JP5946950B1 - 咬合器 - Google Patents

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Abstract

【課題】個々の生体における上下顎に対する顎関節の位置に応じた最適な補綴装置を、正確かつ容易に製作することのできる咬合器を提供する。【解決手段】咬合器1は、下弓20に対する左右一対の関節部6,8の位置を、3次元的に独立的に調整する左右一対の下弓側関節位置調節部21、31を備えるとともに、上弓40に対する左右一対の関節部6,8の位置を、3次元的に独立的に調整する左右一対の上弓側関節位置調節部41、51を備えている。したがって、下弓20に対する上弓40の位置を所望の位置に保ったまま、関節部6,8の位置のみを3次元的に独立的に調整することができる。このため、下弓20及び上弓40に対し、咬合床(蝋義歯を含む)や義歯を、作業に適した標準位置に装着しつつ、個々の生体に応じて関節部6,8の位置のみを3次元的に調整することができる。【選択図】 図1

Description

この発明は、義歯等の補綴装置の製作等に用いられる咬合器に関する。
義歯等の補綴装置を製作する際の各種作業を患者の口腔外で行うために、生体における下顎運動を口腔外で再現する機器として、咬合器が用いられる。
生体の下顎運動要素として、上顎に対し、下顎が開閉動する開閉運動(開口運動及び閉口運動)、下顎が前後動する前後運動(前方運動及び後方運動)、下顎が横方向に動く側方運動(作業側側方運動及び平衡側側方運動)が考えられるが、下顎運動要素のうち一部の要素が再現可能な咬合器として、図11に示すコンダイラー型半調節性咬合器101が、総義歯の臨床に広く用いられている。
この咬合器101は、生体の下顎を再現した下顎模型200が装着される下弓120と、生体の上顎を再現した上顎模型300が装着される上弓140とを備え、下弓120と上弓140とは、生体の顎関節に相当する左右一対の関節部106、108によって連結されている。関節部106、108においては、生体とは逆に、生体の顎関節の下顎頭に相当する左右一対の顆頭球160、180が上弓140側に設けられ、生体の顎関節の関節窩に相当する左右一対の顆路指導部161、181が下弓120側に設けられている(非特許文献1の第77頁、ハノー咬合器H20型参照)。
一対の顆頭球160、180を結ぶ顆頭軸(水平軸)回りに下弓120と上弓140とを相対回転させることで、生体の下顎運動要素としての開閉運動を再現することができる。さらに、顆路指導部161、181に沿って顆頭球160、180を移動させることで、生体の下顎運動要素としての前後運動および側方運動の一部を再現することができる。
これらの下顎運動は、いずれも、上下顎(上下歯列または上下顎堤。以下同様)に対する顎関節の位置(典型的には、中心位における下顎頭の位置。以下同様。)が基準となるところ、患者の顎関節の位置は個人差があるから、個々の患者におけるこれらの下顎運動を咬合器101において再現するためには、患者の上下顎と顎関節との位置関係を、咬合器101に反映させる必要がある。
咬合器101を、たとえば、総義歯を製作する過程で用いる場合、患者の顎堤に装着された咬合床(喪失した歯や歯槽骨などに代わる仮の義歯床)400と患者の顎関節との位置関係の情報をフェイスボウ(顔弓)にいったん記録し、フェイスボウの記録に基づいて、咬合床400ならびに上顎模型300および下顎模型200を、上弓140および下弓120に装着する作業(フェイスボウトランスファー)が行われる(非特許文献1の第81頁〜第83頁参照)。この作業により、患者の上下顎と顎関節との位置関係が、咬合器101に反映される。
しかし、上述の咬合器101の場合、一対の顆頭球160、180は、咬合器101の正面からみて左右対称位置に固定的に設けられている。このため、患者の上下顎と顎関節との位置関係を咬合器101に反映させると、その位置関係に歪みがある場合、咬合器101に装着された咬合床400の正中矢状面が、咬合器101の中心面に対してずれたり傾いたりする。
このずれや傾きが大きいほど、咬合器101に咬合床400を装着した状態で、審美性とくに対称性を要求される作業、たとえば、咬合床400への人工歯排列やその調整作業(非特許文献1の第97頁〜第101頁他参照)、を正確に行うことが困難となる。
一方、関節部の位置を調節することができる咬合器として、顆頭間距離及び下顎枝高が調整可能な咬合器が提案されている(特許文献1の第1図〜第3図参照)。咬合器の顆頭間距離を調整することで、生体における左右の顎関節の間隔を再現することができ、咬合器の下顎枝高を調整することで、生体の上下顎に対する顎関節の高さを再現することができる。
しかしながら、生体においては、実際には、上下顎に対し、左右の顎関節が、それぞれ3次元で表現される位置関係を有しているところ、上記咬合器では、このような生体における位置関係を忠実に再現することができない。
このため、やはり、咬合器に装着された咬合床の正中矢状面が咬合器の中心面に対してずれたり傾いたりすることを防止することはできない。
しかも、上記咬合器では、下顎支持板と顆頭部との距離を変更することができても、上顎支持板と顆頭部との距離を変更することはできない。
このため、患者の上下顎と顎関節との位置関係によっては、下顎支持板に対して上顎支持板が左右に傾いてしまう場合があり、やはり、咬合器に咬合床を装着した状態で、対称性を要求される作業を正確に行うことが困難となる。
実公平7−46949号公報
細井紀雄、他4名編、「コンプリートデンチャーテクニック」、第5版、医歯薬出版株式会社、2006年3月10日、P.77、81−83、97−101
この発明は、このような従来技術における問題を解決し、個々の生体における上下顎に対する顎関節の位置に応じた最適な補綴装置を、正確かつ容易に製作することのできる咬合器を提供することを目的とする。
この発明による咬合器は、下顎模型を装着する下弓と、上顎模型を装着する上弓と、下弓と上弓とを連結して下顎運動を再現するための関節部と、を備えた咬合器において、下弓に対する関節部の位置を3次元的に調整する下弓側関節位置調節部と、上弓に対する関節部の位置を3次元的に調整する上弓側関節位置調節部と、を設けたこと、を特徴とする。
本発明の特徴は、上記のように広く示すことができるが、その構成や内容は、目的および特徴とともに、図面を考慮に入れた上で、以下の開示によりさらに明らかになるであろう。
本願の第1発明による咬合器は、下顎模型を装着する下弓と、上顎模型を装着する上弓と、下弓と上弓とを連結して下顎運動を再現するための関節部と、を備えた咬合器において、下弓に対する関節部の位置を3次元的に調整する下弓側関節位置調節部と、上弓に対する関節部の位置を3次元的に調整する上弓側関節位置調節部と、を設けたこと、を特徴とする。
下弓に対する関節部の位置を3次元的に調整できるよう構成するとともに、これと独立して、上弓に対する関節部の位置を3次元的に調整できるよう構成することで、下弓と上弓との位置関係を所望の装着基準位置に保ったまま、関節部の位置のみを3次元的に調整することができる。
装着基準位置として、たとえば、当該咬合器への咬合床の装着作業を正確かつ容易に行うことのできる位置、が選択される。装着基準位置を設定する際に、後述の標準位置が考慮される。
そして、装着基準位置に設定された咬合器に対し、所望の標準位置にて咬合床の装着を行うことができる。標準位置として、たとえば、咬合器に装着された状態の咬合床に対する各種作業(とくに、咬合床への人工歯排列など、対称性を要求される作業)を正確かつ容易に行うことのできる位置、が選択される。
このようにして咬合床を咬合器に装着することで、咬合器に装着された状態の咬合床に対する各種作業を、正確かつ容易に行うことが可能となる。
一方、咬合器の関節部の位置を3次元的に調整することができるため、咬合器上に、個々の生体の上下顎に対する顎関節の位置を忠実に再現することができる。このため、咬合器に装着された咬合床(蝋義歯を含む)や、蝋義歯に基づいて作成された最終的な義歯に対し、開閉運動を含む下顎運動を伴う調整作業を、正確かつ容易に行うことができる。
すなわち、本願の第1発明によれば、個々の生体における上下顎に対する顎関節の位置に応じた最適な補綴装置を、正確かつ容易に製作することのできる咬合器を、実現することができる。
本願の第2発明による咬合器は、本願の第1発明による咬合器において、下弓側関節位置調節部は、下弓に対して第1方向に移動及び固定自在な下弓側第1中間部材と、下弓側第1中間部材に対して第1方向に直行する第2方向に移動及び固定自在で、かつ、関節部に対して第1及び第2方向に直行する第3方向に移動及び固定自在な下弓側第2中間部材と、を備え、上弓側関節位置調節部は、上弓に対して第4方向に移動及び固定自在な上弓側第1中間部材と、上弓側第1中間部材に対して第4方向に直行する第5方向に移動及び固定自在で、かつ、関節部に対して第4及び第5方向に直行する第6方向に移動及び固定自在な上弓側第2中間部材と、を備えたこと、を特徴とする。
このため、下弓側第1中間部材、下弓側第2中間部材を介して、下弓に対する関節部の位置を、相互に直交する第1方向、第2方向、第3方向に独立に調整することができるとともに、上弓側第1中間部材、上弓側第2中間部材を介して、上弓に対する関節部の位置を、相互に直交する第4方向、第5方向、第6方向に独立に調整することができる。
この結果、下弓に対する上弓の位置を変更することなく、関節部の位置のみを相互に直交する第1方向、第2方向、第3方向、および、相互に直交する第4方向、第5方向、第6方向に独立に調整することができる。すなわち、下弓と上弓との位置関係を維持したままで、関節部の位置調整が、正確かつ容易となる。
また、下弓または上弓に対する関節部の3次元の位置情報を、直行する3軸方向の値として把握することができるため、当該位置情報を記録したり、記録された位置情報に基づいて、後日、咬合器の関節部の位置を再現したりすることが容易である。
本願の第3発明による咬合器は、本願の第2の発明による咬合器において、下弓側関節位置調節部は、下弓と下弓側第1中間部材との間、下弓側第1中間部材と下弓側第2中間部材との間、及び、下弓側第2中間部材と関節部との間に、それぞれ、各移動方向における相互の摺動を許容する摺動部と、当該摺動を阻止して相互に固定する固定部材と、を備え、上弓側関節位置調節部は、上弓と上弓側第1中間部材との間、上弓側第1中間部材と上弓側第2中間部材との間、及び、上弓側第2中間部材と関節部との間に、それぞれ、各移動方向における相互の摺動を許容する摺動部と、当該摺動を阻止して相互に固定する固定部材と、を備えたこと、を特徴とする。
このため、摺動部と固定部材という単純な構成で、下弓に対する上弓の位置を変更することなく、関節部の位置のみを相互に直交する第1方向、第2方向、第3方向、および、相互に直交する第4方向、第5方向、第6方向に独立に調整することができる。すなわち、下弓と上弓との位置関係を維持したままで、関節部の位置調整が、より正確かつ容易となるとともに、咬合器の製造コストの上昇を抑制することができる。
本願の第4発明による咬合器は、本願の第2ないし第3のいずれかの発明による咬合器において、第1、第2、第3方向のいずれかの方向、および、第4、第5、第6方向のいずれかの方向が、ともに当該咬合器の幅方向に一致するよう構成したこと、を特徴とする。
このため、下弓および上弓に対する関節部の各3つの調整方向のうち、対称性の基準となる咬合器の幅方向(左右方向)を共通の調節方向とすることで、対称性を要求される作業を行う上で必要となる下弓に対する上弓の位置調整が、さらに正確かつ容易となる。
図1は、咬合器1の構成を示す斜視図である。 図2は、咬合器1の正面図である。 図3は、咬合器1の右側面図である。 図4は、咬合器1の平面図である。 図5は、咬合器1の構成要素を説明するための図面である。 図6は、咬合器1の構成要素を説明するための図面である。 図7は、咬合器1の構成要素を説明するための図面である。 図8は、咬合器1の構成要素を説明するための図面である。 図9は、咬合器1の構成要素を説明するための図面である。 図10は、咬合器1の構成要素を説明するための図面である。 図11は、背景技術を示すための図面である。
まず、この発明の一の実施形態による咬合器1について説明する。
図1は、咬合器1の構成を示す斜視図である。図2は、咬合器1の正面図である。図3は、咬合器1の右側面図である。図4は、咬合器1の平面図である。図5ないし図10は、咬合器1の構成要素を説明するための図面である。
図1に示すように、咬合器1は、下顎模型が装着される下弓20を備えた下弓部2、上顎模型が装着される上弓40を備えた上弓部4、および、下弓部2と上弓部4とを連結する左右一対の関節部、すなわち、右関節部6および左関節部8を、備えている。
そして、一対の関節部6、8においては、一対の顆頭球60、80、すなわち、右顆頭球60および左顆頭球80、が上弓40側に設けられ、一対の顆路指導部61、81、すなわち、右顆路指導部61および左顆路指導部81、が下弓20側に設けられている。咬合器1の基本的な構成は、コンダイラー型半調節性咬合器の一種であるハノー咬合器H20型(上記背景技術における咬合器101参照)の構成と同様である。
咬合器1の幅方向(左右方向)をX方向、奥行き方向をY方向、高さ方向をZ方向(X,Y,Z方向は互いに直交する。)とする。
下弓20の上面20aは、YX面に平行な平面として構成されている。下弓20の幅方向(X方向)の中央を通りX方向に直行する面(YZ面に平行な面)を、下弓20の中心面という。下弓20の中心面を咬合器1の中心面と表現することがある。
下弓20の上面20aの幅方向の中央適部に、下顎模型が装着される円板状の下部マウンティングプレート39が着脱自在に設けられ、下弓20の幅方向の中央前端部(Y方向手前側端部)に、切歯指導板アッセンブリ38が設けられている。したがって、下部マウンティングプレート39、切歯指導板アッセンブリ38は、いずれも、その中心が下弓20の中心面上に位置することになる。下部マウンティングプレート39の上面は、下弓20の上面20aに平行な平面で構成されている。
上弓40は、一対の関節部6、8を介して、下弓20に対して回転可能であり、後述のように、関節部6、8の位置も変更可能であるため、下弓20と上弓40との位置関係は一定ではないが、とくに断らないかぎり、便宜上、両者の位置関係が、特定の装着基準位置(後述)である場合を例に説明する。
当該特定の装着基準位置において、上弓40の下面40aは、下弓20の上面20aに平行であるものとする。なお、図1ないし図4では、当該特定の装着基準位置よりも、上弓40の下面40aが下弓20の上面20aに対して前方側(Y方向手前側)にやや開いた状態(図3参照)を示しているが、以下、上弓40の下面40aと下弓20の上面20aとが平行であるものとして説明する。
上弓40の下面40aは、YX面に平行な平面として構成されている。上弓40の幅方向(X方向)の中央を通りX方向に直行する面(YZ面に平行な面)を、上弓40の中心面という。上記特定の装着基準位置において、上弓40の中心面と下弓20の中心面とが一致している。
上弓40の下面40aの幅方向の中央適部に、上顎模型が装着される円板状の上部マウンティングプレート59が着脱自在に設けられ、上弓40の幅方向の中央前端部(Y方向手前側端部)に、切歯指導針を装着する切歯指導針シャフト58が設けられている。
したがって、上部マウンティングプレート59、切歯指導針シャフト58は、いずれも、その中心が上弓40の中心面上に位置することになる。
上記特定の装着基準位置において、上部マウンティングプレート59の中心は、下部マウンティングプレート39の中心と対向する位置(X方向の位置およびY方向の位置が一致する関係)に配置され、切歯指導針シャフト58は、切歯指導板ユニット38と略対向する位置に配置されている。上部マウンティングプレート59の下面は、上弓40の下面40aに平行な平面で構成されている。
咬合器1は、下弓20に対する左右一対の関節部6,8の位置を、3次元的に独立的に調整する左右一対の下弓側関節位置調節部、すなわち、右下弓側関節位置調節部21および左下弓側関節位置調節部31を備えるとともに、上弓40に対する左右一対の関節部6,8の位置を、3次元的に独立的に調整する左右一対の上弓側関節位置調節部、すなわち、右上弓側関節位置調節部41および左上弓側関節位置調節部51を備えている点で、従来の咬合器101と異なる。
つまり、咬合器1においては、下弓部2は、下弓20および左右一対の下弓側関節位置調節部21、31を備えており、下弓20は、その後部左右端近傍に設けられた一対の下弓側関節位置調節部21、31を介して、間接的に一対の関節部6、8に連結されている。
また、上弓部4は、上弓40および左右一対の上弓側関節位置調節部41、51を備えており、上弓40は、その後方左右側に設けられた一対の上弓側関節位置調節部41、51を介して、間接的に一対の関節部6、8に連結されている。
つぎに、一対の下弓側関節位置調節部21、31、および、一対の上弓側関節位置調節部41、51について説明する。まず、右下弓側関節位置調節部21の構成について説明する。
右下弓側関節位置調節部21は、下弓側第1中間部材22および下弓側第2中間部材32を備えている。
図2に示すように、下弓側第1中間部材22は、スライダ部材23およびレール部材24を備えている。
図5に示すように、スライダ部材23は、スライダ23a、小径部23b、大径部23c、連結部23dが連続するよう形成され、連結部23dにはピン孔23eが設けられている。
下弓20の右端近傍には、直線状のレール20bが設けられている。レール20bの横断面形状(ZX断面形状)は、下弓20の上面20aから下方(Z方向下向き)にアンダーカット状に切り込まれた形状となっている。レール20bの長手方向はY方向に一致している。
スライダ部材23のスライダ23aが下弓20のレール20bにはめ込まれている。スライダ23aはレール20bに対して、回転不能で、かつ、その長手方向にのみ移動可能となるよう構成されている。つまり、このスライダ23aとレール20bとにより、摺動部が構成されている。また、スライダ23aは、レール20bのアンダーカット部、すなわち、一対の肩部20cにより、上方(Z方向上向き)に抜け出さないよう構成されている。
スライダ部材23の小径部23bは、一対の肩部20cの間隙に位置し、その外径は当該間隙より小さくなるよう構成されている。
大径部23cは、下弓20の上面20aより僅か上方に位置し、その外径は一対の肩部20cの間隙より大きくなるよう構成されている。大径部23cの外周には雄ネジが形成されており、この雄ネジに固定部材であるナット25(図2参照)が螺入される。
ナット25を締め込むと、ナット25の下面とスライダ部材23のスライダ23aとにより、下弓20の肩部20cが挟圧され、下弓20に対してスライダ部材23が固定される。ナット25を緩めると、下弓20に対してスライダ部材23はY方向に移動可能となる。
連結部23dの横断面形状(YX断面形状)は、円弧の一部をカットした略D字状となっており、直径方向に貫通するピン孔23eが設けられている。
図2に示すレール部材24の下面には、連結部23dと嵌合する凹部(図示せず)が設けられている。この凹部とスライダ部材23の連結部23dとを嵌合させたうえで、レール部材24のピン孔24aと連結部23dのピン孔23eとを貫通するピン(図示せず)を挿入することで、スライダ部材23とレール部材24とを固定的に結合することができる。このようにして結合されたスライダ部材23およびレール部材24により、下弓側第1中間部材22が構成される。
したがって、下弓側第1中間部材22は、下弓20に対してY方向に移動及び固定自在となっている。
つぎに、図3に示すように、下弓側第2中間部材32は、スライダ部材33および筒状部材34を備えている。
図6に示すように、スライダ部材33は、スライダ33a、小径部33b、大径部33c、連結部33dが連続するよう形成され、連結部33dにはピン孔33eが設けられている。
レール部材24には、直線状のレール24bが設けられている。レール24bの横断面形状(ZY断面形状)は、レール部材24の上面24dから下方(Z方向下向き)にアンダーカット状に切り込まれた形状となっている。レール24bの長手方向はX方向に一致するよう構成されている。
スライダ部材33のスライダ33aがレール部材24のレール24bにはめ込まれている。スライダ33aはレール24bに対して、回転不能で、かつ、その長手方向にのみ移動可能となるよう構成されている。つまり、このスライダ33aとレール24bとにより、摺動部が構成されている。また、スライダ33aは、レール24bのアンダーカット部、すなわち、一対の肩部24cにより、上方(Z方向上向き)に抜け出さないよう構成されている。
スライダ部材33の小径部33bは、一対の肩部24cの間隙に位置し、その外径は当該間隙より小さくなるよう構成されている。
大径部33cは、レール部材24の上面24dより僅か上方に位置し、その外径は一対の肩部24cの間隙より大きくなるよう構成されている。大径部33cの外周には雄ネジが形成されており、この雄ネジに固定部材であるナット35(図3参照)が螺入される。
ナット35を締め込むと、ナット35の下面とスライダ部材33のスライダ33aとにより、レール部材24の肩部24cが挟圧され、レール部材24に対してスライダ部材33が固定される。ナット35を緩めると、レール部材24に対してスライダ部材33はX方向に移動可能となる。
連結部33dの横断面形状(YX断面形状)は、円弧の一部をカットした略D字状となっており、直径方向に貫通するピン孔33eが設けられている。
図3に示す筒状部材34の下面には、連結部33dと嵌合する凹部(図示せず)が設けられている。この凹部とスライダ部材33の連結部33dとを嵌合させたうえで、筒状部材34のピン孔34aと連結部33dのピン孔33eとを貫通するピン(図示せず)を挿入することで、スライダ部材33と筒状部材34とを固定的に結合することができる。このようにして結合されたスライダ部材33および筒状部材34により、下弓側第2中間部材32が構成される。
したがって、下弓側第2中間部材32は、下弓側第1中間部材22に対してX方向に移動及び固定自在となっている。
図7に示すように、筒状部材34の直径方向略中央に、軸線がZ方向に一致する円筒内径部34bが設けられている。円筒内径部34bの横断面(YX断面)は円形である。筒状部材34の外径部から当該軸線に向かって円筒内径部34bに至るネジ孔が設けられ、そのネジ孔に固定部材であるボルト65が螺入されている。
つぎに、図10に、右関節部6の構成を示す。右関節部6は、上弓部4(図1参照)に固定される円柱状の顆頭球ロッド68を備えている。顆頭球ロッド68の右端近傍には、球形の右顆頭球60が固定的に設けられている。
右関節部6は、さらに、下弓部2(図1参照)に固定されるコンダイラーポスト63を備えている。コンダイラーポスト63は、ベース部63bと、ベース部63bの下部に固定的に設けられZ方向を軸線方向とする円柱状のロッド部63aと、ベース部63bの上部に固定的に設けられX方向を軸線方向とする略円筒状の調節板保持部63cとを備えている。
調節板保持部63cの円筒内面部には、矢状顆路調節板62が、当該調節板保持部63cの軸線まわりに回転可能に保持されている。矢状顆路調節板62には、生体における下顎の前後運動、側方運動を咬合器1上で再現するために、右顆頭球60の動きを指導する右顆路指導部61が設けられている。右顆路指導部61に沿って右顆頭球60を移動させることで、生体の下顎の前後運動や側方運動における右顎関節の動きを、咬合器1上で再現することができる。
調節板保持部63cには、調節板保持部63cに対する矢状顆路調節板62の回転角度を制限するためのスリット63dが設けられている。スリット63dの範囲内で矢状顆路調節板62を回転させることで右顆路指導部61の前方傾斜角、すなわち、矢状顆路角を変更することができ、矢状顆路固定ネジ66を締め込むことで、当該矢状顆路角を固定することができる。また、顆頭球固定ネジ67を締め込むことで、右顆路指導部61における右顆頭球60の位置を固定することができる。
図8に示すように、上述のコンダイラーポスト63のロッド部63aの外径は、筒状部材34の円筒内径部34bの直径より僅かに小さくなるよう構成されている。なお、図8においては、説明の便宜上、筒状部材34の実体を透明化し輪郭線のみで表示している。右関節部6を構成するコンダイラーポスト63のロッド部63aが、筒状部材34の円筒内径部34bにはめ込まれている。
ロッド部63aは円筒内径部34bに対して、Z軸回りに一定範囲内で回転可能で、かつ、その長手方向にのみ直線移動可能となるよう構成されている。つまり、このロッド部63aと円筒内径部34bとにより、摺動部が構成されている。
ボルト65を締め込むと、ボルト65の先端がロッド部63aの表面を押圧し、筒状部材34に対してコンダイラーポスト63が固定される。ボルト65を緩めると、筒状部材34に対してコンダイラーポスト63が、回転可能になるとともにZ方向に移動可能となる。
したがって、図1に示すように、下弓側第2中間部材32は、コンダイラーポスト63を含む右関節部6に対してZ方向に移動及び固定自在となっている。
なお、図8に示す筒状部材34に対して、その軸線まわりにコンダイラーポスト63を回転させることで、図10に示す右顆路指導部61のZ軸回りの回転角に対応する側方顆路角を変更することができる。
つぎに、右上弓側関節位置調節部41の構成について説明する。
図1に示すように、右上弓側関節位置調節部41は、上弓側第1中間部材42および上弓側第2中間部材43を備えている。
図4に示すように、上弓側第1中間部材42は、略円柱状の本体部42aと、本体部42aの一端側に固定的に設けられ本体部42aの軸線に対して直交する軸線を有する円柱状の第1ロッド部42bおよび第2ロッド部42cと、本体部42aの他端に固定的に設けられ本体部42aの軸線ならびに第1ロッド部42bおよび第2ロッド部42cの軸線に対してともに直交する軸線を有する円筒状の筒状部材42dを備えている。第1ロッド部42bと第2ロッド部42cとは所定距離隔てて設けられ、双方の軸線は平行である。
図9に示すように、上弓40の後部右寄り(図面では手前左寄り)に、円筒内径部40b、40cが所定間隔をおいて設けられている。円筒内径部40b、40cは、いずれも、円筒状の凹部であって、その軸線がY方向に一致し、上弓40の後端に開口している。なお、図9においては、説明の便宜上、上弓40、上弓側第1中間部材42および上弓側第2中間部材43の実体を透明化し輪郭線のみで表示している。
上弓40の上面から円筒内径部40bの軸線に向かって円筒内径部40bに至るネジ孔が設けられ、そのネジ孔に固定部材であるボルト44が螺入されている。
上弓40の円筒内径部40bと円筒内径部40cとの軸間距離は、上弓側第1中間部材42の第1ロッド部42bと第2ロッド部42cとの軸間距離に等しくなるよう構成されている。また、第1ロッド部42bの外径が円筒内径部40bの直径より僅かに小さくなるよう構成され、第2ロッド部42cの外径が円筒内径部40cの直径より僅かに小さくなるよう構成されている。
上弓側第1中間部材42の第1ロッド部42bおよび第2ロッド部42cが、上弓40の円筒内径部40bおよび円筒内径部40cに、はめ込まれている。この状態で、上弓側第1中間部材42は、上弓40に対して、Y軸方向にのみ直線移動可能となる。つまり、これらの第1ロッド部42bおよび第2ロッド部42cと、円筒内径部40bおよび円筒内径部40cとにより、摺動部が構成されている。
ボルト44を締め込むと、ボルト44の先端がロッド部42bの表面を押圧し、上弓40に対して上弓側第1中間部材42が固定される。ボルト44を緩めると、上弓40に対して上弓側第1中間部材42が、Y方向に移動可能となる。
したがって、上弓側第1中間部材42は、上弓40に対してY方向に移動及び固定自在となっている。
つぎに、図2に示すように、上弓側第2中間部材43は、円柱状のロッド部43aと、ロッド部43aの一端側に固定的に設けられロッド部43aの軸線に対して直交する軸線を有する円筒状の筒状部材43bを備えている。
図9に示すように、上弓側第2中間部材43のロッド部43aの外径が、上述の上弓側第1中間部材42の筒状部材42dの内径より僅かに小さくなるよう構成されている。また、筒状部材42dの外径部から当該筒状部材42dの軸線に向かって筒状部材42dの内径部に至るネジ孔が設けられ、そのネジ孔に固定部材であるボルト45が螺入されている。
上弓側第2中間部材43のロッド部43aが、上弓側第1中間部材42の筒状部材42dの内径部に、はめ込まれている。この状態で、上弓側第2中間部材43は、上弓側第1中間部材42に対して、Z軸回りに回転可能で、かつ、その長手方向(Z方向)にのみ直線移動可能となるよう構成されている。つまり、このロッド部43aと筒状部材42dの内径部とにより、摺動部が構成されている。
ボルト45を締め込むと、ボルト45の先端がロッド部43aの表面を押圧し、上弓側第1中間部材42に対して上弓側第2中間部材43が固定される。ボルト45を緩めると、上弓側第1中間部材42に対して上弓側第2中間部材43が、Z軸回りに回転可能で、かつ、Z方向に移動可能となる。
したがって、上弓側第2中間部材43は、上弓側第1中間部材42に対してZ方向に移動及び固定自在となっている。
つぎに、図9に示すように、上述の右関節部6(図10参照)を構成する顆頭球ロッド68の外径が、上述の上弓側第2中間部材43の筒状部材43bの内径より僅かに小さくなるよう構成されている。また、筒状部材43bの外径部から当該筒状部材43bの軸線に向かって筒状部材43bの内径部に至るネジ孔が設けられ、そのネジ孔に固定部材であるボルト46が螺入されている。
右関節部6を構成する顆頭球ロッド68が、上弓側第2中間部材43の筒状部材43bの内径部に、はめ込まれている。この状態における顆頭球ロッド68の軸線方向がX方向であるとすると、顆頭球ロッド68は、上弓側第2中間部材43に対して、X軸回りに回転可能で、かつ、その長手方向(X方向)にのみ直線移動可能となる。つまり、この顆頭球ロッド68と筒状部材43bの内径部とにより、摺動部が構成されている。
ボルト46を締め込むと、ボルト46の先端が顆頭球ロッド68の表面を押圧し、上弓側第2中間部材43に対して右関節部6が固定される。ボルト46を緩めると、上弓側第2中間部材43に対して右関節部6が、X軸回りに回転可能で、かつ、X方向に移動可能となる。
したがって、上弓側第2中間部材43は、右関節部6に対してX方向に移動及び固定自在となっている。
図1に示すように、咬合器1は、上記特定の装着基準位置においては、その中心面を対称面とする鏡面対象の構造となっている。左下弓側関節位置調節部31、左上弓側関節位置調節部51、左関節部8は、それぞれ、上記右下弓側関節位置調節部21、右上弓側関節位置調節部41、右関節部6と独立に動作するよう構成されているが、それらの基本構造自体は、それぞれ鏡面対象の関係であるため、説明を省略する。
つぎに、総義歯の作成における咬合器1の使用方法の一例について説明する。
まず、右関節部6における右顆路指導部61および右顆頭球60、ならびに、左関節部8における左顆路指導部81および左顆頭球80を、所定の初期位置(フェイスボウトランスファーを実施する位置)に戻し、矢状顆路固定ネジ66、顆頭球固定ネジ67(図10参照)を締め込んで、これらを固定する。
つぎに、咬合器1を所望の装着基準位置に設定したうえで、各関節位置調節部21、31、41、51を構成する各固定部材25、35、・・・により、下弓20および上弓40に対する関節部6、8の位置を固定しておく。
咬合器1の装着基準位置とは、咬合器1に咬合床を装着する際の基準となる下弓20と上弓40との位置関係を言う。装着基準位置は、とくに限定されるものではないが、咬合器1への咬合床の装着作業を正確かつ容易に行うことのできる位置関係が好ましい。装着基準位置を設定する際に、後述の標準位置が考慮される。
装着基準位置として、下弓20の中心面と上弓40の中心面とが一致し、かつ、下部マウンティングプレート39の上面と上部マウンティングプレート59の下面が平行で、かつ、下部マウンティングプレート39の中心と上部マウンティングプレート59の中心とが対向する位置にあるような、下弓20と上弓40との位置関係(上述の特定の装着基準位置)が例示される。
つぎに、装着基準位置に設定された咬合器1に、咬合採得済みの(すなわち、患者の上下顎の咬み合わせ情報を反映済みの)咬合床を、所望の標準位置にて、上顎模型および下顎模型を介して、石膏などを用いて装着する。
標準位置とは、咬合器1に咬合床を装着する際の咬合器1と咬合床との位置関係をいう。標準位置は、とくに限定されるものではないが、咬合器1に装着された状態の咬合床に対する各種作業(とくに、咬合床への人工歯排列など、対称性を要求される作業)を正確かつ容易に行うことのできる位置関係が好ましい。
標準位置として、上顎咬合床の正中矢状面が咬合器1の上弓40の中心面と一致するような、咬合器1と咬合床との位置関係が例示される。このときの、下弓20の上面20aに対する咬合床の咬合平面の設置角度は、とくに限定されるものではないが、たとえば、下弓20の上面20aと咬合床の咬合平面とが平行になるように設定したり、下弓20の上面20aに対し咬合床の咬合平面がやや後ろ上がり、または後ろ下がりになるように設定したりすることができる。
標準位置をこのように設定することで、たとえば、咬合平面板(上顎咬合床を載置する器具)を用いて上弓40に上顎咬合床を装着する等の作業が容易となるため、好都合である。
このようにして咬合器1に装着された咬合床に対し、人工歯排列を行う。人工歯排列は、対称性を要求される作業であるが、適正な装着基準位置に設定された咬合器1に適正な標準位置にて咬合床が装着されていると、人工歯排列作業を、容易かつ正確に行うことができる。
つぎに、咬合器1から、人工歯排列のなされた咬合床(蝋義歯)のみを外して患者に装着し、その状態で、フェイスボウを用いて蝋義歯の咬合平面と患者の顎関節との位置関係の情報を記録する。なお、このとき、上顎模型および下顎模型は咬合器1に装着されたままである。
つぎに、蝋義歯と患者の顎関節との位置関係の情報が記録されたフェイスボウを蝋義歯ごと、患者から外し、外した蝋義歯を再び咬合器1に装着するとともに、蝋義歯に付着しているフェイスボウを用いて、蝋義歯の咬合平面に対する患者の顎関節の情報を、咬合器1に移す(フェイスボウトランスファー)。
フェイスボウトランスファーにさきだち、咬合器1の各関節位置調節部21、31、41、51を構成する各固定部材25、35、・・・を緩め、当該関節位置調節部21、31、41、51を構成する各摺動部を摺動可能(フリー)な状態としておく。
フェイスボウトランスファーにより、患者の顎関節の情報が、咬合器1の関節部6、8の位置に反映された状態で、再び、各固定部材25、35、・・・を締め込むことで、下弓20および上弓40に対する関節部6、8の新たな位置を固定する。
この後、チェックバイト法などを用いて採得された患者の下顎運動の情報に基づいて、通法に従い、咬合器1の関節部6、8の右顆路指導部61、左顆路指導部81の前方傾斜角およびZ軸周りの回転角を調整することで、矢状顆路角および側方顆路角を、咬合器1に設定する。
このようにして、患者の上下顎に対する顎関節の3次元の位置情報、および、患者の下顎運動の情報が反映された咬合器1を用いて、蝋義歯の調整作業、さらに、蝋義歯に基づいて作成された最終的な義歯の調整作業を行うことができる。このため、真に患者に適した義歯を正確に製作することができる。
さらに、これらの作業においても、咬合器1に対する蝋義歯および最終的な義歯の装着位置は、フェイスボウトランスファー以前に行われた作業(咬合床への人工歯排列作業など)における咬合器1に対する咬合床の装着位置と同一である。フェイスボウトランスファーにより、下弓20および上弓40に対する関節部6、8の位置が変更された場合であっても、下弓20に対する上弓40の位置は、そのまま維持されているからである。このため、これらの調整作業も、咬合床への人工歯排列作業同様、正確かつ容易に行うことができる。
なお、従来は、上述のように、歯科医師によって咬合床を用いて咬合採得をする際に、同時に、咬合床と患者の顎関節との位置関係の情報をフェイスボウに記録していた。その後に行われる、咬合採得済みの咬合床の咬合器への装着作業(このときにフェイスボウトランスファーが行われる)、および、咬合器に装着された咬合床への人工歯排列作業(すなわち、蝋義歯の作成)は、一連の作業として、歯科技工所(または、歯科医院における歯科技工部。以下同様。)で行われることが多く、その間、フェイスボウは、歯科技工所に貸し出されたままになっていた。したがって、その間、歯科医師は、多くの患者に対応するために、多くのフェイスボウを用意しておかなければならず、問題となっていた。
一方、この発明においては、たとえば、咬合採得済みの咬合床の咬合器1への装着から蝋義歯の作成に至る工程を歯科技工所において行ったあと、歯科医師において、当該蝋義歯を用いてフェイスボウによる蝋義歯に対する患者の顎関節の情報を得るとともに、得られた情報を、すぐに、咬合器1に反映させる(フェイスボウトランスファー)ことができる。このため、多くのフェイスボウを用意しておく必要はない。
さらに、歯科医師と歯科技工所との間で、上述の咬合器1の装着基準位置および標準位置に関する情報を共有し、当該装着基準位置に合致する簡易的な咬合器(たとえば、開閉運動のみ可能な廉価な咬合器。図示せず)であって、咬合器1の下部マウンティングプレート39および上部マウンティングプレート59を共用可能な咬合器に、当該標準位置において咬合床を装着するようにしておけば、咬合採得済みの咬合床の咬合器への装着から蝋義歯の作成に至る工程を、歯科技工所において、上記簡易的な咬合器を用いて行うことができる。
その後、当該咬合器から、下顎模型の装着された下部マウンティングプレート39、および上顎模型の装着された上部マウンティングプレート59ごと、蝋義歯を取り外して、歯科医師に渡し、歯科医師において、本発明に係る咬合器1に装着し、上述のフェイスボウを用いて蝋義歯の咬合平面と患者の顎関節との位置関係の情報を記録する作業以降の作業を行うようにしてもよい。
このようにすれば、上記簡易的な咬合器に比べ高額な、本発明に係る咬合器1を多数用意する必要がない。
なお、上述の実施形態においては、下弓と下弓側第1中間部材との間、下弓側第1中間部材と下弓側第2中間部材との間、および、下弓側第2中間部材と関節部との間に、それぞれ摺動部を設けるとともに、上弓と上弓側第1中間部材との間、上弓側第1中間部材と上弓側第2中間部材との間、および、上弓側第2中間部材と関節部との間に、それぞれ、摺動部を設けることで、摺動機構を用いて各部材間の位置変位を行わせる構成を例示したが、この発明はこれに限定されるものではない。
すべての部材間または一部の部材間の位置変位を、摺動機構以外の直線運動機構、たとえば、ネジ機構やリンク機構を用いたり、これらの機構を組み合わせた機構を用いたりして実現することもできる。
また、上述の実施形態においては、下弓に対して第1方向に移動及び固定自在な下弓側第1中間部材と、下弓側第1中間部材に対して第1方向に直行する第2方向に移動及び固定自在で、かつ、関節部に対して第1及び第2方向に直行する第3方向に移動及び固定自在な下弓側第2中間部材と、を備えるとともに、上弓に対して第4方向に移動及び固定自在な上弓側第1中間部材と、上弓側第1中間部材に対して第4方向に直行する第5方向に移動及び固定自在で、かつ、関節部に対して第4及び第5方向に直行する第6方向に移動及び固定自在な上弓側第2中間部材と、を備えるよう構成することで、下弓に対する関節部の3次元の位置変位、および、上弓に対する関節部の3次元の位置変位を、それぞれ、直交する3方向に独立して変位可能な直線運動機構を組み合わせて実現する構成を例示したが、この発明はこれに限定されるものではない。
下弓に対する関節部の3次元の位置変位、および/または、上弓に対する関節部の3次元の位置変位を、直交する3方向に独立して変位可能な直線運動機構を組み合わせた以外の構成、たとえば、直線運動機構と回転運動機構とを組み合わせた構成や、回転運動機構のみを組み合わせた構成などにより実現することができる。
また、上述の実施形態においては、咬合器として、コンダイラー型半調節性咬合器の一種であるハノー咬合器H20型に本発明を適用した場合を例示したが、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。
たとえば、ハノー咬合器H20型以外のコンダイラー型半調節性咬合器、コンダイラー型半調節性咬合器以外の半調節性咬合器、半調節性咬合器以外の咬合器に、本発明を適用することができる。
上記においては、本発明を好ましい実施形態として説明したが、各用語は、限定のために用いたのではなく、説明のために用いたものであって、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、添付のクレームの範囲において、変更することができるものである。また、上記においては、本発明のいくつかの典型的な実施形態についてのみ詳細に記述したが、当業者であれば、本発明の新規な教示および利点を逸脱することなしに上記典型的な実施形態において多くの変更が可能であることを、容易に認識するであろう。したがって、そのような変更はすべて、本発明の範囲に含まれるものである。
1 :咬合器
6,8 :関節部
20 :下弓
21,31:下弓側関節位置調節部
40 :上弓
41,51:上弓側関節位置調節部

Claims (4)

  1. 下顎模型を装着する下弓と、
    上顎模型を装着する上弓と、
    前記下弓と前記上弓とを連結して下顎運動を再現するための左右一対の関節部と、
    を備えた咬合器において、
    前記下弓に対する左右一対の前記関節部の位置を、それぞれ独立に、3次元的に調整する左右一対の下弓側関節位置調節部と、
    前記上弓に対する左右一対の前記関節部の位置を、それぞれ独立に、3次元的に調整する左右一対の上弓側関節位置調節部と、
    を設けたこと、
    を特徴とする咬合器。
  2. 請求項1の咬合器において、
    左右一対の前記下弓側関節位置調節部は、それぞれ、
    前記下弓に対して第1方向に移動及び固定自在な下弓側第1中間部材と、
    前記下弓側第1中間部材に対して第1方向に直行する第2方向に移動及び固定自在で、かつ、前記関節部に対して第1及び第2方向に直行する第3方向に移動及び固定自在な下弓側第2中間部材と、
    を備え、
    左右一対の前記上弓側関節位置調節部は、それぞれ、
    前記上弓に対して第4方向に移動及び固定自在な上弓側第1中間部材と、
    前記上弓側第1中間部材に対して第4方向に直行する第5方向に移動及び固定自在で、かつ、前記関節部に対して前記第4及び第5方向に直行する第6方向に移動及び固定自在な上弓側第2中間部材と、
    を備えたこと、
    を特徴とするもの。
  3. 請求項2の咬合器において、
    左右一対の前記下弓側関節位置調節部は、それぞれ、
    前記下弓と前記下弓側第1中間部材との間、前記下弓側第1中間部材と前記下弓側第2中間部材との間、及び、前記下弓側第2中間部材と前記関節部との間に、それぞれ、前記移動方向における相互の摺動を許容する摺動部と、当該摺動を阻止して相互に固定する固定部材と、を備え、
    左右一対の前記上弓側関節位置調節部は、それぞれ、
    前記上弓と前記上弓側第1中間部材との間、前記上弓側第1中間部材と前記上弓側第2中間部材との間、及び、前記上弓側第2中間部材と前記関節部との間に、それぞれ、前記移動方向における相互の摺動を許容する摺動部と、当該摺動を阻止して相互に固定する固定部材と、を備えたこと、
    を特徴とするもの。
  4. 請求項2ないし請求項3のいずれかの咬合器において、
    第1、第2、第3方向のいずれかの方向、および、第4、第5、第6方向のいずれかの方向が、ともに当該咬合器の幅方向に一致するよう構成したこと、
    を特徴とするもの。
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