JP5948146B2 - 精製多糖類繊維の製造方法、精製多糖類繊維、繊維−ゴム複合体、及びタイヤ - Google Patents

精製多糖類繊維の製造方法、精製多糖類繊維、繊維−ゴム複合体、及びタイヤ Download PDF

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本発明は、精製多糖類繊維の製造方法、精製多糖類繊維、繊維−ゴム複合体、及びタイヤに関する。
セルロース繊維は、寸法安定性が良く、接着性が高く、弾性率の温度依存性(温度変化に対する、弾性率変化)が低い等の利点があり、ビスコースレーヨンとして広くタイヤに用いられている。
しかし、ビスコースレーヨンは製造工程で二硫化炭素を排出し、環境負荷が非常に高いため、環境負荷の少ない原材料で製品を製造したいという現代のニーズに合わない。
上記の寸法安定性が良く、接着性が高く、弾性率の温度依存性が低いといった特徴は、繊維材料がセルロースであることに大きく依存している。ポリエステル、ナイロン等の合成繊維もタイヤ用補強コードとして用いられるが、セルロース繊維と同程度の寸法安定性、接着、弾性率を得ることは困難である。
従って、環境負荷が高いにもかかわらず、一部タイヤにはビスコースレーヨンが用いられているのが現状である。
地球の環境保全が叫ばれる昨今、化石燃料に依存しないセルロースを原材料に用いることが望まれる。上述した問題点である、ビスコースレーヨンの製造で環境負荷の高い二硫化炭素を使用する必要性は、セルロースを繊維化(紡糸)する際に、溶融又は溶解することにある。
セルロース原料を溶融又は溶解するためには、セルロースの1繰り返し単位あたりに3箇所ある水酸基の分子内及び分子間の水素結合を断つ必要がある。ビスコースレーヨンの製造においては、二硫化炭素によって水酸基を化学修飾し、水素結合を断つことができるため、セルロース原料を溶融または溶解することができる。このように、水酸基を化学修飾することにより紡糸し、その後水酸基を再生したセルロース繊維は、一般に再生セルロースと呼ばれる。
これに対して、数種類のイオン液体がセルロース原料を効率よく溶解することが報告されている(特許文献1〜3参照)。イオン液体によるセルロース原料の溶解は溶媒和によるものであり、精製セルロース繊維の製造工程で二硫化炭素の様な有害物質を排出しない。前記精製セルロース繊維の製造は、溶解されたセルロース原料を水、アルコール、又は水とイオン液体の水溶液中を通すことで容易に達成される。このようなイオン液体を用いたセルロースの紡糸は、特許文献4〜5に報告されている。イオン液体を用いて得られる精製セルロース繊維の製造方法は、環境負荷の少ない方法であるといえる。
タイヤにおいて、精製セルロース繊維は、一般的に該精製セルロース繊維を撚り、コードにし、接着処理後にゴム被覆し、繊維−ゴム複合体として用いられる。タイヤに用いられる繊維は、ゴムの補強を主目的とするため、その強力は高いことが好ましい。繊維の強力が高いほど、タイヤに用いる繊維量を低減することができ、結果としてタイヤ重量及び転がり抵抗を低減することができる。
更に、繊維の使用量を低減できることにより、タイヤ製造に必要な物質及びエネルギーを低減することができる。
米国特許第1943176号明細書 特開昭60−144322号公報 特許第4242768号公報 米国特許出願公開第2008/0269477号明細書 中国特許第101328626号明細書
多糖類を湿式紡糸又は乾湿式紡糸する際、多糖類は、繊維(フィラメント)の外側から固形化していくため、繊維を断面方向から見た場合、繊維の内外で構造に差異ができやすい(いわゆるスキン−コア構造ができやすい)傾向にある。スキン−コア構造を有する繊維は、強力が低く、それを用いたタイヤはタイヤ特性に劣るものとなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、二硫化炭素排出を抑制した、強力に優れた精製多糖類繊維を生産性良く製造する精製多糖類繊維の製造方法、該製造方法を用いて製造された精製多糖類繊維、該精製多糖類繊維を用いた繊維−ゴム複合体及びそれを用いたタイヤ特性に優れたタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、下記の特徴を有する精製多糖類繊維の製造方法、精製多糖類繊維、繊維−ゴム複合体、及びタイヤを提供するものである。
(1)イオン液体を含む液体に多糖類原料を溶解してなる多糖類溶解液を、イオン液体を含む固形化液体に接触させて、多糖類を湿式紡糸又は乾湿式紡糸する精製多糖類繊維の製造方法であって、
前記固形化液体におけるイオン液体の濃度が0.4重量%〜50重量%であり、
前記多糖類溶解液におけるイオン液体及び前記固形化液体中におけるイオン液体は、それぞれ、カチオン部とアニオン部から成り、
前記アニオン部が、下記一般式(C2)で表されるホスフィネートイオン、ホスフェートイオン、及びホスホネイトイオンからなる群から選ばれる一種以上を有することを特徴とする精製多糖類繊維の製造方法。
Figure 0005948146
[式中、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は炭素数が1〜4のアルコキシ基を示す。]
(2)前記固形化液体を保持した固形化槽を複数用い、多糖類を紡糸する工程の上流から下流に向けて、保持した前記固形化液体中のイオン液体の濃度が順次低くなるように、前記複数の固形化槽を配置し、
最上流の前記固形化槽を用いて、前記多糖類溶解液中の多糖類を紡糸して、精製多糖類繊維の中間体を得て、該中間体を下流に向けて順次、残りの前記固形化槽を用いて紡糸して、精製多糖類繊維を得る(1)の精製多糖類繊維の製造方法。
(3)前記多糖類がセルロースである(1)又は(2)の精製多糖類繊維の製造方法。
(4)前記固形化液体が前記イオン液体と、水及び/又は有機溶媒と、からなる(1)〜(3)のいずれか一つの精製多糖類繊維の製造方法。
(5)前記有機溶媒が極性溶媒である(4)の精製多糖類繊維の製造方法。
(6)すべての前記固形化液体の温度が5〜60℃である(1)〜(5)のいずれか一つの精製多糖類繊維の製造方法。
(7)すべての前記固形化槽における前記多糖類又は前記中間体の滞留時間が120秒以下である(1)〜(6)のいずれか一つの精製多糖類繊維の製造方法。
(8)前記多糖類溶解液におけるイオン液体と、前記固形化液体中におけるイオン液体が同じ種類である(1)〜(7)のいずれか一つの精製多糖類繊維の製造方法。
(9)前記カチオン部は、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、アンモニウムイオン、及びフォスフォニウムイオンからなる群から選ばれる一種以上である(1)〜(8)のいずれか一つの精製多糖類繊維の製造方法。
(10)前記カチオン部がイミダゾリウムイオンである(9)の精製多糖類繊維の製造方法。
(11)前記カチオン部が下記一般式(C1)で表されるイミダゾリウムイオンである(10)の精製多糖類繊維の製造方法。
Figure 0005948146
[式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数2〜4のアルケニル基を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数2〜8のアルケニル基を示す。]
(12)前記多糖類溶解液におけるイオン液体及び/又は前記固形化液体中におけるイオン液体が、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジエチルホスフェートである(1)〜(11)のいずれか一つの精製多糖類繊維の製造方法。
(13)(1)〜(12)のいずれか一つの精製多糖類繊維の製造方法を用いて製造したことを特徴とする多糖類繊維。
(14)強力TBが5.1cN/dtex以上である(13)の精製多糖類繊維。
(15)強力TBが5.4cN/dtex以上である(13)又は(14)の精製多糖類繊維。
(16)(13)〜(15)のいずれか一つの精製多糖類繊維と、ゴム材料とを複合化してなることを特徴とする繊維−ゴム複合体。
(17)(16)の繊維−ゴム複合体を用いたことを特徴とするタイヤ。
(18)前記繊維−ゴム複合体をカーカスプライ、ベルトプライ、又はベルト保護層として用いた(17)のタイヤ。
本発明の精製多糖類繊維の製造方法によれば、二硫化炭素等の有害物質を生じることなく、強力に優れた精製多糖類繊維を生産性良く製造することができるため、環境負荷を低減することができる。
また、本発明の精製多糖類繊維及びゴム−繊維複合体は、強力に優れているため、利用価値が高い。
さらに、本発明のタイヤは、本発明のゴム−繊維複合体を用いたものであるため良好なタイヤ性能を有する。
多糖類を湿式紡糸する方法を例示する概略断面図である。
[精製多糖類繊維]
まず、本発明の精製多糖類繊維の製造方法について説明する。
本発明の精製多糖類繊維の製造方法は、イオン液体を含む液体に多糖類原料を溶解してなる多糖類溶解液を、イオン液体を含む固形化液体に接触させて、多糖類を湿式紡糸又は乾湿式紡糸する精製多糖類繊維の製造方法であって、前記固形化液体におけるイオン液体の濃度が0.4重量%〜50重量%であり、前記多糖類溶解液におけるイオン液体及び前記固形化液体中におけるイオン液体は、それぞれ、カチオン部とアニオン部から成り、前記アニオン部が、下記一般式(C2)で表されるホスフィネートイオン、ホスフェートイオン、及びホスホネイトイオンからなる群から選ばれる一種以上を有する。
Figure 0005948146
[式中、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は炭素数が1〜4のアルコキシ基を示す。]
本発明に用いられる多糖類原料(多糖類を含む原料)における多糖類としては、セルロース;エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、カチオン化セルロースなどのセルロース誘導体;アラビアガム;κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、λ−カラギーナンなどのカラギーナン;グアガム;ローカストビーンガム;ペクチン;トラガント;トウモロコシデンプン;リン酸化デンプン;キサンタンガム、デキストリン等の微生物系多糖類が挙げられ、セルロースが好ましく用いられる。
また、多糖類原料における多糖類としてとしてキチンも挙げられる。キチンは、天然キチンでも再生キチンでもよく、天然キチンとしては、昆虫やエビ、カニなど甲殻類の外殻やキノコなどの植物に含まれるものが挙げられる。
本発明において、セルロース原料は、セルロースを含むものであれば特に限定されず、植物由来のセルロース原料であってもよく、動物由来のセルロース原料であってもよく、微生物由来のセルロース原料であってもよく、再生セルロース原料であってもよい。
植物由来のセルロース原料としては、木材、綿、麻、その他の草本類等の未加工の天然植物由来のセルロース原料や、稲わら、バガス、パルプ、木材粉、木材チップ、紙製品等の予め加工処理を施された植物由来の加工セルロース原料が挙げられる。
天然植物としては、針葉樹、広葉樹、単子葉植物、双子葉植物、竹等が挙げられる。
動物由来のセルロース原料としては、ホヤ由来のセルロース原料が挙げられる。
微生物由来のセルロース原料としては、Aerobacter属、Acetobacter属、Achromobacter属、Agrobacterium属、Alacaligenes属、Azotobacter属、Pseudomonas属、Rhizobium属、Sarcina属等に属する微生物の産生するセルロース原料が挙げられる。
再生セルロース原料としては、上記のような植物、動物、又は微生物由来のセルロース原料を、ビスコース法等の公知の方法により再生したセルロース原料が挙げられる。
なかでも、本発明におけるセルロース原料としては、イオン液体に良好に溶解するパルプが好ましい。
本発明において、セルロース等を含む多糖類原料を、イオン液体を含む液体に溶解する前に、イオン液体への溶解性を向上させる目的で多糖類原料に前処理を施すことができる。前処理として具体的には、乾燥処理や、粉砕、摩砕等の物理的粉砕処理や、酸又はアルカリを用いた化学的変性処理等を行うことができる。これらはいずれも常法により行うことができる。
本発明において、イオン液体とは、100℃以下で液体であり、且つ、イオンのみからなり、カチオン部またはアニオン部、或いはその両方が有機イオンから構成される溶媒をいう。本発明においては、多糖類溶解性、及び多糖類溶解時の該多糖類の分子量低下性、並びに、イオン液体の濃度、融点、熱安定性、及び安全性の観点から好ましいイオン液体が選択される。
前記イオン液体は、カチオン部とアニオン部から成り、イオン液体のカチオン部としては、特に限定されるものではなく、一般的にイオン液体のカチオン部に用いられるものを使用することができる。
なかでも、本発明のイオン液体のカチオン部の好ましいものとしては、含窒素芳香族イオン、アンモニウムイオン、フォスフォニウムイオンが挙げられる。
含窒素芳香族カチオンとして、具体的には、例えばピリジニウムイオン、ピリダジニウムイオン、ピリミジニウムイオン、ピラジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピラゾニウムイオン、オキサゾリウムイオン、1,2,3−トリアゾリウムイオン、1,2,4−トリアゾリウムイオン、チアゾリウムイオン、ピペリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン等が挙げられる。
なかでも、含窒素芳香族カチオンとしては、イミダゾリウムイオン、ピリミジニウムイオンが好ましく、イミダゾリウムイオンがより好ましく、下記一般式(C3)で表されるイミダゾリウムイオンが特に好ましい。
Figure 0005948146
[式中、R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、R〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基である。]
式(C3)中、R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数2〜10のアルケニル基である。
炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよく、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
直鎖状のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、具体的には、1−メチルエチル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
環状のアルキル基としては、単環式基であっても、多環式基であってもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の単環式基;ノルボルニル基、アダマンチル基、イソボルニル基等の多環式基が挙げられる。
〜Rにおけるアルキル基の炭素数は、1〜8であることが好ましい。
炭素数2〜10のアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルキル基において、炭素−炭素間の一つの単結合を二重結合に置換したものが例示でき、好ましい例としては、ビニル基、アリル基等が挙げられる。尚、二重結合の位置は特に限定されない。
〜Rにおけるアルケニル基の炭素数は、2〜8であることが好ましい。
また、R〜Rは、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
式(C3)中、R〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基である。
炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよく、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。ここで、直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキル基としては、上記R〜Rのアルキル基と同様のものが挙げられる。
〜R10におけるアルキル基の炭素数は、1〜6であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、更にR〜R10は水素原子であることが最も好ましい。
また、R〜R10は、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
式(C3)で表されるイミダゾリウムイオンの好ましい具体例を、下記式(C1)として示す。
Figure 0005948146
[式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数2〜4のアルケニル基を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数2〜8のアルケニル基を示す。]
また、式(C1)で表されるイミダゾリウムイオンの好ましい具体例を、下記式(C1−1)〜(C1−3)として示す。
Figure 0005948146
及びRは、親水性が増すことにより体内に取り込まれ難くなり、安全性が増すという観点から、短鎖であることが好ましい。但し、R及びRがメチル基である場合には、分子の規則性が増すことにより、融点が高くなり、それに伴い粘度も高くなる傾向がある。多糖類の溶解においては、繊維内にイオン液体を浸透させる必要があることから、用いるイオン液体の融点及び粘度は低いことが好ましい。
従って、Rがメチル基であり、Rがエチル基であることが特に好ましい。
また、Rは多糖類の溶解性に影響することから、水素原子であることが好ましい。
従って、上記式(C1−1)〜(C1−3)の中でも、式(C1−1)で表される1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオンが好ましい。
フォスフォニウムイオンとしては、「P」を有するものであれば特に限定されるものではなく、好ましいものとして具体的には、一般式「R(複数のRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜30の炭化水素基である。)」で表されるものが挙げられる。
炭素数1〜30の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
脂肪族炭化水素基は、飽和炭化水素基(アルキル基)であることが好ましく、該アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、炭素数が1〜16であることがより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が3〜30であり、炭素数が3〜20であることが好ましく、炭素数が3〜16であることがより好ましい。具体的には、1−メチルエチル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
環状のアルキル基としては、炭素数が3〜30であり、炭素数が3〜20であることが好ましく、炭素数が3〜16であることがより好ましく、単環式基であっても、多環式基であってもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の単環式基、ノルボルニル基、アダマンチル基、イソボルニル基等の多環式基が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、炭素数が6〜30であることが好ましく、具体的には、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ビフェニル基、トリル基等のアリール基や、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等のアリールアルキル基が挙げられる。
ここで、一般式「R」中の複数のRは、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
なかでも、フォスフォニウムイオンとしては、下記式(C4)で表されるカチオン部が好ましい。
Figure 0005948146
[式中、R11〜R14は、それぞれ独立に、炭素数1〜16のアルキル基である。]
式(C4)中、R11〜R14は、それぞれ独立に、炭素数1〜16のアルキル基である。 炭素数1〜16のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよく、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。ここで、直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキル基としては、上記同様のものが挙げられる。
また、R11〜R14は、それぞれ同じであっても、異なっていてもよいが、入手の容易さから、R11〜R14の3つ以上が同じであることが好ましい。
なかでも、本発明において、R11〜R14のアルキル基としては、炭素数1〜14の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が特に好ましい。
式(C4)で表されるカチオン部の好ましい具体例を、下記式(C5)として示す。
Figure 0005948146
本発明において、前記カチオン部は、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、アンモニウムイオン、及びフォスフォニウムイオンからなる群から選ばれる一種以上であることがより好ましく、イミダゾリウムイオンがより好ましい。
本発明において、アニオン部は、下記一般式(C2)で表されるホスフィネートイオン、ホスフェートイオン、ホスホネイトイオンからなる群から選ばれる一種以上を有する。
Figure 0005948146
[式中、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は炭素数が1〜4のアルコキシ基を示す。]
ホスフェートイオンとしては、下記一般式(A1)で表されるものが挙げられる。
Figure 0005948146
[式中、R15及びR16はそれぞれ独立に水素原子、又はアルキル基である。]
式(A1)中、R15及びR16はそれぞれ独立に水素原子、又はアルキル基であり、アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよいが、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。R15及びR16のアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましく、1〜4であることがさらに好ましく、工業上の理由から炭素数1又は2のアルキル基であることが特に好ましい。
15と、R16とは、同じであっても異なっていてもよい。
これらのホスフェートイオンの中で、ジメチルホスフェートイオン、ジエチルホスフェートイオンが好ましく、ジエチルホスフェートイオンがより好ましい。
ホスホネイトイオンとしては、下記一般式(A2)で表されるものが挙げられる。
Figure 0005948146
[式中、R15は上記と同様である。]
式(A2)中、R15は、式(A1)中のR15と同様である。
これらのホスホネイトイオンの中で、メチルホスホネイトイオンが好ましい。
ホスフィネートイオンは、下記式(A3)で表される。
Figure 0005948146
本発明に用いられるイオン液体は、アニオン部にリン原子を含む化合物を有するものである。アニオン部にリン原子を含む化合物を有するイオン液体は、アニオン部をハロゲンイオンとした場合と比較して、その粘度及び融点が低い。このため、上記イオン液体を用いてセルロースを紡糸しやすいという点で優れている。
繊維の強力は、繊維構造だけではなく、多糖類の分子量によっても左右される。そのため、イオン液体で多糖類を溶解する際に、多糖類の分子量低下の少ないイオン液体を選ぶことによる繊維物性は更に改良される。
アニオン部がリン原子を含む化合物を有するイオン液体は、アニオン部をカルボキシレートイオンとした場合と比較して、多糖類の分子量が低下しにくく、耐熱性が高い(すなわち、高温下において熱分解しにくい)。このため、上記イオン液体を用いて多糖類を紡糸する際に、紡糸温度を高くすることができる。その結果、より高い紡糸温度における精製多糖類繊維の生産性を確保することができる。例えば、アニオン部をカルボキシレートイオンとした場合、紡糸温度が130℃以上という条件下において、多糖類を紡糸する生産性が低下してしまう。しかしながら、アニオン部がリン原子を含む化合物である場合、紡糸温度が150℃という高熱条件下であっても、多糖類紡糸の生産性を維持することができる。
さらに、上記アニオン部がリン原子を含む化合物を有するイオン液体を再利用した場合、再利用の収率が高い。一般的に、工業的に精製多糖類繊維を製造する場合、溶解液を固形化液体中に通して繊維化する際に流出するイオン液体はリサイクルされる。イオン液体のリサイクルは蒸留等で、イオン液体以外の液体成分を揮発させて行う。その際に、イオン液体に熱をかけるので、イオン液体が熱安定性を備えることは重要となり、イオン液体の熱安定性はリサイクルの収率に影響を与える。
したがって、アニオン部としてリン原子を含む化合物を用いることにより、精製多糖類繊維を連続的に生産するために必要なイオン液体量、イオン液体の生産に必要な物質及びエネルギーの増加を防ぐことができる。
本発明におけるイオン液体は、上述したようなカチオン部とアニオン部とから構成されることが好ましい。カチオン部とアニオン部との組合せは、前記アニオン部が、上記一般式(C2)で表されるホスフィネートイオン、ホスフェートイオン、及びホスホネイトイオンからなる群から選ばれる一種以上を有するものであれば、特に限定されるものではなく、セルロース原料を好適に溶解しうるものを適宜選択することができる。
好ましいイオン液体としては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート(C2mimDEP)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチルホスホネイト(C2mimMEP)、又は1−エチル−3−メチルイミダゾリウムホスフィネート(C2mim HPO)が挙げられる。
繊維中の多糖類の分子量低下を抑制する観点から、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート(C2mimDEP)が好ましい。
上記したイオン液体の粘度は、低いほうが好ましい。具体的には、100℃における該イオン液体の粘度は、0.2〜1000mPa・sであることが好ましく、0.5〜600mPa・sであることがより好ましく、1.0〜400mPa・sであることが特に好ましい。
粘度が高いイオン液体を用いた場合、多糖類原料をイオン液体に溶解することが困難となる。多糖類原料の溶解が困難な場合、溶け残った多糖類原料が大量に生じるため、紡糸時にフィルターの目詰まりが生じる。その結果、生産性が低下する。また、上記した溶け残った多糖類原料は、繊維中に混入すると繊維の破壊核となる。その結果、繊維の品質が低下する。一方、粘度が低いイオン液体を用いた場合、多糖類原料をイオン液体に溶解する際、多糖類原料がイオン液体へよく浸透する。このため、イオン液体に多糖類を容易に溶解することができる。
本発明において、イオン液体の使用量は特に限定されるものではないが、多糖類溶解液における多糖類原料の濃度としては、8〜30重量%であることが好ましく、10〜25重量%であることがより好ましい。多糖類濃度が低すぎる場合、固形化過程で抜けるイオン液体が多く、空洞の多い繊維となり、強力を出し難い。一方、多糖類濃度が高すぎる場合、多糖類を完全に溶解することができない。
本発明において、多糖類原料を溶解する液体は、上記イオン液体を含むものである。 上記液体は、イオン液体以外の液体成分を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。イオン液体以外の液体成分として具体的には、有機溶媒が挙げられる。
有機溶媒としては、イオン液体以外のものであれば特に限定されるものではなく、イオン液体との相溶性や、粘性等を考慮して適宜選択することができる。
なかでも、有機溶媒としては、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、ニトリル系溶媒、環状エーテル系溶媒、及び芳香族アミン系溶媒からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。
スルホキシド系溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンスルホキシド等が挙げられる。
ニトリル系溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。
環状エーテル系溶媒としては、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン等が挙げられる。
芳香族アミン系溶媒としては、ピリジン等が挙げられる。
これらの有機溶媒を用いる場合、イオン液体と有機溶媒との配合重量比は、6:1〜0.1:1であることが好ましく、5:1〜0.2:1であることがより好ましく、4:1〜0.5:1であることがさらに好ましい。上記範囲とすることにより、多糖類原料を膨潤しやすい溶媒とすることができる。
また、有機溶媒の使用量は特に限定されるものではないが、多糖類原料1重量部に対して、1〜30重量部であることが好ましく、1〜25重量部であることが好ましく、3〜20重量部であることがより好ましい。上記範囲とすることにより、適度な粘度の多糖類溶解液とすることができる。
上記のような有機溶媒を、イオン液体と併せて用いることにより、多糖類原料の溶解性がより向上するため好ましい。
本発明において、多糖類原料を、イオン液体を含む液体に溶解する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、イオン液体を含む液体と、多糖類原料とを接触させ、必要に応じて加熱や攪拌を行うことにより、多糖類溶解液を得ることができる。
イオン液体を含む液体と、多糖類原料とを接触させる方法は、特に限定されるものではなく、例えば、イオン液体を含む液体に多糖類原料を添加してもよいし、セルロース原料にイオン液体を含む液体を添加してもよい。
溶解の際に加熱を行う場合、加熱温度は、30〜200℃であることが好ましく、70〜180℃であることがより好ましい。加熱を行うことにより、多糖類原料の溶解性がさらに向上するため好ましい。
攪拌の方法は、特に限定されるものではなく、攪拌子、攪拌羽根、攪拌棒等を用いてイオン液体を含む液体と多糖類原料とを機械的に攪拌してもよく、イオン液体を含む液体と多糖類原料とを密閉容器に封入し、容器を振とうすることにより攪拌してもよい。また、イオン液体を含む液体と多糖類原料とを一軸又は複数軸を有する押出機や混練機などによって溶解させてもよい。攪拌の時間は、特に限定されるものではなく、多糖類原料が好適に溶解されるまで行うことが好ましい。
また、イオン液体を含む液体が、イオン液体に加えて有機溶媒を含む場合、有機溶媒とイオン液体とは、予め混合しておいてもよく、イオン液体と多糖類原料とを混合した後に、有機溶媒を添加して溶解してもよく、有機溶媒とセルロース原料とを混合した後に、イオン液体を添加して溶解してもよい。
なかでも、有機溶媒とイオン液体とを予め混合して混合液を製造しておくことが好ましい。この際、有機溶媒とイオン液体とが均一に混合されるよう、70〜180℃において5〜30分程度加熱しながら攪拌し、イオン液体を含む液体が均一になるまで混合しておくことが好ましい。
上記のようにして得られた多糖類溶解液を、前記多糖類溶解液以外の液体である固形化液体に接触させて、多糖類を固形化して、上記した乾湿式紡糸又は湿式紡糸により多糖類を紡糸することができる。
前記湿式紡糸又は乾湿式紡糸の紡糸法は、特に限定されず、公知の紡糸法により多糖類を紡糸することができる。
乾湿式紡糸とは、一般的に紡糸口金から一旦気体中に吐出された多糖類溶解液を、固形化液体を保持する固形化槽中に導入して、多糖類を紡糸する方法であり、湿式紡糸とは、固形化槽中に配した紡糸口金から吐出された多糖類を紡糸する方法である。
固形化槽とは、多糖類を固形化させるための前記固形化液体が保持された浴槽を意味する。
多糖類を湿式紡糸又は乾湿式紡糸する際、多糖類は、繊維の外側から固形化していくため、繊維を断面方向から見た場合、繊維の内外で構造に差異ができやすい(いわゆるスキン−コア構造ができやすい)傾向にある。この内外の差異が少ないほど、繊維の構造は、均一に近いものとなるため、繊維内における応力に集中が起きにくく、高い強力を得ることができる。
この内外の構造の差を少なくするためには、多糖類の固形化速度をコントロールする必要がある。固形化速度が速すぎる場合には、繊維の構造は、スキン−コア構造となり、固形化速度が遅すぎる場合には、多糖類の固形化が不完全なものとなる。
多糖類の固形化は、多糖類が、その溶解液中の良溶媒であるイオン液体に代わり、貧溶媒である固形化液体に接触することで生じる。この貧溶媒の固定化能力の程度により、固形化速度がコントロールされる。
本発明においては、固形化液体が上述したイオン液体を含むことにより、多糖類の固形化速度をコントロールすることができる。多糖類溶解液におけるイオン液体と、前記固形化液体中におけるイオン液体は同じ種類であることが好ましい。
1槽目の固形化槽におけるイオン液体の濃度の上限値及び下限値としては、以下の値が挙げられる。尚、「1槽目の固形化槽」とは、固形化槽を単数用いる場合には、その固形化槽を示し、固形化槽を複数用いる場合には、紡糸工程において用いられる最初の固形化槽を示す。
固形化液体におけるイオン液体の濃度の上限値は、50重量%であり、40重量%が好ましく、30重量%がより好ましい。
固形化液体におけるイオン液体の濃度の下限値は、0.4重量%であり、1重量%が好ましく、10重量%がより好ましい。
固形化液体中におけるイオン液体の濃度が高くなるほど、繊維の断面形状が真円からずれていき、繊維の真円性が劣るものとなる。これは、繊維の製造工程で、繊維が十分に固形化される前に、繊維がローラー等に触れ、つぶれた形状になるためである。断面形状が真円から外れると、繊維内で応力集中が生じるため、繊維の強力は低下する。
イオン液体の種類とイオン液体の濃度の組合せとして、固形化液体は、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート(C2mimDEP)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチルホスホネイト(C2mimMEP)、又は1−エチル−3−メチルイミダゾリウムホスフィネート(C2mim HPO)を0.4重量%〜50重量%含有することが好ましい。
また、固形化液体は、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート(C2mimDEP)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチルホスホネイト(C2mimMEP)、又は1−エチル−3−メチルイミダゾリウムホスフィネート(C2mim HPO)を1重量%〜40重量%含有することがより好ましい。
更に、固形化液体は、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート(C2mimDEP)を10重量%〜30重量%含有することが特に好ましい。
本発明において、固形化液体を保持した固形化槽を複数用い、多糖類を紡糸する工程の上流から下流に向けて、保持した前記固形化液体中のイオン液体の濃度が順次低くなるように、前記複数の固形化槽を配置し、最上流の前記固形化槽を用いて、前記多糖類溶解液中の多糖類を紡糸して、精製多糖類繊維の中間体を得て、該中間体を下流に向けて順次、残りの前記固形化槽を用いて紡糸して、精製多糖類繊維を得ることが好ましい。
以下、図1を参照しながら本発明の精製多糖類繊維の製造方法の一実施形態を説明する。
図1は多糖類を乾湿式紡糸する方法を例示する概略断面図である。本実施形態においては、乾湿式紡糸について説明するが、紡糸方法は特に限定されず、湿式紡糸であってもよい。
先ず、上述したイオン液体に溶解してなる多糖類溶解溶液が、押出機1に配した紡糸口金2から吐出される。押出機1は、1軸押出機又は2軸押出機のどちらでもよい。紡糸口金2から吐出された多糖類溶解液が、最上流の固形化槽である第一の固形化槽5中の第一の固形化液体6と接触することにより、多糖類は紡糸され、多糖類繊維の中間体7となる。中間体7は、該中間体7の走行方向を変えるために配されたローラー3と接触した後に、引き取りローラー4と接触し、下流の固形化槽である第二の固形化槽15に送られる。
第二の固形化槽15が保持する第二の固形化液体16中のイオン液体の濃度は、第一の固形化槽5が保持する第一の固形化液体6中のイオン液体の濃度より低くなるように設定されている。引き取りローラー4を介して、第一の固形化槽5から送られてきた中間体7は、第二の固形化槽15中の第二の固形化液体16と接触することにより、さらに紡糸(固定化)され、中間体7aとなる。中間体7aは、ローラー3と接触した後に、引き取りローラー4と接触し、更に下流の固形化槽である第三の固形化槽25に送られる。
第三の固形化槽25が保持する第三の固形化液体26中のイオン液体の濃度は、第二の固形化槽15が保持する第二の固形化液体16中のイオン液体の濃度より低くなるように設定されており、中間体7aは、第三の固形化槽25中の第三の固形化液体26と接触することにより、さらに紡糸(固定化)され、中間体7bとなる。中間体が複数の固形化槽中の固形化液体と接触し、徐々に紡糸(固定化)されることにより、最終的に繊維の内外で構造に差異の少ない精製多糖類繊維が製造される。
このように多段階の槽からなる固形化槽を用いることにより、多糖類の固形化速度を適切にコントロールし、繊維の物性が良いものとなる。固形化槽の段数としては、製造設備上、5段以下が好ましく、3段以下がより好ましい。
固形化液体におけるイオン液体の好ましい濃度は、上述した通りである。
固形化液体におけるイオン液体の濃度が、50重量%より大きい場合、固形化槽における多糖類又は中間体の滞留時間を大幅に長くしないと繊維を成形することができない。
本実施形態においては、生産性の観点から、すべての固形化槽における多糖類又は中間体の滞留時間が120秒以下であることが好ましい。
また、紡糸の過程において、固形化槽には大量の紡糸溶液(多糖類溶解液)が送り続けられ、固形化液体におけるイオン液体の濃度が上昇傾向にある。固形化液体におけるイオン液体の濃度を0.4重量%未満とする場合、固形化槽に大量の水や有機溶媒の供給が必要となり、生産性の点から十分でない。
多段階の槽からなる固形化槽を用いる場合、n槽目の固形化槽におけるイオン液体の濃度Xと、n+1槽目における濃度Xn+1との関係は、Xn+1≦0.8Xを満たすことが好ましく、Xn+1≦0.6Xを満たすことがより好ましく、Xn+1≦0.4Xを満たすことが特に好ましい。
固形化液体は、イオン液体と、水及び/又は有機溶媒と、からなることが好ましい。該有機溶媒は極性溶媒であることが好ましく、極性溶媒としては、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、メタノール、ギ酸等が挙げられる。固形化速度は、アルコールとケトンの炭素数が同じ場合、水>アルコール>ケトンの順であり、炭素数が小さいものの方が、固形化速度は速い。これらを適宜組み合わせることで固形化速度のコントロールが可能である。固形化速度が遅くなりすぎないという観点から、炭素数が5以下のアルコールやケトンが好ましい。
また、多糖類の固形化速度は、固形化槽の温度によってもコントロールすることができる。固形化槽を複数用いる場合には、すべての固形化槽の温度をコントロールすることが好ましい。すべての固形化槽中の固形化液体の温度としては、5〜60℃が好ましく、10〜40℃がより好ましく、20〜40℃が特に好ましい。固形化液体の温度が5℃以上の場合、水を用いた固形化液体が部分的に凍結するおそれがない。60℃以下の場合、固形化液体の蒸発量が大きくなりすぎず、徒に固形化液体に水や有機溶媒を供給する必要が無く、生産性が低下しすぎることがない。
資源の有効活用の観点から、固形化液体中のイオン液体を再利用することが好ましい。そのため、固形化液体中のイオン液体は、多糖類溶解液中のイオン液体と同様に熱安定性にすぐれたものであることが好ましく、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート(C2mimDEP)が特に好ましい。固形化液体中のイオン液体の熱安定性が高い程、イオン液体の熱分解が抑えられるため、繊維を生産するために必要なイオン液体の量を低減でき、生産性を向上させることができる。
このようにして得られた精製多糖類繊維の強力TBは、5.1cN/dtex以上が好ましく、5.4cN/dtex以上がより好ましい。
このような強力に優れた精製多糖類繊維を用いたゴム−繊維複合体をカーカスプライ、ベルトプライ、又はベルト保護層に使用することで、高性能のタイヤを得ることができる。なかでも、本発明のゴム−繊維複合体をカーカスプライに使用することが好ましく、耐圧性や耐サイドカット性に優れたタイヤを得ることができる。
また、カーカスプライ、ベルトプライ及びベルト保護層の少なくとも一方にゴム−繊維複合体を使用してもよいが、カーカスプライやベルトプライ又はベルト保護層の両方に使用することもできる。
前記多糖類繊維から作製されるコードとしては、撚りを加えた1本のフィラメント束からなる片撚り構造、下撚りした2本のフィラメント束を上撚りにて合わせた双撚り構造が採用される。コード1本当たりの繊度としては、1400〜6000dtexが好ましく、1400〜4000dtexがより好ましい。1400dtex未満のコードを用いると、タイヤ強度を保つためにカーカスの枚数を増やす必要があり、タイヤ製造のコストアップにつながる。6000dtexを超えるコードを用いるとカーカス層の厚さが必要以上に増加してしまい、タイヤ重量の増加を招く。
コードの撚り係数は、0.30〜0.80が好ましく、0.50〜0.70がより好ましい。
撚り係数tanθは、以下の式で求まる。
Figure 0005948146
D:総デシテック数
P:コード比重
T:撚り数(回/cm)
[繊維−ゴム複合体]
前記精製多糖類繊維をRFL(resolcin−formalin−latex)等の一般的な接着剤に浸漬して、ディップ処理し、乾燥工程及びベーキング工程からなる熱処理を行う。このようにして作製したディップコードをコーテイングゴム等のゴム材料と複合化し、繊維−ゴム複合体を作製する。
本発明のゴム−繊維複合体に用いられるゴムは、例えば、天然ゴム(NR)、炭素−炭素二重結合を有する合成ゴム、又はこれらの2種以上をブレンドしたゴム組成物から得られる。
前記合成ゴムとしては、例えば、イソプレン、ブタジエン、クロロプレン等の共役ジエン化合物の単独重合体であるポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリクロロプレンゴム等;前記共役ジエン化合物とスチレン、アクリロニトリル、ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリレート類、アルキルメタクリレート類等のビニル化合物との共重合体であるスチレンブタジエン共重合ゴム(SBR)、ビニルピリジンブタジエンスチレン共重合ゴム、アクリロニトリルブタジエン共重合ゴム、アクリル酸ブタジエン共重合ゴム、メタアクリル酸ブタジエン共重合ゴム、メチルアクリレートブタジエン共重合ゴム、メチルメタアクリレートブタジエン共重合ゴム等;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類とジエン化合物との共重合体〔例えばイソブチレンイソプレン共重合ゴム(IIR)〕;オレフィン類と非共役ジエンとの共重合体(EPDM)〔例えばエチレン−プロピレン−シクロペンタジエン三元共重合体、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重合体、エチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエン三元共重合体〕;さらに、これら各種ゴムのハロゲン化物、例えば塩素化イソブチレンイソプレン共重合ゴム(Cl−IIR)、臭素化イソブチレンイソプレン共重合ゴム(Br−IIR)等、ノルボルネンの開環重合体が挙げられる。
上記の合成ゴムにシクロオレフィンを開環重合させて得られるポリアルケナマー〔例えばポリペンテナマー〕、オキシラン環の開環重合によって得られるゴム〔例えば硫黄加硫が可能なポリエピクロロヒドリンゴム]、ポリプロピレンオキシドゴム等の飽和弾性体をブレンドすることができる。
本発明で使用するゴム組成物には、硫黄、有機硫黄化合物、その他の架橋剤を、上記ゴム成分100重量部に、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部配合されてもよく、また加硫促進剤がゴム成分100重量部に、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.5〜5部配合してもよい。この場合、加硫促進剤の種類は限定されないが、ジベンゾチアジルサルファイド(DM)、ジフェニルグアニジン(D)などを用いることで加硫時間を短くすることができる。
また、本発明で使用するゴム組成物には、例えばパラフィン系、ナフテン系、芳香族系プロセスオイル、エチレン−α−オレフィンのコオリゴマー、パラフィンワックス、流動パラフィン等の鉱物油;ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油等の植物油などのオイルを配合してもよい。
さらに、本発明で使用するゴム組成物には、常法に従い、目的、用途などに応じてカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、クレイ、マイカ等の充填剤;亜鉛華、ステアリン酸等の加硫促進助剤;老化防止剤等の、通常ゴム業界で使用される配合剤を添加してもよい。
本発明のタイヤは、本発明のゴム−繊維複合体を用い、通常の成型、加硫工程を経ることで、作製できる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[マルチフィラメントの作製]
セルロースを、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート(C2AmimAc)、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムクロライド(AminCl)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート(C2mimDEP)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムホスフィネート(C2mim HPO)、又は1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチルホスホネイト(C2mimMEP)に溶解した多糖類溶解液を紡糸温度に加熱後、押出機にて、上記いずれかのイオン液体を所定の濃度で含む固形化浴中に押し出し、所定時間滞留させ、洗浄、乾燥の工程を経て、表1〜3に示す実施例1〜14、比較例1〜5のマルチフィラメント(繊維)を得た。
尚、マルチフィラメント(繊維)の製造条件の詳細については、表1〜3に示す。
各実施例及び比較例におけるマルチフィラメント(繊維)の性状を、以下の試験方法で測定し、結果を表1〜3に示した。また、各実施例及び比較例におけるマルチフィラメント(繊維)中の各成分の重量%を表1〜3に示す。
(1)繊度
繊維を100m採取し、130℃で30分乾燥させた後、乾燥したデシケーター中で室温になるまで放冷後、重量を測定した。10000mあたり1gが1dtexとなるため、100mの重量から繊度を算出した。
(2)強力及び切断伸度
10cmあたり、4回の仮撚りをした繊維について、引張試験機を用いて、25℃、55%RH条件で引張試験を行った。強力は、破断強力を繊度で除したものであり、切断伸度は、破断時の伸度である。
[コードの作製]
得られたマルチフィラメントを下撚りした後、前記マルチフィラメントを2本合わせて上撚りしてコードを作製した。下撚り及び上撚りの回数を表1〜3に示した。
[ディップコードの作製]
前記コードをRFL(resolcin−formalin−latex)接着剤に浸漬して、ディップ処理し、乾燥工程及びベーキング工程からなる熱処理を行った。乾燥工程は150℃×150秒間、1×10−3N/dtexの張力で行った。ベーキング工程は乾燥工程と同温度、同時間、同張力で乾燥工程に引き続いて行い、ディップコードを作成した。
[カーカスプライ材の作製]
前記ディップコードをコーテイングゴムでカレンダーし、カーカスプライ材を作製した。
[タイヤの作製]
前記コーテイングゴムでトッピングしたディップコードを用いて、通常の成型、加硫工程を経て、205/70R14のタイヤを作成した。
各実施例及び比較例におけるタイヤの性状を、以下の試験方法で測定し、結果を表1〜3に示した。
(1)ドラム耐久性
各実施例及び比較例におけるタイヤを25±2℃の室内でJIS規格の最大空気圧に調整してから24時間放置後、空気圧の再調整を行い、JIS規格の最大荷重の2倍の荷重をタイヤに負荷し、直径約1.7mのドラム上で速度60km/hで走行テストを行った。
この際の故障発生までの走行距離を測定し、比較例1のタイヤの故障発生までの走行距離を100として指数表示した。指数の大きい方が故障発生までの走行距離が長く、高荷重時の耐久性に優れていることを示す。
Figure 0005948146
Figure 0005948146
Figure 0005948146
表1〜3に示されるように、実施例1〜14においては、強力の高い精製多糖類繊維が得られ、それを用いたタイヤは、タイヤ特性に優れていた。
一方、1段目の固形化槽中の固形化液体におけるイオン液体の濃度が50重量%を超えている比較例2においては、精製多糖類繊維を成形することができなかった。
比較例1においても、1段目の固形化槽中の固形化液体におけるイオン液体の濃度が50重量%を超えているため、固形化槽における繊維の滞留時間を大幅に長くしないと繊維を形成することができず、得られた精製多糖類繊維の強力は低く、それを用いたタイヤは、タイヤ特性が劣っていた。
更に、比較例3〜5においても、1段目の固形化槽中の固形化液体におけるイオン液体の濃度が50重量%を超えているため、固形化槽における繊維の滞留時間を大幅に長くしないと繊維を形成することができず、生産性が劣っていた。
1…押出機、2…紡糸口金、3…ローラー、4…引き取りローラー、5…第一の固形化槽、6…第一の固形化液体、7,7a,7b…中間体、15…第二の固形化槽、16…第二の固形化液体、25…第三の固形化槽、26…第三の固形化液体

Claims (18)

  1. イオン液体を含む液体に多糖類原料を溶解してなる多糖類溶解液を、イオン液体を含む固形化液体に接触させて、多糖類を湿式紡糸又は乾湿式紡糸する精製多糖類繊維の製造方法であって、
    前記固形化液体におけるイオン液体の濃度が0.4重量%〜50重量%であり、
    前記多糖類溶解液におけるイオン液体及び前記固形化液体中におけるイオン液体は、それぞれ、カチオン部とアニオン部から成り、
    前記アニオン部が、下記一般式(C2)で表されるホスフィネートイオン、ホスフェートイオン、及びホスホネイトイオンからなる群から選ばれる一種以上を有することを特徴とする精製多糖類繊維の製造方法。
    Figure 0005948146
    [式中、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は炭素数が1〜4のアルコキシ基を示す。]
  2. 前記固形化液体を保持した固形化槽を複数用い、多糖類を紡糸する工程の上流から下流に向けて、保持した前記固形化液体中のイオン液体の濃度が順次低くなるように、前記複数の固形化槽を配置し、
    最上流の前記固形化槽を用いて、前記多糖類溶解液中の多糖類を紡糸して、精製多糖類繊維の中間体を得て、該中間体を下流に向けて順次、残りの前記固形化槽を用いて紡糸して、精製多糖類繊維を得る請求項1に記載の精製多糖類繊維の製造方法。
  3. 前記多糖類がセルロースである請求項1又は2に記載の精製多糖類繊維の製造方法。
  4. 前記固形化液体が前記イオン液体と、水及び/又は有機溶媒と、からなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の精製多糖類繊維の製造方法。
  5. 前記有機溶媒が極性溶媒である請求項4に記載の精製多糖類繊維の製造方法。
  6. すべての前記固形化液体の温度が5〜60℃である請求項1〜5のいずれか一項に記載の精製多糖類繊維の製造方法。
  7. すべての前記固形化槽における前記多糖類又は前記中間体の滞留時間が120秒以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の精製多糖類繊維の製造方法。
  8. 前記多糖類溶解液におけるイオン液体と、前記固形化液体中におけるイオン液体が同じ種類である請求項1〜7のいずれか一項に記載の精製多糖類繊維の製造方法。
  9. 前記カチオン部は、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、アンモニウムイオン、及びフォスフォニウムイオンからなる群から選ばれる一種以上である請求項1〜8のいずれか一項に記載の精製多糖類繊維の製造方法。
  10. 前記カチオン部がイミダゾリウムイオンである請求項9に記載の精製多糖類繊維の製造方法。
  11. 前記カチオン部が下記一般式(C1)で表されるイミダゾリウムイオンである請求項10に記載の精製多糖類繊維の製造方法。
    Figure 0005948146
    [式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数2〜4のアルケニル基を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数2〜8のアルケニル基を示す。]
  12. 前記多糖類溶解液におけるイオン液体及び/又は前記固形化液体中におけるイオン液体が、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジエチルホスフェートである請求項1〜11のいずれか一項に記載の精製多糖類繊維の製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の精製多糖類繊維の製造方法を用いて製造したことを特徴とする精製多糖類繊維。
  14. 強力TBが5.1cN/dtex以上である請求項13に記載の精製多糖類繊維。
  15. 強力TBが5.4cN/dtex以上である請求項13又は14に記載の精製多糖類繊維。
  16. 請求項13〜15のいずれか一項に記載の精製多糖類繊維と、ゴム材料とを複合化してなることを特徴とする繊維−ゴム複合体。
  17. 請求項16に記載の繊維−ゴム複合体を用いたことを特徴とするタイヤ。
  18. 前記繊維−ゴム複合体をカーカスプライ、ベルトプライ、又はベルト保護層として用いた請求項17に記載のタイヤ。
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