JP2018115578A - キャニスタ - Google Patents
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Abstract
【課題】吸着効率に優れるキャニスタを提供する。【解決手段】本開示の一態様は、車両の燃料タンクで発生した蒸発燃料を吸着及び脱離するキャニスタである。キャニスタは、少なくとも1つの収納室と、活性炭とを備える。少なくとも1つの収納室は、蒸発燃料を含む気体が通過する。活性炭は、少なくとも1つの収納室に収納される。また、活性炭は、筒状に成形され、複数の貫通孔を内部に有する成形活性炭を含む。複数の貫通孔は、成形活性炭の中心軸方向に気体を通過可能に構成される。活性炭の全体積に対する成形活性炭の体積割合は、15%以上である。【選択図】図1
Description
本開示は、キャニスタに関する。
車両の燃料タンクには、蒸発した燃料の大気放出を防ぐキャニスタが装着される。キャニスタは、蒸発燃料を活性炭に吸着させると共に、吸引した空気により活性炭から燃料を脱離してエンジンに供給する。
キャニスタに用いられる活性炭としては、粒状のものやハニカム状に成形したものがある。一般的なキャニスタでは、これらの活性炭が組み合わされて使用される(特許文献1参照)。
一般に、ハニカム状の成形活性炭は、単位体積当たりの吸着量が粒状の活性炭に比べ低い。そのため、従来のキャニスタでは、粒状の活性炭が主に使用され、成形活性炭は補助的、つまり2次的な吸着体として使用されるに留まっている。
これに対し、本発明者らは、粒状の活性炭は圧損が大きいため、それに起因してガス流路の断面積が大きく設計されることに着目した。つまり、本発明者らは、粒状の活性炭を用いたキャニスタでは、ガス流路の断面積が大きいために、通過するガスと接触しない領域が多く存在し、活性炭全体の単位体積あたりの吸着量、つまり見かけの吸着効率が低くなっていることを見出し、本開示に至った。
本開示の一局面は、吸着効率に優れるキャニスタを提供することを目的としている。
本開示の一態様は、車両の燃料タンクで発生した蒸発燃料を吸着及び脱離するキャニスタである。キャニスタは、少なくとも1つの収納室と、活性炭とを備える。少なくとも1つの収納室は、蒸発燃料を含む気体が通過する。活性炭は、少なくとも1つの収納室に収納される。また、活性炭は、筒状に成形され、複数の貫通孔を内部に有する成形活性炭を含む。複数の貫通孔は、成形活性炭の中心軸方向に気体を通過可能に構成される。活性炭の全体積に対する成形活性炭の体積割合は、15%以上である。
このような構成によれば、粒状の活性炭に対し圧損の小さい成形活性炭を15%以上の体積割合で用いるので、成形活性炭を用いた部分でのガス流路の断面積を従来よりも小さくすることができる。これにより、活性炭のガスと接触しない領域が低減される。成形活性炭は、上述のように粒状の活性炭より吸着量は低いため、粒状の活性炭よりも多くの量が必要となる。しかし、成形活性炭ではガスと接触しない無駄な領域が大幅に低減されるので、結果として粒状の活性炭を用いるよりも少ない活性炭の量で、同等の吸着機能を発揮することができる。つまり、蒸発燃料の吸着効率を従来のキャニスタよりも高めることができる。
本開示の一態様では、活性炭として、成形活性炭のみを用いてもよい。このような構成によれば、活性炭の圧損を最大限に低減できるので、キャニスタの形態をより吸着効率の高いものにすることができる。
本開示の一態様では、成形活性炭における中心軸方向の長さの合計をL[mm]、成形活性炭の平均直径をD[mm]としたとき、L/Dは4.2以上であってもよい。このような構成によれば、キャニスタの吸着効率を容易かつ確実に向上できる。また、キャニスタを小型化することができる。
なお、「成形活性炭の直径」とは、成形活性炭の中心軸と垂直な断面と同じ面積の真円の直径(つまり真円換算直径)を意味し、「成形活性炭の平均直径」とは、全ての成形活性炭における中心軸方向での直径の平均値を意味する。
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1に示すキャニスタ1は、燃料タンクで発生した蒸発燃料を吸着及び脱離する。キャニスタ1は、蒸発燃料を含む気体が通過する3つの収納室2A,2B,2Cを含むケーシング3と、3つの収納室2A,2B,2Cにそれぞれ収納された活性炭4とを有する。
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1に示すキャニスタ1は、燃料タンクで発生した蒸発燃料を吸着及び脱離する。キャニスタ1は、蒸発燃料を含む気体が通過する3つの収納室2A,2B,2Cを含むケーシング3と、3つの収納室2A,2B,2Cにそれぞれ収納された活性炭4とを有する。
(ケーシング)
ケーシング3は、第1収納室2A、第2収納室2B及び第3収納室2Cを内部に有する。これらの収納室は隔壁によって仕切られている。また、ケーシング3の内部で、第1収納室2A、第2収納室2B及び第3収納室2Cは直列に連結されている。つまり、第1収納室2A、第2収納室2B及び第3収納室2Cは、1つの気体の流路を形成するように配置及び連通される。また、ケーシング3の材質は特に限定されない。
ケーシング3は、第1収納室2A、第2収納室2B及び第3収納室2Cを内部に有する。これらの収納室は隔壁によって仕切られている。また、ケーシング3の内部で、第1収納室2A、第2収納室2B及び第3収納室2Cは直列に連結されている。つまり、第1収納室2A、第2収納室2B及び第3収納室2Cは、1つの気体の流路を形成するように配置及び連通される。また、ケーシング3の材質は特に限定されない。
ケーシング3は、チャージポート3A、パージポート3B、及び大気ポート3Cを有する。チャージポート3Aは、燃料タンクから蒸発燃料が供給されるポートであり、配管により燃料タンクに接続される。チャージポート3Aは、第1収納室2Aの第2収納室2Bとの接続側とは反対側の壁に設けられている。
パージポート3Bは、蒸発燃料をエンジンに供給するポートであり、パージ弁を介してエンジンの吸気管に接続される。パージポート3Bは、チャージポート3Aと並んで第1収納室2Aの第2収納室2Bとの接続側とは反対側の壁に設けられている。
大気ポート3Cは、蒸発燃料を取り除いた気体を大気中に放出すると共に、外部空気を取り込むポートであり、配管を介して給油口に接続される。大気ポート3Cは、第3収納室2Cの第2収納室2Bとの接続側とは反対側の壁に設けられている。
キャニスタ1の吸着時には、燃料タンクで発生した蒸発燃料を含む気体はチャージポート3Aから第1収納室2Aに進入し、第2収納室2B、第3収納室2Cの順に通過していく。このとき、第1収納室2A、第2収納室2B及び第3収納室2C内の活性炭4により蒸発燃料が吸着されていく。第3収納室2Cを通過した気体は、大気ポート3Cから放出される。
一方、キャニスタ1の脱離時には、大気ポート3Cから外部空気が第3収納室2Cに送られ、第3収納室2C、第2収納室2Bの順に通過していく。これにより、各収納室において蒸発燃料が活性炭4から脱離し、パージポート3Bに向かって流れる。そして、蒸発燃料を含んだ空気がパージポート3Bからエンジンに供給される。
(活性炭)
活性炭4は、空気等と共にキャニスタ1に供給された蒸発燃料を吸着する。また、外部空気の導入により蒸発燃料を脱離する。脱離された蒸発燃料は、エンジンに供給される。
活性炭4は、空気等と共にキャニスタ1に供給された蒸発燃料を吸着する。また、外部空気の導入により蒸発燃料を脱離する。脱離された蒸発燃料は、エンジンに供給される。
活性炭4の素材としては、公知のものが使用できる。本実施形態では、活性炭4として、図2に示すように、筒状に成形され、複数の貫通孔を内部に有する、いわゆるハニカム状の成形活性炭を用いる。この成形活性炭は、カーボンにバインダーとしてのセラミックを混合した材料を一定形状に押し出し成形したものである。
本実施形態では、第1収納室2A、第2収納室2B及び第3収納室2Cには、それぞれ成形活性炭が収納されている。つまり、本実施形態では活性炭4として、成形活性炭のみを用いる。したがって、活性炭4の全体積に対する、成形活性炭の体積割合は100%である。
活性炭4は、複数の貫通孔の中心軸が、気体の流れ方向に沿うように各収納室内に配置される。つまり、活性炭4の複数の貫通孔は、中心軸方向に気体を通過可能に構成される。蒸発燃料を含む気体が活性炭4の複数の貫通孔内を通過することで、蒸発燃料は活性炭4に吸着される。
なお、成形活性炭の貫通孔の形状は特に限定されない。そのため、貫通孔の形状は、四角形や六角形のような多角形以外にも、曲線を含む形状であってもよい。曲線を含む形状の貫通孔としては、例えば平行に配置した複数の平板の間に、波板を1つずつ配置することで形成されるものが挙げられる。
各収納室に収納される成形活性炭は、それぞれ、一端に円筒状のシールラバーが取り付けられ、他端に円筒状のフィルタが取り付けられる。成形活性炭は、フィルタを取り付けた状態で、収納室内のシールラバーが取り付けられたガイドに挿入することで、収納室内に固定される。
各収納室に収納された成形活性炭における中心軸方向の長さの合計をL[mm]、各収納室に収納された成形活性炭の平均直径をD[mm]としたとき、L/Dの下限としては、4.2が好ましく、10がより好ましく、18がさらに好ましい。L/Dが上記下限より小さいと、活性炭4の断面積が大きくなって、気体に接触しない領域が生じ得る。つまり、キャニスタ1の吸着効率が著しく低下する。
ここで、以下の手順で、成形活性炭と粒状の活性炭の集合体との圧損を比較した。まず、L/Dが2.27の破砕炭を充填したキャニスタA、及びL/Dが20の本実施形態のキャニスタ1を用意した。次に、これらのキャニスタに70L/minの流量でガスを流し、それぞれの圧損を計測した。この結果をキャニスタAの圧損を100とした指標で表すと、キャニスタ1の圧損は60であった。
このように成形活性炭は、L/Dを大きくしても粒状の活性炭よりも圧損を小さくすることができる。そのため、L/Dを大きくすることで吸着効率の向上とコンパクト化を図ることができる。
例えば、粒状の活性炭を用いた、幅が198mm、高さが88mm、長さが307mmのキャニスタに対し、キャニスタ1では同等の吸着能力を幅が151mm、高さが100mm、長さが306mmの大きさで実現することができる。
[1−2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)粒状の活性炭に対し圧損の小さい成形活性炭を100%の体積割合で用いるので、収納室2A,2B,2C内のガス流路の断面積を従来よりも小さくし、ガス流路の長さも大きくすることができる。これにより、粒状の活性炭を用いるよりも少ない活性炭の量で、同等の吸着機能を発揮することができる。つまり、蒸発燃料の吸着効率を従来のキャニスタよりも高めることができる。
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)粒状の活性炭に対し圧損の小さい成形活性炭を100%の体積割合で用いるので、収納室2A,2B,2C内のガス流路の断面積を従来よりも小さくし、ガス流路の長さも大きくすることができる。これにより、粒状の活性炭を用いるよりも少ない活性炭の量で、同等の吸着機能を発揮することができる。つまり、蒸発燃料の吸着効率を従来のキャニスタよりも高めることができる。
[2.第2実施形態]
[2−1.構成]
図3に示すキャニスタ11は、燃料タンクで発生した蒸発燃料を吸着及び脱離する。キャニスタ11は、蒸発燃料を含む気体が通過する3つの収納室2A,2B,2Cを含むケーシング3と、3つの収納室2A,2B,2Cにそれぞれ収納された活性炭4,14とを有する。ケーシング3は、図1のキャニスタ1と同様であるため、同じ符号を付して説明を省略する。
[2−1.構成]
図3に示すキャニスタ11は、燃料タンクで発生した蒸発燃料を吸着及び脱離する。キャニスタ11は、蒸発燃料を含む気体が通過する3つの収納室2A,2B,2Cを含むケーシング3と、3つの収納室2A,2B,2Cにそれぞれ収納された活性炭4,14とを有する。ケーシング3は、図1のキャニスタ1と同様であるため、同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、第1収納室2Aには、活性炭4として、図1のキャニスタ1と同様の成形活性炭が収納されている。一方で、第2収納室2B及び第3収納室2Cには、成形活性炭ではなく、粒状の活性炭の集合体が活性炭14として収納されている。
活性炭14は、第2収納室2B及び第3収納室2C内にそれぞれ配置された1対のフィルタの間に封入される。また、一方のフィルタの活性炭14とは反対側にはグリッドが配置される。このグリッドにはスプリングによって活性炭14側に向かう力が付勢される。これによって、活性炭14は、第2収納室2B及び第3収納室2C内にそれぞれ保持される。
本実施形態でのキャニスタ11で用いる活性炭4,14の全体積に対する、成形活性炭(つまり活性炭4)の体積割合は、15%以上である。また、この体積割合の下限としては、50%がより好ましく、80%がさらに好ましい。
上記体積割合が上記下限よりも小さいと、収納室2A,2B,2C内のガス流路の断面積を従来よりも小さくすることができず、蒸発燃料の吸着効率が改善されないおそれがある。
[2−2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)成形活性炭と粒状の活性炭とを、成形活性炭の体積割合が15%以上となるように組み合わせて用いるので、蒸発燃料の吸着効率を従来のキャニスタよりも高めつつ、設計の自由度を高めることができる。
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)成形活性炭と粒状の活性炭とを、成形活性炭の体積割合が15%以上となるように組み合わせて用いるので、蒸発燃料の吸着効率を従来のキャニスタよりも高めつつ、設計の自由度を高めることができる。
(2b)第1収納室2Aに成形活性炭が収納され、その下流側の第2収納室2B及び第3収納室2Cに粒状の活性炭が収納されているので、粒状の活性炭が第1収納室2Aに侵入することが抑制できる。すなわち、上流側に粒状の活性炭を配置し、下流側に成形活性炭を配置すると、上流側の粒状の活性炭が下流側に吹き抜けて成形活性炭に混じるおそれがある。本実施形態では、粒状の活性炭の成形活性炭への侵入が抑制されることで、吸着効率を高めることができる。
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
(2a)上記実施形態のキャニスタ1,11における複数の収納室の配置は一例である。つまり、収納室の数は、内部に収納される活性炭の性能や、キャニスタ1,11に求められる吸着能力等によって適宜設計され、2つでもよいし、4つ以上でもよい。また、複数の収納室の並べ方(つまり隔壁での仕切り方)も適宜変更できる。さらに、収納室の数は1つであってもよい。
(2b)上記実施形態のキャニスタ11において、成形活性炭の体積割合が上記下限以上となるように、第2収納室2B及び第3収納室2Cに成形活性炭を収納してもよい。このとき、1つの収納室内に成形活性炭と粒状の活性炭とを配置してもよいし、1つの収納室をさらに分割して、分割した収納室に成形活性炭と粒状の活性炭とを分けて配置してもよい。また、成形活性炭の体積割合が上記下限以上となるのであれば、第1収納室2Aに粒状の活性炭を収納してもよい。さらに、キャニスタ11内の蒸発燃料の流路において、成形活性炭と成形活性炭との間に粒状の活性炭が配置されてもよい。
(2c)上記実施形態のキャニスタ1,11における成形活性炭は、必ずしも径が一定でなくてもよい。つまり、成形活性炭は、例えば他の部分よりも径が大きくなっている部分や、径が小さくなっている部分があってもよい。成形活性炭の径を中心軸方向に変化させることで、蒸発燃料のガス当たり性を最適化できる。その結果、キャニスタの吸着効率をさらに高めることができる。
(2d)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
1…キャニスタ、2A…第1収納室、2B…第2収納室、2C…第3収納室、
3…ケーシング、3A…チャージポート、3B…パージポート、3C…大気ポート、
4…活性炭、11…キャニスタ、14…活性炭。
3…ケーシング、3A…チャージポート、3B…パージポート、3C…大気ポート、
4…活性炭、11…キャニスタ、14…活性炭。
Claims (3)
- 車両の燃料タンクで発生した蒸発燃料を吸着及び脱離するキャニスタであって、
前記蒸発燃料を含む気体が通過する少なくとも1つの収納室と、
前記少なくとも1つの収納室に収納された活性炭と、
を備え、
前記活性炭は、筒状に成形され、複数の貫通孔を内部に有する成形活性炭を含み、
前記複数の貫通孔は、前記成形活性炭の中心軸方向に気体を通過可能に構成され、
前記活性炭の全体積に対する前記成形活性炭の体積割合は、15%以上である、キャニスタ。 - 請求項1に記載のキャニスタであって、
前記活性炭として、前記成形活性炭のみを用いる、キャニスタ。 - 請求項1又は請求項2に記載のキャニスタであって、
前記成形活性炭の中心軸方向の長さの合計をL[mm]、前記成形活性炭の平均直径をD[mm]としたとき、L/Dは4.2以上である、キャニスタ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2017-01-17 JP JP2017005791A patent/JP2018115578A/ja active Pending
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