JP5941852B2 - 蒸散燃料エミッションの低減方法、キャニスタ並びにその吸着剤 - Google Patents

蒸散燃料エミッションの低減方法、キャニスタ並びにその吸着剤 Download PDF

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Description

本発明は、自動車などのベヒクルの燃料タンクから蒸発(又は蒸散)した燃料(ガソリンなど)を吸着し、エンジン駆動に伴って燃料(ガソリンなど)を脱着させてエンジン内で燃焼させる蒸散燃料抑制装置(キャニスタ)において、蒸散燃料エミッション(蒸散燃料の放出)を大きく低減するのに有用な方法、この方法が適用されるキャニスタ、並びに前記方法及びキャニスタに適用される吸着剤に関する。より具体的には、本発明は特定のブタン有効吸着性能とブタン脱着性能とを有する活性炭吸着剤を用い、ベヒクル(自動車など)からの蒸散燃料エミッションを低減させる方法、この方法が有効に利用されるキャニスタ、並びにキャニスタ用吸着剤に関する。
自動車には、ガソリン内燃機関の燃料タンクから蒸散燃料が大気中に放出されるのを低減するため、蒸散燃料抑制装置(キャニスタ)が用いられている。この装置では、一般的に、活性炭などの吸着剤が充填され、燃料タンクからの蒸散燃料が吸着、捕集されるとともに、エンジン駆動時には、キャニスタ内に燃焼用の空気を導入して、吸着された蒸散燃料を脱着し、エンジン内にて燃焼させている。米国では、給油時の揮発ガソリンも捕捉するため、大型のキャニスタ(On Board Refueling Vapor Recovery, ORVR)が設置されている。
近年では、大気環境改善及び地球温暖化防止に対する関心が世界的に高まる中で、自動車に求められる環境対策は厳しくなる一方である。米国においては自動車から排出される燃料蒸気についての規制として、LEVII規制、PZEV規制が存在しているが、今後はさらにこの規制が強化され、LEVII規制はLEVIII規制(ほぼPZEV規制と同等)になり、2014年からはカリフォルニア州において段階的に導入施行される。
このような厳しい環境規制を達成するため、燃料自動車に適したキャニスタ及びキャニスタ内に充填している活性炭、キャニスタ内の活性炭を組み合わせる方法が検討されている。
特表2005−510654号公報(特許文献1)には、燃料蒸気を一次吸着剤及び二次吸着剤に接触させる工程を有し、5容量%のn−ブタン蒸気濃度と50容量%のn−ブタン蒸気濃度とにおいて、n−ブタンの吸着容量を25℃で測定したとき、n−ブタンの吸着容量の差が35g/Lを超える一次吸着剤と、n−ブタンの吸着容量の差が35g/L未満の二次吸着剤とを用い、燃料蒸気エミッションを減少させる方法が開示されている。この文献には、キャニスタの燃料タンク側に配置される一次吸着剤として一般的な高い吸着性能を有する活性炭を使用し、排気側に配置される二次吸着剤として、広い燃料蒸気濃度にわたって吸着性能が一定であり、吸着性能は高くないが脱着性能の高い吸着剤を用い、低エミッション性能を達成している。また、この文献には、二次吸着剤が、非吸着フィラーを付加して容積希釈されていることも記載されている。
特開2009−19572号公報(特許文献2)には、蒸散燃料の導入口に近い吸着剤層を、細孔の大きさが1nm以上100nm未満のミクロポーラス構造の吸着剤で形成し、排気口に近い吸着剤層を、ミクロポーラス構造に加えて細孔の大きさが100nm以上のマクロポーラス構造の吸着剤で形成し、キャニスタの排気口から蒸発燃料が外部に漏出するのを抑制することが開示されている。さらに、この文献には、ミクロポーラス構造の細粒吸着剤(成形活性炭又は破砕活性炭)と、この細粒吸着剤よりも粒子径が大きく、ミクロポーラス構造とマクロポーラス構造とを有する大粒吸着剤(成形活性炭)とを併用すること、粉末状の活性炭に対して、バインダーとして粉末状のベントナイト、シリカゾル、アルミナゾルのうち少なくとも一つと、焼成に伴ってガス化可能な粉末状のメルタブルコア物質とを、水とともに混合し、混合物を円柱状に成形して乾燥させ、焼成することにより、大粒吸着剤を得ることも記載されている。
しかし、これらの文献に記載のキャニスタでは、キャニスタへの負荷量(停車時にガソリンタンクから蒸散するガソリン成分量)が大きくなると、低エミッション性能が損なわれる場合がある。
また、最近は、ガソリンエンジンと電気モーターとの併用型であるハイブリッド車が主流になりつつある。このハイブリッド車では、キャニスタで吸着された蒸散燃料成分を脱着し、エンジンへ導入して燃料として使用するためのパージ空気量が大幅に低減されるため、キャニスタへの負荷量は大きくなる。このようにキャニスタへの負荷量が大きい場合でも、低エミッション性能を達成することが望まれている。そのためには、蒸散燃料のトラップ能力及び脱着性能の双方の特性を発現させることが重要となる。
なお、WO 2009/031467 A1(特許文献3)には、水銀ポロシーで測定した平均直径3000〜100000nmの範囲の積算細孔容積が6.5mL/dl以上であり、n−ブタン容量濃度2000ppmでの平衡吸着量が0.16g/dl以上である吸着剤を、蒸散燃料ガス吸着に用いることが記載されている。この文献には、活性炭、滑り剤、酸に可溶な無機化合物(炭酸カルシウムなど)、酸に対して耐性を有する骨材、バインダー及び水を混合して造粒し、乾燥して整粒し、酸で無機化合物を溶解し、水洗、乾燥して吸着剤を製造することが記載され、活性炭100重量部に対して、骨材及び炭酸カルシウムの総量が75重量部以上の例が記載されている。しかし、この文献では、活性炭に対して、骨材及び酸に可溶な無機化合物を多量に用いる必要があり、蒸散燃料のトラップ又は吸着効率が未だ十分でない。
特表2005−510654号公報(特許請求の範囲) 特開2009−19572号公報(特許請求の範囲) WO 2009/031467 A1(特許請求の範囲、実施例)
従って、本発明の目的は、蒸散燃料成分に対して必要な吸着性能を維持しつつ、低エミッション性能(低放出性能)を実現できる蒸散燃料エミッションの低減方法、この方法が有効なキャニスタ並びに吸着剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、キャニスタへの負荷量が大きくても、低エミッション性能を達成できる蒸散燃料エミッションの低減方法、この方法を有効に活用できるキャニスタ、並びに吸着剤を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、蒸散燃料成分に対してトラップ能及び脱着能を大きく改善できる蒸散燃料エミッションの低減方法、この方法を有効に活用できるキャニスタ、並びに吸着剤を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、吸着活性の高い活性炭と吸着に不活性な非吸着部としての固体希釈剤とで吸着剤を形成し、所定のブタン有効吸着量およびブタン脱着率とすると、キャニスタ全体として必要な吸着性能と脱着性能を両立でき、蒸散燃料エミッションを低減できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の方法では、第1の吸着剤が充填された少なくとも1つの第1の区画から第2の吸着剤が充填された少なくとも1つの第2の区画に向けてガス状の蒸散燃料を流通させて第1の吸着剤及び第2の吸着剤で蒸散燃料を順次吸着し、第2の区画から第1の区画に向けて気体をパージして吸着した蒸散燃料を第2の吸着剤及び第1の吸着剤から脱着させて、蒸散燃料の放出を低減する。この方法において、前記第2の吸着剤として、5容量%のn−ブタン蒸気濃度と50容量%のn−ブタン蒸気濃度とにおいて、n−ブタンの吸着容量を25℃で測定したとき、n−ブタンの吸着容量の差が35g/L以上であり、ASTM D5228に準拠して測定したブタン有効吸着量が8g/dL以上であり、ASTM D5228に準拠して測定したパージ空気量が、吸着剤容積に対して30ベッドボリュームのパージ空気量であるとき、ブタン脱着率が45%以上であり、吸着部としての活性炭と非吸着部としての固体希釈剤とで構成されている吸着剤を用いることにより、蒸散燃料の放出を低減する。
また、本発明の方法では、少なくとも1つの第1の区画と、この第1の区画と通じ、かつ第1の区画の下流側に形成された少なくとも1つの第2の区画と、第1の区画と第2の区画とに充填され、かつガス状の蒸散燃料を吸脱着するための吸着剤とを備えたキャニスタを用いて、蒸散燃料の放出を低減する。この方法では、前記第2の区画の第2の吸着剤として、5容量%のn−ブタン蒸気濃度と50容量%のn−ブタン蒸気濃度とにおいて、n−ブタンの吸着容量を25℃で測定したとき、n−ブタンの吸着容量の差が35g/L以上であり、ASTM D5228に準拠して測定したブタン有効吸着量が8g/dL以上であり、ASTM D5228に準拠して測定したパージ空気量が、吸着剤容積に対して30ベッドボリュームのパージ空気量であるとき、ブタン脱着率が45%以上であり、吸着部としての活性炭と非吸着部としての固体希釈剤とで構成されている吸着剤を用い、蒸散燃料の放出を低減する。
本発明では、n−ブタンの吸着容量の差が大きいため、蒸散燃料の濃度が大きく変化しても、蒸散燃料のリークを有効に防止できる。特に、第2の吸着剤のn−ブタンの吸着容量の差が大きく、しかも大きなブタン有効吸着量及びブタン脱着率を有するため、キャニスタの容積(容量)が小さくても、ガソリンなどの燃料を有効に吸着及び脱着できるとともに、パージ空気量が少なくても蒸散燃料をトラップしつつ放出を防止できる。そのため、蒸散燃料のトラップと低エミッションとを両立できる。
なお、第2の区画の第2の吸着剤の容量は、第1の区画及び第2の区画全体の内容積に対して、5〜30%程度であってもよい。また、吸着剤(第2の吸着剤)は、活性炭と固体希釈剤(又は不活性固体担体)との造粒体で形成してもよい。例えば、活性炭100質量部に対して固体希釈剤50〜150質量部(例えば、60〜140質量部)の割合で含む造粒体で形成してもよい。前記固体希釈剤は、金属酸化物、金属炭酸塩及び黒鉛から選択された少なくとも一種であってもよい。例えば、固体希釈剤が、酸化マグネシウム及び/又は黒鉛であってもよい。さらに、吸着剤(第2の吸着剤)は、活性炭と、溶媒又は薬液に可溶な固体希釈剤と、前記溶媒又は薬液に不溶なバインダーとの造粒体において、固体希釈剤を溶媒又は薬液で部分的に溶出して除去した造粒体であってもよい。この造粒体は、例えば、活性炭と、酸に可溶な固体希釈剤と、酸に不溶なバインダー樹脂とを含む造粒体であって、固体希釈剤が酸により部分的に溶出除去された造粒体であってもよい。具体的には、活性炭と、酸に可溶な固体希釈剤と、酸に不溶なバインダー樹脂とを含み、活性炭100質量部に対する酸に可溶な固体希釈剤の割合が40〜150質量部である造粒体であって、固体希釈剤(炭酸カルシウムなど)が酸により部分的に溶出除去された造粒体であってもよい。
本発明は、少なくとも1つの第1の区画と、この第1の区画と通じ、かつ第1の区画の下流側に形成された少なくとも1つの第2の区画とを備えたケーシングと、第1の区画と第2の区画とに充填され、かつガス状の蒸散燃料(蒸発燃料)を吸脱着するための吸着剤と、前記ケーシングに形成され、かつ第1の区画に蒸散燃料(蒸発燃料)を導入するための導入口と、前記ケーシングに形成され、かつ最下流の区画からの気流を排気するための排気口とを備え、第1の区画に充填された第1の吸着剤よりも蒸散燃料(蒸発燃料)に対する吸着能の低い第2の吸着剤が第2の区画に充填され、前記排気口からの吸気ガスにより各区画の吸着剤に吸着した蒸散燃料(蒸発燃料)を吸着剤から脱離させるキャニスタ、及びこのキャニスタを備えている自動車も包含する。前記キャニスタでは、前記第2の吸着剤として、前記特性を有する吸着剤が使用される。
前記キャニスタは、単一のケーシングを備えていてもよく、少なくとも第1の区画を含む第1のケーシングと、この第1のケーシングに直列に連結され、かつ少なくとも第2の区画を含む第2のケーシングとを備えていてもよい。
本発明は、少なくとも1つの第1の区画内の第1の吸着剤が吸着できなかったガス状の蒸散燃料(蒸発燃料)を、前記第1の区画の下流側に形成された少なくとも1つの第2の区画内で吸着するとともに、吸着した蒸散燃料を脱着させ、蒸散燃料の放出を低減するための吸着剤も包含する。この吸着剤は、第2の吸着剤で構成されている。
なお、本願明細書では、「下流側」「下流方向」とは、導入口から導入された流体の流れ方向を意味する。
本発明では、所定のブタン吸着量および所定パージ空気量でのブタン脱着率を有する吸着剤を活性炭と固体希釈剤とで形成し、第2の区画に配置しているため、キャニスタに必要な吸着性能を維持しつつ、蒸散燃料の低エミッション性能を実現できる。また、吸着剤あたりのパージ空気量の負荷が増大させることが可能であり、脱着率を向上させつつ蒸散燃料を有効に処理できる。そのため、キャニスタへの負荷量が大きくても、低エミッション性能(蒸散燃料エミッションの低減)を達成できる。また、パージ空気量が低い条件下(キャニスタへの負荷が大きい条件)でも蒸散燃料成分に対してトラップ能及び脱着能を大きく改善できるため、従来よりも低いパージ空気量でのキャニスタ使用を想定したハイブリッド車に好適である。
図1は、蒸散燃料抑制装置(キャニスタ)の一例を示す概略構成図である。 図2は、第2の吸着剤の配合割合と蒸散燃料のエミッション量との関係を示すグラフである。
以下に、必要により添付図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
図1は蒸散燃料抑制装置(キャニスタ)の一例を示す概略構成図である。このキャニスタは、仕切り板(障壁)4により、第1の区画(主室)2と、この第1の区画(主室)の下流域に位置する第2の区画(副室)3とに区画されたケーシング1と、このケーシングに形成され、第1の区画2に燃料タンクからの蒸散燃料を導入するための導入口7と、前記ケーシング1に形成され、第2の区画3からの気流を排気するための排気口8とを備えている。
前記仕切り板4の延出端部側の前記ケーシング1内には、フィルタを備えた多孔板状の分散板5が配設され、前記仕切り板4の延出端部とケーシング1との間には、第1の区画(主室)2と第2の区画(副室)3とを流通させるための流路(又は通路)9が形成されている。さらに、導入口7及び排気口8の前記ケーシング1(第1の区画(主室)2及び第2の区画(副室)3)内にも、フィルタを備えた多孔板状の分散板6が配設されている。なお、前記ケーシング1には、第1の区画(主室)2と通じ、エンジン吸気系と接続される供給口10が形成されている。
前記第1の区画(主室)2及び第2の区画(副室)3には、それぞれ第1の吸着剤11及び第2の吸着剤12が充填又は収容され、第2の吸着剤12には、5容量%のn−ブタン蒸気濃度と50容量%のn−ブタン蒸気濃度とにおいて、n−ブタンの吸着容量を25℃で測定したとき、n−ブタンの吸着容量の差が35g/L以上であり、ASTM D5228に準拠して測定したブタン有効吸着量が8g/dL以上である吸着剤が使用されている。
このようなキャニスタでは、自動車のエンジンが停止すると、燃料タンクからの蒸散燃料が、導入口7を通じて第1の区画2に導入されて第1の吸着剤11で吸着され、前記流路9を経て第2の区画3に導入されて第2の吸着剤12で吸着され、排気口8から排出される。一方、自動車のエンジンが駆動すると、最下流の第2の区画3から第1の区画2に向けて排気口8から空気が吸気される。すなわち、自動車のエンジンが駆動すると、前記排気口からの吸気ガスにより第2の区画3の第2の吸着剤12及び第1の区画2の第1の吸着剤11から吸着された蒸散燃料が脱着(遊離又は脱離)し、供給口10を通じてエンジンに供給される。
なお、キャニスタは、少なくとも1つの第1の区画(主室)と少なくとも1つの第2の区画(副室)を備えていればよく、第1の区画(主室)及び第2の区画(副室)は、それぞれ単数であってもよく、複数であってもよい。第1の区画(主室)と第2の区画(副室)とは直列的に配置されており、複数の第1の区画(主室)及び複数の第2の区画(副室)は、必要であれば、並列的に配置してもよい。また、導入口は、最上流側の第1の区画に通じてケーシングに形成すればよく、排気口は最下流側の第2の区画と通じてケーシングに形成されていればよい。
また、第1の区画及び第2の区画全体の内容積に対して、第2の区画の第2の吸着剤の容量は、5〜30%、好ましくは10〜25%、さらに好ましくは10〜20%程度であってもよい。本発明では、第2の区画に特定の第2の吸着剤を収容又は充填するため、第2の区画の吸着剤の容量を低減することもできる。
さらに、ケーシングは、互いに通じる複数の部屋(直列に配設された部屋)に区画されていれば、単一のケーシングであってもよく、複数のケーシングで構成してもよい。例えば、少なくとも最上流の第1の区画を含む第1のケーシングと、この第1のケーシングに直列に連結され、かつ少なくとも最下流の第2の区画を含む第2のケーシングとでケーシングを形成してもよい。
このようなキャニスタでは、エンジン停止に伴って、第1の吸着剤が吸着できなかったガス状の蒸散燃料を、下流側の第2の吸着剤で吸着処理し、エンジンの駆動に伴って、第2の吸着剤及び第1の吸着剤から吸着された蒸散燃料が脱着(遊離)する必要がある。そのため、第2の吸着剤には、蒸散燃料に対する相反する特性である高い吸着性と高い脱着性が要求される。
本発明では、蒸散燃料に対する高い吸着性と高い脱着性とを両立させるため、第2の吸着剤としては、活性炭と固体希釈剤とで構成され、かつブタン有効吸着量が大きく、しかもブタン脱着率の高い吸着剤を用いる。そのため、本発明では、従来使用されていた吸着剤よりも停車時に発生するガスを、高いブタン有効吸着量の第2の吸着剤で有効にトラップ又は吸着でき、蒸散燃料の放出を低減できる。しかも、パージ空気量が低い条件下(キャニスタへの負荷が大きい条件)でも蒸散燃料成分を脱着でき、蒸散燃料を有効に利用できる。なお、吸着剤(第2の吸着剤)は、第1の吸着剤よりも蒸散燃料に対する吸着能が低い場合が多い。
すなわち、吸着剤(第2の吸着剤)は、5容量%のn−ブタン蒸気濃度と50容量%のn−ブタン蒸気濃度とにおいて、n−ブタンの吸着容量を、JIS K 1474「溶剤蒸気の吸着方法」に従って、25℃で測定したとき、n−ブタンの吸着容量の差が大きく、35g/L以上である。n−ブタンの吸着容量の差は、例えば、35〜60g/L、好ましくは36〜55g/L、さらに好ましくは36〜50g/L(例えば、37〜48g/L)程度である。n−ブタンの吸着容量の差が35g/L以上と大きいため、蒸散燃料の濃度変化が生じても広い濃度範囲で蒸散燃料のリークを防止できる。n−ブタンの吸着容量の差が35g/L未満であると、蒸散燃料放出量(エミッション量)が著しく大きくなる。また、蒸散燃料放出量は、単純にn−ブタンの吸着容量の差だけに依存するものではなく、ブタン有効吸着量及びブタン脱着率も複雑に関与しているようである。なお、n−ブタンの吸着容量は、5容量%のn−ブタン蒸気濃度に比べて50容量%のn−ブタン蒸気濃度で大きくなる。
吸着剤(第2の吸着剤)のブタン有効吸着量(BWC)は、ASTM D5228に準拠して測定したとき、8g/dL以上(例えば、8〜15g/dL)、好ましくは8.5〜13g/dL、さらに好ましくは9〜12.5g/dL(例えば、9.5〜11.5g/dL)程度である。第2の吸着剤のブタン有効吸着量が小さ過ぎると、蒸散燃料を有効に吸着し、蒸散燃料の放出を低減するのが困難となり、大きすぎると、吸着した蒸散燃料の脱着率が低下する場合がある。
また、吸着剤(第2の吸着剤)は、ASTM D5228に準拠して測定したパージ空気量が、吸着剤容積に対して30ベッドボリュームのパージ空気量であるとき、ブタン脱着率は45%以上(例えば、45〜70%)、好ましくは45〜65%(例えば、46〜60%)、さらに好ましくは45〜55%程度である。ブタン脱着率が小さすぎると、吸着した蒸散燃料を燃料として有効に再利用できなくなる。なお、脱着率が大きすぎると、蒸散燃料の吸着効率が低下する場合がある。
なお、パージ空気量とは、蒸散燃料を脱着させるために通気する空気量を意味し、本発明では、蒸散燃料の脱着性能を、ASTM準拠の測定方法で、吸着剤容積に対して30ベッドボリュームのパージ空気量を流した時点でのブタン脱着率で評価している。そして、従来のキャニスタの性能評価でのパージ空気量がキャニスタ容積の300〜400ベッドボリュームであると考えられるのに対して、本発明では、パージ空気量が、キャニスタ容積の70〜150ベッドボリュームの低いパージ量であることを想定しており、上記30ベッドボリュームのパージ空気量でのブタン脱着率を、キャニスタへの大きな負荷量における活性炭の高脱性能を表す指標としている。
本発明では、吸着剤(第2の吸着剤)が所定のn−ブタンの吸着容量の差、ブタン有効吸着量及びブタン脱着率を有するため、ガソリンなどの燃料の脱着時のパージ空気量が少なくても、蒸散燃料のトラップと低エミッションとを両立できる。
吸着剤(第2の吸着剤)のベースとなる活性炭は、原料となる炭素質材料を炭化し賦活することにより得られ、前記炭素質材料は、賦活により活性炭を形成するものであれば特に制限はなく、植物系、鉱物系、天然素材及び合成素材などから広く選択できる。具体的には、植物系炭素質材料としては、例えば、木材、竹、木炭、籾ガラ、ヤシ殻などの果実殻などが例示でき、鉱物系炭素質材料としては、例えば、石炭類(例えば、泥炭、亜炭、亜瀝青炭、瀝青炭、半無煙炭、無煙炭など)、石油系及び/又は石油系ピッチ、コークスなどが例示できる。天然素材(又は天然高分子)としては、例えば、デンプン、セルロース(木綿、麻などの天然繊維など)、再生樹脂(レーヨン、ビスコースレーヨンなどの再生繊維など)、半合成樹脂[セルロースエステル(アセテート、トリアセテートなど)の半合成繊維など]が例示でき、合成素材(又は合成高分子)としては、例えば、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、ビニロンなどのポリビニルアルコール系樹脂、アクリル系樹脂(ポリアクリロニトリル系樹脂など)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、フラン系樹脂、エポキシ樹脂などが例示できる。これらの炭素質材料は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの炭素質材料のうち、鉱物系炭素質材料、中でも石炭類を炭素質材料とした活性炭は、蒸散燃料の吸脱着に適した細孔を有しており、蒸散燃料を吸着する性能が高い。そのため、鉱物系炭素質材料(特に、瀝青炭、無煙炭などの石炭類)は、本発明に係る吸着剤のベースとなる活性炭の原料となる炭素質材料として好ましい。
炭素質材料の炭化及び賦活条件は特に制限されず、慣用の条件を採用できる。通常、炭素質材料の炭化は、酸素又は空気を遮断して、例えば、400〜800℃、好ましくは500〜800℃、さらに好ましくは550〜750℃程度で行うことができる。また、賦活は、炭化された炭素質材料を、通常、例えば、700〜1100℃、好ましくは800〜980℃(例えば、850〜950℃)程度で、賦活ガス(例えば、水蒸気、二酸化炭素ガスなど)と反応させることにより行うことができる。
活性炭のBET比表面積は、例えば、250〜1500m/g、好ましくは350〜1200m/g、さらに好ましくは500〜1000m/g程度である。
活性炭の吸着性能は、ASTM D5228に準拠して測定したとき、ブタン有効吸着量(BWC)が10g/dL以上(例えば、10〜20g/dL)、好ましくは12.5g/dL以上(例えば、12.5〜17g/dL)、さらに好ましくは13〜15g/dLであり、10〜17g/dL(例えば、11〜15g/dL)程度であってもよい。
活性炭は、通常、粉粒状の形態で使用でき、粉末状活性炭の平均粒子径は、例えば、1〜500μm、好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは10〜50μm程度であってもよい。
活性炭の平均細孔径は、例えば、0.1〜100nm、好ましくは0.3〜50nm(例えば、0.3〜25nm)、さらに好ましくは0.5〜10nm(例えば、0.5〜5nm)程度である。
前記固体希釈剤は、吸着に寄与せず、吸着に不活性な不活性固体担体で構成できる。すなわち、吸着能及び/又は脱着能を有する固形担体を固体希釈剤に用いると、固体希釈剤自体に蒸散燃料が残留して、蒸散燃料の脱着性能を低下させる。
固体希釈剤としては、有機物及び無機物のいずれも使用でき、有機物としては、例えば、樹脂(ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどの結晶性樹脂など)などが例示でき、無機物としては、例えば、金属酸化物(酸化鉄、アルミナ、シリカ又はガラス、酸化マグネシウム、酸化マンガンなど)、金属水酸化物(水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど)、金属炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなど)、黒鉛などが例示できる。これらの固体希釈剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、無機物の金属としては、アルカリ土類金属などの多価金属である場合が多い。これらの固体希釈剤のうち、造粒性の高い成分、例えば、金属酸化物(酸化マグネシウムなど)及び黒鉛が好ましい。
固体希釈剤は、通常、粉粒状の形態で使用され、固体希釈剤の平均粒子径は、例えば、0.01〜100μm程度の範囲から選択でき、通常、0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μm、さらに好ましくは0.1〜5μm(例えば、0.1〜2μm)程度であってもよい。なお、活性炭の平均粒子径と固体希釈剤の平均粒子径の比率は、例えば、前者/後者=100/1〜0.01/1、好ましくは50/1〜1/1、さらに好ましくは25/1〜2/1(例えば、15/1〜3/1)程度であってもよい。両者の平均粒子径を特定の比率とすることにより、蒸散燃料を含む気流(又は空気流)とパージ空気との接触効率を高めることができ、蒸散燃料の吸脱着効率を高めることができる。
活性炭に対する固体希釈剤の使用量は、活性炭の種類に応じて任意に選択でき、一般的に、活性炭に対する固体希釈剤の割合が増加するほど、同一量の空気パージでの蒸散燃料に対する脱着効率を向上できる。なお、固体希釈剤の割合が少ないと、蒸散燃料に対する必要な吸着性能を得ることはできるが脱着性能を向上できず、逆に固体希釈剤の割合が多いと、蒸散燃料に対する脱着性能は向上するが必要な吸着性能を維持できない。そのため、所望の吸着性能と脱着性能を両立させるためには、固体希釈剤を適切な割合で活性炭と混合する必要があり、例えば、固体希釈剤の使用量は、活性炭100質量部に対して50〜150質量部(例えば、55〜145質量部)程度の範囲から選択でき、通常、60〜140質量部(例えば、60〜130質量部)、好ましくは60〜120質量部程度である。本発明では、活性炭に対する固体希釈剤の使用割合を低減することにより、蒸散燃料を有効にトラップ又は吸着できるとともに、パージ空気量が低い条件下(キャニスタへの負荷が大きい条件)でも蒸散燃料成分を脱着でき、蒸散燃料の放出を低減しつつ、蒸散燃料を有効に利用できる。
吸着剤(第2の吸着剤)は、活性炭が吸着部として機能し、固体希釈剤が非吸着部(又は吸着に対する不活性部)として機能すればよく、両者は分離していてもよく、一体化していてもよい。活性炭は、固体希釈剤との混合物の形態で希釈されていてもよいが、所望の吸着性能と脱着性能を長期間に亘り両立させるためには、活性炭と固体希釈剤とが分離せずに第2の区画内に均一に存在する形態、特に、活性炭と固体希釈剤とを含む造粒体の形態(活性炭と固体希釈剤とが接合して一体化した形態)で固体希釈剤により希釈されているのが好ましい。
この造粒体は、粉末状固体希釈剤と活性炭粉末とを混合し、造粒成形することにより得ることができる。この造粒方法では、前記混合物にバインダーを加えて成形する一般的な造粒方法(例えば、押出造粒、転動造粒、噴霧造粒、流動層造粒など)が採用できる。
バインダーの種類は、蒸散燃料の吸着及び脱着雰囲気で短時間内に溶出又は劣化しない限り特に限定されないが、バインダーの種類によって造粒物の硬度が決定すること、バインダーによって活性炭の細孔閉塞が起こる可能性があるため、バインダー種類の選択とその使用量を調整する必要がある。バインダーは、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂であってもよい。バインダーとしては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体など)、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂などが例示できる。これらのバインダーは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。バインダーは、ホットメルト接着剤などのように熱接着性樹脂であってもよく、水性(水性媒体に溶解又は分散した形態)又は油性(有機溶剤に溶解した形態)であってもよい。バインダーは、ポリウレタン系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョンなどのように、分散体(特に、エマルジョンなどの水性分散体)の形態で使用する場合が多い。
造粒成形に用いるバインダーの割合は、活性炭100質量部に対して、固形分換算で、例えば、5〜40質量部(例えば、5〜35質量部)、好ましくは10〜30質量部、さらに好ましくは15〜25質量部程度である。本発明では、活性炭に対するバインダーの使用量を低減することにより、蒸散燃料及びパージ空気と活性炭との接触効率を高めることができ、蒸散燃料を有効にトラップ又は吸着して蒸散燃料の放出を低減できるとともに、パージ空気量が低い条件下でも蒸散燃料成分を脱着できる。バインダーを用いて造粒成形した後、所定の温度で乾燥することにより実用的な硬度を有する吸着剤を得ることができる。
なお、造粒性と造粒物の密度を調整するため、活性炭と固体希釈剤との混合物に水を添加して混合しながら造粒するのが望ましい。水の使用量は、例えば、活性炭100質量部に対して110〜200質量部(例えば、130〜195質量部)、好ましくは150〜190質量部程度である。
造粒性を向上させるため、活性炭と固体希釈剤との混合物には滑り剤を混合してもよい。滑り剤を用いることにより、吸着剤(造粒吸着剤)全体に対する活性炭及び固体希釈剤の割合が多くても造粒性を向上できる。滑り剤としては、例えば、ベントナイト系化合物、セルロース系化合物、及びポリビニルアルコール系化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種が使用できる。ベントナイト系化合物としては、例えば、ナトリウムベントナイト、カルシウムベントナイトなどが例示でき、セルロース系化合物としては、例えば、セルロース、セルロース誘導体(セルロースエーテル類、例えば、メチルセルロースなどのアルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース又はその塩;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシアルキルアルキルセルロースなど)などが例示できる。セルロース系化合物としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースが好ましい。ポリビニルアルコール系化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、各種変性ポリビニルアルコールなどが例示できる。
滑り剤の使用量は、活性炭100質量部に対して1〜10質量部(例えば、2〜8質量部)、好ましくは3〜6質量部程度である。
吸着剤(第2の吸着剤)は、活性炭のポア(細孔)以外に空隙を有する造粒体であってもよい。この造粒体は、活性炭と、溶媒又は薬液に可溶な固体希釈剤(空隙を形成する固体希釈剤、可溶性固体希釈剤)と、前記溶媒又は薬液に不溶なバインダーとの造粒体において、部分的に固体希釈剤を溶媒又は薬液で溶出して除去した造粒体に相当する。すなわち、空隙を有する吸着剤は、バインダーを用いて固体希釈剤と活性炭との混合物を造粒又は成形し、造粒物を乾燥した後、溶媒又は薬液で洗浄し、少なくとも一部の固体希釈剤を除去し、再度乾燥することにより得ることができ、通常、実用的な硬度を有している。可溶性固体希釈剤は前記固体希釈剤と併用してもよい。
溶媒又は薬液に可溶な固体希釈剤(空隙を形成する固体希釈剤)としては、例えば、水に可溶な成分(例えば、ショ糖、乳糖、ブドウ糖、果糖などの糖類、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトールなどの糖アルコール類など)、有機溶媒に可溶な成分(例えば、スチレンを単量体とする単独重合体(ポリスチレン)又は共重合体など)、酸に可溶な成分(無機化合物、例えば、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物など;塩基性高分子、例えば、N,N−ジアルキルアミノC2−3アルキル(メタ)アクリレートを単量体とする単独又は共重合体など)、アルカリに可溶な成分(酸性高分子、例えば、(メタ)アクリル酸を単量体とする単独又は共重合体など)などが例示できる。これらの、可溶性固体希釈剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。なお、溶媒又は薬液による溶出において、粘稠となりやすい高分子よりも、低粘度の溶出物を形成する固体希釈剤が好ましい。このような固体希釈剤としては、酸に可溶な無機化合物(金属酸化物、金属炭酸塩、金属水酸化物などの多価金属化合物)、中でも炭酸カルシウムが好ましい。
空隙を形成するための前記固体希釈剤の平均粒子径は、所望する空隙の大きさに応じて選択でき、例えば、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは1〜5μm(例えば、1〜2.5μm)程度であってもよい。なお、活性炭の平均粒子径と空隙形成用固体希釈剤の平均粒子径の比率は、例えば、前者/後者=300/1〜0.01/1、好ましくは250/1〜1/1、さらに好ましくは100/1〜10/1程度であってもよい。
空隙を形成するための前記固体希釈剤の使用量は、吸着剤に対する所望する空隙の大きさ及び割合に応じて、活性炭100質量部に対して、10〜150質量部程度の範囲から選択でき、通常、25〜150質量部(例えば、40〜150質量部)、好ましくは50〜130質量部(例えば、60〜120質量部)程度である。
バインダーとしては前記と同様のバインダーが例示できる。なお、バインダーとしては、通常、前記固体希釈剤を溶出するための溶媒又は薬液に対して不溶なバインダーが使用される。例えば、水に対して不溶なバインダーとしては、非水溶性樹脂(例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂など)が例示でき、有機溶媒に対して不溶なバインダーとしては、熱硬化性樹脂(ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂など)、酸に対して不溶なバインダーとしては、カルボキシル基などの酸性基を有する樹脂(アクリル系樹脂など)、塩基に対して不溶なバインダーとしては、塩基性窒素原子を有する樹脂(アクリル系樹脂など)などが例示できる。
バインダーの割合は、活性炭100質量部に対して、固形分換算で、例えば、5〜35質量部、好ましくは10〜30質量部(例えば、12.5〜30質量部)、さらに好ましくは15〜25質量部程度である。
さらに、前記と同様に、造粒性と造粒物の密度を調整するため、活性炭と固体希釈剤との混合物に水を添加して混合しながら造粒するのが望ましい。水の使用量は、例えば、活性炭100質量部に対して110〜200質量部(例えば、130〜195質量部)、好ましくは150〜190質量部程度である。
さらには、造粒性を向上させるため、活性炭と固体希釈剤との混合物に滑り剤を混合してもよく、滑り剤の使用量は、前記と同様に、活性炭100質量部に対して1〜10質量部(例えば、2〜8質量部)、好ましくは3〜6質量部程度である。
なお、固体希釈剤としての水に可溶な成分は、水又は水性溶媒(例えば、水と、エタノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフランなどの水溶性溶媒との混合溶媒)で溶出でき、有機溶媒に可溶な成分は、固体希釈剤の種類に応じて、例えば、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、テトラヒドロフランなどのエーテル類などで溶出できる。また、酸に可溶な成分は、塩酸、硝酸などの無機酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、蟻酸、クエン酸などの有機酸などで溶出できる。酸に可溶な成分(炭酸カルシウムなど)を溶出するには、塩酸が好ましい。アルカリに可溶な成分は、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩など)、有機塩基(トリエチルアミンなど)などで溶出してもよい。
可溶性固体希釈剤の溶出により空隙が形成された吸着剤において、空隙の平均径は、固体希釈剤の種類とその使用量、並びに溶出の程度に応じて10〜10000nm程度の範囲から選択でき、通常、100〜8000nm、好ましくは200〜5000nm程度である。
造粒体の形態は特に制限されず、例えば、粒状、球状、ペレット状、ロッド状などであってもよい。これらの形態の造粒体は単独で又は二種以上組み合わせてブレンドしてもよい。また、活性炭と固体希釈剤との混合物はハニカム状などの形態に成形してもよい。造粒体は、通気抵抗の増加が少なく、分散性の高い形態、例えば、ペレット状の形態であるのが好ましい。ペレット状造粒体の長さをL、直径をDとしたとき、ペレット状造粒体のL/Dは、例えば、0.4〜4程度であってもよい。
吸着剤の充填密度は、JIS K 1474に準拠して測定し、n−ブタン有効吸着量はASTM法のD5228によって測定できる。
n−ブタン脱着率(%)はASTM法のD5228に準拠して次のような測定操作より算出できる。
1)JIS K 1474に準拠して吸着剤の充填密度を測定する。
2)内径17.5mmのガラスカラムに1)で測定した充填密度に基づき24ミリリットル(mL)の試料を充填して秤量した後(Ag)、25℃の恒温槽へセットする。
3)n−ブタン(純度99.0%以上)をアップフローでガラスカラムに300mL/分の流量で20分以上通気させた後、ガラスカラムを取り外し秤量する(Cg)。
4)ガラスカラムを再度装置にセットし、ダウンフローで乾燥空気をガラスカラムに240mL/分の流量で吸着剤容積に対して30ベッドボリューム分を空気パージとして通気した後、ガラスカラムを取り外し秤量する(Dg)。
5)上記操作を行い、下記式により、吸着剤容積に対して30ベッドボリューム分を空気パージして通気した時のn−ブタン脱着率(%)を求める。
n−ブタン脱着率=(Cg−Dg)/(Cg−Ag)×100(%)
また、キャニスタでの吸着剤の蒸散燃料に対する吸着性能と蒸散燃料エミッション性能は、次のような測定操作により評価できる。
<前処理/蒸散燃料に対する吸着評価>
1.図1に示すキャニスタ試験機1を用いる。このキャニスタ試験機1は、有効容積2200ml(第1の区画1800ml+第2の区画400ml)、高さ/相当直径の比(第1の区画2.6、第2の区画1.7)を有しており、第1の吸着剤2として活性炭(クラレケミカル(株)製、「活性炭クラレコール2GK−H」)及び第2の吸着剤3として本発明の吸着剤を充填し、導入口7、排気口8及び供給口10を閉じる(この試験では供給口10は常に閉じており、導入口7及び排気口8は開いている)。なお、相当直径とは、断面積が円形でない場合、円形に換算した直径を意味する。なお、第1の区画及び第2の区画の容積は仕切り板(障壁)4の位置により相対的に調整可能であり、第1の吸着剤2は容量1900ml、第2の吸着剤3は容量300mlで使用し(総容量2200ml)、第2の吸着剤3の割合を変えて蒸散燃料エミッションを評価する場合には、第1及び第2の吸着剤の総容量2200mlは変化させずに第1の吸着剤と第2の吸着剤の量を変化させて測定した。
2.雰囲気温度25℃でキャニスタ試験機の蒸散燃料ガス導入口7に、模擬ガソリン蒸気(ブタン:ペンタン:ヘキサン=25:50:25容積比)1.5g/分と空気500ml/分を通気し、キャニスタ試験機の排気口8の濃度が10000ppm(破過)に達した後、通気を停止し、キャニスタ試験機の容量の300ベッドボリュームの空気を排気口8から吸着とは逆方向に導入してパージする。
3.上記2の操作を10サイクル繰り返し、10サイクル目の吸着量と脱着量の平均値を蒸散燃料吸着量として評価する(蒸散燃料の吸着量評価)。その後、キャニスタ試験機の容量の400ベッドボリュームの空気を排気口8から吸着とは逆方向に導入しパージする。
4.雰囲気温度25℃で、キャニスタに空気で希釈した50容量%n−ブタンを40g/時間で通気し、キャニスタの排気口8の濃度を炭化水素計で測定する。排気口8の濃度が10000ppm(破過)に達した後、通気を停止し、キャニスタ試験機の容量の150ベッドボリュームの空気を排気口8から逆方向に導入しパージする。
<蒸散燃料エミッションの測定>
1.雰囲気温度を30℃に設定し、1晩(16〜20時間)放置後、キャニスタ試験機に模擬ガソリン蒸気供給源を接続し、キャニスタ試験機の排気口8と、リーク測定用のテドラーバッグを配管またはホースで接続する。なお、テドラーバッグとは、ガスの吸着、浸透などが生じないガス捕集袋であり、デュポン社の商品名である。
2.キャニスタ試験機に、模擬ガソリン蒸気0.143g/分と空気39ml/分を通気し、雰囲気温度35℃で1.5時間通気に伴うリーク量と、35℃で0.5時間通気と、昇温して40℃で1時間通気とに伴うリーク量と、40℃で1時間通気に伴うリーク量とを測定し、リーク量の総和を求める(1日目)。
3.雰囲気温度を30℃に設定し、2時間放置後、空気を100ml/分の流量で2時間パージした後、17時間放置する。
4.キャニスタ試験機に、模擬ガソリン蒸気0.137g/分と空気38ml/分を通気し、雰囲気温度35℃で2時間通気に伴うリーク量と、昇温して40℃で2時間通気に伴うリーク量とを測定し、リーク量の総量を求める(2日目)。
5.ガス濃度をガスクロマトグラフ、体積をガスメータより求め、リーク量をテドラーバッグ内の気体の(濃度)×(体積)より求めて、2日目のリーク量を蒸散燃料エミッションとして評価する(蒸散燃料エミッションの評価)。
なお、第1の吸着剤としては、第2の吸着剤よりも蒸散燃料に対する吸着能の高い吸着剤が使用できる。第1の吸着剤は、前記第2の吸着剤の活性炭と同様の活性炭で形成でき、この活性炭は、粉末状であってもよく、バインダーにより造粒(例えば、顆粒状、ペレット状などの形態に造粒)又は成形(例えば、ハニカム状に成形)されていてもよい。
吸着剤(第2の吸着剤)は、キャニスタの所定の区画に、活性炭と固体希釈剤をそのまま混合して充填してもよいが、キャニスタの所定の各区内に吸着剤を均一に充填するとともに、通気抵抗(圧力損失)が大きくなるのを抑制するため、活性炭と固体希釈剤との造粒体を充填するのが好ましい。
なお、本発明は、前記吸着剤及びキャニスタに加えて、前記キャニスタを備えているベヒクル(自動車など)も包含する。なお、本発明は、種々の蒸散燃料、例えば、一般的な自動車燃料である通常のガソリンだけでなく、アルコールを含有するガソリンなどにも適用可能である。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実験例1]
比較例1
石炭系活性炭(クラレケミカル(株)製,活性炭「2GK−H」)を第1の吸着剤及び第2の吸着剤として用いた。蒸散燃料エミッションの評価では、第1の吸着剤(上記「2GK−H」)1900ml、第2の吸着剤(上記「2GK−H」)300mlの割合で用いた。
実施例1〜3
石炭系活性炭(クラレケミカル(株)製,活性炭「2GK−H」)を粉砕機で粒度100μm以下の粉末に粉砕し、得られた活性炭粉末(平均粒子径25μm)100質量部に対して、表1に示す割合で、固体希釈剤(平均粒子径5μm)と、滑り剤[カルボキシメチルセルロース(CMC)]と、バインダー樹脂(日本カーバイド工業(株)製,アクリルエマルジョン「ニカゾールFX−6074」、固形分50質量%)と水とを混合した。混合物を油圧式押し出し成形機により2mm径に押し出して成形し、成型物を長さ3〜5mmに切断し、整粒して120℃で12時間乾燥することにより、第2の吸着剤を得た。第2の吸着剤の各性能を表1に示す。なお、第1の吸着剤(上記「2GK−H」)1900ml、第2の吸着剤300mlの割合で用い、前記方法に従って蒸散燃料エミッションを評価した。
実施例4及び5
実施例1〜3と同様にして石炭系活性炭(クラレケミカル(株)製,活性炭「2GK−H」)を粉砕し、得られた活性炭粉末(平均粒子径25μm)100質量部に対して炭酸カルシウム(平均粒子径0.3μm)100質量部、滑り剤(CMC)3.2質量部、バインダー樹脂(日本カーバイド工業(株)製,アクリルエマルジョン「ニカゾールFX−6074」、固形分50質量%)35質量部、水165質量部の割合で混合した。
得られた混合物を油圧式押し出し成形機により2mm径に押し出して成形し、成型物を長さ3〜4mmの長さに切断し、整粒して120℃で2〜3時間乾燥した。乾燥した造粒成形物100質量部に対して2mol/Lの塩酸を1Lの割合で用いて煮沸洗浄し、炭酸カルシウム成分を造粒成形物から除去し、再び120℃で12時間乾燥させ、空隙を有する第2の吸着剤を得た。また、蒸散燃料エミッションを実施例1〜3と同様にして評価した。
比較例2〜3
活性炭(ミードウエストベコ・コーポレーション製の活性炭「BAX−1100」)(比較例2)と活性炭(ミードウエストベコ・コーポレーション製の活性炭「BAX−LBE」)(比較例3)とをそれぞれ第2の吸着剤として用いた。蒸散燃料エミッションの評価では、第1の吸着剤(上記「2GK−H」)1900ml、第2の吸着剤300mlの割合で用いた。
比較例4〜7
実施例1〜3と同様にして石炭系活性炭(クラレケミカル(株)製,活性炭「2GK−H」)を粉砕し、得られた活性炭粉末(平均粒子径25μm)100質量部に対して、表2に示す割合で、固体希釈剤、滑り剤(CMC)、バインダー樹脂(日本カーバイド工業(株)製,アクリルエマルジョン「ニカゾールFX−6074」)及び水を混合する以外、実施例1〜3と同様にして第2の吸着剤を得た。蒸散燃料エミッションの評価では、第1の吸着剤(上記「2GK−H」)1900ml、第2の吸着剤300mlの割合で用いた。
比較例8〜11
実施例1〜3と同様にして石炭系活性炭(クラレケミカル(株)製,活性炭「2GK−H」)を粉砕し、得られた活性炭粉末(平均粒子径25μm)100質量部に対して、表3に示す割合で、固体希釈剤(アルミニウムAl、炭酸カルシウムCaCO、黒鉛と炭酸カルシウムCaCOとの併用)、滑り剤(CMC)、バインダー樹脂(日本カーバイド工業(株)製,アクリルエマルジョン「ニカゾールFX−6074」)及び水を混合する以外、実施例1〜3と同様にして第2の吸着剤を得た。蒸散燃料エミッションの評価では、第1の吸着剤(上記「2GK−H」)1900ml、第2の吸着剤300mlの割合で用いた。
結果を表1〜表3に示す。表中、DBACは5容量%と50容量%とのn−ブタン蒸気濃度でのn−ブタンの吸着容量の差(n−ブタンの吸着容量の差)を示し、BWCはブタン有効吸着量を示す。
Figure 0005941852
Figure 0005941852
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表1から明らかなように、実施例の第2の吸着剤は、比較的高い吸着性能を有するにも拘わらず高い脱着能を示す。そのため、高い吸着性能を維持しつつ、蒸散燃料エミッションを低減できる。特に、実施例4と比較例9との対比から、第2の吸着剤のブタン有効吸着量(BWC)が8g/dl以上であり、かつブタン脱着率が約45%以上であっても、n−ブタンの吸着容量の差(DBAC)が35g/L前後で、蒸散燃料放出量が著しく差異が生じる。また、実施例1と比較例4との対比から、第2の吸着剤のn−ブタンの吸着容量の差(DBAC)が35g/L以上であり、かつブタン有効吸着量(BWC)が8g/dl以上であっても、ブタン脱着率45%前後で、蒸散燃料放出量に著しく大きな差異が生じる。
実施例4では、酸に溶解する固体希釈剤を使用しており、固体希釈剤が酸により溶解して造粒体から無くなることでマクロ孔が形成され、充填密度が低くなる。しかしながら、該吸着材の重量あたりの吸着量は固体希釈剤により阻害されなくなるため、BWC性能は維持される。
比較例8では固体希釈剤にAlを使用しているが、酸により溶解させない場合、実施例1及び2と比較すると充填密度が低くなる。また、該吸着剤の重量あたりの吸着量はAlが存在することにより阻害され、BWC性能が低くなる。従って、比較例8は本願発明の要件を満たさない吸着剤となる。
なお、比較例1及び比較例2は、それぞれ特許文献1の比較例2及び比較例1に相当する。また、比較例6は特許文献1の実施例1に相当し、比較例8は特許文献1の実施例3に相当する。これらの比較例は、実施例に比べて効果が著しく劣る。
[実験例2]
第1の吸着剤(上記「2GK−H」)と、実施例2,比較例3及び比較例4で得られた第2の吸着剤との使用割合(充填割合)を変える以外、上記と同様にして、蒸散燃料エミッションを評価した。結果を表4及び図2に示す。
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表4及び図2から明らかなように、実施例の第2の吸着剤は、キャニスタの内容積の5%〜30%において、特に蒸散燃料エミッションを低減する。このことは、本発明の第2の吸着剤を使用したキャニスタが大きな優位性を示し、低エミッションを実現する上で非常に有用であることを示している。
本発明では、蒸散燃料エミッションを低減できる。そのため、蒸散燃料(ガソリンなどの揮発性燃料)を使用するベヒクル(自動車など)から蒸散燃料が放出されるのを防止するのに有用である。

Claims (12)

  1. 第1の吸着剤が充填された少なくとも1つの第1の区画から第2の吸着剤が充填された少なくとも1つの第2の区画に向けてガス状の蒸散燃料を流通させて第1の吸着剤及び第2の吸着剤で蒸散燃料を順次吸着し、第2の区画から第1の区画に向けて気体をパージして吸着した蒸散燃料を第2の吸着剤及び第1の吸着剤から脱着させて、蒸散燃料の放出を低減する方法であって、前記第2の吸着剤として、5容量%のn−ブタン蒸気濃度と50容量%のn−ブタン蒸気濃度とにおいて、n−ブタンの吸着容量を25℃で測定したとき、n−ブタンの吸着容量の差が35g/L以上であり、ASTM D5228に準拠して測定したブタン有効吸着量が8g/dL以上であり、ASTM D5228に準拠して測定したパージ空気量が、吸着剤容積に対して30ベッドボリュームのパージ空気量であるとき、ブタン脱着率が45%以上であり、吸着部としての活性炭と非吸着部としての固体希釈剤とで構成されている吸着剤を用い、蒸散燃料の放出を低減する方法。
  2. 少なくとも1つの第1の区画と、この第1の区画と通じ、かつ第1の区画の下流側に形成された少なくとも1つの第2の区画とを備えたケーシングと、第1の区画と第2の区画とに充填され、かつガス状の蒸散燃料を吸脱着するための吸着剤と、前記ケーシングに形成され、かつ第1の区画に蒸散燃料を導入するための導入口と、前記ケーシングに形成され、かつ最下流の区画からの気流を排気するための排気口とを備え、前記排気口からの吸気ガスにより各区画の吸着剤に吸着した蒸散燃料を吸着剤から脱離させるキャニスタを用いて、蒸散燃料の放出を低減する方法であって、前記第2の区画の第2の吸着剤として、5容量%のn−ブタン蒸気濃度と50容量%のn−ブタン蒸気濃度とにおいて、n−ブタンの吸着容量を25℃で測定したとき、n−ブタンの吸着容量の差が35g/L以上であり、ASTM D5228に準拠して測定したブタン有効吸着量が8g/dL以上であり、ASTM D5228に準拠して測定したパージ空気量が、吸着剤容積に対して30ベッドボリュームのパージ空気量であるとき、ブタン脱着率が45%以上であり、吸着部としての活性炭と非吸着部としての固体希釈剤とで構成されている吸着剤を用い、蒸散燃料の放出を低減する方法。
  3. 第1の区画及び第2の区画全体の内容積に対して、第2の区画の第2の吸着剤の容量が、5〜30%である請求項1又は2記載の低減方法。
  4. 第2の吸着剤が、活性炭100質量部に対して固体希釈剤50〜150質量部の割合で含む造粒体で形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の低減方法。
  5. 固体希釈剤が、金属酸化物、金属炭酸塩及び黒鉛から選択された少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載の低減方法。
  6. 固体希釈剤が、酸化マグネシウム及び/又は黒鉛である請求項1〜5のいずれかに記載の低減方法。
  7. 第2の吸着剤が、活性炭と、溶媒又は薬液に可溶な固体希釈剤と、前記溶媒又は薬液に不溶なバインダーとの造粒体において、固体希釈剤を溶媒又は薬液で部分的に溶出して除去した造粒体である請求項1〜6のいずれかに記載の低減方法。
  8. 第2の吸着剤が、活性炭と、酸に可溶な固体希釈剤と、酸に不溶なバインダー樹脂とを含み、活性炭100質量部に対する酸に可溶な固体希釈剤の割合が40〜150質量部である造粒体であって、固体希釈剤が酸により部分的に溶出除去された造粒体である請求項1〜7のいずれかに記載の低減方法。
  9. 酸に可溶な固体希釈剤が炭酸カルシウムである請求項8記載の低減方法。
  10. 少なくとも1つの第1の区画と、この第1の区画と通じ、かつ第1の区画の下流側に形成された少なくとも1つの第2の区画とを備えたケーシングと、第1の区画と第2の区画とに充填され、かつガス状の蒸散燃料を吸脱着するための吸着剤と、前記ケーシングに形成され、かつ第1の区画に蒸散燃料を導入するための導入口と、前記ケーシングに形成され、かつ最下流の区画からの気流を排気するための排気口とを備え、前記排気口からの吸気ガスにより各区画の吸着剤に吸着した蒸散燃料を吸着剤から脱離させるキャニスタであって、前記第2の区画の第2の吸着剤が請求項1〜9のいずれかに記載の吸着剤である、キャニスタ。
  11. ケーシングが、少なくとも第1の区画を含む第1のケーシングと、この第1のケーシングに直列に連結され、かつ少なくとも第2の区画を含む第2のケーシングとを備えている請求項10記載のキャニスタ。
  12. 請求項10又は11に記載のキャニスタを備えている自動車。
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