以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置としての複合機について説明する。なお、以下の説明では、便宜上、各図において矢印で示すように各方向を規定する。
<第1実施形態>
まず、図1を参照して、第1実施形態に係る複合機1について説明する。ここで、図1は複合機1の内部構造を模式的に示す断面図である。
複合機1は、略箱型形状の装置本体2の内部に作像装置3および画像読取装置4等を収容して構成されている。また、装置本体2の上面には、画像読取装置4の画像読取位置Hに原稿Pを一枚ずつ自動的に送り込むシート搬送装置としての自動原稿搬送装置5が設けられている。
作像装置3は、用紙を収納する用紙収容部6と、用紙収容部6から搬送経路7に供給された用紙にトナー像を転写する画像形成部8と、転写したトナー像を用紙に定着させる定着装置9と、定着後の用紙の排出先となる用紙排出部10と、を備えている。なお、シートとしての原稿Pや用紙は、紙製の記録材に限らず、樹脂フィルムやOHPシート等の記録材も含まれる。
画像形成部8は、例えば、パーソナルコンピューター(図示せず)や画像読取装置4から送信された画像データに基づいてモノクロの画像形成処理を行うものであり、補給用トナー(ブラック)を収納したトナーコンテナ11を備えている。また、画像形成部8は、回転可能に設けられる像担持体としての感光体ドラム12の周囲に転写プロセス順に配置される帯電器13と、露光器14と、現像器15と、転写ローラー16と、クリーニング装置17と、を含んで構成されている。
画像読取装置4は、装置本体2の上部に固定されるコンタクトガラス20およびプラテンガラス21と、各ガラス20,21上の原稿Pを読み取り可能に設けられる光学走査ユニット22と、光学走査ユニット22からの光を反射する反射ユニット23と、反射光が集光レンズ24を介して入力されるCCD25と、を含んで構成されている。なお、集光レンズ24およびCCD25は固定されている。
光学走査ユニット22は、原稿Pに向かって光を照射する光源26と、原稿Pで反射した光を反射ユニット23に向ける反射部27と、を有している。原稿Pで反射した光がCCD25に入力されることで、原稿P上の画像が電気信号に変換される。
光学走査ユニット22は、画像読取位置Hに固定された状態で、自動原稿搬送装置5によってコンタクトガラス20上を通過する原稿P(の画像)を読み取り可能に構成されている。また、光学走査ユニット22は、画像読取位置Hから右方向に走査することで、プラテンガラス21上に載置された原稿Pを読み取ることも可能となっている。この際、原稿Pから集光レンズ24までの光路長が常に一定となるように、反射ユニット23は、光学走査ユニット22と同一方向で且つ1/2の距離だけ移動するようになっている。
ここで、複合機1による画像形成処理について簡単に説明する。光学走査ユニット22等によって読み取られ、光電変換された画像データは、画像読取装置4から作像装置3に出力される。画像読取装置4等から作像装置3に画像データが入力されると、帯電器13によって所定電位に帯電した感光体ドラム12の表面に対し、露光器14によって画像データに応じた露光が行われる。これにより感光体ドラム12上に形成された静電潜像は、現像器15によってトナー像に現像される。このトナー像は、転写ローラー16に転写バイアスが印加されることにより、用紙収容部6から搬送経路7を搬送されてきた用紙に転写され、定着装置9によって用紙に定着される。トナー像が定着した用紙は用紙排出部10に排出される。転写後の感光体ドラム12の表面に残留したトナーは、クリーニング装置17によって除去される。
次に、図1ないし図4を参照して、自動原稿搬送装置5について詳細に説明する。図2は自動原稿搬送装置5を示す斜視図であり、図3は側断面図である。図4は分離機構52の一部を示す側断面図である。なお、以下の説明では、複合機1の前後方向を「幅方向」とも呼び、複合機1の左右方向を「搬送方向」とも呼ぶ。
自動原稿搬送装置5は、所謂ADF(Auto Document Feeder)であり、画像読取装置4の上部背面側の一辺を中心に回動可能に取り付けられている。自動原稿搬送装置5の正面側を上方に持ち上げるように回動させることで、コンタクトガラス20およびプラテンガラス21の上面が露出するように構成されている。
図1ないし図3に示すように、自動原稿搬送装置5は、原稿Pを載置する供給部としての供給トレイ30と、供給トレイ30上の原稿Pを画像読取装置4に送り出す搬送機構31と、画像読み取り後の原稿Pを受ける排出部としての排出トレイ32と、を備えている。
供給トレイ30は、複数の原稿Pを積載できるように樹脂製の受皿状に形成されている。供給トレイ30は、搬送機構31の上部において右方に延設されている。供給トレイ30は、搬送機構31に向かって僅かに下傾して設けられている。供給トレイ30の原稿積載面には、幅方向(搬送方向に直交する方向)にスライドし、積載した原稿Pの幅方向の位置を規制する一対の原稿搬送ガイド30aが設けられている。
排出トレイ32は、排出された原稿Pを受けることができるように受皿状に形成されている。排出トレイ32は、供給トレイ30の下方に配設され、原稿Pを受ける面が供給トレイ30と略平行に形成されている。
図2および図3に示すように、搬送機構31は、装置本体2(画像読取装置4)の上面に配設されるフレーム本体33と、原稿搬送路40に沿って原稿Pを搬送する複数のローラー等を含む原稿搬送部41と、フレーム本体33に回動可能に支持される搬送カバーユニット42および中間搬送ユニット43と、フレーム本体33に固定支持される読取搬送ユニット44および分岐搬送ユニット45と、を有している。
フレーム本体33は、略平板状のベースフレーム34と、ベースフレーム34の前後両端部に立設される前壁部35および後壁部36と、ベースフレーム34の上方において前壁部35と後壁部36との間に支持される支持フレーム37(図3参照)と、を有し、樹脂材料により形成されている。なお、ベースフレーム34の両端部、前壁部35および後壁部36は、外装カバー31aに覆われている。前壁部35および後壁部36はベースフレーム34の略左側半分に設けられている。
原稿搬送路40は、供給トレイ30と排出トレイ32とを連通させるように、折り返されて略U字状に形成されている(図3の破線参照)。詳細には、原稿搬送路40は、供給トレイ30から送出される原稿Pが搬送される上流搬送路40aと、上流搬送路40aの下流端に連なり排出トレイ32に排出される原稿Pが搬送される下流搬送路40bと、下流搬送路40bから分岐し、スイッチバックされた原稿Pが再び上流搬送路40aに搬送される反転搬送路40cと、を含んで構成されている。なお、上流搬送路40aと下流搬送路40bとは、コンタクトガラス20に対向するようにベースフレーム34に貫通形成された読取開口34aを挟むように設けられている。
原稿搬送部41は、供給トレイ30に積載された原稿Pを1枚ずつ供給する原稿供給部46と、原稿供給部46により送出された原稿Pを画像読取位置Hに搬送する原稿搬送部47と、画像情報を読み取られた原稿Pを排出する原稿排出部48と、原稿Pが搬送される搬送路を下流搬送路40bと反転搬送路40cとの間で切換える分岐ガイド49と、反転搬送路40cに導入された原稿Pを表裏スイッチバックさせ、再び原稿搬送部47に搬送するスイッチバック部50と、を含んで構成されている。
原稿供給部46は、上流搬送路40aの上流端近傍に配設されるピックアップローラー51と、その搬送方向下流側に配設される分離機構52と、を有している。
ピックアップローラー51は、駆動装置(図示せず)によって回転駆動されると共に下方に回動して供給トレイ30に載置された最上位の原稿Pに当接するように構成されている。詳細は後述するが、分離機構52は、供給ローラー60と、供給ローラー60に下側から対向して配設される捌きローラー61と、を含んで構成されている。
供給ローラー60は、駆動装置(図示せず)によって原稿Pを送出する方向に回転駆動される。また、捌きローラー61は、搬送される原稿Pを介して与えられる負荷により、供給ローラー60からの駆動力を伝達/遮断するトルクリミッター(図示せず)を内蔵している。
原稿搬送部47は、分離機構52の下流側に設けられるレジストローラー対53と、読取開口34aの上流側近傍に設けられる搬送ローラー対54と、を有している。原稿排出部48は、下流搬送路40bの上流側に設けられる読取後ローラー対55と、下流搬送路40bの下流側に設けられる排出ローラー対56と、を有している。
分岐ガイド49は、読取後ローラー対55の下流側に配設されている。分岐ガイド49は、下流側の揺動軸(図示せず)を中心に揺動可能に支持され、付勢手段(図示せず)によって上方に付勢されている。スイッチバック部50は、反転搬送路40cに配設されるスイッチバックローラー対57を有している。スイッチバックローラー対57は、正逆いずれにも回転駆動可能に構成されている。
原稿搬送部41の各構成は、各ユニット42,43,44,45に分散して支持されている。搬送カバーユニット42には、ピックアップローラー51と、分離機構52の供給ローラー60と、レジストローラー対53の一方のローラーと、が軸支されている。中間搬送ユニット43には、供給ローラー60を除く分離機構52が支持されている。読取搬送ユニット44には、レジストローラー対53の他方のローラーと、搬送ローラー対54の一方のローラーと、読取後ローラー対55の一方のローラーと、が軸支されている。分岐搬送ユニット45には、排出ローラー対56の一方のローラーと、スイッチバックローラー57の一方のローラーと、が軸支されている。なお、搬送ローラー対54の他方のローラーと、読取後ローラー対55の他方のローラーと、排出ローラー対56の他方のローラーとは、それぞれベースフレーム34に軸支されている。また、スイッチバックローラー57の他方のローラーは、支持フレーム37に軸支されている。
図2に示すように、搬送カバーユニット42は、前壁部35と後壁部36との間に配置され、ベースフレーム34の左端部に設けられるカバー回動軸部42a(図3参照)を中心に回動可能に軸支されている。すなわち、搬送カバーユニット42の右端部が左上方に向かって回動するようになっている。なお、搬送カバーユニット42には、各壁部35,36に設けられたロック機構(図示せず)に係合する被ロック部(図示せず)が形成されており、搬送カバーユニット42を閉じると被ロック部がロック機構に係止され、搬送カバーユニット42の開放が規制(完全に閉鎖)されるようになっている。
中間搬送ユニット43は、搬送カバーユニット42の下方、且つ供給トレイ30側において支持フレーム37に支持されている。中間搬送ユニット43は、前壁部35と後壁部36との間に配置され、支持フレーム37の供給トレイ30近傍に設けられる中間回動軸部43a(図3参照)を中心に回動可能に軸支されている。すなわち、中間搬送ユニット43の左端部が右上方に向かって回動するようになっている。なお、搬送カバーユニット42が完全に閉鎖されると中間搬送ユニット43も完全に閉鎖され、搬送カバーユニット42が開放されると中間搬送ユニット43の完全な閉鎖が解除されるようになっている。
図2および図4に示すように、中間搬送ユニット43の上面は、上流端から搬送方向略中央まで略水平に形成される下水平部43bと、下水平部43bの下流端から下流に向かって上方に傾斜して形成される傾斜部43cと、傾斜部43cの上部から下流端まで略水平に形成される上水平部43dと、により構成されている。中間搬送ユニット43の幅方向略中央には、傾斜部43cから上水平部43dに亘って窪むように凹設部58が形成されている。凹設部58の上流側(右側)には、垂直面を成す垂直壁面58aと、垂直壁面58aの下端から下流側に向かって下傾する傾斜面58bと、が形成されている。凹設部58の幅方向略中央には、下水平部43bから傾斜面58bの上部に亘ってバネ開口59が貫通形成されている。
図2および図3に示すように、読取搬送ユニット44は、中間搬送ユニット43の左側において前壁部35と後壁部36との間に固定されている。読取搬送ユニット44には、読取開口34aから下方に突出する押圧部材44aが設けられている。押圧部材44aは、付勢手段(図示せず)によってコンタクトガラス20に向かって付勢されている。
図3に示すように、分岐搬送ユニット45は、中間搬送ユニット43の下方において前壁部35と後壁部36との間に固定されている。分岐搬送ユニット45の上流端部(左端部)には、分岐ガイド49が揺動可能に配設されている。
搬送カバーユニット42が閉鎖された状態で、搬送カバーユニット42と、中間搬送ユニット43および読取搬送ユニット44との間には、上流搬送路40aが形成される。また、分岐搬送ユニット45とベースフレーム34との間には下流搬送路40bが形成され、中間搬送ユニット43と分岐搬送ユニット45と読取搬送ユニット44との間には反転搬送路40cが形成される。すなわち、搬送カバーユニット42は、中間搬送ユニット43の上方、つまり上流搬送路40aを開閉可能に設けられ、中間搬送ユニット43は、反転搬送路40c(原稿搬送路40)を開閉可能に設けられている。なお、各搬送路40a,40b,40cを構成する面には、搬送される原稿Pとの摩擦抵抗を軽減するためのリブが幅方向に間隔を有して形成されている。
次に、図3ないし図7を参照して、分離機構52について詳細に説明する。ここで、図5は分離機構52の一部を示す斜視図であり、図6は捌きパッド62を取り外した分離機構52を示す斜視図である。図7は係合部72および被係合部73等を示す側断面図であり、(a)はアンロック状態を示し、(b)はロック状態を示している。
図3ないし図5に示すように、分離機構52は、搬送カバーユニット42に回転可能に支持される供給ローラー60と、供給ローラー60に対向するように中間搬送ユニット43に設けられる捌きローラー61と、中間搬送ユニット43に着脱可能に設けられる捌きパッド62と、捌きパッド62を押圧可能な位置において中間搬送ユニット43に設けられる前後一対のストッパー部63と、捌きパッド62をストッパー部63に当接させるように付勢力を作用させる付勢部64と、捌きパッド62の上流側に配設される捌きシート65と、を備えている。
図4に示すように、捌きローラー61は、捌きパッド62の下流側に設けられている。詳細には、捌きローラー61は、ローラーホルダー66に回転可能に支持され、捌きローラー61を軸支したローラーホルダー66は、中間搬送ユニット43に形成された凹設部58の内部に設けられている。
また、ローラーホルダー66は、上下両端を開放した略矩形筒状に形成されており、左端部に設けられるホルダー回動軸部66aを中心に回動可能に軸支されている。さらに、ローラーホルダー66の右端部には、搬送カバーユニット42が閉鎖された状態でローラーホルダー66を介して捌きローラー61を供給ローラー60に押圧するローラー付勢部としてのローラー付勢バネ67が設けられている。ローラー付勢バネ67は、所謂コイルバネであり、ローラーホルダー66を上方に回動させるように付勢力を作用させている。ローラー付勢バネ67の下端部は、凹設部58の底面に突設されたバネ支持部67aに固定され、ローラー付勢バネ67の上端部は、ローラーホルダー66に固定されている。
図3および図4に示すように、捌きパッド62は、中間搬送ユニット43を閉鎖した状態で、中間搬送ユニット43に対し、上流搬送路40aの下流側に向かって上方に傾くように傾斜姿勢で設けられている。捌きパッド62は、供給トレイ30から上流搬送路40aを送出される原稿Pに干渉し原稿Pを1枚ずつ分離するために設けられている。(捌きパッド62は、送出される原稿Pの先端を原稿Pと捌きパッド62との摩擦力によりずらしながら捌いていく。)
図4および図5に示すように、捌きパッド62は、付勢部64より上側に設けられるパッドホルダー70と、パッドホルダー70の上端から上方に延出するようにパッドホルダー70に支持されるパッド本体71と、中間搬送ユニット43に設けられる前後一対の被係合部73に対し遊嵌可能なようにパッドホルダー70の両側部に形成される前後一対の係合部72と、を有している。
パッドホルダー70は、樹脂材料により平面視で略矩形板状に形成されている。パッドホルダー70は、パッド本体71が貼付されるパッド貼付部70aと、パッド貼付部70aの下側で上方に位置ずれ(突出)して形成される付勢支持部70bと、により一体に形成されている。
パッド貼付部70aの上面には、両面テープや接着剤等を用いてパッド本体71が貼付されると共に、パッド本体71の上流側端部に原稿Pが引っ掛からないようにパッド本体71の貼付部分の上流側を覆うように略台形状のフィルム71a(例えば、ポリエチレンテレフタレート製)が貼付されている。なお、パッド貼付部70aの上面はパッド本体71およびフィルム71aの厚み分だけ凹設されており、パッド本体71等を貼付した状態で、パッド本体71とフィルム71aとパッドホルダー70とは略同一平面を成すようになっている。
パッド本体71は、可撓性を有するウレタンゴム等により形成され、原稿Pに接触して所定の摩擦力を発生させるようになっている。パッド本体71は、上方(下流)に向かうに従って狭まるような台形状に形成されている。パッド本体71の先端部は、パッド貼付部70aに貼付された状態で捌きローラー61の上方まで延びている。
図5ないし図7に示すように、前後一対の係合部72は、パッドホルダー70の幅方向両端面において凹状に形成されている。すなわち、捌きパッド62を傾斜姿勢とした状態で、各係合部72は、パッドホルダー70の上端から下端まで延びる溝形状に形成されている。一方、中間搬送ユニット43の凹設部58の前後両内側面には、それぞれ被係合部73が内側に突出形成されている。各被係合部73は、上流搬送路40aの下流側に向かって上方に傾斜するように延びるレール状に形成されている。各被係合部73の下端には、折曲して下方に延出する突当り部73aが形成されている。上記した各係合部72は、中間搬送ユニット43に突設される前後一対の被係合部73に対し上流搬送路40a側から遊嵌し、パッドホルダー70の幅方向両下端部が各突当り部73aに突き当たるようになっている。
前後一対のストッパー部63は、凹設部58の前後両内側面から内側に向かって突出する略楕円柱状に形成されている。各ストッパー部63には、パッドホルダー70の幅方向両上端部左側が圧接するようになっている。なお、パッドホルダー70の幅方向両上端部左側には、各ストッパー部63に押圧されるテーパー面70c(図7参照)が形成されている。また、ストッパー部63とパッドホルダー70との圧接位置は任意であり、例えば上下方向中間部分で圧接してもよい。
図4および図5に示すように、付勢部64は、中間搬送ユニット43を閉鎖した場合に捌きパッド62がストッパー部63に押圧されるロック位置に回動するように捌きパッド62に付勢力を作用させ、中間搬送ユニット43を開放した場合に捌きパッド62がストッパー部63から押圧解除されるアンロック位置に回動するように捌きパッド62への付勢力を解除するように形成されている。すなわち、上記した各ストッパー部63は、捌きパッド62をロック位置に保持するために設けられている。付勢部64は、付勢支持部70bの下端面の幅方向略中央部から下方(正確には右下方)に向かって延設されている。付勢部64は、弾性を有する樹脂材料によりパッドホルダー70と一体に形成されている。
捌きシート65は、原稿Pに接触して所定の摩擦力を発生させることができる材料で形成されている。捌きシート65は、平面視で矩形状に形成され、捌きパッド62の上流側において下水平部43bに貼付されている。
ここで、自動原稿搬送装置5による原稿Pの搬送について説明する。まず、原稿Pの片面のみを読み取る場合について説明する。この場合、分岐ガイド49は上方に付勢された状態になっている(図3の実線参照)。
自動原稿搬送装置5は、操作部(図示せず)から入力された読取開始信号を受信すると、供給トレイ30上に積層された原稿束の最上位に位置する原稿Pをピックアップローラー51によって上流搬送路40aに送り出す。1枚の原稿Pのみが送られた場合、この原稿Pは、捌きシート65および捌きパッド62を乗り越え、回転する供給ローラー60に接触することで上流搬送路40aの下流側に送られる。このとき、捌きローラー61も送出される原稿Pに従動して回転する。
一方、複数枚の原稿Pが上流搬送路40aに送られた場合、最下位の原稿Pは、捌きシート65との間に作用する摩擦力によって送出が規制される。また、例えば、複数枚の原稿Pが捌きシート65を通過してしまった場合、最下位の原稿Pは、捌きパッド62(パッド本体71)との間に作用する摩擦力によって送出が規制される。さらに、例えば、複数枚の原稿Pが捌きパッド62を乗り越え、供給ローラー60と捌きローラー61との間に2枚以上の原稿Pが重送された場合、最上位の原稿Pは上述したように供給ローラー60によって送出されるが、捌きローラー61の従動回転はトルクリミッターの作用によって規制される。このように、捌きローラー61の従動回転が停止されるため、最上位以外の原稿Pの送出が防止される。以上のように、分離機構52は、捌きシート65、捌きパッド62および捌きローラー61による3段階の重送防止手段を備えており、2枚以上の原稿Pを適切に分離することができるようになっている。
続いて、上流搬送路40aの下流側に送り出された原稿Pは、レジストローラー対53で斜行が矯正された後、搬送ローラー対54によってコンタクトガラス20上に搬送される。原稿Pは、押圧部材44aによってコンタクトガラス20に軽く押し付けられながら下流搬送路40bに搬送される。コンタクトガラス20と押圧部材44aとの間を通過する際に、原稿P上の画像情報が光学走査ユニット22により読み取られる。
画像情報を読み取られた原稿Pは、読取後ローラー対55および排出ローラー対56の回転によって下流搬送路40bの下流端から排出トレイ32上に排出される。
次に、原稿Pの両面を読み取る場合について説明する。この場合、分岐ガイド49は、複合機1の制御装置(図示せず)によって下方に移動される(図3の二点鎖線参照)。
上述と同様に、自動原稿搬送装置5は、読取開始信号を受信すると供給トレイ30上に積層された原稿束の最上位に位置する原稿Pをピックアップローラー51によって上流搬送路40aに送り出す。続いて、原稿Pは、レジストローラー対53および搬送ローラー対54によってコンタクトガラス20上に搬送され、原稿P上の画像情報が読み取られる。
画像情報を読み取られた原稿Pは、読取後ローラー対55の回転によって反転搬送路40cに送られて、表裏反転される。反転後、スイッチバックローラー対57を逆回転することにより、原稿Pは再び上流搬送路40aに送られる。このとき、分岐ガイド49は、上方に付勢された状態になっている。
以降、原稿Pは、レジストローラー対53および搬送ローラー対54によってコンタクトガラス20上に搬送され、原稿Pの裏面の画像情報が読み取られ、読取後ローラー対55および排出ローラー対56の回転によって排出トレイ32上に排出される。
このような自動原稿搬送装置5では、原稿Pの紙質や原稿搬送部41各ローラーや捌きパッド62の摩耗等の影響により詰まり(ジャム)を生じる場合がある。そこで、第1実施形態に係る自動原稿搬送装置5は、フレーム本体33に対して中間搬送ユニット43および搬送カバーユニット42をそれぞれ開閉可能に設け、原稿搬送路40の途中に詰まった原稿Pの除去作業を容易に行うことができるようになっている。また、捌きパッド62を容易に交換できるようになっている。
すなわち、詰まった原稿Pの除去作業(ジャム処理)は以下のように行われる。まず、ユーザーは、搬送カバーユニット42を回動させる(図2参照)。これにより、読取搬送ユニット44および中間搬送ユニット43上の上流搬送路40aが開放され、ユーザーは、上流搬送路40aに詰まった原稿Pを容易に除去することができる。次に、ユーザーは、搬送カバーユニット42を開放した状態で、中間搬送ユニット43を回動させる。これにより、反転搬送路40cが開放され、ユーザーは、反転搬送路40cに詰まった原稿Pを容易に除去することができる。なお、搬送カバーユニット42の開放規制するロック機構を更に設け、このロック機構を解除するための解除レバーを操作して搬送カバーユニット42を回動させるように構成してもよい。
次に、捌きパッド62の固定および固定解除(交換)について説明する。
まず、ユーザーは、搬送カバーユニット42および中間搬送ユニット43をそれぞれ開放する。なお、この際、搬送カバーユニット42は完全に開放されていることが好ましく、中間搬送ユニット43は完全に開放されていなくてもよい。
捌きパッド62は、パッドホルダー70の前後一対の係合部72を、凹設部58に形成された各被係合部73に合わせて右斜め下方にスライドさせることで取り付けられる(図7(a)参照)。各係合部72と各被係合部73とは、互いに遊びを有した状態で嵌め合わされる。このとき、付勢部64は、凹設部58に形成されたバネ開口59を挿通し、支持フレーム37に当接するようになっている(図4参照)。
この状態で、中間搬送ユニット43を閉鎖(搬送カバーユニット42を完全に閉鎖)すると、付勢部64の下端部は、支持フレーム37に押し付けられる(図4参照)。このため、付勢部64は自身の弾性により撓みながら、パッドホルダー70に対し略上方に向かう付勢力を作用させ(図7(b)の白抜き矢印参照)、上記した遊び分だけパッドホルダー70を反時計回りに回動させる(図7(b)参照)。すると、パッドホルダー70の幅方向両端に形成されたテーパー面70cは、ストッパー部63に押圧(係合)される(図7(b)のA点参照)。これと共に、各係合部72の下端部左側内面は、それぞれ被係合部73(被係合部73と突当り部73aとの間)に押圧される(図7(b)のB点参照)。なお、パッドホルダー70はB点(若しくはその近傍)を中心に回動する。これにより、捌きパッド62(パッドホルダー70)は、ロック位置に移動し、2点(A点およびB点)で支持され固定された状態となる。このように捌きパッド62を固定した状態で上述した原稿Pの分離搬送が行われる。
一方、中間搬送ユニット43を開放(完全に開放する必要はない)すると、付勢部64による付勢力が解除される。これにより、パッドホルダー70は、アンロック位置に移動し、上記した2点(A点およびB点)における押圧が解除される(図7(a)参照)。つまり、捌きパッド62は固定解除された状態となる。このように、捌きパッド62の固定を解除することで、捌きパッド62の交換(取り外し)が行われる(図6参照)。以上のように、付勢部64は、パッドホルダー70の下端部と支持フレーム37との間に設けられ、パッドホルダー70をロック位置とアンロック位置との間で回動させるようになっている。
以上の第1実施形態に係る自動原稿搬送装置5を備えた複合機1や画像読取装置4によれば、捌きパッド62は、中間搬送ユニット43の開放に連動してアンロック位置に移動する。これにより、中間搬送ユニット43を開放するだけで捌きパッド62の交換を容易に行うことができる。また、捌きパッド62は、中間搬送ユニット43の閉鎖に連動してロック位置に移動する。すなわち、捌きパッド62は、付勢部64に付勢されて各ストッパー部63に押圧され、中間搬送ユニット43からの離脱が規制される。これにより、捌きパッド62の位置ずれが防止されるため、精度良く位置決めされた状態を維持することができる。
また、第1実施形態に係る複合機1等によれば、ロック位置に移動された捌きパッド62は、中間搬送ユニット43に対し一定の傾斜姿勢で固定され、パッド本体71は、送出される原稿Pに対し一定の角度で接触(干渉)する。これにより、適切な原稿Pの分離性能を発揮することができ、原稿の重送を有効に防止することができる。また、捌きパッド62がアンロック位置に移動された状態では、捌きパッド62の各係合部72は、各被係合部73に遊びをもった状態で上流搬送路40a側から嵌め合わされている。これにより、ユーザーは、捌きパッド62を上流搬送路40a側に向かって円滑に着脱することができる。すなわち、捌きパッド62の交換を容易且つ迅速に行うことができる。
さらに、第1実施形態に係る自動原稿搬送装置5の付勢部64はパッドホルダー70と一体形成されているため、付勢部64を別部材で形成する必要がなく装置構成を簡素化することができると共に装置の製造コストの低減を図ることができる。
なお、第1実施形態では付勢部64が、パッドホルダー70と一体形成された樹脂材料から構成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図8に示すように、付勢部80として、付勢支持部70b(パッドホルダー70)に上端部が固定されたコイルバネを用いてもよい。この場合、付勢部80(コイルバネ)の下端部は支持フレーム37に当接するようになっている。付勢部80としてコイルバネを用いることにより、安定した付勢力を捌きパッド62に作用させることができる。なお、付勢部80(コイルバネ)は、その下端部が支持フレーム37側に固定され、その上端部が付勢支持部70b(パッドホルダー70)に当接するように設けられていてもよい。この場合、交換される捌きパッド62の構成を簡素化することができると共に低コスト化を図ることができる。
<第2実施形態>
次に、図9を参照して、第2実施形態に係る複合機1について説明する。図9は第2実施形態の分離機構52の一部を示す側断面図である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
第2実施形態に係る自動原稿搬送装置5では、捌きローラー61を供給ローラー60に押圧するためのローラー付勢バネ67を利用して捌きパッド62をアンロック位置に移動させる点が、第1実施形態に係るものと異なっている。ここで、ローラー付勢バネ67の付勢力は、付勢部64(80)の付勢力よりも大きくなるように設定されている。
まず、搬送カバーユニット42(および中間搬送ユニット43)が閉鎖された状態では、捌きローラー61は供給ローラー60に上方から押され、捌きローラー61を軸支するローラーホルダー66は、ロック位置にあるパッドホルダー70の下面から離間(若しくは軽く接触)する位置に移動している(図4参照)。
次に、搬送カバーユニット42が開放されると、捌きローラー61から供給ローラー60が上方に離間し、ローラーホルダー66は、ローラー付勢バネ67の付勢力によってホルダー回動軸部66aを支点として上方に回動する。そして、ローラーホルダー66の右側上端面がパッドホルダー70の下面に押圧され、捌きパッド62が上方に移動する(図9参照)。これにより、上述した2点(A点およびB点)における押圧が解除される。すなわち、搬送カバーユニット42が開放された場合に、ローラー付勢バネ67は、付勢部64(80)の付勢力に抗して、ローラーホルダー66を介して捌きパッド62をアンロック位置に移動させる。なお、ロック位置からアンロック位置への捌きパッド62の移動を円滑に行うために、パッド本体71側(左側)よりも付勢部64側(右側)が重くなるように捌きパッド62を構成してもよい。
以上の第2実施形態に係る複合機1等によれば、中間搬送ユニット43の開閉に関わらず、搬送カバーユニット42のみを開閉することで、捌きパッド62をロック位置とアンロック位置との間で移動させることができる。これにより、搬送カバーユニット42を開放するだけで捌きパッド62を容易且つ迅速に交換することができ、一方、搬送カバーユニット42を閉鎖するだけで捌きパッド62を適切に固定することができる。また、ローラー付勢バネ67を捌きパッド62をアンロック位置に移動させるため構成として兼用することができるため、ローラー付勢バネ67を有効に利用して、捌きパッド62の交換作業を容易に行うことができる。
なお、第1および第2実施形態では、各係合部72が直線状の溝として形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図10(a)に示すように、各係合部81の延在方向略中央に、被係合部73に当接する突起82をそれぞれ設けてもよい。また、例えば、図10(b)に示すように、各係合部83を、側面視でクランク状の溝として形成してもよい。
また、第1および第2実施形態では、中間搬送ユニット43に捌きパッド62を取り付けた状態で、中間搬送ユニット43を閉鎖させると、先ず、付勢部64の下端部が支持フレーム37に接触する。このとき、捌きパッド62は、アンロック位置にあり固定されていないため、捌きパッド62は、上方(左上方向)に移動しようとする。つまり、捌きパッド62が僅かに浮いた状態となる。この状態で、中間搬送ユニット43を閉鎖した場合、パッドホルダー70の各テーパー面70cが、各ストッパー部63に押圧(係合)されない虞がある。そこで、図11に示すように、支持フレーム37の左端部(バネ開口59側)に、上方に向かって突出する係合壁84を設けてもよい。これにより、付勢部64の下端部が係合壁84に引っ掛かるため、アンロック位置にある捌きパッド62が浮いた状態となることを防止することができる。
なお、各実施形態の説明は、本発明に係る自動原稿搬送装置5を備えた複合機1や画像読取装置4における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。さらに、各実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、且つ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した各実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。