JP6702105B2 - スイッチング回路装置 - Google Patents

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本発明は、スイッチ機能とダイオード機能とを有する主回路部と、スイッチ機能のON状態又はOFF状態の切り替え制御をする制御部と、を備えるスイッチング回路装置に関する。
従来、半導体スイッチング素子のON状態/OFF状態時に適用される駆動制御装置が知られている。この半導体スイッチング素子には、ダイオードを並列に接続したIGBTが代表的に適用される。ダイオード電圧は、低電流領域では、比較的早く立ち上がるとともに、ピーク値も高くなる。その一方で、ダイオード電圧は、高電流領域では、比較的遅く立ち上がるとともに、ピーク値も低くなる特性を有する。半導体スイッチング素子のターンオン指令時には、電流指令値に基づいて通電電流が推定される。通電電流に基づき、低電流領域での動作と判定されるときには、低速スイッチングによりターンオンが実行される。一方、高電流領域での動作と判定されるときには、高速スイッチングによりターンオンが実行される。低電流領域では、ターンオン開始から所定時間が経過して、サージ電圧のピークが過ぎたと推定されると、低速スイッチングから高速スイッチングへ切り換えられる。この切換タイミングも、通電電流に応じて設定される(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−27881号公報
従来の駆動制御装置では、上アーム素子及び下アーム素子を構成する半導体スイッチング素子にIGBTが適用される。この半導体スイッチング素子では、例えば、上アーム素子のターンオフに伴い、フライホイールダイオードによって、負荷への供給電流(モータ電流)が還流される。つまり、半導体スイッチング素子と別に設けたフライホイールダイオードを介して、供給電流が流れる。
一方、上アーム素子及び下アーム素子に、SiC等のワイドバンドギャップ半導体を用いたMOSFET等のスイッチング素子を使用できるようになった。MOSFETでは、ソース―ドレイン間にボディダイオードが形成される。従って、インバータ等で使われるMOSFETの場合、ボディダイオードを介して供給電流(モータ電流)を逆方向に流すモードが存在する(逆方向時)。しかし、ボディダイオードを活用すると、ボディダイオードを介して電流が流れる逆方向時の損失を低減できない、という問題がある。
本発明の目的は、上記問題に着目してなされたもので、ダイオード機能を介して電流が流れる逆方向時の損失を低減できるスイッチング回路装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、主回路部と、制御部と、を備える。主回路部は、スイッチ機能と、ダイオード機能と、を有する。スイッチ機能は、主電流経路の順方向と逆方向の両方向に電流を流すことが可能である。ダイオード機能は、スイッチ機能と並列かつ逆方向に電流を流すことが可能である。制御部は、スイッチ機能のON状態又はOFF状態の切り替え制御をする制御信号を、制御電圧又は制御電流に変換してスイッチ機能へ入力する。ON状態にあるスイッチ機能をOFF状態にする制御信号が制御部からスイッチ機能に対して入力されたときに、スイッチ機能がON状態からOFF状態に切り替わる期間については、主電流経路において順方向に電流が流れるときの期間より、主電流経路において逆方向に電流が流れるときの期間の方が短く設定される。
この結果、ダイオード機能を介して電流が流れる逆方向時の損失を低減できるスイッチング回路装置を提供することができる。
実施例1におけるスイッチング回路装置を含むモータ駆動ユニットの概要図である。 実施例1におけるスイッチング回路装置の回路構成を示す回路図である。 実施例1におけるスイッチング回路装置にて実行される還流動作基本構成を示す説明図である。 実施例1におけるスイッチング回路装置における順方向時及び逆方向時のスイッチング制御を示すタイムチャートである。 実施例2におけるスイッチング回路装置の回路構成を示す回路図である。 実施例3におけるスイッチング回路装置の回路構成を示す回路図である。 実施例4におけるスイッチング回路装置の回路構成を示す回路図である。 実施例4におけるスイッチング回路装置における順方向時及び逆方向時のスイッチング制御を示すタイムチャートである。 実施例5におけるスイッチング回路装置の回路構成を示す回路図である。 実施例6におけるスイッチング回路装置の回路構成を示す回路図である。
以下、本発明のスイッチング回路装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1〜実施例6に基づいて説明する。また、実施例1〜実施例6を説明するにあたって、用語を下記のとおりに定義付けする。
「IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)」とは、半導体素子の一つであり、MOSFETをゲートに組み込んだバイポーラトランジスタである。「フライホイールダイオード」とは、半導体スイッチング素子で発生した起電力を一定の方向へ流したり、サージ電圧を吸収したりして、半導体スイッチング素子が破損しないように保護する機能を持つ素子のことをいう。「低電流領域」とは、通電電流が比較的低い領域のことをいう。「高電流領域」とは、通電電流が比較的高い領域のことをいう。「通電電流」とは、半導体スイッチング素子がON状態の時に流れる電流のことをいう。「ターンオン指令」とは、半導体スイッチング素子のON期間を指示する指令のことをいう。「ターンオフ指令」とは、半導体スイッチング素子のOFF期間を指示する指令のことをいう。「サージ電圧」とは、半導体スイッチング素子に瞬間的に定常状態を超えて発生する電圧のことをいい、例えば、半導体スイッチング素子の定格電圧に対応して決定される。
まず、構成を説明する。
実施例1におけるスイッチング回路装置は、走行用駆動源などとして車両に搭載されるモータジェネレータのインバータに用いられるスイッチング回路装置に適用したものである。以下、実施例1におけるスイッチング回路装置の構成を、「モータ駆動ユニットの全体構成」と、「スイッチング回路装置の回路構成」と、「還流動作基本構成」に分けて説明する。
[モータ駆動ユニットの全体構成]
図1は実施例1におけるスイッチング回路装置を含むモータ駆動ユニットの全体構成を示す。以下、図1に基づいて、モータ駆動ユニットの全体構成を説明する。
モータ駆動ユニット100は、直流電源Vinと、平滑コンデンサCと、インバータIVと、モータMと、を備える。
直流電源Vinは、モータMの駆動用の高電圧バッテリである。直流電源Vinは、電源線PL及びアース線ELの間に直流電圧を出力する。
平滑コンデンサCは、電源線PL及びアース線ELに接続される。平滑コンデンサCは、電圧変動を平滑にする。平滑コンデンサCは、電圧が高いときに蓄電し、電圧が低いときに放電して電圧の変動を抑える。
インバータIVは、モータMを駆動制御し、モータMの回転数を調節する。インバータIVは、PWM制御により、直流電流を交流電流に変換して、モータMへ供給する。インバータIVは、U相回路UCと、V相回路VCと、W相回路WCと、を備える。U相回路UC、V相回路VC及びW相回路WCの夫々は、電源線PL及びアース線ELの間に直列接続された上下二段のMOSFET20を備える。インバータIVは、MOSFET20のON状態又はOFF状態のタイミングを任意の周期で制御して、パルス幅の変調された矩形波電圧を生成する。インバータIVは、矩形波電圧を平滑化した交流電流をモータMへ供給する。
ここで、「PWM(Pulse Width Modulation)」とは、パルス幅変調を意味する。「PWM制御」とは、パルス幅を変調させることで所望の出力電圧(出力電流)を得る制御のことをいう。
モータMは、インバータIVから供給される交流電流を受けて駆動する。モータMは、U相、V相及びW相の三つのコイル(不図示)の一端が中性点(不図示)に共通接続される。三つのコイルの他端は、U相回路、V相回路及びW相回路に接続される。
[スイッチング回路装置の回路構成]
図2は、実施例1におけるスイッチング回路装置の回路構成を示す。以下、図2に基づいて、回路構成を説明する。
スイッチング回路装置1Aは、主回路部2と、駆動回路3と、を備える。
主回路部2は、MOSFET20(スイッチ機能)と、フライホイールダイオード21(ダイオード機能)と、を備える。MOSFET20は、ターンオン指令又はターンオフ指令を受けて、ターンオン又はターンオフする。そして、MOSFET20は、任意の周期でON動作とOFF動作を繰り返す。MOSFET20は、ボディダイオード20A(ダイオード機能)を備える。このボディダイオード20Aは、ソースS→ドレインDに向かう方向が順方向となる。主回路部2のON期間は、少なくとも主電流経路の順方向に電流が流れるときのON期間より、逆方向に電流が流れるときのON期間の方が長く設定される。MOSFET20は、主電流経路の順方向と逆方向の両方向に電流を流すことが可能である。MOSFET20のゲートGは、第1可変抵抗装置33A及び第2可変抵抗装置33Bに接続される。MOSFET20のドレインDは、接続点P1に接続される。この接続点P1は、直流電源Vinの正電圧(+)側と、フライホイールダイオード21のカソードKと、電圧センサー35とを接続する接続点である。MOSFET20のソースSは、接続点P2に接続される。この接続点P2は、フライホイールダイオード21のアノードAと、電圧センサー35と、接続点P3とを接続する接続点である。この接続点P3は、信号発生器31と、第1駆動用電圧可変電源32A及び第2駆動用電圧可変電源32Bとを接続する接続点である。フライホイールダイオード21は、MOSFET20と並列に接続される。即ち、フライホイールダイオード21は、接続点P1及び接続点P2に接続される。フライホイールダイオード21は、主電流経路の逆方向に電流を流すことが可能である。即ち、フライホイールダイオード21は、ボディダイオード20Aの機能を補完する。
ここで、「MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)」とは、双方向駆動素子であり、ドレインD→ソースSに向かう方向、ソースS→ドレインDに向かう方向の両方向へ電流を流すことができる素子のことをいう。「ターンオン」とは、MOSFET20がOFF状態からON状態に切り替わる動作のことをいう。「ターンオフ」とは、MOSFET20がON状態からOFF状態に切り替わる動作のことをいう。「ON期間」とは、MOSFETがON状態となる期間をいう。「順方向」とは、ドレインD→ソースSに向かう方向のことをいう。「逆方向」とは、ソースS→ドレインDに向かう方向のことをいう。「主電流経路」とは、MOSFET20のドレインD−ソースS間の電流経路のことをいう。「ボディダイオード」とは、MOSFETに寄生的に形成されるダイオードのことをいう。
MOSFET20がターンオンする期間については、少なくとも主電流経路において順方向に電流が流れるときの期間より、主電流経路において逆方向に電流が流れるときの期間の方が短く設定される。MOSFET20がターンオンするためのゲート電圧の時間当たりの変化量については、少なくとも順方向に電流が流れるときの変化量より、逆方向に電流が流れるときの変化量の方が大きく設定される。MOSFET20がターンオンするためのゲート電流の時間当たりの変化量については、少なくとも順方向に電流が流れるときの変化量より、逆方向に電流が流れるときの変化量の方が大きく設定される。MOSFET20のターンオンについては、MOSFET20が動作する期間、ゲート電圧の時間当たりの変化量及びゲート電流の時間当たりの変化量が、ゲート電圧及びゲート電流の両方で調整される。MOSFET20のターンオンについては、ゲート電流が通る電流経路の抵抗値が、少なくとも順方向に電流が流れるときの抵抗値より、逆方向に電流が流れるときの抵抗値の方が低く設定される。
ここで、「ゲート電圧」とは、MOSFET20のゲートGに印加される電圧のことをいう。「ゲート電流」とは、MOSFET20のゲートGに注入されたり、ゲートGから放電されたりする電流のことをいう。
MOSFET20がターンオフする期間については、少なくとも主電流経路において順方向に電流が流れるときの期間より、主電流経路において逆方向に電流が流れるときの期間の方が短く設定される。MOSFET20がターンオフするためのゲート電圧の時間当たりの変化量については、少なくとも順方向に電流が流れるときの変化量より、逆方向に電流が流れるときの変化量の方が大きく設定される。MOSFET20がターンオフするためのゲート電流の時間当たりの変化量については、少なくとも順方向に電流が流れるときの変化量より、逆方向に電流が流れるときの変化量の方が大きく設定される。MOSFET20のターンオフについては、MOSFET20が動作する期間、ゲート電圧の時間当たりの変化量及びゲート電流の時間当たりの変化量が、ゲート電圧及びゲート電流の両方で調整される。MOSFET20のターンオフについては、ゲート電流が通る電流経路の抵抗値が、少なくとも順方向に電流が流れるときの抵抗値より、逆方向に電流が流れるときの抵抗値の方が低く設定される。
駆動回路3は、主回路部2を駆動する。駆動回路3は、プッシュプル回路30と、信号発生器31と、第1駆動用電圧可変電源32Aと、第2駆動用電圧可変電源32Bと、第1可変抵抗装置33Aと、第2可変抵抗装置33Bと、第1ダイオード34Aと、第2ダイオード34Bと、電圧センサー35と、位置検出素子36と、制御装置37(制御部)と、を備える。
プッシュプル回路30は、NPN型トランジスタ30Aと、PNP型トランジスタ30Bと、を備える。NPN型トランジスタ30AのベースBは、信号入力部Vsigを介して信号発生器31に接続される。NPN型トランジスタ30AのコレクタCは、第1駆動用電圧可変電源32Aに接続される。NPN型トランジスタ30AのエミッタEは、第1ダイオード34AのアノードAと、第2ダイオード34BのカソードKと、PNP型トランジスタ30BのエミッタEに接続される。PNP型トランジスタ30BのベースBは、信号入力部Vsigを介して信号発生器31に接続される。PNP型トランジスタ30BのコレクタCは、第2駆動用電圧可変電源32Bに接続される。PNP型トランジスタ30BのエミッタEは、第2ダイオード34BのカソードKと、第1ダイオード34AのアノードAと、NPN型トランジスタ30AのエミッタEに接続される。信号入力部Vsigは、NPN型トランジスタ30A及びPNP型トランジスタ30BのベースB同士を接続した信号入力部である。信号入力部Vsigは、NPN型トランジスタ30A及びPNP型トランジスタ30Bに共通の信号入力部となる。信号入力部Vsigには、信号発生器31からゲート信号(制御信号)が入力される。
ここで、「プッシュプル(Push Pull)回路」とは、二つの増幅素子を正負対称に接続して、それぞれ一方の極性の信号を増幅する回路のことをいう。「NPN型トランジスタ」とは、N型とP型の半導体がN−P−Nの接合構造を持つ3端子のバイポーラトランジスタ(Bipolar Transistor)のことをいう。「PNP型トランジスタ」とは、N型とP型の半導体がP−N−Pの接合構造を持つ3端子のバイポーラトランジスタのことをいう。「ゲート信号」とは、MOSFET20をターンオフ又はターンオンするための信号のことをいう。
信号発生器31(例えば、FPGA等)は、信号入力部Vsigを介してNPN型トランジスタ30A及びPNP型トランジスタ30Bの各ベースBに接続される。信号発生器31は、制御装置37からの出力に基づいて、ゲート信号を信号入力部Vsigに出力する。
ここで、「FPGA(Field Programmable Gate Array)」とは、プログラミングできるLSI(Large Scale Integration)のことをいう。
第1駆動用電圧可変電源32A及び第2駆動用電圧可変電源32Bは、制御装置37により制御される。第1駆動用電圧可変電源32A及び第2駆動用電圧可変電源32Bは、プッシュプル回路30に駆動用電圧を供給する。この駆動用電圧は、第1可変抵抗装置33A及び第2可変抵抗装置33Bの各抵抗値に応じて、所定の可変幅で可変する。第1駆動用電圧可変電源32Aは、NPN型トランジスタ30AのコレクタCに正電圧を印加する。第2駆動用電圧可変電源32Bは、PNP型トランジスタ30BのコレクタCに負電圧を印加する。
第1可変抵抗装置33A及び第2可変抵抗装置33Bは、制御装置37により制御される。第1可変抵抗装置33Aは、ゲートGに電荷を蓄積する際にゲートGに注入される電流量を調整する。即ち、第1可変抵抗装置33Aは、MOSFET20をターンオンするときに、第1駆動用電圧可変電源32AからゲートGに至る電流供給路となる。第2可変抵抗装置33Bは、ゲートGから電荷を抜く際にゲートGから放電される電流量を調整する。即ち、第2可変抵抗装置33Bは、MOSFET20をターンオフするときに、ゲートGから第2駆動用電圧可変電源32Bに至る電流供給路となる。
第1ダイオード34Aは、第1可変抵抗装置33Aと連係して、ゲートGに注入される電流量を調整する。第1ダイオード34Aは、第1可変抵抗装置33Aと同様に、MOSFET20をターンオンするときに、第1駆動用電圧可変電源32AからゲートGに至る電流供給路となる。第2ダイオード34Bは、第2可変抵抗装置33Bと連係して、ゲートGから放電される電流量を調整する。第2ダイオード34Bは、第2可変抵抗装置33Bと同様に、MOSFET20をターンオフするときに、ゲートGから第2駆動用電圧可変電源32Bに至る電流供給路となる。
電圧センサー35は、主電流経路の電流の方向をセンシングする。電圧センサー35は、抵抗タイプの電圧センサーである。電圧センサー35には、主電流経路に直列接続されたシャント抵抗(不図示)が搭載される。電圧センサー35は、シャント抵抗の両端に発生する電位差によって、MOSFET20のドレインD−ソースS間の電流方向をセンシングする。即ち、ダイオード特性のVf、又は、MOSFET20のON抵抗の影響により、順方向時は、ソースSの電位よりドレインDの電位が高い。逆方向時は、ソースSの電位よりドレインDの電位が低い。電圧センサー35は、ドレインD−ソースS間の電位差に基づいて、電流の方向を判断することが可能となる。
ここで、「Vf(順方向電圧)」とは、アノードAからカソードKの方へ電流が流れ始める時の電圧のことをいう。「ON抵抗」とは、MOSFETがON状態となり、電流が流れ始めるときに、MOSFETの内部に発生する抵抗成分のことをいう。「順方向時」とは、ドレインD→ソースSに向かう方向に電流が流れる期間のことをいう。「逆方向時」とは、ソースS→ドレインDに向かう方向に電流が流れる期間のことをいう。
位置検出素子36は、モータM(不図示)の回転位置を検出する。位置検出素子36は、ダイオード36Aと、ホールIC36Bと、を備える。ダイオード36Aは、ホールIC36Bと、制御装置37に接続される。ホールIC36Aは、ホール効果を利用して、モータMのロータ(不図示)の位置を検出する。ホールIC36Aは、ダイオード36Aを介して、ロータの位置検出信号を制御装置37に出力する。
ここで、「ホール効果」とは、半導体に電流を流し、それと直角に磁界を印加すると、電流と磁界に直角に電位差を生じる現象のことをいう。
制御装置37は、電圧センサー35のセンシング結果に基づき、主電流経路の電流の方向を判断する。その判断結果に基づき、制御装置37は、第1可変抵抗装置33A及び第2可変抵抗装置33Bの各抵抗値を増減させたり、第1駆動用電圧可変電源32A及び第2駆動用電圧可変電源32Bを可変させたりする。制御装置37は、ゲート電圧Vg(制御電圧)又はゲート電流Ig(制御電流)を調整する。制御装置37は、ホールIC36Aから入力されるロータの位置検出信号に基づき、ゲート信号のデューティ幅を調整する。
ここで、「デューティ幅」とは、スイッチング素子のON状態/OFF状態の周期に占めるON期間の割合である。
[還流動作基本構成]
図3は、実施例1におけるスイッチング回路装置にて実行される還流動作基本構成を示す。図3には、インバータIV(不図示)の一相分を示す。図3では、下段MOSFET20のON期間に流れる電流I1を一点鎖線で示す。上段MOSFET20及び下段MOSFET20のOFF期間に流れる電流I2を二点鎖線で示す。上段MOSFT20のON期間に流れる電流I2,I3,I4を破線で示す。なお、図3中の駆動回路3は、MOSFET20の駆動回路を示す。以下、図3に基づいて、還流動作基本構成を説明する。上段MOSFET20には、コイルLが並列に接続される。還流動作は、上段MOSFET20及び下段MOSFET20が共にOFF状態にある期間に開始される。この期間をデットタイムという。
ここで、「デットタイム(Dead Time)」とは、MOSFETがスイッチングする間、上段MOSFET及び下段MOSFETのON区間が互いに重ならないように設定される期間のことをいう。
デットタイムが経過した後、下段MOSFET20のON期間では、下段MOSFET20がON状態となる。このON状態の間、電流I1は、直流電源Vinの正電圧(+)側→コイルL→下段MOSFET20のドレインD→下段MOSFET20のソースS→直流電源Vinの負電圧(−)側の順に流れる。そして、コイルLにエネルギーが蓄積される。
即ち、下段MOSFET20のON期間では、下段MOSFET20において、順方向(ドレインD→ソースS)に電流I1が流れることによる順方向動作が行われる。
そして、下段MOSFET20のON期間でのコイルLへのエネルギーの蓄積に続き、下段MOSFET20をOFF状態とした後に、デッドタイムが設定される。このデッドタイムの間、電流I2は、コイルL→上段ボディダイオード20A→コイルLの順に流れる。
即ち、上段MOSFET20及び下段MOSFET20のOFF期間では、上段MOSFET20において、逆方向(ソースS→ドレインD)に電流I2が流れることによる還流動作が行われる。
上段MOSFT20のON期間では、上段MOSFET20及び下段MOSFET20のOFF期間にて設定されたデッドタイムの経過に続き、上段MOSFET20がON状態となる。このON状態の間、電流I2は、上段MOSFET20のソースSにおいて、ソースS→ドレインDに流れる電流I3と、上段ボディダイオード20Aに流れる電流I4と、に分かれる。そして、上段MOSFET20のドレインDにおいて、電流I3及び電流I4は再び合流する。
次に、作用を説明する。
実施例1のスイッチング回路装置における作用を、「還流動作基本作用」と、「順方向時及び逆方向時におけるスイッチング制御作用」と、「スイッチング回路装置1Aにおける特徴作用」に分けて説明する。
[還流動作基本作用]
以下、図3に基づき、還流動作基本作用を説明する。
上段MOSFET20及び下段MOSFET20が共にOFF状態にあると、下段MOSFET20のON期間→上段MOSFET20及び下段MOSFET20のOFF期間→上段MOSFT20のON期間と進む。上段MOSFET20及び下段MOSFET20のOFF期間では、下段MOSFET20をOFF状態とした後に、デッドタイムが設定される。このデッドタイムの間、上段MOSFET20において、逆方向(ソースS→ドレインD)に電流I2が流れることによる還流動作が行われる。このデッドタイムの間、上段MOSFET20はOFF状態にあるので、上段ボディダイオード20Aを介して電流I2が還流する(還流電流)。この還流電流I2により、上段ボディダイオード20Aには、電流I2分の損失(=Vf×電流I2)が発生する。そして、上段MOSFT20のON期間では、上段MOSFET20がON状態となる。このON状態の間、電流I2は、逆方向(ソースS→ドレインD)に流れる電流I3と、上段ボディダイオード20Aに流れる電流I4と、に分かれる。即ち、還流電流I2の一部(電流I3)は上段MOSFET20に向かって流れる。このため、上段ボディダイオード20Aに流れ込む電流は、電流I2より小さい電流I4となる(I2<I4)。つまり、上段ボディダイオード20Aには、電流I4分の損失(=Vf×電流I4)が発生する。この損失は、電流I2分の損失(=Vf×電流I2)よりも小さい。これにより、上段MOSFT20のON期間では、上段ボディダイオード20Aにおける損失を、損失(=Vf×電流I2)から、これより小さい損失(=Vf×電流I4)に低下できる。
[順方向時及び逆方向時におけるスイッチング制御作用]
図4は、実施例1におけるスイッチング回路装置における順方向時及び逆方向時のスイッチング制御を示す。以下、図2及び図4に基づき、順方向時及び逆方向時におけるスイッチング制御作用を説明する。
ここで、図4中の電圧Vsig1,Vsig2は、信号入力部Vsigにおける電圧である。ゲート電圧Vg1は、MOSFET20がOFF状態にあるときのゲート電圧である。ゲート電圧Vg2は、MOSFET20がON状態にあるときのゲート電圧である。MOSFET20の閾値電圧特性に合わせ、ゲート電圧Vg1はMOSFET20の閾値電圧より低い値に調整される。ゲート電圧Vg2は閾値電圧より高い値に調整される。閾値電圧とは、この電圧を超えたらMOSFET20がターンオンするという電圧をいう。ゲート電流Igは、ゲートGに注入されたり、ゲートGから放電されたりする電流である。
時刻t0のとき、制御装置37は、図2に示すように、電圧センサー35のセンシング結果に基づき、主電流経路の電流の方向を判断する。主電流経路の順方向時のスイッチング速度は、通常ではOFF時において主回路部2のサージ抑制のためスイッチング速度の高速化には制限がある。一方、逆方向時は、スイッチング速度によるサージの影響がないため、スイッチング速度の高速化が可能である。
ここで、「サージ抑制」とは、上アーム素子又は下アーム素子がターンオフするときに発生するサージ電圧を抑制することをいう。
順方向時と判断した場合、制御装置37は、図2に示すように、誤ターンオン抑制及びサージ抑制のために、スイッチング速度を制限する。即ち、制御装置37は、図2に示すように、第1可変抵抗装置33A及び第2可変抵抗装置33Bの各抵抗値を順方向時と比べて全体的に高くする。時刻t1のとき、信号発生器31から信号入力部Vsigに、図2及び図4に示すように、MOSFET20をターンオンするための電圧値Vsig2が入力される(図4中のT−on)。これに同期して、制御装置37は、図2に示すように、第1駆動用電圧可変電源32A及び第1可変抵抗装置33Aを制御して、OFF状態にあるMOSFET20のゲートGへの電流の注入を開始する。時刻t1からの注入の開始により、ゲート電圧Vgは、図4に示すように、時刻t1〜時刻t5の間、ゲート電圧Vg1からゲート電圧Vg2まで上昇する。ゲート電圧Vgが上昇すると、ターンオンのスイッチングが遅くなる。このため、MOSFET20における誤ターンオン抑制の面で有利である。ゲート電流Igは、図4に示すように、時刻t1〜時刻t4の間、ゲート電流Ig3からゲート電流Ig4まで上昇する。ゲート電流Igは、図4に示すように、時刻t4〜時刻t5の間、ゲート電流Ig4からゲート電流Ig3まで降下する。そして、MOSFET20は、図4に示すように、時刻t5〜時刻t6の間、ON状態となる(図4中のON期間)。
ここで、「誤ターンオン抑制」とは、下アーム素子がターンオンしたときに、上アーム素子が誤ってターンオンすることを抑制したり、上アーム素子がターンオンしたときに、下アーム素子が誤ってターンオンすることを抑制したりすることをいう。
そして、時刻t6のとき、図2及び図4に示すように、信号発生器31から信号入力部Vsigに、MOSFET20をターンオフするための電圧値Vsig1が入力される(図4中のT−off)。これに同期して、制御装置37は、図2に示すように、第2駆動用電圧可変電源32B及び第2可変抵抗装置33Bを制御して、MOSFET20のゲートGからの放電を開始する。時刻t6からの放電の開始により、ゲート電圧Vgは、図4に示すように、時刻t6〜時刻t10の間、ゲート電圧Vg2からゲート電圧Vg1まで降下する。ゲート電圧Vgが降下すると、ターンオフのスイッチングが遅くなる。このため、MOSFET20におけるサージ抑制の面で有利である。ゲートGにおけるゲート電流Igは、図4に示すように、時刻t6〜時刻t7の間、ゲート電流Ig3からゲート電流Ig2まで降下する。ゲート電流Igは、図4に示すように、時刻t7〜時刻t10の間、ゲート電流Ig2からゲート電流Ig3まで上昇する。そして、MOSFET20は、図4に示すように、時刻t10のとき、OFF状態となる。
一方、逆方向時と判断した場合、制御装置37は、図2に示すように、スイッチング速度を順方向時と比べて高速化する。即ち、制御装置37は、図2に示すように、第1可変抵抗装置33A及び第2可変抵抗装置33Bの各抵抗値を順方向時と比べて全体的に低くする。時刻t1のとき、信号発生器31から信号入力部Vsigに、図2に示すように、MOSFET20をターンオンするための電圧値Vsig2が入力される(T−on)。これに同期して、制御装置37は、図2に示すように、第1駆動用電圧可変電源32A及び第1可変抵抗装置33Aを制御して、OFF状態にあるMOSFET20のゲートGへの電流の注入を開始する。時刻t1からの注入の開始により、ゲート電圧Vgは、図4に示すように、時刻t1〜時刻t3の間、ゲート電圧Vg1からゲート電圧Vg2まで上昇する。ゲート電圧Vgが上昇すると、ターンオンのスイッチングが速くなる。このため、MOSFET20におけるスイッチング損失を減らせる点で有利である。ゲートGにおけるゲート電流Igは、図4に示すように、時刻t1〜時刻t2の間、ゲート電流Ig2からゲート電流Ig3まで上昇する。ゲート電流Igは、図4に示すように、時刻t2〜時刻t3の間、ゲート電流Ig3からゲート電流Ig2まで降下する。そして、MOSFET20は、図4に示すように、時刻t3〜時刻t8の間、ON状態となる(図4中のON期間)。
そして、時刻t8のとき、図2及び図4に示すように、信号発生器31から信号入力部Vsigに、MOSFET20をターンオフするための電圧値Vsig1が入力される(T−off)。これに同期して、制御装置37は、図2に示すように、第2駆動用電圧可変電源32B及び第2可変抵抗装置33Bを制御して、MOSFET20のゲートGからの放電を開始する。時刻t8からの放電の開始により、ゲート電圧Vgは、図4に示すように、時刻t8〜時刻t10の間、ゲート電圧Vg2からゲート電圧Vg1まで降下する。ゲート電圧Vgが降下すると、ターンオフのスイッチングが速くなる。MOSFET20におけるスイッチング損失を減らせる点で有利である。ゲート電流Igは、図4に示すように、時刻t8〜時刻t9の間、ゲート電流Ig2からゲート電流Ig1まで降下する。ゲート電流Igは、図4に示すように、時刻t9〜時刻t10の間、ゲート電流Ig1からゲート電流Ig2まで上昇する。そして、MOSFET20は、図4に示すように、時刻t10のとき、OFF状態となる。
[スイッチング回路装置1Aにおける特徴作用]
実施例1では、MOSFET20がターンオフする期間については、少なくとも主電流経路において順方向に電流が流れるときの期間より、主電流経路において逆方向に電流が流れるときの期間の方が短く設定される。
即ち、MOSFET20のON条件であるゲート電圧Vg2からOFF条件であるゲート電圧Vg1に変更する期間は、順方向時において時刻t6〜時刻t10までの期間を要するのに対し、逆方向時においては時刻t8〜時刻t10までの期間に短縮される。このため、時刻t1〜時刻t10までの期間が順方向時と逆方向時で同一となる条件下で、NPN型トランジスタ30A及びPNP型トランジスタ30BのON期間を順方向時と比べて逆方向時に長くできる。これにより、逆方向時の主電流経路のMOSFET20のON期間を順方向時と比べて長くできる。つまり、逆方向時にボディダイオード20Aに低損失な電流が流れる時間を長くできる。
その結果、ボディダイオード20Aを介して電流が流れる逆方向時の損失を低減できる。
実施例1では、MOSFET20がターンオンする期間については、少なくとも主電流経路において順方向に電流が流れるときの期間より、主電流経路において逆方向に電流が流れるときの期間の方が短く設定される。
即ち、ゲート電圧Vg1からゲート電圧Vg2に変更される期間は、順方向時において時刻t1〜時刻t5までの期間を要するのに対し、逆方向時においては時刻t1〜時刻t3までの期間に短縮される。このため、MOSFET20でのターンオンのスイッチングが順方向時と比べて逆方向時に速くなる。これにより、主電流経路のMOSFET20のON期間を順方向時と比べて逆方向時に長くできる。つまり、逆方向時にボディダイオード20Aに低損失な電流が流れる時間を長くできる。
従って、ボディダイオード20Aを介して電流が流れる逆方向時の損失をより低減できる。
実施例1では、MOSFET20がターンオンするためのゲート電圧Vgの時間当たりの変化量については、少なくとも順方向に電流が流れるときの変化量より、逆方向に電流が流れるときの変化量の方が大きく設定される。
即ち、ゲート電圧Vgの時間当たりの変化量は、順方向時において(ゲート電圧Vg2−ゲート電圧Vg1)/(時刻t5−時刻t1)であるのに対し、逆方向時においては(ゲート電圧Vg2−ゲート電圧Vg1)/(時刻t3−時刻t1)に増加する。このため、MOSFET20でのターンオンのスイッチングが順方向時と比べて逆方向時に速くなる。
従って、主電流経路のMOSFET20のON期間を順方向時と比べて逆方向時に長くできる。
実施例1では、MOSFET20がターンオンするためのゲート電流Igの時間当たりの変化量については、少なくとも順方向に電流が流れるときの変化量より、逆方向に電流が流れるときの変化量の方が大きく設定される。
即ち、ゲート電流Igの時間当たりの変化量は、順方向時において(ゲート電流Ig4−ゲート電流Ig3)/(時刻t4−時刻t1)であるのに対し、逆方向時においては(ゲート電流Ig3−ゲート電流Ig2)/(時刻t2−時刻t1)に増加する。このため、MOSFET20でのターンオンのスイッチングが順方向時と比べて逆方向時に速くなる。
従って、主電流経路のMOSFET20のON期間を順方向時と比べて逆方向時に長くできる。
実施例1では、MOSFET20がターンオフするためのゲート電圧Vgの時間当たりの変化量については、少なくとも順方向に電流が流れるときの変化量より、逆方向に電流が流れるときの変化量の方が大きく設定される。
即ち、ゲート電圧Vgの時間当たりの変化量は、順方向時において(ゲート電圧Vg2−ゲート電圧Vg1)/(時刻t10−時刻t6)であるのに対し、逆方向時においては(ゲート電圧Vg2−ゲート電圧Vg1)/(時刻t10−時刻t8)に増加する。このため、MOSFET20でのターンオフのスイッチングが順方向時と比べて逆方向時に速くなる。
従って、主電流経路のMOSFET20のON期間を順方向時と比べて逆方向時に長くできる。
実施例1では、MOSFET20がターンオフするためのゲート電流Igの時間当たりの変化量については、少なくとも順方向に電流が流れるときの変化量より、逆方向に電流が流れるときの変化量の方が大きく設定される。
即ち、ゲート電流Igの時間当たりの変化量は、順方向時において(ゲート電流Ig3−ゲート電流Ig2)/(時刻t10−時刻t7)であるのに対し、逆方向時においては(ゲート電流Ig2−ゲート電流Ig1)/(時刻t10−時刻t9)に増加する。このため、MOSFET20でのターンオンのスイッチングが順方向時と比べて逆方向時に速くなる。
従って、主電流経路のMOSFET20のON期間を順方向時と比べて逆方向時に長くできる。
実施例1では、MOSFET20のターンオフについては、MOSFET20が動作する期間、ゲート電圧Vgの時間当たりの変化量及びゲート電流Igの時間当たりの変化量が、ゲート電圧Vg及びゲート電流Igの両方で調整される。
即ち、例えば逆方向時であれば、MOSFET20の動作期間(時刻t10−時刻t8)、ゲート電圧Vgの変化量(ゲート電圧Vg2−ゲート電圧Vg1)/(時刻t10−時刻t8)及びゲート電流Igの変化量(ゲート電流Ig2−ゲート電流Ig1)/(時刻t10−時刻t9)は、ゲート電圧Vg及びゲート電流Igで調整される。このため、既存のMOSFET20を用いて、MOSFET20の動作期間、ゲート電圧Vgの変化量及びゲート電流Igの変化量を調整できる。これにより、別途の調整機構を設ける必要がない。
従って、MOSFET20をターンオフさせるときに、MOSFET20の動作期間、ゲート電圧Vgの変化量及びゲート電流Igの変化量の調整を低コストに実現できる。
実施例1では、MOSFET20のターンオンについては、MOSFET20が動作する期間、ゲート電圧Vgの時間当たりの変化量及びゲート電流Igの時間当たりの変化量が、ゲート電圧Vg及びゲート電流Igの両方で調整される。
即ち、例えば逆方向時であれば、MOSFET20の動作期間(時刻t3−時刻t1)、ゲート電圧Vgの変化量(ゲート電圧Vg2−ゲート電圧Vg1)/(時刻t3−時刻t1)及びゲート電流Igの変化量(ゲート電流Ig3−ゲート電流Ig2)/(時刻t2−時刻t1)は、ゲート電圧Vg及びゲート電流Igで調整される。このため、既存のMOSFET20を用いて、MOSFET20の動作期間、ゲート電圧Vgの変化量及びゲート電流Igの変化量を調整できる。これにより、別途の調整機構を設ける必要がない。
従って、MOSFET20をターンオンさせるときに、MOSFET20の動作期間、ゲート電圧Vgの変化量及びゲート電流Igの変化量の調整を低コストに実現できる。
実施例1では、MOSFET20のターンオフについては、ゲート電流Igが通る電流経路の抵抗値が、少なくとも順方向に電流が流れるときの抵抗値より、逆方向に電流が流れるときの抵抗値の方が低く設定される。
即ち、逆方向時には、順方向時と比べて抵抗値を低く設定した可変抵抗装置33Bを介して、MOSFET20のゲートGからゲート電流Igが放電される。このため、ターンオフのスイッチングが順方向時と比べて逆方向時に速くなる。
従って、主電流経路のMOSFET20のON期間を順方向時と比べて逆方向時に長くできる。
実施例1では、MOSFET20のターンオンについては、ゲート電流Igが通る電流経路の抵抗値が、少なくとも順方向に電流が流れるときの抵抗値より、逆方向に電流が流れるときの抵抗値の方が低く設定される。
即ち、逆方向時には、順方向時と比べて抵抗値を低く設定した可変抵抗装置33Aを介して、MOSFET20のゲートGにゲート電流Igが注入される。このため、ターンオンのスイッチングが順方向時と比べて逆方向時に速くなる。
従って、主電流経路のMOSFET20のON期間を順方向時と比べて逆方向時に長くできる。
実施例1では、主回路部2のON期間は、少なくとも順方向に電流が流れるときのON期間より、逆方向に電流が流れるときのON期間の方が長く設定される。
即ち、逆方向時にボディダイオード20Aに低損失な電流が流れる時間を長くできる。
従って、ボディダイオード20Aを介して電流が流れる逆方向時の損失を低減できる。
次に、効果を説明する。
実施例1におけるスイッチング回路装置1Aにあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 主電流経路の順方向と逆方向の両方向に電流を流すことが可能なスイッチ機能(MOSFET20)と、スイッチ機能(MOSFET20)と並列かつ逆方向(ソースS→ドレインD)に電流を流すことが可能なダイオード機能(ボディダイオード20A)と、を有する主回路部(主回路部2)と、
スイッチ機能(MOSFET20)のON状態又はOFF状態の切り替え制御をする制御信号(ゲート信号)を、制御電圧(ゲート電圧Vg)又は制御電流(ゲート電流Ig)に応じてスイッチ機能(MOSFET20)へ入力する制御部(制御装置37)と、を備えるスイッチング回路装置(スイッチング回路装置1A)であって、
ON状態にあるスイッチ機能(MOSFET20)をOFF状態にする制御信号(ゲート信号)が制御部(制御装置37)からスイッチ機能(MOSFET20)に対して入力されたときに、スイッチ機能(MOSFET20)がON状態からOFF状態に切り替わる期間については、
少なくとも主電流経路において順方向に電流が流れるときの期間より、主電流経路において逆方向に電流が流れるときの期間の方が短く設定される(図2)。
このため、ダイオード機能(ボディダイオード20A)を介して電流が流れる逆方向時の損失を低減できるスイッチング回路装置(スイッチング回路装置1A)を提供することができる。
(2) OFF状態にあるスイッチ機能(MOSFET20)をON状態にする制御信号(ゲート信号)が制御部(制御装置37)からスイッチ機能(MOSFET20)に対して入力されたときに、スイッチ機能(MOSFET20)がOFF状態からON状態に切り替わる期間については、
少なくとも主電流経路において順方向に電流が流れるときの期間より、主電流経路において逆方向に電流が流れるときの期間の方が短く設定される(図2)。
このため、(1)の効果に加え、ダイオード機能(ボディダイオード20A)を介して電流が流れる逆方向時の損失をより低減できる。
(3) OFF状態にあるスイッチ機能(MOSFET20)をON状態にする制御信号(ゲート信号)が制御部(制御装置37)からスイッチ機能(MOSFET20)に対して入力されたときに、スイッチ機能(MOSFET20)がOFF状態からON状態に切り替わるための主電流経路の制御電圧(ゲート電圧Vg)の時間当たりの変化量又は制御電流(ゲート電流Ig)の時間当たりの変化量については、
少なくとも主電流経路において順方向に電流が流れるときの変化量より、主電流経路において逆方向に電流が流れるときの変化量の方が大きく設定される(図2)。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、主電流経路のスイッチ機能(MOSFET20)のON期間を順方向時と比べて逆方向時に長くできる。
(4) ON状態にあるスイッチ機能(MOSFET20)をOFF状態にする制御信号(ゲート信号)が制御部(制御装置37)からスイッチ機能(MOSFET20)に対して入力されたときに、スイッチ機能(MOSFET20)がON状態からOFF状態に切り替わるための主電流経路の制御電圧(ゲート電圧Vg)の時間当たりの変化量又は制御電流(ゲート電流Ig)の時間当たりの変化量については、
少なくとも主電流経路において順方向に電流が流れるときの変化量より、主電流経路において逆方向に電流が流れるときの変化量の方が大きく設定される(図2)。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、主電流経路のスイッチ機能(MOSFET20)のON期間を順方向時と比べて逆方向時により長くできる。
(5) スイッチ機能(MOSFET20)がON状態からOFF状態に切り替わる動作については、
ON状態からOFF状態にスイッチ機能(MOSFET20)が動作する期間、主電流経路の制御電圧(ゲート電圧Vg)の時間当たりの変化量及び制御電流(ゲート電流Ig)の時間当たりの変化量の少なくとも一方が、
制御電圧(ゲート電圧Vg)の電圧値及び制御電流(ゲート電流Ig)の電流値の何れか一方もしくは両方で調整される(図2)。
このため、(1)〜(4)の効果に加え、スイッチ機能(MOSFET20)をON状態からOFF状態に切り替えるときに、スイッチ機能(MOSFET20)の動作期間、制御電圧(ゲート電圧Vg)の変化量及び制御電流(ゲート電流Ig)の変化量の調整を低コストに実現できる。
(6) スイッチ機能(MOSFET20)がOFF状態からON状態に切り替わる動作については、
OFF状態からON状態にスイッチ機能(MOSFET20)が動作する期間、主電流経路の制御電圧(ゲート電圧Vg)の時間当たりの変化量及び制御電流(ゲート電流Ig)の時間当たりの変化量の少なくとも一方が、
制御電圧(ゲート電圧Vg)の電圧値及び制御電流(ゲート電流Ig)の電流値の何れか一方もしくは両方で調整される(図2)。
このため、(1)〜(5)の効果に加え、スイッチ機能(MOSFET20)をOFF状態からON状態に切り替えるときに、MOSFET20の動作期間、ゲート電圧Vgの変化量及びゲート電流Igの変化量の調整を低コストに実現できる。
(7) スイッチ機能(MOSFET20)がON状態からOFF状態に切り替わる動作については、
制御電流(ゲート電流Ig)が通る電流経路(可変抵抗装置33B)の抵抗値が、
少なくとも主電流経路において順方向に電流が流れるときの抵抗値より、主電流経路において逆方向に電流が流れるときの抵抗値の方が低く設定される(図2)。
このため、(5)の効果に加え、逆方向時の主電流経路のMOSFET20のON期間を順方向時と比べて逆方向時に長くできる。
(8) スイッチ機能(MOSFET20)がOFF状態からON状態に切り替わる動作については、
制御電流(ゲート電流Ig)が通る電流経路(可変抵抗装置33A)の抵抗値が、
少なくとも主電流経路において順方向に電流が流れるときの抵抗値より、主電流経路において逆方向に電流が流れるときの抵抗値の方が低く設定される(図2)。
このため、(6)の効果に加え、逆方向時の主電流経路のMOSFET20のON期間を順方向時と比べて逆方向時に長くできる。
(9) 主回路部(主回路部2)が任意の周期でON動作とOFF動作を繰り返す場合について、
主回路部(主回路部2)のON期間は、
少なくとも主電流経路において順方向に電流が流れるときのON期間より、主電流経路において逆方向に電流が流れるときのON期間の方が長く設定される(図2)。
このため、(1)〜(8)の効果に加え、ダイオード機能(ボディダイオード20A)を介して電流が流れる逆方向時の損失を低減できる。
実施例2は、電流センサーを用いて主電流経路の電流方向を判断する例である。
まず、構成を説明する。
実施例2におけるスイッチング回路装置は、実施例1と同様に、走行用駆動源などとして車両に搭載されるモータジェネレータのインバータに用いられるスイッチング回路装置に適用したものである。図5は実施例2におけるスイッチング回路装置の回路構成を示す。以下、図5に基づいて、実施例2における「スイッチング回路装置の回路構成」について説明する。なお、実施例2における「モータ駆動ユニットの全体構成」と、「還流動作基本構成」については、実施例1と同様であるので説明を省略する。
スイッチング回路装置1Bは、主回路部2と、駆動回路3と、を備える。
駆動回路3は、プッシュプル回路30と、信号発生器31と、第1駆動用電圧可変電源32Aと、第2駆動用電圧可変電源32Bと、第1可変抵抗装置33Aと、第2可変抵抗装置33Bと、第1ダイオード34Aと、第2ダイオード34Bと、電流センサー38と、制御装置37(制御部)と、を備える。
電流センサー38は、主電流経路の電流の方向をセンシングする。電流センサー38は、非接触タイプの電流センサーである。即ち、電流センサー38は、ホール素子を利用して磁界を検出する。電流センサー38は、主電流経路においてフライホイールダイオード21のアノードA側に配置される。電流センサー38は、検出した磁界に応じて、MOSFET20のドレインD−ソースS間を流れる電流の向きをセンシングする。即ち、電流センサー38は、順方向(ドレインD→ソースS)又は逆方向(ソースS→ドレインD)をセンシングする。
ここで、「ホール素子」とは、ホール効果を利用した素子のことをいう。
制御装置37は、電流センサー38のセンシング結果に基づき、主電流経路の電流の方向を判断する。その判断結果に基づき、制御装置37は、第1可変抵抗装置33A及び第2可変抵抗装置33Bの抵抗値を増減させたり、第1駆動用電圧可変電源32A及び第2駆動用電圧可変電源32Bを可変させたりする。制御装置37は、ゲート電圧Vg(制御電圧)又はゲート電流Ig(制御電流)を調整する。
他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
次に、作用を説明する。
実施例2では、電流センサー38は、主電流経路の電流の方向をセンシングする。
即ち、電流センサー38により、順方向(ドレインD→ソースS)又は逆方向(ソースS→ドレインD)がセンシングされる。このため、ダイオード特性のVfが低い場合や、MOSFET20のON抵抗が低い条件でも、電流方向の判断が可能となる。
従って、電圧によるセンシング困難な場合でも、制御装置37は、順方向(ドレインD→ソースS)又は逆方向(ソースS→ドレインD)の判断が可能となる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例2におけるスイッチング回路装置1Bにあっては、実施例1の(1)〜(9)と同様の効果を得ることができる。
実施例3は、信号発生器からの情報を用いて主電流経路の電流方向を判断する例である。
まず、構成を説明する。
実施例3におけるスイッチング回路装置は、実施例1と同様に、走行用駆動源などとして車両に搭載されるモータジェネレータのインバータに用いられるスイッチング回路装置に適用したものである。図6は実施例3におけるスイッチング回路装置の回路構成を示す。以下、図6に基づいて、実施例3における「スイッチング回路装置の回路構成」について説明する。なお、実施例3における「モータ駆動ユニットの全体構成」と、「還流動作基本構成」については、実施例1と同様であるので説明を省略する。
スイッチング回路装置1Cは、主回路部2と、駆動回路3と、を備える。
駆動回路3は、プッシュプル回路30と、信号発生器31と、第1駆動用電圧可変電源32Aと、第2駆動用電圧可変電源32Bと、第1可変抵抗装置33Aと、第2可変抵抗装置33Bと、第1ダイオード34Aと、第2ダイオード34Bと、制御装置37(制御部)と、を備える。
信号発生器31(例えば、FPGA等)は、ゲート信号(制御信号)を信号入力部Vsigに出力する。
制御装置37は、信号発生器31から出力される情報に基づき、主電流経路の電流の方向を判断する。その判断結果に基づき、制御装置37は、第1可変抵抗装置33A及び第2可変抵抗装置33Bの抵抗値を増減させたり、第1駆動用電圧可変電源32A及び第2駆動用電圧可変電源32Bを可変させたりする。制御装置37は、ゲート電圧Vg(制御電圧)又はゲート電流Ig(制御電流)を調整する。
他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
次に、作用を説明する。
実施例3では、制御装置37は、信号発生器31から出力される情報に基づき、主電流経路の電流の方向を判断する。
即ち、制御装置37は、信号発生器31からの情報で、順方向(ドレインD→ソースS)又は逆方向(ソースS→ドレインD)を判断する。このため、既存の信号発生器31を用いて、順方向(ドレインD→ソースS)又は逆方向(ソースS→ドレインD)を判断できる。これにより、電圧センサーや電流センサーを別途に設ける必要がない。
従って、順方向(ドレインD→ソースS)又は逆方向(ソースS→ドレインD)の判断を低コストに実現できる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例3におけるスイッチング回路装置1Cにあっては、実施例1の(1)〜(9)と同様の効果を得ることができる。
実施例4は、駆動用可変電圧電源の制御により、順方向時及び逆方向時におけるスイッチング素子のON期間を調整する例である。
実施例4におけるスイッチング回路装置は、実施例1と同様に、走行用駆動源などとして車両に搭載されるモータジェネレータのインバータに用いられるスイッチング回路装置に適用したものである。図7は実施例4におけるスイッチング回路装置の回路構成を示す。以下、図7に基づいて、実施例4における「スイッチング回路装置の回路構成」について説明する。なお、実施例4における「モータ駆動ユニットの全体構成」と、「還流動作基本構成」については、実施例1と同様であるので説明を省略する。
スイッチング回路装置1Dは、主回路部2と、駆動回路3と、を備える。
駆動回路3は、主回路部2を駆動する。駆動回路3は、プッシュプル回路30と、信号発生器31と、第1駆動用電圧可変電源32Aと、第2駆動用電圧可変電源32Bと、第1固定抵抗器39Aと、第2固定抵抗器39Bと、第1ダイオード34Aと、第2ダイオード34Bと、電圧センサー35と、制御装置37(制御部)と、を備える。
第1駆動用電圧可変電源32A及び第2駆動用電圧可変電源32Bは、制御装置37により制御される。第1駆動用電圧可変電源32A及び第2駆動用電圧可変電源32Bは、順方向時及び逆方向時におけるMOSFET20のON期間の制御に作用する。第1駆動用電圧可変電源32A及び第2駆動用電圧可変電源32Bは、プッシュプル回路30に駆動用電圧を供給する。第1駆動用電圧可変電源32Aは、NPN型トランジスタ30AのコレクタCに正電圧を印加する。第2駆動用電圧可変電源32Bは、PNP型トランジスタ30BのコレクタCに負電圧を印加する。
第1固定抵抗器39A及び第2固定抵抗器39Bは、抵抗値が一定の抵抗器である。第1固定抵抗器39Aは、ゲートGに電荷を蓄積する際にゲートGに注入される電流量を調整する。即ち、第1固定抵抗器39Aは、MOSFET20をターンオンするときに、第1駆動用電圧可変電源32AからゲートGに至る電流供給路となる。第2固定抵抗器39Bは、ゲートGから電荷を抜く際にゲートGから放電される電流量を調整する。即ち、第2固定抵抗器33Bは、MOSFET20をターンオフするときに、ゲートGから第2駆動用電圧可変電源32Bに至る電流供給路となる。
制御装置37は、電圧センサー35のセンシング結果に基づき、主電流経路の電流の方向を判断する。その判断結果に基づき、制御装置37は、第1駆動用電圧可変電源32A及び第2駆動用電圧可変電源32Bを可変させて、順方向時及び逆方向時のMOSFET20のON期間を制御する。
他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
次に、作用を説明する。
実施例4のスイッチング回路装置における作用を、「順方向時及び逆方向時におけるスイッチング制御作用」と、「スイッチング回路装置1Dにおける特徴作用」に分けて説明する。
[順方向時及び逆方向時におけるスイッチング制御作用]
図8は、実施例4におけるスイッチング回路装置における順方向時及び逆方向時のスイッチング制御を示す。以下、図7及び図8に基づき、順方向時及び逆方向時におけるスイッチング制御作用を説明する。
ここで、図8中の電圧値Vsig1,Vsig2は、信号入力部Vsigにおける電圧値である。ゲート電圧Vg1は、ゲート電圧Vg2よりも低い値に調整される。ゲート電圧Vg2は、MOSFET20がOFF状態にあるときのゲート電圧である。MOSFET20の閾値電圧特性に合わせ、ゲート電圧Vg2はMOSFET20の閾値電圧より低い値に調整される。この閾値電圧は実施例1と同様のものである。ゲート電圧Vg3は、閾値電圧以下であり、ゲート電圧Vg2より高い値に調整される。ゲート電圧Vg4は、MOSFET20がON状態にあるときのゲート電圧である。ゲート電圧Vg4は閾値電圧より高い値に調整される。ゲート電流Igは、ゲートGに注入されたり、ゲートGから放電されたりする電流である。
時刻t0のとき、制御装置37は、図7に示すように、電圧センサー35のセンシング結果に基づき、主電流経路の電流の方向を判断する。
順方向時と判断した場合、時刻t3のとき、図7及び図8に示すように、信号発生器31から信号入力部Vsigに、MOSFET20をターンオンするための電圧値Vsig2が入力される(図8中のT−on)。これに同期して、制御装置37は、図7に示すように、第1駆動用電圧可変電源32Aを制御して、OFF状態にあるMOSFET20のゲートGへの電流の注入を開始する。時刻t3からの注入の開始により、図8に示すように、ゲート電圧Vgは、時刻t3〜時刻t5の間では、ゲート電圧Vg2からゲート電圧Vg4まで上昇する。ゲート電圧Vgが上昇すると、図8に示すように、ターンオンのスイッチングが遅くなる。そして、MOSFET20は、図8に示すように、時刻t5〜時刻t6の間では、ON状態となる(図8中のON期間)。
そして、時刻t6のとき、図7及び図8に示すように、信号発生器31から信号入力部Vsigに、MOSFET20をターンオフするための電圧値Vsig1が入力される(図8中のT−off)。これに同期して、制御装置37は、図7に示すように、第2駆動用電圧可変電源32Bを制御して、MOSFET20のゲートGからの放電を開始する。時刻t6からの放電の開始により、図8に示すように、ゲート電圧Vgは、時刻t6〜時刻t8の間には、ゲート電圧Vg4からゲート電圧Vg2まで降下する。ゲート電圧Vgが降下すると、図8に示すように、ターンオフのスイッチングが遅くなる。そして、MOSFET20は、時刻t8のとき、OFF状態となる。
一方、逆方向時と判断した場合、制御装置37は、図7及び図8に示すように、T−on手前の時刻t1〜時刻t2の間、第1駆動用電圧可変電源32Aを制御して、ゲート電圧Vgをゲート電圧Vg2からゲート電圧Vg3まで上昇させる。ゲート電圧Vgをゲート電圧Vg4まで迅速に到達させるため、図8に示すように、ゲート電圧Vgはゲート電圧Vg3(>ゲート電圧Vg2)に保持される。このように、逆方向時には、図8に示すように、ターンオンを高速化するための制御がなされる。そして、時刻t3のとき、図7及び図8に示すように、信号発生器31から信号入力部Vsigに、MOSFET20をターンオンするための電圧値Vsig2が入力される(図8中のT−on)。これに同期して、制御装置37は、図7に示すように、第1駆動用電圧可変電源32Aを制御して、OFF状態にあるMOSFET20のゲートGへの電流の注入を開始する。時刻t3からの注入の開始により、図8に示すように、ゲート電圧Vgは、時刻t3〜時刻t4の間には、ゲート電圧Vg3からゲート電圧Vg4まで上昇する。このため、逆方向時には、図8に示すように、ターンオンを高速化する制御を使わない順方向時と比べて、期間(時刻t5−時刻t4)の分だけ短い期間でMOSFET20がターンオンできる。これにより、ON条件となるゲート電圧Vg2までの到達時間が、図8に示すように、順方向時と比べて期間(時刻t5−時刻t4)の分だけ短くなる。つまり、ターンオンのスイッチングが速くなるので、MOSFET20のON期間を長くできる面で有利である。そして、MOSFET20は、図8に示すように、時刻t4〜時刻t7の間には、ON状態となる(図8中のON期間)。
そして、時刻t7のとき、図7及び図8に示すように、信号発生器31から信号入力部Vsigに、MOSFET20をターンオフするための電圧値Vsig1が入力される(図8中のT−off)。これに同期して、制御装置37は、図7に示すように、第2駆動用電圧可変電源32Bを制御して、MOSFET20のゲートGからの放電を開始する。時刻t7からの放電の開始により、図8に示すように、ゲート電圧Vgは、時刻t7〜時刻t8の間には、ゲート電圧Vg4からゲート電圧Vg1(<ゲート電圧Vg2)まで降下する。図8に示すように、ゲート電圧Vgが降下すると、ターンオフのスイッチングが速くなる。このため、MOSFET20のON期間を長くできる面で有利である。
図8に示すように、時刻t3〜時刻t8までの期間が順方向時と逆方向時と同一となる条件下で、NPN型トランジスタ30A及びPNP型トランジスタ30BのON期間を順方向時と比べて逆方向時に長くできる。このため、主電流経路のMOSFET20のON期間が順方向時と比べて逆方向時に長くなる。これにより、逆方向時にボディダイオード20Aに低損失な電流が流れる時間を長くできる。そして、ゲート電圧Vgは、図8に示すように、時刻t8〜時刻t9の間には、ゲート電圧Vg1に保持される。そして、ゲート電圧Vgは、図8に示すように、時刻t9〜時刻t10の間には、ゲート電圧Vg1からゲート電圧Vg2まで上昇する。ゲート電圧Vgは、図8に示すように、時刻t10以降、Vg1で保持される。
[スイッチング回路装置1Dにおける特徴作用]
実施例4では、制御装置37は、駆動用電圧可変電源32A,32Bを可変させて、逆方向時のMOSFET20のON期間を制御する。
即ち、逆方向時において、制御装置37は、T−on手前の時刻t1〜時刻t2の間には、駆動用電圧可変電源32Aを制御して、ゲート電圧Vgをゲート電圧Vg2からゲート電圧Vg3まで上昇させる。このため、ゲート電圧Vgをゲート電圧Vg4まで迅速に到達させることができる。これにより、ターンオンのスイッチングが速くなる。
従って、MOSFET20のON期間を順方向時と比べて逆方向時に長くできる。
加えて、逆方向時において、ゲート電圧Vgは、時刻t7〜時刻t8の間には、ゲート電圧Vg4からゲート電圧Vg1(<ゲート電圧Vg2)まで降下する。このため、ターンオフのスイッチングが速くなる。従って、MOSFET20のON期間を順方向時と比べて逆方向時により長くできる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例4におけるスイッチング回路装置1Dにあっては、実施例1の(1)〜(6),(9)と同様の効果を得ることができる。
実施例5は、信号発生器からNPN型トランジスタ30A及びPNP型トランジスタ30Bの夫々のベースBに至る入力経路が2つある例である。
実施例5におけるスイッチング回路装置は、実施例1と同様に、走行用駆動源などとして車両に搭載されるモータジェネレータのインバータに用いられるスイッチング回路装置に適用したものである。図9は実施例5におけるスイッチング回路装置の回路構成を示す。以下、図9に基づいて、実施例5における「スイッチング回路装置の回路構成」について説明する。なお、実施例5における「モータ駆動ユニットの全体構成」と、「還流動作基本構成」については、実施例1と同様であるので説明を省略する。
スイッチング回路装置1Eは、主回路部2と、駆動回路3と、を備える。
駆動回路3は、主回路部2を駆動する。駆動回路3は、プッシュプル回路30と、信号発生器31と、第1駆動用電圧可変電源32Aと、第2駆動用電圧可変電源32Bと、第1固定抵抗器39Aと、第2固定抵抗器39Bと、第3固定抵抗器39Cと、第4固定抵抗器39Dと、第1ダイオード34Aと、第2ダイオード34Bと、電圧センサー35と、制御装置37(制御部)と、を備える。
信号発生器31(例えば、FPGA等)は、NPN型トランジスタ30A及びPNP型トランジスタ30Bの夫々に対して、入力経路を2本ずつ備える。信号発生器31は、2本の第1入力経路31A及び第2入力経路31Bを介してNPN型トランジスタ30AのベースBに接続される。信号発生器31は、2本の第3入力経路31C及び第4入力経路31Dを介してPNP型トランジスタ30BのベースBに接続される。順方向時、信号発生器31は、第2入力経路31BからNPN型トランジスタ30Aにベース電流を供給すると共に、第4入力経路31DからPNP型トランジスタ30Bにベース電流を供給する。逆方向時、信号発生器31は、第1入力経路31AからPNP型トランジスタ30Bにベース電流を供給すると共に、第3入力経路31CからPNP型トランジスタ30Bにベース電流を供給する。
第1駆動用電圧可変電源32A及び第2駆動用電圧可変電源32Bは、制御装置37により制御される。第1駆動用電圧可変電源32A及び第2駆動用電圧可変電源32Bは、順方向時及び逆方向時のMOSFET20のON期間の制御に作用する。第1駆動用電圧可変電源32A及び第2駆動用電圧可変電源32Bは、プッシュプル回路30に駆動用電圧を供給する。第1駆動用電圧可変電源32Aは、NPN型トランジスタ30AのコレクタCに正電圧を印加する。第2駆動用電圧可変電源32Bは、PNP型トランジスタ30BのコレクタCに負電圧を印加する。
第1固定抵抗器39A、第2固定抵抗器39B、第3固定抵抗器39C、第4固定抵抗器39Dは、抵抗値が一定の抵抗器である。第1固定抵抗器39Aは、ゲートGに電荷を蓄積する際にゲートGに注入される電流量を調整する。即ち、第1固定抵抗器39Aは、MOSFET20をターンオンするときに、第1駆動用電圧可変電源32AからゲートGに至る電流供給路となる。第2固定抵抗器39Bは、ゲートGから電荷を抜く際にゲートGから放電される電流量を調整する。即ち、第2固定抵抗器33Bは、MOSFET20をターンオフするときに、ゲートGから第2駆動用電圧可変電源32Bに至る電流供給路となる。第3固定抵抗器39Cは、第2入力経路31Bに直列に接続される。第3固定抵抗器39Cは、信号発生器31からNPN型トランジスタ30Aに供給されるベース電流を制限する。第4固定抵抗器39Dは、第4入力経路31Dに直列に接続される。第4固定抵抗器39Dは、信号発生器31からPNP型トランジスタ30Bに供給されるベース電流を制限する。
制御装置37は、電圧センサー35のセンシング結果に基づき、主電流経路の電流の方向を判断する。制御装置37は、第1駆動用電圧可変電源32A及び第2駆動用電圧可変電源32Bを可変させて、ゲート電圧Vg(制御電圧)又はゲート電流Ig(制御電流)を調整する。
他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
次に、作用を説明する。
実施例5では、信号発生器31は、順方向時、第2入力経路31B及び第4入力経路31Dを用いてNPN型トランジスタ30Aに電流を供給し、逆方向時、第1入力経路31A及び第3入力経路31Cを用いてPNP型トランジスタ30Bに電流を供給する。
即ち、信号発生器31は、順方向時、第3固定抵抗器39C及び第4固定抵抗器39Dが接続された方の経路を用いて電流を供給し、逆方向時、第3固定抵抗器39C及び第4固定抵抗器39Dが接続されていない方の経路を用いて電流を供給する。このため、MOSFET20は、順方向時において緩やかにターンオン及びターンオフし、逆方向時において迅速にターンオン及びターンオフする。これにより、ターンオン及びターンオフのスイッチングが順方向時と比べて逆方向時に速くなる。つまり、MOSFET20のON期間を順方向時と比べて逆方向時に長くできる。
従って、ボディダイオード20Aに低損失な電流が流れる時間を長くできる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例5におけるスイッチング回路装置1Eにあっては、実施例1の(1)〜(9)と同様の効果を得ることができる。
実施例6は、信号発生器とスイッチング素子とを繋ぐプッシュプル回路を2つ設ける例である。
実施例6におけるスイッチング回路装置は、実施例1と同様に、走行用駆動源などとして車両に搭載されるモータジェネレータのインバータに用いられるスイッチング回路装置に適用したものである。図10は実施例6におけるスイッチング回路装置の回路構成を示す。以下、図10に基づいて、実施例6における「スイッチング回路装置の回路構成」について説明する。なお、実施例6における「モータ駆動ユニットの全体構成」と、「還流動作基本構成」については、実施例1と同様であるので説明を省略する。
スイッチング回路装置1Fは、主回路部2と、駆動回路3と、を備える。
主回路部2は、MOSFET20(スイッチ機能)と、フライホイールダイオード21(ダイオード機能)と、を備える。MOSFET20は、ターンオン指令又はターンオフ指令を受けて、ターンオン又はターンオフする。そして、MOSFET20は、任意の周期でON動作とOFF動作を繰り返す。MOSFET20は、ボディダイオード20A(ダイオード機能)を備える。このボディダイオード20Aは、ソースS→ドレインDに向かう方向が順方向となる。主回路部2のON期間は、少なくとも主電流経路の順方向に電流が流れるときのON期間より、逆方向に電流が流れるときのON期間の方が長く設定される。MOSFET20は、主電流経路の順方向と逆方向の両方向に電流を流すことが可能である。MOSFET20のゲートGは、第1固定抵抗器39A、第2固定抵抗器39B、第3固定抵抗器39C及び第4固定抵抗器39Dに接続される。MOSFET20のドレインDは、接続点P1に接続される。この接続点P1は、直流電源の正電圧(+)側(不図示)と、フライホイールダイオード21のカソードKと、電圧センサー35とを接続する接続点である。MOSFET20のソースSは、接続点P2に接続される。この接続点P2は、フライホイールダイオード21のアノードAと、電圧センサー35と、接続点P3とを接続する接続点である。接続点P3は、信号発生器31と、第1駆動用電圧可変電源32Aと、第2駆動用電圧可変電源32Bとを接続する接続点である。フライホイールダイオード21は、MOSFET20と並列に接続される。即ち、フライホイールダイオード21は、接続点P1及び接続点P2に接続される。フライホイールダイオード21は、逆方向に電流を流すことが可能である。即ち、フライホイールダイオード21は、ボディダイオード20Aの機能を補完する。
駆動回路3は、主回路部2を駆動する。駆動回路3は、第1プッシュプル回路30Aと、第2プッシュプル回路30Bと、信号発生器31と、第1駆動用電圧可変電源32Aと、第2駆動用電圧可変電源32Bと、第1固定抵抗器39Aと、第2固定抵抗器39Bと、第3固定抵抗器39Cと、第4固定抵抗器39Dと、第1ダイオード34Aと、第2ダイオード34Bと、第3ダイオード34Cと、第4ダイオード34Dと、電圧センサー35と、制御装置37(制御部)と、を備える。
第1プッシュプル回路30Aは、第1NPN型トランジスタ30Aaと、第1PNP型トランジスタ30Baと、を備える。第1プッシュプル回路30Aは、順方向時に、第1駆動用電圧可変電源32A又は第2駆動用電圧可変電源32BからゲートGに至る電流供給路となる。即ち、第1NPN型トランジスタ30Aaは、主電流経路において順方向(ドレインD→ソースS)に電流が流れる時に、第1駆動用電圧可変電源32AからゲートGに至る電流供給路となる。第1PNP型トランジスタ30Baは、主電流経路において順方向(ドレインD→ソースS)に電流が流れる時に、ゲートGから第2駆動用電圧可変電源32Bに至る電流供給路となる。第1NPN型トランジスタ30AaのベースBは、第1信号入力部Vsig1を介して信号発生器31に接続される。第1NPN型トランジスタ30AaのコレクタCは、第1駆動用電圧可変電源32Aと、第2NPN型トランジスタ30AbのコレクタCに接続される。第1NPN型トランジスタ30AaのエミッタEは、第1ダイオード34AのアノードAと、第2ダイオード34BのカソードKと、第1PNP型トランジスタ30BaのエミッタEに接続される。第1PNP型トランジスタ30BaのベースBは、第1信号入力部Vsig1を介して信号発生器31に接続される。第1PNP型トランジスタ30BaのコレクタCは、第2駆動用電圧可変電源32Bと、第2PNP型トランジスタ30BbのコレクタCに接続される。第1PNP型トランジスタ30BaのエミッタEは、第2ダイオード34BのカソードKと、第1ダイオード34AのアノードAと、第1NPN型トランジスタ30AaのエミッタEに接続される。第1信号入力部Vsig1は、第1NPN型トランジスタ30Aa及び第1PNP型トランジスタ30BaのベースB同士を接続した信号入力部である。第1信号入力部Vsigは、第1NPN型トランジスタ30Aa及び第1PNP型トランジスタ30Baに共通の信号入力部となる。第1信号入力部Vsig1には、信号発生器31からゲート信号(制御信号)が入力される。
第2プッシュプル回路30Bは、第2NPN型トランジスタ30Abと、第2PNP型トランジスタ30Bbと、を備える。第2プッシュプル回路30Bは、逆方向時に、第1駆動用電圧可変電源32A又は第2駆動用電圧可変電源32BからゲートGに至る電流供給路となる。即ち、第2NPN型トランジスタ30Abは、主電流経路において逆方向(ソースS→ドレインD)に電流が流れる時に、第1駆動用電圧可変電源32AからゲートGに至る電流供給路となる。第2PNP型トランジスタ30Bbは、主電流経路において逆方向(ソースS→ドレインD)に電流が流れる時に、ゲートGから第2駆動用電圧可変電源32Bに至る電流供給路となる。第2NPN型トランジスタ30AbのベースBは、第2信号入力部Vsig2を介して信号発生器31に接続される。第2NPN型トランジスタ30AbのコレクタCは、第1駆動用電圧可変電源32Aに接続される。第2NPN型トランジスタ30AbのエミッタEは、第3ダイオード34AのアノードAと、第2ダイオード34BのカソードKと、第2PNP型トランジスタ30BbのエミッタEに接続される。第2PNP型トランジスタ30BbのベースBは、第2信号入力部Vsig2を介して信号発生器31に接続される。第2PNP型トランジスタ30BbのコレクタCは、第2駆動用電圧可変電源32Bと、第2PNP型トランジスタ30BbのコレクタCに接続される。第2PNP型トランジスタ30BbのエミッタEは、第4ダイオード34DのカソードKと、第3ダイオード34CのアノードAと、第2NPN型トランジスタ30AbのエミッタEに接続される。第2信号入力部Vsig2は、第2NPN型トランジスタ30Ab及び第2PNP型トランジスタ30BbのベースB同士を接続した信号入力部である。第2信号入力部Vsig2は、第2NPN型トランジスタ30Ab及び第2PNP型トランジスタ30Bbに共通の信号入力部となる。第2信号入力部Vsig2には、信号発生器31からゲート信号が入力される。
信号発生器31(例えば、FPGA等)は、第1信号入力部Vsig1を介して、第1NPN型トランジスタ30Aa及び第1PNP型トランジスタ30Baの各ベースBに接続される。信号発生器31は、第2信号入力部Vsig2を介して、第2NPN型トランジスタ30Ab及び第2PNP型トランジスタ30Bbの各ベースBに接続される。信号発生器31は、制御装置37からの出力に基づいて、ゲート信号を第1信号入力部Vsig1及び第2信号入力部Vsig2に出力する。
第1駆動用電圧可変電源32A及び第2駆動用電圧可変電源32Bは、制御装置37により制御される。第1駆動用電圧可変電源32A及び第2駆動用電圧可変電源32Bは、第1プッシュプル回路30Aに駆動用電圧を供給する。この駆動用電圧は、第1固定抵抗器39A及び第2固定抵抗値39Bの各抵抗値に応じて調整される。第1駆動用電圧可変電源32Aは、第1NPN型トランジスタ30AaのコレクタCに正電圧を印加する。第2駆動用電圧可変電源32Bは、第1PNP型トランジスタ30BaのコレクタCに負電圧を印加する。第1駆動用電圧可変電源32A及び第2駆動用電圧可変電源32Bは、第1プッシュプル回路30Aと同様に、第2プッシュプル回路30Bに駆動用電圧を供給する。この駆動用電圧は、第3固定抵抗器39C及び第4固定抵抗値39Dの各抵抗値に応じて調整される。第1駆動用電圧可変電源32Aは、第2NPN型トランジスタ30AbのコレクタCに正電圧を印加する。第2駆動用電圧可変電源32Bは、第2PNP型トランジスタ30BbのコレクタCに負電圧を印加する。
第1固定抵抗器39A、第2固定抵抗器39B、第3固定抵抗器39C及び第4固定抵抗器39Dは、抵抗値が一定の抵抗器である。第1固定抵抗器39Aは、第3固定抵抗器39Cよりも抵抗値が大きい。第2固定抵抗器39Bは、第4固定抵抗器39Dよりも抵抗値が大きい。第1固定抵抗器39A及び第3固定抵抗器39Cは、ゲートGに電荷を蓄積する際にゲートGに注入される電流量を調整する。即ち、第1固定抵抗器39A及び第3固定抵抗器39Cは、MOSFET20をターンオンするときに、第1駆動用電圧可変電源32AからゲートGに至る電流供給路となる。第2固定抵抗器39B及び第4固定抵抗器39Dは、ゲートGから電荷を抜く際にゲートGから放電される電流量を調整する。即ち、第2固定抵抗器39B及び第4固定抵抗器39Dは、MOSFET20をターンオフするときに、ゲートGから第2駆動用電圧可変電源32Bに至る電流供給路となる。
第1ダイオード34Aは、MOSFET20をターンオンするときに、第1固定抵抗器39Aと連係して、ゲートGに注入される電流量を調整する。第2ダイオード34Bは、MOSFET20をターンオフするときに、第2固定抵抗器39Bと連係して、ゲートGから放電される電流量を調整する。第3ダイオード34Cは、MOSFET20をターンオンするときに、第3固定抵抗器39Cと連係して、ゲートGに注入される電流量を調整する。第4ダイオード34Dは、MOSFET20をターンオフするときに、第4固定抵抗器39Dと連係して、ゲートGから放電される電流量を調整する。
制御装置37は、電圧センサー35のセンシング結果に基づき、主電流経路の電流の方向を判断する。順方向時において、制御装置37は、第1固定抵抗器39A及び第2固定抵抗器39Bのセットを用いて、ゲート電圧Vg(制御電圧)又はゲート電流Ig(制御電流)を調整する。逆方向時において、制御装置37は、第3固定抵抗器39C及び第4固定抵抗器39Dのセットを用いて、ゲート電圧Vg又はゲート電流Igを調整する。
他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
次に、作用を説明する。
実施例6では、制御装置37は、順方向時、第1固定抵抗器39A及び第2固定抵抗器39Bを用いて、逆方向時、第3固定抵抗器39C及び第4固定抵抗器39Dを用いて、ゲート電圧Vg又はゲート電流Igを調整する。第1固定抵抗器39Aは、第3固定抵抗器39Cよりも抵抗値が大きい。第2固定抵抗器39Bは、第4固定抵抗器39Dよりも抵抗値が大きい。
即ち、順方向時、制御装置37は、抵抗値が大きい固定抵抗器のセットを用いて、ゲート電圧Vg又はゲート電流Igを調整する。また、逆方向時、制御装置37は、抵抗値が小さい固定抵抗器のセットを用いて、ゲート電圧Vg又はゲート電流Igを調整する。このため、MOSFET20は、順方向時において緩やかにオンし、逆方向時において迅速にオンする。これにより、MOSFET20は、順方向時において緩やかにターンオン及びターンオフし、逆方向時において迅速にターンオン及びターンオフする。つまり、逆方向時においては、ターンオン及びターンオフのスイッチングが順方向時と比べて速くなる。
従って、逆方向時にボディダイオード20Aに低損失な電流が流れる時間を長くできる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例6におけるスイッチング回路装置1Fにあっては、実施例1の(1)〜(9)と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明のスイッチング回路装置を実施例1〜実施例6に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加などは許容される。
実施例1〜実施例6では、スイッチ機能をMOSFETとする例を示した。しかし、これに限られない。例えば、スイッチ機能が、Si(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)及びGaN(窒化ガリウム)等のワイドバンドギャップ半導体材料を用いて構成されても良い。要するに、スイッチ機能は、逆耐圧機能のないユニポーラ又はバイポーラ構造のスイッチング素子であれば良い。
実施例1〜実施例6では、ダイオード機能をボディダイオード20A及びフライホイールダイオード21の両方とする例を示した。しかし、これに限られない。例えば、ダイオード機能が、ボディダイオード20Aで構成されても良い。要するに、ダイオード機能は、デッドタイムの間の還流電流による損失を低下できれば良い。
実施例1〜実施例6では、MOSFET20及びフライホイールダイオード21を並列に構成する例を示した。しかし、これに限られない。例えば、複数のMOSFET20及び複数のフライホイールダイオード21を並列に構成しても良い。要するに、MOSFET20及びフライホイールダイオード21は、主電流経路に大電流を流すことが可能な大出力装置に適応できれば良い。
実施例1〜実施例6では、ゲート電圧の時間当たりの変化量及びゲート電流の時間当たりの変化量は、ゲート電圧及びゲート電流の両方で調整される例を示した。しかし、これに限られない。例えば、ゲート電圧の時間当たりの変化量及びゲート電流の時間当たりの変化量は、ゲート電圧及びゲート電流のいずれか一方で調整されても良い。要するに、ゲート電圧の時間当たりの変化量及びゲート電流の時間当たりの変化量は、別途の調整機構を設けずに調整できれば良い。
実施例2では、ホール効果を利用した電流センサー38を、主電流経路においてフライホイールダイオード21のアノードA側に配置する例を示した。しかし、これに限られない。例えば、電流センサー38を、主電流経路においてフライホイールダイオード21のカソードK側に配置しても良い。要するに、電流センサー38は、主電流経路の電流の方向をセンシングできれば良い。
実施例1〜実施例6では、本発明のスイッチング回路装置を、U相回路、V相回路及びW相回路を備える三相インバータ回路に適用する例を示した。しかし、本発明のスイッチング回路装置は、単相インバータについても同様に適用できる。また、本発明のスイッチング回路装置は、インバータ回路以外に、無停電電源装置及び充電器などの様々な電力変換装置に対しても適用できる。
1A,1B,1C,1D,1E,1F スイッチング回路装置
2 主回路部
20 MOSFET(スイッチ機能)
20A ボディダイオード(ダイオード機能)
21 フライホイールダイオード(ダイオード機能)
37 制御装置(制御部)
Ig ゲート電流(制御電流)
Vg ゲート電圧(制御電圧)
Vsig ゲート信号(制御信号)

Claims (9)

  1. 主電流経路の順方向と逆方向の両方向に電流を流すことが可能なスイッチ機能と、前記スイッチ機能と並列かつ前記逆方向に電流を流すことが可能なダイオード機能と、を有する主回路部と、
    前記スイッチ機能のON状態又はOFF状態の切り替え制御をする制御信号を、制御電圧又は制御電流に変換して前記スイッチ機能へ入力する制御部と、を備えるスイッチング回路装置であって、
    前記ON状態にある前記スイッチ機能を前記OFF状態にする前記制御信号が前記制御部から前記スイッチ機能に対して入力されたときに、前記スイッチ機能が前記ON状態から前記OFF状態に切り替わる期間については、
    記主電流経路において前記順方向に電流が流れるときの期間より、前記主電流経路において前記逆方向に電流が流れるときの期間の方が短く設定される
    ことを特徴とするスイッチング回路装置。
  2. 請求項1に記載されたスイッチング回路装置において、
    前記OFF状態にある前記スイッチ機能を前記ON状態にする前記制御信号が前記制御部から前記スイッチ機能に対して入力されたときに、前記スイッチ機能が前記OFF状態から前記ON状態に切り替わる期間については、
    記主電流経路において前記順方向に電流が流れるときの期間より、前記主電流経路において前記逆方向に電流が流れるときの期間の方が短く設定される
    ことを特徴とするスイッチング回路装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載されたスイッチング回路装置において、
    前記OFF状態にある前記スイッチ機能を前記ON状態にする前記制御信号が前記制御部から前記スイッチ機能に対して入力されたときに、前記スイッチ機能が前記OFF状態から前記ON状態に切り替わるための前記主電流経路の前記制御電圧の時間当たりの変化量又は前記制御電流の時間当たりの変化量については、
    記主電流経路において前記順方向に電流が流れるときの変化量より、前記主電流経路において前記逆方向に電流が流れるときの変化量の方が大きく設定される
    ことを特徴とするスイッチング回路装置。
  4. 請求項1から請求項3までの何れか一項に記載されたスイッチング回路装置において、
    前記ON状態にある前記スイッチ機能を前記OFF状態にする前記制御信号が前記制御部から前記スイッチ機能に対して入力されたときに、前記スイッチ機能が前記ON状態から前記OFF状態に切り替わるための前記主電流経路の前記制御電圧の時間当たりの変化量又は前記制御電流の時間当たりの変化量については、
    記主電流経路において前記順方向に電流が流れるときの変化量より、前記主電流経路において前記逆方向に電流が流れるときの変化量の方が大きく設定される
    ことを特徴とするスイッチング回路装置。
  5. 請求項1から請求項4までの何れか一項に記載されたスイッチング回路装置において、
    前記スイッチ機能が前記ON状態から前記OFF状態に切り替わる動作については、
    前記ON状態から前記OFF状態に前記スイッチ機能が動作する期間、前記主電流経路の前記制御電圧の時間当たりの変化量及び前記制御電流の時間当たりの変化量の少なくとも一方が、
    前記制御電圧の電圧値及び前記制御電流の電流値の何れか一方もしくは両方で調整される
    ことを特徴とするスイッチング回路装置。
  6. 請求項1から請求項5までの何れか一項に記載されたスイッチング回路装置において、
    前記スイッチ機能が前記OFF状態から前記ON状態に切り替わる動作については、
    前記OFF状態から前記ON状態に前記スイッチ機能が動作する期間、前記主電流経路の前記制御電圧の時間当たりの変化量及び前記制御電流の時間当たりの変化量の少なくとも一方が、
    前記制御電圧の電圧値及び前記制御電流の電流値の何れか一方もしくは両方で調整される
    ことを特徴とするスイッチング回路装置。
  7. 請求項5に記載されたスイッチング回路装置において、
    前記スイッチ機能が前記ON状態から前記OFF状態に切り替わる動作については、
    前記制御電流が通る電流経路の抵抗値が、
    記主電流経路において前記順方向に電流が流れるときの抵抗値より、前記主電流経路において前記逆方向に電流が流れるときの抵抗値の方が低く設定される
    ことを特徴とするスイッチング回路装置。
  8. 請求項6に記載されたスイッチング回路装置において、
    前記スイッチ機能が前記OFF状態から前記ON状態に切り替わる動作については、
    前記制御電流が通る電流経路の抵抗値が、
    記主電流経路において前記順方向に電流が流れるときの抵抗値より、前記主電流経路において前記逆方向に電流が流れるときの抵抗値の方が低く設定される
    ことを特徴とするスイッチング回路装置。
  9. 請求項1から請求項8までの何れか一項に記載されたスイッチング回路装置において、
    前記主回路部が任意の周期でON動作とOFF動作を繰り返す場合について、
    前記主回路部のON期間は、
    記主電流経路において前記順方向に電流が流れるときのON期間より、前記主電流経路において前記逆方向に電流が流れるときのON期間の方が長く設定される
    ことを特徴とするスイッチング回路装置。
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