JP5941948B2 - 切断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、人孔とも呼ばれる下水道マンホールおよび下水道管などの管渠を含むコンクリート製または鉄筋コンクリート製の中空構造体から成る既設構造物を切断して複数の砕片に破砕するために好適に実施することができる切断装置に関する。
下水道マンホールの修繕・取替・増設するための工法として、MDP(Minimum Digging Process)工法と呼ばれる埋設物敷設工法が知られており、この従来技術はたとえば特許文献1に記載されている。
この従来技術では、現場条件に合わせて最小限の寸法、すなわち呼び径φ2000mm、φ1500mm、φ1300mm、φ900mmなどの土留め用のケーシングを選定し、ケーシングを設置後、圧縮空気によって土砂をほぐして吸引しながらケーシングを揺動および回転させずに、自重によって掘削面まで段階的に降下させる。このようにケーシングの内底に露出する土砂を吸引しながらケーシングを降下させるので、作業者が把握していない水道管またはガス管などの不測の埋設物が存在しても、ケーシングによってその埋設物を損傷および破壊してしまうことを未然に防止し、所定の深さまでケーシングを降下させた後、埋設物を修繕・取替・増設などの所定の処理を行った後、ケーシングを引き上げながら、該ケーシング内の空間を20〜30cm程度の厚さで一層毎に埋め戻して充分に締め固め、舗装を復旧し、周辺地盤の乱れを少なくし、道路舗装への影響を最小限に抑えることが可能である。また埋め戻し後の沈下量が少ないので、舗装は仮復旧工なしで直接に本復旧することができ、これによって処分土およびアスファルト廃材などを低減して、工期も大幅に短縮することができる。
特開2009−257013号公報
前述の従来技術では、地中にケーシングを自重によって挿入しながら内底の土砂を掘削および吸引によって除去し、作業対象物に対して所定の処理を行った後、ケーシングを引き抜き、埋め戻すことによって、工事範囲を少なくして埋設物の更新、取替および増設などの工事を行うことができるが、下水道マンホールおよび下水道管などの管渠を含む既設構造物を短い工期で、労力を削減し、容易かつ安全に撤去することができる技術は提案されておらず、そのような技術が求められている。
本発明の目的は、工期を短縮し、労力を削減して、容易かつ安全に既設構造物を撤去することができる切断装置を提供することである。
本発明は、鉄筋コンクリートから成る中空の既設構造物内に設けられて、既設構造物を切断する切断装置であって、
既設構造物の切断時における荷重に対して耐荷重性を有する構造体から成る基台と、
基台に移動可能に設けられ、既設構造物の内面に向かう前進方向に、該既設構造物を切断可能な刃先部を有する切刃部材を備える切刃組立体と、
基台に固定され、切刃組立体を、予め定める前後軸線と平行に刃先部が既設構造物の内面に近接する方向および離反する方向に移動させる切刃駆動手段と、
基台に、前後軸線に垂直でかつ基台から側方に離反する張出し方向、および前後軸線に垂直でかつ基台に近接する引込み方向に移動可能に設けられ、既設構造物の内面を支持する支持面を有する一対の腕部支持体と、
基台に、基台から突出して設けられ、既設構造物の内面からの反力を受ける反力受け面を有する反力受け支持体と、
基台に設けられ、各腕部支持体の少なくとも一方を、張出し方向および引込み方向に移動させる腕部駆動手段と、
前記反力受け支持体に設けられる案内ローラであって、
前後軸線に垂直な仮想平面上で、張出し方向および引込み方向に垂直な軸線を中心として、反力受け面の一部が内接する仮想円筒面よりも外方に部分的に突出し、張出し方向および引込み方向に垂直な回転軸線まわりに回転自在に設けられる一対の案内ローラとを含むことを特徴とする切断装置である。
また本発明は、前記切刃組立体は、切刃駆動手段によって、前後軸線まわりに回動可能に保持される回動取付部を有し、
前記回動取付部には、切刃部材が着脱可能に取付けられることを特徴とする。
また本発明は、前記回動取付部は、前後軸線を含む仮想一平面に対して垂直に延びる一対の操作レバーを有することを特徴とする。
また本発明は、基台に、切刃組立体に隣接して移動可能に設けられ、既設構造物を切断可能な補助刃先部を有する補助切刃部材を備える補助切刃組立体と、
基台に固定され、補助切刃組立体を、前後軸線と平行に補助刃先部が既設構造物の内面に近接する方向および離反する方向に移動させる補助切刃駆動手段とをさらに含むことを特徴とする。
また本発明は、基台に設けられる横ビーム光照射手段であって、
前後軸線に垂直な仮想平面上で、張出し方向および引込み方向に平行な直線状に延びるように、切刃部材の刃先部の前方に向かって可視光を照射する横ビーム光照射手段をさらに含むことを特徴とする。
また本発明は、基台に設けられる縦ビーム光照射手段であって、
前後軸線に垂直な仮想平面上で、張出し方向および引込み方向に垂直な直線状に延びるように、切刃部材の刃先部の前方に向かって可視光を照射する縦ビーム光照射手段をさらに含むことを特徴とする。
また本発明は、前記腕部駆動手段は、
伸長および縮退するピストン棒を有する単一の複動シリンダと、
ピストン棒に連結される1つの入力端連結部、および各腕部支持体にそれぞれ連結される2つの出力端連結部を有するリンク手段とを含むことを特徴とする。
また本発明は、前記リンク手段は、複動シリンダのピストン棒が最大長さに伸長されたとき、2つの出力端連結部のそれぞれを基台に、前後軸線と、張出し方向および引込み方向に平行な軸線とを含む仮想平面上で一直線状に連結する複数のリンク部材を有することを特徴とする。
本発明によれば、鉄筋コンクリートから成る中空の既設構造物に切断装置が搬入され、切刃駆動手段によって切刃組立体が後退させた位置から前進させると、切刃部材の刃先部が既設構造物の内面に接触するとともに、反力受け支持体が既設構造物の内面に接触し、切断装置が前進および後退する方向に既設構造物によって支持される。
また、基台には、前後軸線に垂直な張出し方向および引込み方向に移動可能な一対の腕部支持体が設けられる。各腕部支持体は、既設構造物の内面に接触可能な側部支持面を有し、各腕部支持体は腕部駆動手段によって張出し方向に移動され、各腕部支持体の側部支持面が既設構造物の内面に接触して、切断装置が既設構造物に対して前後軸線に垂直な方向にも支持される。
このようにして切断装置が既設構造物に対して前後方向およびこの前後方向に垂直な方向に支持された状態で、切刃駆動手段によって前進すると、既設構造物が切刃部材の刃先部によって切断される。このとき、腕部支持体がなければ、既設構造物は前進方向に伸びて楕円形になろうとする変形を起こす。このような変形を腕部支持体が張出すことによって防止し、既設構造物を円形に保つことができる。
こうして切刃部材によって既設構造物を切断した後には、切刃駆動手段によって切刃組立体を後退させて、切刃部材を既設構造物から抜き取り、腕部駆動手段によって各腕部支持体を引込み方向に移動させる。これによって切断装置は、既設構造物に対して前後軸線およびこの前後軸線に垂直な方向に支持された状態が解除され、切断装置を次の未切断位置に移動させ、再び切刃部材を前進および後退させて、既設構造物を撤去可能な所望の大きさに切断し、前記従来技術に比べて工期の短縮および労力の削減を図り、容易かつ安全に既設構造物を撤去することが可能となる。
また、反力受け支持体に一対の案内ローラが設けられるので、切刃部材を前進させて各案内ローラが既設構造物の内面に接触すると、切断装置は各案内ローラの各回転軸線を含む仮想平面に対して垂直な仮想平面上に前後軸線が配置されるように位置決めされ、切刃部材または補助切刃部材の向きを一定の向きに安定化させることができる。
また本発明によれば、切刃組立体が切刃駆動手段に対して前後軸線まわりに回動可能に保持される回動取付部を有するので、切刃部材の前後軸線まわりの角度を自在に変更して、希望する角度で既設構造物を切断することができる。これによって既設構造物を構成する鉄筋コンクリート、特にコンクリート内に格子状に埋設されている鉄筋を確実に切断することができる。また、回動取付部は、切刃部材を着脱可能に取付けることができるように構成されるので、切刃部材の刃先部の欠損または摩耗したとき、新たな切刃部材に容易に交換することができる。
また本発明によれば、回動取付部が一対の操作レバーを有するので、各操作レバーを用いて切刃部材の角度を容易に変更することができ、切刃部材による既設構造物の切断方向の変更作業を容易化することができる。
また本発明によれば、基台に補助切刃部材を備える補助切刃組立体が前述の切刃組立体に隣接して設けられるので、切刃組立体の切刃部材による切断位置に隣接した部位を、補助切刃組立体の補助切刃部材によって切断することができ、これによって切刃部材だけを用いた切断作業に比べて、切断範囲および切断位置を拡張して、切断作業の効率を向上することができる。
また本発明によれば、基台には横ビーム光照射手段が設けられるので、既設構造物内に切断装置を挿入した状態で、既設構造物の内面に、各腕部支持体の張出し方向および引込み方向を含む軸線に平行な可視光を照射し、切刃部材による切断位置または補助切刃部材による切断位置に対して、次に切断しようとする未切断位置の相対的に位置関係を作業者が容易かつ正確に認識することができ、これによって切断作業の効率を向上することができる。
また本発明によれば、基台には縦ビーム光照射手段が設けられるので、既設構造物の内面に各腕部支持体の張出し方向および引込み方向を含む軸線に垂直な軸線と平行に可視光を照射することができる。このような可視光によって、切刃部材による切断位置または補助切刃部材による切断位置に対して、次に予定される切断位置との相対位置関係を容易かつ正確に認識することができ、切断装置による既設構造物の高精度化および効率化を図ることができる。
また本発明によれば、反力受け支持体に一対の案内ローラが設けられるので、切刃部材を前進させて各案内ローラが既設構造物の内面に接触すると、切断装置は各案内ローラの各回転軸線を含む仮想平面に対して垂直な仮想平面上に前後軸線が配置されるように位置決めされ、切刃部材または補助切刃部材の向きを一定の向きに安定化させることができる。
また本発明によれば、腕部駆動手段が単一の複動シリンダとリンク手段とを含んで構成されるので、各腕部支持体を単一の複動シリンダによって同時に動作させることができ、これによって構成を小形化し、既設構造物内の狭い空間内に切断装置を搬入して切断動作させることが可能となる。
また本発明によれば、前述のリンク手段は複数のリンク部材を有し、これらのリンク部材は複動シリンダのピストン棒が最大長さに伸長された状態で、2つの出力端連結部のそれぞれと基台とを、前後軸線と張出し方向および引込み方向を含む軸線とを含む仮想平面上で一直線状に連結し、各腕部支持体が既設構造物からの反力として受ける力を圧縮力として受けることができ、これによって各リンク部材の長手方向に垂直な断面が大きな曲げモーメントが作用する場合に比べて小さくすることができ、リンク手段の構成が大形化しないという効果を奏することができる。
本発明の一実施形態の切断装置1を上方から見た平面図である。 切断装置1を図1の下方から見た側面図である。 切断装置1を図1の左方から見た正面図である。 切断装置1の斜視図である。 切刃組立体6およびその付近の構成を示す斜視図である。 切刃組立体6の分解斜視図である。 切刃組立体6の簡略化した正面図である。 は図7の切断面線VIII−VIIIから見た拡大断面図である。 腕部駆動手段60の構成を説明するための平面図である。 リンク手段61の構成を説明するための一部の斜視図である。 リンク手段61の構成を説明するための一部の斜視図である。 リンク手段61の構成を説明するための一部の斜視図である。 リンク手段61の構成を説明するための一部の斜視図である。 反力受け支持体11を簡素化して示す一部の斜視図である。 切断装置1の油圧回路図である。 作動油供給装置113の操作用制御装置140を示す正面図である。 切刃部材5の押出し時および引込み時の第1および第2管路114,115内の作動油の時間に対する圧力変化を示すグラフである。 切刃部材5の押出し時における切断装置1の動作を示す図である。 切刃部材5の引込み時における切断装置1の動作を示す図である。 既設構造物の撤去方法の作業手順を説明するためのフローチャートである。 対象とする既設構造物3およびその付近の断面図である。 図21に示される既設構造物を上方から見た平面図である。 既設構造物3の中心に合わせて回転圧入機160を設置した状態を示す図である。 既設構造物3上に土留め用ケーシング161を設置した状態を示す図である。 土留め用ケーシング161が地上162から既設構造物3に接続されている最上位の下水道管163の手間まで圧入された状態を示す図である。 土留め用ケーシング161が全ての下水道管163〜166を切断して圧入された状態を示す図である。 既設構造物3から蓋167および斜壁168を撤去して切断装置1を搬入した状態を示す図である。 切断装置1によって切断された部分の破砕片を撤去した状態を示す図である。 既設構造物3が切断装置1によって全て切断された状態を示す図である。 全ての破砕片が撤去された状態を示す図である。 本発明の他の実施形態の切断装置1aを上方から見た平面図である。 切断装置1aの各腕部支持体9a,9bを縮退させた状態を示す平面図である。 切断装置1aを図31の下方から見た側面図である。 切断装置1aの斜視図である。 本実施形態の切断装置1aに用いられる作動油供給装置113の操作用制御装置140aを示す正面図である。 表示装置177を示す斜視図である。
図1は本発明の一実施形態の切断装置1を上方から見た平面図であり、図2は切断装置1を図1の下方から見た側面図であり、図3は切断装置1を図1の左方から見た正面図であり、図4は切断装置1の斜視図である。本実施形態の切断装置1は、既設構造物の撤去方法に係る本発明の実施形態で用いられる切断装置として、以下に説明する。
本実施形態の切断装置1は、基台2と、鉄筋コンクリートから成る既設構造物3を切断可能な刃先部4を有する板状の切刃部材5を備え、基台2に前進方向A1および後退方向A2に移動可能に設けられる切刃組立体6と、基台2に固定され、切刃組立体6を刃先部4が既設構造物3の内面3aに近接する前述の前進方向A1に移動させ、かつ刃先部4が既設構造物3の内面3aから離反する前述の後退方向A2に移動させる2つの複動シリンダ7a,7bと、基台2に切刃組立体6が前進方向A1および後退方向A2に平行な前後軸線L1に垂直でかつ基台2から離反する張出し方向B1および前後軸線L1に垂直でかつ基台2に近接する引込み方向B2に移動可能に設けられ、既設構造物3の内面3aに接触可能な支持面8を有する一対の腕部支持体9a,9bと、基台2に基台2から突出して設けられ、既設構造物3の内面3aに接触可能な反力受け面10を有する反力受け支持体11と、各腕部支持体9a,9bを張出し方向B1および引込み方向B2に移動させる単一の複動シリンダ12とを含む。
既設構造物3は、既設構造物3を切断可能な補助刃先部13を有する板状の補助切刃部材14を備え、基台2に前述の切刃組立体6の下方(図2の下方)に隣接して、前後軸線L1に沿って前進方向C1および後退方向C2に移動可能に設けられる補助切刃組立体15と、基台2に固定され、補助切刃組立体15を補助刃先部13が既設構造物3の内面3aに近接する前述の前進方向C1および補助刃先部13が既設構造物3の内面3aから離反する後退方向C2に移動させる複動シリンダ16とをさらに含む。
本実施形態において、既設構造物3は下水道マンホールであって、鋳鉄製の蓋が装着される斜壁と、複数の直壁とを含んで構成され、最下部に配置される直壁は、下水道管などが接続されるインバートが敷設され、底版によって塞がれている。斜壁および複数の直壁はマンホールの号数に応じて内径および壁厚などが異なり、縦方向に配列される主鉄筋、螺旋状の配力鉄筋にコンクリートを打設して硬化させた鉄筋コンクリートから成る中空の円錐台状および円筒状のブロック体によって実現される。図1は、直壁の軸直角断面を示しており、その内径は、たとえば2号マンホールである場合には、1200mmであり、壁厚は100〜125mmである。
基台2は、上構造部20と、下構造部21と、上構造部20および下構造部21を連結する中間連結部22とを有する。上構造部20は、長手板状の底板23と、底板23の一方主面から垂直に立上がる立上がり板24とを有する。また下構造部21は、底板23と同様な長手板状の底板25から成る。中間連結部22は、矩形の板状部材26から成る。底板23、立上がり板24、底板25および板状部材26は、構造用鋼板から成る。板状部材26の一側部は、上構造部20の底板23の他方主面に溶接して接合される。また板状部材26の他側部は、下構造部21の底板25に溶接して接合される。各底板23,25は、板状部材26によって互いに間隔をあけて平行に連結される。
立上がり板24には、前述の底板23に接合される一側部とは反対側の他側部寄りの位置に、長手方向に間隔をあけて複数の透孔27が形成される。これらの透孔27には、複数(本実施形態では2)の吊り紐28の一端部に結束された連結具29が掛け止められる。
連結具29は、Uボルトとも称され、U字状金具30にボルト31およびボルト31に螺着されるナット32を含んで構成されてもよい。前記吊り紐28は、たとえばワイヤロープによって実現される。各吊り紐28の他端部には、ループ状部分33がそれぞれ形成され、各ループ状部分33は、クレーンなどの吊り下げ作業車両から垂下されるワイヤケーブル34の下端に設けられるフック35に掛け止められ、ワイヤケーブル34の巻き上げまたは巻き下ろし動作によって、切断装置1を吊下げた状態で昇降移動させることができる。
図5は、切断装置1の斜視図である。切刃組立体6は、切刃部材5と、2本の複動シリンダ7a,7bによって前後軸線L1まわりに回動自在に保持される回動取付部40と、回動取付部40が前後軸線L1まわりに回動自在に連結される支持部材41とを有する。支持部材41は、大略的に円板状であって、切刃部材50側に臨む一表面には回動取付部40の前後軸線L1まわりの回動量を制限するためのストッパ42が設けられる。
各複動シリンダ7a,7bは、最大出力が鉄筋を切断可能な20〜50ton程度、ストロークが200〜300mm程度の複動油圧シリンダによって実現される。各複動シリンダ7a,7bは、前後軸線L1および上下軸線L3を含む第3仮想平面に関して面対称に基台2の底板25に固定される。各複動シリンダ7a,7bの各ピストン棒7a1,7b1の各先端部には、支持部材41が図示しないボルトによって固定される。
図6は切刃組立体6の分解斜視図であり、図7は切刃組立体6の簡略化した正面図であり、図8は図7の切断面線VIII−VIIIから見た拡大断面図である。図9は腕部駆動手段60の構成を説明するための平面図である。回動取付部40は、略C字状の一対の挟持部材43a,43bと、回動部材45と、一対の操作レバー46a,46bと、4本の取付部材47と、複数のボルト51と、各ボルト51に螺着される複数のナット52とを含む。
回動部材45は、略円板状の鋼板から成り、周縁部には、ストッパ42よりも半径方向内方に退避した溝39が形成される。溝39は、前後軸線L1に垂直な第1仮想平面上で、前後軸線L1を中心に90°の範囲にわたって形成され、回動取付部40の前後軸線L1まわりの回動範囲を90°に制限し、切刃部材5を前後軸線L1および上下軸線L3を含む第3仮想平面に平行な縦方向および第3仮想平面に垂直な横方向に傾動させることができる。
各取付部材47は、前後軸線L1に平行に延びる長手板状の鋼板から成り、前後軸線L1に関して軸対称に互いに平行に立設される。各取付部材47には、ボルト51の軸部が挿通される複数のボルト挿通孔48が長手方向に間隔をあけて形成される。また、各挟持部材43a,43bの長手方向(図6の上下方向)の両端部には、ボルト51の軸部が挿通される複数のボルト挿通孔49が形成される。
切刃部材5には、その長手方向両端部にボルト51の軸部が挿通されるボルト挿通孔53が形成される。切刃部材5は、その厚み方向両側から各挟持部材43a,43bによって挟持され、前後軸線L1および左右軸線L2を含む第3仮想平面に関して両側で各対を成す挟持部材47間に挿入されて、切刃部材5が前後軸線L1方向に位置決めされる。この状態で、ボルト51の軸部が、第2仮想平面に関して一方側に配置される2つの取付部材47のボルト挿通孔48、挟持部材43bのボルト挿通孔49および切刃部材5のボルト挿通孔53を挿通して、第2仮想平面に関して他方側に配置される2つの取付部材47のボルト挿通孔48および挟持部材43aのボルト挿通孔49を挿通し、ナット52が螺着されて締付けられる。このようにして切刃部材5は、各挟持部材43a,43bに挟持された状態で、回動部材45に大きな強度で取付けられる。
上記のように切刃部材5は、一対の挟持部材43a,43bによって挟持された状態でボルト52およびナット52によって回動部材45に取付けられるので、切刃部材5の刃先部4が損耗したときに、容易に新たな切刃部材に着脱交換することができる。
回動部材45には、前後軸線L1に平行な中心軸線上にボルト44の軸部が挿通するボルト挿通孔54が形成される。支持部材41には、前後軸線L1に平行な中心軸線上にねじ孔55が形成される。ねじ孔55は、ボルト44の軸部に形成される雄ねじが締込み途中で噛み込む程度の雌ねじとするために、タップ加工によって形成され、いわゆるタッピング孔である。ボルト44の軸部は、円環状の座金56を挿通し、さらに回動部材45のボルト挿通孔54を挿通して、支持部材41のねじ孔55に螺着され、回動部材45が支持部材41に対して互いに面接触した状態で、ボルト44の中心軸線に一致する回転軸線まわりに回転自在にねじ止めされる。
図10〜図13はリンク手段61の構成を説明するための一部の斜視図である。切断装置1は、各腕部支持体9a,9bを張出し方向B1および引込み方向B2に移動させる腕部駆動手段60を含む。
腕部駆動手段60は、前述した単一の複動シリンダ12と、複動シリンダ12によって駆動されるリンク手段61とを含んで構成される。複動シリンダ12は、シリンダケース内に図示しないピストンが軸線方向に移動自在に収納され、このピストンにはピストン棒62が固定され、ピストンによって仕切られたシリンダケース内の2つの圧力室の圧力バランスによってピストン棒62を伸長させ、あるいは縮退させることができるように構成される。このような複動シリンダ12は、最大出力が5ton程度、ストロークが150mm程度の複動油圧シリンダによって実現される。
リンク手段61は、第1〜第9リンク部材63〜71と、第1〜第9リンクピン73〜81とを含んで構成される。第1〜第9リンク部材63〜71および第1〜第9リンクピン73〜81とは鋼鉄製である。複動シリンダ12のピストン棒62の先端部には、第1リンクピン73によって第1リンク部材63の一端部が回動自在に連結される。第1リンク部材63の他端部は、第3リンクピン75によって第2リンク部材64の一端部に回動自在に連結される。第2リンク部材64の他端部は、第4リンクピン76によって第3リンク部材65の一端部に回動自在に連結される。
第1リンク部材63の中間部には、第2リンクピン74が固定される。第2リンクピン74には、第7リンク部材69の一端部が固定され、第1リンク部材63がピストン棒62の伸長および縮退によって角変位したとき、その角変位を第2リンクピン74を介して第7リンク部材69に伝達される。第7リンク部材69の他端部は、第8リンクピン80によって第8リンク部材70の一端部に回動自在に連結される。第8リンク部材70の他端部は、第9リンクピン81に固定される。この第9リンクピン81には、第9リンク部材71の一端部が連結され、第9リンク部材71の他端部は、第10リンクピン82によって固定アーム83に回動自在に連結される。
第3リンク部材65の他端部は、第5リンクピン77に固定される。第5リンクピン77には、第4リンク部材66の一端部が固定される。第4リンク部材66の他端部は、第6リンクピン78に回動自在に連結される。第6リンクピン78は、第5リンク部材67の一端部が回動自在に連結され、第5リンク部材67の他端部は、第6リンクピン78に回動自在に連結される。この第6リンクピン78は、腕部支持体9bに固定される。また第9リンクピン81は、腕部支持体9aに固定される。
第1リンク部材63の一端部は、第1リンクピン73によってピストン棒62の先端部に連結される。このような第1リンクピン73は、入力端連結部を構成する。また腕部支持体9a,9bに連結される第6リンクピン78および第9リンクピン81は、出力端連結部を構成する。第7リンクピン79は、固定アーム84に固定される。また第4リンクピン76は固定アーム85に連結され、第5リンクピン77は固定アーム86に連結される。複動シリンダ12の基端部は、ピストン棒62の伸長および縮退による角変位を許容するために、ヒンジピン87によって回動自在に支持され、ヒンジピン87はブラケット88によって基台2に固定される。
このようなリンク手段61は、複動シリンダ12のピストン棒62が最大長さに伸長されたとき、2つの出力端連結部である第5リンクピン77および第9リンクピン81と基台2とを前後軸線L1と、張出し方向B1および引込み方向B2に平行な軸線とを含む第2仮想平面上で一直線状に連結する複数のリンク部材66,67,69,70を有し、このような構成を採用することによって、各腕部支持体9a,9bからの圧縮力を、曲げなどを生じずに抗することができる。したがってリンク部材66,67,69,70に大きな曲げ応力が発生せず、したがって断面性の高い部材を用いる必要がなく、構成を簡素化することができる。
前述のリンク手段61の構成において、第1リンクピン73、第3リンクピン75、第4リンクピン76、第5リンクピン77によって連結される第1リンク部材63、第2リンク部材64および第3リンク部材65によって、複動シリンダ12のピストン棒62の変位を伝達する駆動リンクが構成される。
このような駆動リンクによって、伝達される第2リンクピン74および第5リンクピン77の回転は、これらのリンクピン74,77に連結されて駆動される第4リンク部材66、第5リンク部材67、第6リンク部材68、第7リンク部材69、第8リンク部材70、第9リンク部材71および第6リンクピン78、第7リンクピン79、第8リンクピン80、第9リンクピン81、第10リンクピン82によって構成される上部従動リンクに伝達されて駆動するとともに、これらと同様に構成される下部従動リンクに伝達され、上下2層のリンクによって各腕部支持体9a,9bが張出し方向B1および引込み方向B2に安定して変位駆動することができるように構成されている。
図3および図4をも参照して、各腕部支持体9a,9bは、張出し方向B1および引込み方向B2に平行な軸線、すなわち左右軸線L2と、前述の前後軸線L1とを含む第3仮想平面と平行に配置される長手板状の上部水平部材90と、上部水平部材90の下方に平行に配置される長手板状の下部水平部材91と、上部水平部材90および下部水平部材91の長手方向両端部に溶接によって接合され、前後軸線L1および左右軸線L2を含む第2仮想平面に水平な上下軸線L3に平行に延びる縦連結部材92,93とを有する。
各縦連結部材92,93の外側方に臨む表面は、切断装置1が既設構造物3内で各腕部支持体9a,9bが張出し方向B1に伸長されたとき、既設構造物3の内面3aにそれぞれ接触する支持面94,95として機能する。上部水平部材90には、前述の第1リンクピン73および第9リンクピン81がそれぞれ溶接によって接合される。また下部水平部材91には、下層の駆動リンクを構成する第6リンクピン78および第9リンクピン81が溶接によってそれぞれ接合される。
固定アーム85,86は、底板23,25の長手方向中央部付近でかつ両側部にそれぞれ溶接して接合され、上層で一方の従動リンクを構成する第7リンク部材69の一端部は、第2リンクピン74によって一方の固定アーム85の下面に連結される。また第8リンク部材70の一端部は、第8リンクピン80によって第7リンク部材69の一端部の下面に連結される。第8リンク部材70の他端部は、第9リンクピン81によって一方の腕部支持体9aの上部水平部材90上に連結され、この第8リンク部材70の他端部上に第9リンク部材71の一端部が第9リンクピン81によって連結される。
また、上層で他方の従動リンクを構成する第4リンク部材66は、他方の固定アーム86の下面に第5リンクピン77によって連結される。第5リンク部材67の他端部は、だい6リンクピン78によって第5リンク部材67の他端部の下面に連結される。第5リンク部材67の他端部は、第6リンクピン78によって、他方の腕部支持体9bの上部水平部材90上に連結され、その上方に第6リンク部材68の一端部が第6リンクピン78によって連結される。
また、下層で一方の従動リンクを構成する第6リンク部材68の一端部は、下部水平部材91に固定される一方の固定アーム85の上面に第2リンクピン74によって連結される。第8リンク部材70の一端部は、第8リンクピン80によって第7リンク部材69の他端部の上面に連結され、第8リンク部材70の他端部は、第9リンク部材81によって下部水平部材91の下面に連結され、その下方に第9リンク部材71の一端部が第9リンクピン81によって連結される。
さらに下層で従動リンクを構成する第4リンク部材66の一端部は、下部水平部材91に固定される他方の固定アーム86の上面に第5リンクピン77によって連結される。第7リンク部材69の一端部は、第6リンクピン78によって第4リンク部材66の他端部の上面に連結される。第5リンク部材67の他端部は、第6リンクピン78によって下部水平部材91の上面に連結され、その上方に第6リンク部材68の一端部が連結される。
このように、リンク手段61は、上層および下層で従動リンクを構成するリンク部材69,70,66,68が遊端側である腕部支持体9a,9bに近づくにつれて互いに近接する方向に配置されるので、切断装置1の構成を上下軸線L3方向に小さくすることができ、小形化が図られている。
図14は、反力受け支持体11を簡素化して示す一部の斜視図である。反力受け支持体11は、基台2の前記切刃組立体6が設けられる端部とは長手方向に反対側の端部に固定され、上下軸線方向に延びる長手板状の端板100と、端板100の一方主面に垂直に突出して設けられる複数の挟着板101と、左右軸線L2に沿って延びる長手板状の上部水平部材102と、上部水平部材102に対して上下軸線L3方向に間隔をあけて平行に配置され、左右軸線L2に沿って延びる挟着板上の下部水平部材103と、上下軸線L3に沿って延びる四角柱状の支圧部材104と、上部水平部材102および下部水平部材103の長手方向両端部間を連結する長手板状の縦連結部材105,106とを有する。これらの支圧部材104および各縦連結部材105,106の外方に臨む表面によって、反力受け面10を構成する。
このような反力受け面10は、前述のように上下軸線L3に長手の支圧部材104および各縦連結部材105,106によって形成されるので、大きな受圧面積を確保することができるとともに、既設構造物3が既に切断によって破砕された状態であっても、その破砕片を周囲の未切断部とともに支持して落下を防止し、切断時の複動シリンダ7a,7および/または複動シリンダ16による約50〜60ton以上の大きな反力を広い受圧面に分散させて受圧することができる。
各挟着板101は、左右軸線L2方向に前述の支圧部材104が嵌り込むことができる間隔をあけて端板100に固定される。各挟着板101には、ボルト挿通孔107がそれぞれ複数、形成され、各ボルト挿通孔107にはボルト108の軸部が挿通し、各挟着板101間に嵌り込んだ支圧部材104に形成される図示しないねじ孔に螺着され、各挟着板101と支圧部材104とが着脱可能に連結される。このように支圧部材104がボルト108によって各挟着板101、したがって端板100に着脱可能に設けられるので、支圧部材104が大きな反力を受けて変形または損傷したときに、容易に新たなものと交換することができる。
上部水平部材102の下面には、固定アーム83,84が溶接されて接合され、固定される。各固定アーム83,84上には、前述の第6リンク部材68および第9リンク部材71の他端部が、第10リンクピン82および第7リンクピン79によってそれぞれ連結される。
図15は、切断装置1の油圧回路図である。切断装置1は、切刃駆動手段の複動シリンダ7a,7b、腕部駆動手段の複動シリンダ12および補助切刃駆動手段の複動シリンダ16に作動油を供給するための作動油供給装置113に備えられる2つの接続ポート111,112に接続される第1および第2管路114,115を有する。一方の接続ポート111は、切断に必要な圧力の作動油が導かれる高圧側接続ポートであり、他方の接続ポート112は、戻りコントロール用圧力の作動油が導かれる低圧側接続ポートである。
第1管路114は、複動シリンダ7a,7b;12;16の押出し側のピストン室に作動油を供給するための複数の導管114a〜114dによって構成され、第2管路115は、複動シリンダ7a,7b;12;16の引込み側ピストン室に作動油を供給するための複数の導管115a〜115dによって構成される。これらの導管114a〜114d,115a〜115dは、たとえば可撓性を有する油圧用耐圧製ゴムホースによって実現される。
作動油供給装置113は、作動油が貯留されるタンク117、電動機118、ポンプ119、方向制御弁120、第1圧力制御弁121、第2圧力制御弁122、第1逆止弁123、第2逆止弁124および開閉弁125を含んで構成される。
電動機118が電力付勢されてポンプ119が駆動されると、タンク117内の作動油が第1流路126から汲み上げられ、ポンプ119の出力ポートから第2流路127を経て、方向制御弁120に供給される。
方向制御弁120は、4ポート3位置電磁切換え弁から成り、中立位置113a、押出し位置113bおよび戻り位置113cを有し、各位置113a〜113cには4つのポートa,b,c,dが設けられる。方向制御弁120のポートbと第1接続ポート111とは、第3流路128によって接続される。第3流路128には第1圧力制御弁121が介在される。第1圧力制御弁121は、第1接続ポート111に前述したように切断に必要に圧力である、たとえば240kg/cmの高圧力の作動油が供給された状態に維持することができるように構成される。
また、方向制御弁120のポートdと、第2接続ポート112とは、第6流路131によって接続される。第6流路131には、第2圧力制御弁122が介在される。第2圧力制御弁122は、前述した戻りコントロール用圧力である、たとえば120kg/cmの低圧力に圧力が設定され、第2接続ポート112にこの戻りコントロール用圧力の作動油が供給された状態に維持することができるように構成される。
第3流路128には、第1圧力制御弁121をバイパスして第4流路129が接続される。第4流路129には、第1接続ポート111から第3流路128に作動油が供給されたときの戻り流路を形成するために、第1逆止弁123が介在される。第6流路131には、第2圧力制御弁122をバイパスするように分岐した第7流路132が設けられる。この第7流路132には、第2接続ポート112から第6流路131に作動油が供給されたときの戻り流路を構成するために、第2逆止弁124が介在される。
図16は、作動油供給装置113の操作用制御装置140を示す正面図である。作動油供給装置113には、電動機118および方向制御弁120の動作を制御するための操作用制御装置140が備えられる。操作用制御装置140は、逆U字状の取手141、取手141の両端部がボルトによって固定され、正面視の形状が逆U字状のカバー体142、カバー体142が装着される制御装置本体143、制御装置本体143の下部に設けられ、複数の信号線を含んで構成される可撓性のケーブル144のプラグ145が着脱自在に接続されるコネクタ146を有する。
制御装置本体143は、箱状の金属製のハウジング147と、電源スイッチ148と、電源スイッチ148によって電源が投下されると点灯する電源ランプ149と、電動機118を起動するための起動スイッチ150と、電動機118の起動状態を停止させるための停止スイッチ151と、複動シリンダ7a,7b;16の動作を押出し、引込み、中立のいずれかに切換える動作切換えスイッチ152とを有する。
図17は切刃部材5の押出し時および引込み時の第1および第2管路114,115内の作動油の時間に対する圧力変化を示すグラフであり、図18は切刃部材5の押出し時における切断装置1の動作を示す図であり、図19は切刃部材5の引込み時における切断装置1の動作を示す図である。図17において、図17(1)は押出し時の第1管路114内の作動油の時間に対する圧力変化を示し、図17(2)は引込み時の第2管路115内の作動油の時間に対する圧力変化を示す。また図18において、図18(1)は既設構造物3内に切断装置1が搬入された状態を示し、図18(2)は切刃部材5の刃先部4が既設構造物3の内面3aに内側から当接した状態を示し、図18(3)は切断装置1の各腕部支持体7a,7bが既設構造物3の内面3aに押し当てられた状態を示す。さらに図19において、図19(1)は切刃部材5の刃先部4が既設構造物3を切断後に壁体から引抜かれた状態を示し、図19(2)は切刃部材5が後退位置へ戻され、各腕部支持体7a,7bが引込み位置へ戻された状態を示す。
既設構造物3の撤去作業が開始され、図18(1)に示すように、既設構造物3内に切断装置1が搬入された状態で、作業者が時刻t0で操作用制御装置140の電源スイッチ148をオンにし、起動スイッチ150を押下してオン状態にすると、電動機118が駆動されて、ポンプ119が汲上げ動作を開始し、第1管路114内の圧力が第1圧力制御弁121の設定圧力である第1圧力P1に上昇する。この第1圧力P1は、各複動シリンダ7a,7bのピストンの一方の圧力室に臨む受圧面に作用し、各複動シリンダ7a,7bのピストン棒が伸長して、図18(2)に示すように、切刃部材5が前進方向A1へ移動する。
また、張出し用の複動シリンダ12のピストンの一方の圧力室に臨む受圧面a11にも第1圧力P1が作用するが、各複動シリンダ7a,7bのピストンの一方の受圧面の受圧面積a11の合計値A11(=a11×2)に比べて、張出し用の複動シリンダ12は、そのピストンの一方の受圧面の受圧面積A12が、切断用の各複動シリンダ7a,7bのピストンの一方の受圧面の受圧面積A11よりも小さい(A11>A12)ので、ピストン棒は伸長方向へ移動せず、したがって各腕部支持体9a,9bは張出し方向B1へは移動しない。
時刻t0から切刃部材5の刃先部4が既設構造物3の内面3aに到達するまでのわずかな時間、たとえば2〜5sec程度が経過した時刻t1で、切刃部材5の刃先部4が既設構造物3の内面3aに当接するとともに、反力受け支持体11が既設構造物3の内面3の切刃部材5の当接位置とは反対側の領域へ当接すると、切刃部材5は内面3aからの反力によって前進方向A1への移動が抑制される。これによって第1管路114内の圧力が上昇し始め、時刻t2で第1管路114内の圧力が第1圧力P1よりも高い第2圧力P2に達すると、張出し用の複動シリンダ12のピストン棒が伸長し、各腕部支持体9a,9bが張出し方向B1へ移動して、図18(3)に示すように、各腕部支持体9a,9bは既設構造物3の内面を支持した状態になり、切断装置1が既設構造物3に対して固定される。
第1管路114には、作動油供給装置113の第1接続ポート11から、第1圧力制御弁121の設定圧力である第3圧力で作動油が供給され、時刻t4で各複動シリンダ7a,7bのピストン棒が最大ストロークまで伸長されると、各複動シリンダ7a,7bの一方の圧力室内は第3圧力P3に維持される。したがって既設構造物3は、既設構造物3の強度や刃先部4の損耗度にもよるが、第2圧力P2を超えかつ第3圧力P3以下の圧力(P2<P≦P3)で切断される。
次に、図17(2)に示すように、既設構造物3が切断され、後退方向A2に切刃部材5を移動させるために、時刻t6で作業者によって動作切換スイッチ152が「ジャッキ引」に切換え操作されると、方向制御弁120は押出し位置133bから戻り位置133cへ移動し、第2管路115に作動油供給装置113の第2接続ポート113から第1圧力P1よりも大きく、かつ第2圧力P2よりも低い第4圧力P4の作動油が供給される。各複動シリンダ9a,9bおよび複動シリンダ12は、負荷の差が押出し時に比べて小さいので、ほぼ同時にピストン棒を縮退させる。これによって、図19(1)に示すように、切刃部材5が後退方向A2へ移動を開始し、次いで各腕部支持体9a,9bが図19(2)に示すように、引込み方向B2へ移動し、動作切換スイッチ152を作業者が時刻t7で「中立位置」へ戻すと、方向制御弁120は戻り位置133cから中立位置113aに復帰する。
図20は既設構造物の撤去方法の作業手順を説明するためのフローチャートであり、図21は対象とする既設構造物3およびその付近の断面図であり、図22は図21に示される既設構造物を上方から見た平面図であり、図23は既設構造物3の中心に合わせて回転圧入機160を設置した状態を示す図であり、図24は既設構造物3上に土留め用ケーシング161を設置した状態を示す図である。図25は土留め用ケーシング161が地上162から既設構造物3に接続されている最上位の下水道管163の手間まで圧入された状態を示す図であり、図26は土留め用ケーシング161が全ての下水道管163〜166を切断して圧入された状態を示す図である。図27は既設構造物3から蓋167および斜壁168を撤去して切断装置1を搬入した状態を示す図であり、図28は切断装置1によって切断された部分の破砕片を撤去した状態を示す図であり、図29は既設構造物3が切断装置1によって全て切断された状態を示す図であり、図30は全ての破砕片が撤去された状態を示す図である。
ステップs1の圧入工程において、既設構造物3を外囲するように、回転圧入機160によって図24〜図26に示すように地上162から円筒状の土留め用ケーシング161を圧入する。土留め用ケーシング161の圧入によって下水道管163〜166が切断され、周囲の地山への影響を少なくし、あるいはなくして、工事を行なうことができる。
次にステップs2の搬入工程において、人孔蓋167および斜壁168を撤去し、地中に埋設された既設構造物3内に、ステップs3で前述の切断装置1を搬入する。次に、既設構造物3内に搬入された切断装置1の切刃部材5を前進させて、既設構造物3を切断する。この切断工程では、ステップs4の既設構造物3を切刃部材5によって前後軸線L1に垂直な第1仮想平面上で、一方向に延びる直線に沿って切断する第1切断工程と、ステップs5の既設構造物3を切刃部材5によって、前後軸線L1に垂直な第1仮想平面上で、一方向に垂直な他方向に延びる直線に沿って切断する第2切断工程とを有し、ステップs6で、これらの第1および第2切断工程を適宜、現場の状況および既設構造物3の状況に応じて適宜実施し、既設構造物3を切断する。
次に移動工程では、切刃部材5を後退させて、切断工程で既設構造物3を切断した位置から次の切断位置へ移動させ、ステップs7で全ての既設構造物3を切断して破砕し、破砕された図29に示す破砕物Mを搬出工程において地上へ搬出する。
図31は本発明の他の実施形態の切断装置1aを上方から見た平面図であり、図32は切断装置1aの各腕部支持体9a,9bを縮退させた状態を示す平面図であり、図33は切断装置1aを図31の下方から見た側面図であり、図34は切断装置1aの斜視図である。なお、前述の実施形態と対応する部分は、同一の参照符を付し、重複を避けて説明は省略する。また、本実施形態の切断装置1aは、前述の既設構造物の撤去方法に係る本発明の実施形態で用いられる切断装置として、以下に説明する。
本実施形態の切断装置1aは、前述の切断装置1の構成に加えて、基台2に設けられ、前後軸線L1に垂直な第1仮想平面上で、張出し方向B1および引込み方向B2に平行な直線状の可視光、切刃部材5の刃先部4の前方に向かって照射する横ビーム光照射手段である横ビーム光照射器170と、基台2に設けられ、前後軸線L1に垂直な第1仮想平面上で、張出し方向B1および引込み方向B2に垂直な直線状の可視光を、切刃部材5の刃先部4の前方に向かって照射する縦ビーム光照射手段である縦ビーム光照射器171と、反力受け支持体11に設けられる一対の案内ローラ172a,172bとをさらに含む。
各案内ローラ172a,172bは、前後軸線L1に垂直な第1仮想平面上で、張出し方向B1および引込み方向B2に垂直な軸線を中心として、反力受け面10の一部が内接する仮想円筒面173よりも外方に部分的に突出し、張出し方向B1および引込み方向B2に垂直な回転軸線まわりに回転自在に設けられる。
図35は、本実施形態の切断装置1aに用いられる作動油供給装置113の操作用制御装置140aを示す正面図である。なお、前述の実施形態と対応する部分は、同一の参照符を付し、重複する説明は省略する。本実施形態の操作用制御装置140aは、前述の実施形態の操作用制御装置140と同様に取手141、カバー体142およびカバー体142が装着される制御装置本体143aを有する。
制御装置本体143aには、前述の制御装置本体143と同様に、ケーブル144のプラグ145が着脱自在に接続されるコネクタ146が設けられるとともに、正面板には電源スイッチ148、電源ランプ149、起動スイッチ150、停止スイッチ151および動作切換えスイッチ152が同様に設けられる。この制御装置本体143aには、さらに前述の構成に加えて横ビーム光照射器170および縦ビーム光照射器171を点灯させるためのビーム光照射スイッチ174と、切刃組立体6を前後軸線L1に平行な軸線まわりに回動させて、切刃部材5を縦方向または横方向に回動させる縦割/横割切換スイッチ175とが設けられる。
再び図34を参照して、前記基台2には、既設構造物3の前記切刃部材5の刃先部4が臨む領域を撮像するためのカメラ176が設けられる。このカメラ176は、たとえばCCD(Charge Cupped Device)カメラによって実現される。
図36は、表示装置177を示す斜視図である。切断装置1を既設構造物3内に吊り下げた状態で保持して地上のクレーン車両のオペレータ室には、表示装置177が装備される。このような表示装置177の表示画面には、前述のカメラ176によって撮像された撮像画像が表示され、この撮像画像を前述のクレーン車両のオペレータなどが認識することによって、切断装置1aの刃先部4が臨む領域内に映し出された既設構造物3の内面3a、既設構造物3内に設けられる昇降用金具178、横ビーム光照射器170のファンビーム光の既設構造物3の内面3aの光像171aに基づいて、切断部位179などを確認しながら未切断位置を決定し、その位置へ切断装置1aを正確に移動させることができる。
以上のように本実施形態によれば、鉄筋コンクリートから成る中空の既設構造物3に切断装置1,1aが搬入され、切刃駆動手段である複動シリンダ7a,7bによって切刃組立体6を後退させた位置から前進させると、切刃部材5の刃先部4が既設構造物3の内面3aに接触するとともに、反力受け支持体11が既設構造物3の内面3aに接触し、切断装置1,1aが前進および後退する方向A1,A2に既設構造物3によって支持される。また、基台2には、前後軸線L1に垂直な張出し方向B1および引込み方向B2に移動可能な一対の腕部支持体9a,9bが設けられる。各腕部支持体9a,9bは、既設構造物3の内面3aに接触可能な側部支持面8を有し、各腕部支持体9a,9bは腕部駆動手段60によって張出し方向に移動され、各腕部支持体9a,9bの側部支持面8が既設構造物3の内面3aに接触して、切断装置1,1aが既設構造物3に対して前後軸線L1に垂直な方向にも支持される。
このようにして切断装置1,1aが既設構造物3に対して前後方向A1,A2およびこの前後方向に垂直な方向B1,B2に支持された状態で、複動シリンダ7a,7bによって前進すると、既設構造物3が切刃部材5の刃先部4によって切断される。こうして切刃部材5によって既設構造物3を切断した後には、複動シリンダ7a,7bによって切刃組立体6を後退させて、切刃部材5を既設構造物3から抜き取り、腕部駆動手段60によって各腕部支持体9a,9bを引込み方向B2に移動させる。これによって切断装置1,1aは、既設構造物3に対して前後軸線L1およびこの前後軸線L1に垂直な方向に支持された状態が解除され、切断装置1,1aを次の未切断位置に移動させ、再び切刃部材5を前進および後退させて、既設構造物3を撤去可能な所望の大きさに切断し、前記従来技術に比べて工期の短縮および労力の削減を図り、容易かつ安全に既設構造物3を撤去することが可能となる。
また本実施形態によれば、切刃組立体6が複動シリンダ7a,7bに対して前後軸線L1まわりに回動可能に保持される回動取付部40を有するので、切刃部材5の前後軸線L1まわりの角度を自在に変更して、希望する角度で既設構造物3を切断することができる。これによって既設構造物3を構成する鉄筋コンクリート、特にコンクリート内に格子状に埋設されている鉄筋を確実に切断することができる。また、回動取付部40は、切刃部材5を着脱可能に取付けることができるように構成されるので、切刃部材5の刃先部4の欠損または摩耗したとき、新たな切刃部材5に容易に交換することができる。
また本実施形態によれば、回動取付部40が一対の操作レバー46a,46bを有するので、各操作レバー46a,46bを用いて切刃部材5の角度を容易に変更することができ、切刃部材5による既設構造物3の切断方向の変更作業を容易化することができる。
また本実施形態によれば、基台2に補助切刃部材14を備える補助切刃組立体15が前述の切刃組立体6に隣接して設けられるので、切刃組立体6の切刃部材5による切断位置に隣接した部位を、補助切刃組立体15の補助切刃部材14によって切断することができ、これによって切刃部材5だけを用いた切断作業に比べて、切断範囲および切断位置を拡張して、切断作業の効率を向上することができる。
また本実施形態によれば、基台2には横ビーム光照射手段170が設けられるので、既設構造物3内に切断装置1aを挿入した状態で、既設構造物3の内面3aに、各腕部支持体9a,9bの張出し方向B1および引込み方向B2を含む軸線に平行な可視光を照射し、切刃部材5による切断位置または補助切刃部材13による切断位置に対して、次に切断しようとする未切断位置の相対的に位置関係を作業者が容易かつ正確に認識することができ、これによって切断作業の効率を向上することができる。
また本実施形態によれば、基台2には縦ビーム光照射手段171が設けられるので、既設構造物3の内面3aに各腕部支持体9a,9bの張出し方向B1および引込み方向B2を含む軸線に垂直な軸線と平行に可視光を照射することができる。このような可視光によって、切刃部材5による切断位置または補助切刃部材13による切断位置に対して、次に予定される切断位置1aとの相対位置関係を容易かつ正確に認識することができ、切断装置による既設構造物3の高精度化および効率化を図ることができる。
また本実施形態によれば、反力受け支持体11に一対の案内ローラ172a,172bが設けられるので、切刃部材5を前進させて各案内ローラ172a,172bが既設構造物3の内面3aに接触すると、切断装置1aは各案内ローラ172a,172bの各回転軸線を含む第1仮想平面に対して垂直な第3仮想平面上に前後軸線L1が配置されるように位置決めされ、切刃部材5または補助切刃部材13の向きを一定の向きに安定化させることができる。
また本実施形態によれば、腕部駆動手段60が単一の複動シリンダ12とリンク手段61とを含んで構成されるので、各腕部支持体9a,9bを単一の複動シリンダ12によって同時に動作させることができ、これによって構成を小形化し、既設構造物3内の狭い空間内に切断装置1,1aを搬入して切断動作させることが可能となる。
また本実施形態によれば、前述のリンク手段61は複数のリンク部材63〜71を有し、これらのリンク部材63〜71は複動シリンダ61のピストン棒が最大長さに伸長された状態で、2つの出力端連結部のそれぞれと基台2とを、前後軸線L1と張出し方向B1および引込み方向B2を含む左右軸線L2とを含む第2仮想平面上で一直線状に連結し、各腕部支持体9a,9bが既設構造物3からの反力として受ける力を圧縮力として受けることができ、これによって各リンク部材63〜71の長手方向に垂直な断面が大きな曲げモーメントが作用する場合に比べて小さくすることができ、リンク手段61の構成が大形化しないという効果を奏することができる。
本発明は、次の実施の形態が可能である。
(1)地中に埋設され、鉄筋コンクリートから成る中空の既設構造物内に、刃先部を有し、予め定める前後軸線と平行に、刃先部が既設構造物の内面に近接する方向および離反する方向に移動する切刃部材を備える切断装置を搬入し、既設構造物を切断して撤去する既設構造物の撤去方法であって、
既設構造物内に切断装置を搬入する搬入工程と、
前記搬入工程で既設構造物内に搬入された切断装置の切刃部材を前進させて、前進および後退する方向に平行な前後軸線ならびに前後軸線を含む仮想平面上で、前後軸線に垂直な軸線方向に、切断装置を既設構造物によって支持し、切刃部材によって既設構造物を切断する切断工程と、
前記切断装置を、切刃部材を後退させて、前記切断工程で既設構造物を切断した位置から次の未切断位置へ移動させる移動工程と、
前記切断工程における切断動作と前記移動工程における移動動作とを繰り返して、既設構造物を破砕する破砕工程と、
前記破砕工程で破砕された既設構造物の破砕物を、地上へ搬出する搬出工程とを含むことを特徴とする既設構造物の撤去方法。
搬入工程で切断装置を既設構造物内に搬入し、切断工程において、切断装置の切刃部材を前進させて既設構造物を前後軸線および前後軸線に垂直な方向に切断し、さらに切断装置を未切断位置とさせた後、再び切断動作を繰り返し、既設構造物を破砕することができる。こうして破砕された破砕物は、地上へ搬出され、既設構造物を迅速かつ容易に破砕して、容易かつ安全に撤去することができる。
(2)前記切断工程は、
既設構造物を切刃部材によって、前後軸線に垂直な仮想平面上で、一方向に延びる直線に沿って切断する第1切断工程と、
既設構造物を切刃部材によって、前後軸線に垂直な仮想平面上で、前記一方向に垂直な他方向に延びる直線に沿って切断する第2切断工程とを含むことを特徴とする既設構造物の撤去方法。
切断工程において、第1工程では既設構造物を前後軸線に垂直な第1仮想平面上で一方向に延びる一直線に沿って切断し、また前記第1仮想平面上で一方向に垂直な他方向に延びる直線方向に沿って切断されるので、既設構造物内の鉄筋を確実に破断し、切断することができる。
(3)前記搬入工程前に、既設構造物を外囲するように、地上から地中に円筒状の土留め用ケーシングを圧入する圧入工程をさらに含むことを特徴とする既設構造物の撤去方法。
切断装置を既設構造物に搬入する前に、既設構造物を外囲するように土留め用ケーシングが地上から圧入されるので、既設構造物を切断して、その破砕物を撤去した後に、周囲の土砂が崩壊することが防がれるとともに、既設構造物の周囲の土砂の圧密が低い場合であっても、切断装置による切断時の反力を受け、切断装置を支持することができる。
(4)前記切断工程において、切断装置は、前後軸線と前後軸線に垂直な軸線とが既設構造物の中心軸線上で直交するように位置決めされた状態で、既設構造物によって支持されることを特徴とする既設構造物の撤去方法。
切断装置が既設構造物に対して前後軸線に加えて、前後軸線に垂直な軸線方向に位置決めされるので、切刃部材による切断位置が不用意にずれてしまうことが防がれ、正確に希望する切断位置を切断することが可能となる。
(5)既設構造物の前記切刃部材の刃先部が臨む領域を撮像するカメラと、
地上における予め定める設置位置に設置され、カメラによって撮像された前記刃先部が臨む領域の画像を表示する表示装置とを準備し、
表示装置に表示された前記刃先部が臨む領域の画像に基づいて、前記移動工程において切断装置を未切断位置に移動することを特徴とする既設構造物の撤去方法。
カメラによって撮像された画像を表示装置に表示し、表示された画像に基づいて、切断装置を移動させることができるので、既設構造物内が暗い場合であっても、切断装置の作業者などが容易かつ正確に切断位置を認識することができる。
(6)前記切断装置は、既設構造物の内面における前記切刃部材の刃先部が臨む領域に向かってファンビーム光を照射する照射装置を備え、
前記移動工程において、ファンビーム光の既設構造物の内面に照射された光像に基づいて、切断装置を未切断位置に移動することを特徴とする既設構造物の撤去方法。
ファンビーム光を既設構造物の内面に照射して、その光像に基づいて切断装置を未切断位置に移動させるので、切断位置をより正確に認識することができる。
以上のように本発明の実施形態は、切刃部材および/または補助切刃部材を複動油圧シリンダなどの駆動手段によって前進・後退させて既設構造物を切断するので、静的破壊によって騒音を抑制して、たとえば人孔深さ5mの既設構造物について、土留め用ケーシングの挿入から掘削撤去までを2日程度の短期間の施工を可能とし、作業者が人孔や土留め用ケーシング内に入らずに作業を遠隔操作で安全に作業を行うことができる。しかも切刃部材は前後軸線まわりに回動させることができるので、既設構造物を自在に切断することができ、使用上の自由度が高く、操作性が良好である。また既設ケーシングがない場合には、第1工程で土留め用ケーシングを圧入するので、周辺の地山を乱さない。さらに既設ケーシングがない場合、第1工程での土留め用ケーシングの圧入によって、既設管路をきれいな断面で切断することができる。
1 切断装置
2 基台
3 既設構造物
4 刃先部
5 切刃部材
6 切刃組立体
7a,7b,12,16 複動シリンダ
8,94,95 支持面
9a,9b 腕部支持体
10 反力受け面
11 反力受け支持体
13 補助切刃部材
14 補助切刃組立体
40 回動取付部
60 腕部駆動手段
61 リンク手段
113 作動油供給装置
140,140a 操作用制御装置
143,143a 制御装置本体
170 横ビーム光照射器
171 縦ビーム光照射器
172a,172b 案内ローラ
173 仮想円筒面
176 カメラ
177 表示装置

Claims (8)

  1. 鉄筋コンクリートから成る中空の既設構造物内に設けられて、既設構造物を切断する切断装置であって、
    既設構造物の切断時における荷重に対して耐荷重性を有する構造体から成る基台と、
    基台に移動可能に設けられ、既設構造物の内面に向かう前進方向に、該既設構造物を切断可能な刃先部を有する切刃部材を備える切刃組立体と、
    基台に固定され、切刃組立体を、予め定める前後軸線と平行に刃先部が既設構造物の内面に近接する方向および離反する方向に移動させる切刃駆動手段と、
    基台に、前後軸線に垂直でかつ基台から側方に離反する張出し方向、および前後軸線に垂直でかつ基台に近接する引込み方向に移動可能に設けられ、既設構造物の内面を支持する支持面を有する一対の腕部支持体と、
    基台に、基台から突出して設けられ、既設構造物の内面からの反力を受ける反力受け面を有する反力受け支持体と、
    基台に設けられ、各腕部支持体の少なくとも一方を、張出し方向および引込み方向に移動させる腕部駆動手段と、
    前記反力受け支持体に設けられる案内ローラであって、
    前後軸線に垂直な仮想平面上で、張出し方向および引込み方向に垂直な軸線を中心として、反力受け面の一部が内接する仮想円筒面よりも外方に部分的に突出し、張出し方向および引込み方向に垂直な回転軸線まわりに回転自在に設けられる一対の案内ローラとを含むことを特徴とする切断装置。
  2. 前記切刃組立体は、切刃駆動手段によって、前後軸線まわりに回動可能に保持される回動取付部を有し、
    前記回動取付部には、切刃部材が着脱可能に取付けられることを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
  3. 前記回動取付部は、前後軸線を含む仮想一平面に対して垂直に延びる一対の操作レバーを有することを特徴とする請求項2に記載の切断装置。
  4. 基台に、切刃組立体に隣接して移動可能に設けられ、既設構造物を切断可能な補助刃先部を有する補助切刃部材を備える補助切刃組立体と、
    基台に固定され、補助切刃組立体を、前後軸線と平行に補助刃先部が既設構造物の内面に近接する方向および離反する方向に移動させる補助切刃駆動手段とをさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の切断装置。
  5. 基台に設けられる横ビーム光照射手段であって、
    前後軸線に垂直な仮想平面上で、張出し方向および引込み方向に平行な直線状に延びるように、切刃部材の刃先部の前方に向かって可視光を照射する横ビーム光照射手段をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の切断装置。
  6. 基台に設けられる縦ビーム光照射手段であって、
    前後軸線に垂直な仮想平面上で、張出し方向および引込み方向に垂直な直線状に延びるように、切刃部材の刃先部の前方に向かって可視光を照射する縦ビーム光照射手段をさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の切断装置。
  7. 前記腕部駆動手段は、
    伸長および縮退するピストン棒を有する単一の複動シリンダと、
    ピストン棒に連結される1つの入力端連結部、および各腕部支持体にそれぞれ連結される2つの出力端連結部を有するリンク手段とを含むことを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか1つに記載の切断装置。
  8. 前記リンク手段は、複動シリンダのピストン棒が最大長さに伸長されたとき、2つの出力端連結部のそれぞれを基台に、前後軸線と、張出し方向および引込み方向に平行な軸線とを含む仮想平面上で一直線状に連結する複数のリンク部材を有することを特徴とする請求項に記載の切断装置。
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