JP5932405B2 - 車両シート用オットマン装置 - Google Patents
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Description
このオットマン装置は、車両シート(シートクッション)に固定する固定部(ブラケット)と、固定部に接近する格納位置と、固定部から離間する使用領域との間を移動可能なオットマンと、オットマンを支持し、オットマンを格納位置と使用領域とに移動させるオットマン変位機構(リンク機構)と、手動操作手段の操作力によってオットマン変位機構の動作を規制するロック状態と規制解除するアンロック状態とに切り替わる、固定部に支持したマニュアル式のロック手段と、ロック手段とオットマン変位機構を連結する伸縮自在なロック手段側リンク機構と、オットマン変位機構を使用領域側に移動させるようにロック手段側リンク機構を付勢するバネ手段と、を備えている。
ロック手段側リンク機構は、一端をロック手段の第2回転部材に固定した第1リンクと、一端が第1リンクに接続する第2リンクと、一端が第2リンクに接続すると共に他端がオットマン変位機構に接続する第3リンクとからなるものであり、第1リンクと第2リンクを回転可能に接続する連結ピンの車幅方向位置(左右方向位置)はロック手段から側方にずれている。
ロック操作手段によってロック手段をアンロック状態にすると、バネ手段によって付勢されたロック手段側リンク機構が伸張し、さらにロック手段側リンク機構の移動力を受けたオットマン変位機構が伸張状態となるので、格納位置に位置していたオットマンが固定部から前方に離間する。そしてオットマンが乗客にとって使い易い位置まで移動したときにロック操作手段を元の位置に戻すと、ロック手段が再びロック状態となるので、ロック手段側リンク機構及びオットマン変位機構が変形不能となる。その結果、オットマンが当該位置に保持されるので、シートに座った乗客は自身の足をオットマンに載せることが可能になる。
そのため乗客が足をオットマンに載せると、ロック手段がロック状態にあるにも拘わらず第2回転部材が第1回転部材に対してがたつき、オットマンによって足を安定した状態で支持できなくなるおそれがあった。
この場合は、上記ロック手段が、上記固定部に固定した第1回転部材と、回転軸を中心にして、上記第1回転部材に対して相対回転可能な第2回転部材と、を備え、上記ロック手段側リンク機構が、上記第1リンクと上記第2リンクを回転可能に接続する第1接続部と、上記第2リンクと上記第3リンクを回転可能に接続する第2接続部と、を備え、上記第1接続部と上記第2接続部を上記回転軸方向にオーバーラップさせてもよい。
そのためロック手段がロック状態にある場合に乗客が足をオットマンに載せたときに、ロック手段ががたつき難いので、オットマンによって足を安定した状態で支持することが可能である。
これに対して、請求項3の発明のようにロック手段側リンク機構を3つのリンク(第1リンク、第2リンク、及び、第3リンク)によって構成すると、ロック手段をロック状態に切り換えたときにオットマンを不動状態に維持できる。
そのためオットマン装置全体を(ロック手段の回転軸方向に)小型化できる。
図1に示す車両用シート10は、車両床面に対して直接又は間接的に取り付けられるシートクッション11と、シートクッション11の後部に対して回転可能に接続したシートバック(図示略)とを備えるリクライニングシートである。車両用シート10のシートクッション11の下面の前端部にはオットマン装置が取り付けてある。このオットマン装置は、一部の部品を交換することによりマニュアル式オットマン装置13とパワー式オットマン装置70の二態様で実施可能である。以下の説明では、まずマニュアル式オットマン装置13について説明し、次いでパワー式オットマン装置70について説明する。
オットマン装置13は左右一対の固定部14A、14Bを具備している。左右の固定部14A、14Bに形成した円形孔には、左右方向に延びる円柱形状の連結軸16の両端部がそれぞれ回転可能に嵌合している。連結軸16の2カ所には、断面形状がコ字形状をなす固定部側上部リンク17の左右両側壁に形成した結合用凹部17aがそれぞれ固定状態で嵌合している。また左右の固定部14A、14Bには、左右一対の固定部側下部リンク18の一方の端部が左右方向に伸びる一対の回転接続ピン20によってそれぞれ回転可能に接続している。図示するように固定部側上部リンク17と固定部側下部リンク18は側面視においてほぼ平行であり、側面視における固定部側下部リンク18の長さは固定部側上部リンク17のほぼ半分である。固定部側上部リンク17の両側壁の中間部と左右の固定部側下部リンク18の他方の端部には、固定部側上部リンク17及び固定部側下部リンク18と異なる方向に伸びる左右一対のオットマン側後部リンク21の中間部と一方の端部がそれぞれ、共に左右方向に延びかつ左右一対の回転接続ピン22、23によって回転可能に接続してある。固定部側上部リンク17の両側壁の他方の端部には、オットマン側後部リンク21とほぼ平行なオットマン側前部リンク24の左右両側壁の一方の端部がそれぞれ、左右方向に延びる左右一対の回転接続ピン25によって回転可能に接続してある。
連結軸16、固定部側上部リンク17、固定部側下部リンク18、回転接続ピン20、オットマン側後部リンク21、回転接続ピン22、23、オットマン側前部リンク24、回転接続ピン25がリンク機構からなるオットマン変位機構15の構成要素である(左側の固定部側下部リンク18、オットマン側後部リンク21と右側の固定部側上部リンク17、オットマン側後部リンク21は互いに同期しながら回転する)。オットマン変位機構15は、図1、図2に示す短縮状態、図3、図4に示す最大展開状態、及び、短縮状態と最大展開状態の間の各状態に変形可能である。
ベース板33の左右両側壁には、オットマン側前部リンク24の左右両側壁の端部が左右方向に延びる左右一対の回転接続ピン37によって回転可能に接続してある。またベース板33の左右両側壁には、左右のオットマン側後部リンク21の端部が左右方向に延びる左右一対の回転接続軸39によって回転可能に接続してある。このようにオットマン32はオットマン変位機構15(オットマン側後部リンク21、オットマン側前部リンク24)に回転可能に支持されているので、オットマン変位機構15の短縮動作及び展開動作に連動して固定部14A、14Bに対する前後方向距離を変化させる。即ち、オットマン変位機構15が上記短縮状態にあるときオットマン32は図1、図2に示す格納位置に位置し、短縮状態にあるオットマン変位機構15が前方に向かって伸張するとオットマン3
2は使用領域(格納位置より前方の領域)に移動する。そしてオットマン変位機構15が前方に向かって最大限伸張したときに、オットマン32は図3、図4、図6に示す前端位置(使用領域の前端位置)に位置する。
固定部14Aの右側には、その一端部(基端部)を回転中心軸43の右端部に固定した回転レバー45が配設してあり、回転レバー45の他端部(先端部)には操作ワイヤ46の一端が接続している。操作ワイヤ46の他端には図示を省略した操作ノブ(手動操作手段)が取り付けてある。操作ノブを操作しないとき(初期位置に位置するとき)ロック手段40は上記バネの付勢力によってロック状態に保持され(可動ロック部材44がロック位置に位置する)、上記バネの付勢力に抗して操作ノブを操作すると(操作位置に移動させると)ロック手段40はアンロック状態になる(可動ロック部材44がアンロック位置に位置する)。
ギヤプレート42の左側面に固定したブラケット49(固定部材)には第1リンク50が一体的に突設してある。図7に示すように第1リンク50は、ブラケット49に比べて一段右側に位置している。第1リンク50の先端部の右側には、直線的に延びる板状の第2リンク51の一端部が位置しており(第1リンク50と第2リンク51の対向面どうしが回転可能に接触している)、第1リンク50の先端部と第2リンク51の一端部は左右方向に延びる連結ピン52(荷重入力部)によって回転可能に接続してある。図7に示すように、左右方向(ロック手段側リンク機構48の伸縮方向に対する直交方向。即ち、回転中心軸43の軸線方向)に関して、連結ピン52全体がロック手段40に対してオーバーラップしており(連結ピン52とロック手段40の間には左右方向の位置ズレがなく)、かつ、連結ピン52の一部が径方向対向部41a、42bと左右方向にオーバーラップしている。第2リンク51の他端部の左側には、左右方向位置が第1リンク50と一致している板状の第3リンク53の一端部が位置しており(第3リンク53と第2リンク51の対向面どうしが回転可能に接触している)、第2リンク51の他端部と第3リンク53の一端部は左右方向に延びる連結ピン55によって回転可能に接続してある。第3リンク53には結合用凹部54が凹設してあり、結合用凹部54は連結軸16に嵌合固定してある(図6参照)。
このようにロック手段側リンク機構48はロック手段40を介して固定部14Aとオットマン変位機構15(連結軸16)を連係しているので、ロック手段側リンク機構48の動きはオットマン変位機構15の動きと連係する。即ち、オットマン変位機構15が図1、図2に示す短縮状態にあるときロック手段側リンク機構48は図2に示す折畳状態となり、オットマン変位機構15が図3、図4に示す最大展開状態にあるときロック手段側リンク機構48は図4に示す最大伸張状態となる。ただし、ロック手段側リンク機構48はオットマン変位機構15の動き(連結軸16の回転)に追従するだけであり、ロック手段側リンク機構48側からオットマン変位機構15(連結軸16)へ回転力を伝達することはない。
またロック手段40がロック状態にあるとき(可動ロック部材44がロック位置に位置するとき)ロック手段側リンク機構48は動作不能となり、ロック手段側リンク機構48と連係しているオットマン変位機構15も動作不能になる。そのためロック手段40をロック状態にすることにより、オットマン変位機構15の状態及びオットマン32の位置を保持できる。
板状の第1リンク58の一端部は、左右方向に延びる連結ピン59によって、固定部14Bの内側面に対して回転可能に取り付けてある。第1リンク58の他端部の右側には、板状の第2リンク60の一端部が位置しており、第1リンク58の他端部と第2リンク60の一端部は左右方向に延びる連結ピン61によって回転可能に接続してある。第2リンク60の他端部の左側には、第3リンク53とほぼ同じ形状である第3リンク62の一端部が位置しており、第2リンク60の他端部と第3リンク62の一端部は左右方向に延びる連結ピン64によって回転可能に接続してある。第3リンク62の結合用凹部63は、連結軸16の軸線方向の左端部近傍に嵌合固定してある(図6参照)。
バネ手段側リンク機構57はロック手段側リンク機構48と実質的に同期しながら動作する。即ち、第1リンク58は第1リンク50と実質的に同期しながら回転し、第2リンク60は第2リンク51と実質的に同期しながら回転し、第3リンク62は第3リンク53と実質的に同期しながら回転する。そのためオットマン変位機構15が図1、図2に示す短縮状態にあるときバネ手段側リンク機構57は図1に示す折畳状態となり、オットマン変位機構15が図3、図4に示す最大展開状態にあるときバネ手段側リンク機構57は図3に示す最大伸張状態となる。
バネ手段67は自由状態から縮径方向に弾性変形可能であり、縮径方向への弾性変形状態を解除すると自由状態に戻ろうとし、このときに回転付勢力を発生する。バネ手段67が縮径状態から自由状態へ戻ることにより発生する回転付勢力の方向は図2、図4の時計方向であるため、ロック手段40がアンロック状態になると(可動ロック部材44がアンロック位置に位置すると)、バネ手段67の回転付勢力によってバネ手段側リンク機構57は最大伸張状態側に変形する。またバネ手段67の弾性変形量(回転付勢力)は、バネ手段側リンク機構57が図1、図2に示す折畳状態にあるとき(オットマン変位機構15が短縮状態にあるとき)が最も大きく、オットマン変位機構15が伸張するにつれて徐々に小さくなり、バネ手段側リンク機構57が図3、図4に示す最大伸張状態になったとき(オットマン変位機構15が最大展開状態になったとき)に最も小さくなる。
バネ手段67の回転付勢力によって第1リンク58が移動力P1を発生すると、P2=P1・cos(90°−θ1)はP1に比べてかなり小さくなる。またP3=P2・cos(90°−θ2)なので、P3はP2に比べてかなり小さくなる。従って、バネ手段67の回転付勢力は、当該回転付勢力より極めて小さい力P3となって第3リンク62に伝わるので、バネ手段側リンク機構57が図1、図2に示す折畳状態にあるとき(オットマン32が格納位置に位置するとき)のバネ手段側リンク機構57による当該回転付勢力のオットマン変位機構15(連結軸16)への伝達効率は最も小さくなる。
一方、バネ手段側リンク機構57が図3、図4に示す最大伸張状態にあるとき、第1リンク58、第2リンク60、及び、第3リンク62の位置関係は図9に示すようになる。P1’は第1リンク58の移動力(L1に直交する方向の回転力)、P2’は第2リンク60の移動力(L2の延長方向の移動力)、P3’は第3リンク62の移動力(L3に直交する方向の回転力)である。また、このときのL1とL2がなす角度θ1’は90°より僅かに小さい鋭角であり、L2とL3がなす角度θ2’は90°より僅かに大きい鈍角である。
バネ手段67の回転付勢力によって第1リンク58が移動力P1’を発生すると、P2’=P1’・cos(90°−θ1’)はP1’とほぼ同じ大きさになる(僅かに小さくなる)。またP3’=P2’・cos(90°−θ2’)なので、P3’はP2’とほぼ同じ大きさになる(僅かに小さくなる)。従って、このときバネ手段67の回転付勢力は、当該回転付勢力とほぼ同じ大きさ(僅かに小さい)の力P3となって第3リンク62に伝わる。即ち、バネ手段側リンク機構57による上記回転付勢力のオットマン変位機構15(連結軸16)への伝達効率は、バネ手段側リンク機構57が折畳状態から最大伸張状態に向けて変化するにつれて徐々に大きくなり、バネ手段側リンク機構57が図3、図4に示す最大伸張状態になったとき(オットマン32が前端位置に位置するとき)には、バネ手段67の回転付勢力は殆どロスすることなくオットマン変位機構15に伝達される。
オットマン32が図1、図2に示す格納位置に位置し(オットマン変位機構15が短縮状態にあり)、かつ、操作ノブを操作しないとき(操作ノブが上記初期位置に位置し、ロック手段40がロック状態にあるとき)、オットマン32は図1、図2に示すように水平方向に対して略直交する状態に保持される。
乗客が手等で操作ノブを操作する(上記操作位置に移動させる)ことによりロック手段40がアンロック状態になると、バネ手段67の回転付勢力によって折畳状態にあったバネ手段側リンク機構57(及びロック手段側リンク機構48)が伸張するので、バネ手段側リンク機構57(及びロック手段側リンク機構48)の動きに連動して、短縮状態にあったオットマン変位機構15が前方に伸張する。そしてオットマン32が所望の位置(使用領域の任意の位置)に到達したときに乗客が操作ノブへの操作力を解除すると(操作ノブが初期位置に戻ると)、ロック手段40の上記バネの付勢力によってロック手段40がロック状態に復帰するので、ロック手段40によってオットマン32が当該所望位置に保持される。
またオットマン32が当該所望位置に移動した後に、操作ノブを操作することによりロック手段40をアンロック状態にした上で、バネ手段67の付勢力に抗してオットマン32を後方に押圧すると、オットマン変位機構15が短縮してオットマン32が格納位置側に移動する。そしてオットマン32が格納位置まで移動したときにロック手段40をロック状態に戻せば、オットマン32を格納位置に保持できる。
その一方で、バネ手段側リンク機構57は最大伸張状態に近づくにつれて徐々に伝達効率を高めるので、(バネ手段側リンク機構57が最大伸張状態に近づくにつれてバネ手段67の回転付勢力が徐々に低下するものの)オットマン32を前端位置まで円滑に(素早く)移動させることが可能である。
オットマン装置70は、マニュアル式オットマン装置13から固定部14A、ロック手段40、回転レバー45、操作ワイヤ46、バネ手段側リンク機構57、取付用ブラケット66、及び、バネ手段67を取り除き、代わりに固定部14C、ロック手段71、及び、モータユニット77を取り付けた構造である。
固定部14Cには円弧状をなす3つの結合孔14C1が穿設してある。
ロック手段71は周知技術である所謂タウメル式のロック手段(リクライニングロック装置)であり、その右側面に突設した円弧状の嵌合突部72aを各結合孔14C1に嵌合した状態で固定部14Cに固定した円盤状の外歯歯車72(第1回転部材)と、外歯歯車72の左側においてブラケット49に固定され、かつ外歯歯車72に対して相対回転可能である、外歯歯車72より大径の内歯歯車73と、外歯歯車72及び内歯歯車73の外周部を両者の相対回転を許容した状態で支持するホルダ74と、外歯歯車72及び内歯歯車73の中心部に形成された円形孔を相対回転可能に貫通する左右方向に延びる回転駆動軸75(回転軸)と、回転駆動軸75の周面に固定した回転筒部材76a(第2回転部材)と、回転筒部材76aの周面に相対回転可能に支持した一対の楔部材76b(図14に一つのみ図示)と、を具備している。回転筒部材76aの外周部の右半部と外歯歯車72の内周部(上記円形孔の内周面)は、互いに回転可能に接触する(径方向に対向する)径方向対向部76a1、72cとなっている。内歯歯車73の内周面全域には、外歯歯車72の外歯ギヤ72bよりもギヤ数の多い(ロック手段40の内歯ギヤ42aとほぼ同数)内歯ギヤ73aが形成してある。回転駆動軸75が自身の軸線回りに回転しないときは、楔部材76bを介して回転駆動軸75(回転筒部材76a)と外歯歯車72が一体化し、かつ、外歯歯車72の外歯ギヤ72bが内歯歯車73の内歯ギヤ73aの一部に噛合するので、ロック手段71は内歯歯車73が外歯歯車72に対して回転不能なロック状態となる。一方、回転駆動軸75が自身の軸線回りに正転又は逆転すると、一方の楔部材76bが回転駆動軸75(回転筒部材76a)及び外歯歯車72に対して相対回転可能な状態になり、外歯歯車72(外歯ギヤ72b)と内歯歯車73(内歯ギヤ73a)が相対回転可能な状態になる。その一方で回転筒部材76aと一緒に回転する他方の楔部材76bの回転力が内歯歯車73に伝わるので、内歯歯車73が外歯歯車72に対して噛合位置を変えながら時計方向又は反時計方向に回転する。
図14に示すように、左右方向(ロック手段側リンク機構48の伸縮方向に対する直交方向。即ち、回転駆動軸75の軸線方向)に関して、連結ピン52全体がロック手段71に対してオーバーラップしており(連結ピン52とロック手段71の間には左右方向の位置ズレがなく)、連結ピン52の一部が径方向対向部76a1、72cと左右方向にオーバーラップしている。
固定部14Bの右側面にはモータユニット77が固定してある。モータユニット77はモータ78(駆動源)を有しており、モータ78の上部には、モータ78の出力回転軸に固定したピニオンと連係するギヤ機構を内蔵するギヤケース79が設けてある。
回転駆動軸75の左半部はギヤケース79に形成した接続孔80に相対回転可能に嵌合しており、モータ78の内部において上記ギヤ機構と連係している。従って、図示を省略したスイッチをON操作(正転操作又は逆転操作)することによりバッテリ(図示略)からモータ78に電力を供給すると、モータ78が正逆両方向に回転し回転駆動軸75が自身の軸線回りに正逆両方向に回転する。一方、該スイッチをOFF操作すると、バッテリからモータ78への電力の供給が遮断されるのでモータ78が回転を停止する。
オットマン32が図10に示す格納位置に位置し(オットマン変位機構15が短縮状態にあり)、かつ、上記スイッチがOFF位置にあるとき、オットマン装置70がロック状態となるので、オットマン32は図10に示すように水平方向に対して略直交する状態に保持される。
乗客が上記スイッチをON操作(正転操作)することにより回転駆動軸75が自身の軸線回りに正転すると、内歯歯車73が外歯歯車72に対して正転(図10、図11の時計方向に回転)するので、折畳状態にあったロック手段側リンク機構48が伸張し、短縮状態にあったオットマン変位機構15が前方に伸張する。このようにパワー式オットマン装置70のロック手段側リンク機構48は、自身の回転力をオットマン変位機構15(連結軸16)へ伝達して、オットマン変位機構15を伸張(及び短縮)させる機能を有している。そしてオットマン32が所望の位置(使用領域の任意の位置)に到達したときに乗客が上記スイッチをOFF操作すると、ロック手段71がロック状態に復帰するので、オットマン32が当該所望位置に保持される(図11参照)。
一方、オットマン32が使用領域の任意の位置に位置するときに、上記スイッチをON操作(逆転操作)すると回転駆動軸75が自身の軸線回りに逆転する。すると内歯歯車73が外歯歯車72に対して逆転(図10、図11の反時計方向に回転)するのでロック手段側リンク機構48が短縮する。そしてオットマン32が格納位置に復帰すると、バッテリからモータ78への電力供給が遮断されるので、ロック手段71はロック状態となり、オットマン32は格納位置に保持される(図10参照)。
特に本実施形態では、連結ピン52の一部を径方向対向部41a、42b、72c、76a1と左右方向にオーバーラップさせているので、ベースプレート41とギヤプレート42の間、及び、外歯歯車72と内歯歯車73の間のがたつきを確実に防止できる。
なお、連結ピン52の一部のみをロック手段40、71に対して左右方向にオーバーラップさせて実施してもよく、この場合もほぼ同様の作用効果を得られる。
さらにパワー式オットマン装置70の場合にロック手段71をオットマン変位機構15の周辺に配置しているので、ロック手段71と連係するモータユニット77もオットマン変位機構15の周辺に配置することになる。そのためオットマン変位機構15と重なる部分にモータユニット77を配置する場合に比べて、マニュアル式オットマン装置13からパワー式オットマン装置70への設計変更を容易に行うことが可能である。
さらにマニュアル式オットマン装置13の場合は、ロック手段40及びバネ手段67をリンク機構(ロック手段側リンク機構48、バネ手段側リンク機構57)を介してオットマン変位機構15に接続しているので、ロック手段40及びバネ手段67をオットマン変位機構15の周辺(側面視においてオットマン変位機構15と重なる部分とは異なる場所)に配置できる。そのためオットマン変位機構15と重なる部分(狭い空間しか存在しない部分)にロック手段40及びバネ手段67を配置する場合に比べて、ロック手段40及びバネ手段67を簡単に取り付けることができる。
またオットマン装置13は、固定部14Bとバネ手段側リンク機構57の間にバネ手段67を設けているので、固定部14A、14Bを車両用シート10に対して固定するだけで車両用シート10に対して取り付けることが可能である。そのためオットマン32を移動付勢するバネ手段67を具備する構造でありながら、車両用シート10側への取り付けを容易に行うことが可能である。
また、第1リンク50と第2リンク51の対向面の左右方向位置が、第3リンク53と第2リンク51の左右方向位置と一致している(連結ピン52と連結ピン55を左右方向に関してオーバーラップさせている。図7、図14参照)ので、ロック手段側リンク機構48が、オットマン32及びオットマン変位機構15からの荷重をロック手段40に伝達する際に、ロック手段側リンク機構48内で回転モーメントが発生しなくなる。そのため第1リンク50、第2リンク51、及び、第3リンク53ががたつき難くなるので、オットマン32による足の支持状態がより安定する。
例えば、ロック手段側リンク機構48からブラケット49(第1リンク50)を省略して、第2リンク51の端部を連結ピン52を介してギヤプレート42や内歯歯車73に回転可能に接続してもよい。
また、固定部14A(14C)と固定部14Bを一体化することにより、一つの部材によって固定部を構成してもよい。
左側の固定部14Bの内側面と連結軸16の間には、第1リンク87、バネ取付ピン88、第2リンク89、バネ取付ピン90、回転支持ピン91、第3リンク92、連結ピン93、第4リンク94、連結ピン95、連結ピン96、第5リンク97、及び、連結ピン99を具備するバネ手段側リンク機構86が設けてある。
板状の第1リンク87の一端部に形成した貫通孔には左右方向に延びるバネ取付ピン88が嵌合固定してある。第1リンク87の左側には板状かつ第1リンク87と同じ長さの第2リンク89が位置しており、第2リンク89の一端部に形成した貫通孔には左右方向に延びるバネ取付ピン90が嵌合固定してある。第1リンク87及び第2リンク89の長手方向の中央部よりバネ取付ピン88、90と反対側に位置する部分は互いに左右方向に重なっており、第1リンク87及び第2リンク89の当該重なり部分を左右方向に延びる回転支持ピン91が貫通している。回転支持ピン91は第1リンク87及び第2リンク89を相対回転可能に支持しており、回転支持ピン91の左端部は14Bに固定状態で支持してある。第1リンク87の他端部(バネ取付ピン88と反対側の端部)の左側には、板状の第3リンク92の一端部が位置しており、第1リンク87の他端部と第3リンク92の一端部を左右方向に延びる連結ピン93が相対回転可能に接続している。第2リンク89及び第3リンク92の左側には第3リンク92より短い板状の第4リンク94が位置している。第2リンク89の他端部(バネ取付ピン90と反対側の端部)と第4リンク94の一端部を左右方向に延びる連結ピン95が相対回転可能に接続しており、第3リンク92の中間部と第4リンク94の他端部を左右方向に延びる連結ピン96が相対回転可能に接続している。第3リンク92の他端部(連結ピン93と反対側の端部)の右側には、ロック手段側リンク機構48の第3リンク53とほぼ同じ形状である第5リンク97の一端部が位置しており、第3リンク92の他端部と第5リンク97の一端部は左右方向に延びる連結ピン99によって回転可能に接続してある。第5リンク97の結合用凹部98は、連結軸16の軸線方向の左端部近傍に嵌合固定してある(図18参照)。
バネ取付ピン88から回転支持ピン91までの直線距離とバネ取付ピン90から回転支持ピン91までの直線距離は同じ距離aである。また回転支持ピン91から連結ピン95までの直線距離と回転支持ピン91から連結ピン93までの直線距離は同じ距離bであり、距離bは距離aより短い。さらに連結ピン93から連結ピン96までの直線距離と連結ピン95から連結ピン96までの直線距離は同じである。
バネ手段側リンク機構86はロック手段側リンク機構48と実質的に同期しながら動作する。即ち、オットマン変位機構15が短縮状態にあるときバネ手段側リンク機構86は図15に示す折畳状態となり、オットマン変位機構15が最大展開状態にあるときバネ手段側リンク機構86は図16に示す最大伸張状態となる。
オットマン32が図15に示す格納位置に位置し(オットマン変位機構15が短縮状態にあり)、かつ、操作ノブを操作しないとき(操作ノブが上記初期位置に位置し、ロック手段40がロック状態にあるとき)、オットマン32は図15に示すように水平方向に対して略直交する状態に保持される。
乗客が手等で操作ノブを操作する(上記操作位置に移動させる)ことによりロック手段40がアンロック状態になると、引張バネ100の付勢力によって折畳状態にあったバネ手段側リンク機構86(及びロック手段側リンク機構48)が伸張するので、バネ手段側リンク機構86(及びロック手段側リンク機構48)の動きに連動して、短縮状態にあったオットマン変位機構15が前方に伸張する。そしてオットマン32が所望の位置(使用領域の任意の位置)に到達したときに乗客が操作ノブへの操作力を解除すると(操作ノブが初期位置に戻ると)、ロック手段40の上記バネの付勢力によってロック手段40がロック状態に復帰するので、ロック手段40によってオットマン32が当該所望位置に保持される。
またオットマン32が当該所望位置に移動した後に、操作ノブを操作することによりロック手段40をアンロック状態にした上で、引張バネ100の付勢力に抗してオットマン32を後方に押圧すると、オットマン変位機構15が短縮してオットマン32が格納位置側に移動する。そしてオットマン32が格納位置まで移動したときにロック手段40をロック状態に戻せば、オットマン32を格納位置に保持できる。
さらにオットマン変位機構15を、リンクの数や配置或いは各リンクの具体的形状を変更することにより別の構造からなるリンク機構としてもよい。
また、連結軸16や固定部側上部リンク17に、ロック手段側リンク機構48の構成要素である第3リンク53や、付勢手段側リンク機構の構成要素である第3リンク62に相当するリンク(突片)を一体的に成形してもよい。またギヤプレート42に、ロック手段側リンク機構48の構成要素であるブラケット49(第1リンク50)を一体的に形成してもよい。また内歯歯車73に、ロック手段側リンク機構48の構成要素であるブラケット49(第1リンク50)を一体的に形成してもよい。
さらにパワー式オットマン装置70におけるロック手段側リンク機構48の各リンクの形状を、マニュアル式オットマン装置13におけるロック手段側リンク機構48の各リンクとは別形状としてもよい。
さらに、マニュアル式オットマン装置13の場合に、ギヤプレート42の内歯ギヤ42aの歯数と同じ数の位置にオットマン32を選択的に保持できる上記ロック手段40の代わりに、保持位置が少ないロック手段を利用してもよい。この種のロック手段は、例えば、オットマン変位機構15とオットマン32の一方に形成した複数のロック溝と、他方に設けた各ロック溝に対して選択的に係脱可能なロックピンと、により構成できる。
11 シートクッション
13 マニュアル式オットマン装置
14A 固定部
14A1 結合孔
14B 固定部
14C 固定部
14C1 結合孔
15 オットマン変位機構
16 連結軸
17 固定部側上部リンク
17a 結合用凹部
18 固定部側下部リンク
20 回転接続ピン
21 オットマン側後部リンク
22 23 回転接続ピン
24 オットマン側前部リンク
25 回転接続ピン
32 オットマン
33 ベース板
35 クッション
37 回転接続ピン
39 回転接続軸
40 ロック手段
41 ベースプレート(第1回転部材)
41a 径方向対向部
42 ギヤプレート(第2回転部材)
42a 内歯ギヤ
42b 径方向対向部
43 回転中心軸(回転軸)
44 可動ロック部材
44a 外歯ギヤ
45 回転レバー
46 操作ワイヤ
48 ロック手段側リンク機構
49 ブラケット(固定部材)
50 第1リンク
51 第2リンク
52 連結ピン(荷重入力部)(第1接続部)
53 第3リンク
54 結合用凹部
55 連結ピン(第2接続部)
57 バネ手段側リンク機構
58 第1リンク
59 連結ピン
60 第2リンク
61 連結ピン
62 第3リンク
63 結合用凹部
64 連結ピン
66 取付用ブラケット(固定部)
67 バネ手段(付勢手段)
70 パワー式オットマン装置
71 ロック手段
72 外歯歯車(第1回転部材)
72a 嵌合突部
72b 外歯ギヤ
72c 径方向対向部
73 内歯歯車
73a 内歯ギヤ
74 ホルダ
75 回転駆動軸(回転軸)
76a 回転筒部材(第2回転部材)
76a1 径方向対向部
76b 楔部材
77 モータユニット
78 モータ(駆動源)
79 ギヤケース
80 接続孔
85 マニュアル式オットマン装置
86 バネ手段側リンク機構
87 第1リンク
88 バネ取付ピン
89 第2リンク
90 バネ取付ピン
91 回転支持ピン(回転接続軸)
92 第3リンク
93 連結ピン
94 第4リンク
95 96 連結ピン
97 第5リンク(端部リンク)
98 結合用凹部
99 連結ピン
100 引張バネ(付勢手段)
Claims (5)
- 車両シートに固定する固定部と、
該固定部に接近する格納位置と、該固定部から離間する使用領域との間を移動可能なオットマンと、
上記オットマンを支持し、上記オットマンを上記格納位置と上記使用領域とに移動させるオットマン変位機構と、
該オットマン変位機構の動作を規制するロック状態と規制解除するアンロック状態とに切り替わるロック手段と、
上記ロック手段と上記オットマン変位機構を連結するロック手段側リンク機構と、
を備え、
上記ロック手段側リンク機構が、上記ロック手段又は該ロック手段に対する固定部材と連係し、上記オットマン変位機構から該ロック手段側リンク機構に伝わった荷重を上記ロック手段に伝達する荷重入力部を備え、
該荷重入力部が上記ロック手段に対して車両の幅方向においてオーバーラップすることを特徴とする車両シート用オットマン装置。 - 請求項1記載の車両シート用オットマン装置において、
上記ロック手段が、
上記固定部に固定した第1回転部材と、
車両の幅方向と平行な回転軸を中心にして、上記第1回転部材に対して相対回転可能な第2回転部材と、
を備え、
上記第1回転部材及び上記第2回転部材が、上記回転軸を中心とする径方向に互いに対向する径方向対向部を有し、
上記回転軸方向に関して上記荷重入力部が上記径方向対向部に対してオーバーラップする車両シート用オットマン装置。 - 請求項1または2記載の車両シート用オットマン装置において、
上記ロック手段側リンク機構が、
一端が上記ロック手段に接続する上記固定部材である第1リンクと、
一端が該第1リンクに回転可能に接続する第2リンクと、
一端が該第2リンクに回転可能に接続すると共に他端が上記オットマン変位機構に接続する第3リンクと、
からなる車両シート用オットマン装置。 - 請求項3記載の車両シート用オットマン装置において、
上記ロック手段が、
上記固定部に固定した第1回転部材と、
回転軸を中心にして、上記第1回転部材に対して相対回転可能な第2回転部材と、
を備え、
上記ロック手段側リンク機構が、
上記第1リンクと上記第2リンクを回転可能に接続する第1接続部と、
上記第2リンクと上記第3リンクを回転可能に接続する第2接続部と、を備え、
上記第1接続部と上記第2接続部を上記回転軸方向にオーバーラップさせた車両シート用オットマン装置。 - 請求項4記載の車両シート用オットマン装置において、
上記第2リンクが、上記第1リンク及び第3リンクに対して上記回転軸方向の一方側に位置する車両シート用オットマン装置。
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