JP5950740B2 - 核酸増幅分析装置及び核酸増幅分析方法 - Google Patents

核酸増幅分析装置及び核酸増幅分析方法 Download PDF

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本発明は、試料に含まれる核酸を増幅する反応をモニタリングする核酸増幅分析装置及び核酸増幅分析方法。
遺伝子検査の方法として微量の標的遺伝子を増幅して検出する核酸増幅技術が利用されている。遺伝子検査の最も一般的な例としてPCR (Polymerase Chain Reaction)法がある。一般的なPCR法は、熱変性、アニーリング及び伸長の3つのステップを1サイクルとし、各ステップを所定の温度とするように温度変化させることで、鋳型となるDNAを2倍に増幅する。詳細には、熱変性のステップでは鋳型となる二本鎖DNAが一本鎖となり、アニーリングのステップでは鋳型となるDNAの一部に相補的な配列を持つプライマーが鋳型となるDNAに結合する。続く伸長のステップでは、DNA合成酵素の働きによりアニーリングしたプライマーから相補鎖が合成される。このサイクルを繰り返すことによって、鋳型DNAに含まれる標的領域が指数関数的に増幅する。
リアルタイムPCR法とは、PCRを行う際に蛍光色素が付加されたプローブなどを用いることで、蛍光強度を測定することによりDNAの増幅を検出する方法である。蛍光強度の検出は、一定時間毎に行うことを基本とするため、X軸にサイクル数、Y軸に蛍光強度をプロットすると不連続な散布図が得られる。
ここで、リアルタイムPCR法における増幅の判定は、蛍光強度が所定の閾値を超えたサイクル(Threshold Cycle Value; Ct値)を算出することによって行う。特に、定量検査においては、既知濃度の標準液についてCt値を算出し、Ct値とDNA濃度との関係を示す検量線を作成する。そして、未知濃度サンプルについてCt値を計算し、検量線に基づいてサンプル中の核酸濃度を定量する。したがって、未知濃度サンプルについてCt値を正確に算出することが、正確な定量には重要である。すなわち、Ct値はできるだけ精密かつ正確であり、各測定値から近似式を算出して演算処理を行う必要がある。これまでにシグモイド曲線の近似式を利用してCt値を算出する方法が提案されている(特許文献1)。
ところで、遺伝子検査に利用できる核酸増幅法としては、温度を一定に保ちながら、標的DNAまたは標的RNAを増幅させる恒温増幅法がある。恒温増幅法としては、例えば、NASBA(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification)法(非特許文献1)、TMA(transcription-mediated amplification)法(非特許文献2)、TRC(Transcription-reverse transcription concerted)法(特許文献2)、LAMP(loop-mediated isothermal amplification)法(特許文献3)、SMAP( Smart Amplification)法(非特許文献3)などが主な方法として知られている。恒温増幅法における増幅は、リアルタイムPCRと同様に、増幅反応中に一定間隔で蛍光強度または濁度測定することによって検出できる。検出には標的核酸に結合するプライマーや特異的配列を有する蛍光色素、DNAに直接インターカレートする蛍光色素などを添加し、蛍光検出するものが一般的であるが、LAMP法のように核酸増幅に伴い生成される副産物を濁度または蛍光で検出するものもある(特許文献4)。増幅検出の判定はリアルタイムPCRと同様に、定められた閾値を超えたことによって算出し、Ct値の代わりに閾値を越えた時間を算出する。ここでも一定間隔で得られる測定値は、不連続なプロットとなるが、各測定値から近似式を算出すれば、閾値越えの時間を正確に算出することができる。
特開2007-267730 特開2002-327130 特開2002-330796 特開2004-283161
Compton.J. Et Al. Nature,350,91〜(1991) Takakura S et. al. J Clin Microbiol. pp.5435-9 (2005) Mitani.Y. Et Al. Nature Methods, pp.257-262. (2007)
上述したように遺伝子検査等に利用される核酸増幅法には、正確に核酸増幅反応をモニターすることができないといった問題があった。例えば、反応溶液に核酸増幅反応を阻害する物質が含まれている場合、特許文献1で示す方法でCt値を算出できたとしても増幅阻害物質の影響で増幅の立ち上がりが遅れ、見掛け上、定量値を少なく演算してしまうという問題があった。また、例えば、鋳型となる核酸が低濃度である場合、核酸増幅反応が遅れるため、増幅した核酸が検出可能となる前に測定を終了してしまう場合がある。この場合、特許文献1で示す方法では、近似式に使用するパラメータを決定できず、Ct値を算出できないという問題があった。
そこで、本発明は、遺伝子検査等に利用される核酸増幅法において、正確に核酸増幅反応をモニターすることで、核酸増幅反応の良否を正確に判定し、また、Ct値といった核酸増幅反応の進捗を示す値を正確に算出する核酸増幅分析装置及び核酸増幅分析方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、既定量の核酸を含む標準液に関する核酸増幅曲線を利用することで、未知試料を用いたときの核酸増幅反応の良否を判定することができ、また、Ct値といった核酸増幅反応の進捗を示す値を正確に算出できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る核酸増幅分析装置及び分析方法は、既定濃度の鋳型核酸を含む標準液について作製した、増幅産物に基づく測定値を一方の軸とし、核酸増幅反応の進捗を示す値を他方の軸とした2次元平面上の増幅曲線と、標的となるサンプルについて作製した増幅曲線とを一点が重なるように上記他方の軸方向にシフトさせ、これら増幅曲線を比較することで上記標的となるサンプルにおける核酸増幅反応の良否を判定する。
また、本発明に係る核酸増幅分析装置及び分析方法は、既定濃度の鋳型核酸を含む標準液について作製した、増幅産物に基づく測定値を一方の軸とし、核酸増幅反応の進捗を示す値を他方の軸とした2次元平面上の増幅曲線を、標的となるサンプルについて測定した増幅産物に基づく複数の測定値のうち所定の測定値と重なるように上記他方の軸方向にシフトさせ、シフトした増幅曲線を標的となるサンプルの増幅曲線とする。
本発明によれば、核酸増幅反応を正確にモニタリングすることができ、核酸増幅反応の良否を判定することができ、また、核酸増幅反応の進捗を示す値を正確に算出することができる核酸増幅分析装置及び核酸増幅分析方法を提供することができる。本発明を適用することで、例えば、遺伝子検査等の検査制度を大幅に向上させることができる。
遺伝子検査装置の増幅良否の判定を実施するソフトウェア演算のフローチャートである。 一般的な標準液および未知試料の測定値をプロットした特性図である。 一般的な標準液および未知試料の測定値に関してベースラインを補正した後の特性図である。 一般的な標準液および未知試料の増幅曲線のグラフである。 標準液の増幅曲線の近似式をX軸方向にシフトさせる方法を示したフローチャートである。 一般的な標準液の増幅曲線と未知試料の増幅曲線を重ね合わせたグラフである。 未知試料のフィッティング不能となるようなプロットの一例を示す特性図である。 標準液の増幅曲線および未知試料の測定値をプロットした特性図である。 標準液の増幅曲線を未知試料のプロットにフィットさせたグラフである。
以下、本発明に係る核酸増幅分析装置及び核酸増幅分析方法を図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下では、リアルタイムPCR法における増幅曲線において、シグモイド曲線の近似式を算出し、近似式からCt値を計算する方法について説明するが、本発明の技術的範囲はこの具体例に限定されない。
すなわち、本発明は、核酸増幅方法としてPCR法に限定されず、例えば、NASBA(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification)法、TMA(transcription-mediated amplification)法、TRC(Transcription-reverse transcription concerted)法、LAMP(loop-mediated isothermal amplification)法及びSMAP(Smart Amplification)法といった恒温核酸増幅方法に適用することもできる。
なお、PCR法等の温度サイクルを含む核酸増幅方法においては、増幅産物の一定量を閾値とし、当該閾値となるサイクル数をCt値として定義している。上述したような恒温核酸増幅方法では、増幅産物の一定量を閾値とし、当該閾値となる反応時間をこのCt値に対応する概念として定義することができる。したがって、本発明において、「核酸増幅反応の進捗を示す値」とは、増幅産物の一定量を閾値とし、当該閾値となるサイクル数又は反応時間を意味する。
また、本発明において、核酸増幅方法における増幅産物を検出する手段としては特に限定されず、従来公知の検出原理を利用することができる。増幅した核酸を検出するには、いわゆる蛍光検出方法を利用することができる。また、反応液の濁度変化、散乱光強度の変化に基づいて増幅した核酸を検出しても良い。ここで、蛍光検出方法としては、インターカレーターを用いる方法と蛍光標識プローブを用いる方法とを挙げることができる。インターカレーター法は、一般的にSYBR Green Iを使用し、核酸増幅反応によって合成された二本鎖DNAに結合し、励起光の照射により生じる蛍光の強度を測定することにより、増幅産物の生成量をモニターする方法である。一方、蛍光標識プローブとしては、5'末端を蛍光物質で、3'末端をクエンチャー物質で修飾したTaqMan プローブを用いる方法、5'末端を蛍光物質で、3'末端をクエンチャー物質で修飾した、ステムループ構造をとりうるMolecular Beaconを用いる方法、及びRNAとDNAからなるキメラオリゴヌクレオチドで、片方の末端が蛍光物質で、もう一方の末端がクエンチャー物質で修飾されているサイクリングプローブを用いる方法を挙げることができる。
以上のように、如何なる核酸増幅方法であっても、所定の間隔で核酸増幅反応による増幅産物を検出することによって、一方の軸を増幅産物の検出値(蛍光強度、濁度又は散乱光強度等)とし、他方の軸を増幅反応の進捗を示す値(サイクル数又は反応時間)とした2次元のグラフとすることができる。得られた測定値は、近似式として5つのパラメータを有するシグモイド関数を当てはめシグモイド曲線に近似することができる。ここで、得られた測定値をシグモイド関数に当てはめ、1つ又は複数のものを反復的に施行することによって最適なパラメータを決定する。なお、これ以降、1つ又は複数のものを反復的に施行することをフィッティングと表現する。
本発明に係る核酸増幅分析装置及び核酸増幅分析方法は、鋳型となる核酸を既知濃度で含む標準液について作製したシグモイド曲線を利用する。ここで、鋳型となる核酸を高濃度で含む高濃度サンプルについてシグモイド曲線を作製すると、低濃度サンプルについて作製したシグモイド曲線と比較して早く立ち上がるが、その増幅曲線は測定項目毎に同様の形状となるという特徴を有する。
本発明を適用した核酸増幅分析方法のフローチャートを図1に示した。なお、図1に示したフローチャートでは、標準液について作製したシグモイド曲線を用いて未知試料における核酸増幅反応の良否判定を実行する方法と、未知試料についてシグモイド曲線を作製できない場合にCt値を算出する方法とを併せて記載している。しかし、これら2つの方法は、それぞれ独立して実施できることは明らかである。すなわち、本発明に係る核酸増幅分析装置及び核酸増幅分析方法は、標準液について作製したシグモイド曲線を用いて未知試料における核酸増幅反応の良否判定を実行する、及び/又は未知試料についてシグモイド曲線を作製できない場合にCt値を算出するものである。
ここで、標準液とは、一般に核酸抽出処理等の不要な既知濃度試料のことである。標準液は、未知試料とは異なり、試料自身に核酸増幅反応を阻害する物質が含まれていないこと、核酸抽出処理を行わないため核酸抽出試薬に含まれる可能性のある反応阻害物質が残存する可能性がなく、良否の判定に適している。特に、標準液に含まれる鋳型となる核酸は、高濃度であることが好ましい。鋳型となる核酸を高濃度で含む場合、増幅阻害の影響を受けにくいためである。ただし、標準液に含まれる鋳型となる核酸の濃度は、核酸増幅反応が進行し、予め決めたサイクル数のうちに増幅反応が完了する程度の濃度であれば特に具体的な数値に限定されるものではない。
PCR法では、一般的に、図2に示すようなグラフで表され、横軸にサイクル数、縦軸に蛍光強度となるような測定値の散布図を得る(ステップ1)。ただし、PCR法以外の核酸増幅反応、例えば恒温増幅反応においては、横軸は反応開始からの時間に置き換えられる。また、縦軸としては蛍光強度の他に濁度、散乱光強度などに置き換えることもできる。
一般的な測定値のプロットでは増幅部分の前後にベースライン領域21、およびプラトー領域22がある。ベースライン領域21とはPCR増幅産物量が蛍光検出限界以下の領域のことである。1サイクルごとにDNAは2倍ずつ増幅し、やがて蛍光強度が検出可能な範囲となった時の増幅曲線が立ち上がる。その後、指数関数的な増幅が見られ、プラトー領域22に達する。いくつかのPCR分析においては、通常、PCR 反応のアニーリング温度の変化が存在し、その温度変化によって蛍光信号のシフトが発生することが知られている(特開2007-267730)。したがって、正確にCt値を算出するには、この信号の変化を補正することが好ましい。
すなわち、ステップ2においてベースライン補正を行う。たとえば、図2に示すようなプロットのベースライン領域21を補正したものが図3である。ここで、ベースライン補正は、増幅曲線が立ち上がる数サイクル手前までのサイクルをベースライン領域21と定義し、ベースライン領域21を一次関数に近似して、傾きと切片を減じることによって得られる。なお、ステップ2は、サンプル間でベースラインがそろっている場合には必ずしも実施する必要はない。すなわち、ステップ1にて得られたベースライン領域21におけるプロットが揃っている場合にはステップ2をスキップし、後述するステップ3を実行することもできる。
次に、ステップ3において、標準液のフィッティングを行う。ここでは、関数Y(t)=A−B/(1+expC(t−D)Eに対し、初期値から、関数のパラメータA、B、C、D及びEの中の1つ又は複数のものを反復的に施行する方法について説明する。ただし、フィッティングに使用する関数は上記例に限定されない。表1にはA〜Eのパラメータについて表記する。
Figure 0005950740
特に、本ステップにおいて、標準液としては、それぞれ核酸濃度が異なる3種類以上の標準試料を準備しておくことが好ましい。このとき、まずは最も濃い濃度の標準液を基準とするのが望ましい。ステップ3において、全ての標準液に関してフィッティングが収束しない場合には増幅異常と判断され、正確なCt値を算出できないため、再測定を行うことが好ましい(ステップ1に戻る)。
ただし、標準液の測定は必ずしも、未知試料測定の度に毎回行う必要はない。例えば、標準液について作製したシグモイド曲線を記憶装置に記憶しておき、記憶装置から当該シグモイド曲線を読み出して利用することもできる。このとき、シグモイド曲線としては、例えば、核酸増幅反応の温度サイクル等の各種条件と関連付けて記憶装置に記憶し、これら各種条件が同じである標準液についてのシグモイド曲線を利用することが好ましい。言い換えれば、標準液に関するシグモイド曲線は、各種条件を変更する場合や使用する試薬が異なるような場合に新たに取得することが好ましい。
なお、ステップ3において、フィッティングが収束しない例としては増幅反応の立ち上がりが認識できない、はずれ値が多いことなどが考えられる。ステップ3において、複数の標準液のうち少なくとも1つの標準液についてフィッティングが成功し、シグモイド曲線が得られる場合には後述するステップ4を実施する。
ステップ4では、未知試料について、関数Y(t)=A−B/(1+expC(t−D)Eに対しフィッティングを行う。ステップ4では、未知試料についてフィッティングが成功し、未知試料についてシグモイド曲線が得られた場合にステップ5に進み、未知試料についてフィッティングができず未知試料についてシグモイド曲線が得られない場合にステップ12に進む。ステップ5では、標準液及び未知試料に関して得られた5つのパラメータA、B、C、D及びEを関数Y(t)=A−B/(1+expC(t−D)Eに代入し、tについて解くことでCt値を計算する(図4)。すなわち、ステップ5では、所定の閾値23となる時のサイクル数を標準液及び未知サンプルについて計算する。具体的にステップ5では、標準液のCt値(Ct1)、及び未知試料のCt値(Ct2)を算出する。
次に、ステップ6では、標準液のシグモイド曲線(近似式Y(ti))をX軸方向にシフトさせ、未知試料のシグモイド曲線に重ね併せる。より具体的にステップ6における演算処理を図5のフローチャートに示している。ただし、ステップ6の処理は、図5に示したフローチャートの例に限定されない。
まず、図5のステップ7では、標準液に関するシグモイド曲線(近似式)からtiが整数(サイクル数)となるY(ti)を算出し、不連続なプロットを得る。次に、図5のステップ8では、標準液のシグモイド曲線における任意のtiに対してX=(Ct2-Ct1)+ti、Y=Y(ti)となるように標準液のシグモイド曲線をX軸方向にシフトさせる。標準液のシグモイド曲線をX軸方向にシフトさせると図6に示すように2曲線を重ね合わせることができる。次に、ステップ9では、定められたtiの範囲における全てのX=(Ct2-Ct1)+tiにおいてY(X)を算出し、Y(tj)及びY(X)の相関を調べる。なお、定められたtiの範囲とは、好適にはシグモイド曲線の立ち上がりより3サイクル前からプラトーに達する3サイクル後の範囲を含むが、必ずしもプラトーに達している必要はなく、少なくともシグモイド曲線の立ち上がり前後の2点を含んでいれば良い。Y(tj)及びY(X)の相関(特に乖離)を求める方法としては、特に限定されないが、一例としては決定係数R2を求める方法が挙げられる。また、Y(tj)及びY(X)の相関(特に乖離)を求める方法としては、相関係数残差平方和などを用いる方法も利用することができる。
そして、ステップ10では、ステップ9で調べたY(tj)及びY(X)の相関に基づいて核酸増幅反応の良否を判定する。すなわち、ステップ10では、一例としてステップ9で算出した決定係数R2が設定値の範囲外であった場合にはNoに進み、測定結果にエラーを付記してステップ11において増幅不良を出力して測定を終了する。また、ステップ10では、一例としてステップ9で算出した決定係数R2が設定値の範囲内であった場合にはYesに進み、ステップ11において核酸増幅反応に異常がなかったこと出力して測定を終了する。
なお、以上の説明では未知試料における核酸増幅反応の良否判定を例にあげたが、シグモイド曲線同士の増幅良否判定にも利用できる。低濃度サンプルは反応の影響を受けやすく、標準液であってもしばしば非特異的な反応の影響を受けて増幅不良となることがある。この場合には最も濃い濃度の標準液のCt値をCt1とし、低濃度の標準液のCt値であるCt2に重なるようにX軸をシフトさせる。高濃度標準液のシグモイド曲線をX軸方向にシフトさせて得られる曲線と低濃度標準液の測定値から得られる曲線との乖離は設定範囲を上回って増幅不良と判定された場合は増幅不良となったデータを除外して検量線を作成することによって信頼性の高い検量線を得ることができる。
ところで、上述したステップ4において、未知試料についてフィッティングができず未知試料についてシグモイド曲線が得られない場合にステップ12に進む。ステップ12以降のステップによれば、未知試料のフィッティングができ図にシグモイド曲線が得られない場合であっても、Ct値を算出することができる。この方法について図7〜図11を用いて詳細に説明する。先ず、未知試料についてフィッティングができず未知試料についてシグモイド曲線が得られない場合とは、一例として図7に示すように、閾値(Threshold Line)直後に測定が終了してしまった場合や、測定結果にスパイク値があった場合が挙げられるこれらの場合、上述したような手法により未知試料について測定されたデータからシグモイド曲線を作製することができず、正確にCt値を算出することができないことがある。本発明では、測定データ数が少ない場合などフィッティングができない場合にも標準液の増幅曲線から未知試料のCt値を正確に算出することができる。
フィッティングができない場合の一例として、シグモイド曲線の立ち上がりが遅い低濃度サンプルにおいて核酸増幅反応の途中で、既定のサイクル数が終了した場合を想定する。上述したフィッティングで使用したY(t)=A−B/(1+expC(t−D)Eは基本的には核酸増幅反応の途中であっても、測定の範囲内でシグモイド曲線を算出することができる。しかしながら、ベースラインのノイズの大小や測定ポイント数によってはフィッティングができないことが予測される。
まず、ステップ12では、関数Y(t)=A−B/(1+expC(t−D)Eに対し、初期値から、関数のパラメータA、B、C、D及びEの中の1つ又は複数のものを反復的に施行することで、A、B、C、D及びEの5つのパラメータを決定し、標準液に関するシグモイド曲線の近似式を得る。これを所定のt(閾値)について解くと、標準液に関するCt値、ここではCt3を算出できる。
次に、標準液に関するシグモイド曲線の近似式を用いて未知試料のCt値を算出する。ここでは便宜的に未知試料としたが、低濃度の標準液のCt値の算出にも使用できる。すなわち、ステップ13では、図8に示すように、未知試料のNサイクル目の測定データポイントを任意に決める。このとき、好適には増幅の立ち上がり初期のポイントを選択するのが望ましいが、増幅の立ち上がり後からプラトー領域22に達する前の段階であればどこでもよい。次に、ステップ14では、図9に示すように、未知試料のNサイクル目の測定値YからX軸に平行な直線を引いた直線を基準線とし、基準線と標準液に関するシグモイド曲線との交点X、Y(t)=A−B/(1+expC(t−D)EにおけるXを求める。そして、ステップ15では、求める未知試料のCt値、すなわちCt4=Ct3+(N-X)で算出できる。その後、ステップ16では、求める未知試料のCt値としてステップ15で算出したサイクル数を出力し、測定を終了する。
このように、本発明に係る核酸増幅反応分析装置及び分析方法によれば、例えば測定データポイントが少ない場合であっても異常データの影響を排除し、正確にCt値を算出できる。リアルタイムPCRは測定時間が長く、検査結果が表示されるまでに数時間かかることが問題となる。その一方でリアルタイムPCRではThreshold Lineを超えるサイクル数が特定できればその後の反応を継続する必要がない。しかし、従来の方法では測定値の数が十分多いほどシグモイド曲線は正確な値となり、正確にCt値を算出することができたため途中で測定を終了することができなかった。これに対して、本発明に係る核酸増幅反応分析装置及び分析方法によれば、標準液の測定結果が使用できる場合にはThreshold Lineを超えていれば正確にCt値を算出できるため、測定を早く終了することができる。本発明を遺伝子検査装置に適用した場合、特に測定サンプルごとに測定終了を選択できるような装置である場合にはさらに有用である。
このように、標準液の増幅曲線に対する近似式をX軸方向に移動してその他の濃度のサンプルに使用することによって、増幅の良否判定や低濃度サンプルにおける正確なCt値の算出に使用でき、信頼性の高い検査結果を提供することができる。
1〜14 フローチャート中のステップ
21 ベースライン領域
22 プラトー領域
23 Threshold Line
24 未知試料のNサイクル目の測定値Yを通る基準線

Claims (12)

  1. 既定濃度の鋳型核酸を含む標準液について作製した増幅曲線と、標的となるサンプルについて測定した増幅産物に基づく複数の測定値が示し得る曲線とが、その形状において近似しており、
    標的となるサンプルについて、核酸増幅反応による増幅産物に基づく測定値を一方の軸とし、核酸増幅反応の進捗を示す値を他方の軸とした2次元平面上の増幅曲線が得られるか判断し、当該増幅曲線が得られないと判断した場合に、
    既定濃度の鋳型核酸を含む標準液について作製した、増幅産物に基づく測定値を一方の軸とし、核酸増幅反応の進捗を示す値を他方の軸とした2次元平面上の増幅曲線を、標的となるサンプルについて測定した増幅産物に基づく複数の測定値のうち所定の測定値と重なるように上記他方の軸方向にシフトさせ、シフトした増幅曲線を標的となるサンプルの増幅曲線とし、当該増幅曲線により核酸増幅反応の立ち上がり値を算出する演算部を有する、核酸増幅分析装置。
  2. 上記演算部は、不連続な測定点に対してシグモイド関数を与え、繰り返し施行によるフィッティングによってシグモイド関数のパラメータを確定し、上記増幅曲線として近似式を算出する請求項1記載の核酸増幅分析装置。
  3. 上記演算部は、シグモイド曲線の近似式に基づいて、増幅産物に基づく測定値における閾値(Threshold Line)を超える、核酸増幅反応の進捗を示す値を算出する請求項1記載の核酸増幅分析装置。
  4. 上記演算部は、標的となるサンプルについて測定した測定値から上記他方の軸に平行な直線を引いた直線を基準線とし、基準線と標準液について作製した増幅曲線との交点を求める請求項1記載の核酸増幅分析装置。
  5. 標的となるサンプルごとに測定の終了を選択できる制御機構を有する請求項1記載の核酸増幅分析装置。
  6. 標準液について作製した増幅曲線のデータを記憶する機能を備える請求項1記載の核酸増幅分析装置。
  7. 標的となるサンプルについて、核酸増幅反応による増幅産物に基づく測定値を一方の軸とし、核酸増幅反応の進捗を示す値を他方の軸とした2次元平面上の増幅曲線が得られない場合に、
    既定濃度の鋳型核酸を含む標準液について作製した、増幅産物に基づく測定値を一方の軸とし、核酸増幅反応の進捗を示す値を他方の軸とした2次元平面上の増幅曲線を、標的となるサンプルについて測定した増幅産物に基づく複数の測定値のうち所定の測定値と重なるように上記他方の軸方向にシフトさせ、シフトした増幅曲線を標的となるサンプルの増幅曲線とし、当該増幅曲線により核酸増幅反応の立ち上がり値を算出する、核酸増幅分析方法。
  8. 不連続な測定点に対してシグモイド関数を与え、繰り返し施行によるフィッティングによってシグモイド関数のパラメータを確定し、上記増幅曲線として近似式を算出する請求項7記載の核酸増幅分析方法。
  9. シグモイド曲線の近似式に基づいて、増幅産物に基づく測定値における閾値(Threshold Line)を超える、核酸増幅反応の進捗を示す値を算出する請求項7記載の核酸増幅分析方法。
  10. 標的となるサンプルについて測定した測定値から上記他方の軸に平行な直線を引いた直線を基準線とし、基準線と標準液について作製した増幅曲線との交点を求める請求項7記載の核酸増幅分析方法。
  11. 標的となるサンプルごとに測定の終了を選択できる請求項7記載の核酸増幅分析方法。
  12. 標準液について作製した増幅曲線のデータを記憶する請求項7記載の核酸増幅分析方法。
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