以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
なお、本実施例において説明される各機能ブロックは必ずしも個別のハードウェアである必要はない。すなわち、例えばいくつかの機能ブロックの機能は、1つのハードウェアにより実行されても良い。また、いくつかのハードウェアの連係動作により1つの機能ブロックの機能または、複数の機能ブロックの機能が実行されても良い。
(実施例1)
本実施例においては、撮像装置を例にとって説明する。本実施例の撮像装置100は、マイクユニットにより得られ多音声信号を音声処理部により処理し、記録媒体に記録する。本実施例の撮像装置100において、マイクユニットは、複数のマイク素子からなり、後述の素材からなる風防がかぶせられた状態である。本実施例の撮像装置100においては、風がマイクユニットに当たることにより発生する風雑音は、風防部材によりほぼ低減される。
しかしながら、本体の他の筐体に風が当たることにより発生する風による振動等は、筐体内の基板や空間を経由して前述のマイク素子に伝導してしまうことがある。そこで、本実施例の撮像装置100は、複数のマイク素子を、本体からの振動を低減するために、弾性体(例えば、ゴム、スプリング、板バネ、スポンジ)や緩衝材(例えば、スポンジ、ダンパー)などにより支持した状態とする。このようにすることで、筐体内の基板や空間を経由してマイク素子に伝導する振動を抑えることができる。
しかしながら、弾性体や緩衝材によっても伝導する振動を抑制しきれないケースがあり得る。本実施例の撮像装置100は、このようなケースに対して、振動成分に起因する雑音を低減する。そのため、複数のマイク素子それぞれを支持する弾性体や緩衝材の弾性や強度を異ならせることにより、左右のマイク素子に対して伝達される振動の大きさを異ならせる。そして、それぞれのマイク素子から得られた音声信号の差分に前述の推定に基づくゲインをかけた信号を、各マイク素子から得られた音声信号から減算することで、筐体内の基板や空間を経由してマイク素子に伝導する振動に起因する雑音の影響を低減する。
以下、このような撮像装置について説明する。
図1は、本実施例の撮像装置100の構成を示すブロック図であり、図2は本実施例の撮像装置100の斜視図である。
本実施例の撮像装置100は、図1に示すように、CPU101と、RAM102と、ROM103と、操作部104とを有する。また、撮像装置100は、撮像部110と、画像処理部111と、マイクユニット120と、音声処理部121と、スピーカユニット122とを有する。また、撮像装置100は、符号化復号化処理部130と、表示部140と、表示制御部141と、記録再生部150と、記録媒体151と、通信部160とを有する。
なお、CPUは、Central Processing Unitの略称である。RAMは、Random Access Memoryの略称である。
また、図2に示すように、本実施例の撮像装置100は、装置上部に、マイクユニット120を備えている。このマイクユニットは、図3に示すように、マイク素子310(第1の集音素子)、マイク素子311(第2の集音素子)を有し、これらのマイク素子は、風防部材301により覆われている。風防部材301により、マイク素子310、マイク素子311には、風が直接当たらないため、風雑音の発生が抑制される。さらに、マイクユニット120は、マイク素子310、マイク素子311の空間を分割するためのセパレータ330を有している。本実施例においては、マイク素子310、マイク素子311は、単一の風防部材301により覆われているものとして説明を行う。しかし、撮像装置100の筐体の別々の位置に、マイク素子310、マイク素子311を配置する場合はそれぞれのマイク素子が風防部材に覆われる。すなわち、複数の風防部材を有し、それぞれのマイク素子がそれぞれの風防部材で覆われる。
また、マイク素子310は支持部材320(第1の支持部材)、マイク素子311は、支持部材321(第2の支持部材)により支持されている。本実施例においては、支持部材320、321は、それぞれゴムなどの弾性体、緩衝材であって、支持部材320と、支持部材321とは、異なる硬度のゴムで構成される。ここでは、支持部材320の強度(または弾性、硬度)が、支持部材321の強度(または弾性、硬度)よりも弱いものとする。また、風防301は、外装340と、支持部材320、321により挟み込まれた状態で取り付けられている。
ここで、同様の硬度のゴムでマイク素子を支持した場合、筐体内を経由してマイク素子に伝導する振動の影響による雑音と、周囲環境の音との区別がつかなくなってしまう。そこで、本実施例においては、ゴムの硬度を変えることにより、撮像装置の筐体内の基板等を経由して各マイクに伝導される振動量にあえて差分を生じさせ、発生する雑音の量に差分をもたせている。
なお、この雑音の差分値は、撮像装置の筐体内の基板等を経由してマイクに伝導される振動量の影響による雑音と相関性がある。そのため、本実施例では、この差分値に第1のゲインをかけてマイク素子310により得られた音声信号から減算し、この差分値に第2のゲインをかけてマイク素子311により得られた音声信号から減算することで、振動の影響による雑音を低減している。なお、マイク素子310は、支持部材320(強度が弱い)により支持され、マイク素子311は、支持部材321(強度が強い)により支持されているため、マイク素子311には、マイク素子310よりも、振動の影響による雑音の発生が少ない。従って、前述の第2のゲインは、第1のゲインよりも小さくする。これらの雑音低減処理については後述する。
また、風防部材301は、繊維を含んで構成される原料を湿式抄造法で抄紙することによって得られる、繊維が互いに交絡している繊維材料からなる音響透過材料を含むものとする。なお、繊維材料は、透気度が0s/100mlであり、湿式抄造法で抄紙することで得られた風防部材301は、JISの防水規格においてJIS IPX2以上の防水性を有する。透気度とは、一定面積を一定の空気が一定圧力の下で通過するのにかかる時間を意味し、ここではシート状の音響透過性材料に対して、100mlの空気が通過するのに要する時間である。透気度は、JIS P8117に規定されているガーレー法により測定する。また、ここで透気度が0s/100mlとは、上記の測定方法において、0.5s/100mlより低い値であることを意味する。
また、湿式抄造法で抄紙することによって、繊維が互いに交絡している繊維材料が得られる。ここで繊維材料の製造に用いられる原料は、金属繊維、又はフッ素繊維であることが好適である。ここで、音響透過材料として用いられる繊維材料は、厚さ3mm以下であることが好適であり、厚さ10μm〜300μm、より好ましくは20μm〜250μmであることがより好適である。このような厚みとすることにより、ある程度の剛性を有し最小限のシンプルな骨組みで効果的な風切音低減効果確認することができる。
このような風防部材301は、風に対してその移動方向を変換するフラップとして機能し、音(すなわち気圧変化の移動)に対しては、風防部材301が振動することで透過性が高い。
まず、音響透過材料の繊維として金属繊維を用いた場合、金属繊維材料は、1種又は2種以上の金属繊維を含んで構成されるスラリーを湿式抄造法で抄紙することによって得られる、前記金属繊維が互いに交絡している金属繊維材料である。金属繊維材料の形状については特に限定されないが金属繊維シートであることが好適である。1種又は2種以上の金属繊維とは、ステンレス、アルミニウム、真ちゅう、銅、チタン、ニッケル、金、白金、鉛等の金属材料を素材とする繊維から選択される1種又は2種以上の組み合わせである。
当該金属繊維材料は、金属繊維が互いに交絡した構造を採っている。また、当該金属繊維を構成する金属繊維は、1μm〜50μm、好ましくは8μm〜20μmの繊維径を有し、かつアスペクト比が500〜3000のものが好ましい。さらに好ましくは、アスペクト比が1000〜2000のものである。このような金属繊維であれば、金属繊維同士を交絡させるのに好適であり、また、このような金属繊維同士を交絡させることにより、表面がけば立ちの少ない金属繊維シートとすることが可能となる。
なお、金属繊維材料の製造方法は、1種又は2種以上の金属繊維を含んで構成されるスラリーを湿式抄造法によりシート形成する際に、網上の水分を含んだシートを形成している前記金属繊維を互いに交絡させる繊維交絡処理工程を含んで構成される。ここで、繊維交絡処理工程としては、例えば、抄紙後の金属繊維シート面に高圧ジェット水流を噴射する繊維交絡処理工程を採用するのが好ましい。具体的には、シートの流れ方向に直交する方向に複数のノズルを配列し、この複数のノズルから同時に高圧ジェット水流を噴射することにより、シート全体に亘って金属繊維同士を交絡させることが可能である。即ち、湿式抄紙により平面方向に不規則に交差した金属繊維で構成されるシートに、例えば、高圧ジェット水流をシートのZ軸方向に噴射することにより、高圧ジェット水流が噴射された部分の金属繊維がZ軸方向に配向する。このZ軸方向に配向した金属繊維が平面方向に不規則に配向した金属繊維間に絡みつき、各繊維が互いに三次元的に絡み合った状態、すなわち交絡することで物理的強度を得ることができるものである。また、抄造方法は、例えば、長網抄紙、円網抄紙、傾斜ワイヤ抄紙等、必要に応じて種々の方法を採用することができる。尚、長繊維の金属繊維を含むスラリーを製造する場合、金属繊維の水中での分散性が悪くなることがあるので、増粘作用のあるポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の高分子水溶液を少量添加してもよい。また、金属繊維材料の製造方法は、上述した湿式抄造工程後、得られた金属繊維材料を真空中または非酸化雰囲気中で金属繊維の融点以下の温度で焼結する焼結工程を含んで構成されるのが好ましい。すなわち、上述した湿式抄造工程後、焼結工程が行われれば、繊維交絡処理が施されるため、金属繊維材料に有機バインダ等を添加する必要がないので、有機バインダ等の分解ガスが焼結工程において障害となることもなく、金属特有の光沢面を有する金属繊維材料を製造することが可能となる。また、金属繊維が交絡しているので、焼結後の金属繊維材料の強度を一層向上することが可能となる。また、金属繊維材料を焼結することにより、高い音響透過性を示し、防水性に優れる材料となる。焼結しない場合、残存する増粘作用のある高分子が水を吸収する、つまり防水性が劣る可能性がある。
次に、繊維としてフッ素繊維を使用した場合、フッ素繊維材料は、不規則方向に配向した短繊維状のフッ素繊維により構成され、該繊維の繊維間が熱融着により結合されている材料(紙)である。
フッ素繊維は、熱可塑性フッ素樹脂から製造されるもので、その主成分としてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)、パーフルオロエーテル(PFE)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)があるが、フッ素樹脂から作られたものであればこれらに限定されるものではなく、さらにこれら或いは他の樹脂と混合して使用することもできる。ここで、当該フッ素繊維は、湿式抄紙法により紙状物とするために、繊維長が1〜20mmの単繊維であることが好適であり、また、その繊維径は2〜30μmであることが好適である。
フッ素繊維材料は、フッ素繊維と自己接着機能を有する物質とを湿式抄造法により混抄し乾燥して得たフッ素繊維混抄紙材料を、フッ素繊維の軟化点以上で熱圧着してフッ素繊維の繊維間を熱融着させた後、自己接着機能を有する物質を溶媒により溶解除去し、必要により再乾燥することにより製造することができる。ここで、自己接着機能を有する物質としては、通常製紙用として用いられる木材、綿、麻、わら等の植物繊維からなる天然パルプ、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエステル、芳香族ポリアミド、アクリル系、ポリオレフィン系の熱可塑性合成高分子からなる合成パルプや合成繊維、更に天然高分子や合成高分子からなる製紙用紙力増強剤等を用いることができるが、自己接着性の機能があってフッ素繊維と混在して水に分散できるものであればこれらに限定されるものではない。
次に音響透過材料は、以下の測定方法1に従い測定された周波数特性の差(以下、挿入損失)が各1/1オクターブ帯域で10dB以内であることが好適である。
音響透過材料は、更に上記の測定試験において、20Hz−20kHzでシートに直角方向からの入射音に対し減衰2dB以下(より好適には1dB以下)となるような音響透過性を有することが好適である。
音響透過材料は、当該材料と水滴との接触角が90°以上となる性質を有することが好適であり、100°以上がより好適であり、110°以上であることが更に好適である。上限は特に限定されないが、160°である。
ここで、本実施例の撮像装置100の各ブロックの動作について説明する。
本実施例の撮像装置100において、CPU101は、RAM102をワークメモリとしてROM103に記録された各種プログラムをRAM102に展開し、プログラムに応じて撮像装置100の各ブロックを制御する。操作部104は、例えば、電源ボタン、記録ボタン、ズーム調整ボタン、オートフォーカスボタン、メニュー表示ボタン、モード切替スイッチ、決定ボタン等の各種操作を入力するスイッチ類を有する。また、カーソルキー、ポインティングデバイス、タッチパネル、ダイヤル等のどのようなタイプの操作子であってもよい。操作部104は、ユーザによりこれらのキーやボタン、タッチパネルが操作されるとCPU101に操作信号を送信する。操作部104の各操作部材は、表示部に表示される種々の機能アイコンを選択操作することなどにより、場面ごとに適宜機能が割り当てられ、各種機能ボタンとして作用する。機能ボタンとしては、例えば終了ボタン、戻るボタン、画像送りボタン、ジャンプボタン、絞込みボタン、属性変更ボタン等がある。例えば、メニューボタンが押されると各種の設定可能なメニュー画面が表示部に表示される。利用者は、表示部に表示されたメニュー画面と、上下左右の4方向ボタンやSETボタンとを用いて直感的に各種設定を行うことができる。なお、操作部104は、表示部に対する接触を検知可能なタッチパネルであってもよい。タッチパネルは、抵抗膜方式や静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、画像認識方式、光センサ方式等、様々な方式のタッチパネルのうちいずれの方式のものを用いても良い。
撮像部110は、レンズにより取り込まれた被写体の光学像を、絞りにより光量を制御して、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子により画像信号に変換し、得られたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換して一時的にRAM102に記憶する。RAM102に記憶されたデジタル画像信号は、その後、画像処理部111に送信される。画像処理部111は、デジタル画像信号のホワイトバランスや色、明るさなどをユーザに設定された設定値や画像の特性から自動的に判定した設定値に基づいて調整する画質調整処理を行い、処理をしたデジタル画像信号を再びRAM102に記憶する。また、画質調整処理済みまたは未処理のデジタル画像信号を、後述の表示制御部141に送信し、表示部140に撮像中の画像として表示することもできる。また、再生時においては、画像処理部111は、記録媒体151から記録再生部150によって読出され、符号化復号化処理部130において復号化された静止画ファイルや動画ファイルに含まれる画像データの画質調整等を行う。そして、画質調整済みまたは未処理のデジタル画像信号を、後述の表示制御部141に送信し、表示部140に画像として表示することもできる。
符号化復号化処理部130では、記録時においては、画像処理部111により処理されRAM102に記憶されたデジタル画像信号に対して、画像圧縮処理を行い、圧縮された動画データや静止画データを生成し、RAM102に一時的に記憶する処理を行う。すなわち動画生成、静止画生成を行う。また、再生時においては、記録媒体151から読出された画像ファイルの圧縮された動画データや静止画データを復号してデジタル画像信号を抽出し、RAM102に記憶していく処理を行う。すなわち動画復号、静止画復号を行う。
マイクユニット120は、たとえば、撮像装置100のハウジング内に内蔵された複数の無指向性のマイクとAD変換部を有する。マイクユニット120では、マイクにより周囲の音声を集音(収音)し、取得したアナログ音声信号をAD変換部で、デジタル信号に変換してRAM102に一時的に記憶させる。RAM102に記憶されたデジタル音声信号は、その後、音声処理部121に送信される。音声処理部121では、記録時においては、RAM102に記憶されたデジタル音声信号の、レベルの適正化処理や雑音低減処理等の処理を行い、処理をしたデジタル音声信号を再びRAM102に記憶する。すなわち、音声生成を行う。また、必要に応じて、音声信号を圧縮する処理を行う。音声圧縮方式については、AC3、AAC等の公知の一般的な音声圧縮方式を用いているため説明を省略する。また、再生時においては、記録媒体151から記録再生部150によって読出された音声ファイルや動画ファイルに含まれる圧縮音声データ復号する処理や音声レベルの適正化処理、なども行い、順次RAM102に記憶する処理も行う。スピーカユニット122は、スピーカとDA変換部とを有する。スピーカユニット122では、音声処理部121によりRAM102に記憶されたデジタル音声信号を読出してアナログ音声信号に変換し、アナログ音声信号によりスピーカから音声を出力する。
表示部140は、例えば、液晶パネルとバックライトとからなり、表示制御部141の制御により画像を表示する。表示部140は液晶表示装置に限られず、例えば有機ELディスプレイ、LEDディスプレイなど、ユーザに画像を提供することができればどのようなものであっても良い。表示制御部141では、画像処理部111により処理され、RAM102に記憶されたデジタル画像信号に基づいて、表示部140に画像を表示する。
記録再生部150では、動画記録時においては、RAM102に記憶されている、符号化復号化処理部130により生成された圧縮動画データ及び、音声処理部121で生成された音声データ、撮影日等の各種情報とを関連づけて、動画ファイルとして記録媒体151に書き込む。また静止画記録時においては、RAM102に記憶されている静止画データを撮影日等の各種情報とともに静止画ファイルとして記録媒体151に記録する。動画ファイルを記録媒体151に記録する際は、圧縮動画データと音声データとからなるデータストリームを形成し、順次記録媒体151に記録していき、ファイルヘッダ等を付加してFATやexFAT等のファイルフォーマットに適合した形で動画ファイルを記録媒体に記録する。また、音声記録のみを行うモードにおいては、音声処理部121で生成された音声データと記録日等の各種情報とを関連づけて記録媒体151に記録する。また、再生時においては、記録媒体151に記録された動画ファイルや静止画ファイルを前述のファイルフォーマットに従って読出す。読出された動画ファイルや静止画ファイルは、CPU101によりヘッダが解析され、圧縮された動画データ、静止画データが抽出される。抽出された圧縮動画データ、静止画データは、RAM102に記憶されて、符号化復号化処理部130により復号される。
また、記録媒体151は、撮像装置に内蔵された記録媒体でも、取外し可能な記録媒体でもよい。例えば、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−R、DVD−R、磁気テープ、不揮発性の半導体メモリ、フラッシュメモリ、などのあらゆる方式の記録媒体を含む。取り外し可能な記録媒体を用いる場合には、記録再生部150は、それらの取り外し可能な記録媒体を装着、排出するための機構を含む。
また、通信部160は、撮像装置100とは異なる外部装置との間で、制御信号や動画ファイル、静止画ファイル、各種データ等を送受信するものであり、有線接続、無線接続を問わず接続可能である。なお、通信方式はどのような方式であっても良い。
ここで、前述の画像処理部111、音声処理部121、符号化復号化処理部130、表示し制御部141、記録再生部150は、それぞれ、前述の各機能を実行するプログラムを搭載したマイクロコンピュータであってもよい。また、CPU101がROM103に記録された前述の処理を実行する為のプログラムをRAM102に展開して実行するようにしてもよい。
ここで、本実施例の撮像装置100の動画記録、音声記録の際の音声信号処理について図4を用いて説明する。図4は、マイクユニット120及び音声処理部121の詳細ブロック図を示すブロック図である。
図4において、マイクユニット120は、前述のマイク素子310、311、AD変換部410、411を有する。音声処理部121は、減算器420、440、441、ローパスフィルタ(LPF)421、ゲイン制御部422、アンプ430、431、オートバランスコントローラ(ALC)450を有する。なお、音声処理部121は、これらの他に不図示の周波数特性変換部として、例えば周波数フィルタなどを有する。また、前述したように、不図示のAACやAC3といった、各種音声圧縮フォーマットで音声の圧縮を行うブロックも有する。
続いて、音声信号の処理の流れについて説明する。
マイク素子310により得られたアナログ音声信号は、AD変換部410によりデジタル音声信号に変換され、音声処理部121に入力される。同様に、マイク素子311により得られたアナログ音声信号は、AD変換部411によりデジタル音声信号に変換され、音声処理部121に入力される。
音声処理部121においては、入力されたn個のデジタル音声信号の処理を行う。本実施例では、マイク素子310により得られた第1の音声信号、マイク素子311により得られた第2の音声信号の2つのデジタル音声信号の処理を行う例について説明する。まず、減算器420においては、入力された2つのデジタル音声信号間の差分を抽出する。次に、ローパスフィルタ(LPF)421は、減算器420で得られた差分の低周波成分(例えば100Hzから300Hzより低い周波数成分)を抽出する。ここで、差分値の低周波成分を抽出するのは、振動成分の影響の大きい周波数の信号を抽出するためである。なお、当然のことながら、第1の音声信号の低周波成分を抽出、第2の音声信号の低周波数成分の低域周波数成分を抽出し、その後、減算器420で減算を行っても良い。
次に、ゲイン制御部422は、ローパスフィルタ(LPF)421により得られた差分値の低周波成分に基づいて、アンプ430、431のゲインを設定する。ゲイン制御部422は、ローパスフィルタ(LPF)421により得られた差分値の低周波成分に対応したゲインを予め作成され、ROM102に記憶されたテーブルデータに基づいて設定する。
ここで、図5においては、マイク素子310の音声信号を「L」、マイク素子311の音声信号を「R」として説明を行う。
例えば、テーブルデータとしては、図5(a)に示すような、ローパスフィルタ(LPF)421により得られた差分値(L−R)の低周波成分に対応した、アンプ430、431のゲインがそれぞれ記載されている。このテーブルは予め、音声を発生させない環境において、風の振動を発生させ、各マイクに発生する振動の影響でどの程度の雑音が発生するかを測定し、そのときの差分を演算する。そして、各マイクの出力信号に対して、演算により得られた差分にどの程度のゲインをかけて減算すると風の振動の影響による雑音を低減できるかを算出して、その値を差分値と対応づけて記憶させる。このようにしてテーブルデータを予め生成するのである。
例えば、図5(b)に示すように、マイク素子310のマイクに−6dBFSの振動の影響での雑音が発生し、マイク素子311に−9dBFSの振動の影響での雑音が発生する場合、各マイクにより得られた音声信号の差分値が−16.7dBFSである。同様にマイク素子310のマイクに−12dBFSの振動の影響での雑音が発生し、マイク素子311に−14dBFSの振動の影響での雑音が発生する場合、各マイクにより得られた音声信号の差分値が−25.7dBFSである。同様に、マイク素子310のマイクに−18dBFSの振動の影響での雑音が発生し、マイク素子311に−19dBFSの振動の影響での雑音が発生する場合、各マイクにより得られた音声信号の差分値が−37.3dBFSである。
そうすると、それぞれの場合において、差分値にどの程度のゲインをかけて減算すれば、各チャンネルに発生する振動の影響による雑音を低減することができるかが算出することができる。図5(a)には、このようにして算出された、各マイクにより得られた音声信号から減算する差分値の信号にどの程度のゲインをかけるかを示す値が記載されている。
なお、本実施例では、アンプ430、431のゲインは、ローパスフィルタ(LPF)421により得られた差分値の低周波成分に基づいて設定されるものとした。しかし、例えば、振動の影響による雑音のレベルによらず、各マイクに発生する雑音の比率が変わらない場合(例えば、常に3dBFS程度の比率関係にある場合)には、ゲイン制御部422による制御ではなく、アンプ430、431のゲインを固定値としてもよい。本実施例の場合、マイク素子310は、支持部材320(強度が弱い)により支持され、マイク素子311は、支持部材321(強度が強い)により支持されているため、マイク素子311には、マイク素子310よりも、振動の影響による雑音の発生が少ない。従って、アンプ430に設定されるゲン(第1のゲイン)は、アンプ431に設定されるゲイン(第2のゲイン)よりも大きい値となる。例えば、アンプ430、431のゲインを固定値とする場合には、図5(a)を参照すると、アンプ430のゲインを10.7dB、アンプ431のゲインを7.7dBに固定する。この値は予め実験により求められる値である。
次に、音声処理部121においては、減算部440において、マイク素子310により得られた音声信号から、ローパスフィルタ(LPF)421により得られた差分値の低周波成分を、アンプ430に設定されたゲインで増幅された信号を減算する。同様に、減算部441において、マイク素子311により得られた音声信号から、ローパスフィルタ(LPF)421により得られた差分値の低周波成分を、アンプ431に設定されたゲインで増幅された信号を減算する。
そして、ALC450で、減算部440、減算部441で得られた音声信号のそれぞれに所定のゲインをかけて出力する。ALC450は、減算部440、減算部441で得られた音声信号それぞれの音声レベルを測定し、いずれの音声信号の音声レベルも所定のレベルを超えていない場合には通常ゲインをかけて出力する。また、減算部440、減算部441で得られた音声信号のいずれか一方が所定のレベルを超えている場合には、通常ゲインよりも小さいゲインをかけて出力する。
このように、本実施例の音声処理部121は、音声記録を行う際に、前述の処理を行うのである。すなわち、風防により覆われた複数のマイク素子であって、少なくとも一つのマイク素子と別のマイク素子とが異なる強度(または弾性、硬度)の支持部材で支持された複数のマイク素子により得られた複数の音声信号を処理する。処理の際は、一方のマイク素子により得られた音声信号と、強度(または弾性、硬度)の異なる支持部材により支持された別のマイク素子により得られた音声信号との差分の低周波数成分(例えば100Hzから300Hzより低い周波数成分)を抽出する。そして、抽出された差分の低周波数成分に基づいて、各マイク素子により得られた音声信号から、差分の低周波数成分にそれぞれ所定のゲインをかけた信号を減算する。このような処理により、本実施例の撮像装置100は、例えば、筐体内の基板や空間を経由してマイク素子に伝導する振動の影響による雑音をさらに低減することができる。
なお、本実施例においては、支持部材320、321として、ゴムを用いたが、弾性体や緩衝材であって、強度(または弾性、硬度)が異なれば、どのような材料で構成されていても良い。例えば、ゴム、スプリング、板バネ、スポンジ、ダンパー等であっても良い。
なお、本実施例において、マイクユニット120は、風防部材301により、筐体外と遮蔽された空間内に、マイク素子310、311が収納されているものとして説明した。しかしながら、風防部材により覆われた空間内に各マイク素子を収納していても良い。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
本実施例においては、撮像装置を一例として説明したが、音声信号を処理することができる装置であればどのような装置であっても良い。例えば、コンピュータ、携帯電話、ゲーム機、ICレコーダなどであっても良い。また、コンピュータに上述した処理を実行させる為のプログラムも本発明の思想に含まれる。
(他の実施形態)
上述の実施形態は、システム或は装置のコンピュータ(或いはCPU、MPU等)によりソフトウェア的に実現することも可能である。従って、上述の実施形態をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給されるコンピュータプログラム自体も本発明を実現するものである。つまり、上述の実施形態の機能を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明の一つである。
なお、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能であれば、どのような形態であってもよい。例えば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等で構成することができるが、これらに限るものではない。上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、記憶媒体又は有線/無線通信によりコンピュータに供給される。プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記憶媒体、MO、CD、DVD等の光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリなどがある。
有線/無線通信を用いたコンピュータプログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバを利用する方法がある。この場合、本発明を形成するコンピュータプログラムとなりうるデータファイル(プログラムファイル)をサーバに記憶しておく。プログラムファイルとしては、実行形式のものであっても、ソースコードであっても良い。そして、このサーバにアクセスしたクライアントコンピュータに、プログラムファイルをダウンロードすることによって供給する。この場合、プログラムファイルを複数のセグメントファイルに分割し、セグメントファイルを異なるサーバに分散して配置することも可能である。つまり、上述の実施形態を実現するためのプログラムファイルをクライアントコンピュータに提供するサーバ装置も本発明の一つである。
また、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムを暗号化して格納した記憶媒体を配布し、所定の条件を満たしたユーザに、暗号化を解く鍵情報を供給し、ユーザの有するコンピュータへのインストールを許可してもよい。鍵情報は、例えばインターネットを介してホームページからダウンロードさせることによって供給することができる。また、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、すでにコンピュータ上で稼働するOSの機能を利用するものであってもよい。さらに、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、その一部をコンピュータに装着される拡張ボード等のファームウェアで構成してもよいし、拡張ボード等が備えるCPUで実行するようにしてもよい。