JP5932366B2 - スフィンゴ糖脂質水溶液若しくは乳化水溶液 - Google Patents
スフィンゴ糖脂質水溶液若しくは乳化水溶液 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5932366B2 JP5932366B2 JP2012014911A JP2012014911A JP5932366B2 JP 5932366 B2 JP5932366 B2 JP 5932366B2 JP 2012014911 A JP2012014911 A JP 2012014911A JP 2012014911 A JP2012014911 A JP 2012014911A JP 5932366 B2 JP5932366 B2 JP 5932366B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aqueous solution
- ceramide
- glycosphingolipid
- skin
- glucosylceramide
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Medicinal Preparation (AREA)
- Cosmetics (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Medicines Containing Plant Substances (AREA)
- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
Description
角質細胞間脂質の主成分であるセラミドは、皮膚においてはバリア機能、水分保持(水分蒸散防御)機能等の重要な働きをしており、皮膚に適用して皮膚からの水分の蒸散を防ぐと共に、皮膚に保湿効果をもたらす作用を有する内因性セラミドである。
更には、リポソーム化したグルコシルセラミドを皮膚に適用し、皮膚中の美白効果の検討も行われてきている(例えば、特許文献4)。
しかしながら、スフィンゴ糖脂質等の細胞間脂質は、優れたバリア効果を示すものの、他の油性基剤との相溶性があまり高く無く、安定な製剤化がし難いといった問題点があった。
さらに、皮膚に塗布した場合、バリア効果による皮膚からの水分蒸散防御作用は期待できるものの、角質細胞間に滞留・存在させ、その状態での保水機能を期待することはできなかった。
本発明者等は、これまでに、スフィンゴ糖脂質やセラミドを皮膚へ適用した場合に、皮膚中に内因性セラミドが生成・増加されるか否かの検討を積極的に行ってきている。
その検討の結果、具体的にはセラミドの前駆体であるスフィンゴミエリエンであるスフィンゴリン脂質をリポソームとして皮膚に適用し、皮膚中に内因性セラミドが生成・増加されることを新規に見出してきている。
本発明が提供するスフィンゴ糖脂質の水溶液或いは乳化水溶液は、今後有効な化粧料の開発、或いは機能性補助健康食品の開発に結びつく可能性があり、その点で、極めて特異的なものである。
本発明においては、使用されるスフィンゴ糖脂質としては、セラミドの前駆体であり、特にその由来が限定されるものではなく、あらゆるスフィンゴ糖脂質を使用することができる。
そのなかでも、スフィンゴ糖脂質として、植物素材由来の糖脂質であり、例えば米糠、米胚芽及び/又はこれら由来のスフィンゴ糖脂質が挙げられる。
そのなかでも、好ましくは、スフィンゴ糖脂質がβ−グルコシルセラミドである。
また、これらのスフィンゴ糖脂質は、ヒト型セラミドの前駆体であるのがより好ましいものである。
そのような非イオン性界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられ、なかでも、太陽化学(株)から食品用添加剤として提供されている「サンソフトA」を好ましく使用することができる。
この「サンソフトA」は、ポリグリセリン脂肪酸エステルエステルであり、当該脂肪酸としては、ラウリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等が該当する。
その添加量は、スフィンゴ糖脂質に対して0.1〜10倍量である。
このことから、培養表皮中でセラミドの前駆体であるスフィンゴ糖脂質(グルコシルセラミド)からセラミドが生成され、皮膚中において内因性セラミドが生成・増加されていることが判明した。
ただし、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない限り種々の変更が可能であり、その変更も本発明に包含されるものである点に留意すべきである。
<本発明のβ−GlcCer含有水溶液(本発明品)>
β−GlcCer(サイズの調整なし、すなわちナノサイズ化をしていない)に、界面活性剤であるグリセリン脂肪酸エステルを添加し乳化物とし、さらにオレイン酸ナトリウムを添加して加温・攪拌して乳化物とした。乳化物は更に高圧下で乳化する一般的な方法によって目的とする水溶液或いは乳化水溶液を調製した。
上記の本発明のβ−GlcCer含有水溶液の調製において、オレイン酸ナトリウムを添加しない比較品A〜Dを同様に調製した。
ただし、比較品A〜Dにおいては、β−GlcCerについてナノサイズ化し、サイズ(粒子径)を調整したものを用いた。
比較品のβ−GlcCerのサイズ(平均サイズ)は、以下の通りである。
比較品A:100nm
比較品B:45nm
比較品C:100nm
比較品D:100nm
対照として、β−GlcCer含有ナノリポソームを調製した。
β−GlcCer含有ナノリポソームの調製は、一般的な薄膜法による調製により行った。具体的な組成は、β−GlcCer:ジミリストイルホスファチジルコリン:ジミリストイルホスファチジルグリセロール=4:4:1(モル比率)として調製した。
有機溶媒に溶解した脂質をナス型フラスコに測りとり、ロータリーエバポレータを用いて減圧下で溶媒を除去してフラスコに薄膜を作製した。リン酸緩衝整理食塩水(PBS)を加え、相転移温度以上の水浴で加温しながら機械的振動を与えて脂質を水和した。凍結融解後、100nmのポリカーボネート膜を5回通過させることによって粒子径の均一なリポソームを作製した。
2.培養皮膚への適用
<方法>
上記で得られたβ−GlcCer含有水溶液(本発明品1〜3、及び対照品A〜D)及びβ−GlcCer含有ナノリポソームのそれぞれを、ヒト3次元培養表皮モデル(Lab Cyte EPI-MODEL 12)を用い、7日間SPM−L適用で培養した。
培養後、培養表皮を取り出し、クロロホルム:メタノール(2:1)にて抽出し、濃縮後、高性能薄層クロマトグラフィーで(High Performance Thin Layer Chromatography)にて、セラミドのタイプ別に分離し、ルミノイメージアナライザーシステム(LAS1000-plus;富士フイルム)により、密度から内因性セラミドとして、セラミド2(Cer2)、セラミド3(Cer3)、セラミド5(Cer5)、セラミド6(Cer6)を定量した。
なお、コントロールとして、β−GlcCerの無添加のものを置いた。
表2:オレイン酸ナトリウムの添加による内因性セラミドの生成の影響
更に、本発明のオレイン酸ナトリウムを添加した本発明品1では、セラミド3(cer3)、セラミド5(Cer5)、セラミド6(Cer6)が顕著に増加していた。
オレイン酸ナトリウムに加えさらにグリセリン脂肪酸エステルを添加した本発明のβ−GlcCer含有水溶液(本発明品1〜3)においては、ナノリポソームやナノサイズ水溶液よりも、セラミド5(Cer5)、セラミド6(Cer6)が顕著に増加していた。
これらの結果から見ると、オレイン酸ナトリウムによって培養皮膚中にβ−GlcCerが効率的に浸透したことにより、内因性セラミドが生成したものと考えられる。
この皮膚中の内因性セラミドを生成・増加させることにより、効果的に皮膚のバリア機能が増強させるものであって、その結果、皮膚からの水分蒸散が防止され、保湿性に富んだ皮膚状態が保持されることとなる。
本発明が提供する、スフィンゴ糖脂質の水溶液或いは乳化水溶液は、今後極め有効な化粧料を開発していく上で、一つの指針を与えるものであり、その産業上の利用性は多大なものである。
Claims (7)
- β−グルコシルセラミドを含有する、皮膚中の内因性セラミドを生成・増加せしめる水溶液若しくは乳化水溶液であって、前記β−グルコシルセラミドに対して0.1〜20倍量の脂肪酸および/またはその塩を添加し、更に0.1〜10倍量の非イオン性界面活性剤を添加してなり、水以外の他の媒体を含有することのない、前記β−グルコシルセラミドを含有する水溶液若しくは乳化水溶液。
- 皮膚中に生成・増加する内因性セラミドが、セラミド3(Cer3)及び/又はセラミド5(Cer5)である、請求項1に記載のβ−グルコシルセラミドを含有する水溶液若しくは乳化水溶液。
- 皮膚中に生成・増加する内因性セラミドが、セラミド2(Cer2)、セラミド3(Cer3)、セラミド5(Cer5)及びセラミド6(Cer6)である、請求項1に記載のβ−グルコシルセラミドを含有する水溶液若しくは乳化水溶液。
- β−グルコシルセラミドが、米糠、米胚芽及び/又はこれら由来のβ−グルコシルセラミドである請求項1に記載のβ−グルコシルセラミドを含有する水溶液若しくは乳化水溶液。
- 脂肪酸および/またはその塩が、オレイン酸および/またはその塩である請求項1に記載のβ−グルコシルセラミドを含有する水溶液若しくは乳化水溶液。
- 非イオン性界面活性剤が、グリセリン脂肪酸エステルである請求項1に記載のβ−グルコシルセラミドを含有する水溶液若しくは乳化水溶液。
- 非イオン性界面活性剤が、モノラウリル酸ペンタグリセリンである請求項6に記載のβ−グルコシルセラミドを含有する水溶液若しくは乳化水溶液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012014911A JP5932366B2 (ja) | 2012-01-27 | 2012-01-27 | スフィンゴ糖脂質水溶液若しくは乳化水溶液 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012014911A JP5932366B2 (ja) | 2012-01-27 | 2012-01-27 | スフィンゴ糖脂質水溶液若しくは乳化水溶液 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013155117A JP2013155117A (ja) | 2013-08-15 |
JP5932366B2 true JP5932366B2 (ja) | 2016-06-08 |
Family
ID=49050682
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012014911A Expired - Fee Related JP5932366B2 (ja) | 2012-01-27 | 2012-01-27 | スフィンゴ糖脂質水溶液若しくは乳化水溶液 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5932366B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106726875B (zh) * | 2016-11-24 | 2019-05-21 | 晨光生物科技集团股份有限公司 | 一种含鞘糖脂类物质的提取物的制备方法 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH101423A (ja) * | 1996-06-14 | 1998-01-06 | Kanebo Ltd | 毛髪処理剤 |
JP4099267B2 (ja) * | 1998-08-07 | 2008-06-11 | 株式会社紀文フードケミファ | 乳化剤および乳化組成物 |
JP2004161655A (ja) * | 2002-11-12 | 2004-06-10 | Pigeon Corp | セラミド類含有乳化物の製造方法、および乳化物 |
JP5064659B2 (ja) * | 2005-03-08 | 2012-10-31 | 株式会社コーセー | パール剤組成物及びそれを含有する化粧料 |
JP2010083801A (ja) * | 2008-09-30 | 2010-04-15 | Fujifilm Corp | 水性化粧料及びその製造方法 |
JP4959663B2 (ja) * | 2008-09-30 | 2012-06-27 | 富士フイルム株式会社 | 水性化粧料及びその製造方法 |
JP5608351B2 (ja) * | 2009-09-29 | 2014-10-15 | 太陽化学株式会社 | セラミド含有組成物 |
-
2012
- 2012-01-27 JP JP2012014911A patent/JP5932366B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013155117A (ja) | 2013-08-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101789132B1 (ko) | 콜라겐 수식 리포솜으로 이루어지는 화장료 기제 및 그것을 함유하는 피부 화장료 | |
JP5517511B2 (ja) | 化粧料の製造法 | |
CN113260422B (zh) | 神经酰胺分散组合物 | |
KR101577874B1 (ko) | 당세라마이드를 함유하는 피부 유사 지질 조성을 갖는 액정상 화장료 조성물 및 그 제조방법 | |
EP2174646B1 (en) | Reverse vesicle | |
JP2014156456A (ja) | 皮膚外用剤 | |
JP6861937B2 (ja) | 高い経皮吸収性を有するリポソーム組成物およびそれを含有する化粧料または皮膚外用剤 | |
JP2005179313A (ja) | 皮膚化粧料用基剤の製造方法および皮膚化粧料 | |
JP2011144133A (ja) | 乳化組成物 | |
WO2006057166A1 (ja) | 皮膚化粧料 | |
JP5932366B2 (ja) | スフィンゴ糖脂質水溶液若しくは乳化水溶液 | |
KR101176530B1 (ko) | 슬리밍 화장료 조성물 | |
JP6883723B2 (ja) | リポソーム、リポソーム液及び化粧料、並びに上記リポソームを製造する方法 | |
KR101761005B1 (ko) | 법제 유황을 포함하는 피부보습, 항염 및 면역 증강용 화장료 조성물 및 그 제조방법 | |
JP2015221755A (ja) | コーニファイド・エンベロープタンパク産生促進剤 | |
WO2020230691A1 (ja) | セラミド類とオレイン酸イソブチルを含有する組成物 | |
JP2015516454A (ja) | ベシクル製剤のキットおよび使用 | |
JP6411050B2 (ja) | リポソーム及びそれを含有する化粧料 | |
JP2015127323A (ja) | 水相に液晶構造を保持した油中水型乳化組成物及びそれを含有する化粧料又は皮膚外用剤 | |
KR102199766B1 (ko) | 투명한 다중층 액정 조성물의 제조방법 | |
JP2015189696A (ja) | 水相にαゲル構造を保持した油中水型乳化化粧料又は皮膚外用剤 | |
JP5900906B2 (ja) | 化粧料基剤の製造方法および皮膚化粧料 | |
EP2272488B1 (en) | Vesicle and cosmetic containing the same | |
JP7075955B2 (ja) | ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルとアルキロイル乳酸塩とセラミド類を含有する組成物 | |
JP2012184166A (ja) | 内因性セラミドの生成・増加方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20131220 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140806 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140820 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20141016 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150417 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20150608 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150714 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160113 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160219 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160420 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160428 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5932366 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |