JP5936106B2 - 金属酸化物半導体粒子分散体組成物および半導体の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の金属酸化物半導体粒子分散体組成物における金属酸化物半導体として代表的なものは、酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛(IGZO)、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)、酸化亜鉛−酸化スズ(ZTO)等を挙げることができる。これらの金属酸化物半導体粒子は、媒体中から安定に取り出す為に、アルカン酸類や脂肪酸類、ヒドロキシカルボン酸類、脂環族、芳香族カルボン酸類、アルケニルコハク酸無水物類、チオール類、フェノール誘導体類、アミン類、両親媒性ポリマー、高分子界面活性剤、低分子界面活性剤などの保護剤で被覆されていてもよい。
本発明における分散剤の疎水基(R)は、分岐鎖を有し炭素数が3〜24のアルキル基またはアルケニル基を含んでいる。分岐鎖を有し炭素数が3〜24のアルキル基またはアルケニル基の含有量は、Rの全体に対して70重量%以上であることが好ましい。
本発明において分散剤に好適に選択されるアルキレンオキシド種について、式(1)におけるAOは炭素数1ないし4のオキシアルキレン基を示すものであり、具体的には炭素数2のアルキレンオキシドはエチレンオキシドである。炭素数3のアルキレンオキシドはプロピレンオキシドである。炭素数4のアルキレンオキシドは、テトラヒドロフラン或いはブチレンオキシドであるが、好ましくは、1,2−ブチレンオキシドまたは2,3−ブチレンオキシドである。分散剤におけるオキシアルキレン鎖(−(AO)n−)は分散剤の分散媒親和性を調整する目的を果たし、アルキレンオキシドは単独重合鎖であっても、2種以上のアルキレンオキサイドのランダム重合鎖でもブロック重合鎖でもよく、また、その組み合わせであってもよい。式(1)のアルキレンオキシドの平均付加モル数を示すnは1ないし30の範囲であるが、3ないし20の範囲にあることが好ましい。
連結基(X)は炭素原子、水素原子、酸素原子からなる公知の構造から選択可能であるが、好ましくは飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、エーテル基、カルボニル基、エステル基からなり、脂環構造、芳香環構造を有していてもよく、また、繰り返し単位を有していてもよい。連結基Xに窒素原子及び/又は硫黄原子及び/又はリン原子などを含む場合は、カルボキシル基の分散質への親和効果を弱める作用があるために本発明における分散剤の構造因子としては適さない。
本発明においては、下記式(3)に記載の分散剤を使用することが一層好ましい。
本発明における分散剤の配合量は特に限定されるものではないが、分散質粒子である金属酸化物半導体粒子100重量%に対して、1〜30重量%であり、3〜20重量%が好ましく、3〜15重量%がより好ましく、5〜10重量%がさらに好ましい。
本発明における分散剤は公知の方法で製造することができる。例えば、アルコール、アミン、チオールに公知の方法でアルキレンオキシドを付加した一般的な非イオン界面活性剤化合物を原料として、モノハロゲン化低級カルボン酸またはその塩を用い、塩基存在下でアルキレンオキシド末端の水酸基と反応させる方法、または、酸無水物を用いてアルキレンオキシド末端の水酸基との開環反応による方法により製造することができるが、これらの方法に限定されるものではない。
本発明で使用できる分散媒としては、トルエン、キシレン、芳香族炭化水素系溶剤、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンなどの炭化水素系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶剤、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、ブチルエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ターピニルメチルエーテル、ジヒドロターピニルメチルエーテル、ジグライム 1,3−ジオキソランなどのエーテル系溶媒、アセトン、アセトフェノン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、アセトニルアセトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノンメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶媒、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸(イソ)アミル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、モノクロロ酢酸メチル、モノクロロ酢酸エチル、モノクロロ酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソアミル、γ−ブチロラクトンなどのエステル系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤、及び、それらモノエーテル類の酢酸エステル系溶剤、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル系溶剤が挙げられる。メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ヘプタノール、n−アミルアルコール、sec−アミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、アリルアルコール、エチレンクロロヒドリン、オクチルドデカノール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、イソアミルアルコール、t−アミルアルコール、sec−イソアミルアルコール、ネオアミルアルコール、ヘキシルアルコール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、α−テルピネオール、ターピネオールC、L−α−ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ターピニルオキシエタノール、ジヒドロターピニルオキシエタノール、日本テルペン化学株式会社製のテルソルブMTPH、テルソルブDTO−210、テルソルブTHA−90、テルソルブTHA−70や、シクロヘキサノール、3−メトキシブタノール、ジアセトンアルコール、1,4−ブタンジオール、オクタンジオール等や、日産化学工業株式会社製のファインオキソコール140N、ファインオキソコール1600、ファインオキソコール180、ファインオキソコール180N、ファインオキソコール2000などのアルコール系溶媒、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、へキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール系溶剤が挙げられる。その他、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒などが挙げられる。また、分散媒として反応性基を有する(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニルなどのビニル系単量体、ビニルエーテル誘導体類、ポリアリル誘導体などのエチレン系不飽和単量体類も使用することができる。なお、前記分散媒は単独または2種以上を混合して適宜使用することができる。
本発明の金属酸化物半導体粒子分散体組成物は、酢酸セルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の粘度調整剤を添加することができる。
本発明の金属酸化物半導体粒子分散体組成物を基材上に塗布し、溶剤を蒸発させた後、塗工することにより、本発明の半導体からなる薄膜が形成される。塗工の対象となる基材としては、ステンレス箔、銅箔等の金属基板やガラス基板、シリコン基板その他PETフィルム、ポリイミド樹脂等のプラスチック基板などを挙げることができるが、これらに限定されない。塗工方法も、上記に限らず、通常用いられる装置、器具等を用いて行うことが出来る。
硝酸インジウム(アルドリッチ社製試薬)、硝酸亜鉛(アルドリッチ社製試薬)、硝酸ガリウム(アルドリッチ社製試薬)をモル比率で1:1:1となるよう水に溶解した後、アンモニア水により中和を行って水和物を得、これを水洗した。水洗した水和物を耐圧容器に封入し、180℃で3時間反応させることにより、金属酸化物半導体粒子(IGZO)を得た。この金属酸化物半導体粒子の比表面積を、日本ベル製BEL−SORPminiにより測定し、一次粒子径を算出したところ、17nmであった。
[製造例1(分散剤Aの合成)]
トルエン溶媒中に、分岐C11〜14アルキルアルコール(製品名:EXXAL13、エクソン・モービル社製)エチレンオキシド10モル付加物640g(1モル)およびモノクロロ酢酸ナトリウム152g(1.3モル)を反応器にとり、均一になるよう撹拌した。その後、反応系の温度を60℃の条件で水酸化ナトリウム52gを添加した。次いで、反応系の温度を80℃に昇温させ、3時間熟成させた。熟成後、反応系が50℃の条件で98%硫酸117g(1.2モル)を滴下することにより、白色懸濁溶液を得た。次いで、この白色懸濁溶液を蒸留水で洗浄し、溶媒を減圧留去することにより、分散剤A(R:分岐C11〜14アルキル、AO:エチレンオキシド、n:10、X:CH2)を得た。
[製造例2(分散剤Bの合成)]
製造例1において、分岐C11〜14アルキルアルコールエチレンオキシド10モル付加物に代えて、イソデシルアルコールエチレンオキシド10モル付加物598g(1モル)とした以外は製造例1と同様の方法で行い、分散剤B(R:イソデシル、AO:エチレンオキシド、n:10、X:CH2)を得た。
[製造例3(分散剤Cの合成)]
製造例1において、分岐C11〜14アルキルアルコールエチレンオキシド10モル付加物に代えて、分岐C11〜14アルキルアルコールエチレンオキシド5モル付加物420g(1モル)とした以外は製造例1と同様の方法で行い、分散剤C(R:分岐C11〜14アルキル、AO:エチレンオキシド、n:5、X:CH2)を得た。
〔実施例1〕
上記で調製した金属酸化物半導体粒子にソルフィット(クラレ製、3−メトキシ−3−メチルブタノール)を金属酸化物半導体粒子の濃度が0.3Mとなるよう加え、さらに、上記で調製した分散剤Aを金属酸化物半導体粒子に対して10wt%添加し、ペイントシェーカーにて分散処理を行い、実施例としての金属酸化物半導体粒子分散体を得た。
分散剤Aに代えて、分散剤Bおよび分散剤Cをそれぞれ用い、その他については実施例1と同様の手順・条件で、実施例2および3の金属酸化物半導体粒子分散体および半導体膜を得た。
分散剤Aの添加量を金属酸化物半導体粒子に対して、それぞれ5wt%および15wt%添加し、その他については実施例1と同様の手順・条件で、実施例4および実施例5の金属酸化物分散体および半導体膜を得た。
分散剤Aに代えて、ステアリン酸および分岐C11〜14アルキルアルコール(製品名:EXXAL13、エクソン・モービル社製)エチレンオキシド10モル付加物をそれぞれ用い、その他については実施例と同様の手順・条件で、比較例1および2の金属酸化物半導体粒子分散体および半導体膜を得た。
上記実施例および比較例の金属酸化物半導体粒子分散体を1日静置し、金属酸化物半導体粒子の沈降の有無について評価を行い、その結果を表1に示した。
実施例1および比較例1および2で作製した塗工膜についてSEM画像の撮影を倍率100倍および3000倍で行い、その結果を図1〜6に示した。また、これらの塗工膜についてヘイズの測定をスガ試験機株式会社製ヘイズコンピューターにより行った。
実施例および比較例で作製した半導体膜について、体積抵抗を3回測定し、その平均値を表1に示した。体積抵抗の測定は、(ADVANTEC製デジタル超高抵抗計R8340)により行った。
表1から明らかなように、各実施例の分散体は、比較例の分散体に比較して、分散安定性に優れていることが分かる。また、実施例1の分散体から得られる塗工膜のSEM画像は、比較例1および2の分散体から得られる塗工膜に比較して、均一でムラが無く、ヘイズの値も良好な値を示している。従って、実施例の分散体から得られる塗工膜の方が、金属酸化物半導体としての特性が損なわれないことが予想される。更に、実施例の分散体から得られる半導体膜の体積抵抗値は、比較例の分散体から得られる半導体膜の体積抵抗値に比較して小さく、このことからも、各実施例の分散体から得られる半導体膜では、金属酸化物半導体としての特性が損なわれないことが予想される。
Claims (4)
- 平均粒子径が1〜100nmである金属酸化物半導体粒子と、
下記式(1)で示される化合物からなる分散剤と、
溶媒と、を含有し、
前記金属酸化物半導体粒子を100重量%とした場合に、前記分散剤の配合量が3〜20重量%であることを特徴とする金属酸化物半導体粒子分散体組成物。
- 前記分散剤における前記式(1)のXは、炭素数が1ないし15のアルキレン基であることを特徴とする請求項1記載の金属酸化物半導体粒子分散体組成物。
- 前記分散剤における前記式(1)のXは、下記式(2)で示される連結基であることを特徴とする請求項1記載の金属酸化物半導体粒子分散体組成物。
- 請求項1ないし3の何れか一項に記載の金属酸化物半導体粒子分散体組成物を塗工してなる膜を有することを特徴とする半導体の製造方法。
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