JP5939968B2 - ポテトサラダの製造方法 - Google Patents
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Description
蒸煮し破砕したじゃがいも破砕物に対し、品温60〜95℃の状態でオリゴ糖及び酵素処理卵黄を含有する調味液を含浸させ、次いで、熱い状態の前記含浸済みじゃがいも破砕物を、真空冷却処理により水分含量を7%以上減少させて水分含量65〜75%に調整し、その後、前記真空冷却処理済みじゃがいも破砕物と、乳化状調味料とを和えることを特徴とするポテトサラダの製造方法、
である。
本発明のポテトサラダの製造方法は、蒸煮し破砕したじゃがいも破砕物に対し、品温60〜95℃の状態でオリゴ糖及び酵素処理卵黄を含有する調味液を含浸させ、次いで、熱い状態の前記含浸済みじゃがいも破砕物を、真空冷却処理により水分含量を7%以上減少させて水分含量65〜75%に調整し、その後、前記真空冷却処理済みじゃがいも破砕物と、乳化状調味料とを和えることを特徴とする。これにより、作りたての良好な食味が維持され、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となった、クリーミーでじゃがいも味のある良好な食味を有するポテトサラダを提供することができる。
<本発明に用いる原料じゃがいも>
本発明のポテトサラダの製造方法において、ポテトサラダに用いる原料のじゃがいもとしては、特に限定されないが、種々の品種のじゃがいもを用いることができる。じゃがいもとしては、生での水分含量が76〜82%のものが挙げられる。
本発明のじゃがいも破砕物は、洗浄したじゃがいもを皮付きのまま蒸煮し、熱いうちに皮を剥いたもの、あるいは皮を剥き、必要に応じ適当な大きさにカットした後、蒸煮する等したものを、破砕することにより製造することができる。蒸煮の程度としては、具体的には、例えば、蒸煮機で30〜90分間蒸煮し、品温が80〜100℃程度となるようにすると良い。また、カットしたじゃがいもを蒸煮する場合、その大きさは、ホールのじゃがいもの大きさによるが、例えば、ダイスカットで、2cm程度以上とすることができる。これより小さくカットとすると、蒸煮時間は短縮されるものの、じゃがいもの旨味が流出し美味しいポテトサラダが得られ難いためである。
本発明においては、上述した蒸煮し破砕した熱い状態のじゃがいも破砕物に対し、オリゴ糖及び酵素処理卵黄を含有する調味液を含浸させ含浸済みじゃがいも破砕物とする。ここで、調味液を含浸させる際のじゃがいも破砕物の品温は、60〜95℃であり、より好ましくは、75〜95℃とすることができる。じゃがいもの品温が前記範囲外の状態で調味液を混合した場合は、十分な量のオリゴ糖及び酵素処理卵黄がじゃがいも破砕物に含浸せず、その結果、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となった、クリーミーでじゃがいも味のある良好な食味を有するポテトサラダを製造することができない。なお、含浸は、蒸煮し破砕した熱い状態のじゃがいも破砕物に、調味液をかけたり、調味液に熱い状態のじゃがいも破砕物を浸漬させる等により行うことができる。
じゃがいも破砕物に含浸させる前記調味液として、オリゴ糖及び酵素処理卵黄を含有する調味液を使用する。ここで、用いるオリゴ糖は、グルコースを単位として3〜10分子が結合した糖類であり、例えばα−1.4グルコシド結合したマルトオリゴ糖などを挙げることができる。また、オリゴ糖の形態も、市販されているものであれば、特に限定するものではないが、液状、シロップ状、粉末状、顆粒状、スラリー状のものなどを用いることができる。なお、本発明に用いる3〜10糖類のオリゴ糖は、得られたポテトサラダを冷蔵保存後において咀嚼した場合であっても、クリーミーでじゃがいも味のある良好な食味が得られるようにする点から、好ましくは3〜5糖類が糖組成の40%以上、より好ましくは3〜4糖類が糖組成の40%以上を占めるマルトオリゴ糖を用いると良い。
調味液中のオリゴ糖含有量は、固形分換算で、好ましくは5〜60%とすることができ、さらに好ましくは10〜50%とすることができる。調味液中のオリゴ糖含有量が前記範囲より多い場合には、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となった、クリーミーでじゃがいも味のある良好な食味を有するポテトサラダを得られにくいほか、ポテトサラダとしての食味に影響を及ぼすため好ましくない。一方、前記範囲より低い場合にも、冷蔵保存後においても、クリーミーでじゃがいも味のある良好な食味を有するポテトサラダは得られにくい。
また、本願発明に用いる調味液として、さらに酵素処理卵黄を含有させる。酵素処理卵黄とは、常法により酵素処理を施した卵黄であればいずれのものでも良いが、例えば、リン脂質分解酵素であるホスホリパーゼAを作用させて、卵黄蛋白質と複合しているリン脂質をリゾリン脂質にしたホスホリパーゼA処理卵黄等が挙げられる。酵素処理卵黄の製造方法としては、例えば、加水分解酵素である市販のホスホリパーゼAを卵黄に対して0.01%〜0.1%(10000IU/ml)添加し、攪拌しながら酵素処理を行うことにより製することができ、反応時間は所望するリゾ化率により定まる。また、リゾ化率としては、10〜90%とすることができ、さらに、30〜80%とすることができる。
本発明に用いる調味液中の酵素処理卵黄含有量は、生卵黄換算で、0.1〜20%とすることができ、さらに1〜10%とすることができる。調味液中の酵素処理卵黄含有量が前記範囲より少ない場合には、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となった、クリーミーでじゃがいも味のある良好な食味を有するポテトサラダを得られにくい。また、調味液中の酵素処理卵黄含有量が前記範囲より多い場合には、本願発明の効果が得られにくいほか、酵素処理卵黄特有のエグ味が感じられるため、好ましくない。
本発明に用いる調味液は、含浸済みじゃがいも破砕物を真空冷却処理する次工程において、水分を減少させ難い場合があることから、調味液中の油脂含有量を10%以下とすると良い。
調味液の量は、前記蒸煮し破砕したじゃがいも100部に対し、1〜20部とすることができ、3〜15部とすることができる。調味液の量が前記範囲より少ない場合には、じゃがいも全体に均一に添加することが難しく、一方、前記範囲より多い場合には、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となった、クリーミーでじゃがいも味のある良好な食味を有するポテトサラダを得られにくい。なお、冷蔵保存後においても、クリーミーでじゃがいも味のある良好な食味を有するポテトサラダを製造する本願発明の効果が得られやすい点から、調味液含浸後のじゃがいも破砕物の水分含量は、原料じゃがいもの水分含量や調味液の量にもよるが、好ましくは70〜85%とすることができる。
<真空冷却処理>
熱い状態で調味液を含浸させた前記含浸済みじゃがいも破砕物は、真空冷却処理を施す。この処理によって、調味液含浸後と比較して水分含量を7%以上減少させて水分含量を65〜75%に調整し、真空冷却処理済みじゃがいも破砕物とすることができる。なお、冷蔵保存後においても、クリーミーでじゃがいも味のある良好な食味を有するポテトサラダを製造する本願発明の効果が得られやすい点から、前記水分含量の減少率は好ましくは8%以上、より好ましくは9%以上であることができる。
これに対し、水分含量の減少率が7%より少ない場合は、冷蔵保存後においても、咀嚼時にじゃがいもと乳化状調味料が一体となった、クリーミーでじゃがいも味のある良好な食味を有するポテトサラダを得られにくいため、好ましくない。なお、真空冷却処理の方法としては、常法により真空冷却機を用いて行うことができ、例えば、ステンレス製のバットに適量のじゃがいも破砕物を充填後、真空冷却装置を用いて一度に15℃以下に冷却する方法などが挙げられる。なお、理由は定かではないが、真空冷却処理を施して上記水分含量に調整することにより、じゃがいも破砕物全体が適度に締まり、冷蔵保存後においても、クリーミーでじゃがいも味のある良好な食味を有するポテトサラダを製造する本願発明の効果が得られやすくなるものであると考えられる。
ここで、じゃがいも破砕物の水分含量は、減圧加熱乾燥法(「食品衛生検査指針」厚生労働省監修、社団法人 日本食品衛生協会、2005年3月31日発行)により測定することができる。
<乳化状調味料との混合>
上述のようにして得られた前記真空冷却処理済みじゃがいも破砕物は、次いで乳化状調味料と和える。ここで乳化状調味料とは、通常マヨネーズと称されるものは勿論のこと、サラダドレッシングと称されるもの等も含まれる。また、前記混合工程においては具材と混合することができる。具材とは、ポテトサラダに用いられているものであれば、特に制限はなく、例えば、にんじん、きゅうり、キャベツ、レタス、玉ねぎ、コーン、ハム、コンビーフ、ツナ肉、キクラゲ等が挙げられる。また配合割合は、従来のポテトサラダと同程度であり、具体的には、蒸煮したじゃがいも破砕物に調味液を含浸させて水分含量を65〜75%に調整したものが40〜80部、具材が10〜30部、乳化状調味料が10〜30部とすると良い。
また、その他の調味液原料については、ポテトサラダの風味を損なうものでなければ特に制限はなく、例えば、食塩水、食酢、糖液、ブイヨン、アミノ酸溶液等の1種又は2種以上の混合調味液などが挙げられる。また、必要に応じて調味液にグリシン、酢酸ナトリウム、卵白リゾチーム、プロタミン、ポリリジン等の静菌剤を含有させても良い。
以上の方法により製されたポテトサラダは、プラスチック製の蓋付トレイ容器やポリ袋等の容器に充填し、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等で販売される、業務用のポテトサラダとして供給することができる。
皮を剥き芽取り済みのじゃがいも120kg(原料じゃがいもの水分含量80%)を100℃で60分間蒸煮した。この蒸煮したじゃがいもを目開き30mmのメッシュに押圧して破砕し、1〜4cmの破砕物を約50%含有するものが得られた。この蒸煮し破砕した熱い状態(品温90℃)のじゃがいも100kgをミキサーに移し、塊状物が崩れない速度でゆっくり撹拌させながら下記の配合割合の調味液8kgを全体に添加し全体が均一となるように撹拌させて調味液を含浸させることにより、含浸済みじゃがいも破砕物を得た。なお、調味液中のオリゴ糖含有量は固形分換算で20%、酵素処理卵黄(ホスホリパーゼA処理卵黄、リゾ化率60%)含有量は生卵黄換算で5%、油脂含有量は1.5%、蒸煮し破砕したじゃがいも100部に対する調味液の混合量は8部であった。また、調味液含浸後のじゃがいも破砕物は、品温80℃、水分含量は82%であった。
<調味液の配合>
オリゴ糖(3〜4糖類が糖組成の40%以上) 20%
酵素処理卵黄 5%
食塩 3%
醸造酢(酸度5%) 3%
清水 残余
計 100%
実施例1において、蒸煮後のじゃがいも破砕物に対し、品温60〜95℃の状態でオリゴ糖及び酵素処理卵黄を含有する調味液を含浸させるのではなく、蒸煮後のじゃがいも破砕物を品温15℃まで冷却した後に調味液と混合した以外は、実施例1と同様の方法でポテトサラダを製造し、10℃で冷蔵保存した。
実施例1において、調味液に配合するオリゴ糖を清水に置き換えた以外は、同様の方法でポテトサラダを製造し、10℃で冷蔵保存した。
実施例1において、調味液に配合する酵素処理卵黄を清水に置き換えた以外は、同様の方法でポテトサラダを製造し、10℃で冷蔵保存した。
実施例1において、調味液混合後のじゃがいも破砕物に対して、真空冷却処理による水分含量の減少工程を行わずに、15℃の冷蔵庫で2時間冷却処理を施した以外は同様にポテトサラダを製造し、10℃で冷蔵保存した。
実施例1、並びに比較例1乃至4のポテトサラダの製造工程において、調味液含浸済みじゃがいも破砕物の水分含量を測定した。また、真空冷却処理を施したものについては、真空冷却処理済みじゃがいも破砕物の水分含量を測定し、調味液含浸後と比較した水分含量が減少率を測定した。さらに、得られたポテトサラダを冷蔵(10℃)で4日保存後の食味について、パネラー10名が下記の評価基準により評価した。結果を表2に示す。
ポテトサラダの食味の評価基準
A:じゃがいも咀嚼時に乳化状調味料と一体となった、クリーミーでじゃがいも味のある良好な食味を有しており、大変好ましいものであった。
B:クリーミーでじゃがいも味のある良好な食味がやや不足しているが、問題のない程度であり好ましい。
C:クリーミーでじゃがいも味のある良好な食味が損なわれており、好ましくない。
実施例1において、調味液含浸済みじゃがいも破砕物の品温をそれぞれ60℃、75℃に変更し、さらに、調味液含浸後のじゃがいも破砕物の真空冷却処理による水分含量の減少工程において、真空冷却処理済みじゃがいも破砕物の水分含量が表3に示す数字となるように真空冷却処理条件を変えた以外は同様にして2種類のポテトサラダを製造した。なお、真空冷却処理済みじゃがいも破砕物の水分含量が表3に示す数字となるように真空冷却処理条件をそれぞれ調整した。次いで、得られた各ポテトサラダを実施例1と同様に10℃で4日間冷蔵保存し、試験例1と同様の評価基準により食味の評価を行った(実施例2、3)。結果を表3に示す。
実施例1において、調味液中のオリゴ糖含有量を下記の表3に準じて変更した以外は同様にして2種類のポテトサラダを製した。次いで、得られた各ポテトサラダを実施例1と同様に10℃で4日間冷蔵保存し、試験例1と同様の評価基準により食味の評価を行った(実施例4、5)。結果を表3に示す。
実施例1において、調味液中の酵素処理卵黄含有量を下記の表3に準じて変更した以外は同様にして2種類のポテトサラダを製した。次いで、得られた各ポテトサラダを実施例1と同様に10℃で4日間冷蔵保存し、試験例1と同様の評価基準により食味の評価を行った(実施例6、7)。結果を表3に記す。
実施例1において、調味液含浸後のじゃがいも破砕物の真空冷却処理による水分含量の減少工程において、真空冷却処理済みじゃがいも破砕物の水分含量が表3に示す数字となるように真空冷却処理条件を変えた以外は同様にして4種類のポテトサラダを製した。次いで、得られた各ポテトサラダを実施例1と同様に10℃で4日間冷蔵保存し、試験例1と同様の評価基準により食味の評価を行った(実施例8〜11)。結果を表3に示す。
実施例1において、じゃがいも破砕物に対する調味液の添加量を3%に変更し、さらに、酵素処理卵黄として、ホスホリパーゼA処理卵黄(リゾ化率40%)を用いる以外は、同様の方法でポテトサラダを製造した。次いで、実施例1と同様に10℃で4日間冷蔵保存した。
実施例1において、じゃがいも破砕物に対する調味液の添加量を15%に変更し、さらに、オリゴ糖として、3〜5糖類が糖組成の40%以上のオリゴ糖を用いる以外は、同様の方法でポテトサラダを製造した。次いで、実施例1と同様に10℃で4日間冷蔵保存した。
Claims (1)
- 蒸煮し破砕したじゃがいも破砕物に対し、品温60〜95℃の状態でオリゴ糖及びホスホリパーゼA処理卵黄を含有する調味液を含浸させ、
次いで、熱い状態の前記含浸済みじゃがいも破砕物を、真空冷却処理により水分含量を7%以上減少させて水分含量65〜75%に調整し、
その後、前記真空冷却処理済みじゃがいも破砕物と、乳化状調味料とを和えることを特徴とするポテトサラダの製造方法。
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