JP5944133B2 - 作業車両 - Google Patents

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Description

本発明は、圃場に植立した穀稈を刈取って穀粒を収集するコンバイン、飼料用穀稈を刈取って飼料として収集する飼料コンバイン、又は、不整地を走行する運搬車両等の作業車両に係り、より詳しくは、左右一対の走行クローラ等の走行部を有する作業車両に関するものである。
従来から、作業車両の一例であるコンバインは、左右の走行部にて支持された走行機体と、走行機体の左右方向の傾斜姿勢を変更するローリングアクチュエータとしての左右一対の車高調節油圧シリンダと、走行機体の前後方向の傾斜姿勢を変更するピッチングアクチュエータとしての左右一対の前後傾斜用油圧シリンダとを備えている。この種のコンバインにおいて、前記4本の油圧シリンダの伸縮動によって走行機体を前後左右に傾斜させる技術は公知である(例えば特許文献1及び2等参照)。この場合、両方の車高調節油圧シリンダの伸縮動によって走行機体が昇降動する。また、各車高調節油圧シリンダの伸縮動によって走行機体が左右に傾斜し、両方の前後傾斜用油圧シリンダの伸縮動によって走行機体が前後に傾斜する。
実公平6−28387号公報 特開2000−106740号公報
ところで、前記従来技術では、走行機体の対地水平姿勢維持の目的で前後左右方向の傾斜姿勢を変更させる傾斜制御の実行中に、圃場面等の傾斜や走行中の走行機体の振動等によって、走行機体の傾斜姿勢が急激に変化したり傾斜角度検出用のセンサが過剰検出したりする場合がある。このような状態で傾斜制御を継続させてしまうと、走行機体が前後又は左右方向に過剰に姿勢変更(ハンチング動)して、走行機体の乗り心地が悪化するという問題があった。
本願発明は、上記のような現状を検討して改善を図った作業車両を提供することを技術的課題として成されたものである。
請求項1の発明は、左右の走行部にて支持された走行機体と、前記走行機体の左右方向の傾斜姿勢を変更する一対のローリングアクチュエータと、前記走行機体の前後方向の傾斜姿勢を変更する一対のピッチングアクチュエータと、前記走行機体の左右方向の傾斜角度を検出する左右傾斜センサと、前記走行機体の前後方向の傾斜角度を検出する前後傾斜センサとを備えている作業車両であって、前記走行機体の左右傾斜姿勢を変更させる左右傾斜制御の実行中において、現時点の左右傾斜センサ値とその直前の左右傾斜センサ値との差分の絶対値が予め設定された左右傾斜閾値を上回ると、前記左右傾斜制御を禁止し、前記走行機体の前後傾斜姿勢を変更させる前後傾斜制御の実行中において、現時点の前後傾斜センサ値とその直前の前後傾斜センサ値との差分の絶対値が予め設定された前後傾斜閾値を上回ると、前記前後傾斜制御を禁止するように構成されているというものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載した作業車両において、前記左右傾斜制御の実行中において、前記差分の絶対値が前記左右傾斜閾値を一旦超えたのち、前記差分の絶対値が前記左右傾斜閾値を下回る状態が予め設定された第1設定時間を過ぎると、前記左右傾斜制御の実行状態に復帰するように構成されているというものである。
請求項の発明は、請求項に記載した作業車両において、前記前後傾斜制御の実行中において、前記差分の絶対値が前記前後傾斜閾値を一旦超えたのち、前記差分の絶対値が前記前後傾斜閾値を下回る状態が予め設定された第2設定時間を過ぎると、前記前後傾斜制御の実行状態に復帰するように構成されているというものである。
請求項の発明は、請求項1〜のうちいずれかに記載した作業車両において、前記走行機体の後進旋回時は、前記左右傾斜制御を禁止するように構成されているというものである。
請求項1の発明によると、前記走行機体の傾斜姿勢を変更させる自動的な傾斜制御の実行中において、現時点の傾斜センサ値とその直前の傾斜センサ値との差分の絶対値が予め設定された傾斜閾値を上回ると、前記傾斜制御を禁止するように構成されているから、例えば圃場面等の傾斜や走行中の前記走行機体の振動等によって、前記走行機体の傾斜姿勢が急激に変化したり前記傾斜センサが過剰検出したりする急変化状態が発生したとしても、当該急変化状態の発生に連動して前記傾斜制御を禁止できることになる。このため、前記走行機体が前後方向や左右方向に過剰に姿勢変更(ハンチング動)するのを抑制でき、前記走行機体の乗り心地向上を図れるという効果を奏する。
また、請求項2や請求項の発明によると、前記差分の絶対値が前記傾斜閾値を一旦超えたのち、前記差分の絶対値が前記傾斜閾値を下回る状態が予め設定された設定時間を過ぎると、前記傾斜制御の実行状態に復帰するように構成されているから、前記急変化状態の発生によって前記傾斜制御を禁止した後でも、前記急変化状態が解消すれば、オペレータが余計な手間(操作)をかけることなく、自動的且つスムーズに前記傾斜制御に復帰でき、オペレータの負担を減らせるという効果を奏する。
更に、請求項の発明によると、前記走行機体の後進旋回時は、前記左右傾斜制御を禁止するように構成されているから、例えば後進中に畦等に片側の前記走行部だけ乗り上げた場合であっても、前記走行機体の傾斜姿勢を対地水平に維持でき、作業車両での作業性向上を図れる。かかる構成を例えば作業車両としてのコンバインに適用した場合は、コンバインでの刈取り脱穀作業性の向上を図れる。
本発明の実施形態の6条刈り用コンバインの側面図である。 同平面図である。 同コンバインの油圧回路図である。 走行機体及び走行クローラ部の側面図である。 同平面図である。 図5の上面視斜視図である。 走行機体を上動させた側面説明図である。 走行機体を上動させて前傾させた前下がり側面説明図である。 走行機体の対地高さと走行機体の前後傾斜角度の関係を示すクローラ姿勢マップである。 制限範囲の組合せに関する動作規則テーブルである。 キャビンの上面斜視の断面説明図である。 キャビンの要部の側面説明図である。 操向丸ハンドル及びその周辺の拡大平面図である。 姿勢制御手段の制御回路の機能ブロック図である。 姿勢制御のフローチャートである。 左右方向及び前後方向の傾斜制御のフローチャートである。 手動操作時における傾斜制御のフローチャートである。 手動操作時の傾斜制御のうち車高昇降制御を示すフローチャートである。 (a)(b)は左走行クローラ側の負荷が大きい場合の上昇動作を模式的に示す作用説明図、(c)(d)は左走行クローラ側の負荷が大きい場合の下降動作を模式的に示す作用説明図である。 手動操作時の傾斜制御のうち前後傾斜制御を示すフローチャートである。 (a)(b)は左走行クローラ側の負荷が大きい場合の前傾動作を模式的に示す作用説明図、(c)(d)は左走行クローラ側の負荷が大きい場合の後傾動作を模式的に示す作用説明図である。 左右傾斜制御における急変処理を示すフローチャートである。 前後傾斜制御における急変処理を示すフローチャートである。
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1はコンバインの左側面図、図2はコンバインの平面図である。図1及び図2を参照して、コンバインの全体構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。
図1及び図2に示す如く、走行部としての左右一対の走行クローラ2にて支持された走行機体1を備える。走行機体1の前部には、穀稈を刈取りながら取込む6条刈り用の刈取装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に装着される。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、該脱穀装置5から取出された穀粒を貯留する穀物タンク7とが横並び状に搭載される。なお、脱穀装置5が走行機体1の前進方向左側に、穀物タンク7が走行機体1の前進方向右側に配置される。走行機体1の後部に旋回可能な排出オーガ8が設けられ、穀物タンク7の内部の穀粒が、排出オーガ8の籾投げ口9からトラックの荷台またはコンテナ等に排出されるように構成されている。刈取装置3の右側方で、穀物タンク7の前側方には、運転キャビン10が設けられている。
運転キャビン10内には、操向操作具としての操向丸ハンドル11と、運転座席12と、主変速レバー43と、副変速スイッチ44と、脱穀クラッチ及び刈取クラッチを入り切り操作する作業クラッチレバー45とを配置している。なお、運転キャビン10には、オペレータが搭乗するステップ50(図12参照)と、操向丸ハンドル11を支持する操向コラム46と、前記各レバー43,45及びスイッチ44等を設けたレバーコラム47とが配置されている。運転座席12の下方の走行機体1には、動力源としてのディーゼルエンジン14が配置されている。
図1に示す如く、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム21を配置している。トラックフレーム21には、走行クローラ2にエンジン14の動力を伝える駆動スプロケット22と、走行クローラ2のテンションを維持するテンションローラ23と、走行クローラ2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ24と、走行クローラ2の非接地側を保持する中間ローラ25とを設けている。駆動スプロケット22によって走行ク
ローラ2の前側を支持し、テンションローラ23によって走行クローラ2の後側を支持し、トラックローラ24によって走行クローラ2の接地側を支持し、中間ローラ25によって走行クローラ2の非接地側を支持する。
図1、図2に示す如く、刈取装置3の刈取回動支点軸4aに連結した刈取フレーム221の下方には、圃場に植立した未刈り穀稈(穀稈)の株元を切断するバリカン式の刈刃装置222が設けられている。刈取フレーム221の前方には、圃場に植立した未刈り穀稈を引起す6条分の穀稈引起装置223が配置されている。穀稈引起装置223とフィードチェン6の前端部(送り始端側)との間には、刈刃装置222によって刈取られた刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置224が配置される。なお、穀稈引起装置223の下部前方には、未刈り穀稈を分草する6条分の分草体225が突設されている。圃場内を移動しながら、刈取装置3によって圃場に植立した未刈り穀稈を連続的に刈取る。
次に、図1及び図2を参照して、脱穀装置5の構造を説明する。図1及び図2に示す如く、脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴226と、扱胴226の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別盤227及び唐箕ファン228と、扱胴226の後部から取出される脱穀排出物を再処理する処理胴229と、揺動選別盤227の後部の排塵を排出する排塵ファン230を備えている。なお、刈取装置3から穀稈搬送装置224によって搬送された穀稈は、フィードチェン6に受継がれて、脱穀装置5に搬入されて扱胴226にて脱穀される。
図1に示す如く、揺動選別盤227の下方側には、揺動選別盤227にて選別された穀粒(一番物)を取出す一番コンベヤ231と、枝梗付き穀粒等の二番物を取出す二番コンベヤ232とが設けられている。揺動選別盤227は、扱胴226の下方に張設された受網237から漏下した脱穀物が、フィードパン238及びチャフシーブ239によって揺動選別(比重選別)されるように構成している。揺動選別盤227から落下した穀粒は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン228からの選別風によって除去され、一番コンベヤ231に落下する。一番コンベヤ231から取出された穀粒は、揚穀コンベヤ233を介して穀物タンク7に搬入され、穀物タンク7に収集される。
また、図1に示す如く、揺動選別盤227は、揺動選別によってチャフシーブ239から枝梗付き穀粒等の二番物を二番コンベヤ232に落下させるように構成している。チャフシーブ239の下方に落下する二番物を風選する選別ファン241を備える。チャフシーブ239から落下した二番物は、その穀粒中の粉塵及び藁屑が選別ファン241からの選別風によって除去され、二番コンベヤ232に落下する。二番コンベヤ232の終端部は、還元コンベヤ236を介して、フィードパン238の後部の上面側に連通接続され、二番物を揺動選別盤227の上面側に戻して再選別するように構成している。
一方、図1及び図2に示す如く、フィードチェン6の後端側(送り終端側)には、排藁チェン234と排藁カッタ235が配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン234に受継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後部に設けられた排藁カッタ235にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方下方に排出される。
次に、図3を参照して、コンバインの油圧回路構造について説明する。図3に示す如く、コンバインの油圧回路250は、上述した昇降用油圧シリンダ4と、排出オーガ8の籾投げ口9側を昇降させるオーガ昇降油圧シリンダ254と、走行機体1の左右端部を昇降させて走行機体1を左右に傾動させるローリングアクチュエータとしての左右の車高調節油圧シリンダ38と、走行機体1の前後部を昇降させて走行機体1を前後に傾動させるピッチングアクチュエータとしての左右の前後傾斜用油圧シリンダ177と、二連構造の各
作業ポンプ91a,91bとを備える。一方の作業ポンプ91aの吐出側に第1高圧油路257を接続する。他方の作業ポンプ91bの吐出側に第2高圧油路258を接続している。
第1高圧油路257には、昇降用油圧シリンダ4を作動する刈取昇降電磁弁260と、タンク油路用のアンロードリリーフ弁256を接続する。刈取装置3を比較的高速で昇降動させる刈取昇降電磁弁260と、刈取装置3を比較的低速で上昇させる刈取上昇電磁弁264と、刈取装置3が下降する側に昇降用油圧シリンダ4を比較的低速で作動する刈取下降電磁弁265が、昇降用油圧シリンダ4に接続されている。刈取昇降電磁弁260を切換える刈取装置3の昇降動とは別に、刈取上昇電磁弁264を切換えて刈取装置3を上昇させるように構成し、また刈取昇降電磁弁260による刈取装置3の上昇動を刈取上昇電磁弁264にて制限する一方、刈取下降電磁弁265を切換えて刈取装置3を下降させるように構成している。
第2高圧油路258には、左側の車高調節油圧シリンダ38を作動する左傾電磁弁261と、右側の車高調節油圧シリンダ38を作動する右傾電磁弁262と、左側の前後傾斜用油圧シリンダ177を作動する左側の前後傾動電磁弁266と、右側の前後傾斜用油圧シリンダ177を作動する右側の前後傾動電磁弁267と、オーガ昇降油圧シリンダ254を作動する穀粒排出電磁弁263とが接続されている。また、左傾電磁弁261と、右傾電磁弁262と、左側の前後傾動電磁弁266と、右側の前後傾動電磁弁267と、穀粒排出電磁弁263を、姿勢制御用電磁弁268を介して第2高圧油路258に接続している。車高調節油圧シリンダ38又は前後傾斜用油圧シリンダ177の作動に対し、オーガ昇降油圧シリンダ254の作動を、姿勢制御用電磁弁268にて優先するように構成している。なお、姿勢制御用電磁弁268にリリーフ弁269を並列に接続している。
次に、図4乃至図8を参照しながら、走行機体1の左右方向の傾斜角の調節構造について説明する。図4乃至図8に示す如く、走行機体1の下面側に設ける左右一対のローリング支点フレーム26と、左右一対の前側軸受体27と、左右一対の後側軸受体28を備える。走行機体1の下面側に固着されたローリング支点フレーム26の前端側に、左右一対の前側軸受体27を配置している。左右一対のローリング支点フレーム26の後端側に左右一対の後側軸受体28を配置している。左右の前側軸受体27に左右一対の前部ローリング支点軸29をそれぞれ貫通させ、左右の後側軸受体28に左右一対の後部ローリング支点軸30をそれぞれ貫通させている。なお、走行機体1の下面側に走行シャーシ1aを介して駆動スプロケット22(ミッションケース88)が配置されている。走行機体1の前部にミッションケース88の背面側が締結されている。
左右方向に延長させた左右一対の前部ローリング支点軸29の一端側には、上下方向に延長した左右一対の上側前部ローリングアーム31の基端側を一体的にそれぞれ固着している。左右一対の前部ローリング支点軸29の他端側には、前後方向に延長した左右一対の下側前部ローリングアーム33の基端側を一体的にそれぞれ固着している。即ち、左右一対の上側前部ローリングアーム31と、左右一対の下側前部ローリングアーム33とは、左右一対の前部ローリング支点軸29回りに一体的にそれぞれ回動する。また、下側前部ローリングアーム33の先端側に連結軸体40を介してトラックフレーム21の前部を連結している。
また、左右方向に延長させた後部ローリング支点軸30の一端側には、左右一対の上側後部ローリングアーム32の基端側を回動可能に被嵌させている。図6に示す如く、伸縮調節可能なターンバックル付きの左右一対の前後連結ローリングフレーム36を備える。長尺なロッド状の前後連結ローリングフレーム36は、走行機体1の上面よりも低位置で、走行機体1と平行に、前後方向に延長している。左右一対の上側前部ローリングアーム
31の先端側に、軸体35を介して前後連結ローリングフレーム36の前端側を連結している。上側後部ローリングアーム32の上端側に、軸体37を介して前後連結ローリングフレーム36の後端側を連結している。
図4乃至図8に示す如く、走行機体1の左右方向の傾斜角度を変更させる左右一対の車高調節油圧シリンダ38を備える。走行機体1に左右一対のシリンダ支持ブラケット39を設ける。左右一対のシリンダ支持ブラケット39に基部軸体48を介して左右一対の車高調節油圧シリンダ38をそれぞれ連結させている。左右一対の上側後部ローリングアーム32の上端側に、先端側軸体42を介して左右一対の車高調節油圧シリンダ38のピストンロッド41をそれぞれ連結させている。
左右一対の後部ローリング支点軸30の他端側には、左右一対の下側後部ローリングアーム34の基端側を一体的にそれぞれ固着している。即ち、左右一対の後部ローリング支点軸30と、左右一対の下側後部ローリングアーム34とは、左右一対の後部ローリング支点軸30の軸線回りに一体的にそれぞれ回動するように構成している。また、下側後部ローリングアーム34の先端側に連結軸体174を介して従動リンク体175の一端側を連結する。従動リンク体175の他端側に連結軸体179を介してトラックフレーム21の後部を連結している。
図4乃至図8に示す如く、走行機体1の前後方向の傾斜角度を変更させる前後傾斜用油圧シリンダ177を備える。左右一対の後部ローリング支点軸30の一端側には、左右一対のピッチングアーム176の基端側が固着されている。左右一対のピッチングアーム176と、左右一対の下側後部ローリングアーム34とは、左右一対の後部ローリング支点軸30の軸線回りに一体的にそれぞれ回動するように構成している。また、左右一対の上側後部ローリングアーム32に連結軸体180を介して左右一対の前後傾斜用油圧シリンダ177をそれぞれ連結している。前後傾斜用油圧シリンダ177のピストンロッド178に、連結軸体181を介してピッチングアーム176の先端側を連結している。
図4及び図5に示す如く、左右一対の車高調節油圧シリンダ38と前後傾斜用油圧シリンダ177とは、側面視又は平面視で前後に一列状に配置されている。左右一対の車高調節油圧シリンダ38の作動によって走行機体1の左右方向の傾斜角度を変更する左右一対の前側のローリングリンク機構R1は、上側前部ローリングアーム(左右傾動アーム)31、上側後部ローリングアーム(左右傾動アーム)32、下側前部ローリングアーム(前側アーム)33、下側後部ローリングアーム(後側アーム)34、前後連結ローリングフレーム36、及び従動リンク体(ピッチングリンク)175を有する。車高調節油圧シリンダ38が作動したときに、上側前部ローリングアーム31と下側前部ローリングアーム33とが前部ローリング支点軸29回りに一体的に回動すると同時に、上側後部ローリングアーム32、下側後部ローリングアーム34、ピッチングアーム176、及び前後傾斜用油圧シリンダ177が後部ローリング支点軸30回りに一体的に回動する。
即ち、図7に示す如く、車高調節油圧シリンダ38が作動したときに、トラックフレーム21に対して走行機体1の前後方向傾斜角度を維持しながら、走行機体1とトラックフレーム21の相対間隔を変化させる。左右の走行クローラ2の沈下量が変化して走行機体1が左右に傾動した場合、又はオペレータが走行機体1を左右に傾動させたい場合、車高調節油圧シリンダ38の自動制御又は手動制御によって走行機体1の左右方向傾斜角度を変化させ、走行機体1の左右方向の対地傾斜角度を設定角度(略水平姿勢)に保つことができる。
左右一対の前後傾斜用油圧シリンダ177の作動によって走行機体1の前後方向の傾斜角度を変更する左右一対の後側のピッチングリンク機構P1は、下側後部ローリングアー
ム(後側アーム)34、従動リンク体(ピッチングリンク)175、ピッチングアーム(前後傾動アーム)176を有する。前後傾斜用油圧シリンダ177が作動したときに、下側後部ローリングアーム34及びピッチングアーム176が後部ローリング支点軸30回りに一体的に回動して、従動リンク体175を介して前部ローリング支点軸29回りにトラックフレーム21を回動させる。
即ち、図8に示す如く、前後傾斜用油圧シリンダ177が作動したときに、走行機体1の左右方向の対地傾斜角度を維持しながら、トラックフレーム21に対して走行機体1の前後方向傾斜角度を変化させる。左右の走行クローラ2を移動させる走行路面が登り傾斜又は下り傾斜の斜面の場合、又は左右の走行クローラ2の前部(又は後部)の沈下量が変化して走行機体1が前後に傾動した場合、又はオペレータが走行機体1を前後に傾動させたい場合、前後傾斜用油圧シリンダ177の自動制御又は手動制御によって走行機体1の前後方向傾斜角度を変化させ、走行機体1の前後方向の対地傾斜角度を設定角度(略水平姿勢)に保つことができる。
なお、走行クローラ2の非接地側を保持する中間ローラ25は、走行機体1から横向きに突出させたローラ軸25aに回転自在に軸支している。即ち、駆動スプロケット22と中間ローラ25間の走行クローラ2の非接地側は、車高調節油圧シリンダ38又は前後傾斜用油圧シリンダ177によって走行機体1の左右方向又は前後方向の傾斜角度が変更されたとしても、走行機体1の下面との間隔が常に略一定に維持される。
上記の構成により、図7に示す如く、左右一対の車高調節油圧シリンダ38のいずれか一方又は両方を作動して、左右一対の車高調節油圧シリンダ38のいずれか一方又は両方のピストンロッド41を進出させた場合、左右一対のトラックフレーム21いずれか一方又は両方が下動し、左右一対の走行クローラ2のいずれか一方又は両方の接地側を押し下げ、走行機体1の左側又は右側又は両方の車高を高くするように構成している。
また、図4に示す如く、左右一対の車高調節油圧シリンダ38のいずれか一方又は両方を作動して、左右一対の車高調節油圧シリンダ38のいずれか一方又は両方のピストンロッド41を退入させた場合、左右一対のトラックフレーム21いずれか一方又は両方が上動し、左右一対の走行クローラ2のいずれか一方又は両方の接地側を押し上げ、走行機体1の左側又は右側又は両方の車高を低くするように構成している。即ち、左右一対の車高調節油圧シリンダ38をそれぞれ作動させて、走行機体1に対して左右の走行クローラ2の接地面高さをそれぞれ変更することによって、走行機体1の左右方向の傾斜角が調節され、走行機体1が略水平(左右傾斜角0度)に支持されるように構成している。
図8に示す如く、車高が高いピストンロッド41進出状態(又は車高が低いピストンロッド41退入状態)で、前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させて、左右一対の前後傾斜用油圧シリンダ177のピストンロッド178をそれぞれ退入させた場合、左右一対のピッチングアーム176がそれぞれ作動して、左右一対の従動リンク体175が下方にそれぞれ押下げられ、左右一対のトラックフレーム21の両方の後端側が同時にそれぞれ下動する。
その結果、下側前部ローリングアーム33に対して下側後部ローリングアーム34の平行姿勢が変更され、左右一対の走行クローラ2の後部の接地側が押下げられ、走行機体1の後端側の車高が高くなり、走行機体1が前下がりに傾斜するように構成している。即ち、前部ローリング支点軸29回りに走行機体1の後端側を上動させて、走行機体1の後端側が前端側よりも高くなる前方傾斜姿勢(前下がり傾斜姿勢)に傾動させるように構成している。その結果、前上がりに傾斜した走行路面を移動するときに、走行機体1の前後方向の傾きを略水平に維持できる。
なお、左右一対の前後傾斜用油圧シリンダ177のピストンロッド178をそれぞれ退入させることによって、前記とは逆に、左右一対のトラックフレーム21の両方の後端側が同時にそれぞれ上動し、走行機体1の後端側の車高が低くなり、走行機体1が後下がりに傾斜することは云うまでもない。
上記の説明並びに図4〜図8から明らかなように、左右の走行部としての走行クローラ2を有する走行機体1と、走行機体1の左右方向の傾斜姿勢を修正するローリングアクチュエータとしての車高調節油圧シリンダ38と、走行機体の前後方向の傾斜姿勢を修正するピッチングアクチュエータとしての前後傾斜用油圧シリンダ177を備えた作業車両において、車高調節油圧シリンダ38と、前後傾斜用油圧シリンダ177を、側面視及び平面視で一列状に配置しているから、前後傾斜用油圧シリンダ177の設置長さ(連結支持長さ)を従来よりも短縮でき、前後傾斜用油圧シリンダ177に作用する伸縮方向以外のこじれ力を低減でき、耐久性を向上できる。また、左右走行クローラ2間の走行機体1の下面側空間を広く形成でき、走行機体1の下面側に泥土が溜まるのを低減でき、湿田作業性等を向上できる。また、走行機体1の上面側構造又は前後傾斜用油圧シリンダ177の支持位置が互いに制限されるのを防止でき、走行機体1等を簡単に構成できる。
上記の説明並びに図4〜図8から明らかなように、車高調節油圧シリンダ38によって作動させる平行リンク状の下側前部ローリングアーム33(前側アーム)及び下側後部ローリングアーム34(後側アーム)を設けた構造であって、下側前部ローリングアーム33又は下側後部ローリングアーム34のいずれか一方にピッチングアーム176を連結しているから、左右傾斜姿勢の走行機体1の車高を維持しながら、走行機体1を前後傾動できる。走行機体1の左右方向の傾斜姿勢を修正する車高調節油圧シリンダ38の制御性能を維持でき、且つ走行機体1の前後方向の傾斜姿勢を修正する前後傾斜用油圧シリンダ177の制御性能を向上できる。
上記の説明並びに図4〜図8から明らかなように、左右の走行クローラ2(走行部)を有する走行機体1と、車高調節油圧シリンダ38(ローリングアクチュエータ)と、前後傾斜用油圧シリンダ177(ピッチングアクチュエータ)とを備え、左右のトラックフレーム21に左右のリンク機構R1,P1を介して走行機体1を昇降可能に搭載し、走行機体1の左右方向の傾斜姿勢と、走行機体1の前後方向の傾斜姿勢を修正可能に構成した作業車両において、リンク機構R1,P1は、平行リンク状の下側前部ローリングアーム33(前側アーム)及び下側後部ローリングアーム34(後側アーム)を有する構造であって、トラックフレーム21に従動リンク体175(ピッチングリンク)を介して下側前部ローリングアーム33又は下側後部ローリングアーム34のいずれか一方を連結している。
従って、平行リンク状の下側前部ローリングアーム33及び下側後部ローリングアーム34の動作(車高調節油圧シリンダ38制御)によって、前記走行機体1を左右傾動できるものでありながら、下側前部ローリングアーム33又は下側後部ローリングアーム34のいずれか一方と従動リンク体175を介してトラックフレーム21の前側又は後側を昇降動させて(前後傾斜用油圧シリンダ177制御)、走行機体1を前後傾動できる。左右傾斜姿勢の走行機体1の車高を維持した状態(車高調節油圧シリンダ38制御を停止した状態)で、走行機体1を前後傾動できる。走行機体1とトラックフレーム21の連結構造を簡単に構成でき、又は前後傾斜用油圧シリンダ177の制御を簡単に実行できる。走行機体1の前後方向の傾斜姿勢を変更させるピッチング構造を低コストに組付けることができ、又は走行機体1の前後方向の傾斜姿勢を変更させるピッチング制御機能を向上できる。
上記の説明並びに図4〜図8から明らかなように、車高調節油圧シリンダ38に下側前部ローリングアーム33及び下側後部ローリングアーム34の両方を連結し、従動リンク体175に連結する下側後部ローリングアーム34又は下側前部ローリングアーム33のいずれか一方に前後傾斜用油圧シリンダ177を連結している。したがって、車高調節油圧シリンダ38に近接させて前後傾斜用油圧シリンダ177をコンパクトに組付けることができる。また、走行機体1の左右方向の傾斜姿勢を変更させるローリング機能が複雑化するのを阻止できるものでありながら、走行機体1の前後方向の傾斜姿勢を変更させるピッチング機能を向上できる。
上記の説明並びに図4〜図8から明らかなように、走行機体1の前部にミッションケース88を配置する構造であって、下側後部ローリングアーム34に前後傾斜用油圧シリンダ177を連結し、トラックフレーム21に従動リンク体175を介して下側後部ローリングアーム34を連結している。したがって、ミッションケース88の支持部にトラックフレーム21の前部を近接させて設置することによって、走行機体1の前後方向の傾斜姿勢を変更させるときに、走行機体1の下面側と走行クローラ2の上面側が干渉するのを防止できる。トラックフレーム21の中間乃至後部よりの位置で略同一高さ位置に一列状に、車高調節油圧シリンダ38に近接させて前後傾斜用油圧シリンダ177をコンパクトに組付けできる。例えば、走行機体1の前後方向の傾斜変更範囲の確保、又は走行機体1とトラックフレーム21の連結構造の簡略化等を簡単に図れる。
上記の説明並びに図4〜図8から明らかなように、車高調節油圧シリンダ38に連結する上側後部ローリングアーム32と、前後傾斜用油圧シリンダ177に連結するピッチングアーム176とを、同一支点軸30(後部ローリング支点軸)上に配置させる一方、車高調節油圧シリンダ38に連結する上側後部ローリングアーム32に前後傾斜用油圧シリンダ177を設け、車高調節油圧シリンダ38と前後傾斜用油圧シリンダ177を前後に向けて一列に配置している。従って、前後傾斜用油圧シリンダ177を設ける仕様と設けない仕様とに、同一仕様の走行機体1を簡単に共用できる。また、走行機体1の下面側のうち、左右の走行クローラ2間の空間を広く形成して、走行クローラ2が大きく沈下しやすい湿田等の作業性、又は旋回走行によって田面等の泥土が大きく盛り上がりやすい圃場枕地等の走破性を向上できる。
図4に示す如く、走行シャーシ1aに前側最下げストッパ185を固着する。下側前部ローリングアーム33の上面側に前側最下げストッパ185の一端側を延長させる。走行機体1の前側車高が最も低い状態(図4又は図6の状態)、即ち、走行機体1の前側とトラックフレーム21が最も接近したときに、下側前部ローリングアーム33の上面に前側最下げストッパ185の下面が当接して、走行機体1の前側が最下げ位置に支持される。下側前部ローリングアーム33と前側最下げストッパ185の当接によって、走行機体1の前側下面に走行クローラ2の前側上面が干渉するのを防止している。
また、後側軸受体28の下面に後側最下げストッパ186を固着する。トラックフレーム21に受止め体187を固着する。走行機体1の後側車高が最も低い状態(図4又は図6の状態)、即ち、走行機体1の後側とトラックフレーム21が最も接近したときに、受止め体187の上面に後側最下げストッパ186の下面が当接して、走行機体1の後側が最下げ位置に支持される。受止め体187と後側最下げストッパ186の当接によって、走行機体1の後側下面に走行クローラ2の後側上面が干渉するのを防止している。
図9は、走行機体1の対地高さと走行機体1の前後傾斜角度の関係(左右走行クローラ2側の姿勢範囲)を示す姿勢データとしてのクローラ姿勢マップML,MRである。クローラ姿勢マップML,MRは、左走行クローラ2側に対応するものMLと、右走行クローラ2側に対応するものMRとの二種類存在するが、いずれも共通の内容である。クローラ
姿勢マップML,MRは、後述する作業コントローラ371に予め格納されている。図9では、走行機体1における左右走行クローラ2側の高さを縦軸に、走行機体の前後傾斜角度を横軸に採っている。なお、姿勢データとしては、実施形態のようなマップ形式に限らず、例えば関数表やセットデータ(データテーブル)等でも差し支えない。左右のクローラ姿勢マップML,MRには、通常採り得る姿勢の範囲である通常範囲AR2,AR4と、車高上限側又は下限側での前後傾斜範囲である制限範囲AR1,AR3,AR5〜AR7とが規定されている。図9の太い実線で囲んだ範囲は通常範囲AR2,AR4が合わさったものである。
実施形態では、基本的に図9の太い実線で囲んだ範囲(通常範囲AR2,AR4)内において、左右車高センサ375,376や前後傾斜センサ381の検出結果等に基づき、車高調節油圧シリンダ38を伸縮動させて、車高調節油圧シリンダ38による車高調節動作を所定範囲に維持してから、車高調節油圧シリンダ38又は前後傾斜用油圧シリンダ177による傾斜動作を実行するように構成されている。
例えば、各車高調節油圧シリンダ38の車高調節動作(左右傾斜動作)のうち最高高さEに対して約60%(約2/3)の高さCと、最高高さEに対して約10%(約1/10)の高さAの間では、走行機体1の前後傾斜角度が0°から最大前傾角度F(例えば約5°)までの範囲で、各前後傾斜用油圧シリンダ177の前傾動作が実行され、走行機体1が前傾姿勢(前下り傾斜姿勢)で支持される。最高高さEに対して約95%の高さDと高さCとの間では、最大前傾角度Fに対して約80%(約4/5)の前傾角度F1以下の範囲で、前後傾斜用油圧シリンダ177の前傾動作が実行される。高さA以下のときは、最大前傾角度Fに対して約60%(約2/3)の前傾角度F2以下の範囲で、前後傾斜用油圧シリンダ177の前傾動作が実行される。
各走行クローラ2側の高さが高さC以上であれば、各走行クローラ2側の前傾動作を最大前傾角度Fに対して約80%(約4/5)の前傾角度F1以下に規制できるから、刈取装置3の前端側を低く支持するのを防止できる。この場合、昇降用油圧シリンダ4によって刈取装置3を非作業位置(高位置)に上昇させた場合であっても、走行機体1は適正に前傾動作できる。例えば圃場への出入やトラック荷台への積み降ろし等の作業の際に、走行機体1が前下りに傾斜した姿勢で移動したとしても、田面や路面に刈取装置3の前端側が衝突するのを防止できる。
一方、各車高調節油圧シリンダ38の車高調節動作(左右傾斜動作)のうち最高高さEに対して約95%の高さDと、最高高さEに対して約20%の高さBとの間では、走行機体1の前後傾斜角度が0°から最大後傾角度R(例えば約3°)までの範囲で、各前後傾斜用油圧シリンダ177の後傾動作が実行され、走行機体1が後傾姿勢(後下り傾斜姿勢)で支持される。最大後傾角度Rに対して約25%(約1/4)の後傾角度R3以下の範囲で、前後傾斜用油圧シリンダ177の後傾動作が実行される。
各走行クローラ2側の高さが高さB以上であれば、最大後傾角度Rまで走行機体1を後傾できるから、昇降用油圧シリンダ4によって刈取装置3を非作業位置(高位置)に上昇させた場合であっても、走行機体1をスムーズに後傾動作させ、刈取装置3を更に上昇でき、障害物に対して刈取装置3を上方に俊敏に回避させることが可能である。
なお、最高高さEに対して約20%(約1/5)以下である低い高さA,Bの場合において、走行機体1の前傾動作が規制される高さAよりも、走行機体1の後傾動作が規制される高さBの方が高く設定されている(高さA<高さB)。最大後傾角度R(例えば約3°)と、最大前傾角度Fに対して約60%(約2/3)の前傾角度F2とは略等しく設定されている。すなわち、最大前傾角度Fに対して約60%の傾斜角度の大きさに合わせて
、最大後傾角度Rが設定されている。
実施形態のように最大後傾角度Rに対して最大前傾角度Fを大きく設定することによって、超湿田で走行クローラ2が大きく沈下し、走行機体1の車高を高くして刈取作業をしている場合に、走行機体1の車高を下げて走行抵抗を増大させることなく、また、刈取装置3を下降させて刈刃装置222等を土中に突入させることなく、走行機体1を前傾させることが可能になる。従って、未刈り穀稈の株元を所定高さで刈刃装置222によって切断できる。
実施形態では、両クローラ姿勢マップML,MRの制限範囲AR1,AR3,AR5〜AR7の組合せによって、走行機体1の姿勢変更動作、すなわち、車高調節油圧シリンダ38や前後傾斜用油圧シリンダ177による車高調節動作及び傾斜動作が制限される。図10に示す表は、制限範囲AR1,AR3,AR5〜AR7の組合せに関する動作規則テーブルTである。動作規則テーブルTも、クローラ姿勢マップML,MRと同様に、後述する作業コントローラ371に予め格納されている。
図10の動作規則テーブルT中の×印は、禁止される動作種別を示している。例えば左走行クローラ2側の姿勢範囲(対地高さ及び傾斜角度)が制限範囲AR1で、右走行クローラ2側の姿勢範囲が制限範囲AR3である場合は、自動又は手動による左右傾斜制御及び前後傾斜制御の実行中に、走行機体1の右傾斜か前傾の動作要求があっても、走行機体1の右傾斜及び前傾の動作が禁止される。すなわち、走行機体1の右傾斜の動作要求があっても、左車高調節油圧シリンダ38の伸長動及び右車高調節油圧シリンダ38の短縮動が禁止される。また、走行機体1の前傾の動作要求があっても、前後傾斜用油圧シリンダ177の伸長動が禁止される。図10の動作規則テーブルTから分かるように、両クローラ姿勢マップML,MRの制限範囲AR1,AR3,AR5〜AR7の組合せによって、走行機体1の姿勢変更動作(車高調節油圧シリンダ38や前後傾斜用油圧シリンダ177による車高調節動作及び傾斜動作)の可否が決定されることになる。
次に、図11〜図13を参照しながら、車高調節油圧シリンダ38や前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させる傾斜用スイッチ機構54及び車高用スイッチ機構55と、傾斜用スイッチ機構54を操作する傾斜操作具としての姿勢操作レバー56と、車高用スイッチ機構55を操作する車高操作具としての車高ボタン57とについて説明する。
図11及び図12に示す如く、操向コラム46の左右一側面(実施形態では右側面)から外向きに、傾斜操作具としての姿勢操作レバー56を突設させる。操向操作具としての操向丸ハンドル11の右下方側に姿勢操作レバー56が位置している。運転座席12に座乗したオペレータが左手で操向丸ハンドル11を握り、オペレータが右手で姿勢操作レバー56の握り部56aを握り、姿勢操作レバー56を上下及び前後方向に傾倒可能に構成している。
図11及び図12に示す如く、姿勢操作レバー56の基端部に傾斜用スイッチ機構54を設ける。詳細は後述するが、傾斜用スイッチ機構54は、左傾スイッチ61、右傾スイッチ62、前傾スイッチ63及び後傾スイッチ64を有する(図14参照)。姿勢操作レバー56の上下前後方向の傾倒操作によって、左傾スイッチ61、右傾スイッチ62、前傾スイッチ63又は後傾スイッチ64を選択的にオン作動させるように構成している。すなわち、姿勢操作レバー56を手動操作することによって、走行機体1が左側、右側、前側又は後側に傾動して、走行機体1の傾斜姿勢が変更されるように構成している。
例えば、姿勢操作レバー56を上方向に傾倒操作すると、左傾スイッチ61(左傾電磁弁261や右傾電磁弁262)がオン作動して、走行機体1が左側に傾く。姿勢操作レバ
ー56を下方向に傾倒操作すると、右傾スイッチ62(左傾電磁弁261や右傾電磁弁262)がオン作動して、走行機体1が右側に傾く。姿勢操作レバー56を前方向に傾倒操作すれば、前傾スイッチ63(前後傾動電磁弁266,267)がオン作動して、走行機体1が前側に傾く。姿勢操作レバー56を後方向に傾倒操作すれば、後傾スイッチ64(前後傾動電磁弁266,267)がオン作動して、走行機体1が後側に傾く。
図11及び図13に示すように、操向丸ハンドル11における略環状のホイル部51には、左右一方(実施形態では左側)にある握り部の上面に、車高操作具としての車高ボタン57が設けられている。車高ボタン57は、車高調節油圧シリンダ38を作動させる車高用スイッチ機構55を操作するためのものであり、前後二方向に押し操作可能に構成されている。詳細は後述するが、車高用スイッチ機構55は、車高上昇スイッチ65及び車高下降スイッチ66を有する(図14参照)。車高ボタン57の前後方向の押し操作によって、車高上昇スイッチ65又は車高下降スイッチ66を選択的にオン作動させ、走行機体1の車高を変化させるように構成している。
すなわち、車高ボタン57を前方に押し操作している間は、車高下降スイッチ66がオン作動して、走行機体1を下降させるように左傾電磁弁261及び右傾電磁弁262がオン作動する結果、走行機体1の対地高さが低くなる。逆に、車高ボタン57を後方に押し操作している間は、車高上昇スイッチ65がオン作動して、走行機体1を上昇させるように左傾電磁弁261及び右傾電磁弁262がオン作動する結果、走行機体1の対地高さが高くなる。オペレータが車高ボタン57から手指を離せば、車高ボタン57は不図示のバネの付勢力等にて初期位置に復帰し、このときの対地高さに走行機体1が維持される。
車高ボタン57を手動操作している間だけ、車高調節油圧シリンダ38が作動して、走行機体1を適正地上高に支持できる。例えば、本機(コンバイン)を運搬するトラックの荷台への積み下ろしや本機の圃場への出入等において、走行機体1を傾斜姿勢で移動させる場合でも、本機が路面と接触して損傷するのを低減できる。
図11及び図13に示すように、実施形態では、運転座席12に着座したオペレータから見て左側に車高ボタン57が、右側に姿勢操作レバー56が位置している。つまり、運転座席12に着座したオペレータから見て互いに逆側に、車高ボタン57と姿勢操作レバー56とが位置している。車高ボタン57と姿勢操作レバー56との位置関係は、実施形態と左右逆になっていてもよい。このように構成すると、一方の手(左手)で車高ボタン57を、他方の手(右手)で姿勢操作レバー56を操作できる。つまり、両手を使って(振り分けて)車高ボタン57及び姿勢操作レバー56を操作できるから、走行機体1の姿勢を手動で変更操作する際の操作性がよいのである。
実施形態では、例えば車高ボタン57と姿勢操作レバー56とを同時に操作した場合に対処するため、車高ボタン57による車高調節油圧シリンダ38の車高調節動作(走行機体1の昇降動)を、姿勢操作レバー56による車高調節油圧シリンダ38又は前後傾斜用油圧シリンダ177の傾斜動作(走行機体1の傾斜動)よりも優先するように構成されている。このため、車高調節油圧シリンダ38の車高調節動作を先に実行して、走行機体1の車高を所定車高に維持してから、車高調節油圧シリンダ38又は前後傾斜用油圧シリンダ177の傾斜動作が実行されることになり、例えば圃場又は畦等の土中に、刈取装置3の前部(コンバインの前部)が突入するのを防止できる。また、車高調節油圧シリンダ38に対する作動油の給排と前後傾斜用油圧シリンダ177に対する作動油の給排とを分けて実行するから、油圧系統の簡素化を図りつつ4本の油圧シリンダ38,177の応答性確保が可能になり、コンバインにおける姿勢制御機能を向上できる。各油圧シリンダ38,177の作動速度等が互いに影響されるおそれも少ない。その上、作業ポンプ91bを大型化することなく低コストに構成できる。
実施形態では、姿勢操作レバー56の上方操作によって走行機体1が左傾斜し、下方操作によって走行機体1が右傾斜する一方、姿勢操作レバー56の前方操作によって走行機体1が前傾し、後方操作によって走行機体1が後傾するように構成されているから、オペレータから見て、姿勢操作レバー56の操作方向と走行機体1の傾動方向との関係が一致することになる。このため、姿勢操作レバー56の手動操作によって走行機体1の傾斜姿勢を違和感なくスムーズに変更できる。
次に、図14を参照しながら、コンバイン(走行機体1)の左右傾斜制御、前後傾斜制御及び刈取装置3の昇降制御について説明する。なお、コンバイン(走行機体1)の車高調節の制御は左右傾斜制御に含まれるものである。コンバインの走行機体1には、上記各種制御を司る作業コントローラ371が搭載されている。詳細は図示していないが、作業コントローラ371は、各種演算処理や制御を実行するCPUと、制御プログラムを記憶したROMと、各種データを記憶したRAMとを有する。
図14に示す如く、作業コントローラ371には、刈取装置3によって刈取った刈取穀稈を検出する作物センサ372と、刈取装置3の作動を検出する作業スイッチ373と、走行機体1の左右方向の傾斜角度を検出する振子式の左右傾斜センサ374と、走行機体1と左側のトラックフレーム21との間隔(車高)を検出するポテンショメータ形の左車高センサ375と、走行機体1と右側のトラックフレーム21との間隔(車高)を検出するポテンショメータ形の右車高センサ376と、走行機体1の左右方向の傾斜角度の基準値を初期設定する手動ダイヤル切換式ポテンショメータ形の左右傾斜設定器377が接続されている。
また、作業コントローラ371には、左傾電磁弁261と、右傾電磁弁262が接続されている。この構成により、左右傾斜センサ374の検出値と、左車高センサ375の検出値と、右車高センサ376の検出値とに基づき、左傾電磁弁261又は右傾電磁弁262を切換えて、左車高調節油圧シリンダ38又は右車高調節油圧シリンダ38を作動させ、走行機体1の左右方向の傾斜を修正して、走行機体1が左右向きに略水平になるように自動制御する。
さらに、作業コントローラ371には、走行機体1の前後方向の傾斜角度を検出する振子式の前後傾斜センサ381と、走行機体1の左右それぞれにおける前後傾斜角度(トラックフレーム21の前後方向の対本機傾斜角度)を検出するポテンショメータ形の左右のピッチングセンサ382a,382bと、走行機体1の前後方向の傾斜角度の基準値を初期設定する手動ダイヤル切換式ポテンショメータ形の前後傾斜設定器383と、前後傾動電磁弁266が接続されている。この構成により、前後傾斜センサ381の検出値と、ピッチングセンサ382a,382bの検出値と、前後傾斜設定器383の設定値とに基づき、前後傾動電磁弁266を切換えて、前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させ、走行機体1の前後方向の傾斜を修正して、走行機体1が前後向きに略水平になるように自動制御される。
作業コントローラ371の入力側には、左傾スイッチ61と、右傾スイッチ62と、前傾スイッチ63と、後傾スイッチ64と、車高上昇スイッチ65と、車高下降スイッチ66とが接続されている。この構成により、姿勢操作レバー56の上下前後方向の傾倒操作や、車高ボタン57の前後方向の押し操作等の手動操作によって、車高調節油圧シリンダ38又は前後傾斜用油圧シリンダ177が作動し、オペレータが希望する傾斜姿勢に走行機体1を支持するように手動制御できる。
一方、図14に示す如く、作業コントローラ371には、走行クローラ2の回転速度(
車速)を検出する車速センサ385と、刈取装置3の対地高さを検出するポテンショメータ形の刈取高さセンサ386と、刈取装置3の対地高さの基準値を初期設定する手動ダイヤル切換式ポテンショメータ形の刈取高さ設定器387と、刈取昇降電磁弁260が接続されている。この構成により、車速センサ385の検出値と、刈取高さセンサ386の検出値と、刈取高さ設定器387の設定値とに基づき、刈取昇降電磁弁260を切換えて、刈取上昇用油圧シリンダ4を作動させ、刈取装置3の対地高さを修正して、刈取装置3の穀稈刈取高さが略一定になるように自動制御する。
また、作業コントローラ371の入力側には、走行機体1の前後進状態(走行機体1の直進方向が前進側か後進側か)を検出する直進検出手段としてのバックスイッチ391と、走行機体1の旋回状態(旋回方向及び旋回角度)を検出する旋回検出手段としての切角センサ392とが電気的に接続されている。実施形態のバックスイッチ391は、主変速レバー43の後進操作(後方への傾動操作)によってオン作動し、前進操作(前方への傾動操作)によってオフ作動するように構成されている。実施形態の切角センサ392は、操向丸ハンドル11の回動操作角度から、走行機体1の旋回状態を検出するものであり、例えばロータリエンコーダ又はロータリポテンショメータ等が採用される。なお、直進検出手段は主変速レバー43に関連付ける構成に限らず、ミッションケース88の動力伝達系に関連付けて、走行機体1の前後進状態を検出する構成でもよい。旋回検出手段も操向丸ハンドル11に関連付ける構成に限らず、ミッションケース88の動力伝達系に関連付けて、走行機体1の旋回状態を検出する構成にしてよい。
図14及び図16に示す如く、実施形態では、姿勢操作レバー56の手動操作、又は車高調節油圧シリンダ38や前後傾斜用油圧シリンダ177の自動制御によって、走行機体1が対地水平姿勢に移行したときは、走行機体1の左右傾斜姿勢の変更動作又は走行機体1の前後傾斜姿勢の変更動作を一時的に停止させ、その停止状態を例えばブザー390の鳴動によってオペレータに報知するように構成されている。従って、オペレータが希望する傾斜姿勢(予測する傾斜姿勢)から走行機体1の傾斜姿勢を大きく逸脱させることなく、車高調節油圧シリンダ38又は前後傾斜用油圧シリンダ177の伸縮動作を制御することが可能になる。姿勢操作レバー56の手動操作によって、走行機体1が前後左右方向に過度に傾動されるのを防止できる。車高調節油圧シリンダ38や前後傾斜用油圧シリンダ177の手動制御機能、これらの自動制御機能、又は姿勢操作レバー56の手動操作性等を簡単に向上できる。
次に、図7〜図10及び図14〜図17を参照しながら、刈取装置3の穀稈刈取高さ制御態様、及びコンバインの傾斜制御態様(姿勢制御態様)を説明する。図15のフローチャートに示す如く、エンジン14が始動された場合、作物センサ372値、左右傾斜センサ374値、左車高センサ375値、右車高センサ376値、左右傾斜設定器377値、前後傾斜センサ381値、左右ピッチングセンサ382a,382b値、前後傾斜設定器383値、車速センサ385値、刈取高さセンサ386値、刈取高さ設定器387値が読込まれる。作業スイッチ373がオンの刈取作業中、刈取高さ制御が実行される。また、作業スイッチ373がオン又はオフのいずれであっても、図16のフローチャートに示す左右傾斜制御及び前後傾斜制御はそれぞれ実行される。
図15のフローチャートに示す如く、作業スイッチ373がオンの刈取作業中に、作物センサ372がオンになっていると、車速センサ385値と、刈取高さセンサ386値と、刈取高さ設定器387値に基づき、刈取装置3の穀稈刈取高さが低いと判断された場合、刈取昇降電磁弁260が切換り、刈取上昇用油圧シリンダ4を作動させて刈取装置3を上昇制御して、刈取装置3の対地高さを修正する。一方、刈取装置3の穀稈刈取高さが高いと判断された場合、刈取昇降電磁弁260が切換り、刈取上昇用油圧シリンダ4を作動させて刈取装置3を下降制御して、刈取装置3の対地高さを修正する。図13の刈取高さ
制御によって、刈取高さ設定器387によって設定された刈取装置3の穀稈刈取高さを自動的に維持できる。
図16のフローチャートは、左右傾斜制御と前後傾斜制御との具体的な制御態様を示している。当該左右及び前後傾斜制御では、姿勢操作レバー56又は車高ボタン57を手動操作していない場合は、左右傾斜センサ374値と、左車高センサ375値と、右車高センサ376値と、左右傾斜設定器377値と、前後傾斜センサ381値と、ピッチングセンサ382a,382b値と、前後傾斜設定器383値と、クローラ姿勢マップML,MRとに基づき、各走行クローラ2側の姿勢範囲AR1〜AR7を算出する。走行機体1が左側に傾斜していると判断されれば、左傾電磁弁261又は右傾電磁弁262を切り換えて、左車高調節油圧シリンダ38又は右車高調節油圧シリンダ38を作動させ、走行機体1の左側を上昇させるか又は走行機体1の右側を下降させる(走行機体1を右傾斜方向に姿勢変更させる)。
一方、走行機体1が右側に傾斜していると判断されれば、左傾電磁弁261又は右傾電磁弁262を切り換えて、左車高調節油圧シリンダ38又は右車高調節油圧シリンダ38を作動させ、走行機体1の右側を上昇させるか又は走行機体1の左側を下降させる(走行機体1を左傾斜方向に姿勢変更させる)。
従って、図16に示すコンバイン(走行機体1)の左右傾斜制御によって、走行機体1の左右方向の傾斜角度が自動的に修正される。左右傾斜設定器377値に基づき、走行機体1の左右方向の傾斜姿勢を維持できる。なお、オペレータによって左右傾斜設定器377が操作された場合、走行機体1は左右傾斜設定器377にて設定された左右傾斜角度姿勢(対地水平姿勢)に支持される。
更に、図16のフローチャートに示す如く、各走行クローラ2側の姿勢範囲AR1〜AR7から、走行機体1が前側方に下り傾斜している前傾姿勢と判断されれば、動作規則テーブルTに基づき、走行機体1の後傾方向への姿勢変更を許可するか否かを判別する。当該姿勢変更を許可する場合は、前後傾動電磁弁266を切り換えて、左右の前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させ、前側に傾斜している走行機体1の後部側を下降させる。すなわち、図16に示すコンバイン(走行機体1)の前後傾斜制御によって、走行機体1の前方向の傾斜角度が自動的に修正される。走行機体1の前後傾斜角度(対地水平姿勢)は前後傾斜設定器383値に一致することになる。
この場合において、目標の傾斜姿勢に至るまでに、トラックフレーム21に対して走行機体1が対走行部水平姿勢(平行な姿勢)になったときは、後傾動作を一定時間だけ一旦停止させ、作業コントローラ371に接続したブザー390を鳴動させてオペレータに報知する。そして、前記一旦停止から一定時間が経過したときに、後傾動作を自動的に再開させる。前記一旦停止とブザー390の連続鳴動によって、オペレータは表示部を視認することなく、走行機体1の対走行部水平姿勢を簡単に認識できる。
一方、前記後傾方向への姿勢変更を禁止した場合は、ブザー390を断続的に鳴動させてオペレータに報知しながら、左車高調節油圧シリンダ38又は右車高調節油圧シリンダ38を作動させて走行機体1の右側又は左側を昇降させ、各走行クローラ2側の姿勢範囲を通常範囲AR2,AR4内に変更させた後、引き続き、前記後傾動作が実行される。すなわち、走行機体1の前傾角度を自動的に修正する前方傾斜修正制御が実行され、走行機体1の前後傾斜角度(対地水平姿勢)は前後傾斜設定器383値に一致することになる。
更に、図16のフローチャートに示す如く、各走行クローラ2側の姿勢範囲AR1〜AR7から、走行機体1が後側方に下り傾斜している後傾姿勢と判断されれば、動作規則テ
ーブルTに基づき、走行機体1の前傾方向への姿勢変更を許可するか否かを判別する。当該姿勢変更を許可する場合は、前後傾動電磁弁266を切り換えて、左右の前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させ、後側に傾斜している走行機体1の後部側を上昇させる。すなわち、図16に示すコンバイン(走行機体1)の前後傾斜制御によって、走行機体1の後方向の傾斜角度が自動的に修正される。走行機体1の前後傾斜角度(対地水平姿勢)は前後傾斜設定器383値に一致することになる。
この場合において、目標の傾斜姿勢に至るまでに、トラックフレーム21に対して走行機体1が対走行部水平姿勢(平行な姿勢)になったときは、前傾動作を一定時間だけ一旦停止させ、作業コントローラ371に接続したブザー390を鳴動させてオペレータに報知する。そして、前記一旦停止から一定時間が経過したときに、前傾動作を自動的に再開させる。前記一旦停止とブザー390の連続鳴動によって、オペレータは表示部を視認することなく、走行機体1の対走行部水平姿勢を簡単に認識できる。
一方、前記前傾方向への姿勢変更を禁止した場合は、ブザー390を断続的に鳴動させてオペレータに報知しながら、左車高調節油圧シリンダ38又は右車高調節油圧シリンダ38を作動させて走行機体1の右側又は左側を昇降させ、各走行クローラ2側の姿勢範囲を通常範囲AR2,AR4内に変更させた後、引き続き、前記前傾動作が実行される。すなわち、走行機体1の後傾角度を自動的に修正する後方傾斜修正制御が実行され、走行機体1の前後傾斜角度(対地水平姿勢)は前後傾斜設定器383値に一致することになる。
図16及び図17のフローチャートに示す如く、姿勢操作レバー56を手動操作した場合は、姿勢操作レバー56の上下前後方向の傾倒操作によって、走行機体1の左右方向の傾斜姿勢、又は前後方向の傾斜姿勢が変更される。姿勢操作レバー56を上方向に傾倒操作(左傾斜操作)すれば、動作規則テーブルTに基づき、走行機体1の左傾方向への姿勢変更を許可するか否かを判別する。当該姿勢変更を許可する場合は、左右いずれか一方又は両方の車高調節油圧シリンダ38を作動させて、走行機体1の右側に対して左側が低くなる姿勢に走行機体1が支持される。また、姿勢操作レバー56を下方向に傾倒操作(右傾斜操作)すれば、動作規則テーブルTに基づき、走行機体1の右傾方向への姿勢変更を許可するか否かを判別する。当該姿勢変更を許可する場合は、左右いずれか一方又は両方の車高調節油圧シリンダ38を作動させて、走行機体1の左側に対して右側が低くなる姿勢に走行機体1が支持される。
姿勢操作レバー56を前方向に傾倒操作(前傾操作)した場合は、動作規則テーブルTに基づき、走行機体1の前傾方向への姿勢変更を許可するか否かを判別し、許可する場合は、左右の前後傾斜用油圧シリンダ177を略同時に同量だけ同一方向に作動させて、走行機体1の後側に対して前側が低くなる姿勢に走行機体1が支持される。また、姿勢操作レバー56を後方向に傾倒操作(後傾操作)した場合は、動作規則テーブルTに基づき、走行機体1の後傾方向への姿勢変更を許可するか否かを判別し、許可する場合は、左右の前後傾斜用油圧シリンダ177を略同時に同量だけ同一方向に作動させて、走行機体1の前側に対して後側が低くなる姿勢に走行機体1が支持される。なお、姿勢変更を禁止する場合はいずれも、例えばブザー390の鳴動によってオペレータにその旨を報知する。
姿勢操作レバー56の手動操作中に、トラックフレーム21に対して走行機体1が対走行部水平姿勢(平行な姿勢)になった場合は、前記した姿勢変更動作を一定時間だけ一旦停止させ、作業コントローラ371に接続したブザー390を鳴動させてオペレータに報知する。そして、前記一旦停止から一定時間経過後に姿勢操作レバー56の手動操作を継続していれば、前記した姿勢変更動作を自動的に再開させる。前記一旦停止とブザー390の鳴動とによって、オペレータが走行機体1の対走行部水平姿勢を簡単に認識できる。
また、図16及び図17に示すように、オペレータが車高ボタン57を手動操作した場合は、車高ボタン57の前後方向の押し操作によって、走行機体1の車高が変化する。すなわち、車高ボタン57を前方に押し操作した場合、車高下降スイッチ66の出力に基づき、左右の車高調節油圧シリンダ38を略同時に同量だけ同一方向に作動させて走行機体1を下降させ、走行機体1の対地高さを低くする。逆に、車高ボタン57を後方に押し操作した場合、車高上昇スイッチ65の出力に基づき、左右の車高調節油圧シリンダ38を略同時に同量だけ同一方向に作動させて走行機体1を上昇させ、走行機体1の対地高さを高くする。その結果、走行機体1の前後左右の傾斜姿勢をそのまま維持した状態で、オペレータが希望する高さにコンバインの車高が変更される。
一方、オペレータが車高ボタン57から手指を離せば、車高ボタン57は不図示のバネの付勢力等にて初期位置に復帰し、このときの対地高さに走行機体1が維持される。コンバインを運搬するトラックの荷台への積み下ろしや、本機の圃場への出入等において、刈取装置3等が路面と接触して損傷するのを低減できる。また、歩み板などの急傾斜した走行路面であっても、コンバインの転倒などを予防しながら簡単に移動できる。
上記の説明並びに図6〜図10、図14、図16及び図17から明らかなように、実施形態によると、左右の走行部2にて支持された走行機体1と、前記走行機体1の左右方向の傾斜姿勢を変更するローリングアクチュエータ38と、前記走行機体1の前後方向の傾斜姿勢を変更するピッチングアクチュエータ177と、前記各アクチュエータ38,177の駆動を制御するコントローラ371とを備えている作業車両であって、前記コントローラ371には、前記走行機体1における前記各走行部2側の姿勢に関する一対の姿勢データML,MRを格納しており、前記コントローラ371は、前記各アクチュエータ38,177による前記走行機体1の姿勢変更の可否を前記両姿勢データML,MRに基づき決定するから、前記両姿勢データML,MRに基づき前記各アクチュエータ38,177の可動範囲を制限することが可能になる。このため、前記各アクチュエータ38,177を可動限界まで動作させて前記走行機体1にねじれを生じさせたり、前記走行機体1を極端な姿勢にしたりすることがなくなり、作業車両において安定した姿勢制御を実現できる。
また、前記各姿勢データML,MRには、通常採り得る姿勢の範囲である通常範囲AR2,AR4と、車高上限側又は下限側での前後傾斜範囲である制限範囲AR1,AR3,AR5〜AR7とが規定されており、前記コントローラ371は、前記両姿勢データML,MRの前記制限範囲AR1,AR3,AR5〜AR7の組合せによって、前記走行機体1の姿勢変更の可否を決定するから、前記両姿勢データML,MRの前記制限範囲AR1,AR3,AR5〜AR7の組合せを目安に、前記各アクチュエータ38,177の可動範囲、ひいては前記走行機体1の姿勢変更を制限できることになる。従って、前記各アクチュエータ38,177の応答性を確保しながら、前記走行機体1のねじれ等を簡単且つ確実に防止でき、前記走行機体1の姿勢変更動作を極力安定した状態で行えるのである。
更に、前記走行機体1上にある運転座席12の前方に配置された操向丸ハンドル11のホイル部51に、前記走行機体1の車高を変更操作する車高操作具57が設けられ、前記操向丸ハンドル11を支持する操向コラム46に、前記走行機体1の傾斜姿勢を変更操作する傾斜操作具56が設けられており、前記コントローラ371は、前記各操作具56,57を手動操作するにおいて、前記手動操作に対応した方向への前記走行機体1の姿勢変更を禁止するときにその旨を報知するから、前記各アクチュエータ38,177の応答性を確保できる姿勢範囲から外れる操作をオペレータに積極的に知らせることができる。その結果、前記各アクチュエータ38,177の応答性を確保できる姿勢範囲内で、前記各アクチュエータ38,177をスムーズに駆動させることができ、前記車高操作具57や前記傾斜操作具56の手動操作による前記走行機体1の姿勢変更動作を極力安定した状態
で実現できる。
図18のフローチャートは、車高ボタン57を手動操作したときの車高昇降動作(図17の車高上昇動作及び車高下降動作)の具体的な制御態様を示している。この場合、昇降開始時の左右車高センサ375,376値HLo,HRoの差ΔHo=HRo−HLoを算出し(S01)、左右の車高調節油圧シリンダ38を同時に同一方向に駆動させる(S02)。次いで、左右車高センサ375,376値HLx,HRxを再読み込みして更新し(S03)、更新後の左右車高センサ375,376値HLx,HRxの差ΔHx=HRx−HLxを算出する(S04)。それから、更新後の差ΔHxと昇降開始時の差ΔHoとの間の差分の絶対値|ΔHx−ΔHo|が予め設定された第1昇降基準値C1以上か否かを判別する(S05)。ここでは第1昇降基準値C1を例えば20mmに設定している。なお、第1昇降基準値C1自体は下回る側に含めてもよいし、上回る側に含めてもよい。実施形態は上回る側に含めた場合である。絶対値|ΔHx−ΔHo|が第1昇降基準値C1以上であれば(S05:yes)、先に移動方向に進んだ側の車高調節油圧シリンダ38を停止させ(S06)。第1昇降基準値C1未満であれば(S05:no)、後述するステップS11へ移行する。
先に移動方向に進んだ側の車高調節油圧シリンダ38を停止させたステップS06の後は、再び左右車高センサ375,376値HLx,HRxを読み込みして更新し(S07)、再更新後の左右車高センサ375,376値HLx,HRxの差ΔHx=HRx−HLxを算出する(S08)。そして、再更新後の差ΔHxと昇降開始時の差ΔHoとの間の差分の絶対値|ΔHx−ΔHo|が第1昇降基準値C1より小さい第2昇降基準値C2以上か否かを判別する(S09)。実施形態では第2昇降基準値C2を例えば10mmに設定している。なお、第2昇降基準値C2自体についても、下回る側に含めたり上回る側に含めたりしてよい。実施形態は上回る側に含めた場合である。絶対値|ΔHx−ΔHo|が第2昇降基準値C2以上であれば(S09:yes)、停止中の車高調節油圧シリンダ38を再駆動させる(S10)。それから、車高ボタン57の手動操作が終了していれば(S11:yes)、左右の車高調節油圧シリンダ38を両方とも停止させる(S12)。手動操作が継続中であれば(S11:no)、ステップS03に戻る。
他方、ステップS09に戻り、絶対値|ΔHx−ΔHo|が第2昇降基準値C2未満である場合(S09:no)、駆動中の車高調節油圧シリンダ38に対応する車高センサ375,376値が限界値(上限又は下限)に達したならば(S13:yes)、ステップS10に移行して、停止中の車高調節油圧シリンダ38を再駆動させる。限界値に達していなければ(S13:no)、車高ボタン57の手動操作が終了したか否かを判別する(S14)。手動操作が終了していれば(S14:yes)、ステップS12に移行して、左右の車高調節油圧シリンダ38を両方とも停止させる。手動操作が継続中であれば(S14:no)、ステップS07に戻る。
図19(a)〜(d)では、左走行クローラ2側の負荷が大きい場合の昇降動作を模式的に示している。図19(a)は、上昇動作中に絶対値|ΔHx−ΔHo|が第1昇降基準値C1以上になった場合である。ここでは、先に移動方向に進んだ側、すなわち高さの高い側に対応する右車高調節油圧シリンダ38を停止させ、左車高調節油圧シリンダ38は伸長動を継続させる(ステップS05、S06参照)。図19(b)は、右車高調節油圧シリンダ38を停止させた後で、絶対値|ΔHx−ΔHo|が第2昇降基準値C2以上になった場合である。ここでは、駆動継続中の左車高調節油圧シリンダ38によって、走行機体1における左走行クローラ2側の高さが右走行クローラ2側の高さに比べて行き過ぎなほど高くなっているため、停止中の右車高調節油圧シリンダ38を再駆動させ、両方の車高調節油圧シリンダ38を伸長動させる(ステップS09、S10参照)。
図19(c)は、下降動作中に絶対値|ΔHx−ΔHo|が第1昇降基準値C1以上になった場合である。ここでは、先に移動方向に進んだ側、すなわち高さの低い側に対応する左車高調節油圧シリンダ38を停止させ、右車高調節油圧シリンダ38は短縮動を継続させる(ステップS05、S06参照)。図19(d)は、左車高調節油圧シリンダ38を停止させた後で、絶対値|ΔHx−ΔHo|が第2昇降基準値C2以上になった場合である。ここでは、駆動継続中の右車高調節油圧シリンダ38によって、走行機体1における右走行クローラ2側の高さが左走行クローラ2側の高さに比べて行き過ぎなほど低くなっているため、停止中の左車高調節油圧シリンダ38を再駆動させ、両方の車高調節油圧シリンダ38を短縮動させるのである(ステップS09、S10参照)。
上記の説明並びに図18及び図19から明らかなように、実施形態によると、左右の走行部2にて支持された走行機体1と、前記走行機体1の左右方向の傾斜姿勢を変更する一対のローリングアクチュエータ38と、前記走行機体1の前後方向の傾斜姿勢を変更する一対のピッチングアクチュエータ177と、前記走行機体1における左右の高さを検出する左右の車高センサ375,376と、前記走行機体1の左右それぞれにおける前後傾斜角度を検出する左右のピッチングセンサ382a,382bとを備えている作業車両であって、手動操作によって前記走行機体1の車高を昇降させる場合において、現時点の前記左右の車高センサ375,376値の差ΔHxと昇降開始時の前記左右の車高センサ375,376値の差ΔHoとの間の差分の絶対値|ΔHx−ΔHo|が予め設定された第1昇降基準値C1を上回ると、先に移動方向に進んだ側の前記ローリングアクチュエータ38を停止させ、他方の前記ローリングアクチュエータ38の駆動を継続するように構成されているから、前記走行機体1における左右の車高差が昇降開始時の車高差に比べて大きく乖離したときは、先に移動方向に進んだ側の前記ローリングアクチュエータ38を一旦停止させることになる。このため、前記一対のローリングアクチュエータ38にかかる負荷の大小に拘らず、前記走行機体1の左右傾斜角度をできるだけ一定に維持した状態で、前記走行機体1の車高を昇降できるという効果を奏する。
また、前記一方のローリングアクチュエータ38を停止させたのち、前記差分の絶対値|ΔHx−ΔHo|が前記第1昇降基準値C1より小さい第2昇降基準値C2を上回ると、前記一方のローリングアクチュエータ38を再駆動させるように構成されているから、前記両ローリングアクチュエータ38にかかる負荷の大小による影響をスムーズに吸収しながら、前記走行機体1の左右傾斜角度をできるだけ一定に維持して前記走行機体1の車高を昇降でき、前記走行機体1の昇降動作が安定するという効果を奏する。
更に、前記一方のローリングアクチュエータ38を停止させたのち、前記他方のローリングアクチュエータ38に対応する車高センサ375,376値HLx,HRxが限界値に達すると、前記一方のローリングアクチュエータ38を再駆動させるように構成されているから、前記第2昇降基準値C2を超えることなく左右一方の車高上限又は車高下限に達するような例外的な状況に対しても、前記両方のローリングアクチュエータ38を駆動できることになり、確実且つスムーズに対処する車高昇降制御を実現できるという効果を奏する。
図20のフローチャートは、姿勢操作レバー56を前後方向に傾倒操作したときの前後傾斜動作(図17の前傾動作及び後傾動作)の具体的な制御態様を示している。この場合、前後傾斜開始時の左右ピッチングセンサ382a,382b値θLo,θRoの差Δθo=θRo−θLoを算出して(S21)、当該差Δθoを零とする(θRo、θLoを原点とする)零点補正を実行してから(S22)、左右の前後傾斜用油圧シリンダ177を同時に同一方向に駆動させる(S23)。次いで、左右ピッチングセンサ382a,382b値θLx,θRxを再読み込みして更新し(S24)、更新後の左右ピッチングセンサ382a,382b値θLx,θRxの差Δθx=θRx−θLxを算出する(S2
5)。それから、更新後の差Δθxと前後傾斜開始時の差Δθoとの間の差分の絶対値|Δθx−Δθo|が予め設定された第1傾斜基準値φ1以上か否かを判別する(S26)。ここでは第1傾斜基準値φ1を例えば3°に設定している。なお、第1傾斜基準値φ1自体は下回る側に含めてもよいし、上回る側に含めてもよい。実施形態は上回る側に含めた場合である。絶対値|Δθx−Δθo|が第1傾斜基準値φ1以上であれば(S26:yes)、先に移動方向に進んだ側の前後傾斜用油圧シリンダ177を停止させ(S27)。第1傾斜基準値φ1未満であれば(S26:no)、後述するステップS32へ移行する。
先に移動方向に進んだ側の前後傾斜用油圧シリンダ177を停止させたステップS27の後は、再び左右ピッチングセンサ382a,382b値θLx,θRxを読み込みして更新し(S28)、再更新後の左右ピッチングセンサ382a,382b値θLx,θRxの差Δθx=θRx−θLxを算出する(S29)。そして、再更新後の差Δθxと前後傾斜開始時の差Δθoとの絶対値|Δθx−Δθo|が第1傾斜基準値φ1より小さい第2傾斜基準値φ2以上か否かを判別する(S30)。実施形態では第2傾斜基準値φ2を例えば2°に設定している。なお、第2傾斜基準値φ2自体についても、下回る側に含めたり上回る側に含めたりしてよい。実施形態は上回る側に含めた場合である。絶対値|Δθx−Δθo|が第2傾斜基準値φ2以上であれば(S30:yes)、停止中の前後傾斜用油圧シリンダ177を再駆動させる(S31)。それから、姿勢操作レバー56の手動操作が終了していれば(S32:yes)、左右の前後傾斜用油圧シリンダ177を両方とも停止させる(S33)。手動操作が継続中であれば(S32:no)、ステップS24に戻る。
他方、ステップS30に戻り、絶対値|Δθx−Δθo|が第2傾斜基準値φ2未満である場合(S30:no)、駆動中の前後傾斜用油圧シリンダ177に対応するピッチングセンサ382a,382b値が限界値(前傾限又は後傾限)に達したならば(S34:yes)、ステップS31に移行して、停止中の前後傾斜用油圧シリンダ177を再駆動させる。限界値に達していなければ(S34:no)、姿勢操作レバー56の手動操作が終了したか否かを判別する(S35)。手動操作が終了していれば(S35:yes)、ステップS33に移行して、左右の前後傾斜用油圧シリンダ177を両方とも停止させる。手動操作が継続中であれば(S35:no)、ステップS28に戻る。
図21(a)〜(d)では、左走行クローラ2側の負荷が大きい場合の前後傾斜動作を模式的に示している。図21(a)は、前傾動作中に絶対値|Δθx−Δθo|が第1傾斜基準値φ1以上になった場合である。ここでは、先に移動方向に進んだ側、すなわち前傾角度の大きい側に対応する右側の前後傾斜用油圧シリンダ177を停止させ、左側の前後傾斜用油圧シリンダ177は伸長動を継続させている(ステップS26、S27参照)。図21(b)は、右側の前後傾斜用油圧シリンダ177を停止させた後で、絶対値|Δθx−Δθo|が第2傾斜基準値φ2以上になった場合である。ここでは、駆動継続中の左側の前後傾斜用油圧シリンダ177によって、走行機体1における左走行クローラ2側の前傾角度が右走行クローラ2側の前傾角度に比べて行き過ぎなほど大きくなっている(前傾している)ため、停止中の右側の前後傾斜用油圧シリンダ177を再駆動させ、両方の前後傾斜用油圧シリンダ177を伸長動させている(ステップS30、S31参照)。
図21(c)は、後傾動作中に絶対値|Δθx−Δθo|が第1傾斜基準値φ1以上になった場合である。ここでは、先に移動方向に進んだ側、すなわち後傾角度の大きい側に対応する左側の前後傾斜用油圧シリンダ177を停止させ、右側の前後傾斜用油圧シリンダ177は短縮動を継続させている(ステップS26、S27参照)。図21(d)は、左側の前後傾斜用油圧シリンダ177を停止させた後で、絶対値|Δθx−Δθo|が第2傾斜基準値φ2以上になった場合である。ここでは、駆動継続中の右側の前後傾斜用油
圧シリンダ177によって、走行機体1における右走行クローラ2側の後傾角度が左走行クローラ2側の後傾角度に比べて行き過ぎなほど大きくなっている(後傾している)ため、停止中の左側の前後傾斜用油圧シリンダ177を再駆動させ、両方の前後傾斜用油圧シリンダ177を短縮動させるのである(ステップS30、S31参照)。
上記の説明並びに図20及び図21から明らかなように、実施形態によると、手動操作によって前記走行機体1の前後傾斜角度を変更させる場合において、現時点の前記左右のピッチングセンサ382a,382b値の差Δθxと前後傾斜開始時の前記左右のピッチングセンサ382a,382b値の差Δθoとの間の差分の絶対値|Δθx−Δθo|が予め設定された第1傾斜基準値φ1を上回ると、先に移動方向に進んだ側の前記ピッチングアクチュエータ177を停止させ、他方の前記ピッチングアクチュエータ177の駆動を継続するように構成されているから、前記走行機体1における左右の前後傾斜角度差が前後傾斜開始時の前後傾斜角度差に比べて大きく乖離したときは、先に移動方向に進んだ側の前記ピッチングアクチュエータ177を一旦停止させることになる。このため、前記一対のピッチングアクチュエータ177にかかる負荷の大小に拘らず、前記走行機体1の左右傾斜角度をできるだけ一定に維持した状態で、前記走行機体1の前後傾斜角度を変更できるという効果を奏する。
また、前記一方のピッチングアクチュエータ177を停止させたのち、前記差分の絶対値|Δθx−Δθo|が前記第1傾斜基準値φ1より小さい第2傾斜基準値φ2を上回ると、前記一方のピッチングアクチュエータ177を再駆動させるように構成されているから、前記両ピッチングアクチュエータ177にかかる負荷の大小による影響をスムーズに吸収しながら、前記走行機体1の左右傾斜角度をできるだけ一定に維持して前記走行機体1の前後傾斜角度を変更でき、前記走行機体1の前後傾斜動作が安定するという効果を奏する。
更に、前記一方のピッチングアクチュエータ177を停止させたのち、前記他方のピッチングアクチュエータ177に対応するピッチングセンサ382a,382b値θLx,θRxが限界値に達すると、前記一方のピッチングアクチュエータ177を再駆動させるように構成されているから、前記第2傾斜基準値φ2を超えることなく左右一方の前傾限界又は後傾限界に達するような例外的な状況に対しても、前記両方のピッチングアクチュエータ177を駆動できることになり、確実且つスムーズに対処する前後傾斜制御を実現できるという効果を奏する。
図22のフローチャートは、左右傾斜制御(図17の左傾動作及び右傾動作)において左右傾斜センサ374値が急変化したときの具体的な制御態様を示している。なお、後述する傾斜動作禁止フラグFは、傾斜制御の実行開始時にリセット状態(F=0)に設定されているものとする。バックスイッチ391がオン状態で(S41:yes)、且つ、操向丸ハンドル11がほとんど操作していない中立状態から外れていることを切角センサ392で検出した場合は(S42:yes)、走行機体1が後進しながら左右いずれかに旋回中であるから、車高調節油圧シリンダ38の自動制御による走行機体1の左右傾斜姿勢の変更動作、すなわち左右傾斜制御を禁止する(S43)。バックスイッチ391がオフ状態(S41:no)か、操向丸ハンドル11が中立状態にあることを切角センサ392で検出した場合は(S42:no)、ステップS44へ移行して左右傾斜制御を実行する。なお、実施形態では、操向丸ハンドル11における中立状態の角度範囲が、中立位置を挟んで左右に15°ずつ(計30°)程度の大きさに設定されている。操向丸ハンドル11の回動可能範囲は、前記中立位置を挟んで左右に約135°ずつ程度の大きさに設定されている。
ステップS44では、左右傾斜センサ374値λ(x)を適宜短時間毎に読み込む。次
いで、先に読み込まれた左右傾斜センサ374値λ(1)と、後に読み込まれた左右傾斜センサ374値λ(2)との差分の絶対値|λ(1)−λ(2)|が予め設定された左右傾斜閾値Λ以上か否かを判別する(S45)。実施形態の左右傾斜閾値Λは例えば3.5°に設定されている。なお、左右傾斜閾値Λ自体は下回る側に含めてもよいし、上回る側に含めてもよい。実施形態は上回る側に含めている。
絶対値|λ(1)−λ(2)|が左右傾斜閾値Λ以上であれば(S45:yes)、走行機体1の左右傾斜姿勢が急激に変化しているか、走行機体1の振動等によって左右傾斜センサ374が過剰検出していると解され、このまま左右傾斜制御を継続したのでは、走行機体1が左右方向に過剰に姿勢変更(ハンチング動)して、走行機体1の乗り心地が悪くなると考えられる。そこで、傾斜動作禁止フラグFがリセット状態(F=0)であれば(S46:yes)、車高調節油圧シリンダ38の自動制御による走行機体1の左右傾斜姿勢の変更動作、すなわち左右傾斜制御を禁止する(S47)。傾斜動作禁止フラグFは、これまでの傾斜制御中に走行機体1の傾斜動作を強制的に禁止したか否かを判別するものである。左右傾斜動作を禁止した後は、傾斜動作禁止フラグFをセット状態(F=1)にしてから、ステップS44に戻る。ステップS46において傾斜動作禁止フラグFがセット状態(F=1)である場合も(S46:no)、ステップS44に戻る。
さて、ステップS45に戻り、絶対値|λ(1)−λ(2)|が左右傾斜閾値Λ未満である場合において(S45:no)、傾斜動作禁止フラグFがリセット状態(F=0)であれば(S49:yes)、左又は右の車高調節油圧シリンダ38を作動させ、走行機体1を左又は右傾斜方向に姿勢変更させる(S50)。この場合、走行機体1が右傾斜状態であれば、左又は右車高調節油圧シリンダ38を作動させて、走行機体1の右側を上昇させるか又は走行機体1の左側を下降させ、走行機体1を左傾斜方向に姿勢変更させる。走行機体1が左傾斜状態であれば、左又は右車高調節油圧シリンダ38を作動させて、走行機体1の右側を下降させるか又は走行機体1の左側を上昇させ、走行機体1を右傾斜方向に姿勢変更させる。走行機体1は左右傾斜設定器377にて設定された左右傾斜角度姿勢(対地水平姿勢)に支持される。
ステップS49において傾斜動作禁止フラグFがセット状態(F=1)である場合(S49:no)、過渡時間Tをカウント中でなければ(S51:no)、過渡時間Tのカウントを開始する(S52)。そして、過渡時間Tが予め設定された第1設定時間T1以上経過していれば(S53:yes)、一旦左右傾斜動作を禁止したものの、その後走行機体1の左右傾斜姿勢が比較的長時間緩慢に変化しているか、左右傾斜センサ374値が比較的長時間安定検出していると解されるので、傾斜動作禁止フラグFをリセット状態(F=0)にしてから(S54)、ステップS50に移行して走行機体1の左右傾斜動作を実行する(禁止状態から復帰する)。過渡時間Tが第1設定時間T1未満である場合は(S53:no)、ステップS44に戻る。なお、ステップS53で用いる設定時間To自体も下回る側に含めてよいし、上回る側に含めてもよい。実施形態では上回る側に含めている。
上記の説明並びに図22から明らかなように、実施形態によると、左右の走行部2にて支持された走行機体1と、前記走行機体1の左右方向の傾斜姿勢を変更する一対のローリングアクチュエータ38と、前記走行機体1の前後方向の傾斜姿勢を変更する一対のピッチングアクチュエータ177と、前記走行機体1の左右方向の傾斜角度を検出する左右傾斜センサ374と、前記走行機体1の前後方向の傾斜角度を検出する前後傾斜センサ381とを備えている作業車両であって、前記走行機体1の左右傾斜姿勢を変更させる左右傾斜制御の実行中において、現時点の左右傾斜センサ374値λ(2)とその直前の左右傾斜センサ374値λ(1)との差分の絶対値|λ(1)−λ(2)|が予め設定された左右傾斜閾値Λを上回ると、前記左右傾斜制御を禁止するように構成されているから(ステ
ップS45〜S47参照)、例えば圃場面等の傾斜や走行中の前記走行機体1の振動等によって、前記走行機体1の左右傾斜姿勢が急激に変化したり前記左右傾斜センサ374が過剰検出したりする急変化状態が発生したとしても、当該急変化状態の発生に連動して前記左右傾斜制御を禁止できることになる。このため、前記走行機体1が左右方向に過剰に姿勢変更(ハンチング動)するのを抑制でき、前記走行機体1の乗り心地向上を図れるという効果を奏する。
また、前記差分の絶対値|λ(1)−λ(2)|が前記左右傾斜閾値Λを一旦超えたのち、前記差分の絶対値|λ(1)−λ(2)|が前記左右傾斜閾値Λを下回る状態が予め設定された第1設定時間T1を過ぎると、前記左右傾斜制御の実行状態に復帰するように構成されているから(ステップS50〜S53参照)、前記急変化状態の発生によって前記左右傾斜制御を禁止した後でも、前記急変化状態が解消すれば、オペレータが余計な手間(操作)をかけることなく、自動的且つスムーズに前記左右傾斜制御に復帰でき、オペレータの負担を減らせるという効果を奏する。
更に、前記走行機体1の左右旋回を含む前進時及び後進直進時は、前記左右傾斜制御の実行を許可する一方、前記走行機体1の後進旋回時は、前記左右傾斜制御を禁止するように構成されているから(ステップS41〜S43参照)、例えば後進中に畦等に片側の前記走行部2だけ乗り上げた場合であっても、前記走行機体1の左右傾斜姿勢を対地水平に維持でき、作業車両での作業性向上を図れる。かかる構成を例えば作業車両としてのコンバインに適用した場合はコンバインでの刈取り脱穀作業性の向上を図れることになる。また、前記走行機体1の後進旋回時は前記左右傾斜制御を禁止するから、後進旋回時に前記走行機体1の挙動が不安定になるおそれもない。
ところで、実施形態では、前後傾斜制御(図17の前傾動作及び後傾動作)において前後傾斜センサ381値が急変化した場合、特に前後傾斜制御を禁止させたりしていないが、走行機体1の前後方向のハンチング動防止のために、前後傾斜制御を禁止するように制御することも可能である。図23のフローチャートは、前後傾斜制御(図17の前傾動作及び後傾動作)において前後傾斜センサ381値が急変化したときの具体的な制御態様を示している。バックスイッチ391がオン状態で(S61:yes)、且つ、操向丸ハンドル11がほとんど操作していない中立状態から外れていることを切角センサ392で検出した場合は(S62:yes)、走行機体1が後進しながら左右いずれかに旋回中であるから、前後傾斜用油圧シリンダ177の自動制御による走行機体1の前後傾斜姿勢の変更動作、すなわち前後傾斜制御を禁止する(S63)。バックスイッチ391がオフ状態(S61:no)か、操向丸ハンドル11が中立状態にあることを切角センサ392で検出した場合は(S62:no)、ステップS64へ移行して前後傾斜制御を実行する。
ステップS64では、前後傾斜センサ381値η(x)を適宜短時間毎に読み込む。次いで、先に読み込まれた前後傾斜センサ381値η(1)と、後に読み込まれた前後傾斜センサ381値η(2)との差分の絶対値|η(1)−η(2)|が予め設定された前後傾斜閾値Η以上か否かを判別する(S65)。実施形態の前後傾斜閾値Ηは例えば3.5°に設定されている。なお、前後傾斜閾値Η自体は下回る側に含めてもよいし、上回る側に含めてもよい。実施形態は上回る側に含めている。
絶対値|η(1)−η(2)|が前後傾斜閾値Η以上であれば(S65:yes)、走行機体1の前後傾斜姿勢が急激に変化しているか、走行機体1の振動等によって前後傾斜センサ381が過剰検出していると解され、このまま前後傾斜制御を継続したのでは、走行機体1が前後方向に過剰に姿勢変更(ハンチング動)して、走行機体1の乗り心地が悪くなると考えられる。そこで、傾斜動作禁止フラグFがリセット状態(F=0)であれば(S66:yes)、前後傾斜用油圧シリンダ177の自動制御による走行機体1の前後
傾斜姿勢の変更動作、すなわち前後傾斜制御を禁止する(S67)。前後傾斜動作を禁止した後は、傾斜動作禁止フラグFをセット状態(F=1)にしてステップS64に戻る。ステップS66において傾斜動作禁止フラグFがセット状態(F=1)である場合も(S66:no)、ステップS64に戻る。
さて、ステップS65に戻り、絶対値|η(1)−η(2)|が前後傾斜閾値Η未満である場合において(S65:no)、傾斜動作禁止フラグFがリセット状態(F=0)であれば(S69:yes)、左右の前後傾斜用油圧シリンダ177を作動させ、走行機体1を前又は後傾斜方向に姿勢変更させる(S70)。すなわち、後側に傾斜している走行機体1の後部側を上昇させるか、前側に傾斜している走行機体1の後部側を下降させる。走行機体1は前後傾斜設定器383にて設定された前後傾斜角度姿勢(対地水平姿勢)に支持される。
ステップS69において傾斜動作禁止フラグFがセット状態(F=1)である場合(S69:no)、過渡時間Tをカウント中でなければ(S71:no)、過渡時間Tのカウントを開始する(S72)。そして、過渡時間Tが予め設定された第2設定時間T2以上経過していれば(S73:yes)、一旦前後傾斜動作を禁止したものの、その後走行機体1の前後傾斜姿勢が比較的長時間緩慢に変化しているか、前後傾斜センサ381値が比較的長時間安定検出していると解されるので、傾斜動作禁止フラグFをリセット状態(F=0)にしてから(S74)、ステップS70に移行して走行機体1の前後傾斜動作を実行する(禁止状態から復帰する)。過渡時間Tが第2設定時間T2未満である場合は(S73:no)、ステップS64に戻る。
上記の説明並びに図23から明らかなように、前記走行機体1の前後傾斜姿勢を変更させる前後傾斜制御の実行中において、現時点の前後傾斜センサ381値η(2)とその直前の前後傾斜センサ381値η(1)との差分の絶対値|η(1)−η(2)|が予め設定された前後傾斜閾値Ηを上回ると、前記前後傾斜制御を禁止するように構成されているから(ステップS65〜S67参照)、例えば圃場面等の傾斜や走行中の前記走行機体1の振動等によって、前記走行機体1の前後傾斜姿勢が急激に変化したり前記前後傾斜センサ381が過剰検出したりする急変化状態が発生したとしても、当該急変化状態の発生に連動して前記前後傾斜制御を禁止できることになる。このため、前記走行機体1が前後方向に過剰に姿勢変更(ハンチング動)するのを抑制でき、前記走行機体1の乗り心地向上を図れるという効果を奏する。
また、前記差分の絶対値|η(1)−η(2)|が前記前後傾斜閾値Ηを一旦超えたのち、前記差分の絶対値|η(1)−η(2)|が前記前後傾斜閾値Ηを下回る状態が予め設定された第2設定時間T2を過ぎると、前記前後傾斜制御の実行状態に復帰するように構成されているから(ステップS70〜S73参照)、前記急変化状態の発生によって前記前後傾斜制御を禁止した後でも、前記急変化状態が解消すれば、オペレータが余計な手間(操作)をかけることなく、自動的且つスムーズに前記前後傾斜制御に復帰でき、オペレータの負担を減らせるという効果を奏する。
更に、前記走行機体1の左右旋回を含む前進時及び後進直進時は、前記前後傾斜制御の実行を許可する一方、前記走行機体1の後進旋回時は、前記前後傾斜制御を禁止するように構成されているから(ステップS61〜S63参照)、例えば後進中に畦等に片側の前記走行部2だけ乗り上げた場合であっても、前記走行機体1の前後傾斜姿勢を対地水平に維持でき、作業車両での作業性向上を図れる。かかる構成を例えば作業車両としてのコンバインに適用した場合は、コンバインでの刈取り脱穀作業性の向上を図れることになる。また、前記走行機体1の後進旋回時は前記前後傾斜制御を禁止するから、後進旋回時に前記走行機体1の挙動が不安定になるおそれもない。
1 走行機体
2 走行クローラ(走行部)
14 ディーゼルエンジン
21 トラックフレーム
38 車高調節油圧シリンダ(ローリングアクチュエータ)
56 姿勢操作レバー(傾斜操作具)
57 車高ボタン(車高操作具)
177 前後傾斜用油圧シリンダ(ピッチングアクチュエータ)
374 左右傾斜センサ
381 前後傾斜センサ

Claims (4)

  1. 左右の走行部にて支持された走行機体と、前記走行機体の左右方向の傾斜姿勢を変更する一対のローリングアクチュエータと、前記走行機体の前後方向の傾斜姿勢を変更する一対のピッチングアクチュエータと、前記走行機体の左右方向の傾斜角度を検出する左右傾斜センサと、前記走行機体の前後方向の傾斜角度を検出する前後傾斜センサとを備えている作業車両であって、
    前記走行機体の左右傾斜姿勢を変更させる左右傾斜制御の実行中において、現時点の左右傾斜センサ値とその直前の左右傾斜センサ値との差分の絶対値が予め設定された左右傾斜閾値を上回ると、前記左右傾斜制御を禁止し、
    前記走行機体の前後傾斜姿勢を変更させる前後傾斜制御の実行中において、現時点の前後傾斜センサ値とその直前の前後傾斜センサ値との差分の絶対値が予め設定された前後傾斜閾値を上回ると、前記前後傾斜制御を禁止するように構成されている、
    作業車両。
  2. 前記左右傾斜制御の実行中において、前記差分の絶対値が前記左右傾斜閾値を一旦超えたのち、前記差分の絶対値が前記左右傾斜閾値を下回る状態が予め設定された第1設定時間を過ぎると、前記左右傾斜制御の実行状態に復帰するように構成されている、
    請求項1に記載した作業車両。
  3. 前記前後傾斜制御の実行中において、前記差分の絶対値が前記前後傾斜閾値を一旦超えたのち、前記差分の絶対値が前記前後傾斜閾値を下回る状態が予め設定された第2設定時間を過ぎると、前記前後傾斜制御の実行状態に復帰するように構成されている、
    請求項に記載した作業車両。
  4. 前記走行機体の後進旋回時は、前記左右傾斜制御を禁止するように構成されている、
    請求項1〜のうちいずれかに記載した作業車両。
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