JP5935768B2 - 駆動制御装置 - Google Patents

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本発明は、絶縁ゲート型のトランジスタ構造とダイオード構造とが同一の半導体基板に形成された半導体素子の駆動制御装置に関する。
RC−IGBT、MOSトランジスタ、MOSゲートを備えたダイオードなど、トランジスタ素子とダイオード素子とが同一の半導体基板に形成され、トランジスタ素子の通電電極(コレクタ、エミッタまたはドレイン、ソース)とダイオード素子の通電電極(カソード、アノード)とが共通の電極とされた半導体素子が知られている(非特許文献1参照)。こうした半導体素子を、インバータやコンバータなどの電力変換装置においてスイッチング素子として用いる場合、スイッチング損失を低減することが必要である。
電力変換装置は、ハーフブリッジ回路を基本構成とし、上下アームの半導体素子を相補的にオンオフさせることで交流−直流電圧変換、直流−交流電圧変換を行い、或いは入力電圧を昇圧、降圧する。このハーフブリッジ回路において、電源短絡(アーム短絡)を防止するため、上下の半導体素子を同時にオフするデッドタイムが設けられている。
デッドタイムの期間中は、一方の半導体素子のダイオード素子に負荷電流が還流する。デッドタイムの終了後、他方の半導体素子がオンすると、負荷電流が上記ダイオード素子から当該他方の半導体素子に切り替わる。この際、ダイオード素子に蓄積されていたキャリアの放出による逆回復電流が流れる。この逆回復電流は、スイッチング損失を増加させるとともにノイズの発生原因となる。
これに対し、非特許文献1には、他方の半導体素子がターンオンする少し前に、一方の半導体素子に正のゲート駆動電圧を印加する方法が開示されている。この方法によれば、半導体素子の電子電流の増加とともにホール電流が減少し、ホールの注入が抑制され、逆回復電流が低減できる。
Zhenxue Xu, Bo Zhang and Alex Q.huang, "Experimental Demonstration of the MOS Controlled Diode(MCD)", IEEE 2000, Vol.2, p.1144-1148
半導体素子に一時的にゲート駆動電圧(ゲート駆動パルス)を印加してキャリアの注入を抑制させる非特許文献1記載の方法は、逆回復電流を低減するために有効である。しかし、ハーフブリッジ回路を構成する2つの半導体素子の間で電流を切り替える過渡時にゲート駆動パルスを印加する必要があるため、印加タイミングがわずかでも遅れるとアーム短絡が発生する。逆に印加タイミングが早いと、ゲート駆動パルスの印加終了後に再び注入されるホールの量が増え、逆回復電流の低減効果が減少する。上記非特許文献1には、ゲート駆動パルスの具体的な印加タイミングやパルス幅が示されていない。当該方法を実用化するには、こうしたゲート駆動パルスの印加手段の確立が必要である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、トランジスタ構造とダイオード構造とが同一の半導体基板に形成された半導体素子に対し、ゲート駆動パルスを適切なタイミングで印加することによりスイッチング損失を低減できる駆動制御装置を提供することにある。
請求項1に記載した駆動制御装置は、ゲート駆動電圧が印加される絶縁ゲート型のトランジスタ構造とダイオード構造とが同一の半導体基板に形成され、トランジスタ構造の通電電極とダイオード構造の通電電極とが共通の電極とされた半導体素子の駆動制御を行う。駆動制御装置は、半導体素子に流れる電流に応じた電流検出信号を出力する電流検出手段と、ゲート駆動信号を出力する制御手段と、ゲート駆動信号を入力してゲート駆動電圧を出力するドライブ回路とを備えている。
制御手段は、電流検出信号に基づいて、半導体素子に対するオン指令信号が入力されている期間に半導体素子にダイオード構造の順方向の向きに電流が流れていると判定した場合、その後のオフ指令信号の入力時点を起点として、予め設定された第1時間の経過時点から第2時間の経過時点まで、ゲート駆動電圧の印加を指令するゲート駆動信号を出力する。ドライブ回路は、このゲート駆動信号を入力してパルス状のゲート駆動電圧(ゲート駆動パルス)を出力する。
駆動対象の半導体素子は、トランジスタ構造とダイオード構造に対し共通のゲート構造を備えている。上下アーム間で通電が切り替わる時、例えば一方の半導体素子のダイオード構造に電流が流れている状態で、制御手段が当該一方の半導体素子にゲート駆動電圧を印加すると、当該ダイオード構造に蓄積されるホールが減少し、逆回復電流を低減する作用が生じる。
しかし、オフ指令信号が入力された半導体素子について、ダイオード構造の順方向の向きに素子電流(例えばダイオード電流)が流れている場合と、逆方向の向きに素子電流(トランジスタ電流)が流れている場合とでは、ゲート駆動パルスを与えたときのゲート駆動電圧の波形が異なる。例えば、前者の場合には急峻な電流変化、電圧変化やミラー期間が生じないので、ゲート駆動電圧の立ち上がり時間および立ち下がり時間は短くなる(或いは短くできる)。これにより、ゲート駆動パルスの遅延やばらつきが小さくなる。一方、後者の場合には急峻な電流変化、電圧変化やミラー期間が生じるので、ゲート駆動パルスの遅延やばらつきが大きくなる。駆動制御装置は、半導体素子にダイオード構造の順方向の向きに電流が流れている場合に限りゲート駆動パルスを印加するので、前者の場合の小さい遅延やばらつきに基づいた制御が可能となり、印加タイミングの精度を高めることができる。
上記半導体素子は、例えば、出力端子を挟んで高電位側(ハイサイド)と低電位側(ローサイド)に直列に配されてハーフブリッジ回路を構成する。駆動制御装置は、相補的に変化するハイサイドとローサイドの指令信号(例えばPWM信号)のうち少なくとも一方の指令信号を入力し、少なくとも一方のサイドの半導体素子にゲート駆動電圧を印加する。この指令信号は、切り替え時にデッドタイムを有している。デッドタイムは一定時間であるため、一方サイドのオフ指令信号の入力から他方サイドのオン指令信号の入力までの時間が正確に保証されている。
制御手段は、上述した遅延やばらつきを予め測定し、デッドタイムを把握した上で、第1時間と第2時間との時間幅を、半導体素子に対するオン指令信号が入力されている期間に半導体素子に流れていた電流の大きさに応じた値に制御する。これにより、オフ指令信号の入力時点を起点として、ゲート駆動電圧を所望のタイミングで印加するために必要なゲート駆動信号のタイミング、すなわち第1時間と第2時間を正確に設定することが可能となる。
その結果、一方の半導体素子に対するゲート駆動パルスの印加終了時点から逆回復電流が流れ始めるまでの時間、例えばゲート駆動パルスの印加終了後に当該ダイオード構造に再びキャリア(ホール)が注入される時間(キャリアの再注入時間)を正確に制御可能となる。従って、本手段によれば、アーム短絡を防止しつつ再注入時間を短く制御することができるので、逆回復電流が減少し、スイッチング損失を低減できる。また、制御手段は、オフ指令信号を基準タイミングとしてゲート駆動信号を印加できるので、別のタイミング信号が不要となり、従来から使用している駆動制御装置からの置き替えが容易になる。
しかも、第1時間と第2時間との時間幅は、半導体素子に対するオン指令信号が入力されている期間に当該半導体素子に流れていた電流が大きいほど長い時間となるように設定されている。電流が大きいほど、オフ指令信号が入力された時点から逆回復電流が流れ始めるまでの時間が長くなるからである。これにより、電流の大きさにかかわらず再注入時間の増大を抑えることができ、スイッチング損失を低減することができる。
請求項2に記載した手段は、上述したハーフブリッジ回路の例である。半導体素子にダイオード構造の順方向の向きに電流が流れている状態でオフ指令信号が入力された後、一定のデッドタイムを経て、他方の半導体素子に対してオン指令信号が入力されたときに、第2時間が経過してゲート駆動電圧が遮断された時点と、他方の半導体素子のトランジスタ構造に当該一方の半導体素子に流れていた電流を超える電流(逆回復電流)が流れ始める時点との時間幅が、ゼロより大きく且つ所定の注入許容時間以下となるように、第1時間と前記第2時間が設定されている。
この時間幅は、上述したキャリア再注入時間である。この時間をゼロより大きく設定することにより、ハーフブリッジ回路に短絡電流が流れることを防止することができる。また、この時間を所定の注入許容時間以下に設定することにより、逆回復電流を注入許容時間に応じた大きさに制限することができ、スイッチング損失を低減できる。
請求項3に記載した手段によれば、第1時間の経過時点から第2時間の経過時点まで出力されるゲート駆動信号に基づくゲート駆動電圧が、ドライブ回路のゲート駆動能力に従って単調に増加または単調に減少するものとして、第1時間と第2時間が設定されている。
オフ指令信号の入力後に印加する上記ゲート駆動パルスは、ダイオード構造に蓄積されるホールを減少させる作用を持ち、半導体素子を通電または断電させる作用を持たない。このため、トランジスタ素子の通電端子間(CE間、DS間)の電圧が変化せず、ミラー期間が生じない。また、ゲート駆動パルスの印加期間では、半導体素子にダイオード構造の順方向の向きに電流が流れ続けているので、アーム短絡に備えた保護作用を持つ特別なゲート駆動電圧も不要である。従って、ゲート駆動電圧が単調に増減するものとしてゲート駆動信号を設定することにより、キャリア再注入時間を所望の値に制御できる。
請求項4に記載した手段によれば、第1時間の経過時点から第2時間の経過時点まで出力されるゲート駆動信号に基づくゲート駆動電圧にミラー期間が生じないものとして、第1時間と第2時間が設定されている。これにより、ミラー期間の発生を想定してゲート駆動信号の設定した場合に対し、キャリア再注入時間の増大を抑えることができる。
請求項5に記載した手段によれば、ドライブ回路は、第1時間の経過時点でゲート駆動信号が変化したときに、一定のゲート駆動能力を維持してゲート駆動電圧を出力する。半導体素子を通電させる駆動では、ゲート駆動電圧の増加過程でゲート駆動電圧を一時的に中間電圧に留めることで、半導体素子が短絡故障している時の短絡電流を低減する方法が用いられている。しかし、適切なタイミングでゲート駆動パルスを印加すれば、短絡電流が流れることはない。本手段によれば、一定のゲート駆動能力を維持して無用な中間電圧を排除することにより、ゲート駆動電圧の立ち上がり時間のばらつきを低減し、再注入時間を正確に制御できる。
請求項6に記載した手段によれば、ドライブ回路は、第1時間の経過時点および第2時間の経過時点でゲート駆動信号が変化したときに、半導体素子を通断電するときに比べ高い駆動能力でゲート駆動電圧を出力する。これは、ゲート駆動パルスの印加期間では、半導体素子にダイオード構造の順方向の向きに電流が流れ続けているので、急峻な電流変化、電圧変化によるサージは発生しないからである。これにより、ゲート駆動電圧の立ち上がり時間および立ち下がり時間のばらつきを低減し、再注入時間を正確に制御できる。

本発明の一実施形態を示す駆動制御システムの構成図 メイン素子とセンス素子の回路構成図 半導体素子の模式的な縦断面図 ドライブ回路の駆動能力切替回路の構成図 パルス制御部のブロック構成図 パルス開始決定部の構成図 ダイオード素子の順方向の電圧電流特性図 Vf制御とパルス制御に係る波形図 素子電流、ゲート駆動電圧およびダイオード素子内のキャリア濃度を示す図 再注入時間がゼロとなる場合の波形図 再注入時間とスイッチング損失との関係を示す図 パルス幅とスイッチング損失との関係を示す図 第1時間と第2時間の説明図 パルス開始決定部の動作説明図 ミラー期間が存在する場合と存在しない場合の波形図 異なる駆動能力に対するゲート駆動電圧の波形図 電流検出構成の変形例を示す図(1) 電流検出構成の変形例を示す図(2)
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示す駆動制御システムは、モータ等の誘導性負荷を駆動するインバータ装置、インダクタを備えて直流電圧を昇圧/降圧するコンバータ装置などの電力変換装置に用いられる。スイッチング素子である半導体素子1A、1Bは、高電位側の直流電源線2と低電位側の直流電源線3との間に出力端子Ntを挟んで直列に配されて、ハーフブリッジ回路4を構成している。
同一構造を持つ半導体素子1A、1Bは、絶縁ゲート型のトランジスタ素子5とダイオード素子6とが同一の半導体基板に形成された逆導通型IGBT(RC−IGBT)である。トランジスタ素子5の通電電極(コレクタ、エミッタ)とダイオード素子6の通電電極(カソード、アノード)は共通の電極とされている。
このメイン素子に加え、半導体基板には、図2に示すようにメイン素子に流れる電流に比例した微小な電流を流すトランジスタ素子5sとダイオード素子6sとからなるセンス素子が形成されている。図1ではメイン素子とセンス素子を簡易的に表している。半導体素子1A、1Bのセンス端子S1、S2間には、それぞれセンス抵抗7A、7Bが接続されている。センス抵抗7A、7Bは、後述する電流検出部25とともに電流検出手段を構成している。
半導体素子1A、1Bの一例として、図3に縦型構造のRC−IGBTを示す。本実施形態のRC−IGBTは、トランジスタ構造とダイオード構造とが同一の半導体基板に設けられている。半導体基板8は、n−型のシリコン基板により構成されている。図示しないが、半導体基板8の素子形成領域の周縁部近傍には、当該素子形成領域を囲むようにガードリングが形成されている。
半導体基板8の上面側表層部には、p型のベース層9が形成されている。ベース層9には、ベース層9を貫通して半導体基板8に達する深さを持つ複数のトレンチが形成されている。トレンチ内にはポリシリコンが埋め込まれており、これによりトレンチ構造を持つゲート電極10が形成されている。各ゲート電極10には、共通のゲート配線11を通してゲート駆動電圧が入力される。ゲート電極10は、ベース層9の表層部に沿う一方向に等間隔でストライプ状に設けられている。これにより、ベース層9は、上記一方向に沿って互いに電気的に分離した複数の第1領域12と複数の第2領域13とに区画される。これら第1領域12と第2領域13は交互に配設されており、第2領域13の幅は第1領域12の幅よりも広くなっている。
第1領域12の表層部には、ゲート電極10に隣接してn+型のエミッタ領域14が形成されている。第1領域12の上にはエミッタ電極15が形成されている。エミッタ電極15は、第1領域12のベース層9とエミッタ領域14とに接続されている。第1領域12は、トランジスタ素子5のチャネル領域として動作するとともに、ダイオード素子6のアノード領域として動作する。すなわち、第1領域12に対するエミッタ電極15は、トランジスタ素子5のエミッタ電極およびダイオード素子6のアノード電極となる。
コレクタ領域16(後述)の上方に設けられた第2領域13aは、何れの電極にも接続されていない。カソード領域17(後述)の上方に設けられた第2領域13bは、エミッタ電極15と接続されている。これにより、第2領域13のうちカソード領域17の上方に設けられた第2領域13bだけが、ダイオード素子6のアノード領域として動作する。すなわち、エミッタ電極15は、第2領域13bにおいてダイオード素子6のアノード電極となる。
半導体基板8の下面側表層部には、第2領域13aが形成される範囲(破線の左側)に対応してp+型のコレクタ領域16が形成され、第2領域13bが形成される範囲(破線の右側)に対応してn+型のカソード領域17が形成されている。コレクタ領域16とカソード領域17は、コレクタ電極18と接続されている。すなわち、ダイオード素子6のカソード電極は、トランジスタ素子5のコレクタ電極18と共通になっている。半導体基板8とコレクタ領域16およびカソード領域17との間には、n型のフィールドストップ層19が形成されている。
図1に示す駆動制御システムにおいて、マイクロコンピュータ(マイコン)21は、ハーフブリッジ回路4のハイサイドとローサイドのPWM信号FH、FLを生成するPWM信号生成部22を備えている。PWM信号FH、FLは、同時にLレベル(オフ指令レベル)となる一定幅のデッドタイムTdを有している。PWM信号FH、FLは、それぞれフォトカプラ23A、23Bを介して駆動IC24A、24Bに入力される。本発明で言うオン指令信号とは、Hレベル(オン指令レベル)を持つPWM信号FH、FLであり、オフ指令信号とは、Lレベル(オフ指令レベル)を持つPWM信号FH、FLである。
駆動IC24A、24Bは、電流検出部25、Vf制御部26、パルス制御部27およびドライブ回路28を備えており、電源電圧VDDA、VDDB(例えば15V)が供給されることで動作する。ハイサイド側の半導体素子1A、ローサイド側の半導体素子1Bに対し、それぞれ別個の駆動IC24A、24Bが設けられている。このため、駆動IC24A、24Bは、電源電圧VDDA、VDDBに応じた耐圧(すなわちゲート駆動電圧に応じた耐圧)で十分である。駆動IC24A、24Bは同一構成であるため、主に駆動IC24Bについての構成を説明する。
電流検出部25は、センス抵抗7Bに生じるセンス電圧VSLに基づいて、半導体素子1Bに流れる電流に応じた電流検出信号(電流の極性と大きさ)を出力する電流検出手段である。Vf制御部26とパルス制御部27は、PWM信号FLに基づいてゲート駆動信号SGLを生成する。ドライブ回路28は、ゲート駆動信号SGLを入力してゲート駆動電圧VGLを出力する。
Vf制御部26は、PWM信号FLがHレベルの期間において、ダイオード素子6の順方向の向きに流れる半導体素子1Bの電流が電流しきい値It以上のときに、ゲート駆動電圧VGLを遮断する制御を行う。この制御は、半導体素子1Bの電圧(RC−IGBTの場合にはダイオード素子6の順方向電圧Vf)を低下させて導通損失を低減する作用を持つ。以下の説明ではVf制御と称する。
パルス制御部27は、PWM信号FLがHレベルの期間に半導体素子1Bにダイオード素子6の順方向の向きの電流が流れているとき、PWM信号FLの立ち下がりを基準として、パルス状のゲート駆動信号SGLを出力する。このゲート駆動信号SGLにより、半導体素子1Bのゲートにパルス状のゲート駆動電圧VGL(以下、ゲート駆動パルスと称す)が印加される。この制御は、ダイオード素子6に蓄積されるホールを減少させ、逆回復電流を低減する作用を持つ。以下の説明ではパルス制御と称する。
Vf制御部26とパルス制御部27とで生成されたゲート駆動信号SGLは、ドライブ回路28を介して半導体素子1Bのゲートに与えられる。ドライブ回路28は、図4に示すようにゲート駆動能力を複数通りに切り替えることができる。
ドライブ回路28は、ターンオン時に、MOSトランジスタ29によりゲートを駆動する。MOSトランジスタ29のゲートには、切替スイッチ30を介して定電流駆動アンプ31の出力電圧(A側)またはフローティンググランドFGの電圧(B側)が与えられる。前者の場合に通常の駆動能力となり、後者の場合に高い駆動能力となる。また、ドライブ回路28は、通常の駆動能力の場合に、駆動途中で短絡電流に対する保護動作を行う。このため、定電流駆動アンプ31は、ゲート駆動電圧VGLの増加過程で、ゲート駆動電圧VGLを一時的に中間電圧に留める。
ドライブ回路28は、ターンオフ時に、MOSトランジスタ32、33によりゲートを駆動する。切替スイッチ34をA側に切り替えてMOSトランジスタ32のみで駆動すると通常の駆動能力となり、切替スイッチ34をB側に切り替えてMOSトランジスタ32、33で駆動すると高い駆動能力となる。MOSトランジスタ33は、MOSトランジスタ32よりも低いオン抵抗を持つ。なお、MOSトランジスタ33は、半導体素子1Bをオフ状態に保持するときにも用いられる。
PWM信号FLの立ち上がり時、トランジスタ素子5に電流が流れている状態からのPWM信号FLの立ち下がり時など、半導体素子1Bに流れる電流(素子電流)、電圧に急峻な変化が生じるときには、電圧サージの発生を抑制するため通常の駆動能力に切り替えられる。これに対し、パルス制御のように素子電流や電圧に急峻な変化が生じないときには、高い駆動能力に切り替えられる。
駆動IC24Aには、しきい値設定回路35A、36A、37Aが外付けされている。駆動IC24Bには、しきい値設定回路35B、36B、37Bが外付けされている。しきい値設定回路29A、30A、31Aは、半導体素子1Aのエミッタ電位に等しいフローティンググランドFGを基準電位として構成されている。しきい値設定回路35A、35Bは、電圧VDDA、VDDBを抵抗R1、R2で分圧してしきい値電圧Vtを生成する。しきい値設定回路36A、36Bは、電圧VDDA、VDDBを抵抗R3、R4で分圧して規定電圧Vm1を生成する。しきい値設定回路37A、37Bは、電圧VDDA、VDDBを抵抗R5、R6で分圧して規定電圧Vm2を生成する。
しきい値電圧Vtは、Vf制御部26で用いられる電流しきい値Itの大きさを決定する。ダイオード素子6の順方向電流Ifに対する順方向電圧Vfの特性は、素子の種類(RC−IGBT、MOSトランジスタ等)や素子の耐圧によって異なる。そこで、Vf制御部26は、外部から与えられる切替信号Skとしきい値電圧Vtとに基づいて、適切な電流しきい値Itを選択する。
規定電圧Vm1は、Vf制御を停止するか否かの判定に用いる規定値Im1の大きさを決定する。規定電圧Vm2は、パルス制御を停止するか否かの判定に用いる規定値Im2の大きさを決定する。電流検出時と、その検出電流の極性に基づいてゲート駆動電圧VGH、VGLを印加した時とでは、制御の遅れにより電流極性が反転している虞もある。このため、Vf制御部26は、電流検出値が規定値Im1を下回るとVf制御を停止し、パルス制御部27は、電流検出値が規定値Im2を下回るとパルス制御を停止する。
以上説明した駆動IC24Aとセンス抵抗7Aにより駆動制御装置38Aが構成され、駆動IC24Bとセンス抵抗7Bにより駆動制御装置38Bが構成されている。
次に、図5から図16を参照しながら、主としてローサイド側の駆動制御装置38Bの作用について説明する。ハイサイド側の駆動制御装置38Aの作用も同様となる。はじめにVf制御について簡単に説明する。RC−IGBTである半導体素子1A、1Bは、ダイオード素子6に電流が流れている状態でゲート駆動電圧が印加されると、第1領域12にチャネルが形成されてホールの注入が抑制される。このため、図7に示すように、順方向電流Ifが流れているダイオード素子6の順方向電圧Vfが高くなり、ダイオード素子6の導通損失(Vf×If)が増大する。
そこで、ダイオード素子6に電流しきい値It以上の電流が流れている場合には、ゲート駆動電圧を遮断することにより導通損失を低減できる。電流しきい値Itは、RC−IGBTの場合にはほぼゼロであり、MOSトランジスタの場合には耐圧等に応じてゼロよりも大きい値になる。RC−IGBTを駆動する場合には切替信号Skが例えばLレベルに切り替えられ、MOSトランジスタを駆動する場合には切替信号Skが例えばHレベルに切り替えられる。Vf制御部26は、切替信号SkがHレベルのときに、しきい値電圧Vtに応じた電流しきい値Itを設定してVf制御を実行する。
図8は、出力端子Ntから負荷に向かって電流が流れている場合に、半導体素子1Aをオフして半導体素子1Bをオンした後、半導体素子1Bをオフして再度半導体素子1Aをオンしたときの波形である。上から順に、半導体素子1Aの電流、ゲート駆動電圧VGH、VGL、PWM信号FH、ゲート駆動信号SGL、PWM信号FLを示している。Vthは、半導体素子1Aのしきい値電圧である。
駆動IC24BのVf制御部26は、PWM信号FLがHレベルの期間(時刻t2〜t3)、ダイオード素子6の検出電流がその順方向において電流しきい値It以上であるか否かを判定する。ここで、検出電流が電流しきい値It以上であると判定すると、図8に示すようにLレベルのゲート駆動信号SGLを出力する。これにより、ゲート駆動電圧VGLが遮断され、導通損失が低減する。
次に、パルス制御について説明する。パルス制御は、PWM信号FLがHレベルの期間に半導体素子1Bのダイオード素子6に電流が流れている場合、PWM信号FLがLレベルに立ち下がった後、逆回復電流が流れ始める前までに、半導体素子1Bにゲート駆動パルスを印加する制御である。PWM信号FHがHレベルの期間に半導体素子1Aのダイオード素子6に電流が流れている場合であって、PWM信号FHがLレベルに立ち下がった後も同様である。これにより、ダイオード素子6に蓄積されるキャリア(ホール)が減少するので、逆回復電流を低減する作用が得られる。
図8において、パルス制御部27は、PWM信号FLがLレベルに立ち下がったとき(時刻t3)に半導体素子1Bのダイオード素子6に電流が流れている(電流検出値が規定値Im2以上)と判定すると、その立ち下がり時点を起点として、第1時間T1の経過時点(時刻t4)から第2時間T2の経過時点(時刻t6)までゲート駆動信号SGLをHレベルにする。上述したVf制御により、PWM信号FLの立ち下がり時点では、ゲート駆動信号SGLはLレベルになっている。
パルス制御部27は、PWM信号FLがLレベルに立ち下がった後も、半導体素子1Bのダイオード素子6に電流が流れているか否かを判定し続ける。パルス制御部27は、電流検出値が規定値Im2を下回ると、第1時間T1が経過した後、第2時間T2が経過する前であっても、直ちにゲート駆動信号SGLをLレベルに戻す。
一方、パルス制御部27は、PWM信号FLがLレベルに立ち下がったときにダイオード素子6に電流が流れていないと判定すると、直ちにゲート駆動信号SGLをLレベルにして維持する。すなわち、ゲート駆動パルスを印加しない。
図8に示すように、上下アーム間で通電が切り替わるとき、ゲート駆動電圧VGHがしきい値電圧Vth以上になると(時刻t9)、半導体素子1Aのトランジスタ素子5に流れる電流が増加する。このトランジスタ素子5に流れる電流のうち、半導体素子1Bのダイオード素子6に流れていた電流を超える電流が逆回復電流である。図面ではハッチングで示している(時刻t10〜t11)。図9、図10には、負荷電流(半導体素子1A、1Bに流れる電流)が100Aの場合と200Aの場合を併せて示している。
図9に示すように、ゲート駆動電圧VGL(ゲート駆動パルス)が印加されると、半導体素子1Bのダイオード素子6内のキャリアが減少するのでキャリア濃度が低下する(時刻t5〜t8)。ゲート駆動パルスの印加が終了すると、ダイオード素子6に再びキャリアが注入されるのでキャリア濃度が上昇する。このゲート駆動パルスの印加終了時点(時刻t8)から逆回復電流が流れ始めるまで(時刻t10)の時間Tc(Tc1、Tc2)は、キャリアの再注入時間である。
再注入時間Tcが短いほど、ダイオード素子6に蓄積されるキャリア濃度が低いので、逆回復電流が小さくなる。図11に示すように、再注入時間Tcが短いほどスイッチング損失が減少する。従って、再注入時間Tcは、許容される逆回復電流の大きさに対応する注入許容時間以下となるように制御される。図10は、再注入時間Tcがゼロとなる場合を示している。実際には、アーム短絡を防止するため、再注入時間Tcが短絡余裕時間Tm(>0)以上となるように制御される。
図9に示すように、負荷電流が大きいほど逆回復電流が流れ始める時点(時刻t10)が遅れる。このため、PWM信号FLの立ち下がり時点を起点としてゲート駆動電圧VGLの印加終了時点を固定すると(時刻t8)、負荷電流が100Aのときには再注入時間がTc1となり、負荷電流が200Aのときには再注入時間がTc2(>Tc1)となる。つまり、負荷電流が大きいほど再注入時間が長くなり、逆回復電流が大きくなってしまう。また、キャリア濃度を十分に下げてスイッチング損失を低減するには、図12に示すようにゲート駆動パルスの幅をある程度確保して、キャリア減少のための時間を十分に確保することが必要である。
こうした理由により、パルス制御部27は、負荷電流に応じてゲート駆動電圧VGLの印加タイミングを制御する。パルス制御部27は、PWM信号FLの立ち下がり時点を起点として、ゲート駆動信号SGLをHレベルにする第1時間T1とLレベルに戻す第2時間T2との時間幅Twを、PWM信号FLがHレベルの期間にダイオード素子6に流れていた電流の大きさに応じた値に設定する。具体的には、PWM信号FLがHレベルの期間にダイオード素子6に流れていた電流が大きいほど、長い時間幅を設定する。
第1時間T1と第2時間T2は、ダイオード素子6に流れる電流を種々に変えながら、PWM信号FLの立ち下がり時点を起点として、ゲート駆動信号SGLの印加タイミング、実際にゲート駆動電圧VGLが印加されるタイミング、および逆回復電流が流れ始めるタイミングを予め測定して設定されている。この第1時間T1と第2時間T2は、電流と対応付けて後述するメモリ39に記憶されている。第1時間T1と第2時間T2に替えて、第1時間T1とパルス幅Tw(=T2−T1)を記憶してもよい。
図5は、駆動IC24Bについてのパルス制御部27のブロック構成図である。メモリ39は、電流検出信号を入力し、パルス制御に必要な第1時間T1と第2時間T2(または第1時間T1とパルス幅Tw)を出力する。パルス開始決定部40は、図13に示すように、PWM信号FLと第1時間T1から、ゲート駆動信号SGLの立ち上がりのタイミング信号を生成する。パルス幅決定部41は、PWM信号FLと第2時間T2(またはパルス幅Tw)から、ゲート駆動信号SGLの立ち下がりタイミング信号を生成する。パルス生成部42は、これらのタイミング信号に基づいてゲート駆動信号SGLを生成し、ドライブ回路28に出力する。
パルス開始決定部40は、例えば図6に示す構成を備えている。PWM信号FLがHレベルの期間は、バッファ43を介したゲート電圧によりMOSトランジスタ44がオンするので、コンデンサ45の電圧はゼロとなる。PWM信号FLがLレベルに立ち下がると、MOSトランジスタ44がオフし、定電流回路46によりコンデンサ45が充電される。コンパレータ47は、コンデンサ45の電圧と、第1時間T1に応じた基準電圧とを比較してタイミング信号を出力する。パルス幅決定部41も、同様の構成を備えている。
図14は、PWM信号FLがHレベルの期間にダイオード素子6に流れていた電流に応じて、メモリ39から出力される第1時間T1すなわち基準電圧が変化し、それによりゲート駆動信号SGLの立ち上がりのタイミング信号が変化する様子を示している。なお、メモリ39に一定値である第1時間T1を記憶させ、読み出した値を素子電流に応じて変化させてもよい。
PWM信号FLがLレベルの期間にダイオード素子6に電流が流れている場合と、トランジスタ素子5に電流が流れている場合とでは、ゲート駆動パルスを与えたときのゲート駆動電圧VGLの波形が異なる。そこで、以下の述べる(1)から(3)に示す事項を考慮した上で、ゲート駆動電圧VGLがドライブ回路28のゲート駆動能力に従って単調に増加または単調に減少するものとして、第1時間T1と第2時間T2(または第1時間T1とパルス幅Tw)が設定されている。
(1)デッドタイムTd
PWM信号FH、FLのデッドタイムTdは一定時間である。このため、PWM信号FLがLレベルなってからPWM信号FHがHレベルになるまでの時間、およびPWM信号FHがLレベルなってからPWM信号FLがHレベルになるまでの時間が正確に保証されている。このデッドタイムTdを利用することにより、アーム短絡を防止しつつゲート駆動パルスを印加することができる。
(2)ミラー期間
トランジスタ素子5に電流が流れる場合には、ゲート駆動電圧VGLの印加時および遮断時にコレクタ・エミッタ間電圧の変化が生じるので、ミラー期間が生じる。このミラー期間は長く、例えば条件によっては数μsecの時間となる場合がある。これに対し、ダイオード素子6に電流が流れる場合には、コレクタ・エミッタ間電圧は変化しないので、ミラー期間は生じない。
図15は、ミラー期間が存在するものとしてゲート駆動パルスのタイミングを設定する場合と、ミラー期間が存在しないものとしてゲート駆動パルスのタイミングを設定する場合の再注入時間を示している。前者の場合、ミラー期間を想定して再注入時間Tcを設定すると、実際にはミラー期間が生じないため、実際の再注入時間はTcよりも長くなる。これに対し、当初からミラー期間が生じないものとして設定すれば、目標通りの再注入時間Tcを設定することができる。従って、ミラー期間を除いた時間を用いてゲート駆動パルスのタイミングを設定する。これにより、ゲート駆動パルスのパルス幅Twをより長く確保できる効果もある。
(3)ドライブ回路28の駆動能力
ゲート駆動パルスを出力する場合、ドライブ回路28は、ゲート駆動電圧VGLの立ち上げ時および立ち下げ時に、切替スイッチ30、34(図4参照)をB側に切り替えて、高いゲート駆動能力(ここでは最大のゲート駆動能力)でゲート駆動電圧VGLを出力する。ゲート駆動パルスの印加期間では、ダイオード素子6に電流が流れ続けているので、急峻な電流変化によるサージが発生しないからである。
また、ドライブ回路28は、ゲート駆動電圧VGLの立ち上げ時に、一定のゲート駆動能力を維持してゲート駆動電圧VGLを出力する。トランジスタ素子5に電流が流れる場合には、ゲート駆動電圧VGLの増加過程でゲート駆動電圧VGLを一時的に中間電圧Vm(例えば12V)に留めることで、他方の半導体素子1Aが短絡故障している時の短絡電流を低減する方法が用いられている。しかし、半導体素子1Bのダイオード素子6に順方向電流が流れているときには、半導体素子1A、1Bを介した経路で短絡する可能性がない。このため、中間電圧Vmを用いた2段階駆動は不要となる。
図16は、ドライブ回路28が通常の駆動能力で且つ2段階駆動によりゲート駆動電圧VGLを出力する場合と、ドライブ回路28が高い駆動能力を維持してゲート駆動電圧VGLを出力する場合の波形を対比して示している。ドライブ回路28の駆動能力、半導体素子1Bのゲート容量などにはばらつきがあるため、ゲート駆動電圧VGLの立ち上がり時間および立ち下がり時間にもばらつきが生じる。このばらつきは、駆動能力が低いほど大きく現れる。
このため、再注入時間Tcが常に短絡余裕時間Tm以上となるように設定した場合、ドライブ回路28が高い駆動能力を維持してゲート駆動電圧VGLを出力することにより、再注入時間Tcと短絡余裕時間Tmとの乖離を小さくすることができる。すなわち、再注入時間Tcを正確に制御することができる。また、ゲート駆動パルスのパルス幅Twのばらつきが低減するとともに、より長いパルス幅Twを確保できる。
以上説明したように、本実施形態の駆動制御装置38A、38Bは、上下アーム間で通電が切り替わるとき、それぞれPWM信号FH、FLがHレベルの期間に半導体素子1A、1Bにダイオード素子6の順方向の向きに電流が流れていると判定すると、ゲート駆動パルスの印加を指令するゲート駆動信号SGH、SGLを出力する。このパルス制御により、ダイオード素子6に蓄積されるホールが減少して逆回復電流が低減するので、スイッチング損失を低減できる。
駆動IC24A、24Bのパルス制御部27は、PWM信号FH、FLの立ち下がり時点を起点として、第1時間T1の経過時点から第2時間T2の経過時点までゲート駆動信号SGH、SGLをHレベルにする。PWM信号FH、FLの立ち下がり時点はデッドタイムTdの起点でもあるので、一定の時間を持つデッドタイムTdを有効に利用して、アーム短絡を防止しながらゲート駆動パルスを印加することができる。
第1時間T1と第2時間T2(または第1時間T1とパルス幅Tw)は、デッドタイムTd、素子電流に対応させて予め測定されたゲート駆動電圧VGH、VGLの遅延やばらつきおよび逆回復電流が流れ始めるまでの時間に基づいて設定され、パルス制御部27のメモリ39に記憶されている。
上下アーム間で通電が切り替わるとき、負荷電流が大きいほど逆回復電流が流れるタイミングが遅くなる。そこで、第1時間T1と第2時間T2との時間幅(パルス幅Tw)は、PWM信号FH、FLがHレベルの期間にダイオード素子6に流れていた電流が大きいほど長く設定されている。これにより、負荷電流の大きさにかかわらず、ダイオード素子6に対するキャリアの再注入時間Tc(ゲート駆動パルスの印加終了から逆回復電流が流れ始めるまでの時間)の増大を抑えることができ、スイッチング損失を低減することができる。
第1時間T1と第2時間T2は、再注入時間Tcがゼロより大きくなるように設定されている。これにより、ハーフブリッジ回路4に短絡電流が流れることを防止できる。また、パルス幅Twは、所定の注入許容時間以下となるように設定されている。これにより、逆回復電流を注入許容時間に応じた大きさ以下に制限することができ、スイッチング損失を低減できる。
さらに、第1時間T1と第2時間T2は、ゲート駆動パルスの印加時におけるゲート駆動電圧の波形およびドライブ回路28の駆動態様を考慮して設定されている。すなわち、ダイオード素子6に電流が流れているときにゲート駆動パルスを与えると、ミラー期間が生じない。そこで、ミラー期間が生じないものとして、第1時間T1と第2時間T2が設定される。
また、ゲート駆動パルスの印加期間では、ダイオード素子6に電流が流れ続けているので、急峻な電流変化、電圧変化によるサージは発生しない。このため、ドライブ回路28は、自ら有する最大のゲート駆動能力に従ってゲート駆動電圧VGH、VGLを出力する。さらに、ダイオード素子6に電流が流れているのであれば、短絡の可能性がない。このため、ドライブ回路28は、ゲート駆動電圧VGL、VGHの立ち上げ時に、一定のゲート駆動能力を維持して、ゲート駆動電圧VGL、VGHを単調に増加させる。こうした駆動態様を用いた場合に合わせて、第1時間T1と第2時間T2が設定される。
こうしたゲート駆動パルスに特有の駆動態様を用いたときのゲート駆動電圧は、トランジスタ素子5を通断電させる駆動態様を用いたときのゲート駆動電圧に比べ、遅延やばらつきが小さくなる。そのため、駆動IC24A、24Bは、ゲート駆動パルスの印加タイミングの精度を高めることができ、再注入時間Tcを正確に制御可能となる。その結果、アーム短絡を防止しつつ再注入時間を短く制御することが可能となり、スイッチング損失を一層低減できる。また、ゲート駆動パルスのパルス幅Twをより広く確保できる。さらに、パルス制御部27は、PWM信号FH、FLの立ち下がり時点を起点としてゲート駆動信号を印加するので、別のタイミング信号が不要となり、従来から使用している駆動制御装置からの置き替えが容易になる。
パルス制御部27は、パルス制御に基づきゲート駆動パルスを印加している期間(時刻t4〜t6)であっても、ダイオード素子6に電流が流れなくなる(電流検出値が規定値Im2未満となる)可能性があるまたは電流が流れていないと判定すると、直ちにゲート駆動パルスの印加を停止する。これにより、負荷電流が急変した場合でもアーム短絡を確実に防止できる。さらに、負荷電流の急変に備えて規定値Im2を高めに設定する必要がなくなるので、パルス制御を実行する電流範囲を広く確保でき、スイッチング損失を一層低減できる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形、拡張を行うことができる。
RC−IGBTは、トレンチゲート型に限らずプレーナゲート型などであってもよい。半導体素子1A、1Bは、コントロール用のゲートを有し寄生ダイオードが形成された素子、例えばMOSトランジスタ、MOSゲートを備えたダイオードであってもよい。MOSトランジスタは、トレンチゲート型に限らずプレーナゲート型などであってもよい。MOSトランジスタは、SJ(Super Junction)構造であってもよい。
上記実施形態では、電流検出手段として、半導体素子1A、1Bにセンス素子を形成した上でセンス抵抗7A、7Bを備えた。これに替えて、図17に示すように、センス素子を除いた半導体素子1A、1Bと直列にセンス抵抗7A、7Bを設けてもよい。センス抵抗7A、7Bとメイン素子とが直接接続されているので、高速答が可能となる。また、図18に示すように、半導体素子1A、1Bに対しホールセンサ59A、59Bを設けてもよい。ホールセンサ59A、59Bに替えて、出力端子Ntから負荷に至る出力線にホールセンサを設けてもよい。何れの構成でも、電流を高精度に検出できる。ホールセンサに替えてGMR(Giant Magneto Resistance)センサなどの絶縁型電流センサを用いてもよい。
図面中、1A、1Bは半導体素子、4はハーフブリッジ回路、5はトランジスタ素子(トランジスタ構造)、6はダイオード素子(ダイオード構造)、7A、7Bはセンス抵抗(電流検出手段)、8は半導体基板、15はエミッタ電極(通電電極)、18はコレクタ電極(通電電極)、25は電流検出部(電流検出手段)、27はパルス制御部(制御手段)、38A、38Bは駆動制御装置である。

Claims (6)

  1. ゲート駆動電圧が印加される絶縁ゲート型のトランジスタ構造(5)とダイオード構造(6)とが同一の半導体基板(8)に形成され、前記トランジスタ構造の通電電極と前記ダイオード構造の通電電極とが共通の電極(15,18)とされた半導体素子(1A,1B)の駆動制御装置(38A,38B)であって、
    前記半導体素子に流れる電流に応じた電流検出信号を出力する電流検出手段(7A,7B,25)と、
    前記電流検出信号に基づいて、前記半導体素子に対するオン指令信号が入力されている期間に前記半導体素子に前記ダイオード構造の順方向の向きに電流が流れていると判定した場合、その後のオフ指令信号の入力時点を起点として、予め設定された第1時間の経過時点から第2時間の経過時点まで前記ゲート駆動電圧の印加を指令するゲート駆動信号を出力する制御手段(27)と、
    前記ゲート駆動信号を入力して前記ゲート駆動電圧を出力するドライブ回路(28)とを備え、
    前記第1時間と前記第2時間との時間幅は、前記半導体素子に対するオン指令信号が入力されている期間に前記半導体素子に流れていた電流が大きいほど長い時間となるように設定されていることを特徴とする駆動制御装置。
  2. 前記半導体素子に前記ダイオード構造の順方向の向きに電流が流れている状態でオフ指令信号が入力された後、一定のデッドタイムを経て、当該一方の半導体素子とともにハーフブリッジ回路を構成する他方の半導体素子に対してオン指令信号が入力されたときに、前記第2時間が経過して前記ゲート駆動電圧が遮断された時点と、前記他方の半導体素子のトランジスタ構造に当該一方の半導体素子に流れていた電流を超える電流が流れ始める時点との時間幅が、ゼロより大きく且つ所定の注入許容時間以下となるように、前記第1時間と前記第2時間が設定されていることを特徴とする請求項1記載の駆動制御装置。
  3. 前記第1時間の経過時点から第2時間の経過時点まで出力されるゲート駆動信号に基づく前記ゲート駆動電圧が、前記ドライブ回路のゲート駆動能力に従って単調に増加または単調に減少するものとして、前記第1時間と前記第2時間が設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の駆動制御装置。
  4. 前記第1時間の経過時点から第2時間の経過時点まで出力されるゲート駆動信号に基づく前記ゲート駆動電圧にミラー期間が生じないものとして、前記第1時間と前記第2時間が設定されていることを特徴とする請求項3記載の駆動制御装置。
  5. 前記ドライブ回路は、前記第1時間の経過時点で前記ゲート駆動信号が変化したときに、一定のゲート駆動能力を維持して前記ゲート駆動電圧を出力することを特徴とする請求項3または4記載の駆動制御装置。
  6. 前記ドライブ回路は、前記第1時間の経過時点および前記第2時間の経過時点で前記ゲート駆動信号が変化したとき、前記半導体素子を通断電するときに比べ高い駆動能力で前記ゲート駆動電圧を出力することを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の駆動制御装置。
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