JP5939234B2 - 鋼板の冷間圧延方法 - Google Patents

鋼板の冷間圧延方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5939234B2
JP5939234B2 JP2013240947A JP2013240947A JP5939234B2 JP 5939234 B2 JP5939234 B2 JP 5939234B2 JP 2013240947 A JP2013240947 A JP 2013240947A JP 2013240947 A JP2013240947 A JP 2013240947A JP 5939234 B2 JP5939234 B2 JP 5939234B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rolling
pass
edge
work roll
taper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013240947A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015100796A (ja
Inventor
俊郎 岡崎
俊郎 岡崎
木村 幸雄
幸雄 木村
正寿 佐久間
正寿 佐久間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2013240947A priority Critical patent/JP5939234B2/ja
Publication of JP2015100796A publication Critical patent/JP2015100796A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5939234B2 publication Critical patent/JP5939234B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Metal Rolling (AREA)
  • Metal Rolling (AREA)

Description

本発明は、鋼板の冷間圧延方法に関し、詳しくは、鋼板の冷間圧延工程で生じがちな、エッジドロップとエッジ割れを共に有利に軽減しうる、鋼板の冷間圧延方法に関する。
冷間圧延後の鋼板1には、冷間圧延中に板幅方向の両端部であるエッジ部に発生した、エッジ割れ10(別名、耳割れ)と呼ばれる切欠け状の欠陥が見られることが少なくない(図1参照)。かかるエッジ割れが発生した場合、製品の欠陥となるばかりでなく、エッジ割れを起点とした破断によるダウンタイムを招きかねないためその防止が必要であることはいうまでもない。
また、冷間圧延後の鋼板1には、エッジ部が急激に板厚減少した現象所謂エッジドロップが見られる。このエッジドロップはエッジ部から板幅方向の中央部であるセンター部へのメタルフローおよびワークロール2の表面扁平変形に起因し(図2参照)、もっぱら冷間圧延条件(圧下率やワークロール径など)に支配されて起こる。エッジドロップの定量指標であるエッジドロップ量は例えば図2のように、エッジドロップ量=(h50−h15)/h50×100[%]、なる式で定義され、後述の本発明でもこの定義を採用する。ここで、hx(x=50、15)とは板幅の端から中央側へx[mm]入った位置の板厚[mm]である。
エッジドロップを軽減させる手法としては、ロール径がロール軸方向にわたって一定であるフラットロールのロール軸端部を先細りさせてなるテーパワークロールを上下一対で用い、その先細り部をエッジ部に位置させて圧延を行う手法(テーパワークロール圧延と云う)がある。この手法は、フラットロールを用いる圧延(フラットロール圧延と云う)の場合よりもエッジ割れが発生しやすい。そのメカニズムは次のように説明できる。
テーパワークロール圧延では、フラットロール圧延の場合よりもエッジ部の圧下率が小さくなる。そのためエッジ部では長手方向伸びがセンター部と比べて小さくなる。したがって、センター部からの拘束によりエッジ部に引張応力が働き、この引張応力によるエッジ部の伸びが引張破断伸びを超えるとエッジ割れが発生する。
上述のようにエッジ割れの防止とエッジドロップの低減は効果が相反する事が多く、エッジドロップ低減とエッジ割れ防止の両立は困難である。
冷間圧延におけるエッジ割れ防止の方法としては、あらかじめ被圧延材の引張破断伸びを求めておき、各圧延スタンドまたは各圧延パスにおけるエッジ部の圧下率(redE)が、板幅全体の平均の圧下率と前記引張破断伸びから求まる限界圧下率(redEcrを超えるように、すなわち、(redE)>(redEcrとなるように、圧延スケジュールを設定する方法(特許文献1の段落[0013]参照)が知られている。また、ワークロールのロール軸端部を先太りさせた逆テーパワークロールを用いてエッジ部の圧下率を大きくとる方法(特許文献2)も知られている。
また、テーパワークロールを用いないエッジドロップ低減手法として、圧延機入側張力を上げることでエッジ部に幅縮みを生じさせ、これによりエッジドロップを低減する方法(特許文献3)が提案されている。
また、エッジドロップ低減とエッジ割れ防止とを両立させる方法としては、被圧延材を冷間圧延機の入側において幅圧下処理し、この幅圧下処理によって肥厚化したエッジ部を有する被圧延材を、一対のテーパワークロールにて、先細り部をエッジ部に位置させて圧延する方法(特許文献4)が提案されている。
尚、特許文献5〜7は、圧延後の板幅方向の板厚分布の求め方の記載があり、後述の本発明の実施形態において言及される参考文献である。
特開平9−141311号公報 特開平1−237004号公報 特開2005−246407号公報 特開昭61−289902号公報 特開2002−361310号公報 特開2004−174543号公報 特開2004−337895号公報
特許文献2の方法では、逆テーパワークロールを用い、エッジ部の減厚化を促進するので、エッジドロップの増大を抑えるのが難しい。また、特許文献3の方法では、エッジ部に過張力がかかり、やはりテーパワークロールを用いる場合と同様にエッジ割れのリスクは高まる。
特許文献1の方法は、エッジ割れ防止に有効であり、タンデム圧延機、単スタンドレバース圧延機の何れにも適用される(特許文献1の段落[0008]参照)のであるが、「テーパー付きワークロールを軸方向へシフトする機構を有する圧延機において、耳割れの発生しないワークロールシフトの設定・制御方法を提案する」(特許文献1の段落[0008]参照)にとどまっており、テーパワークロール条件(テーパワークロールの使用パス及びテーパ形状)の決め方について記載が無いことから、エッジドロップ軽減を達成するには不十分である。また、特許文献4の方法では、エッジドロップ低減とエッジ割れ防止に有効であるが、エッジ部を肥厚化させるための幅圧下機構が必要となるので、設備コストが嵩む問題がある。
前記従来技術の問題点に鑑み、本発明は、鋼板の冷間圧延において、通常の冷間圧延機にワークロールシフト機構や幅圧下機構などと云った特段の付帯設備を追設することなく、エッジドロップ軽減とエッジ割れ防止の両立を達成することを課題とした。
本発明者らは前記課題を解決する為に鋭意検討し、その結果、テーパワークロールを用いてエッジドロップ制御を行う圧延パスを少なくとも1パス含み、残りのパスはフラットロールを用いる多パスの冷間圧延において、或る圧延パスの被圧延材にエッジ割れが発生しない条件に関して、以下の知見を得た。
(ア)或る圧延パスの被圧延材にエッジ割れが発生しない条件は、その或るパスでの圧下によるセンター部の圧下率に相当する板厚方向歪みεycとエッジ部の圧下率に相当する板厚方向歪みεyeとが、εyc‐εye平面内でエッジ割れが発生する領域の外側にくることである。
(イ)前記εyc‐εye平面内でエッジ割れが発生する領域は原点(0,0)を通る正勾配の直線の下側の領域である。
(ウ)前記原点を通る正勾配の直線の勾配はパス進捗につれ大きくなる。
(エ)従って、前記原点を通る正勾配の直線の勾配をエッジ割れ限界値と呼ぶこととすれば、エッジ割れが発生しない条件は、各パスで、比εyeycが、パス進捗につれ増加するエッジ割れ限界値以上となるように圧延条件を設定して圧延することである。
本発明は上述の知見に基づいてなされたものであり、その要旨構成は以下の通りである。
[1] テーパワークロールを用いてエッジドロップ制御を行う圧延パスを少なくとも1パス含み、残りのパスはフラットロールを用いる多段パス圧延による鋼板の冷間圧延方法において、各パスで、板幅中央部であるセンター部の圧下率に相当する板厚方向歪みεycに対する板幅端部であるエッジ部の圧下率に相当する板厚方向歪みεyeの比εyeycが、パス進捗につれ増加するエッジ割れ限界値以上となるように、各パスにおけるエッジ部の圧下率及びワークロール形状を設定して圧延することを特徴とする鋼板の冷間圧延方法。
[2] 前記パス進捗につれ増加するエッジ割れ限界値は、鋼板のフラットロール圧延にて圧下率を種々変える冷間圧延である1次圧延と、
該1次圧延後の平らな鋼板をその幅端部に種々のテーパ形状を付与してフラットロール圧延する方法及び前記1次圧延後の平らな鋼板をテーパワークロール圧延しその際テーパワークロールのテーパ形状を種々変える方法の何れかによって、前記比εyeycを種々変える冷間圧延である2次圧延と
からなる予備圧延実験により得た、前記1次圧延における圧下率と前記2次圧延におけるエッジ割れ限界値との対応関係を用いて求めることを特徴とする前記[1]に記載の鋼板の冷間圧延方法。
[3] 前記各パスにおけるワークロール形状を設定するに際し、まず、前記パス進捗につれ増加するエッジ割れ限界値に基づいてテーパワークロールを使用するパスを決定し、次いで、前記決定したパスごとに前記比εyeycが前記エッジ割れ限界値以上となるように、使用するテーパワークロールのテーパ傾きを決定することを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の鋼板の冷間圧延方法。
本発明によれば、鋼板の冷間圧延において、テーパワークロールを、エッジ割れの誘発無しにエッジドロップ制御に有効に活用することが可能になり、通常の冷間圧延機にワークロールシフト機構や幅圧下機構などと云った特段の付帯設備を追設することなく、エッジドロップ低減とエッジ割れ防止との両立を達成することができる。
エッジ割れを示す模式的立体図である。 エッジドロップを示す模式的板幅方向断面図である。 エッジ割れが発生する条件を例示するグラフである。 エッジ割れ条件を求めるために用いるウェッジ加工後の鋼板の模式的立体図である。 テーパワークロールを示す模式的ロール軸方向断面図である。 予備圧延実験により求めたエッジ割れ限界値と1次圧延圧下率との対応関係の一例を示す線図である。 予備圧延実験により求めたエッジ割れ限界値と引張破断伸びとの対応関係の一例を示す線図である。 予備圧延実験により求めた1次圧延圧下率と引張破断伸びとの対応関係の一例を示す線図である。
本発明は、テーパワークロールを用いてエッジドロップ制御を行う圧延パスを少なくとも1パス含み、残りのパスはフラットロールを用いる多段パス圧延による金属板の冷間圧延方法であることを前提としている。
本発明において、被圧延材とされる鋼板は、エッジ割れの発生しやすいものに限らず、発生しにくいものであってもよいが、エッジ割れを防止する効果の顕現性の観点からすれば、エッジ割れの発生しやすい鋼種の鋼板が好ましく、かかる好ましい鋼種としては、フェライト系ステンレス鋼、高炭素鋼、電磁鋼などが挙げられる。
また、前記多段パス圧延に用いる冷間圧延ラインは、テーパワークロールを用いる圧延パスで被圧延材のエッジ部を肥厚化するのに十分な圧下量を確保できる冷間圧延ラインとする。冷間圧延用の圧延ミルは、タンデムミル、単スタンドレバースミルの何れであってもよい。
前記多段パス圧延の総パス数としては、エッジドロップを低減するために2パス以上は必要であり、実際には合計5〜12パスほどが適切である。
テーパワークロールを示す模式的ロール軸方向断面図である図5において、テーパワークロール2の先細り部(テーパ部)に対面させる鋼板1の幅端からの領域の板幅方向長さであるテーパ圧延部幅WRδは、エッジドロップ低減効果を持ちつつ、形状に影響を与えない範囲として、20mm〜150mmが好適であり、より好ましくは、20〜100mmである。
また、テーパ部のテーパ傾きb/aは、1/25000〜1/1000(ロール半径あたり)が好適である。しかし、テーパ圧延部幅WRδおよびテーパ傾きb/aがそれぞれ前記好適範囲内にあっても、テーパ圧延部幅WRδが大きく、かつテーパ傾きb/aが大きい場合は肥厚化しすぎる(エッジアップとなる)ので注意が必要である。
本発明が防止対象とするエッジ割れとは、図1に模式的に示したように、鋼板1のエッジ部から内側に向けて切り込みが入る欠陥性状のことである。図1のように内側斜め方向に発生することが多く、その深さはさまざまであるが、本発明では深さ1mm以上の切り込みが入った状態をエッジ割れと呼ぶことにした。
本発明は、或るパスでエッジ割れが発生する条件を、エッジ部、センター部夫々の板厚方向歪みεye、εycの関係として、図3のように表しておく。図3においてエッジ割れが発生する領域と発生しない領域の境界が原点(0,0)を通る直線であると仮定し、式(1)で表す。この仮定は、図3において実験データのプロット点群のうちエッジ割れ無しの点群の領域とエッジ割れ有りの点群の領域の境界が直線で近似できることから妥当であると云える。
εye=A×εyc …(1)
式(1)中のAは前記エッジ割れが発生する領域と発生しない領域の境界を表す直線の勾配(A>0)であり、エッジ割れが発生するのは、εyeyc<A、が成り立つ領域である。そこで、このAをエッジ割れ限界値と称する。なお、εye、εycはそれぞれエッジ部、センター部の圧下率に対応する。
図3(a)(b)(c)は、鋼板のフラットロール圧延にて圧下率を種々変える冷間圧延である1次圧延と、該1次圧延後の鋼板を素材としてウェッジ付き鋼板(平らな鋼板の幅端部にテーパ形状を付与した鋼板)へのフラットロール圧延又は平らな鋼板へのテーパワークロール圧延にて前記比εyeycを種々変える冷間圧延である2次圧延とからなる予備圧延実験により得た結果の1例として、1次圧延の圧下率((a)0%、(b)15%、(c)30%の3水準)ごとの2次圧延のエッジ割れ有無の境界となった直線を示している。これら直線の勾配である処の、2次圧延のエッジ割れ限界値Aは(a)(b)(c)夫々で0.58、0.80、1.0である。すなわち1次圧延の圧下率の増大につれてエッジ割れ限界値Aは増加する。
1次圧延は多段パス圧延の或るパス(iパス目とする)の1つ前のパス(i−1パス目)に相当し、2次圧延はiパス目の圧延に相当する。つまり、圧下率=0%の1次圧延後の2次圧延は、多段パス圧延の1パス目に相当し、圧下率=15%、30%夫々の1次圧延後の2次圧延は、多段パス圧延の2パス目以降のiパス目であって、1パス目入側からiパス目入側までの圧下率が夫々15%、30%になるiパス目に相当する。
すなわち、1次圧延の圧下率(1次圧延圧下率)の増加につれ増加するエッジ割れ限界値Aは、多段パス圧延のパス進捗につれ増加するエッジ割れ限界値Aに相当する。
ここで、前記2次圧延で前記比εyeycを種々変える方法としては、前記1次圧延後の平らな鋼板のエッジ部の角部分に、図4のようにテーパ形状部であるウェッジを形成してウェッジ付き鋼板15とし、ウェッジ付き鋼板15のウェッジの深さ(図4に示すウェッジ深さ)を種々変更すると云う方法(方法M1)が挙げられる。前記2次圧延後のエッジ割れ有無は目視で判定する。なお、前記2次圧延で前記比εyeycを種々変える方法としては、前記方法M1に代えて、1次圧延後の平らな鋼板をテーパワークロールで圧延し、該テーパワークロールのテーパ形状を種々変更すると云う方法(方法M2)としてもよい。
前記方法M1或いは方法M2による1次圧延圧下率と、対応するエッジ割れ限界値Aとを表1に示す。
Figure 0005939234
また、図6は、表1のエッジ割れ限界値Aと1次圧延圧下率との対応関係を示す線図である。図6より、エッジ割れ限界値Aは1次圧延圧下率の増加につれ略直線的に増加する。図6の線図を用いて、多段パスの1パス目入側からi(i≧1)パス目入側までの圧下率に等しい1次圧延圧下率に対応するエッジ割れ限界値Aを求め、該求めたAをiパス目のAとすることで、iパス目のエッジ割れ限界値Aを決定できる。
なお、無論のことに、表1及び図6に示されたエッジ割れ限界値Aと1次圧延圧下率との対応関係は、或る1つの材質(被圧延材の規格、グレード等)について求められたものであり、これとは異なる材質の被圧延材にまで適用できるとは限らないので、エッジ割れ限界値Aと1次圧延圧下率との対応関係は、相異なる材質ごとに求めておく必要がある。
前述の通り、1次圧延圧下率の増加につれ増加するエッジ割れ限界値Aは、多段パス圧延のパス進捗につれ増加するエッジ割れ限界値Aに相当する。
そこで、本発明では、実工程圧延がテーパワークロールを用いてエッジドロップ制御を行う圧延パスを少なくとも1パス含み、残りのパスはフラットロールを用いる多段パス圧延であると云う前提の下に、実工程圧延の各パスで、センター部の板厚方向歪み(センター部の圧下率)εycに対するエッジ部の板厚方向歪み(エッジ部の圧下率)εyeの比εyeycが、多段パス圧延のパス進捗につれ増加するエッジ割れ限界値A以上となるように、各パスにおけるエッジ部の圧下率及びワークロール形状を設定することとした。
ところで、エッジ割れ限界値Aが多段パス圧延のパス進捗(1次圧延圧下率の増加)につれ増加するのは、多段パス圧延のパス進捗(1次圧延圧下率の増加)につれ被圧延材の加工硬化が進行して引張破断伸びが低下するためと考えられる。表1には1次圧延後の鋼板についてJIS13B号引張試験片を用いた引張試験で測定した、破断が発生した時の伸びである引張破断伸びを併記した。
また、図7は、表1のエッジ割れ限界値Aと引張破断伸びとの対応関係を示す線図であり、図8は、表1の引張破断伸びと1次圧延圧下率との対応関係を示す線図である。図7より、引張破断伸びの低下につれエッジ割れ限界値Aは略直線的に増加する。また、図8より、1次圧延圧下率の増加につれ引張破断伸びは略直線的に減少する。エッジ割れ限界値Aに及ぼす材質の影響因子が、引張破断伸びで代表できる(他の影響因子は無視できる)のであれば、図7の略直線的対応関係自体は材質変化に鈍感となり、材質は引張破断伸びのみを介してエッジ割れ限界値Aに影響する(材質の変化は図7の横軸値の変化に帰する)こととなる。そうであれば、材質ごとに図8のような引張破断伸びの1次圧下率依存性に関する情報(該情報は、方法M1或いはM2に限らず、より単純なフラットロール圧延実験後材の引張試験によっても得られるし、また、文献や工程実績から見出しえたものでもよい)を得ておくことにより、まず該情報例えば図8の線図を用いて、多段パスの1パス目入側からi(i≧1)パス目入側までの圧下率に等しい1次圧延圧下率に対応する引張破断伸びを求め、次に図7の線図を用いて、前記求めた引張破断伸びに対応するAを求め、該求めたAをiパス目のAとすることで、iパス目のエッジ割れ限界値Aを決定できる。
本発明では、前述のようにして決定された、多段パス圧延の各パスにおけるエッジ割れ限界値Aを用い、各パスで、εyeyc≧A、なる条件が満たされるように、各パスにおけるエッジ部の圧下率、及び各パスに用いるワークロール形状を設定して、実工程の冷間圧延を行う。
但し、εyeycをむやみ大きくしすぎると、エッジドロップが過大となりがちとなり、又、耳伸びなどと云った形状不具合も生じがちとなる。これらを防止するために、εyeycには上限Bを設けるとよく、かかる上限Bとしては、B=A×1.45が好ましい。
本発明によれば、多段パスのうち、Aが相対的に小さい(エッジ割れ条件が相対的に厳しくない)前段パス側でテーパワークロールを用い、エッジ割れの生じない条件領域でエッジ部の板厚を圧延前と比べて肥厚化させ、Aが相対的に大きい(エッジ割れ条件が相対的に厳しい)後段パス側で、フラットロールを用い、エッジ割れの生じない条件領域で、前記肥厚化したエッジ部の板厚をセンター部の板厚に近づけてエッジドロップを軽減すると云う圧延スケジュールが得られる。
したがって、本発明によれば、鋼板の冷間圧延において、テーパワークロールを、エッジ割れの誘発無しにエッジドロップ制御に有効活用することが可能になり、通常の冷間圧延機に特段の付帯設備を追設することなく、エッジドロップ低減とエッジ割れ防止を両立させることができる。
以下、多段パス圧延の各パスで、εyeyc≧A、なる条件が満たされるように、各パスにおけるエッジ部の圧下率、及び各パスに用いるワークロール形状を設定する方法を実施するための好適手順について述べる。
(i) まず、与えられた母板厚(1パス目の入側板厚)と目標仕上板厚(最終パス出側の目標板厚)から、圧延機の能力や圧延能率などを考慮して定めた総パス数と各パス出側の目標板厚とに基づいて、各パスにおけるセンター部の圧下率(εycに相当する)を設定する。
(ii) 次に、各パスについて、エッジ部の圧下率(εyeに相当する)は、前記設定したセンター部の圧下率(εycに相当する)と前記決定したエッジ割れ限界値Aとから、εye≧A×εycが満足されるように、好ましくは、前記上限B×εyc≧εye≧A×εycが満足されるように、選定する。
(iii) そして、各パスにおいて前記設定したεyc及び前記選定したεyeが実現するように、ワークロール形状(ロールプロフィル)を設定する。この設定にあたっては、まず、多段パスを、テーパワークロールを用いるパスと、フラットロールを用いるパスとに分ける。この分け方は、パス進捗につれ増加するエッジ割れ限界値Aが1.0未満のパスではテーパワークロールを用いてエッジ部を肥厚化させてもエッジ割れが生じにくく、一方、残りのパスでは、テーパワークロールを用いてエッジ部を肥厚化させるとエッジ割れが生じる危険性が高いとの知見に基づいている。この知見から、基本的には、Aが1.0未満のパスではテーパワークロールを用い、残りのパスではフラットロールを用いるものとする。但し、Aが1.0未満の中でエッジ割れの生じにくさが減衰する処の、Aが0.75以上1.0未満であるパスでは、テーパワークロールに代えてフラットロールを用いることもできる。
(iv) 次に、ロールプロフィルを設定する。フラットロールのロールプロフィルは、通常と同様、ロール軸に平行な直線とする。
一方、テーパワークロールのロールプロフィルは、図5において、与えられたWRδの下で、前記設定したεyc及び前記選定したεyeが実現するようにテーパ傾きb/aを付与することで設定する。この設定を行うにあたっては、圧延ロールのロールプロフィルと圧延後の幅方向板厚分布との関係特性を援用するが、斯かる関係特性は、例えば、特許文献1、5、6、7夫々に開示された方法から計算で導出でき、また、これらの方法以外にも、FEM等により計算する方法や、実験結果の回帰式から予測する方法によっても導出できる。
単スタンドレバースミルでの多段パス圧延による冷延鋼板製造に本発明を適用した。製造対象の鋼種は、JISに規定されるSK95(SK4)、SK85(SK5)相当の鋼種である。
本発明例では、母板厚(1パス目入側板厚)≒2mm、板幅=1054mm、仕上厚≒0.6〜0.9mmの前提条件で冷間圧延した。冷間圧延に先立ち、前記予備圧延実験により、図6に示した1次圧延圧下率とエッジ割れ限界値Aとの対応関係の線図を求め、これを用いて、各パスでεyeyc≧Aとなるように、前記好適手順(i)〜(iv)に従い、総パス数、各パスごとのセンター部圧下率(εycに相当)、エッジ部圧下率(εyeに相当)、テーパワークロール条件(テーパワークロールの使用パスおよびテーパ形状)を設定した。このとき、前記好適手順(ii)において、εyeは、前記上限B×εyc≧εye≧A×εycが満足されるように選定した。また、前記好適手順(iv)において援用される、圧延ロールのロールプロフィルと圧延後の幅方向板厚分布との関係特性は、FEMにより計算する方法により導出した。
なお、前記好適手順(i)により設定したパススケジュールの一例(後掲表3の本発明例No.3に相当する)を表2に示す。表2には、図6の線図から求めたエッジ割れ限界値Aを併記した。この例では、1〜3パス目のAの値から前記好適手順(iii)に従い、1パス目にテーパワークロールを使用し、残りのパスにはフラットロールを用いることとした。
本発明例では、前述のように、図6の線図を用いて、各パスでεyeyc≧Aとなるように、前記好適手順(i)〜(iv)に従い、総パス数、各パスごとのセンター部圧下率、エッジ部圧下率、テーパワークロール条件(テーパワークロールの使用パスおよびテーパ形状)を設定し、該設定した通りの条件で冷間圧延を行い、冷延後のエッジドロップ量の測定(カンチレバー式厚み計による)及びエッジ割れ有無の目視判定を行った。
前記設定した条件並びにエッジドロップ量測定結果及びエッジ割れ有無判定結果を表3に示す。
なお、比較例として、全パスフラットロールを使用した冷間圧延である比較例No.8〜9、及び特許文献1記載の方法(あらかじめ被圧延材の引張破断伸びを求めておき、各圧延スタンドまたは各圧延パスにおけるエッジ部の圧下率(redE)が、板幅全体の平均の圧下率と前記引張破断伸びから求まる限界圧下率(redEcrを超えるように、すなわち、(redE)>(redEcrとなるように、圧延スケジュールを設定する方法)による冷間圧延である比較例No.9〜14に係る冷間圧延を行い、冷延後、同様にエッジドロップ量測定及びエッジドロップ有無判定を行った。比較例の圧延条件及び結果も表3に併示する。
表3より、本発明例は何れも、エッジドロップ量は小さく、エッジ割れの発生も無く、良好な結果であった。
これに対し、全パスフラットロールを使用した比較例No.6〜8は、1〜3パス目でエッジ部が過度に圧下されて加工硬化が進行し、引張破断伸びが大きく低下し、該大きく低下した引張破断伸びが、残りのパスで加わる引張伸びを下回らざるを得なくなったためと考えられるか、エッジドロップ量は大きく、且つエッジ割れも発生した。
また、特許文献1記載の方法による比較例No.9〜14は、テーパワークロールを用いる最後のパス(2パス目か3パス目)において、前記のとおり(redE)>(redEcrとなるようにテーパワークロール形状を設定し、そのテーパワークロールを用いて前段パス(1,2パス目、もしくは1,2,3パス目)の圧延を行った。その結果、エッジ割れの発生は無かったのであるが、テーパワークロールを用いるパス数の決め方が特定されないことから、WRδが小さく設定されてしまい、εyeが、前記上限B×εycを上回り、エッジドロップ量が本発明例と比べて大きくなった。
Figure 0005939234
Figure 0005939234
1 鋼板
2 ワークロール
3 板厚中心線
4 ワークロール軸線
10 エッジ割れ
15 ウェッジ付き鋼板
RD 圧延方向

Claims (3)

  1. テーパワークロールを用いてエッジドロップ制御を行う圧延パスを少なくとも1パス含み、残りのパスはフラットロールを用いる多段パス圧延による鋼板の冷間圧延方法において、各パスで、板幅中央部であるセンター部の圧下率に相当する板厚方向歪みεycに対する板幅端部であるエッジ部の圧下率に相当する板厚方向歪みεyeの比εyeycが、パス進捗につれ増加するエッジ割れ限界値以上となるように、各パスにおけるエッジ部の圧下率及びワークロール形状を設定して圧延することを特徴とする鋼板の冷間圧延方法。
  2. 前記パス進捗につれ増加するエッジ割れ限界値は、鋼板のフラットロール圧延にて圧下率を種々変える冷間圧延である1次圧延と、
    該1次圧延後の平らな鋼板をその幅端部に種々のテーパ形状を付与してフラットロール圧延する方法及び前記1次圧延後の平らな鋼板をテーパワークロール圧延しその際テーパワークロールのテーパ形状を種々変える方法の何れかによって、前記比εyeycを種々変える冷間圧延である2次圧延と
    からなる予備圧延実験により得た、前記1次圧延における圧下率と前記2次圧延におけるエッジ割れ限界値との対応関係を用いて求めることを特徴とする請求項1に記載の鋼板の冷間圧延方法。
  3. 前記各パスにおけるワークロール形状を設定するに際し、まず、前記パス進捗につれ増加するエッジ割れ限界値に基づいてテーパワークロールを使用するパスを決定し、次いで、前記決定したパスごとに前記比εyeycが前記エッジ割れ限界値以上となるように、使用するテーパワークロールのテーパ傾きを決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼板の冷間圧延方法。
JP2013240947A 2013-11-21 2013-11-21 鋼板の冷間圧延方法 Active JP5939234B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013240947A JP5939234B2 (ja) 2013-11-21 2013-11-21 鋼板の冷間圧延方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013240947A JP5939234B2 (ja) 2013-11-21 2013-11-21 鋼板の冷間圧延方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015100796A JP2015100796A (ja) 2015-06-04
JP5939234B2 true JP5939234B2 (ja) 2016-06-22

Family

ID=53376985

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013240947A Active JP5939234B2 (ja) 2013-11-21 2013-11-21 鋼板の冷間圧延方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5939234B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107626745A (zh) * 2016-07-18 2018-01-26 鞍钢股份有限公司 一种用于控制带钢边裂的方法
CN106391708B (zh) * 2016-10-28 2020-03-27 鞍钢未来钢铁研究院有限公司 一种冷轧六辊单机架可逆轧机生产极薄带钢的轧制方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2519103B2 (ja) * 1989-07-07 1996-07-31 日本鋼管株式会社 電磁鋼板の冷間圧延方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015100796A (ja) 2015-06-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4543980B2 (ja) 内質特性に極めて優れた極厚鋼板の製造方法
JP5939234B2 (ja) 鋼板の冷間圧延方法
JP2009202185A (ja) 可逆式圧延機による圧延方法および熱延鋼帯の製造方法
WO2016114319A1 (ja) 連続鋳造鋳片とその製造方法および製造装置、厚鋼板の製造方法および製造装置
JP2011184792A (ja) プレス成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法
TWI624313B (zh) 鋼板的冷軋方法及鋼板的製造方法
JP6835008B2 (ja) 金属帯の冷間圧延方法
JP2014008520A (ja) 金属板の冷間圧延方法及び金属板の製造方法
JP6644593B2 (ja) 冷間圧延における形状制御方法
JP4986463B2 (ja) 冷間圧延における形状制御方法
JP3649208B2 (ja) タンデム圧延設備の制御方法及びタンデム圧延設備
JP2019510638A (ja) 圧延ロール及びこれを含む圧延システム
KR101439682B1 (ko) 냉연강판 형상 제어장치 및 방법
JP6614105B2 (ja) スラブの分塊圧延方法
JP6805925B2 (ja) 差厚板材の製造方法、及び差厚板材
KR101160737B1 (ko) 판 압연의 패스 스케줄의 설정 방법
US10710130B2 (en) Method for producing H-shaped steel
JP5949569B2 (ja) 鋼板の調質圧延方法及び超高張力鋼板
KR101510920B1 (ko) 금속 스트립의 연속 반복 압연 방법
JP4820188B2 (ja) 条鋼のサイジング圧延方法
JP2009183969A (ja) 冷間圧延における圧延荷重の予測方法
JP7156557B2 (ja) 冷間圧延方法、冷間圧延設備、及び冷延鋼板の製造方法
JP5000307B2 (ja) 金属板圧延の圧延荷重予測方法
JP7172346B2 (ja) 連続鋳造の圧下方法
JP5326798B2 (ja) 鋼板の圧延順決定方法、鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150624

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160314

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160419

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160502

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5939234

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250