JP5931283B2 - 金属合金製構造要素における粒界応力腐食割れ(igssc)の非破壊評価の方法、および構造要素の寿命評価の方法 - Google Patents

金属合金製構造要素における粒界応力腐食割れ(igssc)の非破壊評価の方法、および構造要素の寿命評価の方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属合金製構造要素における、より具体的には、原子力発電所の金属合金製構造要素における粒界応力腐食割れの非破壊評価、および構造要素の寿命評価の方法に関する。
原子力発電所において使用され、冷却水と接触するすべての構造要素はオーステナイトFe-Cr-Ni合金製である。例えば、冷却材パイプ、炉心バレル、バッフルフォーマボルトは、例えば300系オーステナイトステンレス鋼などのFe系オーステナイトFe-Cr-Ni合金である。オーステナイトFe-Cr-Ni合金は粒界応力腐食割れ(IGSCC)に対する優れた耐性を有するので、冷却材と接触するこれらの構造要素はすべてオーステナイトFe-Cr-Ni合金により作られる。
しかしながら、原子力発電所の運転年数が20年を越える場合、オーステナイトFe-Cr-Ni合金は、特に、主に結晶粒界に沿って割れが起こるIGSCCを生じやすくなる。原子炉環境の一次水中の構造要素の粒界(IG)割れは、特に「一次水応力腐食割れ(PWSCC)」または「粒界応力腐食割れ」と称され、一方、中性子照射環境におけるIG割れは「照射誘起応力腐食割れ(IASCC)」と呼ばれる。上記割れ現象はしばしば集合的に「粒界(IG)割れ」と称される。原子力発電所の寿命は40〜60年またはそれ以上にまで渡るので、原子力発電所の高経年化対策は、とりわけ、高経年化した原子力発電所の安全性を保証するための重大な問題の一つである。原子力発電所の高経年化対策の観点から、主要技術は、特に、一次水に曝されるオーステナイトFe-Cr-Ni合金製構造要素のIG割れの管理に関連するものである。
残念なことに、主にオーステナイトFe-Cr-Ni合金の粒界割れのメカニズムが未だ完全に明らかになっていないために、IG割れの管理に関して、活動中(active)または予防的(proactive)のいずれであろうとも、特別な技術は今までのところ利用可能でない。その代わりに、原子力産業は、構造要素のIG割れ自体の予防的管理ではなく、肉盛溶接法による劣化した構造要素の修理技術に集中的に取り組んでいる。オーステナイトFe-Cr-Ni合金構造要素における粒界割れを、IG割れが貫通割れに拡大する前に検出および監視する代替技術を開発するための努力がなされているが、IG割れは非常に微細であるために、通常の非破壊試験技術によっては高い信頼性を持って検出することができない。言い換えれば、オーステナイトFe-Cr-Ni合金製構造要素のIG割れを検出および監視するための非破壊試験技術は原子力発電所の高経年化対策のための主要技術であるが、これまでに多くの努力が払われてきたにも関わらず、従来利用可能な現在の技術はいずれもIG割れの非破壊試験に関連する技術的困難を完全に解決するものではない。
最近、本発明者らは、原子力発電所の構造要素に使用される構造材料の1つであるオーステナイト316Lステンレス鋼が、原子炉運転条件で、短範囲規則化に起因していくらかの格子収縮を有することを示した(Young Suk Kim et al., Transactions of the Korean Nuclear Society Autumn Meeting, Jeju Korea, 2010, pp. 1079-1080)。
そこで、発明者らの観察を前提として、発明者らは、発電所運転中にオーステナイトFe-Cr-Ni合金において生じる短範囲規則性(SRO)が粒界応力腐食割れを引き起こすこと、および原子力発電所のための金属合金製構造要素の粒界応力腐食割れ感受性が、SROに伴うそれらの特性変化を測定することにより非破壊的に評価可能であることからなる仮説を提示する。簡単に述べると、本発明者らは、オーステナイトFe-Cr-Ni合金製構造要素における粒界応力腐食割れを検出および監視するための、さらにはオーステナイトFe-Cr-Ni合金製構造要素の余寿命を評価するための、非破壊評価法を、それらの特性変化を説明することにより確立することを試みる。
Young Suk Kim et al., Transactions of the Korean Nuclear Society Autumn Meeting, Jeju Korea, 2010, pp. 1079-1080
本発明は、金属合金製構造要素の粒界応力腐食割れ(IGSCC)を評価するための非破壊評価法を提供することを目的とする。
本発明はまた、IGSCCにより劣化する金属合金製構造要素の余寿命を評価する方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、オーステナイトFe-Cr-Ni合金における溶質原子のSROに起因する構造要素の特性変化を測定することを含む、金属合金製構造要素の粒界応力腐食割れを評価するための非破壊評価法を提供する。
さらに、本発明は、以下の工程:合金元素のSROに起因する構造要素の特性変化を測定すること(工程1);および前記特性変化に基づいて金属合金製構造要素の余寿命を評価すること(工程2)を含む、金属合金構造要素の余寿命を評価する方法を提供する。
本発明は、従来の非破壊試験法によっては検出不可能であった、原子力発電所で使用される金属合金製構造要素において生じ得る非常に微細なIG割れまたは応力腐食割れの開始および成長を非破壊的に検出および監視することを可能にする。
さらに、運転中の原子力発電所において使用される金属合金製構造要素の余寿命を確実に評価することが可能である。
構造要素のIG割れおよびそれらの余寿命を評価するための非破壊評価法が、寿命延長を伴って原子力発電所の安全性を保証することが可能であることを考慮すると、本発明は効果的な金属合金製構造要素の高経年化対策に使用することができる。
固溶化焼き鈍しを行った316Lステンレス鋼において400℃で960時間エイジングした後に形成された短範囲規則性を有するナノサイズ粒子の原子プローブトモグラフィー(APT)分析を示す図である。 1100℃で1時間の固溶化焼き鈍しおよび水焼入れの後に40%の冷間加工を行った316Lステンレス鋼の400℃でのエイジング時間に対する結晶面の格子収縮の相対比を示す図である。 渇水において水の蒸発から生じる収縮のために起こる泥割れの画像を示す図である。 図4(a)および4(b)は、室温での引張試験による(a)水焼入れおよび(b)炉冷Fe3Niの破断面のSEM画像を示す図である。その公称組成がFe3Niに相当するインゴットを、真空誘導溶解、熱間圧延、次いで1050℃で1時間の固溶化焼き鈍しにより作成した。 40%の冷間加工を行った316Lステンレス鋼の400℃でのエイジングによる硬度の増加を示す図である。 360℃の模擬一次水中での硬度に対する316Lステンレス鋼の割れ成長速度を示す図である。 エイジングしていないものと比較した場合の400℃でのエイジング時間に伴う316Lステンレス鋼の電気抵抗率の比を示す図である。 エイジングしていないものと比較した場合の400℃でのエイジング時間に伴う316Lステンレス鋼の室温での熱伝導率の比を示す図である。
以下に本発明をより詳細に説明する。
本発明の第1の目的は、金属合金製構造要素の粒界応力腐食割れ(IGSCC)を評価するための非破壊評価法を提供すること、およびそれを実施するための詳細な対策として、金属合金製構造要素のSRO形成に起因する特性変化を測定する方法を含み、それにより金属合金製構造要素の粒界応力腐食割れの非破壊評価を可能にすることである。
本発明の方法は、産業全体において使用される金属合金製構造要素の劣化評価(例えば、金属合金製構造要素の粒界応力腐食割れ)に適用可能であり、より具体的には、原子炉の運転中に劣化する、原子力発電所における金属合金製構造要素の粒界応力腐食割れ(IGSCC)の非破壊評価に適用可能である。
原子力発電所において使用される構造要素は、オーステナイトFe-Cr-Ni合金製、またはより具体的には、Fe系またはNi系のいずれかのオーステナイト合金からなるすべての溶質原子が面心立方(fcc)構造に固溶している300系オーステナイトステンレス鋼製である。なお、上で説明した300系オーステナイトステンレス鋼は、鉄道、車両、ガスおよび油パイプ、建築外装材料、ボルトまたはナット、熱交換機、原子炉容器、船舶、種々の工場構造要素、ならびに原子力発電所を含む種々の産業分野において広く使用される。
オーステナイトFe-Cr-Ni合金がFe系またはNi系合金のいずれであるかには無関係に、Fe、CrおよびNi原子が共存するfcc構造は、主に3種の原子配列に分類することができる。
第1は、異なる種の原子の位置がランダムでなく、そのためFe、CrおよびNi原子が規則的な方式で位置する長範囲規則(LRO)であり、第2は、異なる種の原子の位置がランダムである不規則であり、第3は、LROでもDO(不規則)でもない中間的な構造を指す短範囲規則(SRO)である。熱力学の観点からは、第3のもの、すなわち、SROが最も安定な構造である。したがって、オーステナイトFe-Cr-Ni合金はSROを有するが、十分な熱および機械的歪みエネルギーの供給があると、SROは徐々にLROに変化する。温度が閾値を超えて上昇した場合、高い熱擾乱のために、SROは、すべての溶質原子の配置が完全にランダムであるDOに変化する。
オーステナイトFe-Cr-Ni合金が、規則-不規則相転移温度よりも高い950℃よりも高い温度での固溶化焼き鈍しの後に水焼入れを行ったものである場合、すべての水冷Fe-Cr-Ni合金はDOを有するであろう。しかしながら、原子炉運転条件(300〜350℃、15MPa)では、オーステナイトFe-Cr-Ni合金において原子規則化(atomic ordering)が起こり、合金はDOからSROに変化する。SRO形成により、異なる原子(unlike atom)の数が増加し、その結果、異なる原子間の引力に起因する格子収縮、硬度の増大および電気抵抗率の変化がもたらされる(A. Marucco, Materials Science and Engineering, A189, 1994, 267-276)。
代表的なオーステナイトFe-Cr-Ni合金の1つであり、また構造要素材料の1つである316Lステンレス鋼も、発電所の運転中にSROに起因する格子収縮を有する(Young Suk Kim et al., Transactions of the Korean Nuclear Society Autumn Meeting, Jeju Korea, 2010, pp. 1079-1080)。
実験例1:発電所運転条件下でSROが生じるかどうかの観察
原子炉運転条件で316Lステンレス鋼製構造要素においてSROが形成されることを証明するために、1100℃で1時間の固溶化焼き鈍し、次いで水冷を行った316Lステンレス鋼を400℃でエイジングした後、原子プローブトモグラフィー(APT)により分析した。図1に示す通り、400℃で960時間エイジングした後に316Lステンレス鋼中に数ダースのナノサイズの(Fe, Cr)3Ni相が形成されたことが観察された。図1に示される観察は、原子炉運転条件で構造要素材料において原子規則化が起こることを初めて明らかにした。この事実は、原子炉運転条件で、原子規則化に起因するDOからSROへの原子配列の変化が構造要素の機械的および物理的特性を劣化させることを示唆している。
原子規則化が原子の拡散により起こることを考慮すると、SRO形成は、原子炉運転温度の上昇と共に、また、高応力による運動転移により促進される。原子炉運転条件における劣化とSRO形成との間の相関を示すために、中性子回折を用いて40%の冷間加工を行った316Lステンレス鋼の格子間隔を測定した。図2に示す通り、400℃でのエイジングにより格子収縮が起こり、格子収縮の量は、20,000時間のエイジングの後、最大0.07%に達した。
316Lステンレス鋼製構造要素が、亀裂先端および300〜350℃の範囲の高温の冷却材などの局所領域における応力集中に起因する塑性変形に曝されることを前提として、図1および2に示される観察は、原子炉運転条件で316Lステンレス鋼においてSROが形成され、格子収縮を発生させて、その結果316Lステンレス鋼の劣化をもたらすことを実証している。
SROに起因する格子収縮が結晶粒において生じる場合、それらが互いに接触する結晶粒界が引張応力を受け、それにより粒界割れが起こる。材料劣化に対する格子収縮の効果は、図3に示されるような渇水において水蒸発に起因する収縮により引き起こされる泥割れから見出すことができる。同様に、316Lステンレス鋼などの金属も、特にSROに起因する格子収縮の結果として引張応力を受ける結晶粒界において発生する割れを起こす。したがって、核運転条件において、SRO形成が多い程、格子収縮の量が大きくなり、これがオーステナイトFe-Cr-Ni合金製構造要素のIGSCC感受性の増大につながる。それに対して、SRO形成速度がかなり遅いために原子炉運転条件でSROが伴わない場合、格子収縮はほとんど起こらず、IG割れを引き起こさない。したがって、オーステナイトステンレス鋼のIG割れは、結晶粒界の腐食または酸化とは関係なく結晶粒において起こる固有の現象である。
支持的証拠が次の実験的事実により提供される。すなわち、アルゴン雰囲気下で水に曝露せずに低歪速度引張試験を行った場合に(この場合、結晶粒界の腐食または酸化は起こらない)、原子力発電所において使用される放射線照射された304ステンレス鋼においてIG割れが生じる(T. Onchi, K. Dohi, N. Soneda, M. Navas, M.L. Castano, Journal of Nuclear Materials, 340 (2005) pp. 219-236)。
要約すると、原子力発電所の構造要素は運転中にDOからSROへの原子規則変換を起こし、それが結晶粒における格子収縮を引き起こす。格子収縮の程度が高くなる程、構造要素のIG割れ感受性が増大する。そのため、構造要素のIG割れ感受性または劣化の程度は、原子プローブトモグラフィー(APT)によりSROの定量分析を行うことにより評価することができる。しかしながら、APT分析が破壊的試験であり、長時間および注意深いサンプル調製を必要とすることを考慮すると、APT分析が原子力発電所において使用される金属合金製構造材料の劣化の非破壊評価には不適切であることは明らかである。
一方、SRO形成は、316Lステンレス鋼を含むすべてのオーステナイトFe-Cr-Ni合金材料の機械的または物理的特性の変化を引き起こす。例えば、SRO形成は、異なる原子間の結合強さを増大させ、硬度および熱伝導率の増大ならびに電気抵抗率の変化をもたらす(A. Marucco, Materials Science and Engineering, A189, 1994, 267-276)。
したがって、硬度または電気抵抗率、熱伝導率等などの物理的特性変化を評価することにより、構造要素材料中に形成されたSROの程度を定量的かつ非破壊的に評価することが可能である。
劣化した原子力発電所の構造要素の予防的管理のために、多数の非破壊試験技術により微細なIG割れの存在および大きさを試験および測定するための多くの試みがなされてきたが、いずれも成功しなかった。事実、従来の非破壊法により大きい構造要素の中に存在する微細なIG割れを検出することは非常に困難である。
従来法と比較して、本発明の非破壊評価法は、運転中の構造要素材料内でSROが生じること(図1および2を参照されたい)およびSROに起因して構造要素材料がその機械的および物理的特性の変化を起こすことを示す最初の実験データに基づいて、構造要素材料の粒界割れ感受性を、SRO形成に起因するそれらの機械的または物理的特性の変化を測定することにより評価することを特徴とする。言い換えると、SRO形成は格子収縮のみでなく、硬度の増大ならびに熱伝導率および電気抵抗率の変化などの特性変化も引き起こすので、前記特性変化を追跡することにより、316Lステンレス鋼の粒界割れ感受性の程度を評価することが可能である。
本発明の金属合金製構造要素の粒界応力腐食割れを評価する方法によれば、原子炉の運転中に金属合金製構造要素における原子規則化に起因する変化を受ける特性としては、硬度、熱伝導率、または電気抵抗率が挙げられ、本旨は、金属合金製構造要素の特性変化を測定することにより、SROの程度を評価し、次に粒界応力腐食割れ感受性を評価することである。
硬度はナノインデンテーション法により測定することができる。さらに、電気抵抗率および熱伝導率は、それぞれ、四探針法により、および過渡的平面熱源測定(transient plane source measurement)またはレーザーフラッシュ法により測定することができる。
粒界応力腐食割れの存在および程度を評価する方法は以下の方法で実施することができる。
例えば、原子炉構造要素のオーステナイトステンレス鋼の初期硬度がビッカース硬度試験により170Hvであり、原子炉構造要素に使用されるオーステナイトステンレス鋼において粒界割れが開始する臨界硬度が例えば230〜250Hvであるという仮定に基づいて、運転時間に渡るオーステナイトステンレス鋼の硬度増加速度を示す経験的または実験的値が存在するならば、特定の時間に測定される構造要素の硬度に基づいて、原子炉構造要素の粒界割れ感受性および寿命を評価することが可能である。
本発明の別の目的は、金属合金製構造要素の余寿命をその粒界応力腐食割れに対して評価するための方法を提供することである。
本発明によれば、以下の工程:
合金元素の規則化による金属合金製構造要素の特性変化を測定すること(工程1);および
特性変化に基づいて金属合金製構造要素の余寿命を評価すること(工程2)
を含む、金属合金製構造要素の余寿命を評価する方法が提供される。
本発明の実施形態に従って粒界応力腐食割れに対する金属合金製構造要素の余寿命を評価する方法に関して、工程1は上で説明した通り、非破壊評価法の方式で行うことができる。
工程2は、特性変化に基づいて金属合金製構造要素の余寿命を評価する工程である(工程2)。
具体的に述べると、金属合金製構造要素の特性変化と粒界割れの開始および割れ成長速度との間の相関(これらの両方が形成されるSROの程度により規定される)をあらかじめ得た後、運転時間に対する金属合金製構造要素の特性変化の比を計算することにより余寿命を決定することができる。
実験例2:原子炉運転条件で金属合金製構造要素におけるSRO形成によりIG割れが生じるかどうかの研究
原子炉運転条件で構造要素材料において生じるSROが格子収縮に起因する原子力発電所の構造要素の粒界割れを引き起こすかどうかを研究するために、図1に記載した通りのSRO相-(Fe,Cr)3Niのそれと同じ合金組成を有するFe3Ni組成物のインゴットを調製した。Fe3Niインゴットは、真空誘導溶解により作られ、熱間圧延して板を形成し、1050℃で1時間固溶化焼き鈍しを行った後、2つの方法:水焼入れ(WQ)および炉冷(FC)により冷却した。その結果、WQサンプルはDO構造を有し、FCサンプルはゆっくりした冷却の間に起こる原子規則化のためにSRO構造を有する。
粒界割れに対するDOおよびSROなどの原子配列の影響を証明するために室温で引張試験を行った。図4に示される通り、DOを有するWQ-Fe3Niサンプルがディンプル延性破壊を有したのに対して、SROを有するFC-Fe3Niサンプルは粒界割れによる脆性破壊を示した。図4の観察は、SRO形成が図2に示されるような格子収縮を引き起こし、その結果、室温での引張試験の間に脆性破壊によるIG割れをもたらすことを示している。
実験例3:原子炉運転条件で生じるSROに起因する硬度増加の研究
300系オーステナイトステンレス鋼は、図1に示す通り、原子炉運転条件でSROを形成し、SROに起因する格子収縮は、図4に示される炉冷Fe3Niに対する室温での引張試験において確認された通り、粒界割れによりオーステナイトステンレス鋼を劣化させる。
構造要素材料の劣化の評価のための非破壊パラメーターの1つとして、原子力発電所の金属合金製構造要素が硬度の増加を示すかどうかを確認するために、固溶化焼き鈍しおよび40%の冷間加工を行った316Lステンレス鋼の硬度を、原子炉運転条件におけるオーステナイトステンレス鋼の原子配列の変化をシミュレートすることができる400℃でのエイジング時間に対して測定した。図5に示す通り、40%の冷間加工を行った316Lステンレス鋼の硬度は、エイジング時間と共に350Hvから400Hvに増加した。形成されたSRO相がマトリックスよりも硬いことを前提として、図5における観察は、原子炉運転中のSRO形成が運転時間と共に増加し、SRO形成の程度と比例する300系オーステナイトステンレス鋼の硬度の増大をもたらすことを示している。
一般に、エイジングは材料の硬度を減少させると認識される。したがって、316Lステンレス鋼の硬度が模擬原子炉運転条件におけるエイジング時間と共に増加したという上記の結果は、原子炉運転中のSRO形成およびそれによる316Lステンレス鋼の特性変化を示すものである。さらに、エイジング劣化、すなわち、粒界割れが原子力発電所運転時間に従って増加することを考慮すると、SRO形成に起因して生じる硬度の増加等などの特性変化に基づいて粒界割れに関する非破壊評価を実施することが可能である。
したがって、図5の結果は、金属合金製構造要素の硬度の増加を非破壊的に検出することにより、原子炉構造要素において生じるSROの程度を評価すること、およびそれにより金属合金製構造要素の粒界割れ感受性および余寿命を非破壊的に評価することが可能であることを示す。さらに、SRO形成が金属合金製構造要素の粒界割れを引き起こすという図4の結果を考慮すると、図5の結果は、オーステナイトステンレス鋼を含む原子炉構造要素の粒界割れ感受性が冷間加工の量と比例して増大することを説明する報告された結果(EPRI-1007380: Quantification of yield strength effects on IGSCC in austenitic stainless steels and its implication to IASCC, EPRI, Palo Alto, CA, 2002)と一致する。
実験例4:原子炉運転条件で生じるSROに起因する電気抵抗率の変化の研究
300系オーステナイトステンレス鋼は原子力発電所運転条件下でSROを形成し、実験例2に示されるSROが粒界割れを引き起こすかどうかに関する試験において確認される通り、SROによる格子収縮は粒界割れによりオーステナイトステンレス鋼を劣化させる。したがって、運転時間に伴うSROの程度を測定する定量的かつ直接的方法を用いてオーステナイトステンレス鋼の粒界割れ感受性を評価することが可能である。問題は、破壊試験によりオーステナイトステンレス鋼において生じるSROを観察することは可能であるが、直接的かつ非破壊的測定が不可能であることである。そこで、オーステナイトステンレス鋼の電気抵抗率の変化を検出することによりSROの程度を評価することができることを示すために以下の実験を行った。冷間加工により種々の電気抵抗率を有するサンプルを作成し、原子炉運転条件での金属合金製構造要素における微細構造の変化をシミュレートする条件で316Lステンレス鋼をエイジングした。より具体的に述べると、40%の冷間加工を行った316Lステンレス鋼の電気抵抗率を400℃でのエイジング時間に対して測定した。図7に、エイジングしていないものと比較した場合のエイジング後の316Lステンレス鋼の電気抵抗率の比((エイジング後の電気抵抗率 - エイジング前の電気抵抗率) / (エイジング前の電気抵抗率))を、エイジング時間の関数として示す。電気抵抗率は四探針測定により測定することができる。
図7を参照すると、エイジングしていないものと比較した場合、316Lステンレス鋼の電気抵抗率は、400℃での、すなわち模擬原子力発電所運転条件下でのエイジングにより急速に減少し、次いでSROが形成されるにつれて直線的に増加した。これは、原子力発電所運転中の316Lステンレス鋼の電気抵抗率の変化を追跡することによりステンレス鋼において発生するSROの程度を定量的に評価することが可能であるので、SROに起因するステンレス鋼の粒界割れ感受性を非破壊的に評価することが可能であることを示している。
実験例5:原子力発電所運転条件下でのSROの発生に起因する熱伝導率の変化の研究
300系オーステナイトステンレス鋼は原子力発電所運転温度条件下でSROを形成し、図4の試験結果において確認される通り、SROにより生じる格子収縮は粒界割れによりオーステナイトステンレス鋼を劣化させる。したがって、生じるSROの程度を測定する定量的かつ直接的方法を用いてオーステナイトステンレス鋼の粒界割れ感受性を評価することが可能である。問題は、破壊試験によりオーステナイトステンレス鋼のベース上に生じるSROを観察することは可能であるが、直接的、非破壊的測定が不可能であることである。そこで、金属合金製構造要素において生じるSROの程度を、それらの熱伝導率の変化を追跡することにより評価することが可能かどうかを研究するために以下の実験を行った。冷間加工により種々の熱伝導率を有するサンプルを作成し、原子炉運転条件での金属合金製構造要素中の微細構造の変化をシミュレートする条件で316Lステンレス鋼をエイジングした。より具体的に述べると、40%の冷間加工を行った316Lステンレス鋼の熱伝導率を400℃でのエイジング時間に対して測定した。図8に、エイジング前と比較した場合のエイジング後の316Lステンレス鋼の熱伝導率の比((エイジング後の熱伝導率 - エイジング前の熱伝導率) / (エイジング前の熱伝導率))を示す。熱伝導率は過渡的平面熱源測定またはレーザーフラッシュ法により測定することができる。
図8を参照すると、SROの程度が増加するにつれて、エイジングしていないものと比較した場合、316Lステンレス鋼の室温での熱伝導率が、400℃での、すなわち、模擬原子力発電所運転条件下でのエイジング時間の増加と共に増加した。例えば、400℃でエイジングした場合、エイジング前と比較した場合のエイジング後の熱伝導率は、開始時に急激に増加し、その後直線的に増加した。これは、原子力発電所運転中の316Lステンレス鋼の熱伝導率の変化を追跡することによりステンレス鋼において発生するSROの程度を定量的に評価することが可能であるので、SROに起因するステンレス鋼の粒界割れ感受性を非破壊的に評価することが可能であることを示している。
すなわち、SROは、劣化した原子炉構造要素に特徴的な粒界割れを引き起こす要因であり、SRO形成に起因して生じる、例えば、硬度、電気抵抗率または熱伝導率などの原子炉構造要素の特性変化を評価することにより非破壊方式で原子炉材料の劣化の程度およびその寿命を評価することが可能である。
実施例1:原子炉運転条件での硬度に対するオーステナイトステンレス鋼の粒界割れの開始および割れ成長速度の研究
316Lステンレス鋼の硬度の増加が、原子炉運転条件での構造要素の粒界割れ感受性および割れ成長速度を増大させるかどうかを示すために、固溶化焼き鈍し(SA)を行った316Lステンレス鋼の硬度を、冷間加工および400℃での長期エイジングにより変化させた。図5に示す通り、SA 316Lステンレス鋼の硬度は、冷間加工の量を変化させることにより174Hvから350Hvに増加し、40%の冷間加工の後に400℃でのエイジング時間を変化させることによりさらに350Hvから400Hvに増加した。異なる硬度を有するSA 316Lステンレス鋼を、厚さ0.5T(12.7mm)または1T(25.4mm)のコンパクトテンション試験片を用いて360℃の模擬一次水(2ppm Li、500ppm B、O2<5ppb)に曝して、割れの開始および割れ成長速度を検出した。図6に示す通り、210Hv以下のSA 316Lステンレス鋼はIG割れの開始を示さなかった。しかしながら、230Hvに増加した硬度を有するSA 316Lステンレス鋼はIG割れの開始を示し、一旦IG割れが生じると、SA 316Lステンレス鋼の割れ成長速度は硬度に比例してほぼ直線的に増加した。図6の結果は、316Lステンレス鋼の硬度が230Hvよりも大きい値に増加した場合にのみ、SA 316Lステンレス鋼において粒界割れが開始することを明らかにするものである。さらに、前記結果は、316Lステンレス鋼の粒界割れの速度が硬度に比例して増加することも示している。したがって、IG割れが、その硬度が閾値、すなわち230Hvに達するSA 316Lステンレス鋼において開始したことを考慮すると、運転中のステンレス鋼の硬度が閾値硬度、すなわち230Hvに達した時に、硬度変化を追跡することによりオーステナイトステンレス鋼のPWSCC感受性を定量的に評価することが可能であり、また、硬度に基づくIG割れの割れ成長速度に関する相関式に基づいて、粒界割れの開始から貫通欠陥が生じるまでの間の成長時間を定量的に評価することにより、ステンレス鋼の余寿命を評価することも可能である。すなわち、運転時間に渡ってオーステナイトステンレス鋼の硬度を測定することが可能であり、あらかじめ測定された硬度に基づく割れ成長速度の関係を用いて、IG割れ感受性の程度および余寿命を非破壊的に評価することが可能である。
上記の試験結果に基づいて、SROが原子炉運転条件に伴って生じること、およびSROに起因する硬度の増加および格子収縮が粒界割れ感受性ならびに割れ成長速度を増大させることが確認される。したがって、SROに起因する硬度の増加は、粒界割れ感受性の程度を評価する指針として適用可能である。SROの程度は硬度の増加等に基づいて非破壊的に評価することができるので、これは、金属合金製構造要素の粒界割れ感受性が、硬度の増加等により非破壊的に評価可能であることを示している。
実施例2:原子炉運転条件での電気抵抗率の変化に対するオーステナイトステンレス鋼の粒界割れの開始および割れ成長速度の研究
316Lステンレス鋼の電気抵抗率の変化が、原子炉運転条件での構造要素の粒界割れ感受性および割れ成長速度に影響を与えるかどうかを示すために、固溶化焼き鈍し(SA)を行った316Lステンレス鋼の電気抵抗率を、冷間加工および400℃での長期エイジングにより変化させた。図7に示す通り、エイジング時間に伴って、エイジングしていないものと比較した場合のSA 316Lステンレス鋼の電気抵抗率の比は、急速に減少した後にエイジング時間と共に増加した。電気抵抗率の比における増加の開始に相当する遷移点は、SRO形成の開始に起因して生じる。
異なる電気抵抗率を有するSA 316Lステンレス鋼を、厚さ0.5T(12.7mm)または1T(25.4mm)のコンパクトテンション試験片を用いて360℃の模擬一次水(2ppm Li、500ppm B、O2<5ppb)に曝して、割れの開始および割れ成長速度を検出した。SA 316Lステンレス鋼の電気抵抗率の比が最小値またはそれよりも上でエイジング時間と共に増加する遷移点を示した時にIG割れの開始が起こり、次いでSA 316Lステンレス鋼の割れ成長速度が電気抵抗率と共にほぼ直線的に増加した。
上記の試験結果に基づいて、SA 316Lステンレス鋼の電気抵抗率の比がSRO形成の開始に相当する最小値または遷移点に到達した時にIG割れの開始が起こることが確認される。したがって、SROに起因する電気抵抗率の比の変化は、オーステナイトステンレス鋼のIG割れ感受性の定量的評価の指針として適用可能である。さらに、電気抵抗率の比と構造要素材料の割れ成長速度との間のあらかじめ測定された相関を用いてIG割れが貫通割れに成長するのに要する時間を定量的に評価することにより、割れを起こしたオーステナイトステンレス鋼の余寿命を評価することができる。SROの程度は電気抵抗率の比等の変化に基づいて非破壊的に評価することができるので、これは、金属合金製構造要素の粒界割れ感受性が、電気抵抗率の比等の変化により非破壊的に評価可能であることを示している。
実施例3:原子炉運転条件での熱伝導率の変化に対するオーステナイトステンレス鋼の粒界割れの開始および割れ成長速度の研究
固溶化焼き鈍し(SA)を行った316Lステンレス鋼の熱伝導率の変化が、原子炉運転条件での構造要素の粒界割れ感受性および割れ成長速度を増大させるかどうかを示すために、固溶化焼き鈍し(SA)を行った316Lステンレス鋼の熱伝導率を、冷間加工および400℃での長期エイジングにより変化させた。図8に示す通り、エイジング時間に伴って、エイジングしていないものと比較した場合のSA 316Lステンレス鋼の熱伝導率は、急速に増加した後にエイジング時間と共に直線的な増加を示した。
異なる熱伝導率を有するSA 316Lステンレス鋼を、厚さ0.5T(12.7mm)または1T(25.4mm)のコンパクトテンション試験片を用いて360℃の模擬一次水(2ppm Li、500ppm B、O2<5ppb)に曝して、割れの開始および割れ成長速度を検出した。SA 316Lステンレス鋼の熱伝導率の比の増加が2.6%に達した時にIG割れの開始が起こり、次いでSA 316Lステンレス鋼の割れ成長速度が熱伝導率の比の増加と共にほぼ直線的に増加した。
上記の試験結果に基づいて、SROに起因するSA 316Lステンレス鋼の熱伝導率の比の増加が2.6%の臨界値に達した時に、IG割れの開始が起こることが確認される。したがって、SROに起因する電気抵抗率の変化は、オーステナイトステンレス鋼のIG割れ感受性の定量的評価の指針として適用可能である。さらに、熱伝導率の比の増加と構造要素材料の割れ成長速度との間のあらかじめ測定された相関を用いてIG割れが貫通割れに成長するのに要する時間を定量的に評価することにより、割れを起こしたオーステナイトステンレス鋼の余寿命を評価することができる。SROの程度は熱伝導率等の変化に基づいて非破壊的に評価することができるので、これは、金属合金製構造要素の粒界割れ感受性が、熱伝導率等の変化により非破壊的に評価可能であることを示している。
前記の代表的な実施形態および利点は単なる例示であり、本発明を限定するものと解釈すべきではない。本発明の教示は容易に他のタイプの装置に適用することができる。また、本発明の概念の代表的な実施形態の説明は例証を意図するものであって、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。

Claims (10)

  1. 原子炉の冷却材と接触する金属合金製構造要素に原子の短範囲規則化(SRO)を形成する工程と、
    前記金属合金製構造要素に対して、前記原子の短範囲規則化による硬度、熱伝導率および電気抵抗率からなる群より選択される1つ以上の特性を測定する工程と、
    前記測定された特性と前記特性変化による原子の短範囲規則化の程度による粒界割れの開始および割れ成長速度との間の相関をもとに、運転時間に対する金属合金製構造要素の特性変化の比を計算することにより余寿命を評価する工程と、
    を含む金属合金製構造要素の非破壊的余寿命評価方法。
  2. 原子規則化が原子炉運転条件で生じる、請求項1に記載の方法。
  3. 金属合金製構造要素が、冷却材パイプ、バッフル、炉心バレル、計装案内管、締め具バネ(hold down springs)、上部炉心支持体、下部炉心支持体、上部案内管構造、炉心シュラウド、ボルトおよびピンからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 応力腐食割れが粒界割れに起因して生じる、請求項1に記載の方法。
  5. 硬度がナノインデンテーション法を用いて測定される、請求項1に記載の方法。
  6. 熱伝導率が過渡的平面熱源測定またはレーザーフラッシュ法により測定される、請求項1に記載の方法。
  7. 電気抵抗率が四探針測定法により測定される、請求項1に記載の方法。
  8. 原子力発電所において使用するための金属合金製構造要素がオーステナイトFe-Cr-Ni合金製である、請求項1に記載の方法。
  9. 金属合金製構造要素が300系オーステナイトステンレス鋼製である、請求項1に記載の方法。
  10. SROの程度の定量測定に基づいて粒界割れ感受性を評価することにより応力腐食割れを評価することを含む、請求項1に記載の方法。
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