本実施例では、撮像装置について説明する。
図1は、実施例1の撮像装置100の構成を示すブロック図である。
図1において、撮像部101は、撮影レンズにより取り込まれた被写体の光学像を撮像素子により画像信号に変換し、アナログデジタル変換、画像調整処理などを行い、画像データを生成する。撮影レンズは、内蔵型のレンズであっても、着脱式のレンズであっても良い。また、撮像素子は、CCD、CMOS等に代表される光電変換素子であればよい。音声入力部102は、内蔵または音声端子を介して接続されたマイクにより、撮像装置100の周辺の音声を集音し、アナログデジタル変換、音声処理などを行い音声データを生成する。マイクは、指向性、無指向性を問わないが、本実施例では無指向性のマイクを使用するものとする。メモリ103は、撮像部101により得られた画像データや、音声入力部102により得られた音声データを一時的に記憶する。表示制御部104は、撮像部101により得られた画像データに係る映像や、撮像装置100の操作画面、メニュー画面等を表示部105や、不図示の映像端子を介して外部のディスプレイに表示させる。符号化処理部106は、メモリ103に一時的に記憶された画像データや音声データを読み出して所定の符号化を行い、圧縮画像データ、圧縮音声データ等を生成する。また、音声データに関しては圧縮しないようにしてもよい。圧縮画像データは、例えば、MPEG2やH.264/MPEG4−AVCなど、どのような圧縮方式で圧縮されたものであってもよいであってもよい。また、圧縮音声データも、AC3、AAC、ATRAC、ADPCMなどのような圧縮方式で圧縮されたものであってもよい。記録再生部107は、記録媒体108に対して、符号化処理部106で生成された圧縮画像データ、圧縮音声データまたは音声データ、各種データを記録したり、記録媒体108から読出したりする。ここで、記録媒体108は、画像データ、音声データ、等を記録することができれば、磁気ディスク、光学式ディスク、半導体メモリなどのあらゆる方式の記録媒体を含む。
制御部109は、撮像装置100の各ブロックに制御信号を送信することで撮像装置100の各ブロックを制御することができ、各種制御を実行するためのCPUやメモリなどからなる。制御部109で使用するメモリは、各種制御プログラムを格納するROM、演算処理のためのRAM等であり、制御部109外付けのメモリも含む。操作部110は、ボタンやダイヤルなどからなり、ユーザの操作に応じて、指示信号を制御部109に送信する。本実施例の撮像装置では、動画記録開始、終了を指示するための撮影ボタン、光学的、電子的に画像を拡大、縮小する指示するためのズームレバー、各種調整をするための十字キー、決定キーなどからなる。音声出力部111は、記録再生部107により再生された音声データや圧縮音声データ、または制御部109により出力される音声データをスピーカ112や音声端子などに出力する。外部出力部113は、記録再生部107により再生された圧縮映像データや圧縮音声データ、音声データなどを外部機器に出力する。データバス114は、音声データや画像データ等の各種データ、各種制御信号を撮像装置100の各ブロックに供給する。
ここで、本実施例の撮像装置100の通常の動作について説明する。
本実施例の撮像装置100は、ユーザが操作部110を操作して電源を投入する指示が出されたことに応じて、不図示の電源供給部から、撮像装置の各ブロックに電源を供給する。
電源が供給されると、制御部109は、操作部110のモード切り換えスイッチが、例えば、撮影モード、再生モード等のどのモードであるかを操作部110からの指示信号により確認する。動画記録モードでは、撮像部101により得られた画像データと音声入力部102により得られた音声データとを1つのファイルとして保存する。再生モードでは、記録媒体108に記録された圧縮画像データを記録再生部107により再生して表示部105に表示させる。
動画記録モードでは、まず、制御部109は、撮影待機状態に移行させるように制御信号を撮像装置100の各ブロックに送信し、以下のような動作をさせる。
撮像部101は、撮影レンズにより取り込まれた被写体の光学像を撮像素子により画像信号に変換し、アナログデジタル変換、画像調整処理などを行い、画像データを生成する。そして、得られた画像データを表示処理部104に送信し、表示部105に表示させる。ユーザはこの様にして表示された画面を見ながら撮影の準備を行う。
音声入力部102は、複数のマイクにより得られたアナログ音声信号をデジタル変換し、得られた複数のデジタル音声信号を処理して、マルチチャンネルの音声データを生成する。そして、得られた音声データを音声出力部111に送信し、接続されたスピーカ112や不図示のイヤホンから音声として出力させる。ユーザは、この様にして出力された音声を聞きながら記録音量を決定するためのマニュアルボリュームの調整をすることもできる。
次に、ユーザが操作部110の記録ボタンを操作することにより撮影開始の指示信号が制御部109に送信されると、制御部109は、撮像装置100の各ブロックに撮影開始の指示信号を送信し、以下のような動作をさせる。
撮像部101は、撮影レンズにより取り込まれた被写体の光学像を撮像素子により画像信号に変換し、アナログデジタル変換、画像調整処理などを行い、画像データを生成する。そして、得られた画像データを表示処理部104に送信し、表示部105に表示させる。また、得られた画像データをメモリ103送信する。
音声入力部102は、複数のマイクにより得られたアナログ音声信号をデジタル変換し、得られた複数のデジタル音声信号を処理して、マルチチャンネルの音声データを生成する。そして、得られた音声データをメモリ103に送信する。また、マイクが一つの場合には、得られたアナログ音声信号をデジタル変換し音声データを生成し、音声データをメモリ103に送信する。
符号化処理部106は、メモリ103に一時的に記憶された画像データや音声データを読み出して所定の符号化を行い、圧縮画像データ、圧縮音声データ等を生成する。
そして、制御部109は、これらの圧縮画像データ、圧縮音声データを合成し、データストリームを形成し、記録再生部107に出力する。音声データを圧縮しない場合には、制御部109は、メモリ103に格納された音声データと圧縮画像データとを合成し、データストリームを形成して記録再生部107に出力する。
記録再生部107は、UDF、FAT等のファイルシステム管理のもとに、データストリームを一つの動画ファイルとして記録媒体108に書き込んでいく。
以上の動作を撮影中は継続する。
そして、ユーザが操作部110の記録ボタンを操作することにより撮影終了の指示信号が制御部109に送信されると、制御部109は、撮像装置100の各ブロックに撮影終了の指示信号を送信し、以下のような動作をさせる。
撮像部101、音声入力部102は、それぞれ画像データ、音声データの生成を停止する。
符号化処理部106は、メモリに記憶されている残りの画像データと音声データとを読出して所定の符号化を行い、圧縮画像データ、圧縮音声データ等を生成し終えたら動作を停止する。音声データを圧縮しないばあいには、当然、圧縮画像データの生成が終わったら動作を停止する。
そして、制御部109は、これらの最後の圧縮画像データと、圧縮音声データまたは音声データとを合成し、データストリームを形成し、記録再生部107に出力する。
記録再生部107は、UDF、FAT等のファイルシステム管理のもとに、データストリームを一つの動画ファイルとして記録媒体108に書き込んでいく。そして、データストリームの供給が停止したら、動画ファイルを完成させて、記録動作を停止させる。
制御部109は、記録動作が停止すると、撮影待機状態に移行させるように制御信号を撮像装置100の各ブロックに送信して、撮影待機状態に戻る。
次に、再生モードでは、制御部109は、再生状態に移行させるように制御信号を撮像装置100の各ブロックに送信し、以下のような動作をさせる。
記録媒体108に記録された圧縮画像データと圧縮音声データとからなる動画ファイルを記録再生部107が読出して、読出された圧縮画像データ、圧縮音声データは、符号化処理部106に送る。
符号化処理部106は、圧縮画像データ、圧縮音声データを復号してそれぞれ、表示制御部104、音声出力部111に送信する。
表示制御部104は、復号された画像データを表示部105に表示させる。
音声出力部111は、復号された音声データを内蔵または、取付けられた外部スピーカから出力させる。
本実施例の撮像装置100は以上のように、画像、音声の記録再生を行うことができる。
本実施例では、音声入力部102において、音声信号を得る際に、マイクにより得られた音声信号のレベル調整処理等の処理をしている。この処理は、装置が起動してから常に行われてもよいし、撮影モードが選択されてから行われてもよい、または、音声の記録に関連するモードが選択されてから行われても良い。また、音声の記録に関連するモードにおいて、音声の記録が開始したことに応じて上記の処理を行ってもよい。本実施例では、動画像撮影の開始されたタイミングで上記の処理を行うようにしたものとする。
ここで、本実施例の撮像装置100の撮像部101、音声入力部102の詳細な機能、動作について、図2を用いて説明する。
撮像部101は、被写体の光学像を取り込むレンズ201等の光学系、レンズ201により取り込まれた被写体の光学像を電気信号(画像信号)に変換させる撮像素子202を有している。さらに、撮像素子202により得られたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換し、画質調整処理をして画像データを形成し、メモリに送信する画像処理手段203を有している。さらに、レンズ201を移動させるための位置センサ、モータ等の公知の駆動メカニズムを有するレンズ制御部204を有している。本実施例では撮像部101にレンズ201、レンズ制御部204が内蔵されているように記載しているが、これらは着脱可能な交換レンズであっても良い。
例えば、ズーム動作、フォーカス調整などの指示を、ユーザが操作部110を操作して入力すると、制御部109は、レンズ制御部204にレンズを移動させる制御信号(駆動信号)を送信する。レンズ制御部204は、この制御信号に応じて、位置センサでレンズ201の位置を確認し、モータ等の駆動部でレンズ201の移動を行う。また、画像処理部203により得られた画像や被写体との距離を制御部109が確認し、自動的に調整する場合は、レンズを駆動させる制御信号を送信することになる。また、画像のブレを防止する、いわゆる防振機能を備えている場合には、制御部109は、不図示の振動センサにより検出された振動に基づいて、レンズ201を移動させるための制御信号をレンズ制御部204に送信することになる。
このときに、本実施例の撮像装置100は、レンズ201の移動による駆動ノイズやレンズ201を移動させるためのモータの駆動ノイズが発生することになる。本実施例では、制御部109からのレンズを駆動させる制御信号に応じて、レンズ制御部204は、レンズを駆動させる。すなわち、制御部109は、駆動ノイズが発生するタイミングを知る(検出するまたは、決定する)ことができる。
本実施例において、レンズ201は、例えば最大で6倍、最小で1倍の拡大、縮小を光学的に行うことができる。これを本実施例では光学ズームと言う。光学ズームは、制御部109からの指示で、レンズ制御部204が、レンズ201のレンズを移動させることで、被写体の光学像を拡大させるものである。また、画像処理部203は、撮像素子202により得られた画像信号の一部を拡大した画像信号を出力する電子ズーム(拡大)機能を備えている。また、撮像素子202により得る画像の範囲を広くし、画像処理部203で画像サイズを縮小した画像信号を出力する電子ズーム(縮小)機能を備えている。
また、音声入力部102は、音声振動を電気信号に変換し、音声信号を出力するマイク205、マイク205により得られたアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換するAD変換部206を有している。さらに、音声信号の振幅を所定のレベルに抑えるためのオートレベルコントローラ(以後、ALC)207、音声信号に所定の処理を行い音声データを形成しメモリ103へ送信する音声処理部208を有している。また、デジタル音声信号のレベルを検出し、検出結果を出力するレベル検出部209、レベル検出部209の検出結果に基づいて、ALC207におけるゲイン(増幅率)を設定するゲイン設定部210を有している。ここで、音声信号のレベルとは、音声信号を絶対値に変換し、一度振幅がほぼゼロになり次にほぼゼロになるまでの間のピーク値を示している。また、音声入力部102は、ゲイン設定部210でレベル検出部209の検出結果に基づいて、ALC207に設定するゲインを決定するためのパラメータを記憶しているゲインメモリ211を有している。
ゲインメモリ211に記録されたパラメータは、例えば、ALC207に入力される音声信号のレベルに対応する出力レベル(後述の図3のような対応関係)を示すものである。また、このパラメータは、ALC207に入力される音声信号のレベルに対応する入力信号に与えるゲインを示すものであっても良い。ゲイン設定部210は、ゲインメモリ211に記憶されているパラメータに従って、ALC207に入力された音声信号のレベルに対応するゲイン(増幅率、減衰率)をALC207に設定するのである。本実施例のゲインメモリ211は、例えば、被写体の光学像を拡大するためにレンズ201を移動(以降、拡大駆動)するときに対応する「拡大時パラメータ」を有している。また、被写体の光学像を縮小するためにレンズ201を移動(以降、縮小駆動)するときに対応する「縮小時パラメータ」を有している。本実施例ではレンズ201を移動する場合について説明したが、これ以外の駆動部についてそれぞれに異なるパラメータを有し、同様の処理をしてもよい。また、ゲインメモリ211は、本実施例のレンズ201を含む、どの駆動部も駆動していないときに対応する通常のパラメータも有している。
このゲインメモリ211のパラメータ毎の、ALC207に入力される音声信号のレベルに対応する出力レベルまたは、入力される音声信号のレベルに対応する入力信号に与えるゲインを示した図が図3である。図3において(a)は、ALC207に入力される音声信号のレベルと、その入力レベルに対応して出力される音声信号のレベルを示している対応関係図である。また、(b)は、ALC207に入力される音声信号のレベルと、その入力レベルに対応してALC207に設定されるゲインを示している対応関係図である。本実施例ではこれらを、ALC線図と呼ぶ。図3(a)においては、横軸にALC207に入力される音声信号のレベルを示し、縦軸に、入力された音声信号のレベルに対応して出力される音声信号のレベルを示している。図3(b)においては、横軸にALC207に入力される音声信号のレベルを示し、縦軸に、入力された音声信号のレベルに対応してALC207に設定されるゲインを示している。
上述のゲインメモリ211は、このALC線図を形成するためのパラメータを保持しているのである。例えば、ゲインメモリ211の通常時パラメータ(どの駆動部も駆動していないときのパラメータ)に対応するALC線図は、301のような入力レベル−出力レベルの対応関係を示す。また、307のような入力レベル−ゲインの対応関係を示す。また、レンズ201を拡大駆動するとき(拡大時パラメータ)に対応するALC線図は、302のような入力レベル−出力レベルの対応関係を示し、308のような入力レベル−ゲインの対応関係を示す。また、レンズ201縮小駆動するとき(縮小時パラメータ)に対応するALC線図は、303のような入力レベル−出力レベルの対応関係を示し、また、309のような入力レベル−ゲインの対応関係を示す。ゲインメモリ211は、例えば、このALC線図を形成するために、入力レベルに対応する出力レベルを示す複数の点をパラメータとして保持している。また例えば、入力レベルに対応する出力レベルを示すテーブルデータとして保持している。また、例えば、入力レベルに対応するゲインを示す複数の点をパラメータとして保持している。また、例えば、入力レベルに対応するゲインを示すテーブルデータを保持している。
このALC線図によれば、本実施例では、例えば、60dBの入力音声信号に対して、どの駆動部も駆動していないときは60dBの音声信号を出力する。しかし、レンズ201が拡大駆動する時には、56dBの出力音声信号を出力し、縮小駆動する時には52dBの出力音声信号を出力するようにしている。
また、図3において、破線304は、レンズ201が拡大駆動するときにレンズ201の移動やレンズ201を移動するモータ等の駆動部により発生する駆動ノイズに対応する音声信号の入力レベルを示し、例えば、50dBである。すなわち拡大駆動時には、最低でも50dB以上のレベルの音声信号が入力されることになる。ALC207は拡大駆動時には、50dBのレベルの音声信号が入力された場合には、40dBの音声信号を出力するようにしている。また、破線305は、レンズ201が縮小駆動するときにレンズ201の移動や、レンズ201を移動するモータ等の駆動部により発生する駆動ノイズに対応する音声信号の入力レベルを示し、例えば55dBである。すなわち縮小駆動時には、最低でも55dB以上のレベルの音声信号が入力されることになる。ALC207は縮小駆動時には、55dBのレベルの音声信号が入力された場合には、40dBの音声信号を出力するようにしている。
また、破線306は、たとえば、90dB程度のレベルであり、ALC207に入力された音声信号のレベルが、レンズ201等の駆動部の駆動ノイズよりも十分に大きなレベルである。このレベルの音声信号が入力される状況は、周囲の音声のレベルが大きい状況であると予想される。通常、小さいレベルの音声は大きいレベルの音声によって聞こえにくくなるので、50dB程度の駆動ノイズは、それより大きいレベルの周囲の音声によって聞こえにくくなることになる。そこで、本実施例では、駆動ノイズが目立たなくなる程度の周囲の音声が入力されていると予測される、破線306のようなレベル以上の音声信号については、駆動部が駆動していないときと同じ程度に増幅するようにしている。具体的には、通常は、90dBのレベルの音声信号が入力された場合には90dBのレベルの出力音声信号を出力し、拡大駆動時、縮小駆動時も90dBのレベルの出力音声信号を出力するようにしているのである。
ここで、図2、図3を用いて、音声入力部102の音声レベル調整処理について説明する。
まず、本実施例における、レンズ201等を移動するためのモータ等の駆動部が駆動していないとき(通常時)の音声レベル調整処理について説明する。
この場合、マイク205により得られたアナログ音声信号はAD変換部206によりデジタル音声信号に変換され、ALC207とレベル検出部209とに送信される。レベル検出部209は、入力された音声信号のレベルを検出し、ゲイン制御部210に送信する。ゲイン制御部210は、レンズ201等の駆動部が駆動している旨の制御信号を制御部109から受信していない場合には、ゲインメモリ211から通常のパラメータを読出す。通常のパラメータ(どの駆動部が駆動していないときのパラメータ)に対応するALC線図は、301のような入力レベル−出力レベルの対応関係、307のような入力レベル−ゲインの対応関係である。ゲイン制御部210は、レベル検出部209により検出されたALC207に入力される音声信号のレベルと、ゲインメモリ211から読出した通常のパラメータとに基づいて、ALC207におけるゲイン(増幅率、減衰率)を設定する。すなわち、図3の301のような音声信号の入力レベル−出力レベルの対応関係になるように、ALC207におけるゲインを設定する。または、図3の307に示されるような入力レベルに対応するゲインをALC207のゲインとして設定する。
そして、ALC207は、ゲイン制御部210により設定されたゲインで入力された音声信号を増幅または減衰して音声処理部208に送信する。音声処理部208は、音声信号に所定の処理を行い音声データを形成してメモリ103へ送信する。
次に、レンズ201がレンズ制御部204の駆動部により移動するときの音声レベル調整処理について説明する。今回は、ユーザによる操作部110の操作により、被写体の光学像を拡大するためにレンズ201が移動する(拡大駆動)の場合について説明する。
ユーザにより操作部110が拡大操作されると、制御部109は、レンズ制御部204に、被写体の光学像を拡大する方向にレンズが移動するように制御信号を送信する。レンズ制御部204はこの制御信号に応じて、被写体の光学像を拡大する方向にレンズ201が移動するようにモータ等を駆動する。このとき、レンズ201が駆動部の駆動により移動する間、制御部109は、ゲイン設定部210に対して、レンズ201が拡大駆動することを示す制御信号を送信する。
そして、マイク205により得られたアナログ音声信号はAD変換部206によりデジタル音声信号に変換され、ALC207とレベル検出部209とに送信される。レベル検出部209は、入力された音声信号のレベルを検出し、ゲイン制御部210に送信する。ゲイン制御部210は、レンズ201が拡大駆動することを示す制御信号を制御部109から受信しているので、ゲインメモリ211から拡大時パラメータを読出す。先述したように、拡大駆動するとき(拡大時パラメータ)に対応するALC線図は、302のような入力レベル−出力レベルの対応関係、308のような入力レベル−ゲインの対応関係である。ゲイン制御部210は、レベル検出部209により検出されたALC207に入力される音声信号のレベルと、ゲインメモリ211から読出した拡大時パラメータとに基づいて、ALC207におけるゲイン(増幅率、減衰率)を設定する。すなわち、図3の302のような音声信号の入力レベル−出力レベルの対応関係になるように、ALC207におけるゲインを設定する。または、図3の308に示されるような入力レベルに対応するゲインをALC207のゲインとして設定する。
そして、ALC207は、ゲイン制御部210により設定されたゲインで入力された音声信号を増幅または減衰して音声処理部208に送信する。音声処理部208は、音声信号に所定の処理を行い音声データを形成してメモリ103へ送信する。
同様に、ユーザによる操作部110のズームキーの操作により、被写体の光学像を縮小するためにレンズ201が移動する(縮小駆動)の場合には、レンズ201がレンズ制御部204のモータ等の駆動により、移動する間、制御信号を送信する。この制御信号は、制御部109は、ゲイン設定部210にレンズ201が縮小駆動することを示す制御信号をである。
そして、ゲイン制御部210は、レンズ201が縮小駆動することを示す制御信号を制御部109から受信しているので、ゲインメモリ211から縮小時パラメータを読出す。先述したように、縮小駆動するとき(縮小時パラメータ)に対応するALC線図は、303のような入力レベル−出力レベルの対応関係、309のような入力レベル−ゲインの対応関係である。ゲイン制御部210は、レベル検出部209により検出されたALC207に入力される音声信号のレベルと、ゲインメモリ211から読出した縮小時パラメータとに基づいて、ALC207におけるゲイン(増幅率、減衰率)を設定する。すなわち、図3の303のような音声信号の入力レベル−出力レベルの対応関係になるように、ALC207におけるゲインを設定する。または、図3の309に示されるような入力レベルに対応するゲインをALC207のゲインとして設定する。
そして、ALC207は、ゲイン制御部210により設定されたゲインで入力された音声信号を増幅または減衰して音声処理部208に送信する。音声処理部208は、音声信号に所定の処理を行い音声データを形成してメモリ103へ送信する。
また、本実施例において、駆動部が駆動していない状態から駆動している状態に移行した場合は、数ms程度の時間をかけて、徐々にALC207におけるゲインが変更されるようにしている。
このように、本実施例の撮像装置100は、駆動部が駆動している間は、マイクにより得られた音声信号のレベルが低くなるにつれて、駆動部が駆動していないときよりも、小さい増幅率で入力された音声信号を増幅するようにしている。すなわち、図3(b)に示すように、マイクにより得られた音声信号のレベルが低くなるほど、駆動部が駆動していないときと、駆動部が駆動しているときの増幅率の差が開くように、駆動部が駆動しているときの増幅率を低くしている。言い換えれば、駆動部が駆動している間は、マイクにより得られた音声信号のレベルが低くなるにつれて、駆動部が駆動していないときよりも、調整後の音声信号のレベルが小さくなるように調整するようにしている。
この様な構成のよれば、本実施例の撮像装置は、駆動部が駆動するときは、駆動ノイズが目立つと予想されるレベルの音声信号を減衰させ、駆動ノイズが目立たないと予想されるレベルの音声信号を減衰させないようにすることがでる。そして、駆動部の駆動中に発生する駆動ノイズを低減しつつも、ユーザに違和感を与えにくい音声信号を取得することができる。
本実施例では、駆動部が駆動しているとき(駆動時)は、駆動ノイズが目立つレベルの音声信号がマイクにより得られていれば、駆動部の駆動が無いとき(通常時)に比べてレベルの低い出力音声信号が出力される。さらに、駆動ノイズが目立たないレベルの音声信号がマイクにより得られていれば、駆動部が駆動していない場合と同じ程度のレベルの出力音声信号が出力されるようにした。このようにすることで、駆動時は、駆動ノイズが目立つと予想されるレベルの音声信号を減衰させ、駆動ノイズが目立たないと予想されるレベルの音声信号を減衰させないようにした。また、本実施例では、一例として図3(a)に挙げたようなALC線図302、303を示したが、これ以外にも310や311のような特性であっても良い。すなわち、入力される音声信号のレベルに対応する、出力音声信号のレベルが、通常時より駆動時の方が、入力される音声信号のレベルが低くなるにつれて、より小さくなるようにすればよい。同様に、図3(b)に挙げたような、ALC線図308、309を示したが、これ以外にも312、313のような特性であっても良い。
ここで、カメラの撮影時における制御部109の制御について図4のフロー図を用いて説明する。本実施例では、ユーザが記録ボタンを操作し、記録が開始されたときから、ユーザが記録ボタンを再度操作し、記録が終了するまでの動作について説明する。
まず、撮影が開始されると、前述したように制御部109は、ズームレバーを拡大指示方向に操作されているか、縮小指示方向に操作されているか、操作されていないかを確認する(S410)。そして、操作されていない場合は(S401で無)、制御部109は、前述した「通常時パラメータ」をゲインメモリ211から読出すように、ゲイン設定部210を制御する(S411)。そして、制御部109は、撮影終了の指示が入力されているか否かを検出し(S412)、撮影終了の指示が入力されていれば(S412でYes)、各ブロックに撮影終了を指示する。撮影終了の指示が入力されていなければ(S412でNo)、制御部109は、ズームレバーの操作の検出(S410)に戻る。
S410で、ズームレバーが拡大指示方向に操作されているときは(S410で拡大)、制御部109は、光学ズームが拡大可能な倍率の最大値になっているか否かを判定する(S420)。前述したように、本実施例の撮像装置の撮像部101の動画撮影中のレンズ201による光学ズームの拡大率の最大値は、6倍である。S420では、制御部109は、この光学ズーム倍率が、6倍であるか(S420でYes)、またはそれより小さいか(S420でNo)を判定している。6倍である場合には、これ以上レンズを拡大方向に駆動させることができないので、ズームに伴うレンズの駆動雑音が発生しない。しかし、6倍以下である場合には、ズームに伴うレンズの駆動雑音が発生する。
光学ズームが6倍より小さい場合には(S420でNo)、制御部109は、前述した「拡大時パラメータ」をゲインメモリ211から読出すようにゲイン設定部210を制御する(S421)。ゲイン設定部210は、それまで読出していた「通常時パラメータ」から「拡大時パラメータ」まで、数msかけてパラメータが徐々に変させる。また、ゲインメモリ211に「通常時パラメータ」と「拡大時パラメータ」の間のパラメータを複数記憶しておき、順次「通常時パラメータ」から「拡大時パラメータ」に近づくパラメータを読出すようにしてもよい。これらの動作は、制御部109により制御される。
そして、制御部109は、ゲイン設定部210に「拡大時パラメータ」が適用されると、光学ズームによる拡大を行うようにレンズ制御部204を制御する(S423)。このとき、制御部109は、「拡大時パラメータ」が適用されるまでの数msの間、光学ズームによる拡大をさせないようにしている(S422)。この様にすることで、光学ズームによるレンズの駆動雑音が、ズーム開始直後であっても目立たないようにして、低減効果を高めている。
次に、制御部109は、S410で検出したズームレバーの操作が拡大指示方向に操作し続けられているかを判定する(S424)。ズームが継続されていなければ(S424でNo)、再びS410に戻り、制御部109は、ズームレバーを拡大指示方向に操作されているか、縮小指示方向に操作されているか、操作されていないかを確認する。ズームが継続されていれば(S424でYes)、S420と同様に、制御部109は、光学ズームが拡大可能な倍率の最大値になっているか否かを判定する(S425)。S420と同様に、光学ズームが6倍より小さい場合には(S425でNo)、制御部109は、撮影終了の指示が入力されているか否かを検出する(S426)。撮影終了の指示が入力されていれば(S426でYes)、各ブロックに撮影終了を指示する。撮影終了の指示が入力されていなければ(S426でNo)、制御部109は、S423に戻り光学ズームを継続する。
一方、S420やS425で、光学ズームが6倍である場合、光学ズームが拡大可能な倍率の最大値になっている(S420でYesまたは、S425でYes)場合について説明する。この場合、制御部109は、ゲインメモリ211から「通常時パラメータ」を読出すようにゲイン設定部210を制御する(S427)。そして、前述した、電子ズーム機能により、画像を拡大する(S428)。このときは、ズームによる駆動雑音が発生しないため、「通常パラメータ」を使用するのである。さらに、S424と同様に、S410で検出したズームレバーの操作が拡大指示方向に操作し続けられているかを判定する(S429)。ズームが継続されていなければ(S429でNo)、再びS410に戻り、制御部109は、ズームレバーを拡大指示方向に操作されているか、縮小指示方向に操作されているか、操作されていないかを確認する。ズームが継続されていれば(S429でYes)、S426と同様に、制御部109は、撮影終了の指示が入力されているか否かを検出する(S430)。撮影終了の指示が入力されていれば(S430でYes)、各ブロックに撮影終了を指示する。撮影終了の指示が入力されていなければ(S430でNo)、制御部109は、S428に戻り電子ズームを継続する。
次に、S410で、ズームレバーが縮小指示方向に操作されているときは(S410で縮小)、制御部109は、光学ズームが縮小可能な倍率の最小値になっているか否かを判定する(S440)。前述したように、本実施例の撮像装置の撮像部101の動画撮影中のレンズ201による光学ズームの拡大率の最小値は、1倍である。S440では、制御部109は、この光学ズーム倍率が、1倍であるか(S440でYes)、またはそれより大きいか(S420でNo)を判定している。1倍である場合には、これ以上レンズを縮小方向に駆動させることができないので、ズームに伴うレンズの駆動雑音が発生しない。しかし、1倍より大きい場合には、ズームに伴うレンズの駆動雑音が発生する。
光学ズームが1倍より大きい場合には(S440でNo)、制御部109は、前述した「縮小時パラメータ」をゲインメモリ211から読出すようにゲイン設定部210を制御する(S441)。ゲイン設定部210は、それまで読出していた「通常時パラメータ」から「縮小時パラメータ」まで、数msかけてパラメータが徐々に変させる。また、ゲインメモリ211に「通常時パラメータ」と「縮小時パラメータ」の間のパラメータを複数記憶しておき、順次「通常時パラメータ」から「縮小時パラメータ」に近づくパラメータを読出すようにしてもよい。これらの動作は、制御部109により制御される。
そして、制御部109は、ゲイン設定部210に「縮小時パラメータ」が適用されると、光学ズームによる縮小を行うようにレンズ制御部204を制御する(S443)。このとき、制御部109は、「縮小時パラメータ」が適用されるまでの数msの間、光学ズームによる縮小をさせないようにしている(S442)。この様にすることで、光学ズームによるレンズの駆動雑音が、ズーム開始直後であっても目立たないようにして、低減効果を高めている。
次に、制御部109は、S410で検出したズームレバーの操作が縮小指示方向に操作し続けられているかを判定する(S444)。ズームが継続されていなければ(S444でNo)、再びS410に戻り、制御部109は、ズームレバーを拡大指示方向に操作されているか、縮小指示方向に操作されているか、操作されていないかを確認する。ズームが継続されていれば(S444でYes)、S440と同様に、制御部109は、光学ズームが縮小可能な倍率の最小値になっているか否かを判定する(S445)。S440と同様に、光学ズームが1倍より大きい場合には(S425でNo)、制御部109は、撮影終了の指示が入力されているか否かを検出する(S446)。撮影終了の指示が入力されていれば(S446でYes)、各ブロックに撮影終了を指示する。撮影終了の指示が入力されていなければ(S446でNo)、制御部109は、S443に戻り光学ズームを継続する。
一方、S440やS445で、光学ズームが1倍である場合、光学ズームが縮小可能な倍率の最小値になっている(S440でYesまたは、S445でYes)場合について説明する。この場合、制御部109は、ゲインメモリ211から「通常時パラメータ」を読出すようにゲイン設定部210を制御する(S447)。そして、前述した、電子ズーム機能により、画像を縮小する(S448)。このときは、ズームによる駆動雑音が発生しないため、「通常パラメータ」を使用するのである。さらに、S444と同様に、S410で検出したズームレバーの操作が縮小指示方向に操作し続けられているかを判定する(S449)。ズームが継続されていなければ(S449でNo)、再びS410に戻り、制御部109は、ズームレバーを拡大指示方向に操作されているか、縮小指示方向に操作されているか、操作されていないかを確認する。ズームが継続されていれば(S449でYes)、S426と同様に、制御部109は、撮影終了の指示が入力されているか否かを検出する(S430)。撮影終了の指示が入力されていれば(S430でYes)、各ブロックに撮影終了を指示する。撮影終了の指示が入力されていなければ(S430でNo)、制御部109は、S428に戻り電子ズームを継続する。
以上のように、本実施例の撮像装置は、制御部109によって、レンズの拡大駆動、縮小駆動に応じて、ALC207における音声信号に対するゲインを切替えることができます。さらに、レンズが動作してからパラメータを切替えるのではなく、レンズが動く前に、パラメータを切替えるようにしたことで、より確実な雑音低減処理を実行することができる。すなわち、光学ズームが動作する前に、ゲイン設定部210で使用するパラメータを変更することで、ズーム開始の数msの間、雑音が低減されないような状況を回避することができる。
また、本実施例の制御部109は、ズームレバーが拡大指示方向に操作されている間、光学ズームを拡大させ、光学ズームが最大値に到達すると、そのまま電子ズームを開始する。それとともに、制御部109は、ゲインメモリ211から「拡大時パラメータ」を読出していた状態から自動的に「通常時パラメータ」を読出す状態に、ゲイン設定部210を制御する。つまり、拡大操作をユーザが継続的にしていたとしても、レンズの動作に応じて、自動的にゲイン設定部210のパラメータを切替えることができます。この様にすることで、雑音低減を適正なときにのみ実行することができます。
また、本実施例では、「拡大時パラメータ」と「縮小時パラメータ」をそれぞれ異ならせるようにしたことで、拡大駆動時、縮小駆動時それぞれに適応した駆動雑音低減を得ることができる。本実施例では、それぞれのパラメータを図3の302、303に示すようなパラメータとしたが、「拡大時パラメータ」と「縮小時パラメータ」は、逆であっても良い。これは、ズームレンズの特性により異なる。
本実施例では、S420、S425、S440、S445等では、光学ズームの拡大可能倍率の最大値を6倍、縮小可能倍率の最小値を1倍として説明したが、この値以外としてもよい。例えば、S420、S425においては、最大の6倍としなくても、5.9倍、5倍などの所定の倍率とし、S440、S445においては、最小の1倍としなくても、2倍や1.5倍などの所定の倍率としても良い。また、この倍率は、ユーザがそれぞれ指定できるものであっても良い。この様にすることで、ユーザは、指定した倍率よりもズームするときには、ALC207によって、所定のレベルよりも低い音声のレベルを低減しない撮影をすることができる。すなわち、ユーザが設定した倍率以上または倍率以下においては、音質を優先した撮影をしながら、画像の拡大、縮小をすることができる。
本実施例では図2において、マイクが一つの場合について説明したが、複数のマイクを使用するようにしてもよい。この場合、ALC207を1つだけ設けて、ゲインを制御するようにしてもよい。しかし、それぞれのマイクに対応するALC207を個別に設けるようにすると、さらに雑音低減効果を高めることができる。これは、マイクによって、配置された位置などの影響により、それぞれのマイクに入力される駆動雑音のレベルが異なるため、個別に雑音を低減することが望ましいからである。この際、ゲインメモリ211は1つであってもよい。
本実施例では、レンズ201がズーム(拡大、縮小)動作する場合(第1の駆動方法と、第2の駆動方法)の音声レベル制御について説明した。しかし、フォーカス(焦点調整)動作、防振動作(画像の揺れを防止するための)動作をする場合であってもその他の駆動部の動作をする場合であっても、同様である。この場合、制御部109から、フォーカス動作、防振動作が行われている旨の信号を受け取ると、ゲイン制御部210は、ゲインメモリ211から、フォーカス時パラメータや防振時パラメータを読出して使用する。つまり、第1の駆動部と第2の駆動部とで、動作する駆動部が異なる場合異なるパラメータを読出して使用することになる。また、複数の駆動部が同時に動作する場合には、最も駆動ノイズが大きい駆動部に対応するパラメータを使用する。この場合、駆動ノイズの音量は装置毎に異なるので、それぞれの駆動に対応する駆動ノイズの音量を比較して、使用するパラメータを決定しても良いし、予め設定された優先度に基づいて決定されても良い。
また、本実施例では、拡大駆動時の駆動ノイズの方が縮小駆動時の駆動ノイズよりも小さい例について説明したが、逆であっても良い。本実施例では、図3において、入力レベルが306以下においては、「拡大時パラメータ」を使用した場合、「縮小時パラメータ」を使用した場合よりも、出力レベルが大きくなるようにしていた。しかし、駆動ノイズのレベルが逆の場合には、「拡大時パラメータ」を使用した場合、「縮小時パラメータ」を使用した場合よりも、出力レベルが小さくなるようにしてもよい。
また、本実施例においては、1系統の音声が入力される場合について説明したが、それ以上のチャンネル数であっても適用することができる。
また、本実施例においては、撮像装置について説明したが、本実施例の音声入力部102にの音声処理は、外部の音声を記録、または入力するような装置であればどのような装置であっても適用することができる。例えば、ICレコーダ、携帯電話等に適用しても良い。