JP5931653B2 - 光電変換素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換素子に関する。
AlαInβGa(1−α−β)N(0≦α≦1、0≦β≦1、0≦α+β≦1)の組成式で表わされる窒化物半導体は、その材料系のバンドギャップエネルギが、組成比αおよびβに対応して、約0.7eV〜6.0eVの範囲で変化する。
代表的な窒化物半導体であるGaNのバンドギャップエネルギは約3.4eVであり、InNのバンドギャップエネルギは約0.7eVであり、AlNのバンドギャップエネルギは約6.0eVである。
また、たとえば、InGaNは、GaNとInNとの三元混晶であり、そのInNモル分率(In組成比)を増加させていくと、バンドギャップエネルギが3.4eVから0.7eVまで減少する。
つまり、窒化物半導体の組成を変化させることにより、窒化物半導体に紫外域から赤外域の光に感度を持たせることが可能である。これは、太陽光を有効に吸収することができることを意味しているため、窒化物半導体は、次世代太陽電池の光電変換層の基幹材料として有望視されている。
しかしながら、InGaNは、イオン半径が非常に小さいNに対して、イオン半径が非常に大きいGaおよびIn(イオン半径:N≪Ga<In)で構成されていることから、GaNとInNとが結晶中に均一に分布し難いという問題(非混晶和性)があった。この問題は、InGaNのIn組成比の増加に伴って顕著になる。
また、GaNの格子定数とInNの格子定数とは11%程度異なる(格子不整合性)ことから、InGaNのIn組成比の増加に伴って、InGaNとGaNとの格子不整合率は0〜11%となる。
したがって、InGaNは、非混晶和性と格子不整合性のため、結晶構造の秩序に乱れがない高品質な状態と高In組成比との両立が、極めて難しい。
格子不整合性は、InGaN層とGaN層との積層構造(InGaN層/GaN層)中のInGaN層に大きな圧縮歪を印加する。詳細には、GaN層の(0001)面上に、InGaN層をコヒーレントに成長させると、InGaN層は圧縮歪を受けて、[0001]方向(+c方向)の圧電分極によって、[0001]方向(−c方向)の圧電電界がInGaN層中に形成される。
InGaN層自身は、結合の非対称性から、−c方向に自発分極による自発電界を+c方向に形成するが、上記の圧電電界と自発電界との合成により、−c方向の圧電電界が支配的な内部電界を形成する。
p型伝導性窒化物半導体層とn型伝導性窒化物半導体層との間に設けられた、AlαInβGa(1−α−β)N(0≦α≦1、0≦β≦1、0≦α+β≦1)の組成式で表わされる光電変換層から構成されたpin接合素子において、圧電電界は、光電変換層に発生する内部電界と反対方向のベクトルを有し、電界の大きさも1MV/cm〜2MV/cmと大きくなっている。そのため、圧電電界は、窒化物半導体を用いた光電変換素子にとって短絡電流密度(Jsc)を減少させる傾向にあるため、好ましくない。
たとえば、InGaN層/GaN層のような、異なった格子定数および熱膨張係数を有する異種結晶の積層構造であるヘテロ構造により光電変換層を構成した場合には上記の圧縮歪によって、光電変換層は、歪みエネルギを蓄積する。また、光電変換層の厚さが厚くなるに伴って、ヘテロ構造全体にかかる圧縮歪も増加するため、光電変換層は、大きな歪みエネルギを蓄積することになる。
光電変換層に歪みエネルギが蓄積されていくと、上記の格子不整合性に起因する転位を形成して緩和する。緩和した光電変換層は、転位によりリーク電流が大きくなり、結果として、曲線因子(F.F)を低下させる傾向にあるため、好ましくない。緩和しない限界の膜の厚みは、臨界膜厚と定義される。光電変換層(AlαInβGa(1−α−β)N(0≦α≦1、0≦β≦1、0≦α+β≦1))のβの増加に伴う臨界膜厚の減少、および臨界膜厚への到達時における光電変換層に形成される欠陥とそのメカニズムに関しては、たとえば非特許文献1および非特許文献2で詳細に議論されている。
上記の理由により、Al組成比αおよびIn組成比βが大きい光電変換層の厚膜化は困難である。そこで、光電変換素子においては、InN層/GaN層、InGaN層/GaN層、およびAlGaN層/GaN層などのAl組成比αおよびIn組成比βが異なる組成を組み合わせることによって歪エネルギの蓄積の減少を促した、AlαInβGa(1−α−β)N井戸層/Alα'Inβ'Ga(1−α'−β')N障壁層との多重量子井戸(MQW)構造ないしは単一量子井戸(SQW)構造などのヘテロ構造を光電変換層として用いることが多い。
光電変換層の光吸収により生成したフォトキャリアは、トンネル電流として、p型伝導性窒化物半導体層およびn型伝導性窒化物半導体層を介して、外部に取り出すことができる。
光電変換層における歪みエネルギの蓄積を防止するために、光電変換層の直下に、中間緩衝層(SLS:Strained Layer Superlattice)を挿入することがある。従来のSLSは、光電変換層と同様にヘテロ構造が一般的であり、たとえば、InGaN層/GaN層、またはAlN層/GaN層からなるMQW構造、およびIn組成比の異なるInGaN層/InGaN層からなるMQW構造などが挙げられる。
SLSは、格子不整合によって形成される転位や六角形の逆ピラミッド形状の欠陥(Vピット)の発生を抑制しつつ、光電変換層の歪みエネルギを減少させるため、光電変換層を高品質な膜質にする。SLSの効果とそのメカニズムに関しては、たとえば非特許文献3および非特許文献4で詳細に議論されている。
しかしながら、SLSは、ヘテロ界面において格子不整合による欠陥に起因するリーク電流が発生することがあり、シャント抵抗(Rsh)が小さくなることは避けられず、また、障壁層の厚さがシリーズ抵抗(Rs)を大きくするため、結果として、光電変換素子のF.Fが低くなる。
非特許文献5には、In組成比を順次増加させたInGaN層/GaN層からなる発光素子用変調ドープSLS層が開示されているが、井戸層となるInGaN層だけでも200nmの厚さを有しており、InGaN層自身に歪みエネルギを蓄積しているため、InGaN層の表面は荒れていることが予想される。これは、非特許文献3によると、InGaN層に歪みエネルギが蓄積されると、歪みエネルギを緩和するために、InGaN層の表面粗さが増加することによるものである。
M.Ueda et al., "Polarization switching phenomena in semipolar InxGa1-xN/GaN quantum well active layers", PHYSICAL REVIEW B 78, 233303 (2008) Rong LIU et al., "Misfit Dislocation Generation in InGaN Epilayers on Free-Standing GaN", Japanese Journal of Applied Physics, Vol.45, No.22, 2006, pp.L549-L551 Toru Sugiyama et al., "Microstructures of GaInN/GaInN Superlattices on GaN Substrates", Applied Physics Express 4 (2011) 015701 S.Mahanty, "V-shaped defects in InGaN/GaN multiquantum wells", Materials Letters 41 (1999) 67-71 T.L. Song et al., "Strain relaxation in graded InGaN/GaN epilayers grown on sapphire", APPLIED PHYSICS LETTERS, VOLUME 83, NUMBER 8, 25 AUGUST 2003, pp. 1545-1547
しかしながら、非特許文献5に記載の変調ドープSLS層を光電変換素子に適用した場合には、InGaN層の表面粗さの増加によるRshの減少と、InGaN井戸層自身の厚さによるRsの増加とによって、光電変換素子のF.Fが低くなることが示唆される。
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、少なくともF.Fの高い光電変換素子を提供することにある。
本発明の第1の態様によれば、基板と、基板上に設けられた第1の伝導性窒化物半導体層と、第1導電型窒化物半導体層上に設けられたAlxInyGa(1-x-y)N(0≦x<1、0<y<1、0<x+y≦1)の式で表わされる窒化物半導体からなる光電変換層と、光電変換層上に設けられた第2の伝導性窒化物半導体層とを備え、第1の伝導性窒化物半導体層と光電変換層との間に、AlaInbGa(1-a-b)N(0≦a<0.04、0≦b≦0.1、0<a+b≦1、b<y)の式で表わされる窒化物半導体からなる中間緩衝層をさらに備え、中間緩衝層は光電変換層と接しており、中間緩衝層は光電変換層に向かって中間緩衝層の厚さ方向に中間緩衝層のIn組成比bが増加する領域を有しており、In組成比bは中間緩衝層と光電変換層との界面から深さ6%の領域内で最大値を有し、In組成比bが最大値を有する地点から中間緩衝層と光電変換層との界面までの領域においてはIn組成比bがAl組成比aよりも小さくなる光電変換素子を提供することができる。
ここで、本発明の第1の態様の光電変換素子において、中間緩衝層の厚さは50nm以上200nm以下であって、中間緩衝層の光電変換層側の表面の表面粗さRMSは2nm以上4nm以下であることが好ましい。
また、本発明の第1の態様の光電変換素子において、基板の第1の伝導性窒化物半導体層側とは反対側の表面に光反射層をさらに備え、光反射層の厚さは10nm以上1000nm以下であることが好ましい。
さらに、本発明の第2の態様によれば、基板と、基板上に設けられた第1のサブセルと、第1のサブセル上に設けられた第2のサブセルと、を備え、第1のサブセルは、基板上に設けられた第1の伝導性窒化物半導体層と、第1の伝導性窒化物半導体層上に設けられたAlxInyGa(1-x-y)N(0≦x<1、0<y<1、0<x+y≦1)の式で表わされる窒化物半導体からなる光電変換層と、光電変換層上に設けられた第2の伝導性窒化物半導体層とを有し、第2のサブセルは、第2の伝導性窒化物半導体層上に設けられた第3の伝導性窒化物半導体層と、第3の伝導性窒化物半導体層上に設けられたAlmInnGa(1-m-n)N(0≦m<1、0<n<1、0<m+n≦1、n<y)の式で表わされる窒化物半導体からなる第2の光電変換層と、第2の光電変換層上に設けられた第4の伝導性窒化物半導体層とを有しており、第1のサブセルと第2のサブセルとの間に、AlaInbGa(1-a-b)N(0≦a<0.04、0≦b≦0.1、0<a+b≦1、b<n<y)の式で表わされる窒化物半導体からなる中間緩衝層をさらに備え、中間緩衝層は第3の伝導性窒化物半導体層と接しており、中間緩衝層は第3の伝導性窒化物半導体層に向かって中間緩衝層の厚さ方向に中間緩衝層のIn組成比bが増加する領域を有しており、中間緩衝層のIn組成比bは中間緩衝層と第3の伝導性窒化物半導体層との界面から深さ6%の領域内で最大値を有し、In組成比bが最大値を有する地点から中間緩衝層と第3の伝導性窒化物半導体層との界面までの領域においてはIn組成比bがAl組成比aよりも小さくなる光電変換素子を提供することができる。
ここで、本発明の第2の態様の光電変換素子において、中間緩衝層の厚さは50nm以上200nm以下であって、中間緩衝層の光電変換層側の表面の表面粗さRMSは2nm以上4nm以下であることが好ましい。
また、本発明の第2の態様の光電変換素子において、基板の第1の伝導性窒化物半導体層側とは反対側の表面に光反射層をさらに備え、光反射層の厚さは10nm以上1000nm以下であることが好ましい。
本発明によれば、少なくともF.Fの高い光電変換素子を提供することができる。
実施の形態1の光電変換素子の模式的な断面図である。 実施の形態1の光電変換素子の中間緩衝層の近傍の模式的な拡大断面図である。 実施の形態1の光電変換素子の中間緩衝層の深さとIn組成比bとの関係を示す図である。 (a)は中間緩衝層のIn組成比bがb≦0.1の式を満たすときの中間緩衝層の蛍光顕微鏡像であり、(b)は中間緩衝層のIn組成比bがb>0.1の式を満たすときの中間緩衝層の蛍光顕微鏡像である。 光電変換素子のPL発光強度スペクトルを示す図である。 (a)は、中間緩衝層のIn組成比bが最大値を有する地点から中間緩衝層と光電変換層との界面までの領域の組成が、AlaInbGa(1-a-b)N(0≦b<a、0≦a<0.04、b=0)の式を満たす中間緩衝層の表面のAFM像であり、(b)は、中間緩衝層のIn組成比bが最大値を有する地点から中間緩衝層と光電変換層との界面までの領域の組成が、AlaInbGa(1-a-b)N(0≦b<a、0≦a<0.04、b>0)の式を満たす中間緩衝層の表面のAFM像である。 (a)は、中間緩衝層と光電変換層との界面から中間緩衝層の厚さ方向に190nmの領域において、AlaInbGa(1-a-b)N(0≦a<0.04、0≦b≦0.1、0<a+b≦1、b<y)の式を満たしながらIn組成比bを増加させたときの中間緩衝層の深さ方向におけるオージェ電子分光法によるAl組成(原子%)分布であり、(b)は、0.04≦aとしたこと以外は同様にして作製した中間緩衝層の深さ方向におけるオージェ電子分光法によるAl組成(原子%)分布である。 実施の形態1の光電変換素子の中間緩衝層の厚さを、50nm、200nmおよび300nmに変化させたときのPL発光強度スペクトルを示す図である。 (a)〜(g)は、実施の形態1の光電変換素子の製造方法の一例について図解する模式的な断面図である。 実施の形態2の光電変換素子の模式的な断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
<実施の形態1>
図1に、本発明の光電変換素子の一例である実施の形態1の光電変換素子の模式的な断面図を示す。実施の形態1の光電変換素子は、基板11と、基板11上に設けられた第1の伝導性窒化物半導体層16と、第1の伝導性窒化物半導体層16上に設けられた中間緩衝層17と、中間緩衝層17上に設けられた光電変換層15と、光電変換層15上に設けられた第2の伝導性窒化物半導体層14と、第2の伝導性窒化物半導体層14上に設けられた導電層13とを備えている。
第1の伝導性窒化物半導体層16の表面上には第1の伝導性用パッド電極19が設けられており、導電層13の表面上には第2の伝導性用パッド電極18が設けられている。また、基板11の第1の伝導性窒化物半導体層16側とは反対側の裏面には、光反射層12が設けられている。
基板11は、特に限定されないが、基板11上に設けられる第1の伝導性窒化物半導体層16との格子不整合率をできるだけ小さくする観点からは、Alp1Inq1Gar1N(0≦p1≦1、0≦q1≦1、0≦r1≦1、p1+q1+r1≠0)の式で表わされる窒化物半導体基板を用いることが好ましい。また、基板11としては、たとえば、GaP、GaAs、NdGaO3、LiGaO2、Al23(サファイア)、MgAl24、ZnO、Si、SiC、SiGe、またはZrB2の式で表される材料を少なくとも表面に有する基板を用いることもできる。また、基板11上に積層される窒化物半導体層の結晶性を改善するため、基板11の表面に周期的な凹凸を設けることもできる。
第1の伝導性窒化物半導体層16としては、たとえば、Alp2Inq2Gar2N(0≦p2≦1、0≦q2≦1、0≦r2≦1、p2+q2+r2≠0)の式で表される窒化物半導体にn型ドーパントおよび/またはp型ドーパントをドープしてn型またはp型の伝導性を持たせたものなどを用いることができる。n型ドーパントとしては、たとえば、シリコンなどを用いることができ、p型ドーパントとしては、たとえば、マグネシウムなどを用いることができる。第1の伝導性窒化物半導体層16は、単層または複数層のいずれであってもよい。
光電変換層15としては、AlxInyGa(1-x-y)N(0≦x<1、0<y<1、0<x+y≦1)の式で表わされる窒化物半導体からなる層が用いられる。また、光電変換層15には、n型ドーパントおよび/またはp型ドーパントをドープしてn型またはp型の伝導性を持たせてもよく、n型ドーパントおよびp型ドーパントをドープせずにn型およびp型の伝導性を持たせなくてもよい。光電変換層15は、AlxInyGa(1-x-y)N(0≦x<1、0<y<1、0<x+y≦1)の式で表わされる窒化物半導体からなる限り、単層または複数層のいずれであってもよい。
第2の伝導性窒化物半導体層14としては、たとえば、Alp3Inq3Gar3N(0≦p3≦1、0≦q3≦1、0≦r3≦1、p3+q3+r3≠0)の式で表される窒化物半導体にn型ドーパントおよび/またはp型ドーパントをドープしてn型またはp型の伝導性を持たせたものなどを用いることができる。n型ドーパントとしては、たとえば、シリコンなどを用いることができ、p型ドーパントとしては、たとえば、マグネシウムなどを用いることができる。第2の伝導性窒化物半導体層14は、単層または複数層のいずれであってもよい。
なお、第1の伝導性窒化物半導体層16と、第2の伝導性窒化物半導体層14とは、異なる伝導性を有している必要がある。すなわち、第1の伝導性窒化物半導体層16がn型の伝導性を有する場合には第2の伝導性窒化物半導体層14はp型の伝導性を有している必要があり、第1の伝導性窒化物半導体層16がp型の伝導性を有する場合には第2の伝導性窒化物半導体層14はn型の伝導性を有している必要がある。そのため、第1の伝導性窒化物半導体層16および第2の伝導性窒化物半導体層14がそれぞれ複数層からなる場合には、第1の伝導性窒化物半導体層16の全体および第2の伝導性窒化物半導体層14の全体が、それぞれ、第1の伝導性および第2の伝導性を有していればよい。
導電層13としては、導電性を有する材料を用いることができ、導電層13側から光を入射させる場合には入射光を透過させることができる材料を用いることが好ましい。なかでも、導電層13としては、Zn、In、SnおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種を含む単層、または単層を複数積層した複数層を用いることが好ましい。この場合には、導電層13を透過する透過光量を増大することができる傾向にある。なお、導電層13は設けなくてもよく、導電層13を設けなかった場合には、第2の伝導性窒化物半導体層14の表面上に第2の伝導性用パッド電極18を直接設けてもよい。
なお、Znを含む単層としては、たとえば、ZnOにAlがドープされたAZO、ZnOにGaがドープされたGZO、またはZnOにMgがドープされたMZOなどが挙げられる。また、Inを含む単層およびSnを含む単層としては、たとえば、InとSnの複合酸化物であるITO(Indium Tin Oxide)などが挙げられる。また、Mgを含む単層としては、たとえば、CがドープされたMg(OH)2などが挙げられる。また、たとえば、Al濃度の異なるZnOターゲットを用いて、厚さ方向にAl濃度の異なるAZO膜を形成してもよく、GZOとITOなどを積層させて形成してもよい。
また、図1に示すように、基板11の裏面に光反射層12を設けた場合には、光反射層12によって基板11側から入射してきた光の少なくとも一部を光電変換層15側に反射させることができ、光電変換層15で発生するフォトキャリアの量を増加させることができるため、実施の形態1の光電変換素子の短絡電流密度を高くすることができる。また、光反射層12は、基板11の表面上に設けられる窒化物半導体層(第1の伝導性窒化物半導体層16、中間緩衝層17、光電変換層15および第2の伝導性窒化物半導体層14)の外に設けられるため、シャント抵抗(Rsh)および直列抵抗(Rs)のいずれの抵抗成分にならず、実施の形態1の光電変換素子のF.Fの低下にはつながらない。したがって、以上の理由により、基板11の裏面に光反射層12を設けることは、実施の形態1の光電変換素子にとって非常に好ましい。
光反射層12としては、たとえば、基板11側から入射してきた光の少なくとも一部を光電変換層15側に反射させる機能を有する層であれば特に限定されず、たとえば、Al、Au、Ni、TiおよびPtからなる群から選択された少なくとも1種の材料からなる単層、または単層を積層した複数層などを用いることができる。なかでも、光反射層12としては、入手が容易で、かつ高い反射率を有するAlおよびAgの少なくとも一方を含むものであることが好ましく、0.5μm以下の短波長領域の光に対して感度が高い実施の形態1の光電変換素子においては、特に短波長領域の光に対して反射率が高いAgであることがより好ましい。
光反射層12の厚さt2は、基板11からの光反射層12の剥離を抑止する観点から、10nm以上1000nm以下であることが好ましい。
第1の伝導性用パッド電極19および第2の伝導性用パッド電極18は、特に限定されず、たとえば、Ni膜、Pt膜およびAu膜をこの順に蒸着法によって積層した電極などを用いることができる。
実施の形態1の光電変換素子は、図1に示すように、第1の伝導性窒化物半導体層16と光電変換層15との間に、少なくとも光電変換層15に接するようにしてAlaInbGa(1-a-b)N(0≦a<0.04、0≦b≦0.1、0<a+b≦1、b<y)の式で表わされる窒化物半導体からなる中間緩衝層17を備えている。
ここで、中間緩衝層17は、光電変換層15に向かって中間緩衝層17の厚さ方向に中間緩衝層17のIn組成比bが増加する領域を有しており、中間緩衝層17のIn組成比bは、中間緩衝層17と光電変換層15との界面から深さ6%の領域内で最大値を有している。そして、中間緩衝層17のIn組成比bが最大値を有する地点から中間緩衝層17と光電変換層15との界面までの領域において、中間緩衝層17のIn組成比bが、中間緩衝層17のAl組成比aよりも小さくなっている。
図2に、実施の形態1の光電変換素子の中間緩衝層17の近傍の模式的な拡大断面図を示す。図2に示すように、中間緩衝層17は、中間緩衝層17と光電変換層15との界面21から深さ6%の領域17aと、中間緩衝層17と光電変換層15との界面21から深さ6%よりも深い領域17bとを有している。領域17aは、界面21から領域17bまでの中間緩衝層17の厚さ方向の領域であり、領域17bは、領域17aから第1の伝導性窒化物半導体層16と中間緩衝層17との界面22までの中間緩衝層17の厚さ方向の領域である。
図3に、実施の形態1の光電変換素子の中間緩衝層17の深さとIn組成比bとの関係を示す。図3に示すように、まず、中間緩衝層17と光電変換層15との界面21から深さ6%よりも深い領域17bにおいては、第1の伝導性窒化物半導体層16と中間緩衝層17との界面22から、中間緩衝層17のIn組成比bは増加している。
ここで、領域17bにおける中間緩衝層17のIn組成比bの増加は、図3の(a)に示すような直線状であってもよく、(b)に示すような階段状であってもよく、(c)および(d)に示すような曲線状であってもよい。
そして、中間緩衝層17と光電変換層15との界面21から深さ6%の領域17a内においては、中間緩衝層17のIn組成比bが最大値を有する地点が存在する。なお、図3は、領域17aと領域17bとの界面に、中間緩衝層17のIn組成比bが最大値を有する地点が存在する場合を示しているが、中間緩衝層17のIn組成比bが最大値を有する地点は、領域17a内(領域17aと領域17bとの界面から界面21までの中間緩衝層17の厚さ方向の領域内)に存在していればよい。
その後、中間緩衝層17のIn組成比bは、In組成比bが最大値を有する地点から中間緩衝層17と光電変換層15との界面21までの領域において、中間緩衝層17のAl組成比aよりも小さくなっている。たとえば、中間緩衝層17のIn組成比bは、In組成比bが最大値を有する地点から界面21までの領域において、図3の(e)に示すような直線状に減少してもよく、(f)に示すような階段状に減少してもよく、(g)および(h)に示すような曲線状に減少してもよい。なお、中間緩衝層17のIn組成比bは、In組成比bが最大値を有する地点から界面21までの領域においてAl組成比aよりも小さくなっていればよいため、In組成比bが最大値を有する地点から界面21までの領域におけるIn組成比bの増減は特に限定されない。
なお、本明細書において、「深さ」は、中間緩衝層17の厚さ(全厚)に対する、中間緩衝層17と中間緩衝層17の光入射側に位置する層との界面から方向への距離の比率(%)であり、中間緩衝層17と中間緩衝層17の光入射側に位置する層との界面の地点を深さ0%とし、中間緩衝層17と中間緩衝層17の光入射側とは反対側に位置する層との界面の地点を深さ100%と仮定したときの中間緩衝層17の厚さ方向の位置を表わしている。たとえば、中間緩衝層17の厚さを200nmとしたとき、中間緩衝層17と光電変換層15との界面21から深さ6%の領域17aは、当該界面21から界面22方向に12nmの距離を有する地点までの中間緩衝層17の領域である。
以下、中間緩衝層17の厚さが200nmである構成を例にとり、中間緩衝層17のIn組成比bの変化の一例について説明する。まず、中間緩衝層17は、AlaInbGa(1-a-b)N(0≦a<0.04、0≦b≦0.1、0<a+b≦1、b<y)の式を満たしつつ、第1の伝導性窒化物半導体層16と中間緩衝層17との界面22から中間緩衝層17の厚さ方向に190nmの領域においてはIn組成比bを増加させていき、In組成比bが最大値を取り、その後、残る10nmの領域においては、中間緩衝層17のIn組成比bが、Al組成比aと、0≦b<a<0.04の式を満たす組成とする。
なお、上記の例において、残る10nmの領域においては、中間緩衝層17のAl組成比aとIn組成比bとの関係が0≦b<a<0.04の式を満たすようにすれば、Al組成比aおよびIn組成比bの増加または減少の傾きは限定されない。
その理由として、中間緩衝層17のIn組成比bがb≦0.1の式を満たすときには、図4(a)に示す蛍光顕微鏡像に示されるように、均一な発光が見られるため、中間緩衝層17が良好な結晶性を有すると考えられることが挙げられる。なお、図4(a)に示す中間緩衝層17の表面のピット密度は6×108/cm2であった。
また、中間緩衝層17のIn組成比bがb>0.1の式を満たすときには、図4(b)に示す蛍光顕微鏡像に示されるように、不均一な発光が見られるため、GaNとInNの非混晶和性によって、中間緩衝層17が良好な結晶性を有さないと考えられる。また、図4(b)に示す中間緩衝層17の表面のピット密度も直ちに1×109/cm2となる傾向にあり、光電変換素子のF.Fと開放電圧(Voc)を下げるため、好ましくない。
図5に、光電変換素子のPL発光強度スペクトルを示す。図5の(a)のスペクトルがIn組成比bがb≦0.1の式を満たす(b=0.08)中間緩衝層17を有する図1に示す構成の実施の形態1の光電変換素子のPL(Photoluminescence)発光強度スペクトルであり、図5の(b)のスペクトルが、In組成比bがb>0.1の式を満たす(b=0.11)中間緩衝層を用いたこと以外は実施の形態1の光電変換素子と同一の構成とした比較例の光電変換素子のPL発光強度スペクトルである。
図5の(a)と(b)のPL発光強度スペクトルを比較すると明らかなように、In組成比bがb>0.1の式を満たす中間緩衝層を有する比較例の光電変換素子と比較して、In組成比bがb≦0.1の式を満たす中間緩衝層17を有する実施の形態1の光電変換素子の方がPL発光強度が高くなっている。そのため、実施の形態1の光電変換素子の光電変換層15は、比較例の光電変換素子の光電変換層と比較して、優れた結晶性を有している。したがって、In組成比bがb≦0.1の式を満たす中間緩衝層17を有することは、光電変換素子にとって、大変好ましいと考えられる。
また、図5の(A)および(B)のピーク(ダブルピーク)が、中間緩衝層に対応するピークである。中間緩衝層に対応するピークがダブルピークとなる理由は、中間緩衝層には低In組成比領域と高In組成比領域とが存在するためであり、(A)が低In組成比領域に対応するピークであり、(B)が高In組成比領域に対応するピークである。
なお、中間緩衝層を構成するInの材料ガスであるトリメチルインジウム(TMI)は、中間緩衝層の結晶成長過程において、成長温度で蒸発することから、中間緩衝層のIn組成は、一般的に成長方向に向かって高くなる傾向がある。したがって、図2および図3に示される中間緩衝層17と光電変換層15との界面21から深さ6%の領域17aにおいては、実際の測定では、In組成比が高くなることが予測される。そのため、図5の(B)のピークは、TMIの蒸発により、高In組成比領域が形成されたことを示すものと考えられる。
中間緩衝層17のIn組成比bが最大値を有する地点から中間緩衝層17と光電変換層15との界面21までの領域の組成が、AlaInbGa(1-a-b)N(0≦b<a、0≦a<0.04)の式で表わされる組成であって、In組成比bがAl組成比aよりも小さいときには、当該中間緩衝層17の領域のAl組成比aが大きくなる。そのため、当該中間緩衝層17の領域の絶対屈折率は、光電変換層15の絶対屈折率よりも小さくなる。
これは、図1に示すように、第2の伝導性窒化物半導体層14側を光入射側として、光20を入射したときに、光電変換層15で吸収されずに透過した光の一部が、スネルの法則により、光電変換層15と中間緩衝層17との界面21で反射される。この反射光は、再び、光電変換層15で吸収され、光電変換層15におけるフォトキャリアの生成量を増加させる(光閉じ込め効果)。これにより、実施の形態1の窒化物半導体層太陽電池セルの短絡電流密度が増加するため、大変好ましい。
図6(a)に、中間緩衝層17のIn組成比bが最大値を有する地点から中間緩衝層17と光電変換層15との界面21までの領域の組成がAlaInbGa(1-a-b)N(0≦b<a、0≦a<0.04、b=0)の式を満たす中間緩衝層17の表面のAFM(Atomic Force Microscope)像を示し、図6(b)に、中間緩衝層17のIn組成比bが最大値を有する地点から中間緩衝層17と光電変換層15との界面21までの領域の組成がAlaInbGa(1-a-b)N(0≦b<a、0≦a<0.04、b>0)の式を満たす中間緩衝層17の表面のAFM像を示す。
図6(a)と図6(b)のAFM像の比較から明らかなように、中間緩衝層17のIn組成比bが最大値を有する地点から中間緩衝層17と光電変換層15との界面21までの領域の組成が、AlaInbGa(1-a-b)N(0≦b<a、0≦a<0.04、b=0)の式を満たす図6(a)に示す中間緩衝層17の表面の平坦性は、図6(b)に示す中間緩衝層17と比較して、向上していることがわかる。図6(a)に示す中間緩衝層17の優れた表面の平坦性は、中間緩衝層17を下地として光電変換層15を形成した際に、光電変換層15を、結晶構造の秩序に乱れが少ない高品質の結晶状態とする点で好ましい。そして、図6(a)に示す中間緩衝層17の光電変換層15側となる表面の表面平坦性を表面粗さRMS(平均二乗誤差)によって評価したところ、複数の測定点で、2nm以上4nm以下であることが確認された。一方、図6(b)に示す中間緩衝層17の表面の表面平坦性を表面粗さRMSによって評価したところ、複数の測定点で、3nm以下であることが確認された。
また、図6(a)に示す中間緩衝層17の光電変換層15側となる表面のピット密度は2×108/cm2であり、図4(a)および図6(b)の中間緩衝層17の光電変換層15側となる表面のピット密度である6×108/cm2を下回っていた。この観点からも、図6(a)に示す中間緩衝層17は、光電変換層15の結晶性を向上させる効果があると考えられる。
以上のように、中間緩衝層17の光電変換層15側となる表面の表面粗さRMSが2nm以上4nm以下である場合には、中間緩衝層17の当該表面におけるピットなどの欠陥が減少して、中間緩衝層17の当該表面上に形成される光電変換層15の結晶品質を向上させることができるため、実施の形態1の窒化物半導体層太陽電池セルの短絡電流密度、開放電圧およびF.Fを向上させることができる。
なお、中間緩衝層17の光電変換層15側となる表面の表面粗さRMSは、中間緩衝層17の光電変換層15側となる表面における1辺5μmの任意の正方形の領域を原子間力顕微鏡を用いて測定することにより算出することができる。
図7(a)に、上記の中間緩衝層17の厚さが200nmである構成の例について、界面22から中間緩衝層17の厚さ方向に190nmの領域において、AlaInbGa(1-a-b)N(0≦a<0.04、0≦b≦0.1、0<a+b≦1、b<y)の式を満たしながらIn組成比bを増加させたときの中間緩衝層17の深さ方向におけるオージェ電子分光法によるAl組成(原子%)分布を示す。また、図7(b)に、0.04≦aとしたこと以外は、上記と同様にして作製した中間緩衝層17の深さ方向におけるオージェ電子分光法によるAl組成(原子%)分布を示す。
なお、図7(a)および図7(b)の横軸は、中間緩衝層17の深さ(nm)を示しており、図7(a)および図7(b)の横軸の深さ(nm)の数値が0の箇所は、中間緩衝層17と光電変換層15との界面21を意味している。そして、図7(a)および図7(b)の横軸の深さ(nm)の数値が増加するにつれて、界面21から離れて、第1の伝導性窒化物半導体層16と中間緩衝層17との界面22側に進行した位置であることを意味している。
図7(a)に示すように、a<0.04としたときには何のピークも現れていなかったが、図7(b)に示すように、0.04≦aとしたときには、図7(b)の矢印でしめされるピークが現れた。この図7(b)のピークは、偏析したAlに対応するピークであった。このAlの偏析は、Alの材料ガスであるトリメチルアルミニウム(TMA)の凝集エネルギが大きいため、成長温度が高い程TMAが分解されて、Al組成比が大きくなる傾向にあることに起因するものと考えられる。
すなわち、0.04≦aである場合には、中間緩衝層17の結晶成長時の加熱により、中間緩衝層17と光電変換層15との界面21から深さ6%近傍の領域でAlが偏析するために、この領域でAl組成比aが大きくなる。一方、In組成比bが最大値を有する地点から中間緩衝層17と光電変換層15との界面21までの領域においてAl組成比aが小さくなる。このような現象は、中間緩衝層17の厚さが50nmであるときも観察されており、中間緩衝層17と光電変換層15との界面21から深さ6%近傍の領域でAlの偏析が発生していた。
したがって、0.04≦aとしたときには、中間緩衝層17のAl組成比aの局所的な増大が、中間緩衝層17と光電変換層15との界面21から深さ6%近傍の領域で観察された。そのため、中間緩衝層17自体の結晶性だけでなく、中間緩衝層17上に形成される光電変換層15の結晶性も高品質ではないと推測される。
以上の理由により、光電変換素子の短絡電流密度とF.Fの低下を防止する観点からは、中間緩衝層17のAl組成比aは、0≦a<0.04の関係を満たすことが必要である。
また、図1に示す中間緩衝層17の厚さt1は、50nm以上200nm以下であることが好ましい。中間緩衝層17の厚さt1が50nm以上200nm以下である場合には光電変換層15の結晶性が良好となるため、実施の形態1の光電変換素子の短絡電流密度およびF.Fが高くなる。
図8に、実施の形態1の光電変換素子の中間緩衝層17の厚さt1を、50nm、200nmおよび300nmに変化させたときのPL発光強度スペクトルを示す。図8の(a)、(b)および(c)のPL発光強度スペクトルが、それぞれ、中間緩衝層17の厚さt1が50nm、200nmおよび300nmであるときの光電変換素子のPL発光強度スペクトルを示している。
図8の(a)、(b)および(c)のPL発光強度スペクトルを比較すれば明らかなように、図8の(b)の中間緩衝層17の厚さt1が200nmであるときのPL発光強度スペクトルが最も高く、続いて、図8の(a)の50nm、および図8の(c)の300nmの順に高かった。すなわち、中間緩衝層17の厚さt1が、200nm、50nmおよび300nmの順に中間緩衝層17の結晶性が良好であり、中間緩衝層17上に形成される光電変換層15の結晶性もこの順に高くなると考えられる。中間緩衝層17の厚さt1が300nmであるときの光電変換素子のPL発光強度スペクトルは小さく、光電変換層15の結晶性が良好とはならないおそれがある。そのため、中間緩衝層17の厚さt1は、50nm以上200nm以下であることが好ましい。
以下、図9(a)〜図9(g)の模式的断面図を参照して、実施の形態1の光電変換素子の製造方法の一例について説明する。まず、図9(a)に示すように、基板11上に第1の伝導性窒化物半導体層16を積層する。
第1の伝導性窒化物半導体層16の積層方法は特に限定されないが、たとえばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法などの気相成長法によって積層することができる。
第1の伝導性窒化物半導体層16の厚さは、特に限定されないが、第1の伝導性窒化物半導体層16がn型の伝導性を有する場合には、第1の伝導性窒化物半導体層16の厚さは、たとえば0.1μm以上4μm以下とすることができ、第1の伝導性窒化物半導体層16がp型の伝導性を有する場合には、第1の伝導性窒化物半導体層16の厚さは、たとえば50nm以上200nm以下とすることができる。
次に、図9(b)に示すように、第1の伝導性窒化物半導体層16上に中間緩衝層17を積層する。中間緩衝層17の積層方法は、特に限定されないが、たとえばMOCVD法などの気相成長法によって積層することができる。
なお、中間緩衝層17は、上述のように、まず、第1の伝導性窒化物半導体層16から光電変換層15に向かって中間緩衝層17の厚さ方向に中間緩衝層17のIn組成比を増加させるとともに、中間緩衝層17と光電変換層15との界面21から深さ6%の領域17a内でIn組成比が最大値を有するように結晶成長させ、その後、In組成比が最大値を有する地点から中間緩衝層と光電変換層との界面までの領域においてはIn組成比がAl組成比よりも小さくなるように結晶成長させられる。
中間緩衝層17の厚さは、特に限定されないが、上述のように、50nm以上200nm以下であることが好ましい。
次に、図9(c)に示すように、中間緩衝層17上に光電変換層15を積層する。光電変換層15の積層方法は、特に限定されないが、たとえばMOCVD法などの気相成長法によって積層することができる。光電変換層15は、井戸層を1層のみ有する単一量子井戸(SQW:Single Quantum Well)構造、または井戸層を複数含む多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)構造のいずれであってもよい。
光電変換層15の厚さは、特に限定されないが、たとえば50nm以上200nm以下とすることができる。
次に、図9(d)に示すように、光電変換層15上に第2の伝導性窒化物半導体層14を積層する。第2の伝導性窒化物半導体層14の積層方法は、特に限定されないが、たとえばMOCVD法などの気相成長法によって積層することができる。
第2の伝導性窒化物半導体層14の厚さは、特に限定されないが、たとえば50nm以上200nm以下とすることができる。
次に、図9(e)に示すように、第2の伝導性窒化物半導体層14上に導電層13を積層する。導電層13の積層方法は、特に限定されないが、たとえば、マグネトロンスパッタ法などのスパッタ法、真空蒸着法、またはイオンプレーティング法などの方法を用いることができる。
導電層13の厚さは特に限定されず、適宜設定することができる。また、上述したように、導電層13は積層しなくてもよい。
次に、図9(f)に示すように、基板11の裏面上に光反射層12を積層する。光反射層12の積層方法は、特に限定されないが、たとえば、マグネトロンスパッタ法などのスパッタ法、真空蒸着法、またはイオンプレーティング法などの方法を用いることができる。
光反射層12の厚さは、特に限定されないが、上述したように、基板11からの光反射層12の剥離を抑止する観点から、10nm以上1000nm以下であることが好ましい。
次に、図9(g)に示すように、導電層13、第2の伝導性窒化物半導体層14、光電変換層15および中間緩衝層17のそれぞれの一部を除去することによって、第1の伝導性窒化物半導体層16の表面の一部を露出させる。
第1の伝導性窒化物半導体層16の表面の一部を露出させる方法は特に限定されないが、たとえば、導電層13の表面上に、上記の除去部分に相当する箇所に開口部を有するマスクをフォトリソグラフィ技術により設置し、当該開口部の下方の導電層13、第2の伝導性窒化物半導体層14、光電変換層15および中間緩衝層17をエッチングにより除去することによって行なうことができる。
その後、マスクを除去し、図1に示すように、第1の伝導性窒化物半導体層16の表面上に第1の伝導性用パッド電極19を設けるとともに、導電層13の表面上に第2の伝導性用パッド電極18を設けることによって、実施の形態1の光電変換素子を製造することができる。
上記のようにして製造された実施の形態1の光電変換素子は、第1の伝導性窒化物半導体層16と光電変換層15との間に、少なくとも光電変換層15に接するようにしてAlaInbGa(1-a-b)N(0≦a<0.04、0≦b≦0.1、0<a+b≦1、b<y)の式で表わされる窒化物半導体からなる中間緩衝層17を備えている。そして、中間緩衝層17は、光電変換層15に向かって中間緩衝層17の厚さ方向に中間緩衝層17のIn組成比bが増加する領域を有しており、中間緩衝層17のIn組成比bは、中間緩衝層17と光電変換層15との界面から深さ6%の領域内で最大値を有している。さらに、中間緩衝層17のIn組成比bが最大値を有する地点から中間緩衝層17と光電変換層15との界面までの領域において中間緩衝層17のIn組成比bが、中間緩衝層17のAl組成比aよりも小さくなっている。
実施の形態1の光電変換素子は、上記の構成を有する中間緩衝層17を備えているため、少なくともF.Fの高い光電変換素子となる。
なお、上記において、基板11と第1の伝導性窒化物半導体層16との間に、基板11と第1の伝導性窒化物半導体層16との格子不整合を緩和するためのバッファ層を備えていてもよい。また、第2の伝導性窒化物半導体層14がp型の伝導性を有する場合には、第2の伝導性窒化物半導体層14と導電層13との間に導電層13とオーミックコンタクトを構成するp型窒化物半導体からなるコンタクト層を備えていてもよい。なお、バッファ層およびコンタクト層を構成する半導体材料については特に制限されず、窒化物半導体以外の半導体材料から構成されてもよい。
また、1つの光電変換素子の第2の伝導性用パッド電極18と他の光電変換素子の第1の伝導性用パッド電極19とを電気的に接続して窒化物半導体太陽電池モジュールを形成してもよい。また、導電層13の表面13a上に第2の伝導性用パッド電極18を形成しない場合には、1つの光電変換素子の導電層13と他の光電変換素子の第1の伝導性用パッド電極19とを電気的に接続して窒化物半導体太陽電池モジュールを形成してもよい。
<実施の形態2>
図10に、本発明の光電変換素子の他の一例である実施の形態2の光電変換素子の模式的な断面図を示す。実施の形態2の光電変換素子は、タンデム型の光電変換素子となっている点に特徴がある。
図10に示すように、実施の形態2の光電変換素子は、基板11と、基板11上に設けられた第1のサブセル30と、第1のサブセル30上に設けられた中間緩衝層17と、中間緩衝層17上に設けられた第2のサブセル40と、第2のサブセル40上に設けられた導電層13とを備えている。
第1のサブセル30は、基板11上に設けられた第1の伝導性窒化物半導体層16と、第1の伝導性窒化物半導体層16上に設けられたAlxInyGa(1-x-y)N(0≦x<1、0<y<1、0<x+y≦1)の式で表わされる窒化物半導体からなる光電変換層15と、光電変換層15上に設けられた第2の伝導性窒化物半導体層14との積層体から構成されている。
第2のサブセル40は、中間緩衝層17上に設けられた第3の伝導性窒化物半導体層43と、第3の伝導性窒化物半導体層43上に設けられたAlmInnGa(1-m-n)N(0≦m<1、0<n<1、0<m+n≦1、n<y)の式で表わされる窒化物半導体からなる第2の光電変換層42と、第2の光電変換層42上に設けられた第4の伝導性窒化物半導体層41との積層体から構成されている。
なお、第4の伝導性窒化物半導体層41の表面上に導電層13が設けられており、導電層13の表面上に第2の伝導性用パッド電極18が設けられている。また、第1の伝導性窒化物半導体層16の表面上に第1の伝導性用パッド電極19が設けられており、基板11の第1の伝導性窒化物半導体層16側とは反対側の裏面には、光反射層12が設けられている。
第3の伝導性窒化物半導体層43としては、たとえば、Alp4Inq4Gar4N(0≦p4≦1、0≦q4≦1、0≦r4≦1、p4+q4+r4≠0)の式で表される窒化物半導体にn型ドーパントおよび/またはp型ドーパントをドープしてn型またはp型の伝導性を持たせたものなどを用いることができる。n型ドーパントとしては、たとえば、シリコンなどを用いることができ、p型ドーパントとしては、たとえば、マグネシウムなどを用いることができる。第3の伝導性窒化物半導体層43は、単層または複数層のいずれであってもよい。
第2の光電変換層42としては、AlmInnGa(1-m-n)N(0≦m<1、0<n<1、0<m+n≦1、n<y)の式で表わされる窒化物半導体からなる層が用いられる。また、第2の光電変換層42には、n型ドーパントおよび/またはp型ドーパントをドープしてn型またはp型の伝導性を持たせてもよく、n型ドーパントおよびp型ドーパントをドープせずにn型およびp型の伝導性を持たせなくてもよい。第2の光電変換層42はAlmInnGa(1-m-n)N(0≦m<1、0<n<1、0<m+n≦1、n<y)の式で表わされる窒化物半導体からなる限り、単層または複数層のいずれであってもよい。
第4の伝導性窒化物半導体層41としては、たとえば、Alp5Inq5Gar5N(0≦p5≦1、0≦q5≦1、0≦r5≦1、p5+q5+r5≠0)の式で表される窒化物半導体にn型ドーパントおよび/またはp型ドーパントをドープしてn型またはp型の伝導性を持たせたものなどを用いることができる。n型ドーパントとしては、たとえば、シリコンなどを用いることができ、p型ドーパントとしては、たとえば、マグネシウムなどを用いることができる。第4の伝導性窒化物半導体層41は、単層または複数層のいずれであってもよい。
なお、第3の伝導性窒化物半導体層43と、第4の伝導性窒化物半導体層41とは、異なる伝導性を有している必要がある。すなわち、第3の伝導性窒化物半導体層43がn型の伝導性を有する場合には第4の伝導性窒化物半導体層41はp型の伝導性を有している必要があり、第3の伝導性窒化物半導体層43がp型の伝導性を有する場合には第4の伝導性窒化物半導体層41はn型の伝導性を有している必要がある。そのため、第3の伝導性窒化物半導体層43および第4の伝導性窒化物半導体層41がそれぞれ複数層からなる場合には、第3の伝導性窒化物半導体層43の全体および第4の伝導性窒化物半導体層41の全体が、それぞれ、第3の伝導性および第4の伝導性を有していればよい。
また、第1の伝導性窒化物半導体層16と第3の伝導性窒化物半導体層43とは同一の伝導性を有している必要があり、第2の伝導性窒化物半導体層14と第4の伝導性窒化物半導体層41とは同一の伝導性を有している必要がある。したがって、第1の伝導性窒化物半導体層16および第3の伝導性窒化物半導体層43がn型の伝導性を有する場合には、第2の伝導性窒化物半導体層14および第4の伝導性窒化物半導体層41がp型の伝導性を有している必要がある。また、第1の伝導性窒化物半導体層16および第3の伝導性窒化物半導体層43がp型の伝導性を有する場合には、第2の伝導性窒化物半導体層14および第4の伝導性窒化物半導体層41がn型の伝導性を有している必要がある。
また、第2のサブセル40の第2の光電変換層42のIn組成比nと、第1のサブセル30の光電変換層15のIn組成比yとの間に、n<yの関係があるとき、第2のサブセル40側から入射してきた光20に対して、トップセルとなる第2のサブセル40の第2の光電変換層42は、紫外から緑にかけての短波長の波長域の光吸収を行ない、ボトムセルとなる第1のサブセル30の光電変換層15は、緑から赤外の長波長の光吸収を行なう。そのため、実施の形態2の光電変換素子においては、実施の形態1とよりも広い波長範囲の光吸収を行なうことができるため、光電変換素子で生成するフォトキャリア量を増大させることが可能となる。なお、実施の形態2の光電変換素子は、第2のサブセル40側から光20を入射させることによって、作動させることができる。
実施の形態2の光電変換素子は、図10に示すように、第1のサブセル30の第2の伝導性窒化物半導体層14と、第2のサブセル40の第3の伝導性窒化物半導体層43との間に、AlaInbGa(1-a-b)N(0≦a<0.04、0≦b≦0.1、0<a+b≦1、b<n<y)の式で表わされる窒化物半導体からなる中間緩衝層17を備えている。
ここで、中間緩衝層17は、第3の伝導性窒化物半導体層43に向かって中間緩衝層17の厚さ方向に中間緩衝層17のIn組成比bが増加する領域を有しており、中間緩衝層17のIn組成比bは、中間緩衝層17と第3の伝導性窒化物半導体層43との界面から深さ6%の領域内で最大値を有している。そして、中間緩衝層17のIn組成比bが最大値を有する地点から中間緩衝層17と第3の伝導性窒化物半導体層43との界面までの領域において、中間緩衝層17のIn組成比bが、中間緩衝層17のAl組成比aよりも小さくなっている。
この場合にも、中間緩衝層17の結晶性が良好なものとなり、中間緩衝層17上に形成される第2の光電変換層42の結晶性も良好なものとなるため、トップセルとなる第2のサブセル40の短絡電流密度およびF.Fを高くすることができる。
したがって、実施の形態2の光電変換素子も、少なくともF.Fの高い光電変換素子となる。
また、実施の形態2のように、サブセルを複数積層したタンデム型の光電変換素子とする場合には、サブセルは2つに限定されず、3つ以上あってもよい。この場合には、少なくとも1つのサブセル間に中間緩衝層17を設置すればよい。
実施の形態2における上記以外の説明は、実施の形態1と同様であるため、その説明については省略する。
<実施例1>
まず、基板として、フッ化水素濃度が47質量%のフッ酸で表面洗浄を施したGaN基板を準備した。次に、準備したGaN基板をMOCVD装置内に設置して1100℃〜1120℃まで加熱し、その状態で、MOCVD装置内に、トリメチルガリウム(TMG)を320μmol、アンモニア(NH3)を270mmol、モノシラン(SiH4)を2mmol供給し、GaN基板の表面上に、厚さ1.5μmのn型GaN層をMOCVD法により気相成長させた。n型GaN層にドープされたSiの濃度は、2×1018個/cm3であった。本実施例においては、n型GaN層の厚さを1.5μmとしているが、n型GaN層は、たとえば0.1μm以上4μm以下の厚さにすることができる。
次に、GaN基板の温度を730℃〜800℃に低下させ、その状態で、MOCVD装置内に、TMGを300μmol、NH3を420mmol供給しながら、トリメチルインジウム(TMI)を6μmol/43secの割合で増加させて総計49μmolまで供給した。その後、GaN基板を5分間で1000℃まで加熱し、TMGを60μmol、トリメチルアルミニウム(TMA)を1.7μmol、NH3を270mmol供給して、n型GaN層の表面上に、厚さ200nmの中間緩衝層をMOCVD法により気相成長させた。本実施例においては、中間緩衝層の厚さを200nmとしているが、中間緩衝層は、50nm以上200nm以下の厚さとすることが好ましい。
次に、GaN基板の温度を730℃〜800℃に低下させ、その状態で、MOCVD装置内に、TMGを190μmol、TMIを90μmol、NH3を420mmol供給して、厚さ3nmのIn0.25Ga0.75Nからなる井戸層と、TMGを100μmol、NH3を420mmol供給して、厚さ6nmのGaNからなる障壁層とをMOCVD法により1層ずつ交互に気相成長させて、中間緩衝層の表面上に、10周期の井戸層と障壁層とのペアからなる光電変換層を気相成長させた。本実施例においては、光電変換層の厚さを90nmとしているが、光電変換層は、50nm以上200nm以下の厚さとすることが好ましい。
次に、GaN基板の温度を1000℃〜1070℃まで上昇させ、その状態で、MOCVD装置内に、TMGを125μmol、NH3を270mmol、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CP2Mg)を0.3μmol供給して、光電変換層の表面上に、厚さ50nmのp型GaN層をMOCVD法により気相成長させた。p型GaN層にドープされたMgの濃度は、2×1019個/cm3であった。本実施例においては、p型GaN層の厚さを50nmとしているが、p型GaN層は、たとえば50nm以上200nm以下の厚さにすることができる。
次に、p型GaN層の形成後のGaN基板をアニール炉に設置して、p型GaN層の熱処理を行なった。熱処理は、800℃の窒素雰囲気中にp型GaN層を5分間保持することにより行なった。
次に、p型GaN層の熱処理後のGaN基板をアニール炉から取り出し、GaN基板およびAl濃度が2原子%でドープされたZnOターゲットをマグネトロンスパッタ装置内に設置した。そして、GaN基板の温度を180℃まで上昇させた後、マグネトロンスパッタ装置内に酸素とアルゴンとの分圧(O2/Ar)が3.8%となるように酸素とアルゴンとを導入した。そして、ZnOターゲットを用いたマグネトロンスパッタ法によって、p型GaN層の表面上にAZOからなる導電層を形成した。本実施例においては、AZOの単層からなる導電層を形成したが、本実施例ではAZOの単層としたが、導電率および透過率の向上のために、酸素とアルゴンとの分圧(O2/Ar)を3%〜10%で変化させ、Al濃度が異なるZnOターゲットから形成したAZO、ドーパントをGaとしたGZO、またはITOなどの異なる組成の透明導電膜を積層してもよい。
次に、導電層の形成後のGaN基板をマグネトロンスパッタ装置から取り出し、アニール炉内に設置して、導電層の結晶性および密着性の向上を図ることを目的として、導電層の熱処理を行なった。熱処理は、600℃の酸素分圧2%の真空雰囲気中に、導電層を10分間保持することにより行なった。
次に、導電層の熱処理後のGaN基板をアニール炉から取り出し、GaN基板およびAg純度が99.9%のAgターゲットをマグネトロンスパッタ装置内に設置した。そして、Agターゲットを用いたマグネトロンスパッタ法によって、GaN基板の裏面上に厚さ150nmのAgの単層からなる光反射層を形成した。本実施例においては、Agの単層からなる光反射層を形成したが、光を反射し得る金属ならば、たとえば、Al、Au、Ni、Ti、Ptの単層、または単層を複数積層した複数層としてもよい。本実施例においては、マグネトロンスパッタ法で光反射層を形成したが、製膜装置は限定されるものでなく、たとえば、真空蒸着法またはイオンプレーティング法によって光反射層を形成してもよい。
次に、光反射層の形成後のGaN基板をマグネトロンスパッタ装置から取り出し、導電層の表面上に所定の形状のマスクを設置した後に、GaN基板をエッチング装置内に設置した。そして、エッチング装置において、マスクの上方から、マスクの開口部に相当する部分の導電層、p型GaN層、光電変換層、中間緩衝層およびn型GaN層の一部をエッチングにより除去して、n型GaN層の表面を露出させた。
次に、エッチング後のGaN基板をエッチング装置から取り出し、導電層の表面および露出したn型GaN層の表面にそれぞれ所定の形状の開口部を有するレジストマスクを形成した。そして、レジストマスクが形成された後のGaN基板を真空蒸着装置内に設置して、レジストマスクが形成された導電層およびn型GaN層のそれぞれの表面上に、Ni膜、Pt膜およびAu膜をこの順序て堆積し、その後、リフトオフによりレジストマスクを除去した。これにより、導電層およびn型GaN層のそれぞれの表面上に、Ni膜、Pt膜およびAu膜がこの順序で積層されたpパッド電極およびnパッド電極を形成した。これにより、実施例1の光電変換素子を作製した。
また、中間緩衝層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の光電変換素子を作製した。
次に、実施例1および比較例1の光電変換素子のpパッド電極およびnパッド電極をそれぞれ金線でリードフレームに接続し、リードフレームの正極と負極にプローブを接触させて電流および電圧測定用の回路を形成した。
そして、ソーラシミュレータを用いて、スペクトル分布AM1.5、エネルギ密度100mW/cm2の1SUN疑似太陽光を実施例1と比較例1の光電変換素子に照射し、雰囲気温度と光電変換素子の温度とを25℃とした環境下で、実施例1と比較例1の光電変換素子の特性の評価を行なった。
その結果、比較例1の光電変換素子の開放電圧(Voc)は1.11Vであり、短絡電流密度(Jsc)は0.79mA/cm2であり、F.Fは0.41であり、変換効率は0.36%であったのに対し、実施例1の光電変換素子の開放電圧(Voc)は2.08Vであり、短絡電流密度(Jsc)は1.58mA/cm2であり、F.Fは0.65であり、変換効率は2.13%であった。
また、実施例1の光電変換素子の中間緩衝層は、AlaInbGa(1-a-b)N(0≦a<0.04、0≦b≦0.1、0<a+b≦1、b<y)の式を満たしつつ、n型GaN層と中間緩衝層との界面から中間緩衝層の厚さ方向に190nmの領域においては、In組成比bが増加しており、中間緩衝層と光電変換層との界面から深さ5%の領域(中間緩衝層と光電変換層との界面から深さ10nmの地点)でIn組成比bが最大値を有し、残る10nmの領域においては、中間緩衝層のIn組成比bが、Al組成比aと、0≦b<a<0.04の式を満たす関係となっていることが確認された。なお、上記の式において、「y」は、実施例1の光電変換素子の光電変換層の平均のIn組成比を示している。
<実施例2>
まず、基板としてサファイア基板を用い、サファイア基板を水素雰囲気中で1100℃〜1200℃で10分〜20分間加熱した。このように、サファイア基板を還元性の水素雰囲気中で加熱することによって、サファイア基板の表面の付着物および酸化膜を除去した。水素による還元効果を十分に発揮させるためには、サファイア基板の温度が所定温度に到達した後、10分〜20分程度の間、当該温度を保持することが好ましい。
次に、サファイア基板の温度が500℃〜600℃の状態で、サファイア基板の表面上に、アモルファス若しくは多結晶の低温GaNバッファ層を形成した。そして、低温GaNバッファ層上に、実施例1と同様にして、n型GaN層を形成し、その後も実施例1と同様にして、実施例2の光電変換素子を作製した。低温GaNバッファ層は、低温GaNバッファ層上に成長する窒化物半導体層の結晶品質に影響を与える。
次に、実施例2の光電変換素子のpパッド電極およびnパッド電極をそれぞれ金線でリードフレームに接続し、リードフレームの正極と負極にプローブを接触させて電流および電圧測定用の回路を形成した。
そして、ソーラシミュレータを用いて、スペクトル分布AM1.5、エネルギ密度100mW/cm2の1SUN疑似太陽光を実施例2の光電変換素子に照射し、雰囲気温度と光電変換素子の温度とを25℃とした環境下で実施例2の光電変換素子の特性の評価を行なった。
その結果、実施例2の光電変換素子の開放電圧(Voc)は1.75Vであり、短絡電流密度(Jsc)は1.02mA/cm2であり、F.Fは0.53であり、変換効率は0.94%であった。
本実施例においては、基板としてサファイア基板を用いたが、Alp1Inq1Gar1N(0≦p1≦1、0≦q1≦1、0≦r1≦1、p1+q1+r1≠0)の式で表わされる窒化物半導体基板を用いることが好ましく、たとえば、GaP、GaAs、NdGaO3、LiGaO2、Al23(サファイア)、MgAl24、ZnO、Si、SiC、SiGe、またはZrB2の式で表される材料を少なくとも表面に有する基板を用いてもよい。また、窒化物半導体結晶を成長可能であればサファイア基板に代えてSiウエハなどを用いることもできる。また、基板上に成長する窒化物半導体層の結晶性を改善するため、基板の表面に周期的な凹凸を設けてもよい。
また、本実施例においては、低温バッファ層として低温GaNバッファ層を形成する場合について説明したが、AlNまたは任意の組成比で構成されたAlGaNを低温バッファ層として形成することもできる。
<実施例3>
まず、基板として、フッ化水素濃度が47質量%のフッ酸で表面洗浄を施したGaN基板を準備した。次に、準備したGaN基板をMOCVD装置内に設置して1100℃〜1120℃まで加熱し、その状態で、MOCVD装置内に、TMGを320μmol、NH3を270mmol供給し、GaN基板の表面上に、厚さ3μmのノンドープGaN層を形成した。
次に、GaN基板の温度を1000℃〜1070℃まで低下させ、その状態で、MOCVD装置内に、TMGを125μmol、NH3を270mmol、CP2Mgを0.3μmol供給して、ノンドープGaN層の表面上に、厚さ50nmのp型GaN層をMOCVD法により気相成長させた。p型GaN層にドープされたMgの濃度は、2×1019個/cm3であった。本実施例においては、p型GaN層の厚さを50nmとしているが、p型GaN層は、たとえば50nm以上200nm以下の厚さにすることができる。
次に、GaN基板の温度を730℃〜800℃に低下させ、その状態で、MOCVD装置内に、TMGを300μmol、NH3を420mmol供給しながら、TMIを6μmol/43secの割合で増加させて総計49μmolまで供給した。その後、GaN基板を5分間で1000℃まで加熱し、TMGを60μmol、TMAを1.7μmol、NH3を270mmol供給して、p型GaN層の表面上に、厚さ200nmの中間緩衝層をMOCVD法により気相成長させた。本実施例においては、中間緩衝層の厚さを200nmとしているが、中間緩衝層は、50nm以上200nm以下の厚さとすることが好ましい。
次に、GaN基板の温度を730℃〜800℃に低下させ、その状態で、MOCVD装置内に、TMGを190μmol、TMIを90μmol、NH3を420mmol供給して、厚さ3nmのIn0.25Ga0.75Nからなる井戸層と、TMGを100μmol、NH3を420mmol供給して、厚さ6nmのGaNからなる障壁層とをMOCVD法により1層ずつ交互に気相成長させて、中間緩衝層の表面上に、10周期の井戸層と障壁層とのペアからなる光電変換層を気相成長させた。本実施例においては、光電変換層の厚さを90nmとしているが、光電変換層は、50nm以上200nm以下の厚さとすることが好ましい。
次に、光電変換層の形成後のGaN基板をMOCVD装置内に設置して1100℃まで加熱し、その状態で、MOCVD装置内に、TMGを320μmol、NH3を270mmol、SiH4を2mmol供給し、光電変換層の表面上に、厚さ50nmのn型GaN層をMOCVD法により気相成長させた。n型GaN層にドープされたSiの濃度は、2×1018個/cm3であった。本実施例においては、n型GaN層の厚さを50nmとしているが、n型GaN層は、たとえば50nm以上200nm以下の厚さにすることができる。
次に、n型GaN層の形成後のGaN基板をアニール炉に設置して、p型GaN層の熱処理を行なった。熱処理は、800℃の窒素雰囲気中にp型GaN層を5分間保持することにより行なった。
その後は、実施例1と同様にして、実施例3の光電変換素子を作製した。また、中間緩衝層を形成しなかったこと以外は実施例3と同様にして、比較例2の光電変換素子を作製した。
次に、実施例3および比較例2の光電変換素子のpパッド電極およびnパッド電極をそれぞれ金線でリードフレームに接続し、リードフレームの正極と負極にプローブを接触させて電流および電圧測定用の回路を形成した。
そして、ソーラシミュレータを用いて、スペクトル分布AM1.5、エネルギ密度100mW/cm2の1SUN疑似太陽光を実施例3および比較例2の光電変換素子に照射し、雰囲気温度と光電変換素子の温度とを25℃とした環境下で実施例3および比較例2の光電変換素子の特性の評価を行なった。
その結果、比較例2の光電変換素子の開放電圧(Voc)は0.93Vであり、短絡電流密度(Jsc)は0.50mA/cm2であり、F.Fは0.39であり、変換効率は0.18%であったのに対し、実施例3の光電変換素子の開放電圧(Voc)は1.80Vであり、短絡電流密度(Jsc)は0.97mA/cm2であり、F.Fは0.59であり、変換効率は1.03%であった。
また、実施例3の光電変換素子の中間緩衝層は、AlaInbGa(1-a-b)N(0≦a<0.04、0≦b≦0.1、0<a+b≦1、b<y)の式を満たしつつ、p型GaN層と中間緩衝層との界面から中間緩衝層の厚さ方向に190nmの領域においては、In組成比bが増加しており、中間緩衝層と光電変換層との界面から深さ5%の領域(中間緩衝層と光電変換層との界面から深さ10nmの地点)でIn組成比bが最大値を有し、残る10nmの領域においては、中間緩衝層のIn組成比bが、Al組成比aと、0≦b<a<0.04の式を満たす関係となっていることが確認された。なお、上記の式において、「y」は、実施例3の光電変換素子の光電変換層の平均のIn組成比を示している。
<実施例4>
まず、基板としてサファイア基板を用い、サファイア基板を水素雰囲気中で1100℃〜1200℃で10分〜20分間加熱した。次に、サファイア基板の温度が500℃〜600℃の状態で、サファイア基板の表面上に、アモルファス若しくは多結晶の低温GaNバッファ層を形成した。そして、低温GaNバッファ層上に、実施例3と同様にして、p型GaN層を形成し、その後も実施例3と同様にして、実施例4の光電変換素子を作製した。
次に、実施例4の光電変換素子のpパッド電極およびnパッド電極をそれぞれ金線でリードフレームに接続し、リードフレームの正極と負極にプローブを接触させて電流および電圧測定用の回路を形成した。
そして、ソーラシミュレータを用いて、スペクトル分布AM1.5、エネルギ密度100mW/cm2の1SUN疑似太陽光を実施例4の光電変換素子に照射し、雰囲気温度と光電変換素子の温度とを25℃とした環境下で、実施例4の光電変換素子の特性の評価を行なった。
その結果、実施例4の光電変換素子の開放電圧(Voc)は1.55Vであり、短絡電流密度(Jsc)は0.77mA/cm2であり、F.Fは0.45であり、変換効率は0.52%であった。
本実施例においては、基板としてサファイア基板を用いたが、Alp1Inq1Gar1N(0≦p1≦1、0≦q1≦1、0≦r1≦1、p1+q1+r1≠0)の式で表わされる窒化物半導体基板を用いることが好ましく、たとえば、GaP、GaAs、NdGaO3、LiGaO2、Al23(サファイア)、MgAl24、ZnO、Si、SiC、SiGe、またはZrB2の式で表される材料を少なくとも表面に有する基板を用いてもよい。また、窒化物半導体結晶を成長可能であればサファイア基板に代えてSiウエハなどを用いることもできる。また、基板上に成長する窒化物半導体層の結晶性を改善するため、基板の表面に周期的な凹凸を設けてもよい。
また、本実施例においては、低温バッファ層として低温GaNバッファ層を形成する場合について説明したが、AlNまたは任意の組成比で構成されたAlGaNを低温バッファ層として形成することもできる。
<実施例5>
まず、実施例1と同様にして、GaN基板の表面上に、n型GaN層、光電変換層およびp型GaN層をこの順に結晶成長させた。これにより、GaN基板の表面上に、n型GaN層と光電変換層とp型GaN層とからなるボトムセルを作製した。
次に、ボトムセルの形成後のGaN基板の温度を730℃〜800℃に低下させ、その状態で、MOCVD装置内に、TMGを300μmol、NH3を420mmol供給しながら、TMIを6μmol/43secの割合で増加させて総計49μmolまで供給した。その後、GaN基板を5分間で1000℃まで加熱し、TMGを60μmol、TMAを1.7μmol、NH3を270mmol供給して、ボトムセルのp型GaN層の表面上に、AlaInbGa(1-a-b)N(0≦a<0.04、0≦b≦0.1、0<a+b≦1、b<n<y)の式を満たす厚さ200nmの中間緩衝層をMOCVD法により気相成長させた。本実施例においては、中間緩衝層の厚さを200nmとしているが、中間緩衝層は、50nm以上200nm以下の厚さとすることが好ましい。
次に、ボトムセルの形成後のGaN基板をMOCVD装置内に設置して1100℃〜1120℃まで加熱し、その状態で、MOCVD装置内に、TMGを320μmol、NH3を270mmol、SiH4を2mmol供給し、中間緩衝層の表面上に、厚さ1.5μmのn型GaN層をMOCVD法により気相成長させた。n型GaN層にドープされたSiの濃度は、2×1018個/cm3であった。本実施例においては、n型GaN層の厚さを1.5μmとしているが、n型GaN層は、たとえば0.1μm以上1μm以下の厚さにすることができる。
次に、GaN基板の温度を730℃〜800℃に低下させ、その状態で、MOCVD装置内に、TMGを190μmol、TMIを55μmol、NH3を420mmol供給して、厚さ3nmのIn0.15Ga0.85Nからなる井戸層と、TMGを100μmol、NH3を420mmol供給して、厚さ6nmのGaNからなる障壁層とをMOCVD法により1層ずつ交互に気相成長させて、中間緩衝層の表面上に、6周期の井戸層と障壁層とのペアからなる光電変換層を気相成長させた。本実施例においては、光電変換層の厚さを54nmとしているが、光電変換層は、50nm以上1000nm以下の厚さとすることができる。
次に、GaN基板の温度を1000℃〜1070℃まで上昇させ、その状態で、MOCVD装置内に、TMGを125μmol、NH3を270mmol、CP2Mgを0.3μmol供給して、光電変換層の表面上に、厚さ50nmのp型GaN層をMOCVD法により気相成長させた。p型GaN層にドープされたMgの濃度は、2×1019個/cm3であった。これにより、中間緩衝層の表面上に、n型GaN層と光電変換層とp型GaN層との積層体からなるトップセルを作製した。本実施例においては、トップセルのp型GaN層の厚さを50nmとしているが、トップセルのp型GaN層は、たとえば50nm以上200nm以下の厚さにすることができる。
次に、p型GaN層の形成後のGaN基板をアニール炉に設置して、p型GaN層の熱処理を行なった。熱処理は、800℃の窒素雰囲気中にp型GaN層を5分間保持することにより行なった。
次に、p型GaN層の熱処理後のGaN基板をアニール炉から取り出し、GaN基板およびAl濃度が2原子%でドープされたZnOターゲットをマグネトロンスパッタ装置内に設置した。そして、GaN基板の温度を180℃まで上昇させた後、マグネトロンスパッタ装置内に酸素とアルゴンとの分圧(O2/Ar)が3.8%となるように酸素とアルゴンとを導入した。そして、ZnOターゲットを用いたマグネトロンスパッタ法によって、トップセルのp型GaN層の表面上にAZOからなる導電層を形成した。本実施例においては、AZOの単層からなる導電層を形成したが、本実施例ではAZOの単層としたが、導電率および透過率の向上のために、酸素とアルゴンとの分圧(O2/Ar)を3%〜10%で変化させ、Al濃度が異なるZnOターゲットから形成したAZO、ドーパントをGaとしたGZO、またはITOなどの異なる組成の透明導電膜を積層してもよい。
次に、導電層の形成後のGaN基板をマグネトロンスパッタ装置から取り出し、アニール炉内に設置して、導電層の結晶性および密着性の向上を図ることを目的として、導電層の熱処理を行なった。熱処理は、600℃の酸素分圧2%の真空雰囲気中に、導電層を10分間保持することにより行なった。
その後は、実施例1と同様にして、実施例5のタンデム型の光電変換素子を作製した。
次に、実施例5のタンデム型の光電変換素子のpパッド電極およびnパッド電極をそれぞれ金線でリードフレームに接続し、リードフレームの正極と負極にプローブを接触させて電流および電圧測定用の回路を形成した。
そして、ソーラシミュレータを用いて、スペクトル分布AM1.5、エネルギ密度100mW/cm2の1SUN疑似太陽光を実施例5のタンデム型の光電変換素子に照射し、雰囲気温度と光電変換素子の温度とを25℃とした環境下で、実施例5のタンデム型の光電変換素子の特性の評価を行なった。
その結果、実施例5のタンデム型の光電変換素子の開放電圧(Voc)は2.1Vであり、短絡電流密度(Jsc)は0.003mA/cm2であり、F.Fは0.34であり、変換効率は0.002%であった。
また、実施例5のタンデム型の光電変換素子の中間緩衝層は、AlaInbGa(1-a-b)N(0≦a<0.04、0≦b≦0.1、0<a+b≦1、b<n<y)の式を満たしつつ、ボトムセルのp型GaN層と中間緩衝層との界面から中間緩衝層の厚さ方向に190nmの領域においては、In組成比bが増加しており、中間緩衝層とトップセルのn型GaN層との界面から深さ5%の領域(中間緩衝層とトップセルのn型GaN層との界面から深さ10nmの地点)でIn組成比bが最大値を有し、残る10nmの領域においては、中間緩衝層のIn組成比bが、Al組成比aと、0≦b<a<0.04の式を満たす関係となっていることが確認された。なお、上記の式において、「y」は、実施例5のタンデム型の光電変換素子のボトムセルの光電変換層の平均のIn組成比を示し、「n」は、実施例5のタンデム型の光電変換素子のトップセルの光電変換層の平均のIn組成比を示している。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および各実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、結晶性の高い光電変換層を形成するための中間緩衝層を設けることにより、少なくともF.Fの高い光電変換素子に関するものであるため、特に、窒化物半導体太陽電池素子に好適に利用することができる。また、本発明は、タンデム型の窒化物半導体太陽電池素子にも利用することができる。
また、本発明は、太陽電池などの受光素子に好適に利用できるが、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)などの発光素子にも利用することができる。
11 基板、12 光反射層、13 導電層、14 第2の伝導性窒化物半導体層、15 光電変換層、16 第1の伝導性窒化物半導体層、17 中間緩衝層、17a,17b 領域、18 第2の伝導性用パッド電極、19 第1の伝導性用パッド電極、20 光、21,22 界面、30 第1のサブセル、41 第4の伝導性窒化物半導体層、42 第2の光電変換層、43 第3の伝導性窒化物半導体層。

Claims (6)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられた第1の伝導性窒化物半導体層と、
    前記第1導電型窒化物半導体層上に設けられたAlxInyGa(1-x-y)N(0≦x<1、0<y<1、0<x+y≦1)の式で表わされる窒化物半導体からなる光電変換層と、
    前記光電変換層上に設けられた第2の伝導性窒化物半導体層と、を備え、
    前記第1の伝導性窒化物半導体層と前記光電変換層との間に、AlaInbGa(1-a-b)N(0≦a<0.04、0≦b≦0.1、0<a+b≦1、b<y)の式で表わされる窒化物半導体からなる中間緩衝層をさらに備え、
    前記中間緩衝層は、前記光電変換層と接しており、
    前記中間緩衝層は、前記光電変換層に向かって前記中間緩衝層の厚さ方向に前記中間緩衝層のIn組成比bが増加する領域を有しており、
    前記In組成比bは、前記中間緩衝層と前記光電変換層との界面から深さ6%の領域内で最大値を有し、
    前記In組成比bが前記最大値を有する地点から前記中間緩衝層と前記光電変換層との前記界面までの領域においては前記In組成比bがAl組成比aよりも小さくなる、光電変換素子。
  2. 前記中間緩衝層の厚さは、50nm以上200nm以下であって、
    前記中間緩衝層の前記光電変換層側の表面の表面粗さRMSは、2nm以上4nm以下である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記基板の前記第1の伝導性窒化物半導体層側とは反対側の表面に光反射層をさらに備え、
    前記光反射層の厚さは、10nm以上1000nm以下である、請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 基板と、
    前記基板上に設けられた第1のサブセルと、
    前記第1のサブセル上に設けられた第2のサブセルと、を備え、
    前記第1のサブセルは、
    前記基板上に設けられた第1の伝導性窒化物半導体層と、
    前記第1の伝導性窒化物半導体層上に設けられたAlxInyGa(1-x-y)N(0≦x<1、0<y<1、0<x+y≦1)の式で表わされる窒化物半導体からなる光電変換層と、
    前記光電変換層上に設けられた第2の伝導性窒化物半導体層と、を有し、
    前記第2のサブセルは、
    前記第2の伝導性窒化物半導体層上に設けられた第3の伝導性窒化物半導体層と、
    前記第3の伝導性窒化物半導体層上に設けられたAlmInnGa(1-m-n)N(0≦m<1、0<n<1、0<m+n≦1、n<y)の式で表わされる窒化物半導体からなる第2の光電変換層と、
    前記第2の光電変換層上に設けられた第4の伝導性窒化物半導体層と、を有しており、
    前記第1のサブセルと前記第2のサブセルとの間に、AlaInbGa(1-a-b)N(0≦a<0.04、0≦b≦0.1、0<a+b≦1、b<n<y)の式で表わされる窒化物半導体からなる中間緩衝層をさらに備え、
    前記中間緩衝層は、前記第3の伝導性窒化物半導体層と接しており、
    前記中間緩衝層は、前記第3の伝導性窒化物半導体層に向かって前記中間緩衝層の厚さ方向に前記中間緩衝層のIn組成比bが増加する領域を有しており、
    前記中間緩衝層の前記In組成比bは、前記中間緩衝層と前記第3の伝導性窒化物半導体層との界面から深さ6%の領域内で最大値を有し、
    前記In組成比bが前記最大値を有する地点から前記中間緩衝層と前記第3の伝導性窒化物半導体層との前記界面までの領域においては前記In組成比bがAl組成比aよりも小さくなる、光電変換素子。
  5. 前記中間緩衝層の厚さは、50nm以上200nm以下であって、
    前記中間緩衝層の前記光電変換層側の表面の表面粗さRMSは、2nm以上4nm以下である、請求項4に記載の光電変換素子。
  6. 前記基板の前記第1の伝導性窒化物半導体層側とは反対側の表面に光反射層をさらに備え、
    前記光反射層の厚さは、10nm以上1000nm以下である、請求項4または5に記載の光電変換素子。
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