JP5942584B2 - 多色化粧品およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多色化粧品の製造方法及び多色化粧品に係り、詳しくはファンデーション、チーク、アイシャドウ、コンシーラ、口紅等の化粧料を薄膜状に多色配置する技術に関する。
従来から、ファンデーションやアイシャドウ等の化粧料が試供品や携帯用化粧品として提供されている。このような化粧品は薄型化とすることが求められており、例えばプラスチックフィルムや厚紙といったシート状の保持体に少量の化粧料を充填、固形化して薄膜の化粧料を形成して提供される。
このような化粧品では、1つの化粧料を1つの台紙や容器などの台材に貼付して提供されることもあれば、複数の化粧料を1つの台材に貼付して提供されることもある。
複数の化粧料を1つの台材に貼付する方法として、例えば粘着層を介して化粧料保持層を設けた化粧料保持体を、1つの台材に複数貼付する方法がある。
特開2006−198217
しかしながら、上記特許文献1では、化粧料層の外周部分に化粧料保持層の余白ができるため、1つの台紙に複数の化粧料保持体を貼付した際に化粧料層と化粧料層の間に隙間ができてしい見栄えがよくないという問題がある。
本発明は、上述した課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、複数色の化粧料を見栄えよく隣接して配列した多色化粧品およびその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するべく、請求項1の多色化粧品は、台材上に、化粧料保持層上に化粧料層が設けられた積層体が2つ以上(複数)隣接して貼付された多色化粧品において、該積層体の化粧料層が接していることを特徴とする。
請求項2の多色化粧品は、前記積層体に化粧料層が形成されていない余白部分を有することを特徴とする。
請求項3の多色化粧品の製造方法は、
粘着層を介して剥離層と化粧料保持層を貼り合わせる工程、
化粧料保持層と粘着層の化粧料積層部分を規定する領域に切り込みを形成する工程、
化粧料積層部分を規定する領域に、化粧料層が形成されない余白部分ができ、切り込みの一部が覆われるように化粧料層を形成する工程、
切り込みより外側の不要部分を取り除く工程、
剥離層から積層体を剥がし、台材上に化粧料保持層および化粧料層の断面を隣接して2つ以上(複数)貼り付ける工程、
を含むことを特徴とする。
請求項4の多色化粧品の製造方法は、
切り込みより外側の不要部分を取り除く工程を、化粧料層を形成した後、化粧料層を固化する前に行うことを特徴とする。
本発明によれば、複数色の化粧料を見栄えよく隣接して配列した多色化粧品およびその製造方法を提供することにある。
請求項1の多色化粧品は、2つ以上の積層体の化粧料層が接するように台材上に貼付されているため、見栄えのよい多色化粧料を得ることができる。なお、台材上に貼付される積層体は、それぞれ別工程で形成された後、台材上に貼付されているため、化粧料が色混じりすることなく、また化粧料間の境界も明確になる。
請求項2の多色化粧品は、積層体に化粧料層が形成されていない余白部分を有しているため、多色化粧品の製造時に化粧料層に触れずに積層体を取り扱うことができる。特に、台材に積層体の貼付にはピンセット等を用いて行われるため、余白部分の幅が2mm以上であることが好ましい。
請求項3の多色化粧品の製造方法によれば、複数の化粧料が隣接して配置された、色混じりがない見栄えのよい多色化粧品を得ることができる。
請求項4の多色化粧品の製造方法によれば、化粧料層を固化する前に不要部分を取り除くので、化粧料層の不要部分を取り除いた後の断面に割れや欠けなどが生じることを防ぐことができ、見栄えのよい多色化粧品を得ることができる。
本発明の実施形態に係る多色化粧品の一例を示す概略図である。 化粧料保持層と化粧料層の積層体の上面図である。 図2のII−II線に沿う断面図である。 図1のI−I線に沿う断面図である。 本発明の実施形態に係る多色化粧品の製造方法示すフローチャートである。 化粧料保持層と粘着層の化粧料積層部分を規定する領域に切り込みを形成する工程の概略図である。 化粧料積層部分を規定する領域の一部を覆うように化粧料を塗布した状態の概略図である。 本発明に係る積層体の概略図である。 積層体の同一断面部分が隣接するように台材に貼り付けられた状態の概略図である。 (a)は実施例1に係る基材Aの上面図、(b)は基材Aに化粧料が塗布された状態の上面図、(c)は実施例1に係る積層体B2の上面図、(d)、(e)は実施例1に係る多色化粧品の上面図である。 (a)は実施例2に係る基材Gの上面図、(b)は基材Gに化粧料が塗布された状態の上面図、(c)は実施例2に係る積層体H2の上面図、(d)、(e)は実施例2に係る多色化粧品の上面図である。 (a)は実施例3に係る基材Nの上面図、(b)は基材Nに化粧料が塗布された状態の上面図、(c)は実施例2に係る積層体O2の上面図、(d)、(e)は実施例3に係る多色化粧品の上面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る多色化粧品の一例を示す概略図である。多色化粧品1は、積層体の化粧料層が、接するように台材上に貼付されている。化粧料層はそれぞれ異なる色の化粧料で形成されている。なお、多色化粧品1のデザインや化粧料の色の数は、これに限られるものではなく、積層体の化粧料保持層が接していることは、化粧料層の割れなどの防止の点から好ましい。また、化粧料層の接する部分(面)の形状は限定されるものではない。
図2は、粘着層と化粧料保持層、化粧料層の積層体の上面図である。
図3は、図2のII‐II線に沿う断面図である。図3に示すように、化粧料保持層と化粧料層は同一面上に断面(同一断面部)を有している。
図4は、図1のI‐I線に沿う断面図である。図4に示すように、多色化粧料1は積層体が有する同一断面部が隣接するように、台材上に貼付されている。
(化粧料保持層)
化粧料保持層は、粘着層や化粧料層の形成が可能であれば特に限られないが、例えば樹脂フィルム、紙、不織布、ラミネート紙等のシート状物が挙げられる。このような化粧料保持層に対し、エンボス加工やサンドマット加工等を施して化粧料保持層表面に凹凸を形成したり、化粧料をスラリー化するために用いられる溶媒や、加熱することによって接着性を発現する接着剤を化粧料保持層に塗布したりすることにより、化粧料保持層上に保持される化粧料の欠落や脱落を防止することができる。また、化粧料保持層に印刷や着色を施すことにより、化粧料の見栄えをよくすることができる。
(化粧料層)
本発明の化粧料層は、例えば、ファンデーション、フェイスパウダー、頬紅、アイカラー等の粉体を主体とした粉体化粧料、またはコンシーラ、口紅、リップクリーム等の油剤を主体とした油性化粧料からなる層である。
本発明の化粧料に用いられる粉体は、通常、化粧料に用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状や煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、または多孔質、無孔質等の粒子構造等によって特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等を使用することができる。具体的な粉体としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、カーボンブラック、黒色酸化チタン、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、二酸化珪素等の白色体質粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆合成金雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、二酸化チタン被覆ガラス末、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末等の樹脂積層末のラメ剤、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、澱粉、シルク粉体、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウムまたはアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体、またはさらにアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等を例示することができる。なお、これらの粉体は、フッ化系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の中の1種または2種以上を用いて表面処理を施していてもよい。
この中でも、発色性のある着色顔料を配合することで、色彩による美しさを演出することができるため好ましい。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆合成金雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、二酸化チタン被覆ガラス末等の光輝性粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末等の樹脂積層末のラメ剤、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム、またはアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体、またはさらにアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等を例示することができる。なお、これらの粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の中の1種または2種以上を用いて表面処理を施していてもよい。
化粧料中の粉体の含有量は、特に限定されず、所望する化粧料や化粧料を化粧料保持層に保持させる場合の状態にもよるが、例えば、油剤を主体とした化粧料を練ってペースト状にして保持させる場合または加熱溶解してペースト状若しくは液体状にして保持させる場合は、化粧料中の0.1〜50%が好ましく、さらに1〜30%が好ましい。また、粉体を主体とした化粧料を揮発性の溶媒と混合して保持させる場合は、化粧料中の50%〜100%が好ましく、さらに70〜90%が好ましい。油剤を主体とした化粧料を揮発性の溶媒と混合して保持させる場合は、化粧料中の0.1〜50%が好ましく、さらに1〜30%が好ましい。この範囲であると、化粧料の取れや肌への付着性の面で特に優れた効果を得ることができる。
また、化粧料において粉体が主体となる場合は、タルク、マイカ、セリサイト等を含むことが好ましい。これらの粉体を配合することで、取れや強度の面で特に優れた効果を得ることができる。
本発明に用いられる化粧料は、さらに、油剤、界面活性剤、水性成分、保湿剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、香料、美容成分等の通常化粧料に汎用される成分の配合が可能である。油ゲル化剤、水溶性高分子、トリメチルシロキシケイ酸等の油溶性被膜形成剤、水性成分、パラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール等の防腐剤、ビタミン類、美容成分、香料等の成分を配合することも可能である。
油剤としては、通常、化粧料に用いられる油剤であれば特に限定されない。具体的には、パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャトロプシュワックス、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブテン、ポリブテン等の炭化水素類、カルナウバロウ、ミツロウ、ラノリンワックス、キャンデリラ等の天然ロウ類、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリスリットエステル、ホホバ油、セチルイソオクタネート、パルミチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル等のエステル類、ステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、モクロウ等の油脂類、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のアミノ酸誘導体類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、高級脂肪酸変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン化合物類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
化粧料中の油剤の含有量は、特に限定されず、所望する化粧料や化粧料を化粧料保持層に保持させる場合の状態にもよるが、例えば、油剤を主体とした化粧料を練ってペースト状にして保持させる場合または化粧料を加熱溶解してペースト状若しくは液体状にして保持させる場合は、化粧料中の50〜99.9%が好ましく、さらに70〜99%が好ましい。また、油剤を主体として揮発性の溶媒と混合して保持させる場合は、化粧料中の50〜99.9%が好ましく、さらに70〜99%が好ましい。粉体を主体とした化粧料を揮発性の溶媒と混合して保持させる場合は、化粧料中の0〜50%が好ましく、さらに10〜30%が好ましい。この範囲であると、化粧料の取れや肌への付着性の面で特に優れた効果を得ることができる。
また、油剤を主体とした化粧料を練ってペースト状にして保持させる場合または化粧料を加熱してペースト状若しくは液体状として保持させる場合、全油剤中の固形油剤、半固形油剤は、1〜50%が好ましく、さらに5〜30%が好ましい。また、全油剤中の液状油剤は、50〜99%が好ましく、さらに70〜95%が好ましい。この範囲であると、化粧料の取れや肌への付着性の面で特に優れた効果を得ることができる。
界面活性剤としては、化粧料に用いられている界面活性剤であれば何れのものでも使用することができ、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、レシチン等が挙げられる。このような界面活性剤を化粧料に配合する配合量は0.001〜10%が好ましく、より好ましくは0.01〜1%である。この範囲であると、外観の発色がよく、この点で特に優れた効果を得ることができる。
水性成分はモイスチャー効果を付与する目的で用いることができ、水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、エチルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等のベンゾフェノン系、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のPABA系、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル等のケイ皮酸系、サリチル酸系等、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、メチレンビスベンゾトリアゾルテトラメチルビチルフェノール、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等の紫外線吸収剤が挙げられ、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等があげられる。美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が挙げられ、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール等のグリコール類等が挙げられる。
水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系の物質、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系の物質、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系の物質を挙げることができる。
(粘着層)
本発明の粘着層に使用される粘着剤は、積層体が剥離層から剥離可能で、積層体が台材上に貼付可能であれば特に限られないが、例えばアクリル系、EVA系等の粘着剤が挙げられる。
(台材)
本発明に使用される台材は、積層体を貼付可能な形状であれば特に限られないが、例えば厚紙やラミネート紙、厚紙を積層・成型して所望する形状に加工した容器、樹脂フィルムを成型して所望する形状に加工した容器等が挙げられる。
(多色化粧品の製造方法)
上述したような本発明の実施形態に係る多色化粧品の製造方法について、図5〜図9を参照しながら以下に説明する。
図5は多色化粧品1の製造工程を示すフローチャート、
図6は剥離層上に粘着層と化粧料保持層を積層し、化粧料保持層と粘着層の化粧料積層部分を規定する領域に切り込みを形成した概略図、
図7は化粧料積層部分を規定する領域の一部を覆うように化粧料層を形成した概略図、
図8は切り込みより外側の不要部分を取り除いた概略図である。
まず、図5に示す製造工程のフローチャートに基づいて、以下に説明する。
ステップS1では、化粧料保持層に粘着層を介して剥離層を積層する。
ステップS2では、図6に示すように、化粧料保持層と粘着層の化粧料積層部分を規定する領域に切り込みを形成する。切り込みの形成方法は特に限定されないが、所望する切り込み形状に成型した打抜き刃を取り付けた打抜き加工機を使用する等が挙げられる。
ステップS3では、図7に示すように、ステップS2で形成された切り込みの一部を覆うように化粧料を塗布する。化粧料を塗布する方法としては特に限定されないが、例えばスクリーン印刷、滴下充填、スプレー塗布等が挙げられる。
(スクリーン印刷)
スクリーン印刷では、化粧料層を形成するための化粧料を、練ってペースト状にする、加熱溶解してペースト状若しくは液体状にする、または揮発性溶媒に分散させてスラリー状にするといういずれかの方法で、スクリーン印刷可能な状態とし、スクリーン版を用いて化粧料保持層に化粧料を印刷する。化粧料をスラリー状にするための揮発性溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、低沸点炭化水素、低沸点シリコーン油、環状シリコーン、水、またはこれらの混合物が挙げられる。化粧料と揮発性溶媒との混合比率は、化粧料の構成やスクリーン印刷の印刷条件に応じて適宜調整される。
スクリーン印刷に用いられるスクリーン版は、40〜300メッシュのものを用いるのが好ましい。当該スクリーン版は所定の厚さの乳剤で被覆されており、被覆された乳剤に所望の印刷パターンが形成された開口部が設けられ、本実施形態では、例えば図に示すスクリーン版を用いて印刷するようにしてもよい。詳しくは、スクリーン版には開口部が形成されている。このようなスクリーン版を用いて化粧料を化粧料保持層に印刷してもよい。なお、乳剤厚は10〜500μmとするのが好ましい。
(滴下充填)
滴下充填では、化粧料を揮発性溶媒に分散させてスラリー状とし、定量吐出装置やスポイト等を用いて所望する量のスラリーを基材に滴下した後、上述した乾燥装置を用いて揮発性溶媒を除去する。
また、化粧料を基材に滴下する際に、手動或いはロボット等を用いてノズルと基材とを相対的に移動することによって、化粧料で文字や図形を描画することも可能である。なお、油性化粧料は、練ってペースト状にしたり、加熱溶解してペースト状または液体状として滴下するようにしてもよい。
ステップS4では、図8に示すように、上述した例のような方法を用いて化粧料保持層上に形成された化粧料層の不要部分を取り除き、粘着層と化粧料保持層、化粧料層が積層された積層体とする。この積層体は化粧料保持層と化粧料層が同一面上に断面を有する。なお、ステップS4は、後述する化粧料固化工程の前に行うことが望ましい。
(化粧料層の固化工程)
ステップS4で不要部分を取り除いた後、化粧料層は固化される。
化粧料を練ってペースト状として化粧料保持層に塗布して化粧料層を形成する場合、化粧料を化粧料に含まれるワックス等の熱溶融成分が溶融する温度以上に加熱処理した後、冷却することで化粧料は固化される。化粧料の加熱方法としては、熱風や赤外線ヒーター等の加熱装置が挙げられる。また、化粧料の冷却方法の例としては、常温で放置し自然冷却する、低温に設定された恒温槽等に入れて冷却する、等が挙げられる。
化粧料を加熱溶解してペースト状若しくは液体状として化粧料保持層に塗布して化粧料層を形成する場合、加熱溶融した化粧料を冷却することで、化粧料は固化される。化粧料の冷却方法の例としては、常温で放置し自然冷却する、低温に設定された恒温槽等に入れて冷却する、等が挙げられる
化粧料を揮発性溶媒に分散させてスラリー状として化粧料保持層に塗布し化粧料層を形成する場合、化粧料に含まれる揮発性溶媒は、化粧料保持層にスクリーン印刷された後、熱風や赤外線ヒーター等の乾燥装置で除去され、化粧料は固化される。
ステップS2〜S4の工程を、切り込みの形状や化粧料の種類や色を変えて繰返し、所望する積層体を作製する。
ステップS5では、図9に示すように、ステップS4で不要部分を取り除かれた積層体を、積層体が有する同一断面部が互いに隣接するように、台材上に貼り付ける。この際、ピンセットなどで積層体の余白部分を摘むことで、化粧料層に割れやカケなどの不具合が生じることなく貼り付けることができる。
ステップS6では、必要に応じて台材に積層体の化粧料層を保護するためのカバーを貼り付けたり、台材ごと樹脂フィルム製の袋に包装するなどの後処理を行う。
このような工程を経て、本発明の多色化粧品は完成する。
(実施例)
以下に本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は以下に述べる実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
坪量160g/mの厚紙の一方の面に厚さ50μmのPETフィルムをラミネートし、もう一方の面に両面タック紙を貼り合せた後、PETフィルムラミネート面側から両面タック紙までを、横36mm、縦20mmの打抜き刃でハーフカットし、図10(a)に示したような横36mm、縦20mmの化粧料塗布領域A1を有する基材Aを得た。
化粧料B(ベージュ色のファンデーション)55質量部をイソプロピルアルコール45部に加えて撹拌し、化粧料スラリーB1を調製した。
横30mm、縦25mmの開口部を有する60メッシュ、乳剤厚15μmのスクリーン版を用いて、化粧料スラリーB1を、図10(b)に示したように基材Aの化粧料塗布領域A1の左右両端に3mmずつ余白ができるように印刷し、化粧料スラリーB1のイソプロピルアルコールが乾燥する前に基材Aの不要部分を取り除いた後、80℃に設定した乾燥機で2分間乾燥して化粧料を固化し、図10(c)に示した積層体B2を得た。
化粧料C(赤みが強いファンデーション)、化粧料D(黄みが強いファンデーション)についても、積層体B2と同様の手順で基材Aに印刷、不要部分の除去、乾燥固化を行い、積層体C2、D2を得た。
中央部分に横38mm、縦64mm、深さ2mmの凹部を有する樹脂成形容器(台材E1)の凹部に、図10(d)に示したように積層体D2、B2、C2の順に同一断面部が互いに隣接するように貼り付け、さらに樹脂容器に化粧料を保護するためのラベルを貼り付けて、3色のファンデーションが隣接した多色化粧品Fを得た。
<実施例2>
厚さ125μmのPETフィルムの片面に両面タック紙を貼り合せた後、PETフィルム面側から両面タック紙までを、半径25mm、中心角90℃の扇型の打抜き刃でハーフカットし、図11(a)に示したような半径25mm、中心角90°の扇型の化粧料塗布領域G1を有する基材Gを得た。
化粧料H(青系のアイカラー)50質量部をイソプロピルアルコール50質量部に加えて撹拌し、化粧料スラリーH1を調製した。
半径23mm、中心角90°の扇形の開口部を有する40メッシュ、乳剤厚15μmのスクリーン版を用いて、化粧料スラリーH1を図11(b)に示したように基材Gの化粧料塗布領域G1の円周側に2mm幅の余白ができるように印刷し、化粧料スラリーH1のイソプロピルアルコールが乾燥する前に基材Gの不要部分を取り除いた後、80℃に設定した乾燥機で2分間乾燥して化粧料を固化し、図11(c)に示した積層体H2を得た。
化粧料I(ベージュ系のアイカラー)、化粧料J(茶系のアイカラー)、化粧料K(黒系のアイカラー)についても、積層体H2と同様の手順で基材Gに印刷、不要部分の除去、乾燥固化を行い、積層体I2、J2、K2を得た。
60mm角に裁断した坪量200g/mの厚紙に、中央に直径54mmの穴を開けた60mm角、坪量200g/mの厚紙3枚を貼り合せ、中央に直径54mmの凹部を有する台材Lを作製し、図11(d)に示したように積層体H2〜K2の同一断面部が互いに隣接するように台材Lの凹部に貼り付け、さらに台材Lに化粧料を保護するためのラベルを貼り付けて、4色のアイカラーが隣接した多色化粧品Mを得た。
<実施例3>
坪量160g/mの厚紙の一方の面に厚さ50μmのPETフィルムをラミネートし、もう一方の面に両面タック紙を貼り合せた後、PETフィルムラミネート面側から両面タック紙までを、直径30mmの円と直径15mmの円を組み合わせた形状の打抜き刃でハーフカットし、図12(a)に示したような横30mm、縦22.5mmの化粧料塗布領域M1を有する基材Nを得た。
化粧料O(ピンク色の口紅)を練ってペースト状にし、化粧料スラリーO1を得た。
直径32mmの半円と、横32mm、縦10mmの長方形を組み合わせた形状の開口部を有する40メッシュ、乳剤厚15μmのスクリーン版を用いて、化粧料スラリーO1を、図12(b)に示したように基材Nの化粧料塗布領域N1の上端に2mmの余白ができるように印刷した後、基材Nの不要部分を取り除いた後、90℃に設定した乾燥機で1分間加熱処理して化粧料を溶融し、常温で放置して冷却固化して、図12(c)に示した積層体O2を得た。
化粧料P(赤色の口紅)ついても、積層体O2と同様の手順で基材Nに印刷、不要部分の除去、加熱処理、冷却固化して積層体P2を得た。
中央部分に直径32mm、深さ2mmの凹部を有する樹脂成形容器(台材Q1)の凹部に、図12(d)に示したように積層体O2、P2を同一断面部が互いに隣接するように貼り付け、さらに樹脂容器に化粧料を保護するためのラベルを貼り付けて、2色の口紅が隣接した多色化粧品Rを得た。

Claims (2)

  1. 粘着層を介して剥離層と化粧料保持層を貼り合わせる工程、
    化粧料保持層と粘着層の化粧料積層部分を規定する領域に切り込みを形成する工程、
    化粧料積層部分を規定する領域に、化粧料層が形成されない余白部分ができ、切り込みの
    一部が覆われるように化粧料層を形成する工程、
    切り込みより外側の不要部分を取り除く工程、
    剥離層から、粘着層、化粧料保持層、及び化粧料層からなる積層体を剥がし、台材上に化粧料層が接するようにして2つ以上貼り付ける工程、
    を含むことを特徴とする多色化粧品の製造方法。
  2. 切り込みより外側の不要部分を取り除く工程を、化粧料層を形成した後、化粧料層を固化
    する前に行うことを特徴とする、
    請求項の多色化粧品の製造方法。
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