JP5942584B2 - 多色化粧品およびその製造方法 - Google Patents
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Description
このような化粧品では、1つの化粧料を1つの台紙や容器などの台材に貼付して提供されることもあれば、複数の化粧料を1つの台材に貼付して提供されることもある。
複数の化粧料を1つの台材に貼付する方法として、例えば粘着層を介して化粧料保持層を設けた化粧料保持体を、1つの台材に複数貼付する方法がある。
粘着層を介して剥離層と化粧料保持層を貼り合わせる工程、
化粧料保持層と粘着層の化粧料積層部分を規定する領域に切り込みを形成する工程、
化粧料積層部分を規定する領域に、化粧料層が形成されない余白部分ができ、切り込みの一部が覆われるように化粧料層を形成する工程、
切り込みより外側の不要部分を取り除く工程、
剥離層から積層体を剥がし、台材上に化粧料保持層および化粧料層の断面を隣接して2つ以上(複数)貼り付ける工程、
を含むことを特徴とする。
切り込みより外側の不要部分を取り除く工程を、化粧料層を形成した後、化粧料層を固化する前に行うことを特徴とする。
図1は、本発明の実施形態に係る多色化粧品の一例を示す概略図である。多色化粧品1は、積層体の化粧料層が、接するように台材上に貼付されている。化粧料層はそれぞれ異なる色の化粧料で形成されている。なお、多色化粧品1のデザインや化粧料の色の数は、これに限られるものではなく、積層体の化粧料保持層が接していることは、化粧料層の割れなどの防止の点から好ましい。また、化粧料層の接する部分(面)の形状は限定されるものではない。
図2は、粘着層と化粧料保持層、化粧料層の積層体の上面図である。
図3は、図2のII‐II線に沿う断面図である。図3に示すように、化粧料保持層と化粧料層は同一面上に断面(同一断面部)を有している。
図4は、図1のI‐I線に沿う断面図である。図4に示すように、多色化粧料1は積層体が有する同一断面部が隣接するように、台材上に貼付されている。
化粧料保持層は、粘着層や化粧料層の形成が可能であれば特に限られないが、例えば樹脂フィルム、紙、不織布、ラミネート紙等のシート状物が挙げられる。このような化粧料保持層に対し、エンボス加工やサンドマット加工等を施して化粧料保持層表面に凹凸を形成したり、化粧料をスラリー化するために用いられる溶媒や、加熱することによって接着性を発現する接着剤を化粧料保持層に塗布したりすることにより、化粧料保持層上に保持される化粧料の欠落や脱落を防止することができる。また、化粧料保持層に印刷や着色を施すことにより、化粧料の見栄えをよくすることができる。
本発明の化粧料層は、例えば、ファンデーション、フェイスパウダー、頬紅、アイカラー等の粉体を主体とした粉体化粧料、またはコンシーラ、口紅、リップクリーム等の油剤を主体とした油性化粧料からなる層である。
本発明の粘着層に使用される粘着剤は、積層体が剥離層から剥離可能で、積層体が台材上に貼付可能であれば特に限られないが、例えばアクリル系、EVA系等の粘着剤が挙げられる。
本発明に使用される台材は、積層体を貼付可能な形状であれば特に限られないが、例えば厚紙やラミネート紙、厚紙を積層・成型して所望する形状に加工した容器、樹脂フィルムを成型して所望する形状に加工した容器等が挙げられる。
(多色化粧品の製造方法)
上述したような本発明の実施形態に係る多色化粧品の製造方法について、図5〜図9を参照しながら以下に説明する。
図6は剥離層上に粘着層と化粧料保持層を積層し、化粧料保持層と粘着層の化粧料積層部分を規定する領域に切り込みを形成した概略図、
図7は化粧料積層部分を規定する領域の一部を覆うように化粧料層を形成した概略図、
図8は切り込みより外側の不要部分を取り除いた概略図である。
まず、図5に示す製造工程のフローチャートに基づいて、以下に説明する。
ステップS2では、図6に示すように、化粧料保持層と粘着層の化粧料積層部分を規定する領域に切り込みを形成する。切り込みの形成方法は特に限定されないが、所望する切り込み形状に成型した打抜き刃を取り付けた打抜き加工機を使用する等が挙げられる。
ステップS3では、図7に示すように、ステップS2で形成された切り込みの一部を覆うように化粧料を塗布する。化粧料を塗布する方法としては特に限定されないが、例えばスクリーン印刷、滴下充填、スプレー塗布等が挙げられる。
スクリーン印刷では、化粧料層を形成するための化粧料を、練ってペースト状にする、加熱溶解してペースト状若しくは液体状にする、または揮発性溶媒に分散させてスラリー状にするといういずれかの方法で、スクリーン印刷可能な状態とし、スクリーン版を用いて化粧料保持層に化粧料を印刷する。化粧料をスラリー状にするための揮発性溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、低沸点炭化水素、低沸点シリコーン油、環状シリコーン、水、またはこれらの混合物が挙げられる。化粧料と揮発性溶媒との混合比率は、化粧料の構成やスクリーン印刷の印刷条件に応じて適宜調整される。
滴下充填では、化粧料を揮発性溶媒に分散させてスラリー状とし、定量吐出装置やスポイト等を用いて所望する量のスラリーを基材に滴下した後、上述した乾燥装置を用いて揮発性溶媒を除去する。
ステップS4では、図8に示すように、上述した例のような方法を用いて化粧料保持層上に形成された化粧料層の不要部分を取り除き、粘着層と化粧料保持層、化粧料層が積層された積層体とする。この積層体は化粧料保持層と化粧料層が同一面上に断面を有する。なお、ステップS4は、後述する化粧料固化工程の前に行うことが望ましい。
ステップS4で不要部分を取り除いた後、化粧料層は固化される。
化粧料を練ってペースト状として化粧料保持層に塗布して化粧料層を形成する場合、化粧料を化粧料に含まれるワックス等の熱溶融成分が溶融する温度以上に加熱処理した後、冷却することで化粧料は固化される。化粧料の加熱方法としては、熱風や赤外線ヒーター等の加熱装置が挙げられる。また、化粧料の冷却方法の例としては、常温で放置し自然冷却する、低温に設定された恒温槽等に入れて冷却する、等が挙げられる。
ステップS2〜S4の工程を、切り込みの形状や化粧料の種類や色を変えて繰返し、所望する積層体を作製する。
このような工程を経て、本発明の多色化粧品は完成する。
以下に本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は以下に述べる実施例に限定されるものではない。
坪量160g/m2の厚紙の一方の面に厚さ50μmのPETフィルムをラミネートし、もう一方の面に両面タック紙を貼り合せた後、PETフィルムラミネート面側から両面タック紙までを、横36mm、縦20mmの打抜き刃でハーフカットし、図10(a)に示したような横36mm、縦20mmの化粧料塗布領域A1を有する基材Aを得た。
化粧料B(ベージュ色のファンデーション)55質量部をイソプロピルアルコール45部に加えて撹拌し、化粧料スラリーB1を調製した。
横30mm、縦25mmの開口部を有する60メッシュ、乳剤厚15μmのスクリーン版を用いて、化粧料スラリーB1を、図10(b)に示したように基材Aの化粧料塗布領域A1の左右両端に3mmずつ余白ができるように印刷し、化粧料スラリーB1のイソプロピルアルコールが乾燥する前に基材Aの不要部分を取り除いた後、80℃に設定した乾燥機で2分間乾燥して化粧料を固化し、図10(c)に示した積層体B2を得た。
化粧料C(赤みが強いファンデーション)、化粧料D(黄みが強いファンデーション)についても、積層体B2と同様の手順で基材Aに印刷、不要部分の除去、乾燥固化を行い、積層体C2、D2を得た。
中央部分に横38mm、縦64mm、深さ2mmの凹部を有する樹脂成形容器(台材E1)の凹部に、図10(d)に示したように積層体D2、B2、C2の順に同一断面部が互いに隣接するように貼り付け、さらに樹脂容器に化粧料を保護するためのラベルを貼り付けて、3色のファンデーションが隣接した多色化粧品Fを得た。
厚さ125μmのPETフィルムの片面に両面タック紙を貼り合せた後、PETフィルム面側から両面タック紙までを、半径25mm、中心角90℃の扇型の打抜き刃でハーフカットし、図11(a)に示したような半径25mm、中心角90°の扇型の化粧料塗布領域G1を有する基材Gを得た。
化粧料H(青系のアイカラー)50質量部をイソプロピルアルコール50質量部に加えて撹拌し、化粧料スラリーH1を調製した。
半径23mm、中心角90°の扇形の開口部を有する40メッシュ、乳剤厚15μmのスクリーン版を用いて、化粧料スラリーH1を図11(b)に示したように基材Gの化粧料塗布領域G1の円周側に2mm幅の余白ができるように印刷し、化粧料スラリーH1のイソプロピルアルコールが乾燥する前に基材Gの不要部分を取り除いた後、80℃に設定した乾燥機で2分間乾燥して化粧料を固化し、図11(c)に示した積層体H2を得た。
化粧料I(ベージュ系のアイカラー)、化粧料J(茶系のアイカラー)、化粧料K(黒系のアイカラー)についても、積層体H2と同様の手順で基材Gに印刷、不要部分の除去、乾燥固化を行い、積層体I2、J2、K2を得た。
60mm角に裁断した坪量200g/m2の厚紙に、中央に直径54mmの穴を開けた60mm角、坪量200g/m2の厚紙3枚を貼り合せ、中央に直径54mmの凹部を有する台材Lを作製し、図11(d)に示したように積層体H2〜K2の同一断面部が互いに隣接するように台材Lの凹部に貼り付け、さらに台材Lに化粧料を保護するためのラベルを貼り付けて、4色のアイカラーが隣接した多色化粧品Mを得た。
坪量160g/m2の厚紙の一方の面に厚さ50μmのPETフィルムをラミネートし、もう一方の面に両面タック紙を貼り合せた後、PETフィルムラミネート面側から両面タック紙までを、直径30mmの円と直径15mmの円を組み合わせた形状の打抜き刃でハーフカットし、図12(a)に示したような横30mm、縦22.5mmの化粧料塗布領域M1を有する基材Nを得た。
化粧料O(ピンク色の口紅)を練ってペースト状にし、化粧料スラリーO1を得た。
直径32mmの半円と、横32mm、縦10mmの長方形を組み合わせた形状の開口部を有する40メッシュ、乳剤厚15μmのスクリーン版を用いて、化粧料スラリーO1を、図12(b)に示したように基材Nの化粧料塗布領域N1の上端に2mmの余白ができるように印刷した後、基材Nの不要部分を取り除いた後、90℃に設定した乾燥機で1分間加熱処理して化粧料を溶融し、常温で放置して冷却固化して、図12(c)に示した積層体O2を得た。
化粧料P(赤色の口紅)ついても、積層体O2と同様の手順で基材Nに印刷、不要部分の除去、加熱処理、冷却固化して積層体P2を得た。
中央部分に直径32mm、深さ2mmの凹部を有する樹脂成形容器(台材Q1)の凹部に、図12(d)に示したように積層体O2、P2を同一断面部が互いに隣接するように貼り付け、さらに樹脂容器に化粧料を保護するためのラベルを貼り付けて、2色の口紅が隣接した多色化粧品Rを得た。
Claims (2)
- 粘着層を介して剥離層と化粧料保持層を貼り合わせる工程、
化粧料保持層と粘着層の化粧料積層部分を規定する領域に切り込みを形成する工程、
化粧料積層部分を規定する領域に、化粧料層が形成されない余白部分ができ、切り込みの
一部が覆われるように化粧料層を形成する工程、
切り込みより外側の不要部分を取り除く工程、
剥離層から、粘着層、化粧料保持層、及び化粧料層からなる積層体を剥がし、台材上に化粧料層が接するようにして2つ以上貼り付ける工程、
を含むことを特徴とする多色化粧品の製造方法。 - 切り込みより外側の不要部分を取り除く工程を、化粧料層を形成した後、化粧料層を固化
する前に行うことを特徴とする、
請求項1の多色化粧品の製造方法。
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