JP5945471B2 - モータアクチュエータ - Google Patents

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Description

本発明は、モータの動力によって駆動対象物を動作させるモータアクチュエータに関する。
このようなモータアクチュエータとしては、例えば下記特許文献1に記載のものが公知である。下記特許文献1では、駆動対象物と連繋される出力軸(ロッド係合部19)を有する出力部材(弁解閉操作部10)は、出力歯車(出力軸9)に対してタッピングネジ16により固定されている。
特開2001−161046号公報
上記特許文献1に記載されるように、出力部材の固定にネジを用いると、部品コスト、組立コストが嵩む。また、出力部材を回転させる方向によっては、ネジの緩みを防止するために左ネジ(逆ネジ)を用いる必要がある。このような特殊な部品を用いる場合には、部品価格の上昇、組立の困難化により、さらに製造コストが増加してしまう。
上記問題に鑑みて、本発明は、モータの動力を出力する出力部材を有するモータアクチュエータにおいて、出力部材とそれに連結される部材の結合を簡単かつ確実なものとすることを目的とする。
上記課題を解決するために本発明にかかるモータアクチュエータは、モータと、このモータの動力により回転する歯車であって、空間を挟んで対称に位置する弾性変形可能な二つの係合突起を有する係合部が形成された出力歯車と、前記係合突起のスナップフィットにより前記係合部が係合される貫通孔が形成されるとともに、駆動対象物に連繋される出力軸を有する出力部材と、を備え、前記係合部は、前記出力部材における前記貫通孔の周縁部分に引っ掛かる先端部分が円錐状に形成されるとともに、外側には軸方向に沿う平面であるカット面が形成される一方、前記出力部材には、前記貫通孔に面するように形成された前記カット面に接する平面である被押圧面が形成されており、前記カット面および前記被押圧面は、軸方向から見て、前記出力軸の中心と前記係合部の中心とを結んだ直線に交差するように形成されていることを要旨とするものである。
上記構成によれば、ネジ(左ネジのような特殊なネジ)等の部品を用いなくとも、出力部材と出力歯車とを結合することができる。また、係合部の先端部分は円錐状に形成されているため、貫通孔の周縁部に当該先端部分を押しつけるだけで係合突起を弾性変形させつつ係合部を貫通孔に挿入することができ、組立が容易である。さらには、カット面および被押圧面が、出力軸の中心と係合部の中心とを結んだ直線に交差するように形成されているため、出力部材に作用する駆動対象物からの反作用力の大部分をカット面で受けることができるから、係合部が破損しにくく耐久性に優れる。
上記構成において、前記カット面および前記被押圧面は、軸方向から見て、前記出力軸の中心と前記係合部の中心とを結んだ直線に直交するように形成されていればよい。
このような構成とすれば、上記耐久性をさらに向上させることができる。
また、前記カット面は、前記二つの係合突起同士が前記空間を挟んで対向する面に対して直交するように形成されていればよい。
このような構成とすれば、上記反作用力が係合部に作用した場合、当該力は係合突起が弾性変形する方向(係合突起が互いに近づく方向)に直交する方向に作用するから、当該力による係合突起の弾性変形を抑制できる。つまり、当該力によって、出力部材が係合部(出力歯車)から外れてしまうことが防止される。
また、二つの前記カット面が平行になるように形成されていればよい。
このような構成とすれば、係合部における力のかかる面が複数に分散されるため、係合部(カット面)の変形等を防止できる。
本発明にかかるモータアクチュエータによれば、部品点数(ネジ)の削減、組立の容易化による製造コストの低減を実現できる。また、出力部材と出力歯車の結合部分(動力伝達部分)の耐久性に優れる。
本発明の一実施形態にかかるモータアクチュエータの外観斜視図である。 本発明の一実施形態にかかるモータアクチュエータの平面図であり、出力軸とカット面および被押圧面の位置関係を示した図である。 本発明の一実施形態にかかるモータアクチュエータの内部を出力ユニットを分解して示した図である。 本発明の一実施形態にかかるモータアクチュエータからケースおよび出力ユニットを取り外した状態であって、二組の接点部材組が面Pを対称面として面対称に位置する状態を示した図である。 歯車列の外観斜視図である。 図5とは異なる方向から見た歯車列の外観斜視図である。 出力部材を下方から見た外観斜視図である。 カム部材の外観図であって、図8(a)は上方から見た外観斜視図、図8(b)は底面図(カム部の形状を示した図)である。 出力歯車の外観図であって、図9(a)は上方から見た外観斜視図、図9(b)は平面図(カット面の形状を示した図)である。 回路基板の外観斜視図である。 プレートの外観斜視図である。 出力ユニットおよびその回転によって変位する接点部材(作動接点部材)の位置関係を説明するための図であり、(a1)〜(a3)はカム面の回転位置と接点部材の関係を、(b1)〜(b3)は出力部材の凹部およびカム部材の凸部と接点部材の関係を、(c1)〜(c3)は出力部材(出力軸)と接点部材の関係を、一方の(第一)作動接点部材と一方の(第一)固定接点部材が接触した状態から離れるまでを順を追って示したものである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明の実施形態にかかるモータアクチュエータ1は、モータ10と、歯車列を構成する歯車の一つである出力歯車67と、出力部材21を有する出力ユニット20と、を備える。また、これら以外に、回路基板30、作動接点部材41,42、固定接点部材51,52等を備える。これら各構成はプレート70に支持される等してケース80内に収容されている(図1〜図4参照)。以下、各構成について詳細に説明する。なお、以下の説明における上(側)とは、モータ10の回転軸14方向における当該回転軸14の先端側をいい、下(側)とは、回転軸14の基端側、すなわちモータ10の本体部11が位置する側をいうものとする。つまり、図2の紙面に直交する方向を上下方向とする。
モータ10は、本アクチュエータの駆動源である。モータ10は、ステータおよびロータが収納された本体部11と、ロータと一体的に回転する回転軸14と、二つの入力端子(プラス入力端子12およびマイナス(グランド)入力端子13)と、を有する。入力端子12,13は、回路基板30に形成された導電パターンと電気的に接続されている(詳細は後述)。このモータ10の動力は、歯車列を介して出力ユニット20まで伝達される。歯車列の構成は次の通りである。
図5および図6に示すように、モータ10の回転軸14には、この回転軸14とともに回転する一番車61が固定されている。一番車61は、複合歯車である二番車62の大径歯部が噛み合っている。二番車62の小径歯部は、三番車63に噛み合っている。この三番車63はモータ10の二つの入力端子12,13の間に位置する。三番車63には、歯部よりも中央側に円形の空間が形成されており、この空間に周知のラチェット機構が構築されている。ラチェット機構を構成する爪部材には四番車64が固定されている。つまり、三番車63の一方側の回転は四番車64に伝達されるものの、他方側の回転は四番車64に伝達されない構成となっている。四番車64には、複合歯車である五番車65の大径歯部が噛み合っている。五番車65の小径歯部には、複合歯車である六番車66の大径歯部が噛み合っている。六番車66の小径歯部には、出力歯車67の歯部675が噛み合っている。出力歯車67には、出力ユニット20を構成する出力部材21が係合している。なお、この歯車列はあくまで一例であり、モータ10の動力を出力ユニット20(出力部材21)まで伝達することができる構成であれば適宜変更可能である。
出力ユニット20は、出力軸213を有しモータ10の動力が伝達される出力部材21およびこの出力部材21が回転することによって回転するカム部材22を有する(図3参照)。出力部材21は、出力歯車67に取り付けられることにより出力歯車67と一体的に回転する部材である。出力歯車67が有する係合部671が、出力部材21の貫通孔211に係合されることにより両者は連結されている。具体的には以下の通りである。
図3〜図6、図9に示すように、出力歯車67の係合部671は二つの係合突起6711を有する。両係合突起6711は、空間672を挟んで対称に位置し、少なくとも当該空間672側に(互いに近づく方向に)弾性変形可能である。係合部671の先端部分673は円錐状に形成されている。なお、ここでいう円錐状とは、厳密に言えば、係合部671が、上記空間672が存在せず二つの係合突起6711が一体であり、かつ、後述するカット面674が形成されていない形状であると仮定した場合において、当該先端部分673が(周方向に切り欠かれた部分のない)円錐になるという意味である。また、本実施形態では、当該円錐状の先端部分673の先端側の一部は面取りされている。この係合部671の先端部分673は、両係合突起6711が弾性変形していない状態において、最も基端側の部分の径方向の大きさが、出力部材21の貫通孔211よりも大きくなるように形成されている。また、当該最も基端側の部分の径方向の大きさは、両係合突起6711が互いに近づく方向に一定量以上弾性変形したときに、出力部材21の貫通孔211よりも小さくなるように形成されている。
係合部671の外側上部には出力歯車67の回転中心軸方向に沿う平面であるカット面674が形成されている。本実施形態では、二つのカット面674が平行になるように、かつ、二つの係合突起6711同士が空間672を挟んで対向する面(空間に臨む面)に対して直交するように(換言すれば、二つの係合突起6711が互いに近づく方向に沿う方向に)形成されている。
一方、出力部材21の貫通孔211は、その断面形状が、上記係合部671の先端部分673より根元部分の断面形状(空間672を含む)と同じになるように形成されている。つまり、出力部材21には、貫通孔211に面するように形成された平面(被押圧面212)が形成されている(図7参照)。また、出力部材21における貫通孔211が形成された周囲は、端面よりもモータ10側に窪んでいる(図3参照)。
このように形成された出力部材21の貫通孔211に、出力歯車67の係合部671の先端部分673を押しつけると、貫通孔211の周縁によって円錐状に形成された係合部671の先端部分673が押され、両係合突起6711が互いに近づく方向に弾性変形していく。両係合突起6711が所定量以上弾性変形すると、係合部671の先端部分673が貫通孔211を通過する。係合部671の先端部分673が貫通孔211を通過すると両係合突起6711の弾性変形が解消され、係合部671の先端部分673が貫通孔211の周縁(窪みの底面)に引っ掛かった状態となる。また、係合部671の断面形状と貫通孔211の断面形状は同じであるため、係合部671に形成された二つのカット面674のそれぞれは、出力部材21に形成された各被押圧面212に密接した状態になる。このように、二つの係合突起6711の弾性変形、いわゆるスナップフィットにより、出力歯車67の係合部671が出力部材21の貫通孔211に係合される。
かかる状態となることにより、出力歯車67が回転すると、その出力歯車67の係合部671に形成されたカット面674が出力部材21に形成された被押圧面212を押し、出力部材21も回転する。つまり、出力歯車67と出力部材21が一体的に回転する。
このように出力歯車67に係合される出力部材21は、その端面(モータ10が位置する側の反対の端面)から突出する出力軸213を有する。この出力軸213は、本実施形態にかかるモータアクチュエータ1によって駆動される図示されない駆動対象物に連繋される部材である。つまり、出力部材21の回転中心軸を中心とした円運動する出力軸213の動力が、各種伝達部材を介して、または直接、駆動対象物に伝達される。出力軸213は、上記カット面674および被押圧面212が形成された側に位置する。詳しくは、上記カット面674および被押圧面212は、出力軸213の中心と係合部671の中心(出力歯車67の回転中心)とを結んだ直線Lに交差するように形成されている。本実施形態では、カット面674および被押圧面212は、軸方向(すなわち上下方向)から見て、出力軸213の中心と係合部671の中心(出力歯車67の回転中心)とを結んだ直線Lに直交するように形成されている(図2参照)。
また、出力部材21の下側、すなわち、以下で詳述するカム部材22が位置する側には、周方向に沿う凹部214が形成されている(図7参照)。この凹部214の内側には、カム部材22に形成される凸部221が入り込んだ状態にある。
図3および図8に示す出力部材21とともに出力ユニット20を構成するカム部材22は、係合部671に対して回転自在に支持されている。具体的には、断面円形の軸である係合部671の下部(カット面674の下側)に回転自在に支持されている。つまり、出力歯車67の中心軸方向において出力歯車67の歯部675と出力部材21との間で、係合部671に対して回転自在に支持されている。このカム部材22の上側の縁部には、上方に向かって突出した周方向に沿う凸部221が形成されている。この凸部221の周方向長さは上述した出力部材21の凹部214の周方向長さよりも短くなるように形成されており、当該凸部221は凹部214の内側に入り込んだ状態にある。したがって、出力部材21が一方に回転すると、周方向における凹部214の一方の壁面が凸部221の一方の壁面に接触し、カム部材22も一方に回転する。出力部材21が他方に回転すると、周方向における凹部214の他方の壁面が凸部221の他方の壁面に接触し、カム部材22も他方に回転する。ただし、凸部221と凹部214には上述した周方向長さの関係があるため、出力部材21とカム部材22の間には周方向に「遊び(ガタ)」がある。つまり、両者の周方向における係合には、凹部214の周方向長さと凸部221の周方向長さの差分、当該「遊び」が存在する。そのため、当該「遊び」の大きさ分、カム部材22は出力部材21から独立して回転することが可能である。例えば、周方向における凹部214の一方の壁面が凸部221の一方の壁面に接触した状態にあるとき、凹部214の周方向長さと凸部221の周方向長さの差分、カム部材22は出力部材21とは別に他方に回転することが可能である。
また、カム部材22の下側には、周方向に沿うカム部222が形成されている。カム部222は、相対的に大径の大径部2222、および相対的に小径の小径部2221とを含む。大径部2222と小径部2221の境界部分2223は、両者を繋げるなだらかな傾斜面となっている。このカム部222に、詳細を後述する作動接点部材41,42が接触している。
図3、図4、および図10に示す回路基板30は、少なくともその上面に導電性材料がパターニングされてなる導電パターンが形成された部材である。この回路基板30は、ケース80に取り付けられたプレート70に支持されている。回路基板30に形成された導電パターンは、端子側導電パターン31および電源側導電パターン321,322を含む。端子側導電パターン31は、モータ10の入力端子12,13の一つに電気的に接続された導電パターンである。本実施形態では、モータ10のマイナス(グランド)入力端子13に電気的に接続される一つの端子側導電パターン31が形成されている。
電源側導電パターンは、電源の出力端子の一方(端子側導電パターン31に接続されるモータ10の入力端子12,13と同じ極性)に接続された導電パターンである。本実施形態では、電源のマイナス(グランド)に接続される二つの電源側導電パターン(第一電源側導電パターン321および第二電源側導電パターン322)が形成されている。本実施形態では、電源のマイナス出力側の電気系統は二系統用意されており、一方の系統の一部を第一電源側導電パターン321が、他方の系統の一部を第二電源側導電パターン322が構成する。第一電源側導電パターン321および第二電源側導電パターン322における一方側の端部(作動接点部材41,42が接続された側の端部とは反対側の端部)が、電源のマイナスと接続されるマイナス接続部371,372となっている。
図示されない制御手段は、例えばスイッチ等を制御することにより、当該電源のマイナス出力側の電気系統を、第一電源側導電パターン321を含む系統、または第二電源側導電パターン322を含む系統のいずれかに切り替えることが可能である。
さらに、回路基板30には共通導電パターン33が形成されている。共通導電パターン33は、モータ10の入力端子12,13の一つと電源の出力端子の一方(同じ極性のもの)を電気的に接続する導電パターンである。本実施形態では、共通導電パターン33は、モータ10のプラス入力端子12と電源のプラス出力端子を電気的に接続する。共通導電パターン33の一方側の端部(プラス入力端子12が接続された側とは反対側の端部)が、電源のプラスと接続されるプラス接続部36となっている。
図3および図4に示す作動接点部材は、弾性のある導電性材料で形成された板材である。本実施形態では、二つの作動接点部材(第一作動接点部材41および第二作動接点部材42)が用いられている。両作動接点部材41,42の一端411,421は、端子側導電パターン31に電気的に接続されている。つまり、両作動接点部材41,42は、端子側導電パターン31を介してモータ10のマイナス入力端子13と電気的に接続されている。
両作動接点部材41,42は同一形状であり、カム部222の回転中心軸(すなわち、カム部材22、出力部材21、出力歯車67の回転中心軸)を含む面Pを対称面として面対称に位置する。両作動接点部材41,42の一端411,421は略L字状に形成されている。第一作動接点部材41の一端411と第二作動接点部材42の一端421は、互いに突き合わされた状態で回路基板30に形成された切り込み341に挿入されている。なお、両作動接点部材41,42が互いに突き合われた面は、上記対称面と一致する。この切り込み341の幅方向両側には、端子側導電パターン31の一部であるランド351が形成されている。このランド351に両作動接点部材41,42の一端411,421が半田付けされている。また、本実施形態では、両作動接点部材41,42の一端411,421(ランド351に半田付けされた部分)よりも他端413,423側の一部は略L字状に屈曲しており、この屈曲部分412,422はプレート70に形成された溝(上方が開口している)である接点部材固定部71,72に圧入されている。つまり、両作動接点部材41,42はプレート70に支持されている。
図3および図4に示す固定接点部材は、弾性のある導電性材料で形成された板材である。本実施形態では、二つの固定接点部材(第一固定接点部材51および第二固定接点部材52)が用いられている。第一固定接点部材51の一端511は、第一電源側導電パターン321に電気的に接続され、第二固定接点部材52の一端521は、第二電源側導電パターン322に電気的に接続されている。つまり、両作動接点部材41,42は、いずれか一方の電源側導電パターンを介して電源のマイナス出力端子と電気的に接続されている。
両固定接点部材51,52は同一形状であり、カム部222の回転中心軸(すなわち、カム部材22、出力部材21、出力歯車67の回転中心軸)を含む面Pを対称面として面対称に位置する。具体的には、上記第一作動接点部材41の外側に第一固定接点部材51が位置し、上記第二作動接点部材42の外側に第二固定接点部材52が位置する。つまり、本実施形態では、一の作動接点部材と一の固定接点部材からなる接点部材組が二組設けられており、両接点部材組は上記面Pを対称面として面対称に位置する。
第一固定接点部材51および第二固定接点部材52の一端511,521は、それぞれ、回路基板30に形成された切り込み342,343に挿入されている。この切り込み342,343の幅方向両側には、第一電源側導電パターン321または第二電源側導電パターン322の一部であるランド352,353が形成されている。このランド352,353に両固定接点部材51,52の一端511,521が半田付けされている。また、本実施形態では、両固定接点部材51,52の一端511,521(ランド352,353に半田付けされた部分)よりも他端513,523側の一部は略L字状に屈曲しており、この屈曲部分512,522はプレート70に形成された溝(上方が開口している)である接点部材固定部73,74に圧入されている。つまり、両固定接点部材51,52はプレート70に支持されている。
図12(a1)〜(a3)に示すように、上記両作動接点部材41,42の他端413,423は、略V字状に屈曲しており、この屈曲部分が上記カム部222に接触している。第一作動接点部材41の屈曲部分がカム部222の大径部2222に接触した状態にあるときは、第一作動接点部材41は第一固定接点部材51側に大きく弾性変形し、第一固定接点部材51の他端513に接触する。第二作動接点部材42の屈曲部分がカム部222の大径部2222に接触した状態にあるときは、第二作動接点部材42は第二固定接点部材52側に大きく弾性変形し、第二固定接点部材52の他端523に接触する。一方、作動接点部材41,42の屈曲部分がカム部222の小径部2221に接触しているときには、弾性変形量が小さく、作動接点部材41,42は固定接点部材51,52に接触しない。つまり、カム部222の小径部2221は、作動接点部材41,42と固定接点部材51,52を非接触状態とし、両接点部材を介した給電を遮断する。本実施形態では、一方の作動接点部材41(42)と固定接点部材51(52)が非接触状態にあるとき、他方の作動接点部材42(41)と固定接点部材52(51)が接触状態となるような位置に小径部2221が形成されている。具体的には、一方の作動接点部材41(42)および一方の固定接点部材51(52)と、他方の作動接点部材42(41)および他方の固定接点部材52(51)とは、カム部222の回転中心軸を含む面Pを対称面として面対称に位置するから、カム部222における小径部2221が形成された部分の反対側(180度回転した位置)には大径部2222が位置する。
また、上述したように、作動接点部材41,42の一端411,421および固定接点部材51,52の一端511,521は、回路基板30に形成された導電パターンの一部であるランド351,352,353に半田付けされているが、当該一端は回路基板30に形成された切り込み341,342,343に挿入されている。本実施形態にかかるモータアクチュエータ1は、回路基板30にこれらの切り込み341,342,343が形成されたことを利用して、作動接点部材41,42および固定接点部材51,52をプレート70に取り付けた後、回路基板30を取り付けることが可能となるように構成されている。具体的には以下の通りである。
図3、図4、および図11に示すプレート70には、上方に向かって延びる先端に爪761が形成された係止片76が形成されている。爪761は上方(先端)向かって先細である。また、プレート70には上方に向かって突出した二つの位置決め突起75が形成されている。一方、回路基板30には二つの位置決め孔38が形成されている。回路基板30を上方からプレート70に近づけると、回路基板30によって係止片76が押されて外側に弾性変形する。回路基板30が爪761の下側に入り込むと、係止片76の弾性変形が解消し、回路基板30が爪761に引っ掛かった状態となる。また、二つの位置決め突起75のそれぞれが位置決め孔38に入り込むことにより、回路基板30とプレート70の位置決めがなされる。このように位置決めがなされると、回路基板30に形成された切り込み341,342,343の位置と、作動接点部材41,42の一端411,421および固定接点部材51,52の一端511,521の位置が一致し、これら接点部材の一端411,421,511,521が切り込み341,342,343内に入り込んだ状態となる。
以下、このような構成を備える本実施形態にかかるモータアクチュエータ1の動作について、一部上記説明と重複するが説明する。
駆動対象物を動作させようとするときには、制御手段が電源からモータ10に電力を供給する。電源のプラス出力側の電気系統は共通導電パターン33を介して常にモータ10のプラス入力端子12に接続されているため、制御手段は電源のマイナス出力側の電気系統を、第一電源側導電パターン321を含む系統または第二電源側導電パターン322を含む系統のいずれかに設定することによりモータ10に電力を供給する。例えば、第一作動接点部材41と第一固定接点部材51が接触状態にある駆動前の状態において、電源のマイナス出力側の電気系統を第一電源側導電パターン321を含む系統に設定した場合には、第一電源側導電パターン321、第一固定接点部材51、第一作動接点部材41、および端子側導電パターン31を通じてモータ10に電力を供給する。
この電力供給によってモータ10が駆動すると、上記歯車列(一番車61〜六番車66)を介してモータ10の動力が伝達され、出力歯車67が回転する。出力歯車67が回転すると、その係合部671に形成されたカット面674と接触(対向)する被押圧面212を有する出力部材21が回転する。この出力部材21の回転は、出力軸213を通じて駆動対象物に伝達される。
出力部材21が回転すると、出力部材21の凹部214の内側に入り込んだ凸部221を有するカム部材22も回転する。カム部材22が所定量回転すると、カム部222の大径部2222に接触し続けていた第一作動接点部材41の他端413(V字状に屈曲した部分)が、小径部2221に接触した状態となる。第一作動接点部材41の他端413が小径部2221に接触した状態となると、第一作動接点部材41の弾性変形量が小さくなり、第一作動接点部材41は第一固定接点部材51から離れる。つまり、電源とモータ10を繋ぐ電気系統が遮断され、モータ10が停止する。このように、本実施形態にかかるモータアクチュエータ1は、駆動対象物を動作させるモータ10の動力を利用して、そのモータ10自体を自動的に停止させる構成を備えるものである。
再びアクチュエータを駆動させる場合には、カム部222の大径部2222によって大きく弾性変形した状態にある第二作動接点部材42が第二固定接点部材52に接触した状態にあるから、電源のマイナス出力側の電気系統を第二電源側導電パターン322を含む系統に設定する。そうすると、第二電源側導電パターン322、第二固定接点部材52、第二作動接点部材42、および端子側導電パターン31を通じてモータ10に電力が供給され、モータ10が駆動する。カム部材22が所定量回転し、第二作動接点部材42の他端423がカム部222の小径部2221に接触した状態となると、第二作動接点部材42の弾性変形量が小さくなり、第二作動接点部材42が第二固定接点部材52から離れる。これにより、モータ10は再び停止する。
このように、モータアクチュエータ1では、カム部222の大径部2222に接触していた作動接点部材(第一作動接点部材41または第二作動接点部材42)の他端413,423が、小径部2221に進入することにより給電の電気系統が遮断されてモータ10が停止する。この遮断を実行するための動力は、駆動対象物を動作させる動力を供給するモータ10そのものが提供する構成であるため、当該給電の電気系統は素早く遮断される必要があるところ、本実施形態では以下のような原理により当該「素早い遮断」が実行される。
上述したように、カム部222の大径部2222と小径部2221の境界部分2223はなだらかな傾斜面となっている。図12(a1)〜(c1)に示した状態からカム部材22が反時計回り(矢印A方向)に回転すると、カム部222の大径部2222に接触していた作動接点部材41(42)の他端413(423)は、当該境界部分2223を経て小径部2221に進入しようとする。図12(a2)〜(c2)に示すように、作動接点部材41,42の他端413,423が境界部分2223に接触した状態となると、弾性を有する作動接点部材41,42が傾斜面である境界部分2223を押圧する。上述したように、出力部材21とカム部材22の間には周方向に「遊び(ガタ)」があり、凹部214の周方向長さと凸部221の周方向長さの差分、カム部材22は出力部材21から独立して回転することが可能であるから、当該作動接点部材41,42による押圧力がカム部材22に作用すると、図12(a3)〜(c3)に示すようにカム部材22は出力部材21とは別に回転する。具体的には、図12(b3)に示すように、接触した状態にあった、周方向における凸部221の一方の壁面が凹部214の一方の壁面から離れる方向に回転する。つまり、カム部材22がこのように出力部材21とは別に回転することができるようになっているため、境界部分2223に作動接点部材41,42の弾性力が作用すると、すぐにその弾性力を開放する方向にカム部材22が回動し、作動接点部材41,42が固定接点部材51,52から離れることになる。
以上説明した本実施形態にかかるモータアクチュエータ1によれば、次のような作用効果が奏される。
本実施形態では、出力歯車67の係合部671に形成されたカット面674と出力部材21の被押圧面212の接触によりモータ10の動力が出力部材21に伝達される構成であるため、ネジ等の部品を用いなくとも、出力部材21と出力歯車67とを結合することができる。そして、係合部671の先端部分673は円錐状に形成されているため、貫通孔211の周縁部に当該先端部分673を押しつけるだけで係合突起6711を弾性変形させつつ係合部671を貫通孔211に挿入することができ、出力部材21と出力歯車67の係合(組立)が容易である。さらには、カット面674および被押圧面212が、出力軸213の中心と係合部671の中心とを結んだ直線Lに交差するように形成されているため、出力部材21に作用する駆動対象物からの反作用力の大部分をカット面674で受けることができるから、係合部671が破損しにくく耐久性に優れる。特に、本実施形態のように、カット面674および被押圧面212が、出力軸213の中心と係合部671の中心とを結んだ直線Lに直交するように形成されていれば、上記耐久性をさらに向上させることができる。
また、カット面674は、二つの係合突起6711同士が空間672を挟んで対向する面に対して直交するように形成されているから、上記反作用力が係合部671に作用した場合、当該力は係合突起6711が弾性変形する方向(係合突起6711が互いに近づく方向)に直交する方向に作用するから、当該力による係合突起6711の弾性変形を抑制できる。つまり、当該力によって、出力部材21が係合部671(出力歯車67)から外れてしまうことが防止される。
また、二つのカット面674が平行になるように形成されているから、係合部671における力のかかる面が複数に分散され、係合部671(カット面674)の変形等を防止できる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、上記実施形態では、作動接点部材41,42の一端411,421が端子側導電パターン31に電気的に接続され、固定接点部材51,52の一端511,521が電源側導電パターン321,322に接続されていることを説明したが、その逆であってもよい。つまり、作動接点部材41,42の一端411,421が電源側導電パターン321,322に電気的に接続され、固定接点部材51,52の一端511,521が端子側導電パターン31に接続されている構成としてもよい。
また、上記実施形態では、モータの動力によって回転する出力ユニット20が、出力部材21およびカム部材22という二つの部材によって構成されていることを説明したが、出力軸213を有する一つの部材で構成することも可能である。
1 モータアクチュエータ
10 モータ
20 出力ユニット
21 出力部材
212 被押圧面
213 出力軸
67 出力歯車
671 係合部
6711 係合突起
672 空間
673 先端部分
674 カット面
L 出力軸の中心と係合部の中心とを結んだ直線

Claims (4)

  1. モータと、
    このモータの動力により回転する歯車であって、空間を挟んで対称に位置する弾性変形可能な二つの係合突起を有する係合部が形成された出力歯車と、
    前記係合突起のスナップフィットにより前記係合部が係合される貫通孔が形成されるとともに、駆動対象物に連繋される出力軸を有する出力部材と、を備え、
    前記係合部は、前記出力部材における前記貫通孔の周縁部分に引っ掛かる先端部分が円錐状に形成されるとともに、外側には軸方向に沿う平面であるカット面が形成される一方、
    前記出力部材には、前記貫通孔に面するように形成された前記カット面に接する平面である被押圧面が形成されており、
    前記カット面および前記被押圧面は、軸方向から見て、前記出力軸の中心と前記係合部の中心とを結んだ直線に交差するように形成されていることを特徴とするモータアクチュエータ。
  2. 前記カット面および前記被押圧面は、軸方向から見て、前記出力軸の中心と前記係合部の中心とを結んだ直線に直交するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のモータアクチュエータ。
  3. 前記カット面は、前記二つの係合突起同士が前記空間を挟んで対向する面に対して直交するように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモータアクチュエータ。
  4. 二つの前記カット面が平行になるように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のモータアクチュエータ。
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