JP5948617B2 - 真空断熱材、並びにこれを備えた冷蔵庫、ジャーポット及び住宅 - Google Patents
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Description
本発明は、繊維集合体からなる芯材を外被材内に減圧密封した真空断熱材に関するものである。
近年、地球環境問題である温暖化の対策として、省エネルギーを推進する動きが活発となっており、温冷熱利用機器に関しては、熱を有効活用するという観点から優れた断熱性能を有する真空断熱材が普及しつつある。
真空断熱材とは、袋状に加工したガスバリア性を有する外被材内へグラスウールのように気相容積比率が高く微細な空隙を構成する芯材を挿入し、芯材を減圧密封したものである。
芯材の空隙径を減圧下における気体分子の平均自由行程よりも小さくすることで、気体熱伝導成分は小さくなり、また、1mm程度の微細な空隙では対流熱伝達成分の影響は無視できるようになる。さらに、室温付近では輻射成分の影響は軽微であるため、真空断熱材における熱伝導は、芯材の固体熱伝導成分と僅かに残る気体熱伝導成分が支配的であるとされている。
この芯材となるグラスウールは、大気からの圧縮荷重に対して芯材が形成する空隙を保持しなければならないため、減圧密封される前のグラスウールは気相容積比率が高いことから非常に嵩高い。また、剛性が不足しているため、グラスウールを袋状に加工された外被材内に収納することは非常に困難であった。
そこで、上記課題を解決するために、輻射率の小さな金属箔とシリカ系無機質繊維シートとを多数枚交互に積層してなる積層体を真空に対する大気圧に耐圧する密度まで積層方向に圧縮した状態で、熱伝導率の小さな材質よりなる糸で縫合した真空断熱材の芯材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら、上記従来の真空断熱材の芯材を説明する。図19は、特許文献1に記載された従来の真空断熱材の芯材の構成を示す断面図である。
図19に示すように、特許文献1に記載された従来の真空断熱材の芯材1は、熱輻射率の小さな金属箔2とシリカ系無機繊維質シート3とを多数枚交互に積層してなる積層体4を真空に対する大気圧に耐圧するまで積層方向に圧縮した状態で、熱伝導率の小さな材質よりなる糸5で縫合したものであり、芯材1のハンドリング性の改善が図れるとされている。
しかしながら上記特許文献1の構成では、一本の糸5で縫製するハンドステッチミシンを用いた縫製方法であるため、糸5と被縫製体である積層体4との交絡力が弱く、縫製後における積層体4の圧縮率が80%〜90%となる嵩高い無機繊維を縫製すると、無機繊
維の反発力によって積層体4から糸5が解け、積層体4に十分な剛性が付与されない。
維の反発力によって積層体4から糸5が解け、積層体4に十分な剛性が付与されない。
この積層体4を真空断熱材の芯材1として用いると、真空包装前後において芯材1の厚み方向における変形量が大きくなるため、真空包装後の真空断熱材は平面性が十分に確保されず、また真空断熱材の一部もしくは全体を減圧することで真空断熱材の内部真空度を検査する工程においても真空断熱材の平面性を確保することが困難である。
本発明は、上記従来の課題に鑑み、平面性を確保した真空断熱材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の真空断熱材は、少なくとも、繊維集合体からなり対向する2つの伝熱面を有する芯材と、前記芯材を覆う外被材とからなり、前記芯材を前記外被材内に減圧密封した真空断熱材であって、前記芯材の一方の前記伝熱面に露出する部分と他方の前記伝熱面に露出する部分と前記繊維集合体内に埋没する部分とを有する糸
を備え、前記糸は、着色剤が付与されていないものであって、前記糸の断面積より大きな断面積を有し、縫製後も前記繊維集合体の圧縮状態を保持し続ける大径部を有し、前記糸の張力により前記芯材が厚み方向に圧縮されているものである。
を備え、前記糸は、着色剤が付与されていないものであって、前記糸の断面積より大きな断面積を有し、縫製後も前記繊維集合体の圧縮状態を保持し続ける大径部を有し、前記糸の張力により前記芯材が厚み方向に圧縮されているものである。
糸の断面積よりも大きな断面積を有する大径部を設けたことで、大径部が縫製後も繊維集合体の圧縮状態を保持し続けるため、繊維集合体に剛性が付与される。この繊維集合体は芯材の厚み方向に圧縮されていることから、真空包装前後において繊維集合体の厚み方向に対する変形量が小さくなる。
本発明の真空断熱材は、真空包装前後において繊維集合体の厚み方向に対する変形量が小さいため、真空断熱材の平面性が確保される。また、この真空断熱材の一部または全体を減圧し真空断熱材の内部真空度を検査する工程においても真空断熱材の平面性を確保することができる。
第1の発明は、少なくとも、繊維集合体からなり対向する2つの伝熱面を有する芯材と、前記芯材を覆う外被材とからなり、前記芯材を前記外被材内に減圧密封した真空断熱材であって、前記芯材の一方の前記伝熱面に露出する部分と他方の前記伝熱面に露出する部分と前記繊維集合体内に埋没する部分とを有する糸を備え、前記糸は、着色剤が付与されていないものであって、前記糸の断面積より大きな断面積を有し、縫製後も前記繊維集合体の圧縮状態を保持し続ける大径部を有し、前記糸の張力により前記芯材が厚み方向に圧縮されている真空断熱材である。
糸の断面積よりも大きな断面積を有する大径部を設けたことで、大径部が縫製後も繊維集合体の圧縮状態を保持し続けるため、繊維集合体に剛性が付与される。この繊維集合体は芯材の厚み方向に圧縮されていることから、真空包装前後において繊維集合体の厚み方向に対する変形量が小さくなる作用を有する。
そして上記作用により、真空包装前後において繊維集合体の厚み方向に対する変形量が小さいため、真空断熱材の平面性が確保される。また、この真空断熱材の一部または全体を減圧し真空断熱材の内部真空度を検査する工程においても真空断熱材の平面性を確保することができる。
なお、繊維の種類に関して特に指定するものではないが、グラスウールやロックウール、アルミナ繊維、金属繊維など無機繊維や、ポリエチレンテレフタレート繊維など従来公知の材料が利用できる。なお、金属繊維を用いる場合は、金属の中でも比較的熱伝導性に整優れた金属からなる金属繊維は、好ましくない。
その中でも繊維自体の弾性が高く、また繊維自体の熱伝導率が低く、なおかつ工業的に安価なグラスウールを用いることが望ましい。さらに、繊維の繊維径は小さいほど真空断熱材の熱伝導率が低下する傾向にあるため、より小さい繊維径の繊維を用いることが望ましいが、汎用的でないため繊維のコストアップが予想される。したがって、真空断熱材用の繊維として一般的に使用されている比較的安価な平均繊維径が3μm〜6μm程度の集合体からなるグラスウールがより望ましい。
本発明における伝熱面とは、繊維の集合体を繊維断熱体として用いた際に、最も広い面積となる面とその対向する面を指す。また、断熱のため真空断熱材を、比較的高温の面または比較的低温の面に配置した場合に、真空断熱材を配設した比較的高温の面または比較的低温の面と対向する真空断熱材の面とその対向する面を指す。また、複数の繊維断熱体を積層して使用する場合は、積層方向に対して垂直な各真空断熱材の面とその対向する面を指す。
本発明における外被材とは、真空断熱材の真空度を維持する役割を果たすものであり、最内層の熱溶着フィルムと、中間層としてのガスバリアフィルムとして金属箔や金属原子を蒸着した樹脂フィルムと、最外層として表面保護フィルムを、それぞれラミネートしたものである。
なお、熱溶着フィルムとしては特に指定するものではないが、低密度ポリエチレンフィルム、直鎖低密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム等の熱可塑性樹脂、或いはそれらの混合体が使用できる。
また、ガスバリアフィルムとしては、アルミニウム箔や銅箔などの金属箔や、ポリエチレンテレフタレートフィルムやエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム等の基材に、アルミニウムや銅等の金属やアルミナやシリカ等の金属酸化物を蒸着したフィルム等が使用できる。
また、表面保護フィルムとしては、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム等従来公知の材料が使用できる。
なお、ガスや水蒸気の侵入による気体熱伝導成分の増加を抑制するために、ゼオライトや酸化カルシウム等のように、真空断熱材に侵入するガスや水蒸気を補足する吸着剤を芯材とともに減圧密封することが望ましい。
また、真空断熱材の製造方法に関しては、特に指定するものではないが、一枚の外被材を折り返し、対向する外被材の端部に位置する熱溶着フィルム同士を熱溶着することで得た袋状の外被材内へ芯材を挿入し、減圧下にて袋状外被材の開口部に位置する熱溶着フィルム同士を熱溶着する方法や、熱溶着フィルム同士が対向するよう二枚の外被材を配置し、各外被材の端部に位置する熱溶着フィルム同士を熱溶着することで得た袋状の外被材内に芯材を挿入し、減圧下にて袋状外被材の開口部付近に位置する熱溶着フィルム同士を熱溶着する方法が利用できる。
本発明における糸とは、繊維の集合体を圧縮するための役割を果たすものである。なお、糸の材質を特に指定するものではないが、繊維集合体を構成する材質や、繊維集合体を所定の嵩密度まで圧縮する度合いに応じて、綿や絹などの天然繊維や、ポリエチレンテレフタレートやナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成糸や、ガラス長繊維や金属長繊維などの無機糸が使用できる。
しかし、断熱材の断熱効果を確保する目的や、減圧下において発生する有機ガスを抑制する目的や、より高い剛性を有する断熱材を提供する目的から、ポリエチレンテレフタレートやナイロンなどの合成樹脂からなる有機繊維を用いることがより望ましい。
さらに、糸の形態を特に指定するものではないが、一本の糸で構成されたモノフィラメントや、複数の糸で構成される撚り糸や、撚り糸に嵩高加工を施したウーリー糸や、伸縮性を有するゴム状の糸や、加熱により収縮する糸や、合成樹脂をI型に成型した商品タグを取り付ける部材などが利用できる。
また、一般的な縫製糸は、縫製時の糸滑りを良くする目的や撚糸工程の糸切れを防止する目的で糸の表面に油剤がコーティングされている。この油剤がコーティングされた糸を繊維断熱体へ適用すると、減圧下にて有機ガスの発生原因となるため、油剤は可能な限り少ない事が好ましい。なお、前述のモノフィラメントは、撚糸工程が無いため油剤の付着量が0.1%〜0.3%重量比と撚り糸に比べて少ない。よって、モノフィラメントを本発明に適用することがより望ましいと考える。
さらに、一般的な縫製糸には、意匠性を鑑みて着色剤が付与されている。この着色剤が付与された糸を繊維断熱体へ適用すると前述の油剤と同様に、減圧下にて有機ガスの発生原因となるため着色剤が付与されていない生成の糸がより望ましい。
本発明における大径部とは、糸に備えられたものであり、かつ、繊維集合体に埋没した糸の断面積よりも大きな断面積を有する部分を指す。なお、大径部の種類や形状を特に指定するものではないが、縫い終わり箇所に縫製針を当て、針に糸を巻きつけた後に針を抜いて引き締めたものや、糸を絡ませて節を形成したものや、糸を他の部材に係留したものや、糸を他の部材と絡ませたものが考えられる。
また、特に、前記大径部は、玉結びにより形成したものである。
また、特に、前記大径部は、前記糸の端部に輪を作り、輪の中に前記糸を通すことにより形成したものである。
また、特に、前記大径部は、前記糸の空環により形成したものである。
これにより、大径部となる空環は糸の結び目が複数連なっているため、何らかの原因で大径部の一部が繊維集合体内へ埋没した場合であっても他の大径部が繊維集合体の圧縮状態を保持し続けるため、繊維集合体に剛性が付与される作用を有する。
本発明における空環とは、繊維集合体を介さずに形成された糸の縫い目を指す。なお、空環は、繊維集合体を本縫いや単環縫いや二重環縫いによって形成されるものである。
また、特に、前記糸は、前記芯材の長手方向に平行に、並縫いしたものである。
また、特に、前記糸は、前記芯材の長手方向に平行に、半返し縫いしたものである。
また、特に、前記糸は、互いに隔離して配置された複数の糸であるものである。
また、特に前記大径部と前記伝熱面との間に、前記糸が貫通または交絡する係留部材を設けたものである。
これにより、繊維集合体に対して係留部材が楔の役割を果たすため、繊維集合体に付与された剛性がより強固になるという作用を有する。
本発明における係留部材とは、糸を固定する役割を果たすものである。なお、糸の固定方法を特に指定するものではないが、係留部材に糸を絡ませる方法や、係留部材を貫通するように糸を配置し、係留部材上に係留部材の貫通孔よりも大きな大径部を糸で形成する方法が考えられる。
また、係留部材の形状を特に指定するものではないが、針金のような棒状や、フィルムや不織布のようなシート状や、孔を有するボタン状など様々な形状が考えられる。しかし、真空断熱材の平面性を確保する目的や外被材の損傷を抑える目的から、係留部材の厚みは1mm以内が望ましい。
また、不織布を係留部材として用いると、糸が不織布に絡まり易くなるため、大径部の大きさを小さくすることができる。なお、フィルムやシートを伝熱面全体に設けると、繊維集合体を全体的に圧縮する作用が得られるため、真空断熱材の平面性が確保し易くなる効果が得られる。
また、第2の発明は、特に、第1の発明において、前記大径部は、前記繊維集合体の前記伝熱面に留まった、または、前記繊維集合体に埋没したものである。
また、第3の発明は、特に第1または2の発明の真空断熱材を備えた冷蔵庫である。
また、第4の発明は、特に第1または2の発明の真空断熱材を備えたジャーポットである。
また、第5の発明は、特に第1または2の発明の真空断熱材を備えた住宅である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における真空断熱材の構成を示す断面図、図2は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材の伝熱面を示す平面図、図3は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材を図2のA−A線の位置で切断し、その断面を矢印の方向から見た場合の断面図である。
図1は本発明の実施の形態1における真空断熱材の構成を示す断面図、図2は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材の伝熱面を示す平面図、図3は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材を図2のA−A線の位置で切断し、その断面を矢印の方向から見た場合の断面図である。
図1から図3に示すように、本実施の形態の真空断熱材6は、繊維集合体7からなり対向する二つの伝熱面8を有する芯材9と、水分吸着材12と、芯材9及び水分吸着材12を覆う外被材10とからなり、芯材9が外被材10内に減圧密封されたものである。また、芯材9は、一方の伝熱面8に露出する部分と他方の伝熱面8に露出する部分と繊維集合体7内に埋没する部分とを有する糸5を備え、糸5には繊維集合体7内を厚み方向に移動することが困難な大きさの複数の大径部11が繊維集合体7内に埋没する部分を挟んで伝熱面8に露出している。なお、大径部11は糸5を結んで形成されている。そして、糸5の張力により、繊維集合体7が厚み方向に圧縮されている。
本実施の形態では、複数(図2では6本)の糸5で、互いに所定間隔離して、芯材9の長手方向に平行に、並縫いしている。そして、伝熱面8に露出する部分毎に糸5の玉結びにより大径部11を形成している。なお、糸5は、繊維集合体7内を貫通する箇所がほぼ均等に分布し、伝熱面8に露出する部分が、芯材9の長手方向に垂直に並ぶようにしている。
本実施の形態では、繊度が205dtexのポリエチレンテレフタレートを糸5として用い、糸5の端部に輪を作り、輪の中に糸5を通すことで大径部11を形成した。この糸5の他端を目付量2,400g/m2のグラスウールからなる繊維集合体7(厚み150mm)を貫通させた後、繊維集合体7の伝熱面8上に糸で輪を作り、その輪の中に糸を通すことで糸5に大径部11を形成した。この作業を繰り返すことで、図2および図3の形状となる芯材9を手に入れた。
この芯材9の厚みは15mmであり、また取り扱いは良好であったため、本実施の形態における繊維集合体7の圧縮効果は十分であると判断した。
次に、芯材9を酸化カルシウムからなる水分吸着材12とともに袋状の外被材10内へ挿入し、外被材10内を減圧密封することで真空断熱材6を手に入れた。この真空断熱材6の厚みを測ると9.8mmであり、真空断熱材6の伝熱面に波打ちなどの変形は見られないことから平面性は良好であると判断した。
以上のように構成された芯材9は、糸5よりも大きな断面積を有する大径部11が繊維集合体の伝熱面8に留まり、縫製後も繊維集合体7の圧縮状態を保持し続けるため、繊維集合体7に剛性が付与される。これによって、この繊維集合体7を用いた真空断熱材6は厚み方向に圧縮されていることから、真空包装前後において繊維集合体7の厚み方向に対する変形量が小さくなり、真空断熱材6の平面性が確保される。また、この真空断熱材6の一部または全体を減圧し真空断熱材6の内部真空度を検査する工程においても真空断熱材6の平面性を確保することができる。
さらには、上下2本の糸を使ってミシンで本縫い方法に比べて、繊維集合体7内に埋没する糸の数が減少し、熱橋が低減するという付帯効果が生じる。
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2における真空断熱材に用いた芯材の伝熱面を示す平面図、図5は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材を図4のB−B線の位置で切断し、その断面を矢印の方向から見た場合の断面図である。
図4は本発明の実施の形態2における真空断熱材に用いた芯材の伝熱面を示す平面図、図5は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材を図4のB−B線の位置で切断し、その断面を矢印の方向から見た場合の断面図である。
図4、図5に示すように、本実施の形態の真空断熱材6は、実施の形態1の真空断熱材6と同様に、繊維集合体7からなり対向する二つの伝熱面8を有する芯材9と、水分吸着材12と、芯材9及び水分吸着材12を覆う外被材10とからなり、芯材9が外被材10内に減圧密封されたものである。また、芯材9は、一方の伝熱面8に露出する部分と他方の伝熱面8に露出する部分と繊維集合体7内に埋没する部分とを有する糸5を備え、糸5の両端には、それぞれ繊維集合体7内を厚み方向に移動することが困難な大きさの大径部11が繊維集合体7内に埋没する部分を挟んで伝熱面8に露出している。そして、糸5の張力により、繊維集合体7が厚み方向に圧縮されている。
本実施の形態では、I型の形状に成型され、直径が0.5mmのナイロン樹脂を糸5として用い、タグガン呼ばれる冶具を用いて糸5の他端が直線となるよう曲げ、目付量2,400g/m2のグラスウールからなる繊維集合体7(厚み150mm)を一方の伝熱面8から他方の伝熱面8へ貫通させた。この作業を芯材9の伝熱面8において千鳥状になるように繰り返すことで図4および図5の形状となる芯材9を手に入れた。
この芯材9の厚みは20mmであり、また取り扱いは良好であったため、本実施の形態における繊維集合体7の圧縮効果は十分であると判断した。
次に、芯材9を酸化カルシウムからなる水分吸着材12とともに袋状の外被材10内へ挿入し、外被材10内を減圧密封することで真空断熱材6を手に入れた。この真空断熱材6の厚みを測ると10mmであり、真空断熱材6の伝熱面に波打ちなどの変形は見られないことから平面性は良好であると判断した。
以上のように構成された芯材9は、糸5よりも大きな断面積を有する大径部11が繊維集合体の伝熱面8に留まり、縫製後も繊維集合体7の圧縮状態を保持し続けるため、繊維集合体7に剛性が付与される。これによって、この繊維集合体7を用いた真空断熱材6は厚み方向に圧縮されていることから、真空包装前後において繊維集合体7の厚み方向に対する変形量が小さくなり、真空断熱材6の平面性が確保される。また、この真空断熱材6
の一部または全体を減圧し真空断熱材6の内部真空度を検査する工程においても真空断熱材6の平面性を確保することができる。
の一部または全体を減圧し真空断熱材6の内部真空度を検査する工程においても真空断熱材6の平面性を確保することができる。
さらには、上下2本の糸を使ってミシンで本縫い方法に比べて、繊維集合体7内に埋没する糸の数が減少し、熱橋が低減するという付帯効果が生じる。
(実施の形態3)
図6は本発明の実施の形態3における真空断熱材に用いた芯材の伝熱面を示す平面図、図7は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材を図6のC−C線の位置で切断し、その断面を矢印の方向から見た場合の断面図である。
図6は本発明の実施の形態3における真空断熱材に用いた芯材の伝熱面を示す平面図、図7は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材を図6のC−C線の位置で切断し、その断面を矢印の方向から見た場合の断面図である。
図6、図7に示すように、本実施の形態の真空断熱材6は、実施の形態1の真空断熱材6と同様に、繊維集合体7からなり対向する二つの伝熱面8を有する芯材9と、水分吸着材12と、芯材9及び水分吸着材12を覆う外被材10とからなり、芯材9が外被材10内に減圧密封されたものである。また、芯材9は、一方の伝熱面8に露出する部分と他方の伝熱面8に露出する部分と繊維集合体7内に埋没する部分とを有する糸5を備え、糸5の両端近傍には繊維集合体7内を厚み方向に移動することが困難な大きさの大径部11が繊維集合体7内に埋没する部分を挟んで伝熱面8に露出している。なお、大径部11は糸5を結んで形成されている。そして、糸5の張力により、繊維集合体7が厚み方向に圧縮されている。
本実施の形態では、複数(図6では6本)の糸5で、互いに所定間隔離して、芯材9の長手方向に平行に、半返し縫いしている。そして、糸5の両端近傍の伝熱面8に露出する部分には糸5の玉結びにより大径部11を形成している。なお、糸5は、繊維集合体7内を貫通する箇所がほぼ均等に碁盤目状に分布するようにしている。
本実施の形態では、繊度が110dtexのナイロンを糸5として用い、糸5の端部に輪を作り、輪の中に糸を通すことで大径部11を形成した。この糸5の他端を目付量2,400g/m2のグラスウールからなる繊維集合体7(厚み150mm)の一方の伝熱面8から他方の伝熱面8へ貫通させた後、繊維集合体7の同一伝熱面8上の異なる箇所から対向する伝熱面8へ糸5を貫通させた。この作業を繰り返した後、最後に糸5で輪を作り、輪の中に糸5を通すことで大径部11を形成し、図6および図7の形状となる芯材9を手に入れた。
この芯材9の厚みは23mmであり、また取り扱いは良好であったため、本実施の形態における繊維集合体7の圧縮効果は十分であると判断した。
次に、芯材9を酸化カルシウムからなる水分吸着材12とともに袋状の外被材10内へ挿入し、外被材10内を減圧密封することで真空断熱材6を手に入れた。この真空断熱材6の厚みを測ると11mmであり、真空断熱材6の伝熱面に波打ちなどの変形は見られないことから平面性は良好であると判断した。
以上のように構成された芯材9は、糸5よりも大きな断面積を有する大径部11が繊維集合体の伝熱面8に留まり、縫製後も繊維集合体7の圧縮状態を保持し続けるため、繊維集合体7に剛性が付与される。これによって、この繊維集合体7を用いた真空断熱材6は厚み方向に圧縮されていることから、真空包装前後において繊維集合体7の厚み方向に対する変形量が小さくなり、真空断熱材6の平面性が確保される。また、この真空断熱材6の一部または全体を減圧し真空断熱材6の内部真空度を検査する工程においても真空断熱材6の平面性を確保することができる。
さらには、上下2本の糸を使ってミシンで本縫い方法に比べて、繊維集合体7内に埋没する糸の数が減少し、熱橋が低減するという付帯効果が生じる。
(実施の形態4)
図8は本発明の実施の形態4における真空断熱材に用いた芯材の伝熱面を示す平面図、図9は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材を図8のD−D線の位置で切断し、その断面を矢印の方向から見た場合の断面図である。
図8は本発明の実施の形態4における真空断熱材に用いた芯材の伝熱面を示す平面図、図9は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材を図8のD−D線の位置で切断し、その断面を矢印の方向から見た場合の断面図である。
図8、図9に示すように、本実施の形態の真空断熱材6は、実施の形態1の真空断熱材6と同様に、繊維集合体7からなり対向する二つの伝熱面8を有する芯材9と、水分吸着材12と、芯材9及び水分吸着材12を覆う外被材10とからなり、芯材9が外被材10内に減圧密封されたものである。また、芯材9は、一方の伝熱面8に露出する部分と他方の伝熱面8に露出する部分と繊維集合体7内に埋没する部分とを有する糸5を備え、糸5の両端近傍には繊維集合体7内を厚み方向に移動することが困難な大きさの大径部11が繊維集合体7内に埋没する部分を挟んで伝熱面8に露出している。なお、大径部11は糸5を結んで形成されている。そして、糸5の張力により、繊維集合体7が厚み方向に圧縮されている。
本実施の形態では、繊度が135dtexのポリエチレンテレフタレートを糸5として単環縫いミシンにセットし、係留部材としてのポリエチレンテレフタレートからなる不織布シート13を縫製して空環を形成した。次に、不織布シート13と糸5が連続した状態のまま目付量2,400g/m2のグラスウールからなる繊維集合体7(厚み150mm)を縫製し、最後に糸のみを絡ませて空環を形成した。この作業を繰り返すことで、図8および図9の形状となる芯材9を手に入れた。
この芯材の厚みは18mmであり、また取り扱いは良好であったため、本実施の形態における繊維集合体7の圧縮効果は十分であると判断した。
次に、芯材9を酸化カルシウムからなる水分吸着材12とともに袋状の外被材10内へ挿入し、外被材10内を減圧密封することで真空断熱材6を手に入れた。この真空断熱材6の厚みを測ると10.4mmであり、真空断熱材6の伝熱面に波打ちなどの変形は見られないことから平面性は良好であると判断した。
以上のように構成された芯材9は、糸5よりも大きな断面積を有する大径部11が繊維集合体の伝熱面8に留まり、縫製後も繊維集合体7の圧縮状態を保持し続けるため、繊維集合体7に剛性が付与される。これによって、この繊維集合体7を用いた真空断熱材6は厚み方向に圧縮されていることから、真空包装前後において繊維集合体7の厚み方向に対する変形量が小さくなり、真空断熱材6の平面性が確保される。また、この真空断熱材6の一部または全体を減圧し真空断熱材6の内部真空度を検査する工程においても真空断熱材6の平面性を確保することができる。
さらには、上下2本の糸を使ってミシンで本縫い方法に比べて、繊維集合体7内に埋没する糸の数が減少し、熱橋が低減するという付帯効果が生じる。
(実施の形態5)
図10は本発明の実施の形態5における真空断熱材の構成を示す断面図、図11は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材の伝熱面を示す平面図、図12は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材を図11のE−E線の位置で切断し、その断面を矢印の方向から見た場合の断面図である。
図10は本発明の実施の形態5における真空断熱材の構成を示す断面図、図11は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材の伝熱面を示す平面図、図12は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材を図11のE−E線の位置で切断し、その断面を矢印の方向から見た場合の断面図である。
図10から図12に示すように、本実施の形態の真空断熱材6は、繊維集合体7からなり対向する二つの伝熱面8を有する芯材9と、水分吸着材12と、芯材9及び水分吸着材12を覆う外被材10とからなり、芯材9が外被材10内に減圧密封されたものである。また、芯材9は、一方の伝熱面8に露出する部分と他方の伝熱面8に露出する部分と繊維集合体7内に埋没する部分とを有する糸5を備え、繊維集合体7内を貫通し対向する2つの伝熱面8に露出するように環状に結ばれて、糸5の張力により繊維集合体7が厚み方向に圧縮されている。
本実施の形態では、1本の糸5で、芯材9の長手方向に平行になる部分が大半となるように蛇行し、最後に芯材9の長手方向に垂直に出発点に戻るようなコースで並縫いしている。そして、糸5の端部同士を結んで環状にしている。
本実施の形態では、繊度が120dtexの低密度ポリエチレンを糸5としてハンドステッチミシンにセットし、目付量2,400g/m2のグラスウールからなる繊維集合体7(厚み150mm)を図11に示すように、繊維集合体7内を貫通する箇所がほぼ均等に分布するように蛇行させて縫製し、最後に糸5の両端を結束することで図12の形状となる芯材9を手に入れた。
この芯材9の厚みは25mmであり、また取り扱いは良好であったため、本実施の形態における繊維集合体7の圧縮効果は十分であると判断した。
次に、芯材9を酸化カルシウムからなる水分吸着材12とともに袋状の外被材10内へ挿入し、外被材10内を減圧密封することで真空断熱材6を手に入れた。この真空断熱材6の厚みを測ると11mmであり、真空断熱材6の伝熱面に波打ちなどの変形は見られないことから平面性は良好であると判断した。
以上のように構成された芯材9は、糸5が環状に結ばれる際に糸5が繊維集合体7を圧縮し、糸5が環状に結ばれた後も繊維集合体7の圧縮状態を保持し続けるため、繊維集合体7に剛性が付与される。この繊維集合体7は厚み方向に圧縮されていることから、真空包装後において繊維集合体7の厚み方向に対する変形量が小さくなるため、真空断熱材6の平面性が確保される。また、この真空断熱材6の一部または全体を減圧し真空断熱材6の内部真空度を検査する工程においても真空断熱材6の平面性を確保することができる。
さらには、上下2本の糸を使ってミシンで本縫い方法に比べて、繊維集合体7内に埋没する糸の数が減少し、熱橋が低減するという付帯効果が生じる。
(実施の形態6)
図13は本発明の実施の形態6における真空断熱材に用いた芯材の伝熱面を示す平面図、図14は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材を図13のF−F線の位置で切断し、その断面を矢印の方向から見た場合の断面図である。
図13は本発明の実施の形態6における真空断熱材に用いた芯材の伝熱面を示す平面図、図14は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材を図13のF−F線の位置で切断し、その断面を矢印の方向から見た場合の断面図である。
図13、図14に示すように、本実施の形態の真空断熱材6は、繊維集合体7からなり対向する二つの伝熱面8を有する芯材9と、水分吸着材12と、芯材9及び水分吸着材12を覆う外被材10とからなり、芯材9が外被材10内に減圧密封されたものである。また、芯材9は、一方の伝熱面8に露出する部分と他方の伝熱面8に露出する部分と繊維集合体7内に埋没する部分とを有する複数の糸5を備え、それぞれの糸5は、一方の伝熱面8から繊維集合体7内を貫通して他方の伝熱面8に露出した後、他方の伝熱面8から繊維集合体7内を貫通して一方の伝熱面8に露出し、繊維集合体7内を貫通せずに一方の伝熱面8に残っていた糸5の一方の端部と、繊維集合体7内を二度貫通して一方の伝熱面8に露出した糸5の他方の端部とが結ばれて糸5の環が形成され、糸5の張力により繊維集合
体7が厚み方向に圧縮されている。
体7が厚み方向に圧縮されている。
なお、伝熱面8に露出した糸5が、芯材9の長手方向に平行な複数本(図13では5本)の破線を形成し、糸5繊維集合体7内を貫通する箇所がほぼ均等に碁盤目状に分布し、伝熱面8に露出する部分が、芯材9の長手方向に垂直に並ぶようにしている。糸5を結んで形成される大径部11が一方の伝熱面8にのみ露出するようにしている。
本実施の形態では、繊度が110dtexのナイロンを糸5として用い、この糸5を目付量2,400g/m2のグラスウールからなる繊維断熱体7(厚み150mm)の一方の伝熱面8から他方の伝熱面8へ貫通させた後、他方の伝熱面8上の異なる箇所から一方の伝熱面8へ貫通させ、糸5の両端を図13の形状となるよう結束することで、図14の形状となる芯材9を手に入れた。
この芯材の厚みは22mmであり、また取り扱いは良好であったため、本実施の形態における繊維集合体7の圧縮効果は十分であると判断した。
次に、芯材9を酸化カルシウムからなる水分吸着材12とともに袋状の外被材10内へ挿入し、外被材10内を減圧密封することで真空断熱材6を手に入れた。この真空断熱材6の厚みを測ると9.7mmであり、真空断熱材6の伝熱面に波打ちなどの変形は見られないことから平面性は良好であると判断した。
以上のように構成された芯材9は、糸5が環状に結ばれる際に糸5が繊維集合体7を圧縮し、糸5が環状に結ばれた後も繊維集合体7の圧縮状態を保持し続けるため、繊維集合体7に剛性が付与される。この繊維集合体7は厚み方向に圧縮されていることから、真空包装後において繊維集合体7の厚み方向に対する変形量が小さくなるため、真空断熱材6の平面性が確保される。また、この真空断熱材6の一部または全体を減圧し真空断熱材6の内部真空度を検査する工程においても真空断熱材6の平面性を確保することができる。
さらには、上下2本の糸を使ってミシンで本縫い方法に比べて、繊維集合体7内に埋没する糸の数が減少し、熱橋が低減するという付帯効果が生じる。
(実施の形態7)
図15は本発明の実施の形態7における真空断熱材に用いた芯材の伝熱面を示す平面図、図16は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材を図15のG−G線の位置で切断し、その断面を矢印の方向から見た場合の断面図である。
図15は本発明の実施の形態7における真空断熱材に用いた芯材の伝熱面を示す平面図、図16は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材を図15のG−G線の位置で切断し、その断面を矢印の方向から見た場合の断面図である。
図15、図16に示すように、本実施の形態の真空断熱材6は、繊維集合体7からなり対向する二つの伝熱面8を有する芯材9と、水分吸着材12と、芯材9及び水分吸着材12を覆う外被材10とからなり、芯材9が外被材10内に減圧密封されたものである。また、芯材9は、一方の伝熱面8に露出する部分と他方の伝熱面8に露出する部分と繊維集合体7内に埋没する部分とを有する複数の糸5を備え、それぞれの糸5は、一方の伝熱面8から繊維集合体7内を貫通して他方の伝熱面8に露出した後、他方の伝熱面8から繊維集合体7内を貫通して一方の伝熱面8に露出し、繊維集合体7内を貫通せずに一方の伝熱面8に残っていた糸5の一方の端部と、繊維集合体7内を二度貫通して一方の伝熱面8に露出した糸5の他方の端部とが結ばれて糸5の環が形成され、糸5の張力により繊維集合体7が厚み方向に圧縮されている。
なお、伝熱面8に露出した糸5が、芯材9の長手方向に平行な複数本(図13では5本)の破線を形成し、糸5繊維集合体7内を貫通する箇所がほぼ均等に千鳥状に分布し、伝熱面8に露出する部分が、千鳥状に芯材9の伝熱面8にのみ露出し、また、糸5を結んで
形成される大径部11が一方の伝熱面8にのみ露出するようにしている。
形成される大径部11が一方の伝熱面8にのみ露出するようにしている。
本実施の形態では、繊度が110dtexのナイロンを糸5として用い、この糸5を目付量2,400g/m2のグラスウールからなる繊維断熱体7(厚み150mm)の一方の伝熱面8から他方の伝熱面8へ貫通させた後、他方の伝熱面8上の異なる箇所から一方の伝熱面8へ貫通させ、糸5の両端を図15の形状となるよう結束することで図16の形状となる芯材9を手に入れた。
この芯材9の厚みは18mmであり、また取り扱いは良好であったため、本実施の形態における繊維集合体7の圧縮効果は十分であると判断した。
次に、芯材9を酸化カルシウムからなる水分吸着材12とともに袋状の外被材10内へ挿入し、外被材10内を減圧密封することで真空断熱材6を手に入れた。この真空断熱材6の厚みを測ると10.1mmであり、真空断熱材の伝熱面に波打ちなどの変形は見られないことから平面性は良好であると判断した。
以上のように構成された芯材9は、糸5が環状に結ばれる際に糸5が繊維集合体7を圧縮し、糸5が環状に結ばれた後も繊維集合体7の圧縮状態を保持し続けるため、繊維集合体7に剛性が付与される。この繊維集合体7は厚み方向に圧縮されていることから、真空包装後において繊維集合体7の厚み方向に対する変形量が小さくなるため、真空断熱材6の平面性が確保される。また、この真空断熱材6の一部または全体を減圧し真空断熱材6の内部真空度を検査する工程においても真空断熱材6の平面性を確保することができる。
さらには、上下2本の糸を使ってミシンで本縫い方法に比べて、繊維集合体7内に埋没する糸の数が減少し、熱橋が低減するという付帯効果が生じる。
(実施の形態8)
図17は本発明の実施の形態8における真空断熱材に用いた芯材の伝熱面を示す平面図、図18は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材を図17のH−H線の位置で切断し、その断面を矢印の方向から見た場合の断面図である。
図17は本発明の実施の形態8における真空断熱材に用いた芯材の伝熱面を示す平面図、図18は同実施の形態の真空断熱材に用いた芯材を図17のH−H線の位置で切断し、その断面を矢印の方向から見た場合の断面図である。
図17、図18に示すように、本実施の形態の真空断熱材6は、繊維集合体7からなり対向する二つの伝熱面8を有する芯材9と、水分吸着材12と、芯材9及び水分吸着材12を覆う外被材10とからなり、芯材9が外被材10内に減圧密封されたものである。また、芯材9は、一方の伝熱面8に露出する部分と他方の伝熱面8に露出する部分と繊維集合体7内に埋没する部分とを有する複数(図17では7本)の糸5を備え、複数(図17では7本)の糸5で、互いに所定間隔離して、芯材9の長手方向に平行に、並縫いしており、芯材9の長手方向の端部で、隣接する糸5の端部同士を結んで環状にし、糸5の環を複数設けている。そして、糸5の張力により繊維集合体7が厚み方向に圧縮されている。
本実施の形態では、繊度が205dtexのポリエチレンテレフタレートからなる糸と、目付量2,400g/m2のグラスウール(厚み150mm)からなる繊維集合体7をハンドステッチミシンにセットした。次に、糸が直線状になるよう縫製するとともに、繊維集合体7の同一辺に位置する複数の糸を図17および図18に示すように連結することで糸5が環状に結束された芯材9を手に入れた。この芯材9の厚みは21mmであり、また取り扱いは良好であったため、本実施の形態における繊維集合体7の圧縮効果は十分であると判断した。
次に、芯材9を酸化カルシウムからなる水分吸着材12とともに袋状の外被材10内へ挿入し、外被材10内を減圧密封することで真空断熱材6を手に入れた。この真空断熱材
6の厚みを測ると10.4mmであり、真空断熱材6の伝熱面に波打ちなどの変形は見られないことから平面性は良好であると判断した。
6の厚みを測ると10.4mmであり、真空断熱材6の伝熱面に波打ちなどの変形は見られないことから平面性は良好であると判断した。
以上のように構成された芯材9は、糸5が環状に結ばれる際に糸5が繊維集合体7を圧縮し、糸5が環状に結ばれた後も繊維集合体7の圧縮状態を保持し続けるため、繊維集合体7に剛性が付与される。この繊維集合体7は厚み方向に圧縮されていることから、真空包装後において繊維集合体7の厚み方向に対する変形量が小さくなるため、真空断熱材6の平面性が確保される。また、この真空断熱材6の一部または全体を減圧し真空断熱材6の内部真空度を検査する工程においても真空断熱材6の平面性を確保することができる。
さらには、上下2本の糸を使ってミシンで本縫い方法に比べて、繊維集合体7内に埋没する糸の数が減少し、熱橋が低減するという付帯効果が生じる。
(比較例)
繊度が135dtexのポリエチレンテレフタレートを糸としてハンドステッチミシンにセットし、目付量2,400g/m2のグラスウールからなる繊維集合体(厚み150mm)を縫製し、芯材を手に入れた。しかし、縫製直後に糸が解れたため、この芯材の厚みは85mmまで復元し、取り扱いが困難であったため、本比較例では繊維集合体の圧縮効果が不十分であると判断した。
繊度が135dtexのポリエチレンテレフタレートを糸としてハンドステッチミシンにセットし、目付量2,400g/m2のグラスウールからなる繊維集合体(厚み150mm)を縫製し、芯材を手に入れた。しかし、縫製直後に糸が解れたため、この芯材の厚みは85mmまで復元し、取り扱いが困難であったため、本比較例では繊維集合体の圧縮効果が不十分であると判断した。
次に、芯材を酸化カルシウムからなる水分吸着材とともに袋状の外被材内へ挿入し、外被材内を減圧密封することで真空断熱材を手に入れた。この真空断熱材の厚みを測ると9.5mmであったが、真空断熱材の伝熱面に波打ちが見られることから平面性の確保は十分でないと判断した。
本発明の真空断熱材は、真空包装前後において繊維集合体の厚み方向に対する変形量が小さいため、真空断熱材の平面性が確保される。また、この真空断熱材の一部または全体を減圧し真空断熱材の内部真空度を検査する工程においても真空断熱材の平面性を確保することができる。そのため、本発明の真空断熱材は、冷蔵庫やジャーポット、炊飯器、自動販売機、住宅など真空断熱材が適用可能なあらゆる用途にて利用可能である。
5 糸
6 真空断熱材
7 繊維集合体
8 伝熱面
9 芯材
10 外被材
11 大径部
13 不織布シート(係留部)
6 真空断熱材
7 繊維集合体
8 伝熱面
9 芯材
10 外被材
11 大径部
13 不織布シート(係留部)
Claims (5)
- 少なくとも、繊維集合体からなり対向する2つの伝熱面を有する芯材と、
前記芯材を覆う外被材とからなり、
前記芯材を前記外被材内に減圧密封した真空断熱材であって、
前記芯材の一方の前記伝熱面に露出する部分と他方の前記伝熱面に露出する部分と前記繊維集合体内に埋没する部分とを有する糸を備え、
前記糸は、着色剤が付与されていないものであって、
前記糸の断面積より大きな断面積を有し、
縫製後も前記繊維集合体の圧縮状態を保持し続ける大径部を有し、
前記糸の張力により前記芯材が厚み方向に圧縮されている真空断熱材。 - 前記大径部は、前記繊維集合体の前記伝熱面に留まった、または、前記繊維集合体に埋没した請求項1に記載の真空断熱材。
- 請求項1または2に記載の真空断熱材を備えた冷蔵庫。
- 請求項1または2に記載の真空断熱材を備えたジャーポット。
- 請求項1または2に記載の真空断熱材を備えた住宅。
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