以下本発明を図示実施例に基づいて詳述すると、図示例の洗浄装置1は、図1及び図2に示すように、往復式電気かみそりである小型電気機器Eの刃ヘッド部Eaを洗浄するためのものになっている。そして、洗浄装置1は、小型電気機器Eを倒立させた状態でその刃ヘッド部Eaを差し込むための開口部20を上面に備える。
洗浄装置1は、図3と図5及び図6に示すように、その内部に洗浄皿5aと、洗浄液を貯留する容器7と、洗浄液を容器7と洗浄皿5aとの間で循環させるポンプPと、洗浄後の刃ヘッド部Eaを乾燥させるためのヒータユニットH及びモータファンFを備える。そして、洗浄装置1は、上部後方側に、小型電気機器Eとの間の電気的接続用の接続部を備えるサポート部Sを有する。
洗浄装置1は、洗浄液を入れた容器7がセットされる。そして、洗浄装置1は、開口部20を通じて洗浄皿5a内に小型電気機器Eの刃ヘッド部Eaを位置させ、サポート部Sの接続部で小型電気機器Eと電気的に接続される。洗浄装置1は、この状態でポンプPを作動させれば、ポンプPが容器7内の洗浄液を洗浄皿5a内に供給する。また、洗浄皿5aには越流堰54が設けてあり、越流堰54を超えた洗浄液は、洗浄皿5aの下方に位置する容器7内に戻る。洗浄装置1は、この洗浄中に、前記接続部を通じた給電及び信号の送信によって、小型電気機器Eの刃ヘッド部Eaを作動させることで、刃ヘッド部Eaの洗浄をより迅速に且つ効果的に行うことができる。
このように、洗浄装置1は、刃ヘッド部Eaが要洗浄部E1になっており、洗浄皿5aが要洗浄部E1を洗浄するための洗浄部5になっている。
次に各部について図5及び図6に基づき詳述する。洗浄装置1は、底板11と、この底板11に対して上下動が可能なベース基板12、ベース基板12上に設置される支持枠13、支持枠13の上縁によって四周上縁が支持される洗浄皿5aを有する。そして、洗浄装置1は、開口部20を備える天面カバー2、前記接続部が取り付けられるサポート台6、側面を覆う側面カバー15、前面に配される前面カバー16等をさらに有する。
底板11はその左右両側から夫々ガイド支柱110,110を立設しており、ベース基板12はガイド支柱110に沿って上下動自在となっている。また、底板11のガイド支柱110内には押し上げ棒111が配されており、押し上げ棒11はばね112を備える。そして、ベース基板12は押し上げ棒111によって、上方に向けて付勢されており、ベース基板12上には、スイッチプレート31が左右にスライド自在に配される。
スイッチプレート31は一端が側面カバー15から外部に露出する。そして、スイッチプレート31は、前記一端の反対側から、ばね32によって一端側に付勢される。スイッチプレート31は、ガイド支柱110上端に形成されたフック部115との係合部を備える。そして、スイッチプレート31は、ばね32の付勢に抗して押し込むことで、フック部115との係合が外れる。これによって、ベース基板12は、ばね112の付勢を受けて上動する。そして、ベース基板12は下方に押し込むことで、フック部115にスイッチプレート31が再係合する。これによって、ベース基板12は押し下げられた状態に保持される。
ベース基台12は、例えば、樹脂成形によって形成される。そして、ベース基板12は、下方に突出する筒状のモータカバー部120を備えており、モータカバー部120内にモータケース121を介してモータMが収容される。モータMは出力軸が、モータカバー部120の底面よりM字型シール122を介して下方に突出する。この出力軸には、図12にも示すように、羽根車123が取り付けられ、羽根車123の周囲には、ポンプカバー124が取り付けられており、ポンプカバー124は羽根車123を覆う。そして、ポンプカバー124は底部中央部に吸い込み口が開口する。なお、羽根車123が回転する時、ポンプカバー124の吸い込み口から吸引された洗浄液は、モータカバー部120に一体に設けた供給管126を通じて洗浄皿5aの給排水口56(詳細は後述する)へと送られる。
ベース基板12上には支持枠13を介して洗浄皿5aが配設される。洗浄皿5aは、軟質材、例えばゴムによって形成される。そして、洗浄皿5aは、その上縁から外周側に突出して先端が下方側に折り返された折り返し部50を備えており、上縁の天面には溝51が設けてある。洗浄皿5aは、折り返し部50を支持枠13上縁に被せた状態で、天面カバー2を組み付けられる。これによって、図8に示すように、天面カバー2の下縁に設けたリブ23が、溝51に嵌り込む。そして、天面カバー2と支持枠13との間では、洗浄皿5aの上縁が圧縮されて、この部分の防水が保たれる。
洗浄皿5aは、図13〜図15にも示すように、その内部に越流堰54を備える。越流堰54は、前部側を洗浄空間52とし、後部側をオーバーフロー部53として、洗浄皿5aを仕切っている。洗浄空間52の越流堰54側の壁面には、越流堰54と一体でリブ55が設けてある。そして、洗浄空間52では、小型電気機器Eの刃ヘッド部Eaを収める部分において、リブ55と、洗浄皿5aの内面に配置されるヘッドガイド35の支持部36との間で、刃ヘッド部Eaの前後方向の位置決めが行われる。また、洗浄皿5aの底面には、複数条の凸帯59が設けられてある。刃ヘッド部Eaは、凸帯59によって、洗浄皿5aの底面から少し浮かされた状態で支持される。
洗浄皿5aは、洗浄空間52の最低部に、給排水口56を備えており、オーバーフロー部53に、2つの排水口57,58を備えている。給排水口56は、ベース基台12に設けられた接続管126を介して、ポンプPに接続される。排水口57,58は、ベース基台12に設けられた接続管127,128に接続される。なお、これら接続管127,128は、容器7の直上に位置しており、排水口57,58を通る排水は、接続管127,128を通じて容器7に戻される。
排水口57は、排水口58に比べて、上面開口部が低い位置にある。排水口58は、排水口57に比べて上面開口部が高く且つ排水口57よりも越流堰54から遠い位置にある。そのため、2つの排水口57,58のうち、排水口57は洗浄液を循環させるための排水を担っており、排水口58は、排水口57が何らかの原因で詰まる等でその機能を果たせなくなった際やその機能が低下した際の非常用(補助用)となっている。そして、オーバーフロー部53の底面は、片側に位置する排水口57に向かって下り傾斜した傾斜面になっている。
洗浄皿5aは前縁の一側に、袋形状の壁体500が設けてある。そして、壁体500で囲まれた部分は、動作指示用のセレクト釦29の配置用であり、セレクト釦29は天面カバー2上に露出する。セレクト釦29は使用者に操作されることで、スイッチ棒290(図6参照)を介してスイッチ基板27(図5参照)のスイッチを駆動する。このように、使用者は、セレクト釦29で洗浄装置1の動作を指示することができる。そして、この動作時には、スイッチ基板27に設けた動作表示用の表示ランプが、導光板28を介して、前記指示に応じた表示を天面カバー2上に行う。なお、表示ランプには、容器7内の水量表示用のものも設けてある。
天面カバー2は背部カバー23を有する。サポート台6は、背部カバー23によって背面側が覆われるとともに、背部カバー23とでサポート部Sを構成する。そして、サポート台6は、複数の接点部39を備える。接点部39は、ばね37によって接点部支持部材38を介して前方に向けて個別に付勢される。そして、接点部39は、サポート台6の前面よりも突出しない状態でサポート台6前面に露出する。
接点部39の上方には、小型電気機器Eの吸着用としての磁石43とヨーク44とが設置される。小型電気機器Eは、洗浄皿5aに刃ヘッド部Eaを嵌め込んだ時、磁石43による磁気吸着でサポート部Sに引きつけられる。そして、小型電気機器Eは、小型電気機器Eの備える端子部Ebが接点部39に接触するとともに、端子部Ebで接点部39をばね37に抗して押し込む。これによって、小型電気機器Eは、接点圧を確保する状態で洗浄装置1に保持される。なお、接点部39と端子部Ebとの接触により、小型電気機器Eへの給電や洗浄装置1から小型電気機器Eへの信号伝達が可能な状態となる。
サポート部S内には、本体検知板42が接点部39と接して配してある。本体検知板42は、小型電気機器Eが装着されて接点部39が後退した時に接点部39から離れることで、小型電気機器Eが洗浄装置1に装着されたことを検出するためのものになっている。
サポート台6の下部には、吹き出し口66が設けてある。そして、この吹き出し口66部分の下縁は、洗浄皿5aの後部上縁の上に載置される。また、吹き出し口66の背面側にはモータファンFが装着される。モータファンFは洗浄装置1の背面に位置する吸込み口150から空気を吸い込み、吹き出し口66から刃ヘッド部Eaに向けて送風する。そして、モータファンFの吹出し口66は、刃ヘッド部Eaに向かって上方から送風して乾燥できるように斜め下方に向けられており、さらに効率良く風向きを変えるための整流板67を備える。
洗浄皿5aは洗浄空間52の裏面(下面)側に、加熱のためのヒータ機構Hが設置されている。ヒータ機構Hは、ヒータ線とヒータ板、ヒータ基台、温度制御用の温度検出器と異常加熱時の保護部品とを備える(図示せず)。そして、ヒータ機構Hは、ヒータ線からヒータ板、洗浄皿5a、洗浄皿5aの凸帯59を通じて、刃ヘッド部Eaに熱を伝達し、洗浄後の刃ヘッド部Eaの乾燥を促す。
ベース基台12上には、支持枠13を介して洗浄皿5a及び天面カバー2が組み付けられ、これらの外周を囲むように側面カバー15と前部カバー16とが取り付けられる。従って、前記底板11に対してベース基台12を上下動させる時、底板11と、底板11上に着脱自在に設置される容器7を除く他の部材は、全てベース基台12と一体に上下動を行う。なお、この上下動は、底板11上に配置する容器7の着脱操作のためである。
次に、容器7とこの容器7内に着脱自在に配されるフィルター枠8について図16〜図19に基づき説明する。容器7は、後部側の横幅が前部側の横幅よりも狭いカップ状になっている。そして、容器7は上面が開口しており、底板11上に設置されており、容器7内壁面には、給水ライン70が記されている。また、容器7下面には、複数個の凸状隆起部76を設けてある。これによって、容器7は、洗浄装置1外に容器7を置いた場合の安定性を確保するとともに、水洗い等により容器7下面に水滴が付着しても不用意に容器7を置いた場所に移着し難くしてある。
フィルター枠8は、容器7の下面の反対側の底面(容器7の内部側の面)を略覆う底板部80と、底板部80の後部から立ち上がるとともに両側縁が容器7の内壁面に接する仕切り壁81とを備える。そして、フィルター枠8は、容器7内壁面に設けた位置決め用の凸部74によって、容器7内に位置決めされる。また、容器7内は、フィルター枠8によって、仕切り壁7で仕切られる2つの空間7a,7bと、さらに容器7の底面から少し浮いた状態となる底板部80と容器7の底面との間の空間7cとの総計3つの空間に仕切られる。底板部80はその下面側に、升目状のリブ85を備えており、後部上面の空間7bに面する部分に、凹部88を備えている。容器7内にフィルター枠8を配した時、底板部80の周縁のうちの前縁部は、容器7の内壁面との間に間隔を開けた状態となる。
仕切り壁81の上部には分流部82が設けてある。分流部82は、仕切り壁81の上部に形成された傾斜面83に透過口84を備えると共に、透過口84の直下にあって傾斜面83とは逆の傾斜を有する傾斜面85を備える。そして、分流部82の傾斜面83上には、フィルター89が配設されており、フィルター89は、例えば、体毛等より細かいメッシュで構成される。
フィルター89及び透過口84を通らない洗浄液は、仕切り壁81と容器7内壁面との間の仕切られた空間7aから底板部80と容器7底面との間の空間7cと、底板部80の前縁部と容器7内壁面との間の隙間を通じて、底板部80の上面側の空間7bに流れる。フィルター89及び透過口84を通過した洗浄液は、傾斜面85に添って空間7cに流入する。なお、透過口84の開口面積は、フィルター89及び透過口84を通る洗浄液の方が、これらを通らずに空間7aを経て空間7cに入る洗浄液よりも多くなるようにしている。
小型電気機器Eの刃ヘッド部Eaを洗浄するにあたっては、スイッチプレート31を操作することで底板11に対して略全体を浮上させ、フィルター枠8を収めた容器7内に洗浄液を入れて底板11上に容器7を設置する。この時、容器7は底板11に設けたガイド板117によってガイドされ、さらに位置決め突起116によって位置決めされる。突起116は、容器7の外壁面に設けた係合凹所77(図18参照)に嵌り込むために、容器7が浮き上がることも防ぐ。
そして、洗浄装置1は、前記略全体を底板11側に押し下げれば、ベース基台12に設けたポンプPの下部が容器7内の洗浄液中に浸かる。また、この時にはベース基台12の周部下面に取付枠18で取り付けられたパッキン17を、容器7の上縁に外周側に突出するものとして形成された鍔部72とベース基台12下面との間で挟持するために、この部分の防水がなされる。
使用者は、洗浄装置1に対して、その上面の開口部20を通じて小型電気機器Eの刃ヘッド部7aを洗浄皿5a内に収め、小型電気機器Eの端子部Ebをサポート部Sの接点部39に接触させる。そして、洗浄装置1は、この状態で、或いはこの状態になるまでに、外部電源に接続される。
前記外部電源に接続した洗浄装置1は、セレクト釦29が操作されることで、洗浄を開始する。これによって、洗浄装置1はポンプPが作動して容器7内の洗浄液を接続管126及び給排水口56を通じて洗浄皿5aの洗浄空間52内に送り込む。そして、洗浄皿5aの越流堰54を超えた洗浄液は、排水口57と接続管127とを通じて容器7内に戻る。これによって、洗浄液は容器7内と洗浄皿5aとの間で循環する。なお、この洗浄に際して、洗浄装置1は、サポート部Sを通じて刃ヘッド部Eaの刃を駆動させることで、刃ヘッド部Eaの洗浄をより効果的に且つ迅速に行うことができて好ましい。
ところで、洗浄皿5a内の洗浄液は、越流堰54を超えてオーバーフロー部53に入り、前述のように排水口57及び接続管127から容器7内に戻る。そして、接続管127は、フィルター89の直上に位置しており、フィルター89は、容器7における空間7a内に位置する。そのため、洗浄等によって体毛等を含んだ洗浄液は、フィルター89を通ることで、体毛等が略除去された洗浄液(濾過した洗浄液)になる。そして、濾過した洗浄液は、傾斜面54によって空間7bに位置する凹部88側へと流れる。ポンプPの吸い込み口は凹部88に位置するため、濾過した洗浄液等の体毛等を略含まない洗浄液は再度ポンプPによって洗浄皿5aへと送られる。
また、体毛等を含んだ洗浄液の一部は、フィルター89を通ることなく、空間7aを流れ落ちて、容器7の底部の空間7cに入る恐れがある。例えば、このフィルター89を通らず流れた体毛等を含んだ洗浄液は、容器7の後部片側に位置する空間7aから、フィルター枠8下面と容器7底面との間の空間7cに入る。そして、この洗浄液や体毛等は、容器7底面に沿って広がり、フィルター枠8の底板部80前縁と容器7の前部内壁との隙間から空間7bへと流入する。ここで、洗浄皿5aへとポンプPで送り出される洗浄液は、前述の体毛等を略含まない洗浄液が主となるために、空間7cを通る洗浄液は、流量が少なく且つ流速もかなり低く(遅く)なる。しかも、空間7cに入った洗浄液や体毛等は、例えば底板部80や底板部70下面にある升目状のリブ85等によって、滞留が生じ易くなっている。そのため、フィルター89を通らなかった洗浄液に含まれる体毛等は、空間7cにおいて沈殿堆積し易くなり、空間7cを通った洗浄液は、体毛等が減少した状態になり易くなっている。
そして、空間7cを通った洗浄液は、容器7の前部側を通ってフィルター枠8の底板部80上を通り、その後、容器7の後部寄りで且つポンプPの吸い込み口の開口した凹部88に至る。そして、沈殿堆積した体毛等と前記吸い込み口との間には底板部80がある。そのため、洗浄装置1は、ポンプPで体毛等を再度吸い込んで洗浄皿5aに戻してしまうことが生じ難くなっている。
なお、空間7cは、通常数十回程度の洗浄動作による体毛堆積量を確保することができる容積としている。そして、使用者は容器7を洗浄装置1から取り出してフィルター枠8を取り外せば、堆積した体毛を洗い流すことができ、この後、新たな洗浄液を入れることで、初期の洗浄能力を取り戻すことができる。容器7の上縁に設けた前述の鍔72は外周側に張り出すものとして形成しており、このために容器7内の洗浄液を捨てるために容器7の開口部を下にした時、洗浄液(及び体毛等)をスムーズに排出することができる。なお、鍔72は止水のための剛性を確保するために設けたものであり、容器7の側壁の肉厚で剛性を確保できる場合は鍔72を設けなくてもよい。
洗浄が終了してポンプPが停止すれば、洗浄皿5a内の洗浄空間52にある洗浄液は、自然落下によって、給排水口56から接続口126及びポンプP(の羽根車123とポンプカバー124との間の空間)を通じて、容器7に戻る。羽根車123部分は容器7内の洗浄液に浸かっている状態である上に、洗浄終了時には洗浄空間52にある洗浄液は体毛等をほとんど含んでいないために、ポンプPを通るとはいえ、体毛等による詰まりは生じ難い。また、洗浄動作中にオーバーフロー部53における排水口57が詰まる等のことがあっても、排水口58が別に存在しているために、洗浄液が洗浄皿5aから溢れ出してしまうことは生じ難い。
また、容器7内の後方側の内壁面とモータカバー部120の外周との間の空間には、図1や図20に示すように、3本の水位検知ピン24(24a,24b,24c)が垂下して配設してある。言い換えると、水位検知ピン24は、容器7の空間7bに垂下して配置してある。そして、水位検知ピン24の下端は、容器7の給水ライン70より下方に位置する。そのため、水位検知ピン24の下部は、容器7内で、体毛等を略含まない洗浄液に浸漬される。
そして、洗浄液は導電性を有するために、これら3本の水位検知ピン24は、これらの間が洗浄液を介して導通可能となる。洗浄装置1は、水位検知ピン24間の導通時の電気抵抗値によって、容器7に貯留された洗浄液の水位を検知する。具体的には、洗浄装置1が、水位検知ピン24aと水位検知ピン24bとの間、及び水位検知ピン24aと水位検知ピン24cとの間に洗浄液がない場合での電気抵抗値の変化、例えば電気抵抗値が所定の値より大きくなる等、を利用して水位を検知する。そのため、水位検知ピン24aが、前記導通時に共通して用いられる所謂コモンピン25になっており、他の水位検知ピン24b,24cがコモンピン25と洗浄液を介して導通する検知用導通ピン26になっている。
また、水位検知ピン24は上端側が、ベース基台12に一体で設けた固定部129に固定してある。そして、固定部129は下端が、給水ライン70より上方に位置する。言い換えると、固定部129は容器7の洗浄水が貯留される浸水領域より上方(浸水領域外)に設けてある。このために、洗浄装置1は、固定部129、及び水位検知ピン24と各々の固定部129との間(境界部位)等に、容器7内の洗浄液が付着し難くなり、固定部129や前記境界部位等に、洗浄液の液溜りを生じ難くすることができる。これによって、洗浄装置1は、前記境界部位等での液溜りによる水位の誤検知を生じ難くすることができる。
そして、水位検知ピン24は、固定部129に弾性圧入又は溶入して取り付けて、或いは水位検知ピン24をインサートしてベース基台12を樹脂成形して(インサート成形して)、設けてある。これによって、洗浄装置1は、固定部129と水位検知ピン24との間(境界部位)に隙間を生じ難くなり、この境界部位に洗浄液の液溜りを生じ難くすることができる。そのため、洗浄装置1は、前記境界部位での液溜りによる水位の誤検知を生じ難くすることができる。
更に、水位検知ピン24は各々、周囲(周辺)に位置する周辺部材の壁面から所定の寸法C1以上離れて位置する。そして、この周辺部材の壁面は、例えば、容器7の内壁面やモータカバー部120の外周面等となっている。このように、洗浄装置1は、水位検知ピン24の洗浄液に触れる浸水部位と前記壁面との間の隙間を前記所定の寸法C1以上にしたことで、この隙間に洗浄液が表面張力等で滞留し難くすることができる。言い換えると、水位検知ピン24の前記浸水部位は、平面視において、前記壁面から表面張力等で洗浄液が滞留し難い程度の隙間を有する。これによって、洗浄装置1は、前記壁面との間での液溜りによる水位の誤検知を生じ難くすることができる。なお、前記所定の寸法C1は、例えば本例で8mm程度となっており、この寸法は、水位検知ピン24や各壁面の構成部材や形状、或いは表面処理の有無等に応じて適宜設定されるため、前記数値に限らない。
また、水位検知ピン24は各々、図1や図20及び図21に示すように、容器7内に位置する部位の上下の長さが異なる。具体的には、水位検知ピン24aが最も長く、水位検知ピン24bが最も短く、水位検知ピン24cが水位検知ピン24aより短く水位検知ピン24bより長い。そして、容器7内において、水位検知ピン24は各々下端位置の高さが異なる。具体的には、水位検知ピン24aの下端位置が最も低く、水位検知ピン24bの下端位置が最も高く且つ給水ライン70より下方に位置し、水位検知ピン24cの下端位置が水位検知ピン24aより高く水位検知ピン24bより低い。言い換えると、コモンピン25は、検知用導通ピン26に比べて、下端位置が容器7の底面に近い。
そのため、洗浄装置1は、2段階の洗浄液水位、例えば洗浄液の残量が少なくなってきた時と、洗浄液を循環させて洗浄(洗浄動作)を行うのに必要な量よりも少なくなった時(洗浄が不能となる時)とを検知することができる。具体的には、洗浄液の液面(洗浄液面W)が水位検知ピン24bの下端位置より下方に位置した時、洗浄液の残量が少なくなってきた時を検知する。そして、洗浄液面Wが、水位検知ピン24cの下端位置より下方に位置した時、洗浄液を循環させて洗浄を行うのに必要な量よりも少なくなった時(洗浄が不能となる時)を検知する。このように、洗浄装置1は、洗浄液の水位を2段階で検知したことで、水位検知の利便性を向上し易くすることができる。
更に例えば、水位検知ピン24bの下端位置がポンプカバー124の上端と略同じ高さに並び、水位検知ピン24cの下端位置がモータカバー部120の底面より若干上方、或いは略同じ高さに並ぶ。これによって、洗浄装置1は、前記洗浄が不能となる時に、モータMの空転を生じ難くすることができる。
ところで、洗浄装置1は、略水平な設置面に設置した場合、図21(a)に示すように、洗浄液面Wが容器7の底面と略平行な状態になる。しかしながら、このような略水平な設置面に設置する場合に限らず、傾斜した設置面に設置したり、底板11の下方に誤って電源コードや櫛等を介在した状態で設置面に設置したり等、底板11が水平面に対して傾斜した状態で設置することがある。
そして、この傾斜した状態で設置した場合、例えば、図21(b)に示すように、洗浄液面Wが、容器7の底面に対して傾斜した状態になる。この洗浄液面Wが傾斜した状態の場合、容器7の底面に略直交する高さにおいて、水位検知ピン24aの洗浄液面Wとの交点は、他の水位検知ピン24b,24cの洗浄液面Wとの交点より低くなる。言い換えると、洗浄液面Wが傾斜した場合、コモンピン25の洗浄液面Wとの交点が、検知用導通ピン26の洗浄液面Wとの交点より、容器7の底面に近い位置となる。
ここで、洗浄装置1は、複数の検知用導通ピン26を備え、検知用導通ピン26のうち、一方の検知用導通ピン26(水位検知ピン24c)の下端位置が、他の検知用導通ピン26(水位検知ピン24b)の下端位置より低く位置する。これによって、洗浄装置1は、洗浄液面Wが傾斜した際に、一部の検知用導通ピン26が非浸水状態になっても、他の一部の検知用導通ピン26を浸水状態にすることができる。言い換えると、水位検知ピン24cは、洗浄液面Wが傾斜した際に、水位検知ピン24bに比べて、洗浄液と接し易く(洗浄液に浸漬され易く)なっている。
このために、洗浄装置1は、洗浄液面Wが傾斜した状態の際に、検知用導通ピン26が1本の場合に比べて、コモンピン25と検知用導通ピン26との洗浄液を介した導通を確保し易くすることができる。これによって、洗浄装置1は、前記傾斜した際に、洗浄液面Wの傾斜による水位検知への影響を軽減し易くすることができて、容器7内の洗浄液の水位検知の精度を向上し易くすることができる。
更に、図21に示すように、水位検知ピン24a(コモンピン25)の下端位置が、他の水位検知ピン24b,24c(検知用導通ピン26)よりも、さらに低く位置する。そして、コモンピン25は、洗浄液面Wが傾斜した際に、検知用導通ピン26に比べて、洗浄液と接し易く(洗浄液に浸漬され易く)なっている。これによって、洗浄装置1は、傾斜した状態で設置した際の検知余裕を持たすことができて、水平面に対する底板11の傾き具合による検知精度の低下を抑制することができる。言い換えると、洗浄装置1は、傾斜した状態で設置した際に、検知用導通ピン26に比べてコモンピン25を浸水状態に確保し易くすることができて、前記傾き具合による使用回数の影響を軽減し易くすることができる。
更に、洗浄装置1は、洗浄液面Wが水平面に対して傾斜した際に許容可能な傾斜角度(許容角度α)が設定してある。許容角度αは、例えば、容器7から洗浄皿5aに洗浄液を供給可能で、且つ洗浄皿5a(洗浄部5)で要洗浄部E1を洗浄可能な状態となる傾斜角度の限界値になっている。
そして、検知用導通ピン26のうち最も下端の低い検知用導通ピン26(水位検知ピン24c)の下端と、水位検知ピン24aの下端との上下高さの差(前記下端間の上下寸法H1)は、許容角度αに基づいて設定してある。
具体的には、水位検知ピン24cとコモンピン25との水平面上での間の距離をL1とすると、前記上下寸法H1は、前記距離L1に許容角度αの正接(tanα)を掛けた値以上に設定される(H1≧L1×tanα)。言い換えると、前記延長した長さH1は、水位検知ピン24cの下端を通る水平面上に底辺を有し且つ許容角度αの鋭角を有し且つコモンピン25に沿って高さを有した仮想直角三角形における前記高さより大きい、或いは略同じ寸法になっている。
これによって、洗浄装置1は、許容角度α内で設置した場合、水位検知ピン24a,24c間で、例えば前記洗浄が不能となる時を検知することができて、前記傾き具合による検知精度の低下を抑制することができる。
また、コモンピン25は、水平面上で最も近い検知用導通ピン26(水位検知ピン24b)との間の距離L2が、水平面上で隣り合う検知用導通ピン26(水位検知ピン24b,24c)同士の間の距離L3に比べて、大きい寸法になっている。言い換えると、水位検知ピン24の配置は、検知用導通ピン26同士の並ぶ間隔に比べて、検知用導通ピン26とコモンピン25との並ぶ間隔を広く設定してある。
そのため、洗浄装置1は、コモンピン25と検知用導通ピン26との洗浄液を介した導通時に、電気抵抗値を大きい値にし易くすることができる。これによって、洗浄装置1は、導通によって水位検知ピン24に生じ得る電蝕(電気化学的腐蝕)の進行を抑制し易くすることができて、水位検知ピン24の電蝕による耐久性能の低下(劣化)や検知精度の低下等を軽減し易くすることができる。
また、水位検知ピン24の並びは、例示の構成に限らない。例えば、図22に示すように、水位検知ピン24bの下端位置が水位検知ピン24cの下端位置より下方に位置してもよい。言い換えると、水位検知ピン24bと水位検知ピン24cとを入れ替えて設けてもよい。
次に、変形例(第2例)を示す。なお、前述の第1例と重複する構成は、同じ符号を付し、重複する説明は省略して、本例(第2例)の特徴等を説明する。
本例では、図23に示すように、洗浄液流下用のリブ9を備える。リブ9は、固定部129の水位検知ピン24との境界部位に設けてあり、水位検知ピン24に沿って下方に長い。そして、リブ9は一側端が水位検知ピン24に接して形成してある。
そのため、前記境界部位に洗浄液が付着した際には、この洗浄液がリブ9の側端等に沿って下方に流動し易い(流下し易い)。これによって、洗浄装置1は、前記境界部位への液溜りを生じ難くすることができて、液溜りによる水位の誤検知を抑制して、検知精度を向上し易くすることができる。
なお、リブ9は、水位検知ピン24に沿って設ける場合、水位検知ピン24をインサートして樹脂成型する等で、水位検知ピン24との間に隙間を生じ難くして設けることが好ましい。また、リブ9は、水位検知ピン24に沿って設けたものに限らず、例えばリブ9を下方側程水位検知ピン24から離れるよう傾斜して設けて、洗浄液を流下し易くすることで、水位検知ピン24との間に液溜りを生じ難くしてもよい。
また、他の変形例(第3例)を示す。なお、前述の第1例や第2例と重複する構成は、同じ符号を付し、重複する説明は省略して、本例(第3例)の特徴等を説明する。
本例では、図24に示すように、洗浄液流下用のリブ9がモータカバー部120の外周と固定部129との間に跨って設けてある。そして、リブ9は、モータカバー部120及び固定部129に側端の略全体が接しており、モータカバー部120及び固定部129と一体に形成してある。更に、リブ9は、固定部129の水位検知ピン24との境界部位より下方側の部位が、下方側程モータカバー部120側に近づく傾斜面になっている。言い換えると、リブ9は前記下方側の部位が、下方側程水位検知ピン24から離れる形状になっている。
これによって、洗浄装置1は、固定部129の水位検知ピン24との境界部位に付着した洗浄液を、例えばリブ9の傾斜面等に沿って、下方に流動し易くすることができる。そして、洗浄装置1は、リブ9によって洗浄液を流下し易くしたことで、水位検知ピン24と周辺部材の壁面との間に、洗浄液が表面張力等で滞留し難くすることができる。更に、洗浄装置1は、リブ9の前記境界部位より下方側を下方側程水位検知ピン24から離れる形状としたことで、流下した洗浄液が水位検知ピン24とリブ9との間に滞留し難くすることができる。
このために、洗浄装置1は、水位検知ピン24に液溜りを生じ難くすることができて、液溜り等による水位の誤検知を抑制して、検知精度を向上し易くすることができる。なお、リブ9は側端を容器7の内壁面に接触して設けてもよい。また例えば、リブ9は全体をモータカバー部120や容器7内壁面等の周辺部材に接触して設けたものに限らず、下端のみ等の下方の一部のみを周辺部材に接触して設けたものであってもよい。
また、本発明は、前述で例示した各構成のみに限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更を行うことや、各例の構成を組み合わせて用いることが可能である。また例えば、1本のコモンピン25と、3本以上の検知用導通ピン26を備えたものであってもよい。また例えば、水位検知ピン24は各々、同じ長さや形状で形成して、固定部から下方への突出量を調整する等で、各々の下端位置を異ならせてもよい。