について説明する。
図17は、ブレーキワイヤ引き量、すなわち、ブレーキレバーの操作量、に対する、ブレーキワイヤ反力(ブレーキワイヤ張力)、1対の電磁石102、104のコア磁性体102a、104a間の距離(コア間隔)、回生ブレーキ量(制動量)、機械ブレーキ量(制動量)の変化を示したものである。それぞれの値は分かり易いように単位を無次元化してある。
図18は、後ブレーキレバー40Aを操作していない状態を示したおり、後ブレーキ44に取り付けられたコイルばね59によりわずかなブレーキワイヤ反力が生じている。この後ブレーキ44に取り付けられたコイルばね59は、操作された第1、第2支持アーム112a、112b、113a、113bを、ブレーキが機能していない元の位置に戻すためのものである。
回生ブレーキ装置66において、ブレーキ操作反力発生装置70は、ブレーキ非動作状態では図13ないし図15に示す状態にある。後ブレーキレバー40Aが操作されると、後ブレーキレバー40Aによりブレーキワイヤ50のインナーワイヤ50aが後ブレーキレバー40A側(図7において左側)に引かれる。すると、図19、20、21に示すように、ブレーキ操作反力発生装置70の第1支持アーム112a112bおよび第2支持アーム113a、113bがブレーキワイヤ50に引かれ、枢軸116の周りで互いに接近する方向、つまり、内側に回動される。第1支持アーム112a、112bが回動することにより、電磁石102の支持ピン106aが第1支持アーム112a、112bによって内側に押さる。同時に、電磁石104の支持ピン108aが第2支持アーム113a、113bによって内側に押さる。これにより、電磁石102、104が互いに接近する方向に移動し、これらの間隔が減少する。
一方、ブレーキワイヤ50が引かれると、コイルばね59が圧縮され、ブレーキワイヤ50にブレーキレバー40Aの操作方向と反対方向の反力を作用させる。これにより、ブレーキワイヤ50に張力が発生する。この張力は、ブレーキ操作力センサ68により検出され、検出信号は、制御回路64へ送られる。制御回路64は、ブレーキ操作力センサ68により回生ブレーキ開始反力の発生を検出すると、モータ36を発電機として使用し回生を開始する。このとき、制御回路64は、モータ36からの回生量を、ブレーキ操作力センサ68によって検出したブレーキワイヤ50の張力(反力)に応じて制御する。すなわち、インナーワイヤ50aの張力が大きいほど回生量を増加させる。モータ36による後輪RWの回生制動量は、回生量に応じて変化するため、インナーワイヤ50aの張力に応じて回生制動量をコントロールすることができる。
回生によりモータ36から発生し電池38に蓄電される回生電流は、ブレーキ操作反力発生装置70内のコイル102c、104cに流れる。この際、前述したように、電磁石102、104は、102a、104aの対向する側が同極となるように励磁される。このため、回生状態では、電磁石102、104は互いに反発するように電磁力が働く。従って、後ブレーキレバー40Aが操作され、第1支持アーム112a、112bおよび第2支持アーム113a、113bによって電磁石102、104が互い接近する方向に移動すると、電磁石102、104間の反発力が増加する。この反発力は、支持ピン106a、108a、支持スリット110a、110b、第1および第2支持アーム112a、112b、113a、113bを介してブレーキワイヤ50に伝わるため、ブレーキワイヤ反力に電磁石102、104の反発力が重畳される。
これにより、インナーワイヤ50aの張力が増加し、後ブレーキレバー40Aに作用する反力が増加する。操作者は、後ブレーキレバー40Aからの反力などから、必要以上の回生制動が発生していると感じた場合、後ブレーキレバー40Aに加えている力を緩めると、ブレーキワイヤ50の張力が小さくなり、回生制動力も小さくすることができる。これにより、回生制動量を適正にコントロールすることができる。インナーワイヤ50aの張力は、後ブレーキレバー40Aに反力として伝わる。そのため、後ブレーキレバー40Aの操作者は、後ブレーキレバー40Aを握った際の反力によって、回生制動力の大きさを感じ取ることができる。
なお、駆動電流が電磁石102、104のコイル102c、104cを流れる場合であっても、電磁石102、104は同極が対向するため、反発力を生じる。このため、機械ブレーキがブレーキ操作反力発生装置70により不要に作動することがない。
このように一対の電磁石102、104は、モータ36からの回生電流によりブレーキ操作反力を発生し、ブレーキワイヤ50に印加する反力印加部を構成している。
後ブレーキレバー40Aの操作量を増やすと、インナーワイヤ50aが引かれて第1および第2支持アーム112a、112b、113a、113bが更に中央支持板114a、114b側に回動する。これにより、電磁石102、104の支持ピン106a、106b、108a、108bが支持スリット110a、110b内および中央支持板114a、114bに設けられたガイドスリット120a、120bに沿って移動し、電磁石102、104が更に、互いに接近する方向に移動する。従って、コア磁性体102a、104aの間隔が一層狭くなり、電磁力の反発力が大きくなる。このように、図17に示すように、後ブレーキ44の遊びの範囲において、後ブレーキレバー40Aの操作量を増やすと、ブレーキワイヤ反力も大きくなるため、回生ブレーキ量を増加することができる。
後ブレーキレバー40Aの操作量がさらに増え、回生ブレーキ量が、モータ36の定格や制御回路64に設けられたモータ駆動のインバータ回路の定格により定められた回生ブレーキ量最大値に達した場合、それ以降ブレーキワイヤ反力が増加しても回生ブレーキ量は、回生ブレーキ量最大値に制御される。
図19〜図21は、ブレーキ操作反力発生装置70がほぼ回生ブレーキ量最大値に操作された状態を示している。電磁石102、104の支持ピン106b、108bが図13〜図15に示すブレーキ非動作状態から、図19〜図21に示す状態まで移動する間の各ガイドスリット120a、120bの側縁部は、軸を中心とする円弧に近い形状となっている。そのため、図17に示すように、電磁石102、104のコア磁性体間隔は、インナーワイヤ50aの引き量の変化に対して大きく変化する。そのため、ブレーキワイヤ反力(電磁石の反発力)が後ブレーキレバー40Aの操作に対して大きく変化し、回生ブレーキ量を大きく変化させることができる。
図19〜図21に示す位置から、さらに後ブレーキレバー40Aを操作した場合、図21、22、23に示すように、第1および第2支持アーム112a、112b、113a、113bは、中央支持板114a、114b側に更に回転する。この際、ガイドスリット102a、102bは、支持ピン106b、108bの位置からさらに電磁石102、104同士が近づく方向に設けられていない。そのため、第1および第2支持アーム112a、112b、113a、113bに設けられた支持スリット117、118に挿通された支持ピン106a、108aが、支持スリット117、118に沿って支持アームの先端側、つまり、枢軸116から離れる方向、へ移動しようとする。中央支持板114a、114bに形成されたガイドスリット120a、120bも、枢軸116から離れる方向に延出している。そのため、ガイドスリット120a、120bに挿通された電磁石102、104の支持ピン106b、108bもガイドスリット120a、120bに沿って枢軸116から離間する方向に移動する。これにより、一対の電磁石102、104は、取付け板103a、103bを伴って、外周方向、つまり、枢軸116から離れる方向に移動する。
この際、一対の電磁石102、104のコア磁性体間隔は、ガイドスリット120a、120b間の間隔よりも小さくならないように制限されている。そのため、図17に示すように、コア磁性体間隔ほとんど変化せず、この操作領域では、後ブレーキレバー40Aの操作量を増やしても、ブレーキワイヤ反力はほとんど増加しない。
後ブレーキレバー40Aを更に操作すると、後ブレーキ44の遊び部分が終了し、機械ブレーキが機能する。機械ブレーキ量は、ブレーキパッドなどを押し付ける力により変化させているので、押し付ける力(ブレーキワイヤ張力)がブレーキワイヤ反力として重畳される。
本実施形態では、電磁石102、104が近づくほど反発力が大きくなり、図19〜21に示す状態において、コア磁性体間隔が十分に小さいため、発生する電磁力も大きい。そのため、電磁石102、104を小さく設計した場合でも、十分な回生ブレーキ量を得ることが可能となる。
本実施形態において、図18は、電池38が満充電状態で、回生ブレーキを機能させられない場合の、インナーワイヤ引き量の変化に対するコア磁性体間隔、ブレーキワイヤ反力、機械ブレーキ量(制動量)の変化を示している。この場合、回生ブレーキによるブレーキワイヤ反力が生じていないため、スムーズに機械ブレーキを操作できていることが分かる。
また、図22〜図24は、機械ブレーキを最大に操作させているときのブレーキ操作反力発生装置70の状態を示している。これらの図から分かるように、機械ブレーキが最大に機能するように第1および第2支持アーム112a、112b、113a、113bを回動した場合でも、電磁石102、104のコア磁性体102a、104aは互いに接触せず、第1および第2支持アームの回転を阻害していないことが分かる。
支持ピン106b、108bが、図20の状態から図23の状態までの間で移動するガイドスリット120a、120bの支持アーム側の側縁(図20、23に傾斜側縁として図示する)は、枢軸116からの放射方向に対して、内側(枢軸側)ほど第1および第2支持アームに近づくように形成されている。このため、回生ブレーキが作動している状態では、電磁石102、104の反発力により、支持ピン106b、108bが第1および第2支持アーム側に押され、ガイドスリット120a、120bの傾斜側縁により、電磁石102、104を枢軸116側へ移動させる力となる。この力は、第1および第2支持アーム112a、112b、113a、113bの支持スリット117、118内で支持ピン106a、108aが枢軸116側へ移動する力となり、その結果、中央支持板114a、114bに対して第1および第2支持アームを押し広げる力となる。したがって、第1および第2支持アーム112a、112b、113a、113bへ伝わった力がブレーキワイヤ50の反力に重畳される。
これに対して、ガイドスリット120a、120bが枢軸116と平行になっている場合には、ガイドスリットにより支持ピン106b、108bが内側に移動する力に変換されないため、電磁石の反発力をブレーキワイヤ反力にスムーズに変換することが難しい。
以上のように、第4の実施形態によれば、図17に示す特性を有する回生ブレーキ装置が得られ、回生ブレーキ、機械ブレーキがブレーキの操作感覚を損なうことなく併用して操作することができる。
第4の実施形態において、ブレーキ操作反力発生装置70は、アシスト自転車の後ブレーキ44に組み込む構成としたが、これに限らず、図25に示すように、キャリパーブレーキ(サイドプル型)と組み合わせてもよく、あるいは、図26に示すように、キャリパーブレーキ(センタプル型)と組み合わせてもよい。キャリパーブレーキ(センタプル型)は、枢軸を2つ有しているが、この場合は、ブレーキ操作反力発生装置70の中央支持板114a、114bを、2つの枢軸に固定すればよい。これによって、各支持アームと中央支持板の回転動作は、枢軸が1つの場合と同じになる。前述した第4の実施形態の作用を見れば明らかなように、中央支持板114a、114bと支持アームとの回転位置関係により、ブレーキ操作反力発生装置の作用が生じるので、枢軸が2つとなっても第4の実施形態と同じ作用となる。この場合、第1および第2支持アーム112a、112b、113a、113bは、ブレーキアームに連結されるか、あるいは、ブレーキアームの延長部としてブレーキアームと一体に形成される。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係る回生ブレーキ装置について説明する。図27は、第5の実施形態に係る回生ブレーキ装置を示す断面図である。なお、第5の実施形態において、第4の実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
本実施形態によれば、回生ブレーキ装置66は、ブレーキペダル130の操作量を油圧によってブレーキ機構に伝達する電動車両に適用したものである。回生ブレーキ装置66は、ブレーキ操作力センサ68およびブレーキ操作反力発生装置70を備えている。ブレーキ操作力センサ68は、直接、ブレーキ配管86内に配置された圧力センサ74を有し、ブレーキ配管86内の作動流体の圧力を検出する。
ブレーキ操作反力発生装置70は、第4の実施形態と同様に、一対の電磁石、第1および第2支持アーム112a、112b、113a、113b、取付け板103a、103b、中央支持板114a、114bを備え、第1および第2支持アーム、中央支持板は、枢軸116に回動自在に支持されている。各電磁石はコイルを有し、このコイルは制御回路に接続され、コイルには、モータから電池に回生される直流電流が流れる。
第1および第2支持アーム112a、113aには、ブレーキワイヤ50が連結されている。ブレーキワイヤ50のインナーワイヤ50aは、ブレーキ配管86の一部を貫通して延びている。インナーワイヤ50aの端部にはピストン132が固定され、このピストン132はブレーキ配管86内に摺動自在に配置されている。ピストン132は、ブレーキ配管86内を圧力に応じて移動し、このピストンと一体に、インナーワイヤ50aが移動される。ピストン132およびインナーワイヤ50aは、ブレーキ配管86内の油圧、すなわち、ブレーキペダル130の操作量、をブレーキ操作反力発生装置70に伝達する圧力伝達機構を構成している。
このような構成の回生ブレーキ装置66によれば、ブレーキ配管内の作動流体の操作量およびブレーキ操作力は、ブレーキ操作反力発生装置70に伝達され、ブレーキ操作反力発生装置は、ブレーキ操作力に応じた反力を発生し、ブレーキペダルに伝達する。これにより、前述した第4の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
第1および第4の実施形態に係る回生ブレーキ装置は、主に自転車に適用され、第2および第5の実施形態に係る回生ブレーキ装置は、主に自動二輪車、電気自動車に適用されると考えられるが、いずれの実施形態も自転車、自動二輪車、電気自動車のいずれに適用してもよく、更に、電動駆動される車輪を有する他の車両駆動装置、および電動車両に適用してもよい。また、第1および第2の実施形態において、ブレーキ操作をブレーキレバーによって説明したが、ブレーキペダルを用いる構成としても良い。
ブレーキ操作力センサは、上述した実施形態に限らず、ブレーキワイヤの張力、あるいは、ブレーキ油圧を検出できるものであれば、他の構成としてもよい。また、ブレーキ操作反力発生装置は、回生量およびブレーキワイヤ(あるいは作動流体)の移動に応じてブレーキワイヤへ張力を加える構成、あるいは、作動流体に圧力を加える構成であればく、上述した実施形態に限らず、この発明の範囲内で種々変更可能である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
車輪に制動力を加えるブレーキ機構と、
ブレーキ操作量を発生するブレーキ操作部と、
前記ブレーキ操作部から前記ブレーキ機構へブレーキ操作量を伝達するブレーキ操作量伝達部と、
前記ブレーキ操作量伝達部のブレーキ操作力を検出するブレーキ操作力センサと、
前記車輪に駆動力を加えるとともに、前記ブレーキ操作部の操作時、前記ブレーキ操作力センサで検出したブレーキ操作力に応じた回生制動力を車輪に加える駆動装置と、
前記駆動装置からの回生電力を受け取る蓄電装置と、
前記駆動装置からの回生量に応じたブレーキ操作反力を前記ブレーキ操作量伝達部に加えるブレーキ操作反力発生装置と、
を備えることを特徴とする回生ブレーキ装置。
[2]
前記ブレーキ操作量伝達部は、前記ブレーキ操作部とブレーキ機構との間を延びるブレーキワイヤを有し、前記ブレーキ操作力は前記ブレーキワイヤの張力であることを特徴とする[1]に記載の回生ブレーキ装置。
[3]
前記ブレーキ操作量伝達部は、前記ブレーキ操作部とブレーキ機構との間を延びるブレーキ配管と、このブレーキ配管内に充填された作動流体と、を有し、前記ブレーキ操作力は、前記ブレーキ配管内の作動流体の圧力であることを特徴とする[1]に記載の回生ブレーキ装置。
[4]
前記ブレーキ操作反力発生装置は、前記駆動装置からの回生電流により前記ブレーキ操作反力を発生し前記ブレーキ操作量伝達部に印加する反力印加部を備えていることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の回生ブレーキ装置。
[5]
前記駆動装置は、車輪にアシスト力を加えるモータを備えていることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれか1に記載の回生ブレーキ装置。
[6]
車輪に制動力を加えるブレーキ機構と、
ブレーキ操作量を発生するブレーキ操作部と、
前記ブレーキ操作部から前記ブレーキ機構へブレーキ操作量を伝達するブレーキ操作量伝達部と、
前記ブレーキ操作量伝達部のブレーキ操作力を検出するブレーキ操作力センサと、
前記車輪に駆動力を加えるとともに、前記ブレーキ操作部の操作時、前記ブレーキ操作力センサで検出したブレーキ操作力に応じた回生制動力を車輪に加える駆動装置と、
前記駆動装置からの回生電力を受け取る蓄電装置と、
前記駆動装置からの回生量およびブレーキ操作量に応じたブレーキ操作反力をブレーキ伝達部に加えるブレーキ操作反力発生装置と、
を具備することを特徴とする回生ブレーキ装置。
[7]
前記ブレーキ伝達部は、前記ブレーキ操作部とブレーキ機構とを繋ぐインナーケーブル、およびこのインナーケーブルの覆うアウターチューブを有するブレーキワイヤを備え、前記ブレーキ操作力センサは、前記インナーケーブルの張力の反力として前記アウターチューブに発生する圧力を前記ブレーキ操作力として検出する圧力センサを備えていることを特徴とする[6]に記載の回生ブレーキ装置。
[8]
前記ブレーキ操作反力発生装置は、前記駆動装置からの回生電流と前記インナーワイヤに固定された磁石とによって前記磁石に生じる電磁力により前記ブレーキ操作反力を発生する反力印加部を備えていることを特徴とする[7]に記載の回生ブレーキ装置。
[9]
前記ブレーキ操作反力発生装置は、前記ブレーキ操作部を操作していないときに、前記駆動装置が車輪を駆動する電流と前記磁石に発生する電磁力とが、回生時のブレーキ操作反力と同じ方向となるように構成されていることを特徴とする[8]に記載の回生ブレーキ装置。
[10]
前記ブレーキ操作反力発生装置は、前記磁石の周囲に設けられ、前記磁石からの磁束の戻り磁路を形成する磁性体を備えていることを特徴とする[8]又は[9]に記載の回生ブレーキ装置。
[11]
モータと、
前記モータの回転が伝達される車輪と、
前記車輪に制動力を加えるブレーキ機構と、
ブレーキ操作量を発生するブレーキ操作部と、
前記ブレーキ操作部から前記ブレーキ機構へブレーキ操作量を伝達するブレーキ操作量伝達部と、
前記ブレーキ操作量伝達部のブレーキ操作力を検出するブレーキ操作力センサと、
前記車輪に駆動力を加えるとともに、前記ブレーキ操作部の操作時、前記ブレーキ操作力センサで検出したブレーキ操作力に応じた回生制動力を車輪に加える駆動装置と、
前記駆動装置からの回生電力を受け取る蓄電装置と、
前記駆動装置からの回生量に応じたブレーキ操作反力を前記ブレーキ操作量伝達部に加えるブレーキ操作反力発生装置と、
を備えることを特徴とする車両。
[12]
モータと、
前記モータの回転が伝達される車輪と、
前記車輪に制動力を加えるブレーキ機構と、
ブレーキ操作量を発生するブレーキ操作部と、
前記ブレーキ操作部から前記ブレーキ機構へブレーキ操作量を伝達するブレーキ操作量伝達部と、
前記ブレーキ伝達部のブレーキ操作力を検出するブレーキ操作力センサと、
前記ブレーキ操作力センサで検出したブレーキ操作力に応じた回生制動力を車輪に加える駆動装置と、
前記駆動装置からの回生電力を受け取る蓄電装置と、
前記駆動装置からの回生量およびブレーキ操作量に応じたブレーキ操作反力を1対の電磁石の反発力により生じさせ前記ブレーキ操作量伝達部に加えるブレーキ操作反力発生装置と、
を備えることを特徴とする車両。
[13]
前記一対の電磁石は、それぞれコアと、コアに捲回され前記回生電力が供給されるコイルとを有し、互いに同軸的に、かつ、隙間を置いて向かい合って配置され、
前記電磁石は、回生電流が流れる際、コアの互いに対向する側が同極となるように励磁され、
前記ブレーキ操作反力発生装置は、前記一対の電磁石を互いに接近および離間する方向に移動可能に支持する取付け部材と、前記電磁石と前記ブレーキ操作量伝達部とそれぞれ接続され、前記ブレーキ操作量に応じて前記一対の電磁石を互いに接近する方向に移動する第1および第2支持アームと、を備えている[12]に記載の車両。
[14]
前記一対の電磁石は、第1および第2支持ピンをそれぞれ有し、前記取付け板は、前記一対の電磁石の第1および第2支持ピンが挿通された支持スリットを有し、
前記第1支持アームは、一方の電磁石の第1支持ピンが挿通された支持スリットを有し、前記第2支持アームは、他方の電磁石の第1支持ピンが挿通された支持スリットを有し、第1および第2支持アームは共通の枢軸に回動自在に支持されている[13]に記載の車両。
[15]
前記ブレーキ操作反力発生装置は、前記一対の電磁石の第2支持ピンを支持するとともに、前記一対の電磁石が所定の間隔に接近した際、前記電磁石を前記所定間隔に保持するする中央支持部材を備え、
前記中央支持部材は、前記電磁石の第2支持ピンがそれぞれ挿通された一対のガイドスリットを有し、各ガイドスリットは、前記取付け部材の支持スリットと平行に延びる第1部分と第1部分に対してほぼ垂直に延びる第2部分とを有し、一対のガイドスリットは、前記電磁石の軸方向に沿って、前記所定の間隔を置いて設けられ、
前記一対のガイドスリットの第1部分は、互いに離間する方向に延び、各ガイドスリットにおいて、第1部分と第2部分との移行部は、円弧状に形成されている[14]に記載の車両。