以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において単に前側(前方)とは遊技機1の正面側のことであり、後側(後方)とは遊技機1の背面側のことであり、単に上側(上方)とは遊技機1の上側のことであり、単に下側(下方)とは遊技機1の下側のことである。
(遊技機の全体構成)
遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1の骨格は周知の構成が適用できる。例えば、額縁形状の機枠に前面枠が回動自在に支持されてなる。前面枠には、前側から遊技盤90を視認可能とする透明な板が設けられている。
図1に示す遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、前面枠に着脱可能に取り付けられている。この遊技盤90には、発射装置から発射された遊技球をガイドする金属製の薄板からなる帯状のガイドレール91が略円弧形状となるように設けられており、このガイドレール91によって遊技領域の外郭の一部が形成されている。
遊技盤90の遊技領域(通常時に遊技球が進入可能な領域)には、表示装置92、始動入賞口931、大入賞口932、アウト口933などが設けられている。これに加えて、所定の条件を満たしたときに入球可能となる入球口80が設けられている。通常時には羽根部材801が入球口80を閉鎖しており、入球口80に遊技球が入球することはないが、所定の条件を満たしたときに羽根部材801が入球口80を開放し、遊技球が入球可能となる。
表示装置92は、例えば液晶表示装置が用いられ、表示装置92の表示画面(表示部)において特別図柄や普通図柄等が表示される。かかる表示装置92の表示画面は、遊技盤90に形成された開口を通じて視認可能である。
また、遊技盤90の遊技領域には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての図示しない遊技釘が複数設けられている。遊技領域を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
さらに、表示装置92の下方には、遊技の演出効果を高めるための回動体演出装置2が設けられている。本実施形態では、回動体演出装置2は、遊技領域との間が仕切られた所定位置に設けられている。入球口80に進入した遊技球以外の遊技球が回動体演出装置2が設けられた領域に進入することはない。すなわち、羽根部材801が入球口80を開放し、遊技領域に設けられた入賞口に遊技球が入球しない限り、回動体演出装置2が設けられた領域に遊技球が進入することはない。かかる回動体演出装置2の構成の詳細については後述する。
図2に示すように、遊技機1の背面側には、センターベースユニット94に主制御基板941、サブ制御基板942、演出制御基板943、サブドライブ基板944等の各種制御基板(以下これらを一括りにして制御手段と称する)や、発射装置、球タンク、レール等が設けられている。
このような遊技機1では、発射ハンドルの操作により、発射装置から遊技領域に遊技球を発射し、遊技領域を流下する遊技球が、始動入賞口931や大入賞口932等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
(回動体演出装置の構成)
以下、遊技機1が備える回動体演出装置2の構成について、図1、図3〜図12を参照して説明する。回動体演出装置2は、遊技状態に応じて回動する回動体10と、この回動体10の下方に設けられるベース部材20と、このベース部材20に支持された開閉部材30と、を備える。以下、各構成について詳細に説明する。
回動体10は、回動体演出装置2の最も上方に位置する円盤状に形成された部材であって、前方に向かって段々と低くなるように傾斜している。この回動体10には、複数(本実施形態では六つ)の球受部が形成されている(図6、図7参照)。球受部は、遊技球が通ることのできる大きさに形成された貫通孔である。各球受部は、回動体10の回動中心から略等距離、かつ、周方向において略等間隔に並ぶように形成されている。この球受部は、少なくとも一つ(本実施形態では五つ)の特定球受部11と、少なくとも一つ(本実施形態では一つ)の特別球受部12から構成される。遊技球が入球したときの恩恵は、特定球受部11よりも特別球受部12の方が大きく設定されている。例えば、大当たり時や特別遊技状態(例えば確率変動状態)に突入する際等に特別球受部12に遊技球が入球し、はずれ時や特別遊技状態に突入しない時等には特定球受部11に遊技球が入球するように設定されている。本実施形態にかかる遊技機1では、これらの大当たりや特別遊技状態に突入するか否かは、予め制御手段による内部抽選によって決定されており、遊技球がどの球受部に入球するかによってその後の遊技展開が決定されるわけではない。つまり、回動体演出装置2は、遊技球がいずれかの球受部に入球することを利用して、遊技者にその後の遊技展開を報知する役割を果たすものであって、実際に当否抽選を行うものではない。なお、以下の説明では、抽選に当選した場合(遊技者の受ける恩恵が大きい場合)を総じて「当たり」と、抽選に漏れた場合を総じて「はずれ」と称する。
五つの特定球受部11のうちの四つは、孔の上側の開口縁が回動体10の上面に位置するように形成されている。また、五つの特定球受部11のうちの一つ(以下、この一つの特定球受部11を特定球受部11Xと、その他の四つの特定球受部11を特定球受部11Yと称することもある)と特別球受部12は、孔の上側の開口縁が回動体10の上面よりも窪んだ凹部14の底面に位置するように形成されている。凹部14は、回動体10の中央を通って回動体10を二分割するような直線状に形成されており、その一方側の端部に特別球受部12が、他方側の端部に特定球受部11Xが形成されている。したがって、凹部14内に入り込んだ遊技球は、特定球受部11Xおよび特別球受部12の一方に必ず入球することになる。
また、特別球受部12の外側(回動体10の径方向外側)の内面は、上側の開口から下側の開口にかけて段々と孔の大きさが小さくなるように傾斜している。つまり、特別球受部12の下側の開口径は、上側の開口径より小さい。この内径を狭める傾斜した部分が、本発明における第一閉塞部121に相当する。この第一閉塞部121の存在により、特別球受部12に遊技球が保持された状態において、当該遊技球を保持する特別球受部12が開状態とされた特定排出部211(後述)の真上に位置したときであっても、当該遊技球が特定排出部211から排出されることはない。
回動体10の後面には閉塞部材40が固定されている。閉塞部材40は、円の一部が切り欠かれた板状の部材である。閉塞部材40は、特定球受部11の下側の開口の一部を覆う(閉塞部材40は特定球受部11の一部と重なる)。特定球受部11の下側の開口の一部を覆う部分が、本発明における第二閉塞部41に相当する。一方、閉塞部材40に形成された上記切り欠きは特別球受部12の下側開口縁の形状に沿って形成されているため、特別球受部12は閉塞部材40に重なっていない。この第二閉塞部41(閉塞部材40)の存在により、特定球受部11に遊技球が保持された状態において、当該遊技球を保持する特定球受部11が特別排出部212(後述)の真上に位置したときであっても、当該遊技球が特別排出部212から排出されることはない。なお、第二閉塞部41(閉塞部材40)は、本実施形態のように別部材によって構成されていてもよいし、回動体10に直接形成されていてもよい。特定球受部11の下側の開口を小さくすることで、特定排出部211に保持された遊技球が特別排出部212から排出されることがないようにするものであればよい。なお、本発明においては、本実施形態のように第二閉塞部41が別部材で構成されている場合と、回動体10に直接形成されている場合の両方を含めて、「特定球受部11に第二閉塞部41が形成されている」構成であると規定する。
また、回動体10の側壁216(外周)には、各特定球受部11の径方向外側に切欠部13が形成されている。なお、特別球受部12の径方向外側には、このような切欠部13は形成されていない。切欠部13は、側壁216の下端縁から所定高さの側方視凹形状の部分である。かかる切欠部13により、特定球受部11に入球した遊技球が特定排出部211(後述)から排出される際に通過する開口(空間)大きくなる。
また、回動体10の下面中央には、軸部材50が固定されている。軸部材50は、その上側端部が回動体10に固定され、下側端部が回動体駆動部60(ステッピングモータ)に連結されている。なお、回動体10の下面中央と軸部材50の間には、上記閉塞部材40が介在されており、軸部材50と回動体駆動部60との間には、開閉部材30やベース部材20が介在されている。軸部材50は、これらの部材の中央に形成された貫通孔を通じて、回動体10と回動体駆動部60を繋ぐ。これにより、回動体駆動部60を駆動させることによって回動体10が回動する。
ベース部材20は、回動体10を支持する丸い盆状の回動体支持部21を有する。周囲を囲む回動体支持部21の環状の側壁216は回動体10の外周よりもやや大きく形成されており、回動体10はこの側壁216の内側を回動する。この回動支持部の底面には、一部が扇形状に窪んでいる(以下当該部分を窪みHと称する)。この扇形の窪みHの径方向外側には、ベース部材20を貫通する貫通孔である特定排出部211が形成されている。この特定排出部211の大きさは、少なくとも遊技球が通ることのできる大きさに設定されている。また、回動体支持部21の中央(環状の側壁216の中央)には、前方に突出した開閉部材支持軸214が形成されている。この開閉部材支持軸214は、扇形の窪みH内における扇の中心寄りに位置する。また、窪みH内には、開閉部材支持軸214に沿う円弧状の長孔であるガイド孔215が形成されている。さらに、窪みHの底面(非排出部213)には、円弧状の突起である誘導部23が形成されている。誘導部23は、回動体10の回動とともに遊技球がスムーズに転動するように遊技球をガイドする。
一方、窪みHの外側(窪みHが形成されていない部分)であって、特定排出部211の略反対側には、ベース部材20を貫通する貫通孔である特別排出部212が形成されている。この特定排出部211の大きさは、少なくとも遊技球が通ることのできる大きさに設定されている。このように、ベース部材20には遊技球が通過可能な特定排出部211や特別排出部212が形成されているが、これら排出部以外の遊技球を支持することが可能な部分が、本発明における非排出部213に相当する。
ベース部材20における回動体支持部21の外側には、ベース部材20およびこれに取り付けられた各部材、すなわち回動体演出装置2全体を遊技機1の所定位置に取り付けるための被取付部22が設けられている。
開閉部材30は、扇形の一部が切り欠かれたような形状の板状体である。扇形の中心側には、貫通孔である支持孔31が形成されている。この支持孔31がベース部材20の開閉部材支持軸214が係合されることにより、開閉部材30は回動自在にベース部材20に支持されている。詳しくは、開閉部材支持軸214はベース部材20の窪みH内に設けられているから、この窪みHの内側が開閉部材30の回動可能な範囲となる。つまり、開閉部材30は、その一方側の側面が窪みHの一方側の側面に接触する位置(特定排出部211を閉状態とする位置)から、他方側の側面が窪みHの他方側の側面に接触する位置(特定排出部211を開状態とする位置)まで回動可能である。また、開閉部材30の裏面には、下方に向かって突出する連繋軸32が形成されている。連繋軸32は、ベース部材20に形成されたガイド孔215に挿通されている。ガイド孔215に挿通されることによりベース部材20の裏面から突出した連繋軸32には、開閉部材駆動部70の出力部72が係合される。本実施形態では、開閉部材駆動部70の駆動源としてソレノイド71を用いており、このソレノイド71によって出力部72が進退動作する。連繋軸32は、出力軸の先端の二股状の部分の間に係合されている。出力部72が進退動作することにより、連繋軸32がガイド孔215に案内されつつ、開閉部材30が回動する。
開閉部材30の外側は大きく切り欠かれている。この切り欠かれた部分33の存在により、開閉部材30が所定位置に位置する際に特定排出部211が開状態となる(詳細は後述の動作説明参照)。さらに、開閉部材30の当該切り欠かれた部分33の縁、および、一方側の側縁の一部には、段々と開閉部材30の厚みが小さくなるように滑らかに傾斜した傾斜部34が形成されている。かかる傾斜部34は、回動体10に保持された遊技球が転動する一部分を構成する(詳細は後述の動作説明参照)。
(回動体演出装置に遊技球を導く構成)
次に、このような構成を備える回動体演出装置2まで遊技球を導く構成について、図1、図3、図4、図13〜図15を参照して以下簡単に説明する。
上述したように、遊技領域には、所定の条件を満たしたときに羽根部材801が動作し開放される入球口80が設けられている。ここでいう所定の条件を満たしたときとは、例えば、通常遊技中に回動体演出装置2によるリーチ演出を実行することが決定された場合や、大当たりラウンド中に当該大当たりが確変大当たりか否かを回動体演出装置2を用いて報知する演出を実行することが決定された場合等が挙げられる。
入球口80から入球した遊技球は、表示装置の左に配置された第一連絡通路81内を通って下方に落下する。この第一連絡通路81の出口は、表示装置の左下に配置された第二連絡通路82の入口に繋がっている。第一連絡通路81の出口から出た遊技球は、第二連絡通路82内に入り込む。第二連絡通路82は、途中で第三連絡通路83に繋がる通路と、アウト口933に繋がる通路822(排出通路)に分岐する。分岐地点と第三通路への排出口との間(以下当該部分を貯留部821と称する)には、所定数の遊技球(本実施形態では三個)しか貯留できないようになっている。したがって、貯留部821に所定数の遊技球が貯留された後から分岐地点まで流下した遊技球は、アウト口933へ繋がる通路822から排出される。
貯留部821に貯留された遊技球は、第二連絡通路82の排出口の手前に設けられた図示されないシャッターの開閉操作により、一つずつ第三連絡通路83内に送り込まれる。第三連絡通路83は、左右に各一つ、計二つの送球口が設けられた幅方向に延びる筒状の通路である。この第三連絡通路83は、図示されない駆動部によって左右に傾動可能である。第三連絡通路83が左に傾いた状態(左側端部が下方に位置した状態)で左側の送球口831の手前に設けられた図示されないシャッターが開状態とされると、左側の送球口831から遊技球が送球される。第三連絡通路83が右に傾いた状態(右側端部が下方に位置した状態)で右側の送球口832の手前に設けられた図示されないシャッターが開状態とされると、右側の送球口832から遊技球が送球される。
第三連絡通路83の左側の送球口831から送球された遊技球は、第一ルート84を通って転動していき、第一落下口841から回動体10(回動体演出装置2)に向かって落下する。第一落下口841は、回動体10における特定球受部11や特別球受部12が形成された径方向位置の真上に位置する。したがって、第一落下口841から落下した遊技球は、特定球受部11および特別球受部12(全ての球受部)のいずれかに入球する可能性がある。すなわち、本実施形態において、遊技球が第一ルート84を通る場合の特別球受部12に入球する見かけ上の確率は1/6である。
一方、第三連絡通路83の右側の送球口832から送球された遊技球は、第二ルート85を通って転動していき、第二落下口851から回動体10(回動体演出装置2)に向かって落下する。第二落下口851は、回動体10の中央の略真上に位置するため、第二落下口851から落下した遊技球は、回動体10に形成された凹部14の中央に落下する。したがって、第二落下口851から落下した遊技球は、特定球受部11Xおよび特別球受部12の一方に必ず入球する。すなわち、本実施形態において、遊技球が第二ルート85を通る場合の特別球受部12に入球する見かけ上の確率は1/2である。
上述したように、本実施形態の回動体演出装置2は、あくまで遊技球がいずれかの球受部に入球することを利用して、遊技者にその後の遊技展開を報知する役割を果たすものであって、実際の当否抽選を行うものではない。したがって、制御手段が行った当否抽選の結果に応じて、所定の球受部に入球させることを自在に設定することが可能である。つまり、回動体駆動部60であるステッピングモータによって回動体10の回動方向位置を検出するとともに、第三連絡通路83の左側の送球口831あるいは右側の送球口832から遊技球が送球されるタイミング等を調節することによって、狙った球受部内に遊技球を入球させることが可能である。より詳しくは、第一ルート84を経由させる場合には、回動体10の回動方向位置を検出することによって、直接五つの特定球受部11または一つの特別球受部12のいずれかに入球させる。一方、第二ルート85を経由させる場合、凹部14の中央に遊技球を落下させることになるが、回動体10は前方に向かって段々と低くなるように傾斜しているため、特定球受部11Xが回動体10の下方側に位置する状態で遊技球を凹部14に落下させれば特定球受部11Xに遊技球を入球させることができ、特別球受部12が下方側に位置する状態で遊技球を凹部14に落下させれば特別球受部12に遊技球を入球させることができる。すなわち、凹部14に遊技球を落下させたときに下方に位置する方の球受部に向かって重力により遊技球を転動させ、当該球受部に遊技球を入球させる。
(回動体演出装置の動作)
上記構成を備える回動体演出装置2の動作について、一部上記説明と重複するが以下詳細に説明する。
回動体演出装置2による演出が行われることが決定した後、回動体駆動部60であるステッピングモータは、回動体10を回動させる。この回動体10の回動態様は適宜選択可能である。例えば、一定速度で同じ方向に回動体10を回動させ続けてもよいし、逆方向に回動したり、コマ送りで回動する態様が発生するようにしてもよい。回動体10の回動が開始するタイミングも適宜選択可能である。
制御手段が行った実際の当否抽選が「はずれ」であることが決定している場合には、貯留部821に貯留された遊技球(本実施形態では三つの遊技球)の全てを特定球受部11に入球させることになる。以下、かかる場合の演出態様の一例について説明する。一球目の遊技球は第一ルート84を経由させて四つの特定球受部11Yのいずれか、または、第二ルート85を経由させて特定球受部11Xに入球させる。この一球目の遊技球が入球する前に、開閉部材駆動部70は出力部72を前進させ、特定排出部211を閉状態とする位置に開閉部材30を位置させる。このように特定排出部211が閉状態となっていれば、特定球受部11Yに一球目の遊技球が保持された状態で回動体10が回動し、当該遊技球を保持する特定球受部11が特定排出部211の真上に位置したとしても、特定排出部211から遊技球が排出されることはない(図5(b)、図9参照)。
また、当該遊技球を保持する特定球受部11が特別排出部212の真上に位置したとしても、特定球受部11には第二閉塞部41が形成されているため、特定球受部11の下側の開口と特別排出部212の境界には遊技球が通過することのできる空間(孔)が存在しない。したがって、当該遊技球を保持する特定球受部11が特別排出部212の真上に位置した状態であっても、当該遊技球が特別排出部212から排出されることはない(図12参照)。
このように、特定排出部211を閉状態とする位置に開閉部材30を位置させておけば、特定球受部11に保持された遊技球が排出部(特定排出部211および特別排出部212)から排出されることはないから、当該一の特定球受部11に遊技球が保持された状態で、回動体10は回動し続ける。このとき、当該一の特定球受部11に保持された遊技球は、ベース部材20の非排出部213上(窪みH内では誘導部23にガイドされる)および開閉部材30上を転動する。開閉部材30に形成された傾斜部34は、非排出部213上と開閉部材30上との間を受け渡しする際の転動する遊技球に対する抵抗を抑制する。つまり、遊技球は非排出部213と開閉部材30の境界に存在する傾斜部34によって両者の境界を遊技球はスムーズに転動する。
続いて、二球目の遊技球が回動体10に向けて送り込まれる。このとき、既に一の特定球受部11には遊技球が保持されているから、遊技球が受け入れ可能な球受部は、残り四つの特定球受部11か一つの特別球受部12である。ゆえに、この時点で遊技球が特別球受部12に入球する見かけ上の確率は、第一ルート84が選択された場合(最低)でも1/5ということになる。そうすると、遊技者は、一球目の遊技球が一の特定球受部11Yに入球したことによって、当たりの可能性が高まった印象を受けることになる。かかる二球目の遊技球は、一球目の遊技球を特定球受部11Yに入球させた場合には、第一ルート84を経由させて残り三つの特定球受部11Yのいずれか、または、第二ルート85を経由させて特定球受部11Xに入球させる。したがって、二の特定球受部11のそれぞれに遊技球が保持されて回動体10が回動している状態となる。
続いて、三球目の遊技球が回動体10に向けて送り込まれる。このとき、既に二の特定球受部11には遊技球が保持されているから、遊技球が受け入れ可能な球受部は、残り三つの特定球受部11か一つの特別球受部12である。ゆえに、この時点で遊技球が特別球受部12に入球する見かけ上の確率は、第一ルート84が選択された場合(最低)でも1/4ということになる。そうすると、遊技者は、一球目に続いて二球目の遊技球が特定球受部11に入球したことによって、さらに当たりの可能性が高まった印象を受けることになる。
今回は、制御手段が行った実際の当否抽選が「はずれ」であるケースであるため、三球目の遊技球は残り三つの特定球受部11のいずれかに入球させる。一球目、二球目の遊技球を特定球受部11Yに入球させた場合には、第一ルート84を経由させて残り二つの特定球受部11Yのいずれか、または、第二ルート85を経由させて特定球受部11Xに入球させる。全ての遊技球が球受部に入球した後(演出終了後)、開閉部材駆動部70を駆動させ、特定排出部211を開状態とする方向に開閉部材30を移動させる。この状態で回動体10を回動させ、遊技球が保持された特定球受部11が特定排出部211の真上に位置した状態となると、当該特定球受部11に保持された遊技球は特定排出部211から排出される。回動体10を少なくとも一回転させれば、遊技球が保持された三つの特定球受部11の全てが、少なくとも一度は特定排出部211の真上に位置した状態となるから、当該三つの特定球受部11に保持された遊技球の全てが特定排出部211から排出される(図10参照)。
上述したように、回動体10の側壁216には各特定球受部11の径方向外側に切欠部13が形成されており、かかる切欠部13によって特定球受部11に入球した遊技球が特定排出部211から排出される際に通過する開口が大きくなる(「特定排出部211+切欠部13」の大きさの開口から排出される)ため(図5(c)参照)、特定球受部11に保持された遊技球の特定排出部211からの排出がスムーズに行われる。
以上が制御手段が行った実際の当否抽選が「はずれ」である場合の回動体演出装置2の動作であるが、かかる動作例はあくまで一例である。回動体10に送られる全ての遊技球が特別球受部12に入球しないように制御されるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、以下のような変形例が考えられる。
特定排出部211に入球した遊技球は、必ず演出の最後まで当該特定球受部11に保持されるのではなく、演出の途中で排出されることがあるものとしてもよい。例えば、上記の動作例において、三球目の遊技球が回動体10に向けて送られる前に、一球目および二球目の遊技球が排出されることがあるようにしてもよい。つまり、開閉部材30によって特定排出部211を開状態とするタイミングや閉状態とするタイミングは適宜設定可能であるから、特定球受部11に保持された遊技球を排出するタイミングは自由に設定することが可能である。このようにすれば、遊技者は特定球受部11に保持された遊技球が排出されることがないように願いつつ遊技を行うことになるため、遊技の興趣を向上させることが可能となる。
また、演出の最後の遊技球(上記動作例であれば三球目の遊技球)以外の遊技球が、第二ルート85を経由して凹部14に落下する場合があるが、この場合、当該遊技球は特定球受部11Xに入球するが、次の遊技球が回動体10に向かって送られる前に、特定球受部11Xに入球した遊技球を特定排出部211から排出させてもよいし、そのまま特定球受部11Xに保持させてもよい。ただし、特定球受部11Xに保持させる場合には、その後回動体10に送られる遊技球は、必ず第一ルート84を経由していずれかの特定球受部11Yに入球させることを選択しなければならない。既に特定球受部11Xに遊技球が保持されている状態で、第二ルート85を経由させて凹部14に遊技球を落下させてしまうと、「はずれ」であるにも拘わらず特別球受部12に入球させるしかなくなるからである。
一方、制御手段が行った実際の当否抽選が「当たり」であることが決定している場合には、貯留部821に貯留された遊技球(本実施形態では三つの遊技球)のいずれかを特別球受部12に入球させることになる。以下、かかる場合の演出態様の一例について説明する。一球目の遊技球は第一ルート84を経由させて四つの特定球受部11Yのいずれか、または、第二ルート85を経由させて特定球受部11Xに入球させる。この一球目の遊技球が入球する前に、開閉部材駆動部70は出力部72を前進させ、特定排出部211を閉状態とする位置に開閉部材30を位置させる。このように特定排出部211が閉状態となっていれば、特定球受部11Yに一球目の遊技球が保持された状態で回動体10が回動し、当該遊技球を保持する特定球受部11が特定排出部211の真上に位置したとしても、特定排出部211から遊技球が排出されることはない(図5(b)、図9参照)。
続いて、二球目の遊技球が回動体10に向けて送り込まれる。このとき、既に一の特定球受部11には遊技球が保持されているから、遊技球が受け入れ可能な球受部は、残り四つの特定球受部11か一つの特別球受部12である。ゆえに、この時点で遊技球が特別球受部12に入球する見かけ上の確率は、第一ルート84が選択された場合(最低)でも1/5ということになる。そうすると、遊技者は、一球目の遊技球が一の特定球受部11に入球したことによって、当たりの可能性が高まった印象を受けることになる。かかる二球目の遊技球は、一球目の遊技球を特定球受部11Yに入球させた場合には、第一ルート84を経由させて残り三つの特定球受部11Yのいずれか、または、第二ルート85を経由させて特定球受部11Xに入球させる。したがって、二の特定球受部11のそれぞれに遊技球が保持されて回動体10が回動している状態となる。
続いて、三球目の遊技球が回動体10に向けて送り込まれる。このとき、既に二の特定球受部11には遊技球が保持されているから、遊技球が受け入れ可能な球受部は、残り三つの特定球受部11か一つの特別球受部12である。ゆえに、この時点で遊技球が特別球受部12に入球する見かけ上の確率は、第一ルート84が選択された場合(最低)でも1/4ということになる。そうすると、遊技者は、一球目に続いて二球目の遊技球が特定球受部11に入球したことによって、さらに当たりの可能性が高まった印象を受けることになる。
今回は、制御手段が行った実際の当否抽選が「当たり」であるケースであるため、三球目の遊技球は特別球受部12に入球させる。すなわち、第二ルート85を経由させて特別球受部12に入球させるか、第一ルート84を経由させて直接特別球受部12に入球させる。全ての遊技球が球受部に入球した後、開閉部材駆動部70を駆動させ、特定排出部211を開状態とする方向に開閉部材30を移動させる。この状態で回動体10を回動させ、遊技球が保持された特定球受部11が特定排出部211の真上に位置した状態となると、当該特定球受部11に保持された遊技球は特定排出部211から排出される(図10参照)。
一方、特別球受部12に保持された遊技球は、必ず特別排出部212を通じて排出される。上述したように、特別排出部212には、その内径を狭めるように傾斜した第一閉塞部121が形成されているため、特別球受部12に遊技球が保持された状態において、当該遊技球を保持する特別球受部12が開状態とされている特定排出部211の真上に位置したときであっても、特別球受部12から特定排出部211を通じて遊技球が排出されることはない(図11(a)参照)。回動体10が少なくとも一回転すれば、少なくとも一度は特別球受部12が特別排出部212の真上に位置する状態となる。かかる状態となれば、特別球受部12に保持された遊技球が特別排出部212を通じて排出される(図11(b)参照)。
以上が制御手段が行った実際の当否抽選が「当たり」である場合の回動体演出装置2の動作であるが、かかる動作例はあくまで一例である。回動体10に送られる遊技球のいずれかが特別球受部12に入球するように制御されるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、以下のような変形例が考えられる。
上記「はずれ」である場合の動作例と同様に、特定排出部211に入球した遊技球は、必ず最後の演出の最後まで当該特定球受部11に保持されるのではなく、演出の途中で排出されることがあるものとしてもよい。
また、演出の最後の遊技球(上記動作例であれば三球目の遊技球)以外の遊技球が、特別球受部12に入球することがあってもよい。この場合は、特別球受部12に遊技球が入球したことをもって、演出を終了させてもよいし、特別球受部12に入球した遊技球を特別排出部212から排出した後、演出を継続させるようにしてもよい。演出を継続させる場合としては、一回の演出で特別球受部12に入球した遊技球の数が多ければ多いほど遊技者に与える特典が大きくなるといった演出にする場合が考えられる。
また、演出の最後の遊技球(上記動作例であれば三球目の遊技球)以外の遊技球が、特定球受部11Xに入球することがあってもよい。この場合、当該遊技球は特定球受部11Xに入球するが、次の遊技球が回動体10に向かって送られる前に、特定球受部11Xに入球した遊技球を特定排出部211から排出させてもよいし、そのまま特定球受部11Xに保持させてもよい。そのまま特定球受部11Xに保持させるようにすれば、その後回動体10に送られる遊技球が第二ルート85を通った時点で、当該遊技球が特別球受部12に入球することが確定する演出を提供できる。
(本実施形態の主な作用効果)
以上説明した本発明にかかる遊技機1によれば、次のような作用効果が奏される。
特定球受部11に保持された遊技球は、開閉部材30によって特定排出部211が閉状態とされている限り、回動する回動体10とともに転動し、特定排出部211から排出されることはない。つまり、開閉部材30を操作することにより、特定球受部11に保持された遊技球がすぐに排出されないようにすることが可能となる。換言すれば、特定球受部11に保持された遊技球を排出するタイミングは自在に設定可能である。かかる機能を利用し、新たな遊技球が回動体10に案内されるまで特定球受部11に保持された遊技球が排出されないようにすれば、同じ特定球受部11に連続して遊技球が入球することはない。
そして、後から回動体10に案内された遊技球は、すでに遊技球が入球している所定の特定球受部11とは異なる球受部に入球するから、ある特定の球受部に意図的に入球させるようにしているのではないかという遊技者の懐疑心を抑えることが可能となる。
また、特別球受部12に形成された第一閉塞部121により、回動体10が回動しているとき、特別球受部12内に保持された遊技球が特定排出部211から排出されることがない。つまり、特別球受部12に入球した遊技球を、確実に特別排出部212を通じて排出させることが可能となる。
また、特定球受部11に形成された第二閉塞部41により、回動体10が回動しているとき、特定球受部11内に保持された遊技球が特別排出部212から排出されることがない。つまり、特定球受部11に入球した遊技球を、確実に特定排出部211を通じて排出させることが可能となる。
また、回動体10の側壁216に形成された切欠部13によって特定球受部11内に保持された遊技球を排出する口が大きくなる(「特定排出部211+切欠部13」の大きさの開口から排出される)ため、当該遊技球をスムーズに排出することが可能となる。特に、本実施形態のように、特定球受部11には特別排出部212から遊技球が排出されることを阻止する第二閉塞部41が形成されており、この第二閉塞部41によって特定球受部11内に保持された遊技球の特定排出部211からの排出が阻害されてしまうおそれがある場合には、切欠部13によって排出される口が大きくなるため効果的である(切欠部13を形成する意義が大きい)。
また、開閉部材30には、非排出部213上面と開閉部材30上面を橋渡しするように傾斜部34が設けられているため、両者の境界において遊技球をスムーズに転動させることが可能となる。具体的には、両者の境界を転動する際の抵抗(段差による衝撃等)により遊技球が球受部から飛び出てしまう等の問題の発生を抑えることが可能となる。
また、実際の当否抽選は制御手段によって行われ、回動体演出装置2は実際に当否抽選を行うものではないから、遊技機1に衝撃を与えたり、磁石を用いて特別球受部12に遊技球を入球させる等の不正行為によって当たりを誘発するいわゆるゴト行為を防止することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
なお、上述した本実施形態にかかる遊技機では、大当たりや特別遊技状態に突入するか否かという当否を予め制御手段による内部抽選により決定していたが、従来のように、回転体演出装置2により遊技球がいずれの球受部に入球したかにより実際に当否を抽選する構成としてもよい。この構成では、開閉部材30によって特定排出部211が閉状態とされている限り、特定球受部11に保持された遊技球が回動する回動体10とともに転動して特定排出部211から排出されることがないため、次の遊技球が特別球受部12に入球する確率を見かけ上ではなく実際にアップさせることが可能となる。この場合、開閉部材30によって特定排出部211を開状態とするタイミングは、適宜設定することが可能である。例えば、遊技球が特別球受部12に入球したときに、あるいは、所定数の遊技球がそれぞれ特定球受部11に入球したときに特定球受部211を開状態にする方向に開閉部材30を移動させる構成にすればよい。