以下、本実施形態に係るヒートポンプ式給湯機S(以下、給湯機Sと略記する)について図1ないし図5を参照して詳細に説明する。まず、給湯機Sの全体の構成について図1を参照して説明する。
図1に示すように、給湯機Sは、ヒートポンプユニット1と、貯湯ユニット2とを備え、ヒートポンプユニット1と貯湯ユニット2とが、接続配管S1,S2を介して接続されることで構成されている。なお、接続配管S1,S2は、ヒートポンプユニット1と貯湯ユニット2の設置条件に応じて、その長さが適宜変更される。
ヒートポンプユニット1は、圧縮機3と、水冷媒熱交換器4(熱交換器、凝縮器)と、減圧弁5(減圧装置)と、蒸発器6と、制御部50と、で主に構成されている。また、ヒートポンプユニット1は、圧縮機3の吐出口と水冷媒熱交換器4の流入口とが冷媒配管L1によって接続され、水冷媒熱交換器4の流出口と減圧弁5の導入口とが冷媒配管L2によって接続され、減圧弁5の導出口と蒸発器6の流入口とが冷媒配管L3によって接続され、蒸発器6の流出口と圧縮機3の吸入口とが冷媒配管L4によって接続され、冷媒が圧縮機3、水冷媒熱交換器4、減圧弁5、蒸発器6の順に通流するように冷媒配管L1〜L4が環状に連結されることでヒートポンプ式の冷凍サイクルを構成している。
なお、本実施形態での冷媒としては、二酸化炭素が使用されている。また、本実施形態でのヒートポンプユニット1では、圧縮機3より吐出される冷媒(二酸化炭素)の吐出圧力が臨界圧力以上となる超臨界蒸気圧縮式のヒートポンプサイクルを使用している。これにより、タンク16内の水を、例えば90℃という高い温度まで沸き上げることが可能になる。
圧縮機3は、蒸発器6から冷媒配管L4を介して戻ってきた冷媒を圧縮するとともに、圧縮した高温・高圧のガス冷媒(以下、ホットガスということがある)を、冷媒配管L1を介して水冷媒熱交換器4に送り出している。
また、圧縮機3は、容量制御が可能で、例えば、高温水(例えば、90℃)をタンク16に貯湯する場合は、通常よりも速い回転速度(例えば、3000〜4000回転/分)で運転する。また、通常の中温水(例えば、65℃)をタンク16に貯湯する場合は、比較的遅い回転速度(例えば、1000〜2000回転/分)で運転する。
また、圧縮機3は、PWM(Pulse Width Modulation)制御、電圧制御(例えばPAM(Pulse Amplitude Modulation)制御)およびこれらの組み合わせ制御により、低速(例えば、1000回転/分)から高速(例えば、6000回転/分)まで回転速度の制御が行えるようになっている。
圧縮機3の吐出口に接続される冷媒配管L1には、高圧側の冷媒圧力(圧縮機吐出圧力)を検出する圧力センサ8と、圧縮機3の高圧側の冷媒温度(圧縮機吐出温度)を検出する温度センサ9と、が設けられている。
水冷媒熱交換器4は、圧縮機3から吐出されたホットガス(高温・高圧のガス冷媒)を通流させる冷媒伝熱管4aと、タンク16からの水を通流させる水伝熱管4bとを備えている。これらの冷媒伝熱管4aおよび水伝熱管4bは、冷媒と水とが相互に熱交換するように冷媒が通る冷媒伝熱管4aと水が通る水伝熱管4bとが密着して設けられている。また、水冷媒熱交換器4は、冷媒伝熱管4aの冷媒の流れと水伝熱管4bの水の流れが対向するように構成されている。水冷媒熱交換器4は、凝縮後の中温・高圧の冷媒を、冷媒配管L2を介して減圧弁5に送り出している。
減圧弁5は、電動膨張弁などで構成され、水冷媒熱交換器4からの中温・高圧の冷媒を減圧し、蒸発し易い低温低圧の冷媒として冷媒配管L3を介して蒸発器6に送り出している。また、減圧弁5は、絞り開度(開閉度合い)が調節可能なものであり、制御部50がこの絞り開度を変化させることで、ヒートポンプユニット1での冷媒循環量を調節するようになっている。また、減圧弁5は、制御部50によって絞り開度が変えられることで、圧縮機3の冷媒圧力(圧縮機吐出圧力)を調節することができる。なお、減圧弁5は、蒸発器6に着霜した場合、絞り開度を所定開度(例えば、制御部50が予め設けている最大開度)にして除霜運転(デフロスト)を実行する機能を有している。
蒸発器6は、送風機7の回転によって取り入れた空気(外気)と、蒸発器6内を通流する冷媒との間で熱交換を行って、外気から熱を汲み上げるものである。そして、中温・低圧となった冷媒(ガス冷媒)は、冷媒配管L4を介して蒸発器6から圧縮機3に戻されることとなる。
蒸発器6の流出口に接続される冷媒配管L4には、蒸発器6の下流側(出口)での冷媒の温度を検出する温度センサ10が設けられている。制御部50は、例えば、温度センサ10の検出する温度(蒸発器出口温度)に基づいて蒸発器6での除霜運転(デフロスト)を実行するか否かを判定し(除霜運転制御手段)、除霜運転(デフロスト)を実行する場合には減圧弁5を全開にする。
また、ヒートポンプユニット1には、外気温度を検出する温度センサ14が設けられている。温度センサ14は、例えば、送風機7の近傍に設けられている。なお、詳細については後記するが、制御部50は、温度センサ14の検出する温度を参照要素の一つとして、圧縮機3の吐出圧力(圧縮機吐出圧力)の目標値を決定している。なお、目標値は、温度センサ11による水入口温度や温度センサ12による水出口温度を加味して決定してもよい。
水冷媒熱交換器4の水伝熱管4bの水が流入する入口には、供給配管35の一端が接続され、他端が接続配管S1と接続されている。この供給配管35は、冷媒で加熱される前の水(液体、被加熱流体)を水冷媒熱交換器4に供給するものである。また、供給配管35には、循環ポンプ13(ポンプ)が配置されている。また、供給配管35には、水冷媒熱交換器4に導入される水の温度(水入口温度)を検出する温度センサ11が設けられている。
水冷媒熱交換器4の水伝熱管4bの水が流出する出口には、送出配管36の一端が接続され、他端が接続配管S2と接続されている。この送出配管36は、冷媒で加熱された水(液体、被加熱流体)を水冷媒熱交換器4からタンク16に向けて送り出すものである。
また、送出配管36には、水冷媒熱交換器4の水の出口温度(被加熱流体出口温度)を検出する温度センサ12が設けられている。
循環ポンプ13は、制御部50によってモータ(不図示)の回転速度を制御することで、循環水の流量(質量流量)を調整できるようになっている。なお、循環ポンプ13は、圧縮機3と同様に、PWM(Pulse Width Modulation)制御、電圧制御(例えばPAM(Pulse Amplitude Modulation)制御)およびこれらの組み合わせ制御により、回転速度の制御が行えるようになっている。
本実施形態での循環ポンプ13は、ヒートポンプユニット1内に設けられ、水(被加熱流体)を水伝熱管4bの入口側に送り込むように駆動するものである。なお、本実施形態では、循環ポンプ13がヒートポンプユニット1側に設けられているが、貯湯ユニット2側に設けられていてもよい。
貯湯ユニット2は、水(被加熱流体)を貯蔵するタンク16を備えている。このタンク16の下部には、往き配管37aの一端が接続され、他端が接続配管S1と接続されている。また、タンク16の下部には、給水配管38aの一端が接続されている。給水配管38aの他端には、図示しない給水口を介して給水源と接続されている。なお、給水源は、水道に限定されるものではなく、井戸水など他の給水源を利用してもよい。
タンク16の上部には、戻り配管37bの一端が接続され、他端が接続配管S2と接続されている。また、タンク16の上部には、給湯配管38bの一端が接続されている。給湯配管38bの他端には、図示しない給湯口が設けられる。なお、給湯口は、台所、洗面所、風呂などの蛇口やシャワーなどの一般給湯端末、風呂などの浴槽給湯端末である。
給水配管38aには、タンク16の上流側から分岐して、給湯配管38bに合流する分岐配管38cが接続されている。給湯配管38bと分岐配管38cとの合流部には、給湯混合弁17が設けられている。
給湯混合弁17は、給水配管38aの一部を通って分岐配管38cから流れ込む水の量と、給湯配管38から流れ込む湯の量とを適宜調節することで、給湯配管38bの他端に設けられる給湯口(図示省略)から出る湯の温度(給湯温度)を調節する。給湯温度は、台所などに設けられたリモコンによって設定される。
なお、給湯機Sは、給水口から減圧せずに供給された水と、タンク16内の湯とを熱交換器(不図示)を介して熱交換することで一般給湯端末に給湯を行う直圧方式(例えば、水道直圧式)に適用してもよく、給水口から減圧して供給された水と、タンク16内の湯とを混合することで一般給湯端末に給湯を行う減圧弁方式(混合弁方式)に適用してもよい。
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェイス、電子回路等を含んで構成されており、その内部に記憶されたプログラムに従って、本実施形態に係る給湯機Sのヒートポンプユニット1を制御するようになっている。また、制御部50は、圧縮機3の回転速度、減圧弁5の開度、送風機7のON/OFFおよび循環ポンプ13の回転速度をそれぞれ制御し、温度センサ9,10,11,12,14が検出した各温度(検出値、実測値)、圧力センサ8の検出した圧力(検出値、実測値)をそれぞれ取得する。
また、制御部50は、前記したように、温度センサ10の検出する温度(蒸発器6の出口の冷媒温度、蒸発器出口温度)に基づいて蒸発器6の除霜運転(デフロスト)を行うか否かを判定する他、温度センサ9,11,12,14の検出した温度(検出値、実測値)、および圧力センサ8の検出した圧力(検出値、実測値)などに基づいて、後記する手順により圧縮機吐出圧力の目標値および圧縮機吐出温度の目標値を算出するとともに、これらの検出値(実測値)および目標値に基づいて、圧縮機3の回転速度および減圧弁5の開度を制御する。
次に、本実施形態に係る給湯機Sの動作について説明する。この給湯機Sでは、タンク16内に所定の温度で所定の湯量を確保するのに先立って、タンク16を満たすように水が供給される。このとき、タンク16には、残存する湯に加えられるように、図示しない給水口から給水配管38aを介して水が加えられる。以下では、タンク16に残存する湯と新たに加えられた水とを一緒にして単に「水」ということがある。
そして、制御部50は、タンク16が水で満たされてから、貯湯運転(沸き上げ運転)を実行する。制御部50は、圧縮機3を駆動することで圧縮機3から吐出するホットガス(高温・高圧のガス冷媒)を水冷媒熱交換器4の冷媒伝熱管4aに送り込む。冷媒伝熱管4aに送り込まれたホットガスは、水伝熱管4b内の水に熱を放出することで凝縮する。そして、水伝熱管4b内の水はホットガスで加熱される。
そして、水冷媒熱交換器4の冷媒伝熱管4aから送り出された冷媒は、減圧弁5(減圧装置、膨張弁)で減圧された後に、蒸発器6に流れ込む。そして、蒸発器6に流れ込んだ冷媒は、送風機7から送り込まれた空気(外気)によって蒸発する際に、蒸発器6を介して空気から熱を汲み上げる。その後、冷媒は、圧縮機3に戻って再び圧縮される。
その一方で、タンク16に満たされた水は、循環ポンプ13が起動することで、往き配管37a、接続配管S1、供給配管35を介して水冷媒熱交換器4の水伝熱管4b内に送り込まれる。そして、送り込まれた水は、前記したように、冷媒との熱交換で加熱されて湯となって、送出配管36に流れ込む。送出配管36に流れ込んだ湯は、接続配管S2、戻り配管37bを介してタンク16に戻って貯蔵される。このようにタンク16と水冷媒熱交換器4との間で水が循環する間に、給湯機Sは、タンク16内に所定の温度で所定の湯量を確保する。なお、本実施形態では、往き配管37a、接続配管S1、供給配管35、送出配管36、接続配管S2および戻り配管37bによって循環経路が構成されている。
そして、制御部50は、圧縮機3、循環ポンプ13および減圧弁5を次のよう制御する。すなわち、制御部50は、圧縮機3の回転速度を温度センサ12で検出される水冷媒熱交換器4の水出口温度および温度センサ14の外気温度に基づいて制御する。具体的に、制御部50は、温度センサ14で検出される外気温度に基づいて、温度センサ12で検出される温度が、予め設定された水出口温度の目標値となるように、圧縮機3の回転速度を制御する。つまり、水出口温度の目標値に対して温度センサ12の検出温度(計測値)が低い場合には圧縮機3の回転速度を速め、これとは逆に検出温度(計測値)が高い場合には圧縮機3の回転速度を遅くする。
また、制御部50は、循環ポンプ13が水冷媒熱交換器4の水伝熱管4bに送り込む水の量を、予め求めた圧縮機3の目標回転速度に基づいて制御する。具体的には、圧縮機3の目標回転速度に対して実回転速度が遅い場合には、水伝熱管4bに送り込まれる水の量が増えるように循環ポンプ13の回転速度を制御し、これとは逆に圧縮機3の実回転速度が速い場合には、水伝熱管4bに送り込まれる水の量が減るように循環ポンプ13の回転速度を制御する。
なお、前記した圧縮機3の目標回転速度は、例えば、前記した水冷媒熱交換器4の水出口温度と、温度センサ14の検出温度(外気温度)とに基づいて設定されるが、これらに加えて、ヒートポンプユニット1の目標加熱能力(出力)、および/または、温度センサ11の検出温度(水冷媒熱交換器4の水伝熱管4bに送り込まれる水の温度)に基づいて設定してもよい。これにより、精度を高めることができる。
圧縮機3の目標回転速度の具体例としては、例えば、前記したように、タンク16に高温水(例えば、90℃)を貯湯する場合には、3000〜4000回転/分の範囲で設定され、タンク16に中温水(例えば、65℃)を貯湯する場合には、1000〜2000回転/分の範囲で設定されるが、これに限定されるものではない。
また、制御部50は、圧縮機吐出温度が制御部50によって予め算出された目標値となるように、減圧弁5を開閉制御する。具体的には、温度センサ9の検出温度が目標温度よりも高いときには減圧弁5を絞り開度を拡大する方向に制御し、検出温度が目標温度よりも低いときには減圧弁5を閉じるように(または絞り開度を縮小する方向に)制御する。このときの目標温度は、制御部50が、前記した水冷媒熱交換器4の水出口温度と、温度センサ14の検出温度(外気温度)とに基づいて算出されるが、これらに加えて、ヒートポンプユニット1の目標加熱能力(出力)、および/または、温度センサ11の検出温度(水冷媒熱交換器4の水伝熱管4bに送り込まれる水の温度)に基づいて算出してもよい。この設定値は、ヒートポンプユニット1が最大の成績係数となるように設定されるが、この限りではない。
次に、給湯機Sにおける除霜運転時の動作について説明する。制御部50は、以下に示す手順を実行することで、設置形態や物のばらつき(後記する)に拘らず、除霜運転中の循環ポンプ13の回転速度を最低回転速度で動作するように制御できる。なお、除霜運転中の回転速度をなるべく低くするのは、凍結防止のためには、水を循環させることが必要であるが、少量でも水が循環していれば足り、それ以上多く循環させても熱効率の面からも消費電力の面からも無駄になり得るからである。ちなみに、冬期など外気温度が低い場合、蒸発器6において低温の空気から吸熱して、蒸発器6の表面温度が0℃以下に低下することで蒸発器6に霜(氷)が付着する。
まず、除霜運転時の動作について説明する前に、以下の第1実施形態および第2実施形態に示す除霜運転の意義について説明する。
従来の給湯機用の循環ポンプでは、モータのロータ(回転側)の位置検出の方法として、ホール素子を用いて磁界を検出する方法、誘起電圧から位置を検出する方法が採用されていた。ホール素子を用いるとロータの位置検出が容易であるが、ロータの近傍へのホール素子の取り付けが不可欠となる。このため、従来の循環ポンプでは、循環ポンプ内に位置検出を行う基板が埋め込まれており、ロータの位置検出はホール素子を用いていたため、ロータの位置検出が容易であった。
このように、循環ポンプに、ホール素子などの位置検出手段を備えた基板を埋め込むと、モータを低い回転速度で制御できるようになる。しかし、循環ポンプに基板を埋め込む場合には、循環ポンプの筐体を構成する樹脂部分に基板が埋め込まれるが、基板が水の近くに位置するため、物のばらつきによって樹脂部分と基板との間に隙間が発生していると、その隙間において結露が発生し、電気部品に不具合が発生する問題(信頼性が低下する問題)がある。また、基板を循環ポンプに内蔵することにより循環ポンプがコスト高になる問題もある。
一方、誘起電圧から位置を検出する方法を採用すれば前記のような問題は解消されるが、ロータの回転により発生する誘起電圧によってロータの位置を検出する場合、特に消費電力が低いポンプである循環ポンプを使用すると、ノイズがのったときや低回転速度域で誘起電圧が出にくいときに位置検出ができなくなり脱調してしまい、動作不能(動作停止)となる問題がある。脱調してしまう回転速度については、設置形態や物のばらつきによって変化する。なお、設置形態とは、ヒートポンプユニット1と貯湯ユニット2とを繋ぐ接続配管S1,S2の長さなどであり、長さによって、配管抵抗が変化する。物のばらつきとは、循環ポンプ13のばらつき(例えば、羽根の部分のばらつきによって水を吐出させる量が変化する、モータ(磁石)の部分のばらつき、磁束密度のばらつき)、制御部50のばらつき(例えば、構成する部品のばらつき、回転速度を制御するために電流値を制御しているのでその読みのばらつき)もある。
また、モータの駆動方法として、ホール素子などのモータの磁極位置検出手段を循環ポンプ内に内蔵した方式と比べて、磁極位置検出手段を循環ポンプ内に内蔵しない方式では、制御できる回転速度の範囲を保つのが難しくなる。例えば、内蔵方式では、0〜6200回転/分で制御できていたものが、内蔵しない方式では、500〜6000回転/分のように制御範囲が狭くなる。除霜運転時には、より低い回転速度で循環ポンプを運転するのが望ましいが、磁極位置検出手段を内蔵しない循環ポンプでは、除霜運転時の回転速度が最も低く運転できる回転速度以下となってしまう場合があり、前記した設置形態や物のばらつきによっては除霜運転時に循環ポンプを制御できないおそれがある。
これに対し、本実施形態によれば、循環ポンプから前記基板を取り除く構成にした場合であっても、除霜運転時に循環ポンプを低い回転速度で制御することが可能となる。
(第1実施形態)
給湯機Sにおける第1実施形態の除霜運転時の動作について図2および図3を参照して説明する。図2は、第1実施形態に係る除霜運転時の動作を説明するフローチャート、図3は、第1実施形態に係る除霜運転時の循環ポンプの動作を示すタイムチャートである。なお、除霜運転は、ヒートポンプユニット1による沸き上げ運転中に蒸発器6に着霜することにより実行される。また、図3において、横軸は、紙面左側から右側に向かって、給湯機Sの除霜運転前からからの経過時間を示し、左縦軸は、経過時間に応じて変化する循環ポンプ13の回転速度を示し、右縦軸は、温度センサ10が検出する温度(蒸発器出口温度)の温度変化を示している。また、図3に示す実線G1は、循環ポンプ13の回転速度を示し、実線G2は、蒸発器出口温度を示す。
図2に示すように、制御部50は、ステップS1において、温度センサ10で検出した蒸発器6の出口温度(蒸発器出口温度)が第1所定温度以下であるか否かを判定する。なお、第1所定温度とは、例えば、温度センサ14で検出した温度(外気温度)に基づいて判定することができるが、これに限定されるものではない。第1所定温度は、例えば、マイナス5℃に設定される。ステップS1において、制御部50は、蒸発器出口温度が第1所定温度以下ではないと判定した場合(No)、ステップS1の処理を繰り返し、蒸発器出口温度が第1所定温度以下であると判定した場合(Yes)、ステップS2に進む。
ステップS2において、制御部50は、除霜運転を開始する。すなわち、制御部50は、圧縮機3の回転速度を除霜運転時に予め設定された目標回転速度に設定し、減圧弁5を所定開度(制御部50によって設定可能な最大開度)にし、さらに送風機7を停止する。
以降のステップでは、制御部50(除霜運転制御手段)が、循環ポンプ13の回転速度を除霜運転開始時の回転速度(第1所定回転速度)から低下させ、循環ポンプ13が動作した場合には循環ポンプ13が動作停止した回転速度よりも高く且つ除霜運転開始時の回転速度(第1所定回転速度)よりも低い回転速度(新たな最低回転速度)で循環ポンプ13を動作させる処理が実行される。
具体的には、ステップS3に進み、制御部50は、循環ポンプ13を第1所定回転速度で制御する(循環ポンプ13の回転速度指令を第1所定回転速度に低下させる)。なお、第1所定回転速度とは、設置形態(例えば、接続配管S1,S2の長さが最大)や物のばらつきを考慮し、どのような状況においても循環ポンプ13が動作する回転速度(例えば、500回転/分)である。
そして、ステップS4に進み、制御部50は、除霜運転を開始してから所定時間T(予め設定された制御周期)が経過したか否かを判定する。なお、所定時間Tは、循環ポンプ13の応答時間に応じて決定され、例えば5秒に設定される。応答時間とは、回転速度の指令を出してからその回転速度になるまでの時間である。制御部50は、所定時間Tが経過していないと判定した場合には(S4、No)、ステップS4の処理を繰り返し、所定時間Tが経過していると判定した場合には(S4、Yes)、ステップS5に進む。なお、所定時間Tは、図示しないタイマにより計測される。
ステップS5において、制御部50は、循環ポンプ13の回転速度指令を第2所定回転速度低下させる。なお、第2所定回転速度は、循環ポンプ13における制御の分解能と同じ値(例えば、30回転/分)または分解能に近い値にする。これにより、より高い精度で最低回転速度の検出を行うことができる。
すなわち、分解能と同じ値にすることで、循環ポンプ13の回転速度を第2所定回転速度分低下させたときに、循環ポンプ13を設定変更後の回転速度で動作させることができる。また、分解能に近い値にすることで、循環ポンプ13の回転速度を第2所定回転速度低下させたときに、循環ポンプ13を設定変更後の回転速度で制御できない場合であっても、次回に第2所定回転速度低下させたときに、循環ポンプ13を動作させることができ、第2所定回転速度を複数回続けて低下させても循環ポンプ13を設定変更後の回転速度で動作できないといった不都合を防止でき、無駄な制御を抑制できる。
そして、ステップS6に進み、制御部50は、循環ポンプ13の回転速度が最低回転速度に到達したか否かを判定する。なお、最低回転速度(初期値)は、循環ポンプ13に対する負荷が最も低いことが想定されるような設置形態において、水の流量が、例えば、0L/MIN(リッター/分)〜0.1L/MIN以下となるように循環ポンプ13を動作させたときの回転速度に設定される。負荷が最も低いことが想定されるような設置形態とは、例えば、接続配管S1,S2の長さが最も短く、かつ、配管の曲がりが少ない形態(曲がりが多いと、配管抵抗が増える)であり、ヒートポンプユニット1と貯湯ユニット2とが互いに近傍に設置されている場合である。
制御部50は、循環ポンプ13の回転速度が最低回転速度に到達したと判定した場合には(S6、Yes)、ステップS9に進み、循環ポンプ13の回転速度が最低回転速度に到達していないと判定した場合には(S6、No)、ステップS7に進む。
ステップS7において、制御部50は、循環ポンプ13が動作停止したか否か(動作不能となったか否か、脱調したか否か)を判定する。循環ポンプ13が動作停止するとは、モータの回転が停止して、循環経路に水を流すことができなくなる状態を意味している。循環ポンプ13の動作停止は、例えば、指令回転速度を出力しているにもかかわらず回転がゼロであるとか、指令回転速度に対してとてつもなくかけ離れた回転速度を検出することで動作停止であると判定する。具体的には、電流の周波数を検出することで判定できる。
制御部50は、循環ポンプ13が動作停止していないと判定した場合には(S7、No)、タイマ(不図示)をリセットして、ステップS4に戻り、循環ポンプ13が動作停止した(動作不能になった、脱調した)と判定した場合には(S7、Yes)、ステップS8に進む。
なお、循環ポンプ13が動作停止していない場合には(S7、No)、再度、所定時間Tが経過した後に(S4、Yes)、循環ポンプ13の回転速度指令を第2所定回転速度低下させる。このように、循環ポンプ13の回転速度が最低回転速度に到達せず(S6、No)、かつ、循環ポンプ13が動作停止していない場合には(S7、No)、所定時間T経過ごとに(制御周期ごとに)、循環ポンプ13の回転速度を第2所定回転速度ずつ低下させていく。
循環ポンプ13が動作停止した場合には(S7、Yes)、ステップS8に進み、制御部50は、循環ポンプ13が動作停止したときの回転速度に、第2所定回転速度を加算した値を、新たな最低回転速度として設定し(記憶し)、ステップS3に戻る。このように、循環ポンプ13が動作停止(動作不能)となったときに、動作停止(動作不能)直前に設定されていた循環ポンプ13の回転速度に戻すことで(動作停止回転速度+第2所定回転速度)、循環ポンプ13を動作可能な最低回転速度として設定することができる。
一方、循環ポンプ13の回転速度が最低回転速度(または新たな最低回転速度)に到達した場合には(S6、Yes)、制御部50は、ステップS9において、循環ポンプ13を現在設定されている最低回転速度で制御する(回転制御を継続して実行する)。
そして、ステップS10に進み、温度センサ10で検出した蒸発器6の出口温度(蒸発器出口温度)が第2所定温度以上であるか否かを判定する。なお、第2所定温度は、例えば、温度センサ14で検出した外気温度を考慮して事前の試験等に基づいて決定することができる。第2所定温度は、例えば、10℃に設定される。制御部50は、蒸発器出口温度が第2所定温度以上でないと判定した場合には(No)、ステップS9に戻り、また蒸発器出口温度が第2所定温度以上であると判定した場合には(Yes)、ステップS11に進む。
ステップS11において、制御部50は、圧縮機3を沸き上げ運転に必要な回転速度に制御し、減圧弁5を沸き上げ運転に必要な開度に絞り、送風機7をオンにする。なお、第2所定温度は、外気温度に基づいて決定するものに限定されず、外気温度を含めて他の温度センサの温度を考慮して決定してもよい。
なお、ステップS10については、蒸発器出口温度が第2所定温度以上になったか否かに基づいて判定するものに限定されず、循環ポンプ13が最低回転速度(または新たな最低回転速度)に到達したときから(S6、Yes)、最大除霜時間(所定時間)が経過したか否かに基づいて判定してもよい。ところで、除霜運転をすると、蒸発器6の表面を霜が溶けて水が滴り落ちるが、水が滴っているうちに除霜運転が終了すると、氷ができて空気が通る通路を塞ぐおそれがある。したがって、第2所定温度は、水が残らない温度に設定される。また、最大除霜時間は、水が残らない時間に設定される。なお、第2所定温度や最大除霜時間は、事前の試験等に基づいて決定される。
また、図3のタイムチャートに示すように、例えば、沸き上げ運転を実行している場合において、時刻t0において、蒸発器出口温度が第1所定温度以下となり(S1、Yes)、除霜運転が開始された場合には(S2)、循環ポンプ13を第1所定回転速度まで低下させる(S3)。そして、循環ポンプ13を第1所定回転速度で所定時間T動作させた後(S4、Yes)、循環ポンプ13の回転速度指令を第2所定回転速度分低下させる(S5)。このようにして、最低回転速度になるまで(S6、Yes)、循環ポンプ13の回転速度を所定時間T経過ごとに第2所定回転速度ずつ低下させる。
そして、循環ポンプ13が最低回転速度に到達する前の時刻t1において(S6、No)、循環ポンプ13の動作が停止した場合(S7,Yes:動作不能、脱調)、循環ポンプ13の最低回転速度(初期値)を、新たな最低回転速度(動作停止検知後の最低回転速度)に置き換える(S8)。この新たな最低回転速度は、循環ポンプ13が動作停止したときの動作停止回転速度に第2所定回転速度を加算することにより得られる。なお、図3では、循環ポンプ13が動作途中(時刻t1)において動作停止した(動作不能になった、脱調した)場合を示している。
そして、時刻t2において、循環ポンプ13の回転速度を第1所定回転速度まで上昇させる(戻す)。これは、一般的に、停止した循環ポンプ13を再度動作させる場合には、一旦最低回転速度よりも高い回転速度で動作させる方がスムーズだからである。そして、循環ポンプ13を、新たに設定された最低回転速度に向けて、所定時間T経過ごとに第2所定回転速度ずつ低下させる(S4,S5,S6でNo、S7でNo)。
そして、時刻t3において、循環ポンプ13の回転速度が新たに設定された最低回転速度に到達した場合には(S6、Yes)、循環ポンプ13を新たに設定された最低回転速度で、蒸発器出口温度が第2所定温度以上となるまで除霜運転を継続する(S9、S10)。
そして、時刻t4において、蒸発器出口温度が第2所定温度以上となった場合には(S10、Yes)、除霜運転を終了し(S11)、沸き上げ運転を開始する(時刻t4以降)。
ところで、このような最低回転速度検出動作は、除霜運転の度に行われるものである。これは、水温によって密度が変わることで循環ポンプ13の負荷も変わるため、除霜運転ごとに最低回転速度が変化し得るからである。また、熱交換器内のスケール等の蓄積によって水の流れ易さも長期的に変化し得るため、除霜運転の度に最低回転速度検出動作を行うことが好ましい。但し、最低回転速度検出動作を毎度行うことは必須ではなく、制御の簡素化や熱ロス等の防止のために、最低回転速度検出動作を一度行った後は再度行わないようにしてもよく、一定期間ごとに行うこととしてもよい。
以上説明したように、第1実施形態によれば、除霜運転を実行する際、まず(除霜運転の開始時に)循環ポンプ13を第1所定回転速度で動作させ、循環ポンプ13を最低回転速度に向けて、循環ポンプ13を所定時間T経過ごとに第2所定回転速度ずつ低下させながら動作させることで、給湯機Sの設置形態や給湯機Sを構成する物のばらつきに拘らず、最低の回転速度で除霜運転を実行することができる。しかも、循環経路に微少の流量の水が循環することで循環経路を構成する配管が凍結するのを防止できる。
また、第1実施形態によれば、循環ポンプ13が最低回転速度に到達する前に動作停止した場合には、循環ポンプ13が動作停止したときの回転速度に第2所定回転速度を加算した回転速度を新たな最低回転速度として設定し、その後、循環ポンプ13が新たな最低回転速度に到達するまで、循環ポンプ13を所定時間T経過ごとに第2所定回転速度ずつ低下させながら動作させることで、循環ポンプ13を新たな最低回転速度で動作させることができ、除霜運転が途中で停止するといった不都合を防止することができる。
また、第1実施形態によれば、最低回転速度または新たな最低回転速度に到達した場合には、除霜運転が終了するまで循環ポンプ13を最低回転速度または新たな最低回転速度で動作させるので、循環ポンプ13を最低回転速度(新たな最低回転速度)で動作させつつ除霜運転を終了させることができる。
(第2実施形態)
給湯機Sにおける第2実施形態の除霜運転時の動作について図4および図5を参照して説明する。図4は、第2実施形態に係る除霜運転時の動作を説明するフローチャート、図5は、第2実施形態に係る除霜運転時の循環ポンプの動作を示すタイムチャートである。また、図5に示す実線G3は、循環ポンプ13の回転速度を示し、実線G2は、蒸発器出口温度を示す。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様の処理については、同一のステップ符号を付して重複した説明を省略する。
第1実施形態では、図2に示したように、循環ポンプ13が最低回転速度(初期値)に到達する前(S6、No)に動作停止して(S7、Yes)、新たな最低回転速度を設定した場合には(S8)、ステップS3に戻って、循環ポンプ13を再び第1所定回転速度で動作させて、新たな最低回転速度に到達するまで(S6、Yes)所定時間T経過ごとに(S4、Yes)第2所定回転速度ずつ低下(S5)させながら動作させていた。これに対して、第2実施形態では、図4に示すように、循環ポンプ13が最低回転速度(初期値)に到達する前(S6、No)に動作停止して(S7、Yes)、新たな最低回転速度を設定した場合には(S8A)、ステップS9に進み、循環ポンプ13を第1所定回転速度まで戻すことなく、直ちに循環ポンプ13を新たな最低回転速度で動作させるようにしたものである。
また、図5のタイムチャートに示すように、循環ポンプ13が最低回転速度に到達する前の時刻t1において(S6、No)、循環ポンプ13の動作が停止した場合(S7、Yes:動作不能、脱調)、その後の時刻t2において、最低回転速度(初期値)を置き換えた新たな最低回転速度(動作停止検出後)で直ちに動作させるものである。
このように、前記した第1実施形態では、時刻t2において循環ポンプ13の回転速度を第1所定回転速度まで上昇させた後、所定時間T経過ごとに第2所定回転速度ずつ低下させることとしたが、第2実施形態では、時刻t2において循環ポンプ13の回転速度を第1所定回転速度まで上昇させずに、新たに設定された最低回転速度に一度に低下させるものである。
以上説明したように、第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、第1実施形態において第1所定回転速度から新たな最低回転速度まで低下させたときに必要であった電力を削減することができる。
なお、本発明はホール素子を用いて磁界を検出する方式の循環ポンプにも適用可能である。