JP5942944B2 - 冷却塔、冷却塔の気液接触部の設置方法、冷却塔のメンテナンス方法 - Google Patents

冷却塔、冷却塔の気液接触部の設置方法、冷却塔のメンテナンス方法 Download PDF

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本発明は、各種設備で発生する昇温された冷却水を冷却する冷却塔、その冷却塔の気液接触部の設置方法、および冷却塔のメンテナンス方法に関する。
工場やビルに設置されたコンプレッサーや冷凍機で利用される冷媒は、熱交換機を介して冷却水によって冷却されている。冷媒の熱を吸収して昇温した冷却水は、冷却塔によって冷却され、再び熱交換機に供給され、循環する。
冷却塔では、上部から昇温された冷却水を流しながら、冷却塔の頭頂部に設けられたファンを回転させて空気を塔内に取り込み、取り込まれた空気と冷却水とを気液接触させて、冷却水を冷却する。例えば、このような冷却塔は、特許文献1に開示されている。
冷却塔の気液接触部には、波板状や複数の突起が形成された充填材が設けられている。充填材によって、空気や冷却水の流路を複雑化することで、気液接触面積を大きくし、冷却効果を高めることができる。
冷却塔の充填材としては、フィルムフロー式とスプラッシュ式がある。フィルムフロー式充填材は、波板状に形成された複数枚のポリ塩化ビニルを、順次接着して1mほどの充填材ユニットとし、この充填材ユニットを積み重ねたものである(例えば、特許文献2)。スプラッシュ式充填材は、網目状の部材が冷却水の流れ方向に対して所定の間隔を置いて吊り下げられたものである。
フィルムフロー式は、気液接触面が大きいため冷却効果は高いが、ごみ等が詰まりやすく、有機物や無機物が多く含まれるような汚れた冷却水に対しては利用することができない。一方、スプラッシュ式は、網目状に構成されているため、フィルムフロー式に比べて目詰まりが起きにくく、有機物や無機物を多く含むような汚れた冷却水に対しても利用することができる。
特許文献3には、フィルムフロー式充填材を使用した冷却塔の熱交換塔躯体を形成する際に、立体的に枠組形成された熱交換塔用組立ユニットを多数連設することが開示されている。
特開2012−163266号公報 特開2007−120919号公報 特開平5−264196号公報
上述のように、フィルムフロー式充填材においては、薄い波板状の部材を組み合わせて構成されるため、ユニット化することが一般的に行われている。しかしながら、スプラッシュ式充填材では、このような工夫については、何ら実施されていない。スプラッシュ式は、濁質の多い冷却水に対して使用されるため、汚れによる詰まりを防止するために、複数の網目状の充填材同士が、大きな間隔を空けて設置される。このように、スプラッシュ式では、充填材同士が間隔を置いて設置されるため、フィルムフロー式のように、充填材同士を接着して積層し、ユニット化することができない。仮に、フィルムフロー式のように、スプラッシュ式充填材を積層してユニット化する場合には、充填材同士の間隔を空ける施工が困難となる。
ここで、充填材には、外部から取り込まれた空気によって運ばれた塵や、冷却水に含まれる有機物や無機物等が付着する。充填材に付着物が付くと、空気や冷却水の流路が塞がれ、熱交換効率が低下する。熱交換効率の低下を防ぐためには、定期的に冷却塔の外部から高圧水や洗浄剤を噴射して、充填材の付着物の洗浄を行ったり、若しくは、部分的、全面的に充填材の交換を行う必要がある。
上述のように、スプラッシュ式充填材では、有機物や無機物を多く含むような汚れた冷却水に利用されるため、充填材の付着物を洗浄したり、充填材を新品に交換する等のメンテナンス作業を定期的に行う必要がある。冷却水が、常時稼動している設備で使用される場合では、常時稼動している設備のわずかな停止時間を利用して充填材の洗浄や交換を行う必要があり、メンテナンス作業に時間がかかる場合には、熱交換効率が低下したまま放置しなければならない。
本発明は、このような問題点に対してなされたものであり、スプラッシュ式の充填材の洗浄や交換といったメンテナンス作業に要する時間を短縮することができる冷却塔および冷却塔のメンテナンス方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記のような問題点に対してなされたものであり、以下のような特徴を有している。
[1]スプラッシュ式の充填材が内装された複数の充填材ユニットが組み合わされて構成された気液接触部を有し、
前記充填材ユニット毎に、前記気液接触部に着脱可能に構成されている冷却塔。
[2]前記充填材ユニットは、前記気液接触部に設けられたレールに当接してスライド移動することにより着脱される[1]に記載の冷却塔。
[3]前記充填材ユニットは、上下に組み合わされ、下段側の前記充填材ユニットには、上段側の充填材ユニットがスライド移動可能なレールが設けられている[2]に記載の冷却塔。
[4]前記充填材ユニットが装入されるフレームを備え、前記フレームの前記充填材ユニットとの係合部に、前記充填材ユニットがスライド移動可能なレールが設けられている[2]に記載の冷却塔。
[5]スプラッシュ式の充填材が内装された状態の充填材ユニットを、複数組み合わせて気液接触部を設置する冷却塔の気液接触部の設置方法。
[6]前記充填材ユニットを、前記気液接触部を構成する他の充填材ユニットまたは前記充填材ユニットが装入されるフレームに設けられたレールに当接してスライド移動させることにより設置する[5]に記載の冷却塔の気液接触部の設置方法。
[7]スプラッシュ式の充填材が内装された状態の充填材ユニットが複数組み合わされて構成された気液接触部を有する冷却塔において、
前記気液接触部を構成する他の充填材ユニット、または前記充填材ユニットが装入されるフレームに設置されたレールに当接してスライド移動させて、前記充填材ユニットを前記気液接触部から取り外し、
取り外した前記充填材ユニットを洗浄もしくは交換し、
洗浄もしくは交換後の前記充填材ユニットを、前記レールに当接してスライド移動させて前記気液接触部に取り付ける冷却塔のメンテナンス方法。
本発明によれば、スプラッシュ式の充填材の洗浄や交換といったメンテナンス作業の作業効率を向上させることができる。
本発明の実施の形態1に係る冷却塔の断面図である。 図1のA−A矢視図である。 図1のB−B矢視図である。 本発明の実施の形態1に係る冷却塔の充填材ユニットの構成を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る冷却塔の充填材の構成を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る冷却塔の設置動作およびメンテナンス動作を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る冷却塔の設置動作およびメンテナンス動作を示す図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態に係る冷却塔の断面図である。図1における冷却塔の幅方向をX方向、長さ方向(奥行き方向)をY方向、高さ方向をZ方向と定義する。図2は、図1のA−A矢視図であり、図3は、図1のB−B矢視図である。
図1に示すように、冷却塔100には、中央の空間を挟んで、左右に気液接触部1が配置されている。気液接触部1には、後述する網目状のスプラッシュ式充填材が設置されている。図1の気液接触部1において、横線は、水平に設置された充填材を示しており、縦線は、複数の充填材を吊り下げるワイヤーを示している。
冷却塔100の頭頂部には、中央の空間の真上に、ファン3が設けられている。ファン3が回転することで、冷却塔100の外部の空気が、矢印方向に沿って冷却塔100の内部に取り込まれる。取り込まれた空気は、左右の気液接触部1を通って、冷却塔100の頭頂部からファン3を介して冷却塔100の外へ排出される。
左右の気液接触部1の上からは、冷却水5が散水されている。例えば、冷却水5は、工場やビルに設置されたコンプレッサーや冷凍機(図示せず)で利用される冷媒を冷却する冷却水が昇温したものである。散水された冷却水5は、気液接触部1を略鉛直下方に流れる。この際、冷却水5は、気液接触部1において、ファン3によって冷却塔100に取り込まれた空気と接触する。冷却水5と空気の接触により、両者の間で熱交換が行われ、さらに水の気化により冷却水が冷却される。
気液接触部1を通り抜けて冷却された冷却水5は、冷却塔100の下方に設けられた冷却水5の回収部(図示せず)に回収される。回収された冷却水は、再び、冷却水が利用される設備に供給される。
気液接触部1は、充填材(後述する)が内装された複数の充填材ユニット11が組み合わされて構成されている。図1乃至3の例では、充填材ユニット11が高さ方向(Z方向)に三段重ねられている。また、この三段に積み重ねられた充填材ユニット11は、図2および3に示すように、奥行き方向(Y方向)にも設置されている。なお、気液接触部1を構成する充填材ユニット11の数や配置については、設備や作業効率に応じて任意に設定することができる。
冷却塔100の中央の空間には、エリミネータ2が設けられている。エリミネータ2は、ZX面に平面を有する複数の板状の部材が、Y方向に所定の間隔を置いて並べられる。エリミネータ2は、冷却水5が空気の流れに乗って、ファン3を介して冷却塔100の外部に流出するのを防止する。また、エリミネータ2は、外部から取り込まれる空気を冷却塔100内に均一に流すための整流板として機能する。
図4は、本発明の実施の形態に係る冷却塔の充填材ユニットの構成を示す図である。充填材ユニット11には、柱梁からなる枠体12に、充填材(後述する)が内装されている。なお、図4では、充填材を省略して示している。枠体12には、斜材13が設けられている。
実施の形態1では、上下に組み合わされる充填材ユニット11の下段側の充填材ユニット11の枠体12に、レール12Aが設けられている。具体的には、下段側の充填材ユニット11の枠体12の上部の側面に、上段側の充填材ユニット11がスライド移動可能なレール12Aが設けられている。レール12Aは、上段側の充填材ユニット11が下段側の充填材ユニットの上に安定して載置されるように、上段側の充填材ユニット11の枠体12と接触(当接)して、上段側の充填材ユニット11をガイドする。なお、上段側の充填材ユニット11の下部には、下段側のレール12Aと係合する係合部材が設けられていてもよい。
なお、図4に示すように、三段の充填材ユニット11が積み重ねられる場合には、必要な箇所のみレール12Aを設けるように構成してもよく、三段ともにレール12Aを設けてもよい。
1つの充填材ユニット11の大きさは、X方向に2m、Y方向に3m、Z方向に2m程度である。充填材ユニット11は、ユニット毎に気液接触部1に着脱されるため、充填材ユニット11の大きさは、気液接触部1に着脱しやすい大きさに設計すればよい。好ましくは、X方向、Y方向、Z方向の長さは、3m以下である。
図5は、本発明の実施の形態1に係る冷却塔の充填材の構成を示す図である。充填材16は、XY面に網目が形成された面を有するスプラッシュ式充填材である。複数の充填材16は、所定の間隔を置いて上下方向に延びるワイヤー14に吊り下げられている。図5では、一番手前のワイヤー14のみを図示しているが、ワイヤー14は、Y方向にも所定の間隔を置いて設置されている。このようにワイヤー14によって連結された充填材16が、図4に示すそれぞれの充填材ユニット11の枠体12に収容されている。
充填材ユニット11では、複数の充填材16が所定の間隔を置いて吊り下げられたワイヤー14が、枠体12の梁に金具等(図示せず)によって固定されている。このような構成により、充填材ユニット16同士の間に所定の間隔を設けることができる。
図6は、本発明の実施の形態1に係る冷却塔の設置作業およびメンテナンス作業を示す図である。
冷却塔100に気液接触部1を設置する際には、充填材16が内装された状態の充填材ユニット11を積み上げていく。具体的には、下段側の充填材ユニット11を設置した後に、下段側の充填材ユニット11のレール12Aに、上段側の充填材ユニット11の枠体12を沿わせ(当接させ)、下段側の充填材ユニット11上をスライド移動させて上段側の充填材ユニット11を設置する。この作業を繰り返し、三段の充填材ユニット11を積み上げる。
なお、図4および図6は、充填材ユニット11を図のX方向にスライドさせて設置する方法について説明したが、充填材ユニット11を図2および図3のY方向にスライドさせて設置することも可能である。この場合、Y方向にスライド可能なレールを枠体12に設置しておけばよい。また、X方向およびY方向のレールは、枠体12の外側に取り付けられるものに限られず、種々の構成のレールを用いることができる。
冷却塔100のメンテナンス時においても同様に、充填材16が内装された状態の充填材ユニット11をスライド移動により、気液接触部1から取り外し、充填材ユニット11を洗浄した後、洗浄後の充填材ユニット11を充填材16が内装された状態のまま、スライド移動により気液接触部1に取り付ければよい。
若しくは、メンテナンスの作業時間を短縮するために、取り外した充填材ユニット11を、洗浄済み、または新品の他の充填材ユニット11に交換するようにしてもよい。
このように、本実施の形態1に係る冷却塔100では、冷却塔100の気液接触部1を、充填材16が内装された複数の充填材ユニット11を組み合わされて構成することで、充填材ユニット11毎に、気液接触部1に着脱することができ、気液接触部1の設置時およびメンテナンス時の作業時間を短縮し、作業効率を向上させることができる。
特に、メンテナンス時では、外部から取り込まれた塵や、冷却水に含まれる有機物が付着による汚れがひどい場所のみ充填材ユニット11の洗浄や交換を行うなど、必要に応じたメンテナンスを行うことができる。また、スプラッシュ式充填材は、冷却水の汚れがひどい場合に適用されることが一般的であるため、スプラッシュ式充填材を用いた冷却塔100に適用することで、本実施の形態1の効果をさらに発揮することができる。
また、本実施の形態1に係る冷却塔100では、充填材ユニット11がスライド移動可能に構成されているため、充填材ユニット11毎にスライド移動させて気液接触部1から着脱させることで、さらに、充填材ユニット11の設置およびメンテナンスの作業効率を向上させることができる。
ここで、冷却水5が、常時稼動している設備で使用される場合では、常時稼動している設備のわずかな停止時間を利用して充填材16の洗浄や交換を行う必要がある。これに対し、本実施の形態1を適用すれば、短時間での充填材ユニット11の着脱が可能となり、このような状況においても、充填材16の洗浄や交換を行うことができる。
また、本実施の形態1では、上下に組み合わされる下段側の充填材ユニット11に、レール12Aが設けられている。図1に示すように、冷却水5は、気液接触部1の上方から散水されるため、上方の充填材ユニット11は、下方の充填材ユニット11よりも冷却水5による汚れが発生し易く、洗浄や交換を行う頻度が高い。本実施の形態1では、洗浄や交換を行う頻度が高い上方の充填材ユニット11から取り外すことができるため、メンテナンス作業を簡単に行うことができる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る冷却塔について説明する。図7は、本発明の実施の形態2に係る冷却塔の充填材ユニットを示す図である。実施の形態2では、充填材ユニット21とは別に、フレーム22が設けられている。フレーム22は、柱22Aと梁22Bにより構成されている。図7の例では、フレーム22は、三段に構成され、各段の梁22Bには、レール22Cが設置されている。このように構成されたフレーム22の各段には、充填材16(図示せず)が内装された充填材ユニット21が装着される。充填材ユニット21は、実施の形態1と同様に、枠体に充填材16が内装されている。なお、実施の形態1の充填材ユニット11に設けられていたレール12Aは、充填材ユニット21に設けられていない。
このように、フレーム22にレール22Cを設け、フレーム22に複数の充填材ユニット21を装入するように構成してもよい。なお、図7の例では、充填材ユニット21の下部のみフレーム22と係合するように構成されているが、フレーム22にさらにレール22Cを設けて、充填材ユニット21の上下においてフレーム22と係合するように構成してもよい。
なお、本発明は、上記の説明に限られず、任意の設計変更を実施することが可能である。たとえば、上記の説明では、図1乃至3に示すように、空気と冷却水が交差するクロスフロー型の冷却塔を例として説明したが、本発明は、これに限られるものではなく、空気と冷却水が対向するカウンタフロー型の冷却塔についても実施することができる。
実施の形態1の説明では、上段側の充填材ユニット11の枠体12が、下段側の充填材ユニット11のレール12Aに当接してスライド移動するとして説明したが、上段側の充填材ユニット11に、下段側の充填材ユニット11のレール12Aに当接して走行する車輪などの他の部品を設けてもよい。また、実施の形態2も同様に、充填材ユニット21に、フレーム22に設けられたレール22Cに当接する車輪など設けてもよい。
1 気液接触部
2 エリミネータ
3 ファン
5 冷却水
11、21 充填材ユニット
12 枠体
12A レール
13 斜材
22 フレーム
22A 柱
22B 梁
22C レール
100 冷却塔

Claims (3)

  1. スプラッシュ式の充填材が内装された複数の充填材ユニットが組み合わされて構成された気液接触部を有し、
    前記充填材ユニットは、前記気液接触部に設けられたレールに当接してスライド移動することにより着脱可能に構成され、
    前記充填材ユニットは、上下に組み合わされ、下段側の前記充填材ユニットには、上段側の充填材ユニットがスライド移動可能なレールが設けられていることを特徴とする冷却塔。
  2. 請求項1に記載の冷却塔において、前記充填材ユニットを、複数組み合わせて気液接触部を設置する冷却塔の気液接触部の設置方法であって、
    前記冷却塔に気液接触部を設置する際には、下段側の前記充填材ユニットを設置した後に、下段側の前記充填材ユニットのレールに、上段側の前記充填材ユニットをスライド移動させて上段側の充填材ユニットを設置することを特徴とする冷却塔の気液接触部の設置方法。
  3. 請求項1に記載の冷却塔において、前記冷却塔をメンテナンスする冷却塔のメンテナンス方法であって、
    前記充填材ユニットをスライド移動させて、前記気液接触部から取り外し、
    取り外した前記充填材ユニットを洗浄もしくは交換し、
    洗浄もしくは交換後の前記充填材ユニットを、前記レールに当接してスライド移動させて前記気液接触部に取り付けることを特徴とする冷却塔のメンテナンス方法。
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